JP6544241B2 - トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法 - Google Patents

トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
分岐構造を持つトリアジン環含有重合体は、シアヌル酸クロリドとジアミン類により合成され、高屈折率、高耐熱性、高透明性を示すことが報告されている(特許文献1)。
上記トリアジン環含有重合体が高屈折率を示す要因は、分子内や分子間の水素結合によって、高密度となることが挙げられる。
上記トリアジン環含有重合体の製造法の1つに、下記スキーム1に示されるように、一旦シアヌル酸クロリドとジアミンとの1:1(モル比)反応物(以下、AB2型モノマーという)とした後、これを重合させる手法がある。
Figure 0006544241
特許文献1では、上記反応における試薬の添加順序として、シアヌル酸クロリドの冷却溶液中に、m−フェニレンジアミンを添加する手法が好ましいとされ、これまで、そのような手法が採用されてきている。
しかし、最近、上記手法によって得られたトリアジン環含有重合体はプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGME)等の安全性溶剤に対する溶解性が十分でないことがわかってきた。
また、上記特許文献1では、重合時に単官能アミン(アニリン)を加えて反応させて重合体の分岐度を緩やかにすることで、分子内、分子間の水素結合を抑えることで溶解性を向上させる手法が採られているが、この手法で得られたトリアジン環含有重合体では、耐熱性(Tg、Td)が低下する場合があるとともに、製膜後、250〜300℃での熱プロセス(焼成、半田付け等)の工程で装置の汚染や膜内の異物発生が起こることがあった。
国際公開第2010/128661号
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、レジスト溶剤として用いられるPGME等への溶解性が良好で、昇華物の生成を抑制できるトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法を提供すること目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、上記特許文献1にて好ましいとされている順序、すなわち、シアヌル酸クロリド溶液中にジアミン(溶液)を滴下した場合、低温下で主に生成するのは、上述したAB2型モノマーではなく、下記式で示される、シアヌル酸クロリドとジアミンとの2:1(モル比)の反応物(以下、B4型モノマーという)であること、およびこのB4型モノマーが主生成した反応液を加熱下で重合させて得られたハイパーブランチポリマーが、PGME等の安全性溶剤への溶解性に乏しいことを突き止めた。
Figure 0006544241
さらに、本発明者らは、重合時にアニリンを加えて反応させる場合、下記式で示されるシアヌル酸クロリドのアニリン三置換体が生成し、これが原因で得られたハイパーブランチポリマーの耐熱性が低下するとともに、この化合物が昇華性を有しているため、後の加熱工程で装置の汚染や膜内の異物発生が生じることをも突き止めた。
Figure 0006544241
そして、本発明者らは、低温下での反応において、上述したAB2型モノマーを優先的に生成させ、当該モノマーを加熱下で重合させることで、PGME等の安全性溶剤に対する溶解性が良好なハイパーブランチポリマーが得られること、および低温反応工程時に上記AB2型モノマーを効率よく生成するため、所定温度に冷却したジアミン溶液中へ、シアヌル酸クロリド(溶液)を、所定温度範囲を保つように添加すればよいことを見出すとともに、低温反応工程において、ジアミンのみの溶液中にシアヌル酸クロリド(溶液)を添加して反応させた後に、モノアミンを滴下することで、上述した昇華性を有する化合物の生成を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
なお、低温反応工程において、ジアミンとモノアミンの混合溶液中にシアヌル酸クロリドを滴下した場合、上記昇華性を有する化合物が生成してしまう(後述の比較例2参照)。
すなわち、本発明は、
1. ジアミノアリール化合物を有機溶媒に溶かしたジアミノアリール化合物含有溶液にハロゲン化シアヌルを添加し、−20〜5℃を維持しながら反応させて前記ジアミノアリール化合物とハロゲン化シアヌル化合物との1:1(モル比)反応物を得る第1工程と、この工程で得られた前記反応物を60〜150℃に加熱して重合させる第2工程と、を含むことを特徴とするトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法、
2. 前記第1工程後、反応溶液にモノアミンを−20〜5℃を維持しながら添加して反応させる工程を含む1のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法、
3. 前記ハロゲン化シアヌルを有機溶媒に溶かしたハロゲン化シアヌル含有溶液を−15〜5℃に冷却した後、前記ジアミノアリール化合物含有溶液に滴下する1または2のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法、
4. 前記ポリマーが、式(1)で表される1〜3のいずれかのトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法、
Figure 0006544241
{式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Arは、式(2)〜(13)で示される群から選ばれる少なくとも1種を表す。
Figure 0006544241
〔式中、R1〜R92は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R93およびR94は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表し、W1およびW2は、互いに独立して、単結合、CR9596(R95およびR96は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基(ただし、これらは一緒になって環を形成していてもよい。)を表す。)、C=O、O、S、SO、SO2、またはNR97(R97は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。)を表し、X1およびX2は、互いに独立して、単結合、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基、または式(14)
Figure 0006544241
(式中、R98〜R101は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、Y1およびY2は、互いに独立して、単結合または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基を表す。)で示される基を表す。〕}
を提供する。
本発明の製造方法によれば、レジスト溶剤として用いられるPGME等への溶解性が良好なトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーが得られる。
また、昇華物の生成が抑制できるため、得られるポリマーの耐熱性の低下を防止できるだけでなく、製膜時の加熱工程で装置の汚染や膜内の異物発生をも防止できる。
実施例1および比較例2で得られたで得られた高分子化合物[3]のゲル浸透クロマトグラフィ測定結果を示す図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法は、ジアミノアリール化合物を有機溶媒に溶かしたジアミノアリール化合物含有溶液にハロゲン化シアヌルを添加し、−20〜5℃を維持しながら反応させてジアミノアリール化合物とハロゲン化シアヌル化合物との1:1(モル比)反応物(AB2型モノマー)を得る第1工程と、この工程で得られたAB2型モノマーを60〜150℃に加熱して重合させる第2工程と、を含むものである。
第1工程の反応において、AB2型モノマーを主に生成させるという観点から、反応温度は−20〜5℃に設定されるが、−15〜5℃が好ましく、−5〜5℃がより好ましい。
ハロゲン化シアヌルは、固体で添加しても溶液として滴下してもよいが、操作が簡便であるとともに反応温度を制御し易いことから、有機溶媒に溶かしてハロゲン化シアヌル含有溶液として滴下する手法が好ましい。
特に、反応温度を上記範囲に保ち易くするため、ジアミノアリール化合物含有溶液を上記温度範囲に冷却するとともに、これに滴下するハロゲン化シアヌル含有溶液も上記温度範囲に冷却しておくことが好ましい。
ジアミノアリール化合物含有溶液やハロゲン化シアヌル含有溶液の調製に用いられる有機溶媒としては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピペリドン、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルマロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチルプロピレン尿素等のアミド系溶媒、およびそれらの混合溶媒が挙げられる。
中でもN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合系が好ましく、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好適である。
また、両含有溶液の調製に用いられる有機溶媒は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明の第1工程の反応においては、効率的にAB2型モノマーを生成させるという観点から、ハロゲン化シアヌル2当量に対して、ジアミノ化合物を3当量未満の量で用いることが好ましいが、種々の分子量のアミン末端を有するハイパーブランチポリマーを得ることを目的とする場合、ジアミノ化合物3当量に対して、ハロゲン化シアヌルを2当量未満の量で用いてもよい。
また、本発明の製造方法でも、得られるハイパーブランチポリマーの分岐度を緩やかにして有機溶媒に対する溶解性を向上させることを目的として、第1工程後の反応溶液にモノアミンを加えることができる。
この際、上述した昇華性物の生成を抑えるため、アニリン添加時の反応液の温度を−20〜5℃、特に−5〜5℃を維持しながら反応を行うことが好ましい。
モノアミンとしては、アルキルモノアミン、アラルキルモノアミン、アリールモノアミンのいずれを用いることもできる。
アルキルモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、1−メチル−n−ブチルアミン、2−メチル−n−ブチルアミン、3−メチル−n−ブチルアミン、1,1−ジメチル−n−プロピルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、2,2−ジメチル−n−プロピルアミン、1−エチル−n−プロピルアミン、n−ヘキシルアミン、1−メチル−n−ペンチルアミン、2−メチル−n−ペンチルアミン、3−メチル−n−ペンチルアミン、4−メチル−n−ペンチルアミン、1,1−ジメチル−n−ブチルアミン、1,2−ジメチル−n−ブチルアミン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、2,2−ジメチル−n−ブチルアミン、2,3−ジメチル−n−ブチルアミン、3,3−ジメチル−n−ブチルアミン、1−エチル−n−ブチルアミン、2−エチル−n−ブチルアミン、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミン、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミン、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミン、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン等が挙げられる。
アラルキルモノアミンの具体例としては、ベンジルアミン、p−メトキシカルボニルベンジルアミン、p−エトキシカルボニルベンジルアミン、p−メチルベンジルアミン、m−メチルベンジルアミン、o−メトキシベンジルアミン等が挙げられる。
アリールモノアミンの具体例としては、アニリン、p−メトキシカルボニルアニリン、p−エトキシカルボニルアニリン、p−メトキシアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アントラニルアミン、1−アミノピレン、4−ビフェニリルアミン、o−フェニルアニリン、4−アミノ−p−ターフェニル、2−アミノフルオレン等が挙げられる。
この場合、有機モノアミンの使用量は、ハロゲン化シアヌル化合物に対して、0.05〜500当量が好ましく、0.05〜120当量がより好ましく、0.05〜50当量がより一層好ましい。
第2工程の反応において、効率的に重合反応を進行させるという点から、反応温度は60〜150℃であるが、70〜100℃が好ましい。
また、重合時または重合後に通常用いられる種々の塩基を添加してもよい。
この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
塩基の添加量は、ハロゲン化シアヌル1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
得られるハイパーブランチポリマーには、原料成分が残存していないことが好ましいが、本発明の効果を損なわなければ一部の原料が残存していてもよい。
反応終了後、生成したポリマーは再沈法等によって容易に精製できる。
本発明の製造方法は、ハロゲン化シアヌルとジアミン類とを反応させる任意のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造に適用でき、中でも、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含むトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造に好適に適用できる。
Figure 0006544241
上記式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
本発明において、アルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、その構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、1−メチル−シクロプロピル、2−メチル−シクロプロピル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、1,2−ジメチル−n−プロピル、2,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−n−プロピル、シクロペンチル、1−メチル−シクロブチル、2−メチル−シクロブチル、3−メチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロプロピル、2,3−ジメチル−シクロプロピル、1−エチル−シクロプロピル、2−エチル−シクロプロピル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1,2−ジメチル−n−ブチル、1,3−ジメチル−n−ブチル、2,2−ジメチル−n−ブチル、2,3−ジメチル−n−ブチル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、1−エチル−1−メチル−n−プロピル、1−エチル−2−メチル−n−プロピル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロペンチル、2−メチル−シクロペンチル、3−メチル−シクロペンチル、1−エチル−シクロブチル、2−エチル−シクロブチル、3−エチル−シクロブチル、1,2−ジメチル−シクロブチル、1,3−ジメチル−シクロブチル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2,3−ジメチル−シクロブチル、2,4−ジメチル−シクロブチル、3,3−ジメチル−シクロブチル、1−n−プロピル−シクロプロピル、2−n−プロピル−シクロプロピル、1−イソプロピル−シクロプロピル、2−イソプロピル−シクロプロピル、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、そのアルキル部分の構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチル−n−ブトキシ、2−メチル−n−ブトキシ、3−メチル−n−ブトキシ、1,1−ジメチル−n−プロポキシ、1,2−ジメチル−n−プロポキシ、2,2−ジメチル−n−プロポキシ、1−エチル−n−プロポキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチル−n−ペンチルオキシ、2−メチル−n−ペンチルオキシ、3−メチル−n−ペンチルオキシ、4−メチル−n−ペンチルオキシ、1,1−ジメチル−n−ブトキシ、1,2−ジメチル−n−ブトキシ、1,3−ジメチル−n−ブトキシ、2,2−ジメチル−n−ブトキシ、2,3−ジメチル−n−ブトキシ、3,3−ジメチル−n−ブトキシ、1−エチル−n−ブトキシ、2−エチル−n−ブトキシ、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
上記アリール基の炭素数としては特に限定されるものではないが、6〜40が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数6〜16がより好ましく、6〜13がより一層好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル、o−クロルフェニル、m−クロルフェニル、p−クロルフェニル、o−フルオロフェニル、p−フルオロフェニル、o−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、p−シアノフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、o−ビフェニリル、m−ビフェニリル、p−ビフェニリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル基等が挙げられる。
アラルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、炭素数7〜20が好ましく、そのアルキル部分は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
その具体例としては、ベンジル、p−メチルフェニルメチル、m−メチルフェニルメチル、o−エチルフェニルメチル、m−エチルフェニルメチル、p−エチルフェニルメチル、2−プロピルフェニルメチル、4−イソプロピルフェニルメチル、4−イソブチルフェニルメチル、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記Arは、式(2)〜(13)で示される群から選ばれる少なくとも1種を表す。
Figure 0006544241
上記R1〜R92は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、W1およびW2は、互いに独立して、単結合、CR9596(R95およびR96は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基(ただし、これらは一緒になって環を形成していてもよい。)を表す。)、C=O、O、S、SO、SO2、またはNR97(R97は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。)を表し、R93およびR94は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
なお、アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
また、X1およびX2は、互いに独立して、単結合、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基、または式(14)で示される基を表す。
Figure 0006544241
上記R98〜R101は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、Y1およびY2は、互いに独立して、単結合または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基を表す。これらハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン基等が挙げられる。
特に、Arとしては、式(2)、(5)〜(13)で示される少なくとも1種が好ましく、式(2)、(5)、(7)、(8)、(11)〜(13)で示される少なくとも1種がより好ましい。上記式(2)〜(13)で表されるアリール基の具体例としては、下記式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006544241
これらの中でも、より高い屈折率のポリマーが得られることから、下記式で示されるアリール基がより好ましい。
Figure 0006544241
特に、PGME等のレジスト溶剤等の安全性の高い溶剤に対する溶解性をより高めることを考慮すると、式(15)で示される繰り返し単位構造を含むことが好ましい。
Figure 0006544241
(式中、R、R′およびR1〜R4は、上記と同じ意味を表す。)
このような観点から、特に好適な繰り返し単位構造としては、下記式(16)で示されるものが挙げられる。
Figure 0006544241
(式中、RおよびR′は、上記と同じ意味を表す。)
トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの具体例としては下記式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006544241
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた測定装置等は以下のとおりである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)
装置:(株)島津製作所製 SCL−10Avpシリーズ
カラム:Shodex K−804L+K−805L
カラム温度:60℃
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(1%LiCl添加)
検出器:UV(280nm)
検量線:標準ポリスチレン
[実施例1]
Figure 0006544241
窒素下、200mL四口フラスコに、ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)66.1gをアセトン/ドライアイス浴で−15℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1]18.44g(0.1mol、エポニックデグザ社製)を加えて溶解した。その後、300mL四口フラスコに、DMAc99.14gに溶解したm−フェニレンジアミン[2]13.52g(0.125mol、デュポン社製)を−15℃に冷却し、あらかじめ−15℃に冷却した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンのDMAc溶液を120分かけて滴下し、さらに30分撹拌した(この際、反応液の温度は−15〜5℃に保った)。その後、アニリン3.17g(0.034mol)を15分かけて滴下し、さらに30分撹拌した(この際、反応液の温度は−15〜5℃に保った)。
続いて、反応溶液を、あらかじめ500mL四口フラスコに、DMAc35.18gを加え、オイルバスで90℃に加熱してある槽へ、滴下ポンプを用いて30分かけて滴下し、さらに2時間撹拌して重合した。
その後、アニリン24.77g(0.266mol)を加え、3時間撹拌して反応を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液60.71gとイオン交換水922.1gとの混合溶液に反応液を添加して再沈殿させた。沈殿物をろ過し、粗精製物をテトラヒドロフラン(以下、THF)258.2gと28%アンモニア水溶液60.71gの混合溶液にて40℃で30分撹拌した。撹拌後、30分静置して分液し、有機層を取り出した。取り出した有機層の濃度調整をTHFにて行った後、再度、28%アンモニア水溶液60.71gを加え、40℃で撹拌した後、分液して有機層を取り出した。有機層の濃度調整を行い、この溶液を28%アンモニア水溶液94.11gとイオン交換水1383gの混合溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、20時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3]25.7gを得た。
[比較例1]
窒素下、300mL四口フラスコに、DMAc99.14gをアセトン/ドライアイス浴で−15℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1]18.44g(0.1mol、エポニックデグザ社製)を加えて溶解した。その後、滴下ロートにDMAc66.1gに溶解したm−フェニレンジアミン13.52g(0.125mol、デュポン社製)を240分かけて滴下し、さらに30分撹拌した。その後、アニリン(3.17g、0.034mol)を15分かけて滴下し、さらに30分撹拌した。この反応溶液を、あらかじめ500mL四口フラスコにDMAc135.18gを加え、オイルバスで90℃に加熱してある槽へ、滴下ポンプを用いて30分かけて滴下し、さらに2時間撹拌して重合した。
その後、アニリン24.77g(0.266mol)を加え、3時間撹拌して反応を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液60.71gとイオン交換水922.1gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、粗精製物をTHF258.2gと28%アンモニア水溶液60.71gの混合溶液にて40℃で30分撹拌した。撹拌後、30分静置して分液し、有機層を取り出した。取り出した有機層の濃度調整をTHFにて行った後、再度、28%アンモニア水溶液60.71gを加え、40℃で撹拌した後、分液し、有機層を取り出した。有機層の濃度調整を行い、この溶液を28%アンモニア水溶液94.11gとイオン交換水1383gの混合溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、20時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3]25.5gを得た。
上記実施例1および比較例1で得られた高分子化合物[3]1.0gをそれぞれシクロヘキサノン4.373gと水0.182gの混合溶液に溶解し、この溶液0.100gをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が70/30(質量比)の混合溶液で希釈した際に、どの程度の希釈部数まで溶液が均一(析出、散乱しない)であるかを評価したところ、実施例1で得られた高分子化合物[3]では、316部希釈しても溶液は均一であったが、比較例1で得られた高分子化合物[3]では、5部希釈した際に固形分の析出が見られた。
[比較例2]
窒素下、300mL四口フラスコに、DMAc99.14gをアセトン/ドライアイス浴で−15℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1]18.44g(0.1mol、エポニックデグザ社製)を加えて溶解した。その後、滴下ロートに、DMAc66.1gに溶解したm−フェニレンジアミン13.52g(0.125mol、デュポン社製)とアニリン3.17g(0.034mol)を120分かけて滴下し、さらに30分撹拌した。この反応溶液を、あらかじめ500mL四口フラスコにDMAc135.18gを加え、オイルバスで90℃に加熱してある槽へ、滴下ポンプを用いて30分かけて滴下し、さらに2時間撹拌して重合した。
その後、アニリン24.77g(0.266mol)を加え、3時間撹拌して反応を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液60.71gとイオン交換水922.1gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、粗精製物をTHF258.2gと28%アンモニア水溶液60.71gの混合溶液にて40℃で30分撹拌した。撹拌後、30分静置して分液し、有機層を取り出した。取り出した有機層の濃度調整をTHFにて行った後、再度、28%アンモニア水溶液60.71gを加え、40℃で撹拌した後、分液し、有機層を取り出した。有機層の濃度調整を行い、この溶液を28%アンモニア水溶液94.11gとイオン交換水1383gの混合溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、20時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3]26.1 gを得た。
実施例1および比較例2で得られた各高分子化合物[3]について、GPC測定を行ったところ、比較例2では昇華物となるシアヌル酸クロリドのアニリン三置換体のピーク(図中矢印)が確認できたが、実施例1では当該ピークは確認できず、昇華物の生成が抑制できていることがわかる。

Claims (3)

  1. ジアミノアリール化合物を有機溶媒に溶かしたジアミノアリール化合物含有溶液にハロゲン化シアヌルを添加し、−20〜5℃を維持しながら反応させて前記ジアミノアリール化合物とハロゲン化シアヌル化合物との1:1(モル比)反応物を得る第1工程と、前記第1工程後の反応溶液にモノアミンを−20〜5℃を維持しながら添加して反応させる工程と、前記モノアミン添加後の反応溶液を60〜150℃に加熱して重合させる第2工程とを含むことを特徴とするトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法。
  2. 前記ハロゲン化シアヌルを有機溶媒に溶かしたハロゲン化シアヌル含有溶液を−15〜5℃に冷却した後、前記ジアミノアリール化合物含有溶液に滴下する請求項1記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法。
  3. 前記トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーが、式(1)で表される請求項1または2記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法。
    Figure 0006544241
    {式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Arは、式(2)〜(13)で示される群から選ばれる少なくとも1種を表す。
    Figure 0006544241
    〔式中、R1〜R92は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R93およびR94は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表し、W1およびW2は、互いに独立して、単結合、CR9596(R95およびR96は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基(ただし、これらは一緒になって環を形成していてもよい。)を表す。)、C=O、O、S、SO、SO2、またはNR97(R97は、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。)を表し、X1およびX2は、互いに独立して、単結合、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基、または式(14)
    Figure 0006544241
    (式中、R98〜R101は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、Y1およびY2は、互いに独立して、単結合または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基を表す。)で示される基を表す。〕}
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