JP6414812B2 - ハイパーブランチポリアミド及びこれを含む膜形成用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイパーブランチポリアミド及びこれを含む膜形成用組成物に関し、更に詳述すると、高屈折率かつ高溶解性のハイパーブランチポリアミド、及びこれを含む膜形成用組成物に関する。
ハイパーブランチポリアミドは、耐熱性、透明性、機械物性等に優れることから、繊維、成型材料、複合材料、電気・電子部品等の分野において幅広く用いられている。しかし、一般にハイパーブランチポリアミドは、分子間水素結合及び芳香族基間でのスタッキングから、分子間の凝集力が大きく、有機溶媒に対する溶解性が著しく低いという問題や、反応中に不溶化する等の問題がある。
直鎖状(リニア)ポリアミドにおいては、その溶解性を向上させる方法として、酸素、SO2及びメチレン基等の屈曲性構造単位を導入したモノマーを用いる手法(特許文献1)や、フルオレン基のような分子サイズの大きな基を有するジアミンを用いる方法(特許文献2)等が知られている。
ハイパーブランチポリマーは、一般的な直鎖状ポリマーとは異なり、高度に分岐した構造をとるために分子間の絡み合いが少なくなり、主鎖の分子構造によらず粘性が低く、有機溶媒への溶解性が高いといった性質を有している。また、末端数が多く、それらを機能化することで多機能型高分子の設計が可能となり、様々な分野での応用が期待されている。
ハイパーブランチポリマーの製造法としては、AB2法又はA2+B3法の2種類の方法が知られており、AとBは、モノマー中の官能基に相当する。例えば、AB2法では、1個の官能基Aと2個の官能基Bを有する3官能性モノマーが反応してハイパーブランチポリマーを与える。一方、A2+B3法では、2個の官能基Aを有するモノマーが、3個の官能基Bを有するモノマーと反応してハイパーブランチポリマーを与える。A2+B3法において、理想的な場合には、1個の官能基A及び2個の官能基Bのみを有する2つのモノマーの1:1反応物が生成し、この反応物が、更に反応してハイパーブランチポリマーを与える。
このようなハイパーブランチ型のポリアミドに関しては、分子内にカルボン酸とアミノ基とを有するAB2型重縮合(非特許文献1)、及びベンゼントリカルボン酸とジアミン化合物によるA2+B3型重縮合が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、これらの手法では、不溶化の制御が困難であり、反応に長時間を有するという問題がある。また、少なくとも非特許文献2のような手法で得られたハイパーブランチ型芳香族ポリアミドも、有機溶媒に対する溶解性は不足していた。
特開2005−23106号公報 特開2006−77185号公報
J. Polym. Sci .Part A: Polym. Chem., 2004, 42, pp. 1293-1309. Macromolecules, 1999, 32, pp. 2061-2064.
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性、透明性、有機溶媒に対する溶解性に優れ、高屈折率を示すハイパーブランチポリアミド、及びこれを含む膜形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゼントリカルボン酸と、トリアジン環を含有する所定のジアミンとを反応させて得られるハイパーブランチポリアミドが、耐熱性、透明性、有機溶媒に対する溶解性に優れ、高屈折率を示し、電子デバイスを作製する際の膜形成用組成物の基材ポリマーとして好適に利用できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記ハイパーブランチポリアミド及びこれを含む膜形成用組成物を提供することを目的とする。
1.下記式(1)で表される構造単位を含有することを特徴とするハイパーブランチポリアミド。
Figure 0006414812
[式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し;
5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又はアリール基を表し(ただし、R5及びR6の少なくとも一方は、アリール基である。);
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基を表す。]
2.Ar1及びAr2がフェニレン基である1のハイパーブランチポリアミド。
3.R1〜R4が、水素原子である1又は2のハイパーブランチポリアミド。
4.R5が水素原子であり、R6がフェニル基である1〜3のいずれかのハイパーブランチポリアミド。
5.R5及びR6がともにフェニル基である1〜3のいずれかのハイパーブランチポリアミド。
6.ベンゼントリカルボン酸末端又はジアミン末端が、末端封止化合物によって封止されている1〜5のいずれかのハイパーブランチポリアミド。
7.末端封止化合物が、アニリン又は塩化ベンゾイルである6のハイパーブランチポリアミド。
8.1〜7のいずれかのハイパーブランチポリアミドを含む膜形成用組成物。
9.1〜7のいずれかのハイパーブランチポリアミドを含む膜。
10.基材と、この基材上に形成された9の膜とを備える電子デバイス。
11.基材と、この基材上に形成された9の膜とを備える光学部材。
本発明のハイパーブランチポリアミドは、溶解性に優れ、様々な有機溶媒に溶かすことができるため成形が容易になり、その優れた物性を生かし、繊維、成型材料、複合材料、電気・電子部品等の様々な分野への用途展開が期待できる。また、本発明のハイパーブランチポリアミドは、有機溶媒への溶解性に優れていることから、塗布方式を用いて容易に薄膜化することができ、その薄膜は、高耐熱性、高透明性、高屈折率という特性を有している。
このような特性を有する本発明のハイパーブランチポリアミドを用いて作製した膜は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)等の電子デバイスを作製する際の一部材として好適に利用できる。
[ハイパーブランチポリアミド]
本発明のハイパーブランチポリアミドは、下記式(1)で表される構造単位を含むものである。
Figure 0006414812
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表す。
前記アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1〜20が好ましく、ポリアミドの耐熱性をより高めることを考慮すると、1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、その構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−イソプロピル−シクロプロピル基、2−イソプロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、1〜20が好ましく、ポリアミドの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、そのアルキル部分の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
前記アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6〜40が好ましく、ポリアミドの耐熱性をより高めることを考慮すると、6〜16がより好ましく、6〜13がより一層好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、o−クロルフェニル基、m−クロルフェニル基、p−クロルフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、特に限定されないが、7〜20が好ましく、そのアルキル部分は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、ベンジル基、p−メチルフェニルメチル基、m−メチルフェニルメチル基、o−エチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル基、p−エチルフェニルメチル基、2−プロピルフェニルメチル基、4−イソプロピルフェニルメチル基、4−イソブチルフェニルメチル基、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
これらのうち、R1〜R4としては、水素原子、メチル基、フェニル基等が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(1)中、R5及びR6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。ただし、R5及びR6の少なくとも一方は、アルキル基又はアリール基である。前記アルキル基及びアリール基としては、上述したものと同じものが挙げられる。
5及びR6としては、一方が水素原子であり、もう一方がフェニル基であることが好ましい。また、R5及びR6がともにフェニル基であることも好ましい。この場合、ポリマーの有機溶媒への溶解性が向上し得る。
式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基を表す。前記アリーレン基としては、上述したアリール基から更に水素原子を1つ取り除いた基が挙げられ、具体的には、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,7−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等が挙げられる。これらのうち、Ar1及びAr2としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,7−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が好ましく、特に1,4−フェニレン基が好ましい。
式(1)で表される構造単位としては、特に下記式で表されるものが好ましい。
Figure 0006414812
(式中、R1〜R6、Ar1及びAr2は前記と同じである。)
本発明のハイパーブランチポリアミドは、ベンゼントリカルボン酸に由来するカルボン酸末端やジアミンに由来するアミン末端が末端封止化合物で封止されたものであってもよい。カルボン酸末端を封止する末端封止化合物としては、アニリン等のアミン化合物が挙げられる。アミン末端を封止する末端封止化合物としては、塩化ベイゾイル、塩化アセチル、無水酢酸、無水フタル酸等が挙げられる。
本発明のハイパーブランチポリアミドの数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましいが、より耐熱性を向上させるという点から、2,000以上がより好ましく、より溶解性を高め、得られた溶液の粘度を低下させるという点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
[ハイパーブランチポリアミドの製造方法]
本発明のハイパーブランチポリアミドは、例えば、下記スキーム1に示されるように、式(2)で表されるベンゼントリカルボン酸と式(3)で表されるジアミンとを、トリアジン系縮合剤4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)を用いて、適当な有機溶媒中で直接重縮合させて得ることができる。
Figure 0006414812
(式中、R1〜R6、Ar1及びAr2は前記と同じである。)
式(2)で表されるベンゼントリカルボン酸としては、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸等が挙げられ、特に1,3,5−ベンゼントリカルボン酸が好ましい。
式(3)で表されるジアミンとしては、特に下記式で表されるもの等が好ましい。
Figure 0006414812
スキーム1の製法において、各モノマーの仕込み量は、目的とするポリマーが得られる限りにおいて任意であるが、ベンゼントリカルボン酸1当量に対し、ジアミン化合物が0.01〜10当量であることが好ましく、0.1〜5当量であることがより好ましい。DMT−MMの使用量は、ベンゼントリカルボン酸1当量に対し、0.1〜10当量であることが好ましく、1〜5当量であることがより好ましい。
前記有機溶媒としては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピペリドン、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N',N'−テトラメチルマロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレン尿素等のアミド系溶媒、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。中でもN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びこれらの混合溶媒が好ましく、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好適である。
前記重合反応において、反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−50〜150℃程度が好ましく、−30〜100℃がより好ましく、−30〜50℃がより一層好ましい。また、反応時間は、0.1〜100時間が好ましく、0.1〜10時間がより好ましい。
前記反応では、通常用いられる種々の塩基を用いることができる。この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。塩基の添加量は、ベンゼントリカルボン酸1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
反応終了後、生成物は再沈法等の常法に従って容易に精製できる。
また、本発明のハイパーブランチポリアミドは、下記スキーム2に示されるように、式(2')で表されるベンゼントリカルボン酸トリハライド、及び式(3)で表されるジアミン化合物を、適当な有機溶媒中で重縮合させて得ることもできる。
Figure 0006414812
式中、R1〜R6、Ar1及びAr2は前記と同じである。Xは、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられるが、特に塩素原子又は臭素原子が好ましい。
式(2’)で表されるベンゼントリカルボン酸トリハライドとしては、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリクロリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリブロミド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリブロミド等が挙げられ、特に1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリクロリドが好ましい。
スキーム2の製法において、各モノマーの仕込み量は、目的とするポリマーが得られる限りにおいて任意であるが、ベンゼントリカルボン酸トリハライド1当量に対し、ジアミン化合物が0.01〜10当量であることが好ましく、0.1〜5当量であることがより好ましい。
使用する溶媒や塩基、反応温度、反応時間は、スキーム1の反応と同じものを採用することができる。
ハイパーブランチポリアミドのカルボン酸末端やアミン末端を封止する場合は、ハイパーブランチポリアミドを合成した後、更に末端封止化合物を添加して反応させればよい。末端封止化合物の仕込み量は、特に限定されないが、得られるハイパーブランチポリアミドの溶解性を向上させることを考慮すると、出発原料として用いたベンゼントリカルボン酸又はその誘導体1当量に対し、0.01〜10当量が好ましく、0.1〜5当量がより好ましい。
末端を封止する際の反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−50〜150℃程度が好ましく、−30〜100℃がより好ましく、−30〜50℃がより一層好ましい。また、反応時間は、通常、0.1〜100時間である。
[膜形成用組成物]
本発明のハイパーブランチポリアミドは、有機溶媒に対する溶解性に優れているため、各種の溶剤に溶かした膜形成用組成物(ポリマーワニスともいう。)として好適に使用できる。
ハイパーブランチポリアミドを溶解するのに用いる溶剤は、重合時に用いた溶媒と同じものでも別のものでもよい。ポリマーの溶解性及び保存安定性を考慮すると、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が好適である。これらの溶媒は、1種単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
この際、膜形成組成物中の固形分濃度は、保存安定性に影響を与えない範囲であれば特に限定されず、目的とする膜の厚みに応じて適宜設定すればよい。具体的には、溶解性及び保存安定性の観点から、固形分濃度0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%である。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ハイパーブランチポリアミド及び溶剤以外のその他の成分、例えば、レベリング剤、界面活性剤、架橋剤等が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(登録商標)F171、F173、R−08、R−30(DIC(株)製)、FLUORAD(登録商標)FC430、FC431(スリーエム社製)、アサヒガード(登録商標)AG710(旭硝子(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用しても2種以上組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の使用量は、ハイパーブランチポリアミド100質量部に対して0.0001〜5質量部が好ましく、0.001〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がより一層好ましい。
架橋剤としては、本発明のハイパーブランチポリアミドと反応し得る置換基を有する化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、メチロール基、メトキシメチル基等の架橋形成置換基を有するメラミン系化合物、置換尿素系化合物、エポキシ基又はオキセタン基等の架橋形成置換基を含有する化合物、ブロック化イソシアナートを含有する化合物、酸無水物を有する化合物等が挙げられるが、耐熱性や保存安定性の観点からエポキシ基又はオキセタン基を含有する化合物が好ましい。なお、これらの化合物は、ハイパーブランチポリアミドの末端処理に用いる場合は少なくとも1個の架橋形成置換基を有していればよく、ハイパーブランチポリアミド同士の架橋処理に用いる場合は少なくとも2個の架橋形成置換基を有する必要がある。
架橋剤の具体例としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4'−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、市販品として、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である、YH−434、YH−434L(新日鉄住金化学(株)製)、シクロヘキセンオキサイド構造を有するエポキシ樹脂である、エポリードGT−401、GT−403、GT−301、GT−302、セロキサイド2021、3000((株)ダイセル製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、jER(登録商標)1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、828(三菱化学(株)製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である、jER(登録商標)807(三菱化学(株)製)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である、jER(登録商標)152、154(三菱化学(株)製)、EPPN201、202(以上、日本化薬(株)製)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である、EOCN−102、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027(日本化薬(株)製)、jER(登録商標)180S75(三菱化学(株)製)、脂環式エポキシ樹脂である、デナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)、アラルダイト(登録商標)CY175、CY177、CY179、CY−182、CY−192、CY−184(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、エピクロン200、400(DIC(株)製)、jER(登録商標)871、872(三菱化学(株)製)、ED−5661、ED−5662(セラニーズコーティング(株)製)、脂肪族ポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−622、EX−411、EX−512、EX−522、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321(ナガセケムテックス(株)製)等を用いることもできる。
また、酸無水物化合物の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸等の分子内に1個の酸無水物基を有するもの;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の分子内に2個の酸無水物基を有するもの等が挙げられる。
これらの架橋剤は1種単独で使用しても2種以上組み合わせて使用してもよい。架橋剤の使用量は、ハイパーブランチポリアミド100質量部に対して、好ましくは0.0001〜20質量部、より好ましくは0.001〜10質量部の範囲である。架橋剤を用いることで、架橋剤とハイパーブランチポリアミドが有する反応性の末端置換基とが反応し、膜密度の向上、耐熱性の向上、熱緩和能力の向上等の効果を発現できる場合がある。なお、前記その他の成分は、ハイパーブランチポリアミドと溶剤との混合と同時に添加しても、その後に添加してもよく、特に限定されない。
本発明の膜形成用組成物は、基材に塗布し、その後、必要に応じて加熱することで所望の膜を形成することができる。組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。
また、基材としては、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができ、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることもできる。
焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では特に限定されないが、例えば40〜400℃で行うことができる。これらの場合、より高い均一製膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で2段階以上の温度変化をつけてもよい。
焼成方法としては、特に限定されず、例えば、ホットプレートやオーブンを用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空中等の適切な雰囲気下で蒸発させればよい。
焼成温度及び焼成時間は、目的とする電子デバイスのプロセス工程に適合した条件を選択すればよく、得られる膜の物性値が電子デバイスの要求特性に適合するような焼成条件を選択すればよい。
このようにして得られた本発明のハイパーブランチポリアミドからなる膜は、それ単独で、高耐熱性、高透明性及び高屈折率等を達成できるため、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)等の電子デバイスを作製する際の一部材として好適に利用できる。
以下、合成例及び実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。なお、使用した装置は、以下のとおりである。
(1)1H−NMR、13C−NMR:BRUKER社製DRX400
(2)FT−IR:日本分光(株)製FT/IR-4200 type A
(3)元素分析:ヤナコテクニカルサイエンス(株)製MT-6 CHN CORDER
(4)GPC:東ソー(株)製高速GPCシステムHLC-8220GPC(カラム:東ソーTSK-GEL(α−M)、カラム温度:45℃、検出器:UV-8020、波長254nm、溶離液:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(0.01mol/L臭化リチウムを含む。)、検量線:標準ポリスチレン、カラム流速:0.2mL/min)
(5)示差走査熱量測定(DSC):(株)日立ハイテクサイエンス製X-DSC 7000
(6)熱重量分析(TG/DTA):(株)日立ハイテクサイエンス製TG/DTA 7300
(7)紫外可視分光光度計:(株)島津製作所製UV-1800
(8)屈折率測定:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製多入射角分光エリプソメーターVASE
[1]原料の合成
[合成例1]6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリド(AnTDC)の合成
Figure 0006414812
側管付き滴下ロート、温度計、窒素導入管及び攪拌子を取り付けた1,000mLの三口フラスコに、塩化シアヌル56.16g(0.305mol)とテトラヒドロフラン(THF)200mLを入れ、氷浴上で0℃に冷却しながら攪拌して完全に溶解させた。この溶液にアニリン28.16g(0.302mol)を溶解させたTHF200mLを温度の上昇に気をつけながらゆっくり滴下し、滴下終了後、0℃で2時間攪拌し反応させた。その後、この溶液に炭酸ナトリウム19.36g(0.183mol)を蒸留水100mLに溶解させた水溶液を温度の上昇に気をつけながらゆっくり滴下し、滴下終了後、0℃で2時間攪拌し反応させた。
反応終了後、反応混合物を分液ロートに移し、飽和食塩水500mLで3回洗浄した。有機相を1,000mLの三角フラスコに移し、無水硫酸ナトリウムを加え、一晩脱水させた。自然ろ過により硫酸ナトリウムを取り除き、ろ液(THF)をエバポレーターにより留去した。80℃で12時間減圧乾燥し、粗生成物を淡黄色固体として得た。
粗生成物をトルエン/ヘキサン混合溶媒(トルエン/ヘキサン=2/1)を用いて再結晶を行い、得られた結晶を80℃で12時間減圧乾燥することで、淡黄色固体のAnTDCを得た(収量:56.1g、収率:77%)。融点は134℃であった。1H−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, ppm ) : δ 7.19(t, 1H, Ar-H), 7.40(t, 2H, Ar-H), 7.60(d, 2H, Ar-H), 11.13(s, 1H, NH).
13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6, ppm): δ 121.0, 125.8, 129.2, 135.6, 164.0, 170.1, 171.3.
FT-IR (KBr, cm-1): 3371(N-H), 1604(C=C), 1556 (C=N), 1221(C-N).
[合成例2]6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリド(PTDC)の合成
Figure 0006414812
温度計、攪拌子、側管付き滴下ロート及び窒素導入管を取り付けた500mLの三つ口フラスコに、THF250mL、塩化シアヌル55.32g(0.30mol)を入れ完全に溶解させた。氷浴で0℃に冷却し、窒素気流下で、ジフェニルアミン50.76g(0.30mol)をTHF100mLに溶解させた溶液と、トリエチルアミン(TEA)30.32g(0.30mol)とをゆっくり滴下し、滴下終了後、温度を保ちながら2時間攪拌した。その後、室温で24時間反応させた。
反応終了後、反応混合物を吸引ろ過しトリエチルアミン塩酸塩を取り除いた後、ろ液からTHFをエバポレーターで除去した。淡黄色固体をトルエン300mLに溶解させ、蒸留水500mLを用いて3回洗浄した。この有機層を500mLの三角フラスコに移し、無水硫酸ナトリウムで一晩かけて脱水した。ろ過により硫酸ナトリウムを除去した後、エバポレーターによりトルエンを留去し、淡黄色の粗結晶を得た。
粗生成物をトルエン/ヘキサン混合溶媒(トルエン/ヘキサン=2/1)で再結晶を行い、得られた結晶を80℃で12時間減圧乾燥させることで淡黄色固体のPTDCを得た(収量:28.5g、収率:30%)。融点は176℃であった。1H−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,TMS, ppm): δ 7.27(d, 4H, o-Ar-H), 7.32(t, 2H, p-Ar-H), 7.42(t, 4H, m-Ar-H).
13C-NMR (101 MHz, CDCl3, TMS, ppm): δ 127.0, 127.4, 129.3, 141.4, 165.7, 170.4.
FT-IR (KBr, cm-1): 3051(Ar-H), 1550(C=N), 1497(C=C), 1200(C-N).
[合成例3]2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アニリノ−1,3,5−トリアジン(ATDA)の合成
Figure 0006414812
側管付き滴下ロート、ジムロート冷却管、窒素導入管及び攪拌子を備えた1000mLの三口フラスコに、1,4−ジオキサン200mL、炭酸ナトリウム6.36g(0.060mol)、及びp−フェニレンジアミン64.88g(0.600mol)を加え、1,4−ジオキサン還流温度で攪拌し溶解させた。そこに、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリド(AnTDC)14.46g(0.060mol)を1,4−ジオキサン200mLに溶解させた溶液を、還流させた溶液に5時間かけて滴下した。その後、還流温度のままで24時間攪拌し続けた。
反応混合物を3Lの熱水(70℃程度)で4回、蒸留水で2回洗浄した。反応混合物をろ過により回収した後、アセトン500mLに溶解し、活性炭をスパチュラで1杯加え、還流温度で30分攪拌して脱色し、不溶分をろ過した。ろ液のアセトンをエバポレーターにより留去し、95℃で一晩減圧乾燥した。
粗生成物を1,4−ジオキサン/ヘキサンの混合溶媒(1,4−ジオキサン/ヘキサン=5/1)を用いて2回再結晶を行い精製した。得られた粉末を80℃で3時間減圧乾燥し、更に粉末を十分に砕いてから170℃で6時間減圧乾燥することで、淡褐色固体のATDAを得た(収量:18.5g、収率:80%)。ATDAの融点は224℃であった。1H−NMR、13C−NMR、FT−IR及び元素分析の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6,TMS, ppm): δ 4.79(s, 4H, NH2), 6.51(d, 4H, Ar-H), 6.93(t, 1H, Ar-H), 7.22(t, 2H, Ar-H), 7.33(d, 4H, Ar-H), 7.78(d, 2H, Ar-H), 8.64(s, 2H, NH), 8.95(s, 1H, NH).
13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6,TMS, ppm ): δ 113.7, 120.2, 121.4, 122.6, 128.2, 129.0, 140.4, 144.1, 164.0, 164.2.
FT-IR (KBr, cm-1): 3391(N-H), 1624(C=C), 1578(C=N), 1519(C=C).
元素分析: Calcd. for C21H20N8 : C, 65.61%; H, 5.24%; N, 29.15%. found: C, 65.63%; H, 5.38%; N, 28.97%.
[合成例4]2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン(PTDA)の合成
Figure 0006414812
側管付き滴下ロート、ジムロート冷却管、窒素導入管及び攪拌子を備えた500mLの三口フラスコに1,4−ジオキサン200mL、炭酸ナトリウム8.90g(0.080mol)、p−フェニレンジアミン34.62g(0.32mol)を加え、1,4−ジオキサン還流温度で攪拌し溶解させた。そこに、6−ジフェニルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリド(PTDC)12.69g(0.040mol)を溶解させた1,4−ジオキサン100mLに溶解させた溶液を、還流させた溶液に5時間かけて滴下した。その後、還流温度のままで24時間攪拌し続けた。
反応溶液を3Lの熱水に落とし、析出物を吸引ろ過により回収し、ろ液が無色透明になるまで数回熱水で洗浄した。その後、析出物を減圧乾燥し、水を除去した。
1,4−ジオキサン単一溶媒で再結晶を行って析出物を精製し、得られた粉末を80℃で3時間減圧乾燥し、更に粉末を十分に砕いてから150℃で6時間、180℃で2時間、210℃で1時間減圧乾燥することで、淡褐色固体のPTDAを得た(収量:13.3g、収率:72%)。PTDAの融点は261℃であった。1H−NMR、13C−NMR、FT−IR及び元素分析の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, ppm): δ 4.67(s, 4H, NH2), 6.32(d, 4H, Ar-H), 7.07-7.41(m, 14H, Ar-H), 8.58(s, 2H, NH).
13C-NMR (101 MHz, DMSO-d6, ppm): δ 113.5, 121.2, 125.2, 128.1, 128.5, 129.2, 143.2, 144.0, 163.5, 166.0.
FT-IR (KBr, cm-1): 3410(N-H), 1615(C=C), 1577(C=N), 1504(C=C).
元素分析:Calcd. for C27H24N8 : C, 70.42%; H, 5.25%; N, 24.33%. found: C, 70.56%; H, 5.35%; N, 24.41%.
[合成例5]2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT)の合成
Figure 0006414812
攪拌子、温度計、窒素導入管及びジムロート冷却管を備えた500mLの三口フラスコに、炭酸水素ナトリウム44.2g(0.525mol)及びメタノール160mLを入れ0℃に冷却した。そこへ塩化シアヌル46.1g(0.25mol)を加え、0℃で5分間攪拌した。その後、20℃に昇温し水浴で1時間、更に60℃で3.5時間攪拌した。
水浴で室温まで冷却し、反応溶液を500mLのナスフラスコに移し、エバポレーターにてメタノールを留去した。ナスフラスコ中の白色固体を酢酸エチル200mLに溶解させ、1Lの分液ロートに移し、水400mLで3回洗浄を行った。有機相を300mLの三角フラスコに入れ、有機相を無水硫酸ナトリウムで一晩脱水した後、自然ろ過にて硫酸ナトリウムを除去し、酢酸エチルをエバポレーターにて留去した。
得られた粗生成物をヘキサンで再結晶し、室温で6時間減圧乾燥して白色固体であるCDMTを得た(収量:37.0g、収率:84%)。1H−NMR、13C−NMR、FT−IR及び元素分析の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3-d, ppm):δ 4.06(s, 6H, OCH3).
13C-NMR (101 MHz, CDCl3-d, ppm):δ 56.0(OCH3), 172.5(N=C-O), 172.6(N=C-Cl).
FT-IR (KBr, cm-1): 2949(C-H), 1560 (C=N), 1363(N-C), 808(C-Cl).
元素分析: Calcd. for(C5H6ClN3O2);C 34.20%, H 3.44%, N 23.93, found;C 34.03%, H 3.52%, N 23.61%.
[合成例6]4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)の合成
Figure 0006414812
300mLのナスフラスコに攪拌子と2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン10.0g(57.0mmol)を入れ、THF(160mL)に溶解した。ここにN−メチルモルホリン5.24g(51.8mmol)を加え室温で30分攪拌した。
反応溶液中に析出した沈殿物を吸引濾過にて回収し、室温で1時間減圧乾燥することでDMT−MMの粗生成物を無色固体として得た。
メタノール/ジエチルエーテル混合溶媒(メタノール/ジエチルエーテル=1/3)で再結晶を行って粗生成物を精製し、室温で一晩減圧乾燥することで、無色固体のDMT−MMを得た(収量:7.89g、収率:50%)。DMT−MMの融点は115〜116℃であった。1H−NMR、FT−IR及び元素分析の測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, MeOD-d4, TMS, ppm): 3.53(s, 3H), 3.81-3.93(m, 4H), 4.06(m, 2H), 4.18(s, 6H), 4.53(m, 2H)
FT-IR (KBr, cm-1): 2987(C-H), 1540(C=N), 1376(N-C), 1131(C-O).
元素分析: Calcd. for C10H17ClN4 O3: C, 43.40%; H, 6.19%; N, 20.25%. found: C, 43.12%; H, 6.20%; N, 20.08%.
[2]ハイパーブランチポリアミドの合成
[実施例1]カルボン酸末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Cの合成
Figure 0006414812
攪拌子、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより乾燥し、トリメシン酸(TMA)0.210g(1.0mmol)、NMP30mL、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却し、DMT−MM0.830g(3.3mmol)を加え30分間活性化を行った。その後、20mLのNMPに溶解させたATDA0.384g(1.0mmol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を500mLの酸性に調整したメタノール(pH5)に投入し、吸引ろ過により沈殿物を回収した。回収した沈殿物を300mLのメタノールで中性になるまで洗浄後、室温で一晩減圧乾燥を行った。乾燥後、4mLのNMPに溶解させ、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引ろ過で回収し、室温で一晩減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のカルボン酸末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−C(収量:0.402g、収率:72%)を得た。1H−NMR測定の結果、HBPAの分岐度は0.5程度であった。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3283(N-H), 3061(Ar-H), 1663(C=O, amido group), 1542(C=N), 1508(C=C), 1406(N-C).
GPC: Mn=7,500、Mw=35,000、Mw/Mn=4.7
[実施例2]カルボン酸末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Cの合成
Figure 0006414812
ATDAの代わりにPTDA0.461g(1.0mmol)を用いた以外は、合成例1と同じ方法で、淡黄色粉末のカルボン酸末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Cを得た(収量:0.317g、収率:50%)。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3283(N-H), 3061(Ar-H), 1663(C=O, amido group), 1543(C=N), 1509(C=C), 1406(N-C).
GPC: Mn=10,000、Mw=97,00、Mw/Mn=9.3
[実施例3]アニリン末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Anの合成
Figure 0006414812
攪拌子、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより乾燥し、TMA0.210g(1.0mmol)、NMP30mL、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却し、DMT−MM0.830g(3.3mmol)を加え30分間活性化を行った。その後、20mLのNMPに溶解させたATDA0.384g(1.0mmol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、得られた溶液にアニリン0.279g(3.0mmol)を加えて、更に0℃で3時間反応させた。
反応溶液を500mLのメタノールに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で一晩減圧乾燥を行った。乾燥後、ポリマーを4mLのNMPに溶解し、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で一晩減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のアニリン末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−An(収量:0.323g、収率:51%)を得た。1H−NMR測定により末端封止が完了していることを確認した。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3287(N-H), 3060(Ar-H), 1660(C=O, amido group), 1549(C=N), 1514(C=C), 1411(N-C).
GPC: Mn=23,000、Mw=67,000、Mw/Mn=3.0
[実施例4]アニリン末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Anの合成
Figure 0006414812
攪拌子、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより乾燥し、TMA0.210g(1.0mmol)、30mLのNMP、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却し、DMT−MM0.830g(3.3mmol)を加え30分間活性化を行った。その後、20mLのNMPに溶解させたPTDA0.461g(1.0mmol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、得られた溶液にアニリン0.279g(3.0mmol)を加えて、更に0℃で3時間反応させた。
反応溶液を500mLのメタノールに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で一晩減圧乾燥を行った。乾燥後、ポリマーを4mLのNMPに溶解し、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で一晩減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のアニリン末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Anを得た(収量:0.440g、収率:62%)。1H−NMR測定により末端封止が完了していることを確認した。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3304(N-H), 3060(Ar-H), 1665(C=O, amido group), 1548(C=N), 1511(C=C), 1407(N-C).
GPC: Mn=26,000、Mw=99,000、Mw/Mn=3.8
[実施例5]アミン末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Amの合成
Figure 0006414812
攪拌子及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより脱気し、TMA0.210g(1.0mmol)、ATDA0.769g(2.0mmol)、NMP50mL、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却した。その後、DMT−MM0.277g(1.1mmol)を加え30分間攪拌し、更にこの操作を2回繰り返し、3.3mmolのDMT−MMを加えた。添加後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、少量のアンモニア水(5mL)により塩基性に調製した500mLのメタノールに投入し、沈殿物を吸引ろ過により回収した。更に、沈殿物を400mLのメタノールで洗浄後、中性であることを確認し、室温で12時間減圧乾燥を行った。乾燥後、前記沈殿物を5mLのNMPに溶解させ、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引ろ過で回収し、室温で12時間減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のアミン末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Amを得た(収量:0.540g、収率:58%)。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3397(N-H), 1659(C=O, amido group), 1559(C=N), 1515(C=C), 1415(N-C).
GPC: Mn=10,000、Mw=21,000、Mw/Mn=2.1
[実施例6]アミン末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Amの合成
Figure 0006414812
ATDAの代わりにPTDA0.921g(2.0mmol)を用いた以外は、実施例5と同じ方法で、淡黄色粉末のアミン末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Amを得た(収量:0.756g、収率:70%)。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3397(N-H), 3052(Ar-H), 1655(C=O, amido group), 1552(C=N), 1510(C=C), 1408(N-C).
GPC:Mn=8,000、Mw=22,000、Mw/Mn=2.6
[実施例7]ベンゾイル基末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Bの合成
Figure 0006414812
攪拌子及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより脱気し、TMA0.210g(1.0mmol)、ATDA0.769g(2.0mmol)、50mLのNMP、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却した。その後、DMT−MM0.277g(1.1mmol)を加え30分間攪拌し、更にこの操作を2回繰り返し、3.3mmolのDMT−MMを加えた。添加後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、得られた溶液に塩化ベンゾイル0.422g(3.0mmol)を加えて、更に0℃で3時間反応させた。
反応溶液を500mLのメタノールに投入し、ポリマーを析出させた。吸引濾過でポリマーを回収し、室温で12時間減圧乾燥を行った。乾燥後、回収したポリマーを4mLのNMPに溶解し、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で12時間減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のベンゾイル基末端ハイパーブランチポリアミドAHBPA−Bを得た(収量:0.889g、収率:86%)。1H−NMR測定により、末端封止が完了していることを確認した。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3399(N-H), 3064(Ar-H), 1656(C=O, amido group), 1555(C=N), 1515(C=C), 1415(N-C).
GPC: Mn=11,000、Mw=24,000、Mw/Mn=2.2
[実施例8]ベンゾイル基末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Bの合成
Figure 0006414812
攪拌子及び窒素導入管を取り付けた50mLの二口フラスコを窒素気流下でヒートガンにより脱気し、TMA0.210g(1.0mmol)、PTDA0.921g(2.0mmol)、50mLのNMP、及びTEA0.304g(3.0mmol)を加え、完全に溶解させた後0℃に冷却した。その後、DMT−MM0.277g(1.1mmol)を加え30分間攪拌し、更にこの操作を2回繰り返し、3.3mmolのDMT−MMを加えた。添加後、0℃で6時間反応させた。
反応終了後、得られた溶液に塩化ベンゾイル0.422g(3.0mmol)を加えて、更に0℃で3時間反応させた。
反応溶液を500mLのメタノールに投入し、ポリマーを析出させた。ポリマーを吸引濾過で回収し、室温で12時間減圧乾燥を行った。乾燥後、ポリマーを4mLのNMPに溶解し、メタノールで再沈殿を行った。析出したポリマーを吸引濾過で回収し、室温で12時間減圧乾燥を行うことで、淡黄色粉末のベンゾイル基末端ハイパーブランチポリアミドPHBPA−Bを得た(収量:0.749g、収率:63%)。1H−NMR測定により、末端封止が完了していることを確認した。FT−IR及びGPCの測定結果を以下に示す。
FT-IR(KBr, cm-1): 3397(N-H), 3060(Ar-H), 1653(C=O, amido group), 1551(C=N), 1513(C=C), 1408(N-C).
GPC: Mn=10,000、Mw=26,000、Mw/Mn=2.7
[3]溶解試験
実施例1〜8で得られたポリマー(10mg)に5mLの各下記溶媒を加え、24時間室温で放置し、溶解しているかを目視にて確認した。また、室温で溶解しなかったものにつき、60℃になるまで加熱して、溶解するかを確認した。溶媒は精製せずに購入したものをそのまま使用した。結果を表1に示す。なお、用いた溶媒は以下のとおりである。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)
γ−ブチロラクトン(γ−BL)
テトラヒドロフラン(THF)
シクロペンタノン(CPN)
シクロヘキサノン(CHN)
Figure 0006414812
++:室温で溶解した。+:加熱により溶解した。−:不溶。
表1の結果から、特にPHBPA−An及びPHBPA−Bは、THF、CPN、CHN等にも優れた溶解性を示すことがわかった。これは、ジフェニルアミノ基による嵩高い置換基を導入したこと及びハイパーブランチ構造によるものと考えられる。
[4]熱重量分析
実施例3〜8で得られたポリマーのガラス転移温度(Tg)を、DSCを用いて昇温速度20℃/minで測定した。また、各ポリマーの5%重量減少温度(Td5)、10%重量減少温度(Td10)を、TG/DTAを用いて、昇温速度10℃/min(空気下又は窒素気流下)で測定した。更に、窒素気流下、800℃における各ポリマーの炭化率(Char Yield)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006414812
表2に示したように、これらのポリマーのTgは264〜303℃となり、高い値を示した。これは、ハイパーブランチ構造の方が分子間水素結合を形成しやすいためと推測される。得られたポリマーの空気中でのTd5は、341〜427℃であり、窒素中でのTd5は381〜441℃であった。また、得られたポリマーの空気中でのTd10は410〜461℃であり、窒素中でのTd10は426〜464℃であった。つまり、本発明のポリマーは、高い耐熱性を示した。
[5]光透過測定
実施例1〜8で得られた各ポリマー0.25gを蒸留したDMAc1gに溶解させて、20wt%のポリマーワニスを調製した。これを石英板に塗布して、50℃で1時間、100℃で12時間減圧乾燥させて、下記表3に示す膜厚のサンプルを作製した。各サンプルのカットオフ波長(λcutoff)及び80%透過波長(λ80%)を紫外可視分光光度計を用いて測定した。また、実施例3、4のポリアミドを用いて作製したサンプルのF線(486nm)、D線(587nm)及びC線(656nm)における屈折率(nF、nD、nC)を測定し、また、アッベ数(ν)を算出した。結果を表3に示す。
Figure 0006414812
表3に示したように、本発明のポリマーのカットオフ波長は375〜387nmとなり、ポリマーは透明で淡黄色を示した。また、実施例3及び4のポリマーの屈折率は、F線でそれぞれ1.87及び1.83、D線でそれぞれ1.82及び1.78、C線でそれぞれ1.80及び1.77と非常に高い値であった。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される構造単位を含有することを特徴とするハイパーブランチポリアミド。
    Figure 0006414812
    [式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し;
    5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又はアリール基を表し(ただし、R5及びR6の少なくとも一方は、アリール基である。);
    Ar1及びAr2は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基を表す。]
  2. Ar1及びAr2がフェニレン基である請求項1記載のハイパーブランチポリアミド。
  3. 1〜R4が、水素原子である請求項1又は2のハイパーブランチポリアミド。
  4. 5が水素原子であり、R6がフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項記載のハイパーブランチポリアミド。
  5. 5及びR6がともにフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項記載のハイパーブランチポリアミド。
  6. ベンゼントリカルボン酸末端又はジアミン末端が、末端封止化合物によって封止されている請求項1〜5のいずれか1項記載のハイパーブランチポリアミド。
  7. 末端封止化合物が、アニリン又は塩化ベンゾイルである請求項6記載のハイパーブランチポリアミド。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のハイパーブランチポリアミドを含む膜形成用組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載のハイパーブランチポリアミドを含む膜。
  10. 基材と、この基材上に形成された請求項9記載の膜とを備える電子デバイス。
  11. 基材と、この基材上に形成された請求項9記載の膜とを備える光学部材。
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