以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−全体構成−
図1は、本実施形態に係る車両用エンジンの吸気装置が搭載されたエンジンの正面図である。このエンジン1は、ディーゼルエンジンであり、列状に配置された4つの気筒11a,11b,11c,11d(図2参照)が設けられたシリンダブロック1cと、シリンダブロック1cの下部に設けられたオイルパン1dと、シリンダブロック1cの上面部に組付けられたシリンダヘッド1bと、シリンダヘッド1bの上面周縁部に組付けられたヘッドカバー1aと、を備えた構造とされている。そうして、このエンジン1は、フロントエンジン・フロントドライブタイプの車両に搭載されるものであり、4つの気筒11a,11b,11c,11dが車幅方向に配列されるようにエンジンルーム内に配設される、所謂、直列4気筒の横置きエンジンである。
これにより、本実施形態では、4つの気筒11a,11b,11c,11dの配列方向であるエンジン前後方向が車幅方向と略一致するとともに、エンジン幅方向が車両前後方向と略一致している。以下、特に断らない限り、前側とはエンジン幅方向一方側(車両前後方向前側)を、後側とはエンジン幅方向他方側(車両前後方向後側)を、左側とはエンジン前後方向一方側(車幅方向左側)を、右側とはエンジン前後方向他方側(車幅方向右側)を指す。
また、このエンジン1は、前側に吸気系(吸気装置3)が接続される一方、後側に排気系が接続された、所謂、前方吸気後方排気のエンジンとなっている。そうして、本実施形態のエンジン1における吸気側(エンジン幅方向一方側)の外面には、吸気系の他にも、電気系統で使用する交流電流を発生させるオルタネータ41、ウォータポンプ51、空調用のエアコンプレッサ61、始動時において完爆に至るまでエンジン1を駆動させるスタータモータ71等の補機が設けられている。
本実施形態の吸気装置3は、エンジン1の吸気側の外面におけるオルタネータ41の左隣に配置されている吸気マニホールド5と、当該吸気マニホールド5に組み合わせられたインタークーラ7と、当該吸気マニホールド5の上流側に設けられる吸気制御弁ユニット9と、を備えており、当該吸気制御弁ユニット9の上流側には吸気ダクト63が接続されている。
そうして、吸気系全体としては、図2に示すように、不図示のエアダクトに接続されたエアクリーナー81と過給機(ターボチャージャー)91のコンプレッサ室(図示せず)とが吸気ダクト53によって接続され、過給機91と吸気制御弁ユニット9のスロットルボディ19とが吸気ダクト63によって接続され、吸気制御弁ユニット9のスロットルボディ19とインタークーラ7が組み合わされた吸気マニホールド5とが接続され、後述する吸気マニホールド5の下流分岐管部15とエンジン1の各気筒11a,11b,11c,11dに形成された吸気ポート21とが接続され、エンジン1の各気筒11a,11b,11c,11dに形成された排気ポート31と過給機91のタービン室(図示せず)とが接続されているとともに、吸気ダクト53と排気ダクト73とが、EGRクーラ83aが設けられた還流通路83によって接続され、吸気マニホールド5と排気ポート31とが、EGR弁93aが設けられたEGRガス導入管93によって接続されている。
これにより、本実施形態の吸気系では、エアクリーナー81で浄化された新気と、排気ダクト73から還流されてEGRクーラ83aで冷却されたEGRガスとが吸気ダクト53で混合され、かかる混合ガス(吸入空気)が、過給機91のコンプレッサ室に供給されて圧縮される。圧縮された高温の吸入空気は、吸気ダクト63を通って吸気制御弁ユニット9に至り、スロットルボディ19を通過して、吸気マニホールド5に供給される。吸気マニホールド5内でインタークーラ7によって冷却された吸入空気は、排気ポート31から排出されてEGRガス導入管93によって吸気マニホールド5に導入される排気ガスの一部とさらに混合された後、各吸気ポート21に分配供給される。そうして、燃焼した吸入空気は排気ガスとなり、その一部がEGRガス導入管93を通って吸気マニホールド5に導入される一方、残部は過給機91のタービン室に供給されて不図示のタービンを回転させた後、排気ダクト73を通って排出される。
−吸気装置−
次に、吸気装置3を構成する各部について説明する。図3は、吸気装置の正面図であり、図4は、右側から見た吸気装置の側面図であり、図5は、左側から見た吸気装置の側面図であり、図6は、吸気装置の上面図であり、図7は、吸気装置の背面図であり、図8は、図3のVIII−VIII線の矢視断面図であり、図9は、図3のIX−IX線の矢視断面図であり、図10は、図5のX−X線の矢視断面図である。この吸気装置3は、上述の如く、吸気制御弁ユニット9と、吸気マニホールド5と、インタークーラ7と、を備えている。
図11は、左側から見た吸気制御弁ユニットの側面図であり、図12は、吸気制御弁ユニットの上面図であり、図13は、吸気制御弁ユニットの背面図であり、図14は、図11のXIV−XIV線の矢視断面図であり、図15は、図11のXV−XV線の矢視断面図である。吸気制御弁ユニット9は、モータ駆動式であり、図11〜図15に示すように、吸気通路を構成する断面円形の貫通孔19aが形成された金属製のスロットルボディ(ユニット本体部)19と、吸気通路の径方向に対向するように当該スロットルボディ19に形成された弁軸支持部19b,19cによって、当該スロットルボディ19に対し回動可能に軸支されている弁軸29と、当該弁軸29に固定されていて、弁軸29の回動にともなって回動することにより吸気通路を開閉する円形状の弁体39と、正転/逆転駆動が可能な駆動モータ(図示せず)及び当該駆動モータの駆動力を弁軸29に伝達するための駆動力伝達機構部(図示せず)を金属製のハウジングに収容した駆動伝達部49と、スロットルボディ19の上流側に取り付けられる蓋部材20と、を有している。この駆動伝達部49はスロットルボディ19の前側に配置されており、吸気制御弁ユニット9の外周囲の一部を構成している。
そうして、この吸気制御弁ユニット9は、不図示のアクセルセンサや回転数センサ等の信号に基づいて、コンピュータで制御された駆動電流によって駆動モータが駆動し、かかる駆動力が駆動力伝達機構部によって弁軸29に伝達され、弁軸29に固定された弁体39が回動して吸気通路を開閉することにより、エンジン1の吸気ポート21に送り込む吸気量を制御するようになっている。
蓋部材20は、その中央部に吸入空気を通過させるための断面円形の開口部20aを有する略円環状に形成されており、10本のボルト26によってスロットルボディ19の上流側に取り付けられている一方、これらのボルト26と反対方向に突出する2本のリベット34によって吸気制御弁ユニット9の上流側の吸気ダクト63に接続されている。これにより、スロットルボディ19は、蓋部材20を介して吸気ダクト63に接続されている。
このスロットルボディ19には、図11、図14及び図15に示すように、吸気ダクト63との接続部(他の吸気系部材との接続部)に、より正確には、蓋部材20との接続部に、駆動伝達部49(駆動モータ及び駆動力伝達機構部)及び弁軸支持部19b,19cに沿うように延びる略円環状且つ断面略U字状の溝部22が形成されている。そうして、この溝部22が蓋部材20で閉じられることにより、吸気制御弁ユニット9の内部には、溝部22と蓋部材20とによって構成され、且つ、駆動伝達部49および弁軸支持部19b,19cに沿うように形成された、冷却水を流通させるための内部水路24が形成されている。なお、スロットルボディ19は鋳物であるところ、溝部22は、鋳型を抜き易くするために、図14及び図15に示すように、開放側(上流側)に向かうほど、溝幅が広がるように形成されている。
スロットルボディ19の頂壁部及び底壁部には、冷却水導入部30及び冷却水導出部32がそれぞれ接続されており、これら冷却水導入部30及び冷却水導出部32は、エンジン1の内部冷却用のエンジン冷却水を循環させるためエンジン冷却水循環系67の配管とそれぞれ接続されている。内部水路24は、これら冷却水導入部30及び冷却水導出部32と連通しており、これにより、当該内部水路24内を、エンジン冷却水が流通するようになっている。そうして、当該内部水路24に供給されたエンジン冷却水は、駆動伝達部49を冷却しながら(加えて、冷間時には両側の弁軸支持部19b,19cを暖めながら)下方に流れ、冷却水導出部32から排出されるようになっている。
吸気マニホールド5は、35%ガラス繊維強化ポリアミド66樹脂(PA66−GF35)製であり、図3〜図10に示すように、各気筒11a,11b,11c,11dに連通する下流分岐管部15と、当該下流分岐管部15の下方に位置するチャンバ部25と、当該チャンバ部25に連通する上流吸気管部35と、当該チャンバ部25と当該下流分岐管部15とを連通する中間吸気管部45と、を有していて、後述するように、11本のボルトによってエンジン1の吸気側の外面に締結固定されている。これを吸気流れで見ると、上流吸気管部35の下流側にチャンバ部25が配置され、当該チャンバ部25の下流側に中間吸気管部45が配置され、当該中間吸気管部45の下流側に下流分岐管部15が配置されている。以下、吸気マニホールド5及びこれに組み込まれているインタークーラ7について、上流側から順に説明する。
上流吸気管部35は、チャンバ部25から左側に延びていて、その左端部でスロットルボディ19と連通接続されている。見方を変えると、この上流吸気管部35は、図8に示すように、その内部通路が、スロットルボディ19の下流側端部から、エンジン1の吸気側の外面に向かって湾曲して右側に延びて、チャンバ部25における後側(エンジン1の外面側)で当該チャンバ部25に連通している。
チャンバ部25は、図8〜図10に示すように、エンジン前後方向が長手方向である略長方形状の底壁部25aと、底壁部25aの上方に当該底壁部25aと対向するように設けられた略長方形状の頂壁部25bと、底壁部25aの右側側縁部から上方に延びてその上端部が頂壁部25bの右側側縁部と接続される第1側壁部25cと、底壁部25aの左側側縁部から上方に延びてその上端部が頂壁部25bの左側側縁部と接続される第2側壁部25dと、底壁部25aの前側側縁部から前側に湾曲して上方に延びる前側竪壁部25eと、底壁部25aの後側側縁部から後側に湾曲して上方に延びる後側竪壁部25fと、前側竪壁部25eの上端部からさらに上方に延びてその上端部が頂壁部25bの前側側縁部と接続される前側延長壁部25gと、後側竪壁部25fの上端部からさらに上方に延びてその上端部が頂壁部25bの後側側縁部と接続される後側延長壁部25hと、を有している。
前側竪壁部25eは、図8に示すように、その右側側縁部が第1側壁部25cの前側側縁部と、また、その左側側縁部が第2側壁部25dの前側側縁部とそれぞれ接続されているとともに、上下方向から見て、前側に湾曲している。このように、前側竪壁部25eは、エンジン前後方向から見ても、上下方向から見ても、前側に湾曲する形状に、換言すると、底壁部25a、第1側壁部25c及び第2側壁部25dの前側側縁部、並びに、前側延長壁部25gの下端部と接続される面が前側に膨出したような形状に形成されている。なお、この前側竪壁部25eの上端部には、中間吸気管部45と接続される連通孔が形成されている。
一方、後側竪壁部25fは、図8に示すように、その右側側縁部が第1側壁部25cの後側側縁部と、また、その左側側縁部は上流吸気管部35とそれぞれ接続されているとともに、上下方向から見て、後側に湾曲している。このように、前側竪壁部25eは、エンジン前後方向から見ても、上下方向から見ても、前側に湾曲する形状に、換言すると、底壁部25a及び第1側壁部25cの後側側縁部、並びに、後側延長壁部25hの下端部と接続される面が後側に膨出したような形状に形成されている。
このように、チャンバ部25を構成することにより、当該チャンバ部25の内部には、図8〜図10に示すように、底壁部25a、頂壁部25b、第1側壁部25c、第2側壁部25d、前側竪壁部25e、後側竪壁部25f、前側延長壁部25g及び後側延長壁部25hで囲まれる空間部が形成されている。そうして、このチャンバ部25では、前側延長壁部25g及び後側延長壁部25hを設ける等により、当該チャンバ部25の中央部における上下方向の寸法を、エンジン前後方向及び幅方向の寸法に比して大きくしていることから、エンジン幅方向から見た内空断面(図10参照)が、上下方向から見た内空断面(図8参照)やエンジン前後方向から見た内空断面(図9参照)よりも大きくなっている。
また、チャンバ部25は、図7に示すように、後側竪壁部25fの下端部にそれぞれ形成された、各々ボルト挿通孔を有する2つの取付ブラケット25iと、頂壁部25bの上側に形成された、2つのボルト挿通孔を有する取付部25jとを備えている。これにより、チャンバ部25は、その下端部では取付ブラケット25iを介して2本のボルト25qにより、また、その上端部では取付部25jに挿通された2本のボルト25rにより、エンジン1の吸気側の外面に締結固定されている。なお、図中の符号25kは、チャンバ部25の剛性を高めるために形成されたリブであり、符号25lは、チャンバ部25と下流分岐管部15とを強固に接続するためリブである。
チャンバ部25の第1側壁部25c(上流吸気管部35とは反対側)には、図16に示すように、縦長な矩形開口部25mが形成されており、上記インタークーラ7は、その一部が、かかる矩形開口部25mからチャンバ部25の中に挿入されて、チャンバ部25内に形成された上記空間部に収容されるようになっている。
インタークーラ7は、水冷式インタークーラであり、図4及び図16に示すように、インタークーラ本体部17と、当該インタークーラ7に冷却水を供給するための冷却水導入管37と、当該インタークーラ7から暖められた冷却水を排出するための冷却水排出管47と、当該インタークーラ本体部17の右側側面に接続され且つ冷却水導入管37及び冷却水排出管47を支持するインタークーラ取付部27と、を備えている。なお、図中の符号57は、冷却水中に含まれる空気を抜くためのエア抜きパイプである。
インタークーラ本体部17は、直方体状に形成されているとともに、前側及び後側面(エンジン幅方向に対向する一対の面)が、最も広い面となっている。このインタークーラ本体部17は、直方体状のコア部17aと、当該コア部17aの上側に設けられたタンク部17bとを有している。なお、インタークーラ本体部17のみならず、コア部17aも、前側及び後側面が、換言すると、吸気通過面が最も広い面となっている。
コア部17aには、図16に示すように、薄板材を扁平筒形にしたウォータチューブ17eがエンジン前後方向に複数配列されている。なお、図示省略するが、各ウォータチューブ17eの外壁面には、波状のコルゲートフィンが鑞付け等により接合されており、これにより、各ウォータチューブ17eの表面積が増加して放熱効果が向上するようになっている。また、タンク部17bは、インレットタンク17cとアウトレットタンク17dとに分かれていて、これらインレットタンク17c及びアウトレットタンク17dはそれぞれウォータチューブ17eと連通している。このように、インタークーラ本体部17を構成することで、冷却水導入管37から導入された冷却水は、インレットタンク17cに収容された後、各ウォータチューブ17eに供給されて高温の吸入空気を冷却する一方、高温の吸入空気との熱交換により暖められた冷却水は、アウトレットタンク17dに収容された後、冷却水排出管47から排出される。なお、エンジン1は、エンジン冷却水を循環させるため上記エンジン冷却水循環系67と、エンジン冷却水とは別のインタークーラ冷却水をインタークーラ7に循環させるためインタークーラ冷却水循環系87と、を有しており、冷却水導入管37及び冷却水排出管47は、インタークーラ冷却水循環系87に連通している。
インタークーラ本体部17は、矩形開口部25mからチャンバ部25内に挿入されて、当該チャンバ部25内を前後(エンジン幅方向)に二分するように、当該チャンバ部25に内蔵されている。より詳しくは、矩形開口部25mから挿入されたインタークーラ本体部17は、図8〜図10に示すように、その上面と頂壁部25bの下面とが、その下面と底壁部25aの上面とが、及び、その左側側面と第2側壁部25dの内側面とが面一になるとともに、タンク部17bが前側延長壁部25gと後側延長壁部25hとの間に挟まれた状態で、チャンバ部25内に形成された空間を前後に仕切るように、当該チャンバ部25内に収容されている。これにより、前側に膨らむように形成された前側竪壁部25eと、当該インタークーラ本体部17のコア部17aの前面との間に前側空間部25nが形成されるとともに、後側に膨らむように形成された後側竪壁部25fと、当該インタークーラ本体部17のコア部17aの後面との間に、前側空間部25nと略同じ容積の後側空間部25oが形成されている。
そうして、インタークーラ7は、上記のようにインタークーラ本体部17がチャンバ部25内に収容された状態で、図4に示すように、インタークーラ取付部27を、チャンバ部25における矩形開口部25mの周縁部25pに8本のボルト25sによって締結固定することで、吸気マニホールド5に組み合わされている。なお、チャンバ部25内に収容されたインタークーラ本体部17の外面と、頂壁部25bの下面、第2側壁部25dの内面、底壁部25aの上面、及び、矩形開口部25mの内周面と、の間は、パッキン等のシール部材によってシールされていて、前側空間部25nと後側空間部25oとの間で空気が漏れないようになっているが、インタークーラ本体部17とチャンバ部25とは固定されておらず、インタークーラ7は、矩形開口部25mの周縁部25pでのみチャンバ部25に固定されている。
このように、インタークーラ7を吸気マニホールド5のチャンバ部25内に収容することによって、インタークーラ7をエンジンルームに別途配置する必要がなくなることから、本実施形態の吸気装置3によれば、インタークーラ7が吸気マニホールド5に内蔵されていないものに比して、エンジンルームの省スペース化を図ることができる。
また、チャンバ部25は、図1に示すように、その右側に隣接してオルタネータ41が設けられていることから、エンジン前後方向において寸法的に特に強い制約を受けるが、本実施形態のチャンバ部25では、上述の如く、当該チャンバ部25の中央部における上下方向の寸法を、エンジン前後方向及び幅方向の寸法に比して大きくしていることから、換言すると、寸法的な制約の小さい上下方向で広い面積を確保していることから、エンジンルームの省スペース化を図りつつ、エンジン幅方向から見て大きな内空断面を確保することができる。そうして、このようにエンジン幅方向から見て大きな内空断面を有するチャンバ部25内に、エンジン幅方向に対向する吸気通過面が最も広い面となっている直方体状のインタークーラ本体部17を内蔵することにより、本実施形態の吸気装置3では、インタークーラ7の長尺化を抑制しつつ、吸気通過面の面積を有効に確保することができる。
一方、上述の如く、金属製のスロットルボディ19を含む吸気制御弁ユニット9が吸気マニホールド5(上流吸気管部35)に取り付けられていることから、吸気制御弁ユニット9を含む吸気マニホールド5全体の重心は左側に寄ることになる。このように、重心が左側に寄った状態で、エンジン1が振動すると、それに伴って吸気マニホールド5及び吸気制御弁ユニット9も振動するが、重心のアンバランスさに起因して吸気マニホールド5が必要以上に揺れることから、かかるアンバランスさに起因する揺れの分だけ、樹脂製の吸気マニホールド5に発生する応力が大きくなり、応力が大きくなった分だけ、肉厚の増大やリブの増設といった補強が必要となる。
ここで、本実施形態のチャンバ部25では、右側に位置する第1側壁部25cに形成された矩形開口部25mの周縁部25pに、冷却水導入管37や冷却水排出管47といった内部に冷却水が含まれる重量物を支持するインタークーラ取付部27を締結固定することから、吸気マニホールド5に吸気制御弁ユニット9だけを接続する場合に比して、吸気制御弁ユニット9及びインタークーラ7を含む吸気マニホールド5全体の重心を、吸気マニホールド5自体の重心に近づけることができる。これにより、アンバランスさに起因する揺れが抑制され、抑制された揺れの分だけ補強を不要とすることができる。
続いて、中間吸気管部45について説明する。中間吸気管部45は、従来のようにサージタンクと複数の気筒とを複数の吸気分岐管で接続するものとは異なり、チャンバ部25の前側空間部25nと下流分岐管部15とを接続する単一通路を構成するものである。この中間吸気管部45は、図3〜図5及び図9に示すように、チャンバ部25の前側竪壁部25eの上端部から、前側(エンジン幅方向外側)に湾曲して上方に延びて、後述する下流分岐管部15の分岐管本体部15aに接続されている。これにより、中間吸気管部45には、前側に湾曲して上下方向に延びる、断面円形の内部通路45aが形成されており、かかる内部通路45aを介して、チャンバ部25の前側空間部25nと後述する下流分岐管部15の集合部15cとが連通されている。このように、前側に湾曲して上下方向に延びる内部通路45aを形成することにより、インタークーラ本体部17を通過した吸入空気は、図9に示すように、前側竪壁部25eの内側面に衝突した後、主として内部通路45aの外周円側の面に沿うように、当該内部通路45aを上昇する。
また、この中間吸気管部45は、図4及び図5に示すように、当該中間吸気管部45の後側半分を構成する、チャンバ部25及び下流分岐管部15と一体に形成された内側壁部55と、当該中間吸気管部45の前側半分を構成する、チャンバ部25及び下流分岐管部15と別体に形成された外側壁部65と、を有する分割構造となっており、内側壁部55に形成されたフランジ部55aと外側壁部65に形成されたフランジ部65aとを溶着することにより、外側壁部65が内側壁部55に取り付けられている。
この外側壁部65には、上記EGRガス導入管93が接続されている。より詳しくは、この外側壁部65には、その略中央部に、EGRガス導入管93をボルト締結するためのフランジ部65cが設けられており、かかるフランジ部65cには、ノズル部材43を取り付けるための、内部通路45aまで貫通する取付孔65dが形成されている。なお、図中の符号65bは、外側壁部65の剛性を高めるために形成されたリブである。
このノズル部材43は、板金プレス成型品であり図17(a)及び(b)に示すように、円環状のフランジ部43aと、当該フランジ部43aの内周縁部から当該フランジ部43aと垂直に延び且つ段差部が形成された筒状の取付部43bと、当該取付部43bの先端からさらに延びる円筒状のノズル先端部43cと、当該ノズル先端部43cの先端を閉塞する閉塞部43dと、を有していて、全体として有底筒状に形成されている。また、ノズル先端部43cには、直径方向に対向するように、一対の開口部43eが形成されている。一方、取付孔65dを区画する壁面には、ノズル部材43の外形に対応するように段差部が形成されている。そうして、ノズル部材43は、当該ノズル部材43のフランジ部43aと取付孔65dの段差面との間に、シール用のOリング43fを挟んだ状態で、且つ、一対の開口部43eが上下方向に対向するような姿勢で、取付孔65dに差し込まれている。
このように、ノズル部材43を外側壁部65に取り付けることにより、EGRガス導入管93からEGRガスが導入されると、ノズル部材43の内部を通ったEGRガスが、ノズル先端部43cを閉塞するように設けられた閉塞部43dに衝突して、図9及び図17(a)に示すように、上下に分かれるように一対の開口部43eから排出されて、外側壁部65の近傍で(正確には内部通路45aの外周円側の面の近傍で)上下に分散することになる。そうして、上述の如く、インタークーラ本体部17を通過した吸入空気は、主として内部通路45aの外周円側の面に沿うように、当該内部通路45aを上昇することから、吸入空気とEGRガスとの攪拌が促進されるので、EGRガスのミキシング性を向上させることができる。なお、内部通路45aに導入されるEGRガスは高温であり、且つ、吸気マニホールド5は樹脂製であることから、中間吸気管部45のうち、その近傍でEGRガスが分散される外側壁部65の内面側には、35%ガラス繊維強化ポリフタルアミド樹脂(PPA−GF35)製の耐熱性インナ層(図示せず)が配設されている。
下流分岐管部15は、図1に示すように、オルタネータ41よりも上側で、4つの気筒11a,11b,11c,11dの8つの吸気ポート21を覆うようにエンジン前後方向に延びており、吸入空気を各気筒11a,11b,11c,11dに分配するための内部通路が形成された分岐管本体部15aと、当該下流分岐管部15をシリンダヘッド1bに取り付けるためのフランジ部15bと、を有している。なお、図中の符号15eは、分岐管本体部15aの剛性を高めるために形成されたリブである。
分岐管本体部15aは、図4及び図5に示すように、前側に膨らむように形成されていて、前後方向から見て、略半長円形の横断面外形を有している。この分岐管本体部15aは、中間吸気管部45から導入される吸入空気とEGRガスとの攪拌性を高めるため、後述する内部通路15dの断面より広い集合部15c(図9参照)を確保すべく、図6に示すように、前後方向の両端から中央に向かうほど、幅方向並びに上下方向における断面高さが高くなっている。
これに対し、分岐管本体部15aに形成されている内部通路15d(図9参照)は、エンジン前後方向の両端から集合部15cに至るまで、断面が徐々に大きくなるように形成されているとともに、図18に示すように、当該集合部15cになだらかに連通している。これにより、吸入空気とEGRガスとが、図9及び図18の白抜き矢印で示すように、一旦集合部15cのフランジ部15bに当たり、集合部15c内で渦巻いて攪拌された後、内部通路15dに供給されることから、第2及び第3気筒11b,11cのみならず第1及び第4気筒11a,11dにもEGRガスが供給されるので、EGRガスの分配性を高めることができる。
フランジ部15bは、分岐管本体部15aの後側に設けられており、図3に示すように、幅方向から見て、略長円形に形成されている。このフランジ部15bには、図7に示すように、8つの吸気ポート21に対応する位置に、8つの吸気開口部15fが形成されており、これら8つの吸気開口部15fは、集合部15cまたは内部通路15dとそれぞれ連通している。なお、図7中の符号15gは、フランジ部15bとシリンダヘッド1bとの間に配置されるシール手段としてのOリングであり、また、符号15hは、下流分岐管部15の軽量化を図るために形成された肉抜き凹部である。
また、フランジ部15bには、図3に示すように、各々ボルト挿通孔が形成された取付部15iが、当該フランジ部15bの上部に5つ及び下部に2つ計7つ形成され、さらに、前述した取付部25j が2つ形成されており、下流分岐管部15は、これら9つの取
付部15i,25jに挿通された9本のボルト15j,25rによって、エンジン1の吸気側の外面に締結固定されている。
なお、上述のように、中間吸気管部45は、チャンバ部25及び下流分岐管部15と別体に形成された外側壁部65を有する分割構造となっているが、かかる外側壁部65のみならず、図5の太破線で示すように、下流分岐管部15のフランジ部15bとチャンバ部25の後側竪壁部25fとを構成する部材も、下流分岐管部15及びチャンバ部25の他の部位と別体に形成されている。すなわち、本実施形態の吸気マニホールド5は、3分割構造となっており、これにより、開口部及び膨出部の多い複雑な構造を有していても、比較的容易に、吸気マニホールド5の成型及び型抜きができるようになっている。
以上のように構成された本実施形態の吸気装置3では、過給機91のコンプレッサ室で圧縮された高温の吸入空気が、スロットルボディ19を通過し、図8に示すように、上流吸気管部35を通って、チャンバ部25の後側空間部25oに導入される。後側空間部25oに導入された高温の吸入空気は、図8及び図9に示すように、水冷式のインタークーラ7のコア部17aを後方から前方に通過する際に、ウォータチューブ17e内を流動する冷却水との熱交換によって冷却されて、充填効率が高まった状態で前側空間部25nに導入される。
そうして、インタークーラ7のコア部17aを通過した吸入空気は、図9に示すように、前側竪壁部25eの内側面に衝突した後、主として内部通路45aの外周縁側の面(外側壁部65の内側面)に沿うように、当該内部通路45aを上昇し、外側壁部65の近傍で上下に分散しているEGRガスと混合されながら、下流分岐管部15の集合部15cに導入される。集合部15cに導入された混合ガスは、集合部15cのフランジ部15bに当たり、集合部15c内で渦巻いてさらに攪拌された後、内部通路15dに供給されて、各気筒11a,11b,11c,11dに分配される。
ところで、エンジンの吸気系では、インタークーラはスロットルボディよりも上流に位置していることが多いが、本実施形態では、上述の如く、吸気装置3(吸気系)の上流側に過給機91を介設し、当該過給機91の下流側に、吸気制御弁ユニット9とインタークーラ7とをこの順で配置している。このため、過給機91のコンプレッサ室で圧縮された高温の吸入空気が、インタークーラ7で冷却されることなく、スロットルボディ19を通過することになる。このように、冷却されていない高温の吸入空気が、吸気制御弁ユニット9のスロットルボディ19を通過すると、駆動伝達部49の駆動モータや駆動力伝達機構部が過熱化されるおそれがある。
そこで、駆動伝達部49の過熱化を抑えるべく、上述の如く、吸気制御弁ユニット9の上記内部水路24には、エンジン冷却水循環系67を循環するエンジン冷却水が流通するようになっている。より詳しくは、エンジン冷却水は、このエンジン冷却水循環系67において、図19に示すように、シリンダブロック1c及びシリンダヘッド1bのウォータージャケット内を通過してエンジン1を冷却した後、上記EGR弁93aを通過してから吸気制御弁ユニット9の内部水路24に供給されるようになっている。
そうして、内部水路24は、上述の如く、駆動モータ、駆動力伝達機構部、及び、弁軸支持部19b,19cに沿うように形成されていることから、駆動伝達部49の駆動モータや駆動力伝達機構部が、エンジン冷却水によって冷却されるとともに、弁軸29を軸支する弁軸支持部19b,19cが、エンジン冷却水によって暖められて冷間時における弁軸29周辺の氷結が防止されるのであるが、エンジン冷却水は100℃を超えることから、吸気制御弁ユニット9の冷却性能という点で問題がある。このため、内部水路24内を流通させる冷却水として、インタークーラ冷却水循環系87を循環するインタークーラ冷却水を用いることも考えられるが、インタークーラ冷却水は水温が低いため、吸気制御弁ユニット9の冷却に関しては好適ではあるものの、冷間時におけるアイシング防止と言う観点では問題がある。
そこで、本実施形態の吸気装置3では、内部水路24に、エンジン冷却水(一方の冷却水)を流通させるとともに、当該エンジン冷却水がインタークーラ冷却水(他方の冷却水)によって熱交換されるようにしている。具体的には、この吸気装置3では、図20に示すように、吸気制御弁ユニット9に冷却水を供給するための、エンジン冷却水循環系67の配管の一部が、インタークーラ冷却水循環系87における水路内を通るように構成している。
より詳しくは、インタークーラ冷却水循環系87は、インタークーラ冷却水から空気を分離するためのセパレートタンク94を有しており、インタークーラ冷却水は、このインタークーラ冷却水循環系87において、図19に示すように、インタークーラ用ラジエータ96によって冷却された後、電動ポンプ95によってインタークーラ7に供給され、上記チャンバ部25で高温の吸入空気を冷却した後、セパレートタンク94に供給され、当該セパレートタンク94内で空気が分離された後、再びインタークーラ用ラジエータ96に戻るようになっている。なお、図19の符号98は、セパレートタンク94のキャップを示す。
そうして、本実施形態の吸気装置3では、図20に示すように、EGR弁93aと吸気制御弁ユニット9のスロットルボディ19とを接続する、エンジン冷却水循環系67の配管66の一部が、セパレートタンク94の水溜部94a内に臨んでいる。より具体的には、この配管66は、セパレートタンク94の一の壁部を貫通して、水溜部94a内に入り、当該水溜部94a内で略直角に折れ曲がって、一の壁部と略直交する他の壁部を貫通して水溜部94a外に出るように形成されている。このように、大量の冷却水が存在するセパレートタンク94の水溜部94aに配管66が臨むことにより、熱交換効率を高めることができるとともに、配管66がセパレートタンク94を真っ直ぐに貫通した場合に比して、配管66における水溜部94a内に臨んでいる部位の堆積が増大することから、エンジン冷却水とインタークーラ冷却水との熱交換が一層効率良く行われるので、エンジン冷却水を効果的に冷却することができる。
これらにより、本実施形態の吸気装置3では、インタークーラ冷却水との熱交換によって冷却されたエンジン冷却水が、内部水路24内を流れながら、駆動伝達部49の駆動モータや駆動力伝達機構部を冷却するとともに、弁軸支持部19b,19cを暖めて、冷間時におけるアイシングを防止するようになっている。
−効果−
本実施形態によれば、吸気制御弁ユニット9には、その内部に、冷却水を流通させるための内部水路24が形成されているとともに、この内部水路24には、水温の低いインタークーラ冷却水によって熱交換されたエンジン冷却水が流通されることから、インタークーラ7を吸気制御弁ユニット9よりも下流に設けたことに起因して、高温の吸入空気が吸気制御弁ユニット9に流入しても、かかる内部水路24を流れる冷却水によって、駆動伝達部49を可及的に冷却して、駆動伝達部49が過熱されるのを抑えることができる。
また、吸気制御弁ユニット9の内部に内部水路24を形成することにより、この内部水路24に、エンジン冷却水が流通するので、弁軸29を回動自在に支持するための弁軸支持部19b,19cの冷間時におけるアイシングを防止することができる。
さらに、内部水路24は、冷却が必要な駆動モータ及び駆動力伝達機構部、並びに、アイシング防止が必要な弁軸支持部19b,19cに沿うように形成されていることから、駆動伝達部49の過熱化の抑制と、冷間時におけるアイシング防止を効率的に行うことができる。
また、エンジン冷却水循環系67の配管66の一部が、大量の冷却水が存在するセパレートタンク94の水溜部94a内に臨んでいることから、熱交換効率を一層高めることができる。
さらに、溝部22と当該溝部22を閉じる蓋部材20とによって、駆動伝達部49の冷却及び冷間時におけるアイシング防止のための内部水路24を簡単に構成することができる。
(参考例1)
本参考例は、吸気マニホールド5のエンジン1への取付形態、吸気制御弁ユニット8がスペーサ部材13を有している点、及び、吸気制御弁ユニット8内を流動させる冷却水としてインタークーラ冷却水循環系97を流れるインタークーラ冷却水を用いる点が、実施形態1とは異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について説明する。
図21は、本参考例に係る吸気装置の正面図であり、図22は、左側から見た吸気装置の側面図であり、図23は、図21のXXIII−XXIII線の矢視断面図である。吸気マニホールド5のチャンバ部25は、図21〜図23に示すように、後側竪壁部25fの下端部に形成された、ボルト挿通孔を有する1つの取付ブラケット25tと、頂壁部25bの上側に形成された、2つのボルト挿通孔を有する取付部25jとを備えている。これにより、チャンバ部25は、その下端部では取付ブラケット25tを介して1本のボルト25qにより、また、その上端部では取付部25jに挿通された2本のボルト25rにより、エンジン1の吸気側の外面に締結固定されている。
また、吸気マニホールド5のフランジ部15bには、図21に示すように、各々ボルト挿通孔が形成された取付部15iが、当該フランジ部15bの上部に4つ及び下部に2つ計6つ形成され、さらに、前述した取付部25j が2つ形成されており、下流分岐管部15は、これら8つの取付部15i,25jに挿通された8本のボルト15j,25rによって、エンジン1の吸気側の外面に締結固定されている。
このように、吸気マニホールド5は、9本のボルトによってエンジン1の吸気側の外面に締結固定されているが、それ以外は実施形態1とほぼ同様である。
本参考例の吸気制御弁ユニット8は、上記実施形態1と同様に、吸気通路を構成する断面円形の貫通孔18aが形成された金属製のスロットルボディ(ユニット本体部)18と、吸気通路の径方向に対向するように当該スロットルボディ18に形成された弁軸支持部18b,18cによって、当該スロットルボディ18に対し回動可能に軸支されている弁軸28と、当該弁軸28に固定されていて、弁軸28の回動にともなって回動することにより吸気通路を開閉する円形状の弁体38と、正転/逆転駆動が可能な駆動モータ(図示せず)及び当該駆動モータの駆動力を弁軸28に伝達するための駆動力伝達機構部(図示せず)を金属製のハウジングに収容した駆動伝達部48と、を有している。
しかし、吸気制御弁ユニット8は、上記実施形態1とは異なり、蓋部材20を有しておらず、また、スロットルボディ18には、溝部22が形成されていない。すなわち、スロットルボディ18には、内部水路24が形成されておらず、これに代えて、吸気制御弁ユニット8は、図21及び図23に示すように、スロットルボディ18と吸気マニホールド5との間に介設される、内部水路13bが形成されたスペーサ部材13を有している。
このスペーサ部材13は、金属製であり、図24に示すように、その中央部に吸入空気を通過させるための断面円形の吸気連通路部13aが形成されている。このスペーサ部材13は、スロットルボディ18と吸気マニホールド5との間に介設されて、スロットルボディ18の下流側端部と吸気マニホールド5の上流吸気管部35とを接続しており、これにより、スロットルボディ18と上流吸気管部35とが連通している。
このスペーサ部材13には、駆動伝達部48の過熱化を抑えるべく、当該スペーサ部材13の内部でインタークーラ冷却水を循環させるための水路が、具体的には、図24に示すように、吸気制御弁ユニット8との接合部うち、吸気連通路部13aを挟んで駆動伝達部48側に、インタークーラ冷却水を流動させるための内部水路13bが形成されている。より詳しくは、この内部水路13bは、図22に示すように、吸気連通路部13aを挟んで駆動伝達部48側で、下方へ略真っ直ぐに延びた後、スペーサ部材13の高さ方向の中央部で屈曲し、下方へ向かうほどエンジン1側に傾斜して延びるように形成されており、その上端部に冷却水導入管23が接続されているとともに、その下端部に冷却水排出管33が接続されている。このように、スペーサ部材13に内部水路13bを形成することにより、内部水路13bは、図24に示すように、吸気流の流れ方向に見て、駆動伝達部48のみならず吸気制御弁ユニット8における駆動伝達部48側(片側)の弁軸支持部18bとも重なっている。
インタークーラ冷却水は、図25に示すように、インタークーラ冷却水循環系97において、インタークーラ用ラジエータ96によって冷却された後、電動ポンプ95によってインタークーラ7に供給され、当該インタークーラ7とスペーサ部材13とを連通接続する配管68を通ってスペーサ部材13に供給されるようになっている。
そうして、スペーサ部材13に供給されたインタークーラ冷却水は、冷却水導入管23から内部水路13bに導入され、駆動伝達部48の右側近傍で延びる内部水路13b内を、当該駆動伝達部48を冷却しながら下方に流れ、冷却水排出管33から排出された後、セパレートタンク94に供給され、当該セパレートタンク94内で空気が分離された後、再びインタークーラ用ラジエータ96に戻る。このように、インタークーラ冷却水循環系97を流れるインタークーラ冷却水によって駆動伝達部48を冷却することにより、吸気制御弁ユニット8を特殊化する(吸気制御弁ユニット8に内部水路を設けたり、耐熱性の高い駆動モータを用いたりする)ことなく、駆動伝達部48の過熱化を可及的に抑えることができる。
一方、エンジン冷却水は、図25に示すように、エンジン冷却水循環系77において、シリンダブロック1c及びシリンダヘッド1bのウォータージャケット内を通過してエンジン1を冷却した後、上記EGR弁93aを通過して、エンジン1に戻るようになっている。このエンジン冷却水循環系77において、エンジン1とEGR弁93aとを連通接続する配管70には、図26に示すように、拡径部70aが形成されていて、当該拡径部70a内をインタークーラ冷却水循環系97の配管68の一部が貫通しており、これにより、インタークーラ冷却水が、エンジン冷却水との熱交換によって加温されるようになっている。
そうして、内部水路13bは、吸気流の流れ方向に見て、駆動伝達部48側の弁軸支持部18bと重なっていることから、換言すると、駆動伝達部48側の弁軸支持部18bの近傍をインタークーラ冷却水が流動することから、エンジン冷却水との熱交換によって加温されたインタークーラ冷却水により、弁軸支持部18bが暖められて、冷間時における弁軸28周辺の氷結が防止される。
−効果−
本参考例によれば、内部水路13bがスペーサ部材13の内部に形成されていることから、吸気制御弁ユニット8に溝部22等を形成することなく、換言すると、既存の吸気制御弁ユニットを用いて、駆動伝達部48の冷却及びアイシング防止を両立することができる。
また、インタークーラ冷却水によって駆動伝達部48の冷却を行えるのみならず、エンジン冷却水との熱交換によって加温されたインタークーラ冷却水により、弁軸支持部18bを加温して冷間時のアイシング防止を好適に行うことができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態1では、両側の弁軸支持部19b,19cに沿うように、内部水路24の形状を略円環状としたが、内部水路24は、少なくとも、駆動モータ、駆動力伝達機構部および片側の弁軸支持部に沿うように形成されていればよいので、これに限らず、内部水路24の形状を、例えば、半円環状としてもよい。
また、上記参考例1では、内部水路13bを、吸気流の流れ方向に見て、駆動伝達部48および駆動伝達部48側の弁軸支持部18bと重なるように形成したが、これに限らず、エンジン1側の弁軸支持部18cとも重なるように、内部水路13bを、例えば、円環状に形成してもよい。
さらに、上記実施形態1では、溝部22及び蓋部材20をスロットルボディ19の上流側に設けたが、これに限らず、下流側に設けてもよい。
また、上記参考例1では、スペーサ部材13をスロットルボディ18の下流側に設けたが、これに限らず、上流側に設けてもよい。
また、上記参考例1では、内部水路13bにインタークーラ冷却水を流動させるようにしたが、これに限らず、エンジン冷却水を流動させるようにしてもよい。
さらに、上記参考例1では、エンジン冷却水循環系77の配管70に拡径部70aを形成するようにしたが、これに限らず、インタークーラ冷却水循環系97の配管68に拡径部を形成してもよい。
また、上記実施形態及び参考例では、吸気装置3をディーゼルエンジンに適用したが、これに限らず、ガソリンエンジンに適用してもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。