以下、本発明に係る内燃機関の実施形態について、図面を用いて説明する。図1から図7は、本発明に係る一実施形態の内燃機関を示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、車両1の前部には内燃機関としてのエンジン2が搭載されており、このエンジン2は、車両1のダッシュパネル1Aの前方に形成されたエンジンルーム1Bに、横向きに搭載されている。ダッシュパネル1Aは図示しない運転席の前方に設けられており、エンジンルームと運転席とを仕切っている。
本実施形態では、車両1の運転席に着座した運転者から見た前後方向、左右方向、および上下方向と一致するように、図中で前後、左右、上下の方向を矢印で示している。
図1から図4の何れかにおいて、エンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられるシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上端を閉塞するシリンダヘッドカバー5と、シリンダブロック3の下部に設けられ、オイルが貯留される図示しないオイルパンとを備えており、これらシリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5およびオイルパンは、内燃機関本体としてのエンジン本体6を構成している。
シリンダブロック3には図示しない複数のシリンダが形成されており、このシリンダには図示しないピストンが往復動自在に収容され、ピストンの往復運動は、シリンダブロック3に収容された図示しないクランクシャフトの回転運動に変換される。
シリンダヘッド4には図示しない吸排気カムシャフトや吸排気バルブが収容されており、シリンダヘッド4には図示しない複数の吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。シリンダヘッド4には図示しない吸気マニホールドが取付けられており、この吸気マニホールドは、各シリンダの吸気ポートに空気を分配している。シリンダヘッド4の後方には図示しないサージタンクが設けられており、このサージタンクは、吸気マニホールドと後述するインタークーラ17とに連結され、インタークーラ17で冷却された空気を吸気マニホールドに供給している。
シリンダヘッド4には排気マニホールド7が取付けられており、この排気マニホールド7は、エンジン2の前方に位置するようにしてシリンダヘッド4に取付けられている。
排気マニホールド7は、シリンダヘッド4に形成された図示しない複数の排気ポートから排出される排気ガスを集合させて触媒コンバータ8に排出する。
触媒コンバータ8は、排気マニホールド7の下流側に設けられており、内部に収容される触媒によって排気ガスから有害成分を除去して排気ガスを浄化し、図示しない排気管を通して外部に排出する。
触媒コンバータ8には遮熱カバー10が取付けられており、この遮熱カバー10は、触媒コンバータ8の外周側面および上下方向両端部を覆っている。
また、エンジン2は、吸気導入管12と、エアクリーナ11と、吸気配管13と、ターボインレットパイプ14と、ターボ過給器15とを備えており、吸気導入管12で導入した空気をエアクリーナ11で濾過し、濾過した空気を吸気配管13およびターボインレットパイプ14を順次通過させてターボ過給器15で圧縮している。
エアクリーナ11は、エンジン本体6の上方に配置されている。吸気導入管12は、エンジン本体6の左前方からエアクリーナ11に向って延びている。吸気導入管12の吸気流れ方向下流側端部は、エアクリーナ11の左側面の前部に接続されている。
吸気配管13の吸気流れ方向上流側端部は、エアクリーナ11の右側面の後部に接続されている。吸気配管13は、エンジン本体6の上方の右側において、エアクリーナ11の右側面の後部から前方に延びた後、エンジン本体6の上方の前側で下方に向きを変え、下方に延びている。
吸気配管13のエンジン本体6の下方に延びる部位は、鉛直方向に延びる鉛直部13Aを構成しており、この鉛直部13Aの左側面には、ブローバイガス入口部13Bが設けられている。
一方、シリンダヘッドカバー5の前面は、鉛直方向に延びる壁状の縦壁部6Aを有しており、この縦壁部6Aには、ブローバイガス出口部6Bが開口している。すなわち、エンジン本体6の上部にはブローバイガス出口部6Bが設けられている。
また、エンジン2は、ブローバイガス配管21を備えており、このブローバイガス配管21は、ブローバイガス出口部6Bとブローバイガス入口部13Bを連絡し、エンジン本体6で発生したブローバイガスを吸気配管13に環流させている。ブローバイガス配管21は、ブローバイガス出口部6Bから前方に延びた後で右方に湾曲し、右方に延びた後でブローバイガス入口部13Bに連絡するように、L字形状に形成されている。
吸気配管13の吸気流れ方向下流側端部には、ターボインレットパイプ14が接続されている。ターボインレットパイプ14は、下方に延びた後、左方に曲がり、エンジン本体6の前方下部に配置されたターボ過給器15に接続される。ここで、エンジン本体6の前方は、エンジン本体6の側方の一部を構成する。
ターボ過給器15は、排気マニホールド7の集合部の直下に接続されており、エンジン本体6から排出される排気ガスの運動エネルギーにより、ターボインレットパイプ14から導入される空気を圧縮している。
また、エンジン2は、第1ホース16、とインタークーラ17と、第2ホース18とを備えている。インタークーラ17は、走行風に当たるようにエンジン本体6の前方に配置されている。第1ホース16は、ターボ過給器15とインタークーラ17の右側面とを連絡している。第2ホース18は、インタークーラ17の左側面と、エンジン本体6の後方側面の図示しない図示しないサージタンクとを連絡している。これにより、ターボ過給器15で圧縮された空気は、第1ホース16を通ってインタークーラ17に導入された後、インタークーラ17において走行風により冷却され、第2ホース18を通ってサージタンクに導入される。サージタンクは吸気マニホールドに連結されている。
本実施形態では、ブローバイガス出口部6Bを、エンジン本体6におけるターボ過給器15の上方に配置している。また、ブローバイガス入口部13Bを、吸気配管13の鉛直部13Aにおける、鉛直方向でブローバイガス出口部6Bの近傍の位置に配置している。言い換えると、ブローバイガス入口部13Bとブローバイガス出口部6Bの鉛直方向の位置は概ね等しくなっている。また、ブローバイガス配管21を、エンジン本体6から吸気配管13まで水平方向に延びるように配置している。
エンジン本体6の上部であって、エアクリーナ11と吸気配管13とブローバイガス配管21とに囲まれた位置には、オイルフィラーキャップ19が配置されている。
図1から図7の何れかに示すように、エンジン2は、エンジン本体6の上部に、吸気配管13の一部とエアクリーナ11を覆うカバー部材20を備えている。カバー部材20とエンジン本体6の上面との間には隙間が設けられている。
カバー部材20の前面の右側には、ブローバイガス配管被覆部20Aが設けられており、このブローバイガス配管被覆部20Aは、ブローバイガス配管21の形状に沿って、エンジン本体6の上部からターボ過給器15の上方へ水平方向に突出しており、ブローバイガス配管21の上方および側方を覆っている。
また、カバー部材20は、オイルフィラーキャップ19の上方に切欠き部20Bを有する。切欠き部20Bは、オイルフィラーキャップ19が通過可能なようにオイルフィラーキャップ19の面積より大きく形成され、かつ、オイルフィラーキャップ19を下方に臨むように形成されている。オイルフィラーキャップ19は、カバー部材20の上方からこの切欠き部20Bを通して着脱される。また、カバー部材20の左前方の側面には、吸気導入管12が通過する切欠き部20Cが形成されている。
次に作用を説明する。本実施形態のエンジン2は、ブローバイガス出口部6Bを、エンジン本体6におけるターボ過給器15の上方に配置し、ブローバイガス入口部13Bを、吸気配管13の鉛直方向に延びる部位における、鉛直方向でブローバイガス出口部6Bの近傍の位置に配置し、ブローバイガス配管21を、エンジン本体6から吸気配管13まで水平方向に延びるように配置した。
このように、ブローバイガス出口部6Bを、エンジン本体6におけるターボ過給器15の上方に配置し、ブローバイガス入口部13Bを、吸気配管13の鉛直方向に延びる部位における、鉛直方向でブローバイガス出口部6Bの近傍の位置に配置し、ブローバイガス配管21を、エンジン本体6から吸気配管13まで水平方向に延びるように配置したため、ブローバイガス配管21を短くすることができる。
このため、ブローバイガスがブローバイガス配管21を通過する間に、ブローバイガスの温度が低下することを防止できる。
また、ブローバイガス配管21の少なくとも一部がターボ過給器15の上方に配置されるため、ターボ過給器15によって過熱された外気によりブローバイガス配管21が加熱されることで、ブローバイガスがブローバイガス配管21を通過する間にブローバイガスが加熱される。
したがって、ブローバイガスがブローバイガス配管21を通過する間に、ブローバイガスの温度が低下することが防止され、かつ、ブローバイガスが加熱される。
また、ブローバイガス配管21を加熱するために、エンジン冷却水が流通する加温ホース等を必要としないため、構造が複雑化することがない。
この結果、構造が複雑化することなく、外気温が低いときにブローバイガス中に含まれる水分が凍結してブローバイガス配管21を塞ぐことを防止できる。
また、本実施形態のエンジン2は、エンジン本体6の上部に、吸気配管13の一部とエアクリーナ11を覆うカバー部材20を配置し、カバー部材20に、エンジン本体6の上部からターボ過給器15の上方へ水平方向に突出し、ブローバイガス配管21の上方および側方を覆うブローバイガス配管被覆部20Aを設けた。
このように、カバー部材20に、エンジン本体6の上部からターボ過給器15の上方へ水平方向に突出し、ブローバイガス配管21の上方および側方を覆うブローバイガス配管被覆部20Aを設けたことで、走行風が吸気配管13とブローバイガス配管21に直接衝突するのを防止できるため、ブローバイガス配管21を通過するブローバイガスの温度が低下するのを防止できる。
また、ターボ過給器15に連結された排気管で暖められた空気を、ターボ過給器15の上方へ突出するブローバイガス配管被覆部20Aから、カバー部材20内に導くことができる。
このため、カバー部材20内に導かれた暖かい空気により、吸気配管13の一部とエアクリーナ11とブローバイガス配管21とを暖めることができるので、エアクリーナ11および吸気配管13を通過する空気と、ブローバイガス配管21を通過するブローバイガスとを暖めることができる。
この結果、ブローバイガス配管21から吸気配管13のブローバイガス入口部13Bに導入されたブローバイガス中の水分が、吸気配管13を通過する空気に冷やされて凍結するのを防止でき、凍結した水分がブローバイガス入口部13Bを塞ぐのを防止できる。
また、本実施形態のエンジン2は、エンジン本体6の上部であって、エアクリーナ11と吸気配管13とブローバイガス配管21とに囲まれた位置にオイルフィラーキャップ19を配置し、カバー部材20は、オイルフィラーキャップ19の上方に、オイルフィラーキャップ19が通過可能な切欠き部20Bを有する。
このように、カバー部材20は、エアクリーナ11と吸気配管13とブローバイガス配管21とに囲まれたオイルフィラーキャップ19の上方に切欠きを有することで、排気管により熱せられてカバー部材20内に取り込まれた空気を、ブローバイガス配管21を通過させた後に、切欠き部20Bからカバー部材20外に排出できる。
これにより、カバー部材20に取り込まれて切欠き部20Bから排出される空気の流れを作り出すことができるので、排気管により熱せられた空気を効率的にブローバイガス配管21に接触させることができる。
したがって、ブローバイガス中に含まれる水分が凍結してブローバイガス配管21を塞ぐことを効率的に防止できる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。