JP5407833B2 - ブローバイガス還流装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ブローバイガス還流装置に係り、特にエンジンのブローバイガスを吸気系に還流するブローバイガス還流装置に関する。
四輪車等の車両に搭載されるディーゼルエンジンにおいては、クランクケース内にブローバイガスが発生し、このブローバイガスがオイルミストや未燃焼ガスを含むため、大気開放することができず、このため、吸気系にそのブローバイガスを戻して燃焼処理を行う必要がある。このブローバイガスは、水分を含むため、低温雰囲気下では凍結して吸気系までの戻りの経路や吸気系を閉塞させるおそれがある。
特開2004−204720号公報
特許文献1に係るブローバイガス還流装置は、エンジンとヒータコアとの間のヒータ水路にブローバイガス通路加熱水路を分岐させてブローバイガス通路を加熱し、ブローバイガス通路の加熱効果を高めるものである。
ところで、従来、ブローバイガス還流装置においては、ブローバイガスの凍結を防ぐために、冷却水パイプをブローバイガスの経路に導いてパイプ同士を密着させてブローバイガスを加熱することや、電気ヒータを取り付けてブローバイガスを加熱することが行われている。
しかし、これら方法では、冷却水パイプの経路とブリーザパイプの経路とを接近させるため、パイプ等を延長してどちらか一方を迂回させる必要があることや、ブローバイガスの経路に電気ヒータの追加する必要があり、この場合、部品追加やパイプの経路の延長によってコスト高となるという問題があった。
また、ブローバイガス還流装置においては、寒冷時にブローバイガスが流入する配管の凍結の防止や、ブローバイガス中に含まれる水分の凍結の防止をするために、配管の温度低下を抑制する必要があった。
これらの問題を解決するために、上記の特許文献1に記載のように、ブローバイガス還流管(又は、ブローバイガス通路)の回りに温水(冷却水)を循環させて、ブローバイガス還流管の温度低下による凍結を防止するものがあった。
しかし、このような構造では、ブローバイガス還流管とこのブローバイガス還流管に向かう温水を流す配管とを同じ空間内に設置する必要があるため、充分なスペースが必要になるだけでなく、配管構造の複雑化にも繋がる問題があった。
そこで、この発明の目的は、寒冷時にブローバイガス還流管を排気マニホルドからの熱で加熱するとともに走行風による冷却を抑制してブローバイガスの凍結を防止するブローバイガス還流装置を提供することにある。
この発明は、車両のエンジンルーム内にクランク軸を車両幅方向に向けたエンジンを搭載し、このエンジンの前部に排気マニホルドを介してターボ過給機を取り付け、このターボ過給機の側方にエアクリーナを配置し、前記ターボ過給機と前記エアクリーナとを吸気ホースによって接続し、前記エンジンに設けられるブローバイガス出口部と前記吸気ホースに設けられるブローバイガス入口部との間をブローバイガス還流管で接続したブローバイガス還流装置において、前記吸気ホースは、前記エアクリーナに接続して車両幅方向に向かって延びる上流側管部と、この上流側管部に連設して車両下方に向かって延びるとともに前記ブローバイガス入口部が設けられる中間側管部と、この中間側管部に連設して車両幅方向に向かって延びて前記ターボ過給機の接続部に接続する下流側管部とを有し、前記ブローバイガス還流管の前記ブローバイガス入口部側寄りには前記排気マニホルドの端部に近づいて前記排気マニホルドの熱を受ける受熱部を形成し、この受熱部とこの受熱部から前記ブローバイガス入口部までの通路部と前記中間側管部とを車両後方から車両前方に向かって順次に配置し、前記受熱部及び前記通路部を前記吸気ホースの前記中間側管部と車両前後方向で重なるように配置したことを特徴とする。
この発明のブローバイガス還流装置は、寒冷時にブローバイガス還流管を排気マニホルドからの熱で加熱するとともに走行風による冷却を抑制し、ブローバイガスの凍結を防止できる。
図1は図2の矢印Iによる車両前部の斜視図である。(実施例) 図2は車両前部の平面図である。(実施例) 図3は車両前部の側面図である。(実施例) 図4は車両前部の正面図である。(実施例) 図5は車両前部の背面図である。(実施例) 図6は車両前部の斜視図である。(変形例)
この発明は、寒冷時にブローバイガス還流管を排気マニホルドの熱で加熱するとともに走行風による冷却を抑制してブローバイガスの凍結を防止する目的を、ブローバイガス還流管には排気マニホルドの端部に近づいて排気マニホルドの熱を受ける受熱部を形成して実現するものである。
図1〜図5は、この発明の実施例を示すものである。
図2〜図5において、1は四輪車等からなる車両、2R右前輪、2Lは左前輪、3はダッシュパネル、4はエンジンルーム、5はエンジンフード、6はフロントバンパ、7は走行風をエンジンルーム4内へ導入する開口部である。
車両1には、エンジンルーム4内で、例えば、ディーゼルエンジン(以下「エンジン」という)8が搭載されるとともに、このエンジン8の前方で放熱器9が配設されている。
エンジン8は、図2、図3に示すように、クランク軸10が車両前後方向Xと直交する方向の車両幅方向Yに向いてエンジンルーム4内に配設されている。
エンジン8は、図3〜図5に示すように、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを備えているとともに、シリンダブロック11の下部にオイルパン13を設け、また、シリンダヘッド12の上部にシリンダヘッドカバー14を設けて構成されている。
エンジン8の前部には、図2〜図4に示すように、排気マニホルド15が取り付けられ、そして、この排気マニホルド15を介してターボ過給機16が取り付けられている。排気マニホルド15は、エンジン8からの排気熱によって高温になって熱源となるものである。この排気マニホルド15には、排気マニホルドカバー17が装着されているとともに、下方向に向かう触媒コンバータ18が接続している。
このターボ過給機16の側方(車両前側左上方)には、エアクリーナ19が配設されている。ターボ過給機16とエアクリーナ19とは、吸気ホース20によって接続されている。
この吸気ホース20は、エアクリーナ19に接続する上流側管部21と、この上流側管部21に連設して下方に向かう中間側管部22と、この中間側管部22に連設してターボ過給機16の接続部23に接続するように右方に向かう下流側管部24とからなる。
エンジン8には、ブローバイガス還流装置25が設けられる。
このブローバイガス還流装置25は、ブローバイガス還流管26を備えている。
このブローバイガス還流管26は、ブローバイガス通路27を形成するものであり、シリンダヘッドカバー14に設けられて該シリンダヘッドカバー14内のブリーザ室のブローバイガス流の始端の接続部となるブローバイガス出口部28と吸気ホース20の中間側管部22の下部位に設けられてブローバイガス流の終端の接続部となるブローバイガス入口部29とを接続するものであり、シリンダヘッド12の右側でブローバイガス出口部28に接続して車両後方に向かって延び且つ車両左方に曲がってシリンダヘッド12の後方の略中央部位に至る第1還流管部30と、シリンダヘッド12の後方の略中央部位から車両左方に向かって延び且つシリンダヘッド12の左側で車両前方に延びて吸気ホース20のブローバイガス入口部29に接続する第2還流管部31とからなる。
図5に示すように、シリンダヘッド12の後方の略中央部位では、第1還流管部30と第2還流管部31との間で第1還流管部30からのオイル分とミスト分とを分離するオイルセパレータ32が設けられている。このオイルセパレータ32には、ブローバイガスの分離されたオイル分をオイルパン13に戻すように下方に向かうオイル戻し管33が接続している。
このブローバイガス還流装置25のブローバイガスは、図1〜図5の矢印で示すように、ブローバイガス出口部28からオイル分とミスト分とが混合して第1還流管部30に導かれてオイルセパレータ32に至り、このオイルセパレータ32では、そのオイル分とミスト分とが分離され、分離されたオイル分がオイル戻し管33からオイルパン13内に戻される一方、分離されたミスト分が第2還流管部31からブローバイガス入口部29を経て吸気ホース20からターボ過給機16側に還流される。
そして、この実施例において、図1、図2に示すように、ブローバイガス還流管26のブローバイガス入口部29側の第2還流管部31には、熱源となる排気マニホルド15の端部15Eに近づいてこの排気マニホルド15の熱を受ける受熱部34を形成する。そして、その第2還流管部31の受熱部34とこの受熱部34からブローバイガス入口部29までの通路部35とを、車両前後方向Xで、吸気ホース20の後方に形成される空間36に配置する。
受熱部34は、吸気ホース20の中間側管部22の後方で且つ吸気ホース20に近接して車両幅方向Yに向っている。この受熱部34の排気マニホルド15から離れた側の部位には、固定用ブラケット37が取り付けられている。
通路部35は、吸気ホース20の中間側管部22の後方で、車両前後方向X且つ斜め上方に向かっている。また、通路部35は、図3に示すように、車両側面視で、その軸心が吸気ホース20の中間側管部22の軸心に対して直交するように、この中間側管部22に接続される。
このように、ブローバイガスが流入するブローバイガス還流管26の第2還流管部31には排気マニホルド15の端部15Eに近接する受熱部34を設けることで、排気マニホルド15からの熱(図1、図2の一点鎖線の矢印で示す)によって受熱部34を加熱し、これにより、寒冷時には、受熱部34を温めてブローバイガス通路27内で水分を含んだブローバイガスが凍結することを防止できる。また、受熱部34が吸気ホース20に近接して配置されていることから、ブローバスガスを低温の吸気系側で暖めることができ、ブローバイガスの凍結を効果的に防止できる。
また、第2還流管部31の受熱部34とこの受熱部34からブローバイガス入口部29までの通路部35とを車両前後方向Xで吸気ホース20の後方に配置することで、図1に示すように、吸気ホース20が前方から流入する走行風(図1〜図3の白抜きの矢印で示す)を遮り、よって、受熱部34がこの走行風に直接晒されることがなくなり、これにより、受熱部34で加熱されたブローバイガスが寒冷時の走行風によって冷却されて凍結することを防止でき、しかも、冷却水や電気ヒータを不要とし、部品点数を削減したり、広いスペースを不要とし、そして、配管構造等の簡素化を図って廉価にできる。
更に、ブローバイガス還流管26の通路部35の軸心が吸気ホース20の中間側管部22の軸心に対して直交して、ブローバイガス還流管26で吸気ホース20を支持する構造なので、吸気ホース20の脱落を防止できる。
また、図1、図3に示すように、車両側面視にて、吸気ホース20は、ターボ過給機16の接続部23から車両前側斜め上方へ延びるように傾斜されている。
このように、吸気ホース20をターボ過給機16の側部から車両前方に向けて車両斜め上方に傾斜して配置することで、吸気ホース20の傾斜する部分によって、車両前方から流入する走行風を車両下方に案内することができ、これにより、吸気ホース20とエンジン8との間に形成される空間36への走行風の巻き込みが軽減され、この空間36内の大気温度の低下を防止することができ、よって、この空間36内に配置される受熱部34及びその下流側の通路部35が冷却され、ブローバイガスが凍結することを防止できる。
なお、図6に示すように、この発明の変形例としては、第2還流管部31の受熱部34を、排気マニホルドカバー17にブラケット38を介して連絡する。このブラケット38は、車両正面視で、上下方向に所定幅で板状に形成され、一端部が取付ボルト39で排気マニホルドカバー17に固定されるとともに、他端部が受熱部34に所要の固着手段により取り付けられている。
このような構造では、ブローバイガス還流管26の第2還流管部31と排気マニホルドカバー17とがブラケット38によって連結されているため、ブラケット38が排気マニホルド14から受けた熱(図6の一点鎖線で示す)を伝えて受熱部34を加熱することができ、これにより、ブローバイガスの凍結を効果的に防止することができる。また、ブラケット38がブローバイガス還流管26の第2還流管部31を固定する機能を有することから、専用の固定用ブラケットを不要とし、部品点数を削減できる。
なお、この場合、ブラケット38を熱の伝わりやすい金属製の材質で形成したり、あるいは、ブラケット38の形状を変更すること等で、さらに高いブローバイガスの凍結効果が得られる。
この発明に係るブローバイガス還流装置を、ディーゼルエンジンのみならず、各種エンジンに適用可能である。
1 車両
4 エンジンルーム
8 エンジン
12 シリンダヘッド
14 シリンダヘッドカバー
15 排気マニホルド
15E 排気マニホルドの端部
16 ターボ過給機
17 排気マニホルドカバー
18 触媒コンバータ
19 エアクリーナ
20 吸気ホース
21 上流側管部
22 中間側管部
23 吸気ホースの接続部
24 下流側管部
25 ブローバイガス還流装置
26 ブローバイガス還流管
27 ブローバイガス通路
28 ブローバイガス出口部
29 ブローバイガス入口部
31 第1還流管部
32 第2還流管部
32 オイルセパレータ
33 オイル戻し管
34 受熱部
35 通路部
36 空間
38 ブラケット

Claims (3)

  1. 車両のエンジンルーム内にクランク軸を車両幅方向に向けたエンジンを搭載し、このエンジンの前部に排気マニホルドを介してターボ過給機を取り付け、このターボ過給機の側方にエアクリーナを配置し、前記ターボ過給機と前記エアクリーナとを吸気ホースによって接続し、前記エンジンに設けられるブローバイガス出口部と前記吸気ホースに設けられるブローバイガス入口部との間をブローバイガス還流管で接続したブローバイガス還流装置において、
    前記吸気ホースは、前記エアクリーナに接続して車両幅方向に向かって延びる上流側管部と、この上流側管部に連設して車両下方に向かって延びるとともに前記ブローバイガス入口部が設けられる中間側管部と、この中間側管部に連設して車両幅方向に向かって延びて前記ターボ過給機の接続部に接続する下流側管部とを有し、
    前記ブローバイガス還流管の前記ブローバイガス入口部側寄りには前記排気マニホルドの端部に近づいて前記排気マニホルドの熱を受ける受熱部を形成し、
    この受熱部とこの受熱部から前記ブローバイガス入口部までの通路部と前記中間側管部とを車両後方から車両前方に向かって順次に配置し、
    前記受熱部及び前記通路部を前記吸気ホースの前記中間側管部と車両前後方向で重なるように配置したことを特徴とするブローバイガス還流装置。
  2. 前記吸気ホースの前記中間側管部を前記下流側管部から前記上流側管部に向けて車両前側斜め上方へ延びるように傾斜させ、
    前記通路部を前記中間側管部の後方で車両前後方向且つ前記ブローバイガス入口部から前記受熱部に向けて斜め上方に向かって延ばし、
    前記通路部の軸心を前記中間側管部の軸心に対して直交させたことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス還流装置。
  3. 前記受熱部を前記エンジンと前記吸気ホースとの間で車両幅方向に向けて延ばし、
    前記受熱部のうち前記排気マニホルドから離れた側の部位を、前記排気マニホルドに装着された排気マニホルドカバーにブラケットを介して連結したことを特徴とする請求項2に記載のブローバイガス還流装置。
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