JP5942384B2 - 二次電池用外装材及び二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献2の外装材は、最外面の耐ブロッキング性及び滑り性が充分でない。また、最内面で滑剤の過剰な粉吹きが生じ、最内面における成型金型との接触部分に滑剤が過剰に堆積し、成型金型に滑剤が多量に移行する等して、安定的な生産性が得られないことがある。
また、特許文献3及び4の外装材は、最外面の耐ブロッキング性及び滑り性が充分でなく、優れた成型性が得られ難い。
JIS B0601−2001に準拠して測定された最内面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が100nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmであり、かつ最外面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が500nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmであることを特徴とする。
また、前記基材層の外側に、前記基材層を保護する基材保護層が積層されていることが好ましい。
また、前記基材保護層は、ポリエステル樹脂、又は、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールからなる群から選ばれる1種以上と脂肪族系イソシアネート硬化剤とから形成されたポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。
また、本発明の二次電池は、最内層表面における成型金型との接触部分に滑剤が過剰に堆積することが抑制され、成型金型に滑剤が移行し難く、かつ最外面及び最内面の耐ブロッキング性及び滑り性が高く、優れた生産性及び成型性が得られる二次電池用外装材を備えている。
以下、本発明の二次電池用外装材の一例を示して詳細に説明する。図1は、本発明の二次電池用外装材の一例である二次電池用外装材1(以下、「外装材1」という。)を示した断面図である。
外装材1は、図1に示すように、外側から、基材保護層17、基材層11、第1接着層12、金属箔層13、腐食防止処理層14、第2接着層15及びシーラント層16が順次積層されている。外装材1は、基材保護層17を最外層、シーラント層16を最内層として使用される。
基材保護層17は、耐電解液性が低く、吸湿性の高い基材層11を保護する目的で設ける層である。基材層11の外側に基材保護層17を設けることにより、二次電池製造時における電解液の注入から封止工程において、電解液が基材層11に付着して基材層11が劣化したり、高湿潤環境において基材層11が吸湿することで成型性が低下したりすることが抑制される。また、外装材の加工や流通時における耐ピンホール性、金属箔層13と二次電池内の他の金属との絶縁性、及び電池製造における外装材の熱封緘時の耐熱性も向上する。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリエステル樹脂を用いて基材保護層17を形成する場合、ポリエステルフィルムを用いることがより好ましい。
ポリエステルポリオール(a1)としては、例えば、二塩基酸の1種以上と、水酸基を3つ以上有する化合物の1種以上を反応させることで得られるポリエステルポリオールが挙げられる。水酸基を3つ以上有する化合物の水酸基のうちの未反応のものが、ポリエステルポリオール(a1)の側鎖の水酸基となる。
二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の脂肪族系二塩基酸;イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系二塩基酸等が挙げられる。
水酸基を3つ以上有する化合物としては、例えば、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコル等の脂環式系ジオール;キシリレングリーコル等の芳香族系ジオール等が挙げられる。
アクリルポリオール(a2)としては、例えば、少なくとも水酸基含有アクリルモノマーと(メタ)アクリル酸を共重合して得られる、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を主成分とする共重合体が挙げられる。
水酸基含有アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有アクリルモノマー及び(メタ)アクリル酸と共重合する成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーが挙げられる。
ポリオールは、求められる機能や性能に応じて使用でき、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族系イソシアネート硬化剤としては、電解液耐性が向上することから、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。水酸基との反応性は、イソホロンジイソシアネートよりも1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの方が高いため、量産適性を踏まえると、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
脂肪族系イソシアネート硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基材層11は、加工や流通の際に起こりえるピンホール対策に加え、冷間成型時の金属箔層13の破断防止の目的で設ける層である。また、基材層を最外層とする場合には、金属箔層13と二次電池内の他の金属との絶縁性、及び電池製造時における外装材の熱封緘時の耐熱性が求められる。
基材層11としては、成型性の点から、ポリアミドフィルムが好ましい。ポリアミドフィルムは、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。なかでも、成型性が向上する点から、延伸ポリアミドフィルムがより好ましい。
ポリアミドフィルムを形成するポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが挙げられる。なかでも、成型性向上の観点から、ナイロン6が好ましい。
基材層11の厚さは、耐ピンホール性、加工性を考慮すると、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
第1接着層12は、基材層11と金属箔層13を接着する層である。第1接着層12には、基材層11と金属箔層13を充分に密着させる密着性に加えて、冷間成型時に金属箔層13が破断することを抑制するため、金属箔層13の動きに対する追従性が求められる。
第1接着層12を構成する接着成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネートを作用させる2液硬化型のウレタン系接着剤が好ましい。
金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができる。なかでも、防湿性、延展性等の加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができ、脱脂処理を施したアルミニウム箔が好ましい。また、耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与できる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。この場合、アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば、耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
金属箔層13の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
腐食防止処理層14は、金属箔層13と第2接着層15の密着力を向上させるとともに、電解液や、電解液と水分との反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を抑制する役割を果たす。
腐食防止処理層14は、塗布型、又は浸漬型の耐酸性の腐食防止処理剤によって形成された塗膜であることが好ましい。腐食防止処理層14が前記塗膜であれば、金属箔層13の酸に対する腐食の防止効果が向上する。さらに、金属箔層13上にアンカーが形成されることで金属箔層13と第2接着層15の密着力がより強固になり、電解液等の電池内容物に対する耐性が向上する。
前記塗膜としては、例えば、酸化セリウムとリン酸塩と各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるセリアゾール処理;クロム酸塩、リン酸塩、フッ化物と各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるクロメート処理等により形成される塗膜が挙げられる。
腐食防止処理層14の厚さは、腐食防止機能とアンカーとしての機能を考慮すると、10nm〜5μmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましい。
第2接着層15は、シーラント層16と、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とを接着する層である。
第2接着層15を構成する接着成分としては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸等の酸をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なかでも、金属箔層13との接着性が優れる点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
エラストマー樹脂としては、例えば、スチレン系又はオレフィン系の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
シーラント層16は、外装材1の最内層であり、電池組み立て時に熱封緘される層である。つまり、シーラント層16は、熱溶着性のフィルムからなる層である。
シーラント層16を構成するフィルムの成分としては、耐衝撃性及び熱封緘性に優れることから、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレンとしては、ホモ、ブロック、又はランダムポリプロピレンが挙げられる。
シーラント層16は、単層フィルムからなる層であってもよく、多層フィルムからなる層であってもよい。例えば、防湿性を付与する目的で、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
外装材1は、最内面、すなわちシーラント層16表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が100nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmである。なお、本発明における表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)は、JIS B0601−2001に準拠して測定される値を意味する。
シーラント層16表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が前記範囲内であることで、シーラント層16表面が優れた耐ブロッキング性及び滑り性を発現し、優れた成型性が得られる。また、シーラント層16表面における成型金型との接触部分に、塗布又はブリードアウトによって付与された滑剤が過剰に堆積することが抑制されるので、成型金型に滑剤が移行し難くなる。
また、輪郭曲線最大高さ(Rz)が2000nm以下であることで、シーラント層16表面に形成された凹部に付与された滑剤が、成型延伸時に凹部内から表面に出やすくなり、成型時の滑り性を保つことが可能となる。
また、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm以上であることで、シーラント層16表面における成型金型との接触部分が過度に大きくなることが抑制され、耐ブロッキング性を発揮しつつ、表面凹凸の凸部に存在する滑剤により充分な滑り性が得られる。 また、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が1500μm以下であることで、耐ブロッキング性の低下を抑制しつつ、シーラント層16における成型金型との接触面が過度に小さくなることが抑制され、充分な滑り性が得られる。
前記微粒子の平均粒径は、250〜4000nmが好ましく、500〜2000nmがより好ましい。なお、前記微粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置により測定された値を意味する。
外装材は、通常、製造後に巻かれた状態で保存されるので、保存時に最外面と最内面が接触した状態になるが、従来の外装材では、最内面のシーラント層表面に滑剤が付与され、該滑剤が最外面に転写されても、最外面の滑り性が充分に得られない。これに対し、外装材1では、基材保護層17表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が前記範囲内であることで、基材保護層17における成型金型との接触表面が小さく、かつシーラント層16との接触によって基材保護層17表面に転写された滑剤が、成型金型との接触部分(凸部先端面)で充分に効果を発揮するとともに、成型延伸時でも凹部の滑剤が作用し、基材保護層17表面に優れた滑り性が得られる。
つまり、基材保護層17表面に直接滑剤を塗布したり、基材保護層17内に滑剤を含有させたりしなくても、基材保護層17表面の滑り性を充分に確保できるので、製造時の作業工程を削減できる。
方法(2)における微粒子としては、シーラント層16の表面処理で挙げた微粒子と同じものが挙げられる。なかでも、基材保護層17表面における成型金型との接触部分への滑剤の転写性が向上することから、有機微粒子が好ましい。
以下、外装材1の製造方法について説明する。ただし、外装材1の製造方法は以下に記載する方法に限定されない。外装材1の製造方法としては、例えば、下記工程(1)〜(3)を有する方法が挙げられる。
(1)金属箔層13上に腐食防止処理層14を形成する工程。
(2)金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、第1接着層12を介して基材層11を積層し、さらに基材層11上に基材保護層17を形成する工程。
(3)金属箔層13における腐食防止処理層14側に、第2接着層15を介してシーラント層16を積層する工程。
例えば、金属箔層13の一方の面に、腐食防止処理剤を塗布、乾燥することで腐食防止処理層14を形成する。
腐食防止処理剤としては、例えば、前記したセリアゾール処理用の腐食防止処理剤、クロメート処理用の腐食防止処理剤等が挙げられる。
腐食防止処理剤の塗布方法は特に限定されず、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコート等、各種方法を採用できる。
金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、第1接着層12を形成する接着剤を用いて、ドライラミネーション等の手法で基材層11を貼り合わせて積層し、さらに基材層11上に基材保護層17を積層する。
ポリエステルフィルムによって基材保護層17を形成する場合、例えば、第1接着層12で使用する接着剤と同じ接着剤を使用し、基材層11上にドライラミネーション等の手法でポリエステルフィルムを貼り合わせる方法が挙げられる。
また、前記ポリアクリルポリオールと脂肪族系イソシアネート硬化剤によって基材保護層17を形成する場合、基材層11上にそれらを含む基材保護剤を塗布、乾燥させることで基材保護層17を形成する方法が挙げられる。前記基材保護剤の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、前記腐食防止処理剤の塗布方法で挙げた方法が挙げられる。
また、基材層11と基材保護層17を形成する樹脂を共押出することで多層フィルムを作製し、該積層フィルムを金属箔層13における腐食防止処理層14側に熱ラミネートにより積層させる方法でもよい。
工程(2)では、密着性を向上させる目的で、室温〜100℃の範囲でエージング処理を行ってもよい。
基材保護層17、基材層11、第1接着層12、金属箔層13及び腐食防止処理層14がこの順に積層された積層体の腐食防止処理層14側に、第2接着層15を介してシーラント層16を積層する。
第2接着層15として前述した熱可塑性樹脂を使用する場合、腐食防止処理層14上に該熱可塑性樹脂を押出ラミネートし、シーラント層16を貼り合せてサンドイッチラミネーションする方法が好ましい。また、第2接着層15とシーラント層16を形成する樹脂を共押出することで多層フィルムを作製し、該積層フィルムを前記積層体の腐食防止処理層14上に熱ラミネートにより積層させてもよい。
また、第2接着層15としてウレタン系接着剤を使用し、前記積層体の腐食防止処理層14側に、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法でシーラント層16を貼り合わせてもよい。
工程(3)では、密着性を向上させる目的で、室温〜100℃の範囲でエージング処理や熱ラミネートを行ってもよい。
なお、外装材1の製造方法は、前記工程(1)〜(3)を順次実施する方法に限定されない。例えば、工程(2)を行ってから工程(1)を行ってもよい。
外装材1Aは、内層側からだけでなく、外層側からの金属箔層13の腐食も防止することができる。外装材1Aは、前記工程(1)において金属箔層13の両面に腐食防止処理層14を形成することで製造できる。
外装材1Bの場合、最外面である基材層11表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が500nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmである。
本発明の二次電池は、本発明の二次電池用外装材を備えた二次電池である。本発明の二次電池は、本発明の二次電池用外装材を備えている以外は、公知の電池構成を採用できる。
本発明の二次電池としては、例えば、本発明の二次電池用外装材に冷間成型によって形成した凹部内に正極、セパレータ、負極及び電解液を収納し、タブを外装材内部から外部に導出した状態で熱封緘した二次電池が挙げられる。
なお、本発明の二次電池は、前記方法で製造したものには限定されない。
<使用材料>
本実施例で使用した材料を以下に示す。
[基材保護層]
基材保護剤A−1:アクリルポリオール(東レファインケミカル社製)と、脂肪族系イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン社製)とを、モル比(NCO/OH)が10となるようにトルエンに溶解し、アクリル系樹脂の微粒子(平均粒子径1.0μm、積水化成品工業社製)を添加した塗布液。前記微粒子の含有量は、所望の輪郭曲線高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)を得るために、前記アクリルポリオール、脂肪族系イソシアネート硬化剤及び前記微粒子の合計質量に対して、0.1〜50質量%の範囲で調整した。
基材フィルムB−1:ナイロン6フィルム(厚さ25μm)。
接着剤C−1:ポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン社製)。
金属箔D−1:軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム社製、厚さ40μm)。
処理剤E−1:溶媒として蒸留水を使用し、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。酸化セリウム100質量部に対して、リン酸塩は10質量部とした。
接着樹脂F−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学社製)。
シーラントフィルムG−1:滑剤としてエルカ酸アミドを0.1質量%含有する無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)。
金属箔D−1の両面に処理剤E−1を塗布、乾燥して、金属箔層の両面に腐食防止処理層を形成した。ついで、前記腐食防止処理層の一方の表面側に、ドライラミネート法によって、接着剤C−1を用いて基材フィルムB−1を貼り合わせ、第1接着層(厚さ3μm)を介して基材層を積層した。その後、前記基材層上に、ドライラミネート法によって基材保護剤A−1を塗布し、乾燥させることにより基材保護層(厚さ3μm)を形成させた。その後、60℃、6日間のエージングを行った。前記基材保護層の表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)は、基材保護剤A−1中のアクリル系樹脂の微粒子の含有量を調節することで調節した。
次に、もう一方の腐食防止処理層側に、押出装置にて接着樹脂F−1を押出し、シーラントフィルムG−1を貼り合わせ、サンドイッチラミネーションすることで、第2接着層(厚さ20μm)を介してシーラント層を積層した。その後、得られた積層体に対し、160℃、4kg/cm2、2m/分の条件で前記第2接着層及びシーラント層を溶融させ、それらを金属箔層上に形成された腐食防止処理層に熱圧着させた。その溶融状態のまま、凹凸を有する冷却ロール間に通すことによりシーラント層の表面処理を行い、表1及び表2に示す輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)の表面を有するシーラント層を形成した。
[表面粗さの評価方法]
(株)小坂研究所製の高精度微細形状測定器 SUREFCORDER ET4000A(JIS B0601−2001に準拠)を使用して、シーラント層及び基材保護層の表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)の測定を行った。
シーラント層の耐ブロッキング性の評価では、各例で得られた外装材から10cm×10cmの正方形の試験片を2枚切り出し、それら試験片の最内層(シーラント層)の表面をイソプロピルアルコール(IPA)で拭いた後、最内層同士を重ね合わせて60℃の雰囲気下で2kg/cm2の荷重をかけながら1日間放置し、その後に剥離してシーラント層表面を確認した。
基材保護層の耐ブロッキング性の評価では、前記と同様に外装材から10cm×10cmの正方形の試験片を2枚切り出し、それら試験片の最外層(基材保護層)の表面をIPAで拭いた後、最外層同士を重ね合わせて60℃の雰囲気下で2kg/cm2の荷重をかけながら1日間放置し、その後に剥離して基材保護層表面を確認した。
耐ブロッキング性の評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:ブロッキング部がない。
「×」:ブロッキング部がある。
各例で得られた外装材を40℃で6日間エージングし、シーラント層に含有されている滑剤を表面にブリードアウトさせた後、シーラント層表面(最内面)の動摩擦係数をJIS K−7125に準拠して測定した。最内面の滑り性の評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:動摩擦係数が0.3未満である。
「○」:動摩擦係数が0.3以上0.4未満である。
「×」:動摩擦係数が0.4以上である。
各例で得られた外装材を40℃で6日間エージングし、シーラント層に含有されている滑剤を表面にブリードアウトさせた後、シーラント層側の外観検査を目視にて行った。耐滑剤粉吹き性の評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:粉吹きが見られない。
「×」:シーラント層表面に滑剤が過剰に堆積して粉吹きが見られる。
各例で得られた外装材を巻いた状態で40℃6日間エージングし、シーラント層に含有されている滑剤を表面にブリードさせ、該滑剤を基材保護層に転写させた後、基材保護層表面(最外面)の動摩擦係数をJIS K−7125に準拠して測定した。最外面の滑り性の評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:動摩擦係数が0.3未満である。
「○」:動摩擦係数が0.3以上0.4未満である。
「×」:動摩擦係数が0.4以上である。
各例で得られた外装材を巻いた状態で40℃6日間エージングした後、該外装材から150mm×190mmのブランク状の試験片を切り出し、該試験片について冷間成型を実施し、成型性を評価した。パンチとしては、形状が100mm×150mm、パンチコーナーRが1.5mm、パンチ肩Rが0.75mm、ダイ肩Rが0.75mmのものを使用した。成型性の評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:破断、クラックを生じさせずに、成型深さ5mm以上の深絞り成型が可能である。
「×」:成型深さ5mm未満の深絞り成型で破断、クラックが生じる。
前記作製方法により、表1に示す輪郭曲線最大高さ(Rz)及び輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)の表面を有するシーラント層を備えた外装材を作製した。
得られた外装材のシーラント層表面の耐ブロッキング性、滑り性、耐滑剤粉吹き性の評価結果を表1に示す。
一方、シーラント層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が100nm未満の比較例1〜6の外装材は、シーラント層表面の凹凸が浅くほとんど平滑であるため、滑剤が表面にブリードアウトしてもブロッキングが発生した。また、該外装材は、シーラント層の表面積が小さくなりすぎたため、シーラント層表面に滑剤の粉吹きが生じた。
また、シーラント層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が2000nmを超える比較例15〜20の外装材は、シーラント層の表面凹凸が深く、ブリードアウトした滑剤の多くがシーラント層表面の凹部に溜まって滑り性の向上効果が発揮されないため、充分な滑り性が発揮されなかった。
また、シーラント層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)は100nm〜2000nmの範囲内であるが、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm未満である比較例7,9,11,13の外装材は、シーラント層の他材料との接触部分(凸部分先端面)が大きくなりすぎて、ブロッキングが生じた。
また、シーラント層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)は100nm〜2000nmの範囲内であるが、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が1500μmを超える比較例8,10,12,14の外装材は、シーラント層の表面積が小さくなりすぎて、シーラント層内からブリードアウトした滑剤が堆積して粉吹きが生じた。
前記作製方法により、表2に示す構成の外装材を作製した。基材保護層の耐ブロッキング性、基材保護層への滑剤の転写性、及び成型性の評価結果を表2に示す。
一方、基材保護層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が500nm未満の比較例21〜26の外装材は、転写性及び成型性は良好であったが、基材保護層表面の凹凸が浅くほとんど平滑であるためにブロッキングが発生した。
また、基材保護層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が2000nmを超える比較例33〜38の外装材は、基材保護層表面の凹凸が深いため、凹部への転写が少なくなり、成型延伸時の滑り性が充分に得られなかった。
基材保護層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)は500nm〜2000nmであるが、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm未満の比較例27,29,31の外装材は、基材保護層表面における他材料との接触部分(凸部分先端面)が大きくなり、最外面にブロッキングが生じた。
また、基材保護層表面の輪郭曲線最大高さ(Rz)は500nm〜2000nmであるが、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が1500μmを超える比較例28,30,32の外装材は、ブロッキングが発生するとともに、滑剤の転写ムラが生じ、最外面の滑り性が充分に得られず、成型性が低下した。
11 基材層
12 第1接着層
13 金属箔層
14 腐食防止処理層
15 第2接着層
16 シーラント層
17 基材保護層
Claims (5)
- 外側から、少なくとも基材層、第1接着層、金属箔層、腐食防止処理層、第2接着層、及び最内面に滑剤が付与されたシーラント層が順次積層された二次電池用外装材において、
JIS B0601−2001に準拠して測定された最内面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が100nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmであり、かつ最外面の輪郭曲線最大高さ(Rz)が500nm〜2000nmで、輪郭曲線要素の平均長さ(Rsm)が100μm〜1500μmであることを特徴とする二次電池用外装材。 - 前記基材層がポリアミドフィルムからなる層である、請求項1に記載の二次電池用外装材。
- 前記基材層の外側に、前記基材層を保護する基材保護層が積層されている、請求項1又は2に記載の二次電池用外装材。
- 前記基材保護層が、ポリエステル樹脂、又は、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールからなる群から選ばれる1種以上と脂肪族系イソシアネート硬化剤とから形成されたポリウレタン樹脂を含有する、請求項3に記載の二次電池用外装材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池用外装材を備えた二次電池。
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