JP6767795B2 - 蓄電デバイス用外装材及びその製造方法 - Google Patents

蓄電デバイス用外装材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スマートフォン、タブレット等の携帯機器に使用される電池やコンデンサ、ハイブリッド自動車、電気自動車、風力発電、太陽光発電、夜間電気の蓄電用に使用される電池やコンデンサ等の蓄電デバイスの外装材を構成するのに用いられるシーラントフィルム、該シーラントフィルムを用いた蓄電デバイス用外装材およびその製造方法に関する。
近年、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル電気機器の薄型化、軽量化に伴い、これらに搭載されるリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気2重層コンデンサ等の蓄電デバイスの外装材としては、従来の金属缶に代えて、耐熱性樹脂層/接着剤層/金属箔層/接着剤層/熱可塑性樹脂層(内側シーラント層)からなる積層体が用いられている。また、電気自動車等の電源、蓄電用途の大型電源、キャパシタ等も上記構成の積層体(外装材)で外装されることも増えてきている。前記積層体に対して張り出し成形や深絞り成形が行われることによって、略直方体形状等の立体形状に成形される。このような立体形状に成形することにより、蓄電デバイス本体部を収容するための収容空間を確保することができる。
このような立体形状にピンホールや破断等なく良好状態に成形するには内側シーラント層の表面の滑り性を向上させることが求められる。内側シーラント層の表面の滑り性を向上させて良好な成形性を確保するものとして、外装樹脂フィルム、第1の接着剤層、化成処理アルミニウム箔、第2の接着剤層、シーラントフィルムを順次積層した積層材であって、前記シーラントフィルムはα−オレフィンの含有量が2〜10重量%であるプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体から成り、これに滑剤を1000〜5000ppm含有させたものである二次電池容器用積層材が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−288865号公報
しかしながら、上記従来技術では、外装材(積層材)の生産工程での加温保持時間や保管期間によって表面滑剤析出量のコントロールが難しく、成形時のすべり性は良いものの、滑剤が表面に過度に析出するために、外装材の成形時に成形金型の成形面に滑剤が付着堆積していって白粉(滑剤による白粉)が発生する。このような白粉が成形面に付着堆積した状態になると、良好な成形を行い難くなることから、白粉が付着堆積する毎に清掃して白粉の除去を行う必要が生じるが、このような白粉の清掃除去を行うことで外装材の生産性が低下するという問題があった。
勿論、滑剤の添加量(滑剤含有率)を低減すれば、白粉の付着堆積を抑制することが可能になるが、この場合には表面滑剤析出量が不足して成形性が悪くなるという問題を生じる。このように従来では、優れた成形性と、外装材表面での白粉表出の抑制とを両立させることが難しかった。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、外装材の表面に析出する滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れると共に、表面に白粉が表出し難い、蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム、蓄電デバイス用外装材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]プロピレン系重合体と、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤と、を含有してなる無延伸フィルム層を少なくとも1層含むことを特徴とする蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム。
[2]プロピレン系重合体と、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤と、を含有してなる無延伸フィルム層からなることを特徴とする蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム。
[3]第1無延伸フィルム層と、該第1無延伸フィルム層の一方の面に積層された第2無延伸フィルム層と、を含む2層以上の積層体からなり、
前記第1無延伸フィルム層は、外装材の最内層を形成するものであり、
前記第1無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体と、滑剤と、を含有し、
前記第2無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するブロック共重合体と、滑剤と、を含有し、
前記第1無延伸フィルム層中の滑剤および/または前記第2無延伸フィルム層中の滑剤が、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含むことを特徴とする蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム。
[4]第2無延伸フィルム層と、該第2無延伸フィルム層の一方の面に積層された第1無延伸フィルム層と、前記第2無延伸フィルム層の他方の面に積層された第1無延伸フィルム層と、を含む3層以上の積層体からなり、
いずれか一方の前記第1無延伸フィルム層が、外装材の最内層を形成するものであり、
前記第1無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体と、滑剤と、を含有し、
前記第2無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するブロック共重合体と、滑剤と、を含有し、
外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層中の滑剤および/または前記第2無延伸フィルム層中の滑剤が、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含むことを特徴とする蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム。
[5]前記第1無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであり、前記第2無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が500ppm〜7000ppmである前項3または4に記載の蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム。
[6]前項1〜5のいずれか1項に記載のシーラントフィルムからなる内側シーラント層と、該内側シーラント層の片面側に積層された金属箔層とを含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
[7]外側層としての耐熱性樹脂層と、前項1〜5のいずれか1項に記載のシーラントフィルムからなる内側シーラント層と、これら両層間に配置された金属箔層とを含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
[8]外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲である前項6または7に記載の蓄電デバイス用外装材。
[9]前項6〜8のいずれか1項に記載の外装材の成形体からなる蓄電デバイス用外装ケース。
[10]前項1〜5のいずれか1項に記載のシーラントフィルムと、金属箔とを第1接着剤を介して積層した積層体を準備する工程と、
前記積層体を加熱処理して蓄電デバイス用外装材を得るエージング工程と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材の製造方法。
[11]前記第1接着剤が熱硬化性接着剤である前項10に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
[12]金属箔の一方の面に第2接着剤を介して耐熱性樹脂フィルムが積層されると共に前記金属箔の他方の面に第1接着剤を介して前項1〜5のいずれか1項に記載のシーラントフィルムが積層された構成の積層体を準備する工程と、
前記積層体を加熱処理して蓄電デバイス用外装材を得るエージング工程と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材の製造方法。
[13]前記第1接着剤が熱硬化性接着剤であり、前記第2接着剤が熱硬化性接着剤である前項12に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
[14]加熱処理して得た前記蓄電デバイス用外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲である前項10〜13のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
[1]の発明では、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高融点滑剤を含有してなる無延伸フィルム層を少なくとも1層含む構成であるので、外装材の表面(内側シーラント層の表面)に存在する滑剤の内側シーラント層への再侵入を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材の表面に白粉が表出し難い。また、外装材の表面に存在する滑剤量は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
[2]の発明では、シーラントフィルムは、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高融点滑剤を含有してなる無延伸フィルム層からなる構成であるから、外装材の表面(内側シーラント層の表面)に存在する滑剤の内側シーラント層への再侵入を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材の表面に白粉が表出し難い。また、外装材の表面に存在する滑剤量は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
[3]及び[4]の発明では、外装材の最内層を形成する第1無延伸フィルム層中の滑剤および/または第2無延伸フィルム層中の滑剤が、上記の高融点滑剤を含有する構成であるから、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に存在する滑剤の内側シーラント層への再侵入を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に白粉が表出し難い。また外装材の表面に存在する滑剤量は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
[5]の発明では、第1無延伸フィルム層における全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであり、第2無延伸フィルム層における全ての滑剤の含有濃度の合計値が500ppm〜7000ppmであるから、輸送や保管時等に熱履歴を受けても外装材の表面に析出する滑剤量を0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲に制御できる。
[6]及び[7]の発明では、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に存在する(析出する)滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に白粉が表出し難い、蓄電デバイス用外装材を提供できる。また、外装材の表面に存在する滑剤量は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
また[7]の発明では、さらに外側層としての耐熱性樹脂層を備えているから、金属箔層における内側シーラント層と反対側の絶縁性を十分に確保できるし、外装材の物理的強度および耐衝撃性を向上させることができる。
[8]の発明では、最内層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲であるから、成形時により良好なすべり性を発現し、さらに良好な成形性を確保できると共に、外装材表面への白粉の表出を十分に抑制できて加工装置の汚染を防止できる。
[9]の発明では、良好な成形がなされた外装ケースであって、外装ケースの表面(内側シーラント層の最内層の表面)に白粉が表出し難い蓄電デバイス用外装ケースを提供できる。
[10]〜[13]の発明では、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に存在する(析出する)滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に白粉が表出し難い、蓄電デバイス用外装材を製造できる。
また[12]及び[13]の発明では、さらに外側層としての耐熱性樹脂層を備えているから、金属箔層における内側シーラント層と反対側の絶縁性を十分に確保できるし、外装材の物理的強度および耐衝撃性を向上させることができる。
[14]の発明では、最内層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲であるから、成形時により良好なすべり性を発現し、さらに良好な成形性を確保できると共に白粉の表出を防止できる蓄電デバイス用外装材を製造することができる。また、得られた蓄電デバイス用外装材の表面に存在する滑剤量(0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2)は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
本発明に係る蓄電デバイス用外装材の第1実施形態を示す断面図である。 本発明に係る蓄電デバイス用外装材の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る蓄電デバイス用外装材の第3実施形態を示す断面図である。 本発明に係る蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。 図4の蓄電デバイスを構成する外装材(平面状のもの)、蓄電デバイス本体部及び外装ケース(立体形状に成形された成形体)をヒートシールする前の分離した状態で示す斜視図である。
本発明に係る、蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム3は、プロピレン系重合体と、融点が100℃以上の脂肪酸アミド(脂肪族アミド)および融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高融点滑剤と、を含有してなる無延伸フィルム層を少なくとも1層含む構成である。
前記プロピレン系重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するランダム共重合体、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するブロック共重合体、ホモポリプロピレン等が挙げられる。
本発明に係る、蓄電デバイスの外装材用シーラントフィルム3について3つの実施形態をそれぞれ図1〜3に示す。これら3つの実施形態は、代表的な実施形態を示したものに過ぎず、特にこのような構成に限定されるものではない。
図1に示す第1実施形態の外装材用シーラントフィルム3は、第1無延伸フィルム層7および該第1無延伸フィルム層の片面に積層された第2無延伸フィルム層8のみからなる構成(2層積層構成)である。このシーラントフィルム3を用いて構成される外装材1においては前記第1無延伸フィルム層7が最内層側に配置され(図1参照)、第2無延伸フィルム層8が金属箔層4側に配置され、前記第1無延伸フィルム層7が外装材1の内側の表面に露出している(図1参照)。
また、図2に示す第2実施形態の外装材用シーラントフィルム3は、第2無延伸フィルム層8と、該第2無延伸フィルム層の一方の面に積層された第1無延伸フィルム層7と、前記第2無延伸フィルム層8の他方の面に積層された第1無延伸フィルム層9と、からなる3層積層構成である。このシーラントフィルム3を用いて構成される外装材1においては、一方の第1無延伸フィルム層7が外装材1の最内層側に配置され(図2参照)、他方の第1無延伸フィルム層9が金属箔層4側に配置され、前記一方の第1無延伸フィルム層7が外装材1の内側の表面に露出している(図2参照)。
前記第1、2実施形態の外装材用シーラントフィルム3において、前記第1無延伸フィルム層7、9は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体と、滑剤と、を含有し、前記第2無延伸フィルム層8は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するブロック共重合体と、滑剤と、を含有する構成である。更に、外装材1の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層7中の滑剤および/または前記第2無延伸フィルム層8中の滑剤として、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高融点滑剤を含む構成である。滑剤の含有に関してこのような特定の構成を採用することにより、外装材1の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に存在する(析出する)滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材1の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に白粉が表出し難い。
また、図3に示す第3実施形態の外装材用シーラントフィルム3は、第1無延伸フィルム層7のみからなる構成である。このシーラントフィルム3を用いて構成される外装材1においては前記第1無延伸フィルム層7が最内層側に配置され(図3参照)、前記第1無延伸フィルム層7が外装材1の内側の表面に露出している(図3参照)。前記第3実施形態の外装材用シーラントフィルム3において、前記第1無延伸フィルム層7は、プロピレン系重合体と、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高融点滑剤と、を含有する構成である。滑剤の含有に関してこのような特定の構成を採用することにより、外装材1の表面(内側シーラント層の表面)に存在する(析出する)滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れるとともに、外装材1の表面に白粉が表出し難いものとなる。
本発明では、融点が100℃以上の高融点の滑剤を含有せしめており、例えば接着剤硬化のための加熱処理を行っても前記高融点滑剤はこのような加熱による影響を受けがたく、その結果として、滑剤の表面への過度な染み出しと侵入、滑剤の隣層への過度な移動等を十分に抑制することができると推定している。また、前記高融点滑剤は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても影響を受けがたく、従って外装材の表面に存在する滑剤量は、輸送や保管時等に熱履歴を受けても変動しないので、優れた成形性を安定して備えた外装材の提供が可能となる。
本発明のシーラントフィルム3において、シーラントフィルム3が2層以上の複層構成を採用する場合(図1、2)には、次のような構成を採用するのが好ましい。即ち、前記第1無延伸フィルム層7、9を構成するプロピレン系重合体としては、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するランダム共重合体を用いるのが好ましい。前記ランダム共重合体に関して、前記「プロピレンを除く他の共重合成分」としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4メチル−1−ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。
また、前記第2無延伸フィルム層8を構成するプロピレン系重合体としては、共重合成分として「プロピレン」及び「プロピレンを除く他の共重合成分」を含有するブロック共重合体を用いるのが好ましい。前記ブロック共重合体に関して、前記「プロピレンを除く他の共重合成分」としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4メチル−1−ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。
また、シーラントフィルム3が2層以上の複層構成を採用する場合(図1、2)には、前記第1無延伸フィルム層7に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであり、前記第2無延伸フィルム層8に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が500ppm〜7000ppmの範囲であるのが好ましい。また、前記第1無延伸フィルム層9に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであるのが好ましい。このような条件を満足していることで、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った際に、第1無延伸フィルム層7に存在する滑剤が、第2無延伸フィルム層8内に移動するのを抑制できるので、外装材1の表面(最内層である第1無延伸フィルム層の表面7a)に析出する滑剤量を確保できて外装材の成形時に良好なすべり性を確保できて優れた成形性が得られる。第1無延伸フィルム層7における滑剤の含有濃度が300ppm未満では、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った後において最内層の表面7aに存在する滑剤量が少なくなり成形性が低下するので好ましくなく、5000ppmを超えると、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った後において最内層の表面7aに白粉を生じやすくなり、白粉を清掃、除去する作業を要して生産性が低下するし、また外装材として使用する際にも金属箔層との接着力低下や電解液の汚染を生じやすいので好ましくない。また、第2無延伸フィルム層8における滑剤の含有濃度が500ppm未満では、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った際に最内層の第1無延伸フィルム層7から第2無延伸フィルム層8へ滑剤が移動しやすく、最内層の表面7aに存在する滑剤量が少なくなり成形性が低下するので好ましくなく、7000ppmを超えると、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った際に第2無延伸フィルム層8から第1無延伸フィルム層7、9へ滑剤が移動しやすく、生産中の装置内の白粉汚染が生じやすく、外装材として使用する際に金属箔層との接着力低下や電解液の汚染を生じやすいので好ましくない。
中でも、前記第1無延伸フィルム層7、9における滑剤の含有濃度は、300ppm〜2000ppmの範囲であるのがより好ましく、800ppm〜1500ppmの範囲であるのがさらに好ましい。また、前記第2無延伸フィルム層8における滑剤の含有濃度は、700ppm〜3000ppmの範囲であるのがより好ましく、800ppm〜2500ppmの範囲であるのがさらに好ましい。
また、シーラントフィルム3が2層以上の複層構成を採用する場合(図1、2)には、前記第2無延伸フィルム層8における滑剤含有濃度は、外装材1の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層7における滑剤含有濃度の0.1倍〜10倍である構成が好ましい。0.1倍以上であることで、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った際に最内層の第1無延伸フィルム層7から第2無延伸フィルム層8への滑剤の滑剤濃度勾配による界面(両フィルム層7、8の界面)への集中的な移動を抑制できて、最内層の表面7aに存在する滑剤量が十分なものとなってより優れた成形性が得られるし、10倍以下であることで、接着剤を硬化させるためのエージング処理を行った際に第2無延伸フィルム層8から最内層の第1無延伸フィルム層7への滑剤の滑剤濃度勾配による界面(両フィルム層7、8の界面)への集中的な移動を抑制できて、最内層の第1無延伸フィルム層7の滑剤含有量の変動を十分に抑制できる。中でも、前記第2無延伸フィルム層8における滑剤含有濃度は、外装材1の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層7における滑剤含有濃度の0.5倍〜5.0倍である構成がより好ましい。
前記高融点滑剤について説明する。前記融点が100℃以上の脂肪酸アミド(脂肪族アミド)としては、特に限定されるものではないが、例えば、
a)パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド
b)メチロールステアリン酸アミド等のメチロールアミド
c)メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド(EBSA)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド
d)エチレンビスオレイン酸アミド(EBOA)、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド
等が挙げられる。
また、前記融点が100℃以上の芳香族アミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、
e)m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−システアリルイソフタル酸アミド等の芳香族ビスアミド
等が挙げられる。
前記シーラントフィルム3の厚さは、10μm〜100μmに設定されるのが好ましい。10μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、100μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図ることができる。
前記シーラントフィルム3として図1の2層積層構成を採用する場合において、2層の厚さの比率は、第1無延伸フィルム層7の厚さ/第2無延伸フィルム層8の厚さ=5〜90/95〜10の範囲に設定されるのが好ましく、中でも、第1無延伸フィルム層7の厚さ/第2無延伸フィルム層8の厚さ=5〜40/95〜60の範囲に設定されるのが特に好ましい。
また、前記シーラントフィルム3として図2の3層積層構成を採用する場合において、3層の厚さの比率は、第1無延伸フィルム層7の厚さ/第2無延伸フィルム層8の厚さ/第1無延伸フィルム層9の厚さ=5〜45/90〜10/5〜45の範囲に設定されるのが好ましく、中でも、第1無延伸フィルム層7の厚さ/第2無延伸フィルム層8の厚さ/第1無延伸フィルム層9の厚さ=5〜20/90〜60/5〜20の範囲に設定されるのが特に好ましい。
前記最内層を形成する第1無延伸フィルム層7に、さらにアンチブロッキング剤を含有せしめてもよい。また、前記最内層を形成する第1無延伸フィルム層7および金属箔層側の第1無延伸フィルム層9の両方にアンチブロッキング剤を含有せしめてもよい。前記アンチブロッキング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ粒子、アクリル樹脂粒子、ケイ酸アルミニウム粒子等が挙げられる。前記アンチブロッキング剤の粒子径は、平均粒子径で0.1μm〜10μmの範囲にあるのが好ましく、中でも平均粒子径で1μm〜5μmの範囲にあるのがより好ましい。前記アンチブロッキング剤を第1無延伸フィルム層7、9に含有せしめる際のその含有濃度は100ppm〜5000ppmに設定されるのが好ましい。
前記アンチブロッキング剤(粒子)を前記最内層を形成する第1無延伸フィルム層7に含有せしめることにより、最内層7の表面7aに微小突起を形成しフィルム同士の接触面積を小さくしてシーラントフィルム同士のブロッキングを抑制できる。また、前記滑剤とともにアンチブロッキング剤(粒子)を含有させることで前記成形時のすべり性をさらに向上させることができる。
前記シーラントフィルム3は、多層押出成形、インフレーション成形、Tダイキャストフィルム成形等の成形法により製造されるのが好ましい。
本発明に係る蓄電デバイス用外装材1は、上記構成を備えたシーラントフィルム3を用いて作製されたものである。金属箔4の一方の面に第2接着剤(外側接着剤)5を介して耐熱性樹脂フィルム(外側層)2が積層されると共に前記金属箔4の他方の面に第1接着剤(内側接着剤)6を介して上記第1実施形態のシーラントフィルム3が積層された構成の積層体を準備する。この時、シーラントフィルム3の第2無延伸フィルム層8が第1接着剤(内側接着剤)6と接する(図1参照)。即ち、シーラントフィルム3の第1無延伸フィルム層7が最内層を形成する(図1参照)。次に、得られた積層体を加熱処理する(エージング処理を行う)ことによって、図1に示す構成の本発明の蓄電デバイス用外装材1を得ることができる。
また、金属箔4の一方の面に第2接着剤(外側接着剤)5を介して耐熱性樹脂フィルム(外側層)2が積層されると共に前記金属箔4の他方の面に第1接着剤(内側接着剤)6を介して上記第2実施形態のシーラントフィルム3が積層された構成の積層体を準備する。この時、シーラントフィルム3の一方の第1無延伸フィルム層9が第1接着剤(内側接着剤)6と接する(図2参照)。即ち、シーラントフィルム3の他方の第1無延伸フィルム層7が最内層を形成する(図2参照)。次に、得られた積層体を加熱処理する(エージング処理を行う)ことによって、図2に示す構成の本発明の蓄電デバイス用外装材1を得ることができる。
また、金属箔4の一方の面に第2接着剤(外側接着剤)5を介して耐熱性樹脂フィルム(外側層)2が積層されると共に前記金属箔4の他方の面に第1接着剤(内側接着剤)6を介して上記第3実施形態のシーラントフィルム3が積層された構成の積層体を準備する。この時、シーラントフィルム3の第1無延伸フィルム層7が第1接着剤(内側接着剤)6と接する(図3参照)。また、前記シーラントフィルム3の第1無延伸フィルム層7が最内層を形成する(図3参照)。次に、得られた積層体を加熱処理する(エージング処理を行う)ことによって、図3に示す構成の本発明の蓄電デバイス用外装材1を得ることができる。
前記第1接着剤(内側接着剤)6としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性接着剤等が挙げられる。また、前記第2接着剤(外側接着剤)5としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性接着剤等が挙げられる。前記熱硬化性接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられる。
前記エージング処理の加熱温度は、65℃以下に設定するのが好ましく、中でも、接着剤の硬化度および外装材の表面7aに存在する滑剤量の好適量の保持の観点から、35℃〜45℃に設定するのがより好ましい。また、前記エージング処理の加熱時間については、接着剤の種類により硬化時間が変わるため、接着剤の種類に合わせ十分な接着強度が得られる時間以上であれば良いが、工程のリードタイムを考慮すると、加熱時間は、十分な接着強度が得られる限りにおいてなるべく短い方が良い。
このようなエージング処理を経て得られた本発明の蓄電デバイス用外装材1は、金属箔層4の一方の面に第2接着剤層(外側接着剤層)5を介して耐熱性樹脂層(外側層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面に第1接着剤層(内側接着剤層)6を介して内側シーラント層(シーラントフィルム)(内側層)3が積層一体化された構成である(図1〜3参照)。第1、2接着剤として熱硬化性接着剤を使用した場合には、前記第1接着剤層6は、熱硬化性接着剤の硬化物からなり、前記第2接着剤層5は、熱硬化性接着剤の硬化物からなる。
上記エージング処理を経て得られた蓄電デバイス用外装材1は、製造に使用するシーラントフィルム3が、上述した特定の構成を備えているから、エージング処理後の蓄電デバイス用外装材1の最内層を形成する第1無延伸フィルム層7の表面7aに存在する滑剤量が0.1μg/cm2〜1.0μg/cm2の範囲に制御され得る。従って、得られた蓄電デバイス用外装材1は、表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に存在する(析出する)滑剤量の減少を抑制し得て成形時に良好なすべり性を確保できて成形性に優れると共に、外装材1の表面(内側シーラント層の最内層の表面7a)に白粉が表出し難い。
前記蓄電デバイス用外装材1において、前記第1無延伸フィルム層(最内層)7の表面7aの動摩擦係数は、0.10〜0.50の範囲にあるのが好ましい。0.50以下であることですべり性を向上できて良好な成形性を確保できると共に、0.10以上であることで最内層の表面7aへの滑剤のブリード量を低減できる。
本発明の蓄電デバイス用外装材1は、例えば、リチウムイオン2次電池用外装材として用いられる。前記蓄電デバイス用外装材1は、成形を施されることなくそのまま外装材として使用されてもよいし(図5参照)、例えば、深絞り成形、張り出し成形等の成形に供されて外装ケース10として使用されてもよい(図5参照)。
本発明の蓄電デバイス用外装材1において、前記内側シーラント層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液等に対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、外装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
また、前記耐熱性樹脂層(基材層;外側層)2は、必須の構成層ではないものの、前記金属箔層4の他方の面(内側シーラント層とは反対側の面)に第2接着剤層(外側接着剤層)5を介して耐熱性樹脂層2が積層された構成を採用するのが好ましい(図1〜3参照)。このような耐熱性樹脂層2を設けることにより、金属箔層4の他方の面(内側シーラント層とは反対側の面)側の絶縁性を十分に確保できるし、外装材1の物理的強度および耐衝撃性を向上させることができる。
前記耐熱性樹脂層(基材層;外側層)2を構成する耐熱性樹脂としては、外装材をヒートシールする際のヒートシール温度で溶融しない耐熱性樹脂を用いる。前記耐熱性樹脂としては、第1無延伸フィルム層7を構成するプロピレン系重合体の融点より10℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが好ましく、第1無延伸フィルム層7を構成するプロピレン系重合体の融点より20℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが特に好ましい。
前記耐熱性樹脂層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナイロンフィルム等のポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられ、これらの延伸フィルムが好ましく用いられる。中でも、前記耐熱性樹脂層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。前記ナイロンフィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム、MXDナイロンフィルム等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂層2は、単層で形成されていても良いし、或いは、例えばポリエステルフィルム/ポリアミドフィルムからなる複層(PETフィルム/ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。
前記耐熱性樹脂層(外側層)2の厚さは、2μm〜50μmであるのが好ましい。ポリエステルフィルムを用いる場合には厚さは2μm〜50μmであるのが好ましく、ナイロンフィルムを用いる場合には厚さは7μm〜50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで外装材として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形、絞り成形等の成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
本発明の蓄電デバイス用外装材1において、前記耐熱性樹脂層(外側層)2における金属箔層4とは反対側の表面に、蓄電デバイス用外装材1の最内層を形成する第1無延伸フィルム7に含有されていた滑剤が付着している構成であるのが好ましい。この付着滑剤は、ラミネート加工して得た蓄電デバイス用外装材1を巻いた状態でエージング処理する際に、巻いた状態での内側シーラント層3の表面7aとの接触により該内側層3から転写されたものである。前記転写後の付着量は、0.1μg/cm2〜0.8μg/cm2の範囲であるのが好ましい。付着量がこのような範囲であれば、蓄電デバイス用外装材1の成形性を高めることができる。中でも、前記転写後の付着量は、0.1μg/cm2〜0.6μg/cm2の範囲であるのがより好ましく、0.15μg/cm2〜0.45μg/cm2の範囲であるのが特に好ましい。前記蓄電デバイス用外装材1を深絞り成形等により成形した後は、この転写滑剤は、除去してもよいし、或いは放置しておいてもよいし、或いはまた自然に消失してしまってもよい。
前記金属箔層4は、外装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、SUS箔(ステンレス箔)、銅箔等が挙げられ、中でも、アルミニウム箔、SUS箔(ステンレス箔)を用いるのが好ましい。前記金属箔層4の厚さは、5μm〜120μmであるのが好ましい。5μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、120μm以下であることで張り出し成形、絞り成形等の成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。中でも、前記金属箔層4の厚さは、10μm〜80μmであるのがより好ましい。
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面(内側シーラント層3側の面)に、化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)〜3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施す。
前記化成皮膜は、クロム付着量(片面当たり)として0.1mg/m2〜50mg/m2が好ましく、特に2mg/m2〜20mg/m2が好ましい。
前記第2接着剤層(外側接着剤層)5の厚さは、1μm〜5μmに設定されるのが好ましい。中でも、外装材1の薄膜化、軽量化の観点から、前記外側接着剤層5の厚さは、1μm〜3μmに設定されるのが特に好ましい。
前記第1接着剤層(内側接着剤層)6の厚さは、1μm〜5μmに設定されるのが好ましい。中でも、外装材1の薄膜化、軽量化の観点から、前記内側接着剤層6の厚さは、1μm〜3μmに設定されるのが特に好ましい。
本発明の外装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、外装ケース(電池ケース等)10を得ることができる(図4、5参照)。なお、本発明の外装材1は、成形に供されずにそのまま使用することもできる(図4、5参照)。
本発明の外装材1を用いて構成された蓄電デバイス30の一実施形態を図4に示す。この蓄電デバイス30は、リチウムイオン2次電池である。本実施形態では、図4、5に示すように、外装材1を成形して得られた外装ケース10と、平面状の外装材1とにより外装部材15が構成されている。しかして、本発明の外装材1を成形して得られた外装ケース10の収容凹部内に、略直方体形状の蓄電デバイス本体部(電気化学素子等)31が収容され、該蓄電デバイス本体部31の上に、本発明の外装材1が成形されることなくその内側シーラント層3側を内方(下側)にして配置され、該平面状外装材1の内側シーラント層3(第1無延伸フィルム層7)の周縁部と、前記外装ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29の内側シーラント層3(第1無延伸フィルム層7)とがヒートシールによりシール接合されて封止されることによって、本発明の蓄電デバイス30が構成されている(図4、5参照)。なお、前記外装ケース10の収容凹部の内側の表面は、内側シーラント層3(第1無延伸フィルム層7)になっており、収容凹部の外面が耐熱性樹脂層(外側層)2になっている(図5参照)。
図4において、39は、前記外装材1の周縁部と、前記外装ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29とが接合(溶着)されたヒートシール部である。なお、前記蓄電デバイス30において、蓄電デバイス本体部31に接続されたタブリードの先端部が、外装部材15の外部に導出されているが、図示は省略している。
前記蓄電デバイス本体部31としては、特に限定されるものではないが、例えば、電池本体部、キャパシタ本体部、コンデンサ本体部等が挙げられる。
前記ヒートシール部39の幅は、0.5mm以上に設定するのが好ましい。0.5mm以上とすることで封止を確実に行うことができる。中でも、前記ヒートシール部39の幅は、3mm〜15mmに設定するのが好ましい。
なお、上記実施形態では、外装部材15が、外装材1を成形して得られた外装ケース10と、平面状の外装材1と、からなる構成であったが(図4、5参照)、特にこのような組み合わせに限定されるものではなく、例えば、外装部材15が、一対の平面状の外装材1からなる構成であってもよいし、或いは、一対の外装ケース10からなる構成であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、化成皮膜を形成した。この化成皮膜のクロム付着量は片面当たり10mg/m2であった。
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、2液硬化型のウレタン系接着剤5を介して厚さ25μmの二軸延伸6ナイロンフィルム2をドライラミネートした(貼り合わせた)。
次に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、4000ppmのベヘン酸アミド及び3000ppmのシリカ粒子(アンチブロッキング剤)を含有してなる厚さ21μmの第1無延伸フィルム7、エチレン−プロピレンブロック共重合体、500ppmのベヘン酸アミドを含有してなる厚さ9μmの第2無延伸フィルム8がこの順で2層積層されるようにTダイを用いて共押出することにより、これら2層が積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム(第1無延伸フィルム層7/第2無延伸フィルム層8)3を得た後、該シーラントフィルム3の第2無延伸フィルム層8面を、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤6を介して、前記ドライラミネート後のアルミニウム箔4の他方の面に重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で10日間エージングする(加熱する)ことによって、図1に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
なお、前記2液硬化型マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤として、主剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン(融点80℃、酸価10mgKOH/g)100質量部、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート体(NCO含有率:20質量%)8質量部、さらに溶剤が混合されてなる接着剤溶液を用い、該接着剤溶液を固形分塗布量が2g/m2になるように、前記アルミニウム箔4の他方の面に塗布して、加熱乾燥させた後、前記シーラントフィルム3の第2無延伸フィルム層8面に重ね合わせた。
参考例2>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、化成皮膜を形成した。この化成皮膜のクロム付着量は片面当たり10mg/mであった。
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、2液硬化型のウレタン系接着剤5を介して厚さ25μmの二軸延伸6ナイロンフィルム2をドライラミネートした(貼り合わせた)。
次に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、4000ppmのベヘン酸アミドおよび3000ppmのシリカ粒子(アンチブロッキング剤)を含有してなる厚さ4.5μmの第1無延伸フィルム7、エチレン−プロピレンブロック共重合体、500ppmのエルカ酸アミドを含有してなる厚さ21μmの第2無延伸フィルム8、エチレン−プロピレンランダム共重合体、4000ppmのベヘン酸アミドおよび3000ppmのシリカ粒子(アンチブロッキング剤)を含有してなる厚さ4.5μmの第1無延伸フィルム9がこの順で3層積層されるようにTダイを用いて共押出することにより、これら3層が積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム(第1無延伸フィルム層7/第2無延伸フィルム層8/第1無延伸フィルム層9)3を得た後、該シーラントフィルム3の一方の第1無延伸フィルム層9面を、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤6を介して、前記ドライラミネート後のアルミニウム箔4の他方の面に重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で10日間エージングする(加熱する)ことによって、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
なお、前記2液硬化型マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤として、主剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン(融点80℃、酸価10mgKOH/g)100質量部、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート体(NCO含有率:20質量%)8質量部、さらに溶剤が混合されてなる接着剤溶液を用い、該接着剤溶液を固形分塗布量が2g/m2になるように、前記アルミニウム箔4の他方の面に塗布して、加熱乾燥させた後、前記シーラントフィルム3の一方の第1無延伸フィルム層9面に重ね合わせた。
<実施例3>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として1000ppmのベヘン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として1000ppmのベヘン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として1000ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例4>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として4000ppmのステアリン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として4000ppmのステアリン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として500ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例5>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として4000ppmのパルミチン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として4000ppmのパルミチン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として500ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例6>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのベヘン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのベヘン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として7000ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例7>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として3000ppmのベヘン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として3000ppmのベヘン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として1000ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例8>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのエチレンビスオレイン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのエチレンビスオレイン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として7000ppmのエチレンビスオレイン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例9>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのエチレンビスステアリン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのエチレンビスステアリン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として7000ppmのエチレンビスステアリン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
参考例10>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、化成皮膜を形成した。この化成皮膜のクロム付着量は片面当たり10mg/m2であった。
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、2液硬化型のウレタン系接着剤5を介して厚さ25μmの二軸延伸6ナイロンフィルム2をドライラミネートした(貼り合わせた)。
次に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、2000ppmのベヘン酸アミドおよび3000ppmのシリカ粒子(アンチブロッキング剤)を含有してなる厚さ30μmの第1無延伸フィルム7からなるシーラントフィルム3を得た後、該シーラントフィルム3を、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤6を介して、前記ドライラミネート後のアルミニウム箔4の他方の面に重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で10日間エージングする(加熱する)ことによって、図3に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
なお、前記2液硬化型マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤として、主剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン(融点80℃、酸価10mgKOH/g)100質量部、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート体(NCO含有率:20質量%)8質量部、さらに溶剤が混合されてなる接着剤溶液を用い、該接着剤溶液を固形分塗布量が2g/m2になるように、前記アルミニウム箔4の他方の面に塗布して、加熱乾燥させた後、前記シーラントフィルム3に重ね合わせた。
参考例11>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのエルカ酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのエルカ酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として7000ppmのベヘン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例12>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのm−キシリレンビスステアリン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として1000ppmのm−キシリレンビスステアリン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<実施例13>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのm−キシリレンビスステアリン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのm−キシリレンビスステアリン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として1000ppmのm−キシリレンビスステアリン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材1を得た。
<比較例1>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として4000ppmのエルカ酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として500ppmのエルカ酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
<比較例2>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として4000ppmのエルカ酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として4000ppmのエルカ酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として500ppmのエルカ酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
<比較例3>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として4000ppmのオレイン酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として4000ppmのオレイン酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として500ppmのオレイン酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
<比較例4>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのエルカ酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として2000ppmのエルカ酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として7000ppmのエルカ酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
<比較例5>
第1無延伸フィルム7が滑剤として2000ppmのエルカ酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例10と同様にして、図3に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
<比較例6>
最内層の第1無延伸フィルム7が滑剤として1000ppmのエルカ酸アミドを含有し、金属箔層側の第1無延伸フィルム9が滑剤として1000ppmのエルカ酸アミドを含有し、第2無延伸フィルム8が滑剤として300ppmのエルカ酸アミドを含有する構成(表1参照)とした以外は、実施例2と同様にして、図2に示す構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
Figure 0006767795
Figure 0006767795
上記のようにして得られた各蓄電デバイス用外装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表2に示す。なお、表2に記載の動摩擦係数は、JIS K7125−1995に準拠して各外装材の最内層の表面7aについて測定した動摩擦係数である。また、表1において、「EBOA」は、エチレンビスオレイン酸アミドの略語であり、「EBSA」は、エチレンビスステアリン酸アミドの略語であり、「KBSA」は、m−キシリレンビスステアリン酸アミドの略語である。
<外装材の最内層の表面に存在する滑剤量の評価法>
各蓄電デバイス用外装材から縦100mm×横100mmの矩形状の試験片を2枚切り出した後、これら2枚の試験片を重ね合わせて互いのシーラント層の周縁部同士をヒートシール温度200℃でヒートシールして袋体を作製した。この袋体の内部空間内にシリンジを用いてアセトン1mLを注入し、シーラント層の最内層7の表面7aとアセトンとが接触した状態で3分間放置した後、袋体内のアセトンを抜き取った。この抜き取った液中に含まれる滑剤量をガスクロマトグラフを用いて測定、分析することにより、外装材の最内層の表面に存在する滑剤量(μg/cm2)を求めた。即ち、最内層の表面1cm2あたりの滑剤量を求めた。
<成形性評価法>
成形深さフリーのストレート金型を用いて外装材に対し下記成形条件で深絞り1段成形を行い、各成形深さ(9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm)毎に成形性を評価し、コーナー部にピンホールが全く発生しない良好な成形を行うことができる最大成形深さ(mm)を調べた。判定は、最大成形深さが5mm以上であるものを「○」とし、最大成形深さが2mm以上5mm未満であるものを「△」とし、最大成形深さが2mm未満であるものを「×」とした。なお、ピンホールの有無は、ピンホールを透過してくる透過光の有無を目視により観察することにより調べた。
(成形条件)
成形型…パンチ:33.3mm×53.9mm、ダイ:80mm×120mm、コーナーR:2mm、パンチR:1.3mm、ダイR:1mm
しわ押さえ圧…ゲージ圧:0.475MPa、実圧(計算値):0.7MPa
材質…SC(炭素鋼)材、パンチRのみクロムメッキ。
<白粉の有無評価法>
各蓄電デバイス用外装材から縦600mm×横100mmの矩形状の試験片を切り出した後、得られた試験片を内側シーラント層3面(即ち最内層の表面7a)を上側にして試験台の上に載置し、この試験片の上面に、黒色のウェスが巻き付けられて表面が黒色を呈しているSUS製錘(質量1.3kg、接地面の大きさが55mm×50mm)を載せた状態で、該錘を試験片の上面と平行な水平方向に引張速度4cm/秒で引っ張ることによって錘を試験片の上面に接触状態で長さ400mmにわたって引張移動させた。引張移動後の錘の接触面のウェス(黒色)を目視で観察し、ウェス(黒色)の表面に白粉が顕著に生じていたものを「×」とし、白粉が僅かに生じていたに過ぎないものを「△」とし、白粉が殆どないか又は白粉が認められなかったものを「○」とした。なお、上記黒色のウェスとしては、TRUSCO社製「静電気除去シートS SD2525 3100」を使用した。
<総合判定>
成形性評価が「○」であり、かつ白粉の有無評価も「○」であるものを総合判定で「○」と判定し、成形性評価および白粉の有無評価のうちいずれか一方が「△」であり、他方が「○」であるものを総合判定で「△」と判定し、成形性評価および白粉の有無評価のうち少なくともいずれか一方が「×」であるものを総合判定で「×」と判定した。総合判定で「○」又は「△」であるものを合格とした。
表から明らかなように、本発明のシーラントフィルムを用いて構成された実施例1〜13の本発明の蓄電デバイス用外装材は、成形性に優れていると共に、外装材の表面に白粉が表出し難いものであった。
これに対し、本発明の規定範囲を逸脱している比較例1〜5では、外装材の表面に白粉が顕著に生じており、総合判定が「×」であった。また、本発明の規定範囲を逸脱している比較例6では、成形性に劣っており、総合判定が「×」であった。
本発明に係るシーラントフィルムを用いて製作された蓄電デバイス用外装材および本発明に係る蓄電デバイス用外装材は、具体例として、例えば、
・リチウム2次電池(リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等)等の蓄電デバイス
・リチウムイオンキャパシタ
・電気2重層コンデンサ
等の各種蓄電デバイスの外装材として用いられる。また、本発明に係る蓄電デバイスは、上記例示した蓄電デバイスの他、全固体電池も含む。
1…蓄電デバイス用外装材
2…耐熱性樹脂層(外側層)
3…内側シーラント層(シーラントフィルム)(内側層)
4…金属箔層
5…第2接着剤層(外側接着剤層)
6…第1接着剤層(内側接着剤層)
7…第1無延伸フィルム層(最内層)
7a…第1無延伸フィルム層の表面(外装材の最内層の表面)
8…第2無延伸フィルム層
9…第1無延伸フィルム層(金属箔層側)
10…蓄電デバイス用外装ケース(成形体)
15…外装部材
30…蓄電デバイス
31…蓄電デバイス本体部

Claims (10)

  1. シーラントフィルムからなる内側シーラント層と、該内側シーラント層の片面側に積層された金属箔層とを含む蓄電デバイス用外装材であり、
    前記シーラントフィルムは、第1無延伸フィルム層と、該第1無延伸フィルム層の一方の面に積層された第2無延伸フィルム層と、を含む2層以上の積層体からなり、
    前記第1無延伸フィルム層は、外装材の最内層を形成するものであり、
    前記第1無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体と、滑剤と、を含有し、
    前記第2無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するブロック共重合体と、滑剤と、を含有し、
    前記第1無延伸フィルム層中の滑剤および前記第2無延伸フィルム層中の滑剤が、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含み、
    前記第1無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであり、前記第2無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が500ppm〜7000ppmであることを特徴とする蓄電デバイス用外装材
  2. シーラントフィルムからなる内側シーラント層と、該内側シーラント層の片面側に積層された金属箔層とを含む蓄電デバイス用外装材であり、
    前記シーラントフィルムは、第2無延伸フィルム層と、該第2無延伸フィルム層の一方の面に積層された第1無延伸フィルム層と、前記第2無延伸フィルム層の他方の面に積層された第1無延伸フィルム層と、を含む3層以上の積層体からなり、
    いずれか一方の前記第1無延伸フィルム層が、外装材の最内層を形成するものであり、
    前記第1無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体と、滑剤と、を含有し、
    前記第2無延伸フィルム層は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するブロック共重合体と、滑剤と、を含有し、
    外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層中の滑剤および前記第2無延伸フィルム層中の滑剤が、融点が100℃以上の脂肪酸アミドおよび融点が100℃以上の芳香族アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含み、
    前記第1無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が300ppm〜5000ppmであり、前記第2無延伸フィルム層に含まれる全ての滑剤の含有濃度の合計値が500ppm〜7000ppmであることを特徴とする蓄電デバイス用外装材
  3. 前記金属箔層の内側シーラント層とは反対側の面に外側層としての耐熱性樹脂層を含む請求項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  4. 外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm〜1.0μg/cmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電デバイス用外装材。
  5. 請求項3または4に記載の外装材の成形体からなる蓄電デバイス用外装ケース。
  6. 請求項1または2に記載のシーラントフィルムと、金属箔とを第1接着剤を介して積層した積層体を準備する工程と、
    前記積層体を加熱処理して蓄電デバイス用外装材を得るエージング工程と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材の製造方法。
  7. 前記第1接着剤が熱硬化性接着剤である請求項に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
  8. 金属箔の一方の面に第2接着剤を介して耐熱性樹脂フィルムが積層されると共に前記金属箔の他方の面に第1接着剤を介して請求項1または2に記載のシーラントフィルムが積層された構成の積層体を準備する工程と、
    前記積層体を加熱処理して蓄電デバイス用外装材を得るエージング工程と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス用外装材の製造方法。
  9. 前記第1接着剤が熱硬化性接着剤であり、前記第2接着剤が熱硬化性接着剤である請求項に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
  10. 加熱処理して得た前記蓄電デバイス用外装材の最内層を形成する前記第1無延伸フィルム層の表面に存在する滑剤量が0.1μg/cm〜1.0μg/cmの範囲である請求項6〜9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
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