JP2023180219A - 蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

Figure 2023180219000001
【課題】高い成形加工性を有する蓄電デバイス用包装材を提供する。
【解決手段】包装材1は、金属箔層3と、金属箔層3の外面側に設けられた基材層2と、金属箔層3の内面側に設けられた熱融着性樹脂層4とを積層状に備えた積層材からなる。熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aに配置されており、ポリオレフィン系フィルムからなる。バーコビッチ圧子を用いて測定された熱融着性樹脂層4のマルテンス硬さHMsが15N/mm~25N/mmの範囲である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池、コンデンサ等の蓄電デバイス用の包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイスに関する。
携帯電子機器(例:スマートフォン、タブレット)、電気自動車(ハイブリッド車を含む)、発電機用蓄電池、夜間電力用蓄電池などに使用される電池(例:リチウムイオン二次電池、全固体電気)、コンデンサ(例:電気2重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等の蓄電デバイスにおいては、その蓄電デバイス本体は包装材で包装される。
この包装材は、金属箔層と、金属箔層の外面側に設けられた基材層と、金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えるとともに、これらの層が積層状態で接着一体化された積層材からなる。熱融着性樹脂層は包装材の内面に配置されており、したがって包装材の内面が熱融着性樹脂層の表面からなる。
この包装材で蓄電デバイス本体として例えば電池本体を包装する場合、包装材に電池本体を収容するための空間を形成するため、包装材が容器状などの所定形状になるように包装材に対して金型(雌ダイ、パンチなど)を用いた絞り加工(例:深絞り成形加工、張出し成形加工)等の成形加工が施される。
包装材には安定した成形加工性を得るため金型に対して良好な滑り性が必要とされている。そこで、包装材の滑り性を良好にするため、特開2003-288865号公報(特許文献1)は、包装材を構成する所定材料からなるシーラントフィルムに滑剤を1000ppm~5000ppm含有させることを開示している。また、特開2006-318685号公報(特許文献2)は、包装材の熱接着性樹脂層(熱融着性樹脂層)の表面の中心線平均粗さRaを60nm~1000nmに調整することを開示している。
特開2003-288865号公報 特開2006-318685号公報
蓄電デバイスとして例えば車載用蓄電池は、航続距離を長くするため電池容量や体積エネルギー密度の向上が図られている。そのため、包装材にはシャープで深い形状に成形加工が可能であることが要求されている。近年、この要求は益々高まっており、包装材の滑り性を良好にすることだけで包装材をそのような形状に成形加工することが困難な場合が生じるようになっている。
そこで、包装材の滑り性の他に、良好な成形加工性に寄与する包装材の材料物性を見出す必要性が高まっている。
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、高い成形加工性を有する蓄電デバイス用包装材、当該包装材を用いた蓄電デバイス用包装ケース、及び当該包装材で包装された蓄電デバイスを提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) 金属箔層と、前記金属箔層の外面側に設けられた基材層と、前記金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えた積層材からなり、前記熱融着性樹脂層が内面に配置された蓄電デバイス用包装材であって、
前記熱融着性樹脂層がポリオレフィン系フィルムからなり、
バーコビッチ圧子を用いて測定された前記熱融着性樹脂層のマルテンス硬さHMsが15N/mm~25N/mmの範囲である蓄電デバイス用包装材。
2) 内面の動摩擦係数が0.02~0.3の範囲である前項1記載の蓄電デバイス用包装材。
3) 前記ポリオレフィン系フィルムが少なくとも一層のフィルムで形成されており、
前記少なくとも一層のフィルムにおいて、包装材の内面を形成するフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を500質量ppm~3000質量ppm含有している前項1又は2記載の蓄電デバイス用包装材。
4) 前項1~3のいずれかに記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を包装ケース構成部材として備えた蓄電デバイス用包装ケース。
5) 前項1~3のいずれかに記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を包装ケース構成部材として備えた包装ケース内に蓄電デバイス本体が収容された蓄電デバイス。
本発明は、本発明者が包装材の様々な材料物性のうち包装材の熱融着性樹脂層の圧縮耐性(変形度合い、反発度合い)に着眼し当該圧縮耐性と包装材の成形加工性との関係を調べたところ、熱融着性樹脂層の圧縮耐性を示す物性としてマルテンス硬さHMsが所定の範囲である場合には包装材を良好に成形加工できたという本発明者の知見に基づいてなされたものである。
すなわち、前項1では、バーコビッチ圧子を用いて測定された包装材の熱融着性樹脂層のマルテンス硬さHMsが15N/mm~25N/mmの範囲であることにより、次の効果を奏する。
HMsが15N/mm以上であることにより、包装材を金型(雌ダイ、パンチなど)を用いた絞り加工等により成形加工する場合において、雌ダイ上に配置された包装材の外周側の部分をその上側からしわ押さえ板で押さえたときに包装材におけるしわ押さえ板で押さえられた部分(この部分を包装材の「被押さえ部」ともいう)の上面としわ押さえ板の外周側にはみ出た部分の上面との間に生じる段差が小さくなる。これにより、包装材がパンチによって雌ダイ内にて押圧変形される際に包装材の被押さえ部が雌ダイ内にスムーズに引き込まれるようになるため、包装材の成形加工性が高くなる。
HMsが25N/mm以下であることにより、包装材において熱融着性樹脂層は金属箔層の変形に対して高い追随性を有する。そのため、包装材の成形加工時において金属箔層/熱融着性樹脂層の間のデラミネーション(層間剥離)や金属箔層のくびれ(局部的な肉厚減少)の発生が抑制される。したがって、包装材は高い成形加工性を有する。
前項2では、包装材の内面の動摩擦係数が0.02~0.3の範囲であることにより、次の効果を奏する。
包装材の内面の動摩擦係数が0.02以上であることにより、包装材をコイル状に巻回した際の包装材の巻きずれを確実に抑制できるし、包装ケースの製造ラインに沿うコンベヤ上での包装材の不慮の蛇行を確実に抑制ができる。
包装材の内面の動摩擦係数が0.3以下であることにより、包装材の内面の滑り性が高く、そのため包装材の成形加工性が向上する。
前項3では、ポリオレフィン系フィルムが少なくとも一層のフィルムで形成されており、前述の少なくとも一層のフィルムにおいて、包装材の内面を形成するフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を500質量ppm~3000質量ppm含有していることにより、次の効果を奏する。
上述のフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を500質量ppm以上含有することにより、包装材の内面の滑り性が確実に高められ、包装材の成形加工性が更に向上する。
上述のフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を3000質量ppm以下含有することにより、包装材の内面における滑剤のブリードアウト量を確実に低減することができ、そのため、包装材の内面に析出する白色の粉状の滑剤による金型や製造ラインの汚染を確実に抑制できる。
前項4では、シャープで深い成形形状を有する包装ケースを提供できる。
前項5では、シャープで深い成形形状を有する成形ケースで覆われた蓄電デバイスを提供できる。
図1は本発明の第1実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図2は本発明の第2実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図3は本発明の第3実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図4は本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスの概略断面図である。 図5は同蓄電デバイスを分解して示す概略斜視図である。 図6は、包装材の熱融着性樹脂層のマルテンス硬さHMsが小さい場合における包装材の成形加工途中の概略断面図である。 図7は、包装材の熱融着性樹脂層のマルテンス硬さHMsが大きい場合における包装材の成形加工途中の概略断面図である。
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る蓄電デバイス用包装材1は、基本的には、金属箔層3と、金属箔層3の外面側に配置された基材層2と、金属箔層3の内面側に配置された熱融着性樹脂層4とを積層状に備えた積層材からなり、これらの層2~4は積層状態で接着一体化されている。なお、符号「1a」は包装材1の内面、符号「1b」は包装材1の外面である。
詳述すると、基材層2と金属箔層3はこれら両層2、3間に配置された外側接着剤層8bを介して互いに接着されている。金属箔層3と熱融着性樹脂層4はこれら両層3、4間に配置された内側接着剤層8aを介して互いに接着されている。
熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aに配置されており、したがって包装材1の内面1aが熱融着性樹脂層4の表面からなる。
包装材1は長尺な帯状のものであってこれを巻回して製作された包装材コイルの形態で製品化されるのが一般的である。そして、包装材1を成形加工する際に包装材1が包装材コイルから巻き出されて成形加工に供される。
本第1実施形態では、包装材1は、図4及び5に示すように蓄電デバイスとして例えばリチウムイオン二次電池30の包装のために使用される。
リチウムイオン二次電池30は、蓄電デバイス本体としての電池本体31と、電池本体31を包囲した状態に収容する包装ケース20とを具備する。図5に示すように、包装ケース20は、上方に開口した直方体容器状の包装ケース本体21と、当該包装ケース本体21の開口を閉塞する平板状の蓋体22とを包装ケース20の構成部材として備えている。
包装ケース本体21は、上述の包装材1をその内面1aが内側に向くように金型(雌ダイ、パンチなど)を用いた深絞り成形加工又は張出し成形加工により直方体容器状に成形加工して製造されたものである。すなわち、当該包装ケース本体21は、包装材1の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品からなる。
包装ケース本体21の内面1aにおける中央部には電池本体31を収容する凹所21bが設けられており、また包装ケース本体21の外周部には外側に突出したフランジ部21aが接合予定部として設けられている。
蓋体22は、包装材1を成形加工しないで平坦な状態で用いられたものであり、蓋体22の外周部22aが蓋体22の接合予定部である。
電池30では、電池本体31が包装ケース本体21の凹所21b内に収容されるとともに、蓋体22がその内面1aを電池本体31側(下側)に向けて包装ケース本体21上に配置されており、そして包装ケース本体21のフランジ部(接合予定部)21aの熱融着性樹脂層(4、図1参照)と蓋体22の外周部(接合予定部)22aの熱融着性樹脂層(4、図1参照)とがヒートシールにより密封状態に熱融着(接合)されており、これにより電池本体31が包装ケース20で包囲された状態の電池30が形成されている。
なお図4中の符号「23」は、包装ケース本体21のフランジ部21aの熱融着性樹脂層4と蓋体22の外周部22aの熱融着性樹脂層4とのヒートシール部(熱融着部)である。
電池30において、包装ケース本体21を形成する包装材1の内面1aは電池本体31側に向いており、蓋体22を形成する包装材1の内面1aも電池本体31側に向いている。
なお、電池本体31に接続されたタブリードは一般に電池本体31からヒートシール部23を通って包装ケース20の外側に導出されているが、図4及び5ではタブリードは図示省略されている。
次に、包装材1の構成について以下に詳しく説明する。
図1に示した本第1実施形態の包装材1では、基材層2は耐熱性樹脂からなり、具体的には耐熱性樹脂フィルムからなる。この耐熱性樹脂フィルムとして、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたは二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが好ましい。これらの中でポリアミドフィルムとしては、特に限定されるものではないが例えば、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム、MXDナイロンフィルム等を好適に用いることができる。
また、基材層2の耐熱性樹脂としては、熱融着性樹脂層4を構成する全ての樹脂に対し10℃以上融点が高い樹脂、より好ましくは20℃以上高い樹脂を用いるのがよい。
基材層2の厚さは限定されるものでなく、好ましくは9μm~50μmの範囲であることがよい。
金属箔層3は金属箔からなる。この金属箔として、アルミニウム(Al)箔、銅(Cu)箔、ステンレス鋼(SUS)箔、チタン(Ti)箔、ニッケル(Ni)箔などを単独で用いてもよいし、2種以上の金属箔を貼り合わせたクラッド材等を用いてもよい。これらのうち金属箔としてアルミニウム箔が好適に用いられる。特に、アルミニウム箔のうち0.7質量%~1.7質量%のFeを含有するAl-Fe系合金箔は優れた強度及び展延性を有しているので、良好な成形加工性を確実に得ることができる。
金属箔層3の厚さは限定されるものではなく、好ましくは20μm~100μmの範囲であることがよい。
金属箔層3の内面及び外面の少なくとも一方の面には下地層3aが形成されていることが好ましい。本第1実施形態では、下地層3aは金属箔層3の内外両面にそれぞれ形成されている。
下地層3aは、シランカップリング剤の塗布処理や、クロメート処理などの化成処理を行うことによって形成することができる。下地層3aの形成により、金属箔層3の内外両面に設けられる接着剤層8a、8bとの接着強度を向上させることができ、接着剤層8a、8bの剥がれを有効に抑制することができる。
化成処理による皮膜(化成処理皮膜)によって下地層3aを形成する場合、化成処理としては、クロメート処理や、ジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理等がある。
例えば、クロメート処理の場合は、脱脂処理を行った金属箔の表面に下記1)~3)のいずれかの混合物の水溶液を塗工した後に乾燥させる。
1)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方との混合物
2)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方との混合物
3)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方との混合物。
化成処理皮膜のクロム付着量は、金属箔の片面で0.1mg/m~50mg/mに設定するのが良く、より好ましくは2mg/m~20mg/mに設定するのが良い。
なお、化成処理皮膜は金属箔層3の内面及び外面のいずれか一方の面だけに形成されてもよいし両方の面にそれぞれ形成されてもよい。
外側接着剤層8bを構成する接着剤としては、例えば、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール及びポリエステルウレタン系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液硬化型接着剤などを用いることができる。
外側接着剤層8bの厚さは限定されるものではなく、好ましくは2μm~5μmの範囲であることがよい。
内側接着剤層8aを構成する接着剤としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー系樹脂、フッ素系樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂からなる群より選ばれる樹脂を1種以上含む接着剤を好適に用いることができ、中でも特に、酸変性ポリオレフィンを主剤とするポリウレタン複合樹脂からなる接着剤を用いるのが好ましい。
内側接着剤層8aの厚さは限定されるものではなく、好ましくは2μm~5μmの範囲であることがよい。
熱融着性樹脂層4はポリオレフィン系フィルムからなる。このポリオレフィン系フィルムとして、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン(例:rPP(エチレン-プロピレンランダム共重合体)、bPP(エチレン-プロピレンブロック共重合体)、hPP(ポリプロピレンホモポリマー))系フィルムなどが用いられ、また、キャストポリプロピレン(CPP)フィルム、インフレーションポリプロピレン(IPP)フィルムなどの無延伸フィルムが好適に用いられる。さらに、無延伸フィルムとしては、エチレンープロピレンブロック共重合体の両面にエチレンープロピレンランダム共重合体を積層した三層共押出しポリプロピレンフィルムなどの複層のフィルムも使用できる。
また、ポリオレフィン系フィルムの外面(即ち、ポリオレフィン系フィルムにおける金属箔層3と貼り合わせる面)はコロナ処理されることが好ましい。
熱融着性樹脂層(ポリオレフィン系フィルム)4の厚さは限定されるものではなく、好ましくは20μm~120μmの範囲であることがよく、更に30μm~80μmの範囲であることが特に好ましい。
熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aを形成するシール層7を含んでいる。本第1実施形態では熱融着性樹脂層4はシール層7のみで構成されている。ただし本発明では、熱融着性樹脂層4はシール層7のみで構成されていることに限定されるものではなく、その他に例えば、図2及び図3に示す第2及び第3実施形態のようにシール層7を含む多層で構成されていてもよい。
すなわち、第2実施形態(図2)では、熱融着性樹脂層4はシール層7と金属箔層3側に配置されるラミネート層5との二層で構成されている。第3実施形態(図3)では、熱融着性樹脂層4はシール層7とラミネート層5とこれら両層5、7間に配置された中間層6との三層で構成されている。したがって、熱融着性樹脂層4がシール層(単層)7のみで構成されていても多層で構成されていても、シール層7は包装材1の熱融着性樹脂層4の最内層として配置される。
ここで以下では、熱融着性樹脂層4を構成する上述のポリオレフィン系フィルムを「熱融着性樹脂フィルム」ともいう。
第1実施形態のように熱融着性樹脂層4が単層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは単層フィルムで形成される。第2実施形態のように熱融着性樹脂層4が二層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは二層フィルムで形成される。第3実施形態のように熱融着性樹脂層4が三層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは三層フィルムで形成される。このような多層フィルムは共押出しにより形成することができる。
熱融着性樹脂フィルムが単層フィルムで形成される場合、熱融着性樹脂層4全体がシール層7を形成している。熱融着性樹脂フィルムが二層フィルムで形成される場合、二層フィルムのうち包装材1の内面1a側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のシール層7を形成し、金属箔層3側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のラミネート層5を形成する。熱融着性樹脂フィルムが三層フィルムで形成される場合、三層フィルムのうち包装材1の内面1a側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のシール層7を形成し、金属箔層3側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のラミネート層5を形成し、これら両フィルム間に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4の中間層6を形成する。
また、熱融着性樹脂フィルムが三層フィルムで形成される場合、ラミネート層5と中間層6とシール層7との厚さ比は限定されるものではなく、好ましくは1~1.5:7~8:1~1.5であることがよい。
熱融着性樹脂フィルムの融点は限定されるものではなく、好ましくは100℃~200℃の範囲であることがよい。
また、熱融着性樹脂層4のヒートシール性、デラミネーション耐性、電気絶縁性等を高めるため、シール層7及びラミネート層5はエチレン-プロピレンランダム共重合体(rPP)で形成されることが好ましく、中間層6はエチレン-プロピレンブロック共重合体(bPP)又はポリプロピレンホモポリマー(hPP)で形成されることが好ましい。
熱融着性樹脂層4において、少なくともシール層7はアンチブロッキング材(AB材)及び粗面化材の少なくとも一方を含有していることが好ましい。
AB材は平均粒径が0.05μm以上5μm以下の範囲の微粒子からなる。具体的にはAB材として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、タルク、カオリン、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどの微粒子が用いられる。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、AB材は特にシール層7に含有されることが好ましい。
AB材を含有する層(シール層7など)におけるAB材の質量添加率(質量含有率)は限定されるものではなく、好ましくは500質量ppm~3500質量ppmの範囲であることがよい。
粗面化材は平均粒径が5μmを超え20μm以下の範囲の粒子からなる。具体的には粗面化材として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、タルク、カオリン、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどの粒子が用いられる。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、粗面化材は特にシール層7に含有されることが好ましい。
粗面化材を含有する層(シール層7など)における粗面化材の質量添加率(質量含有率)は限定されるものではなく、好ましくは500質量ppm~5000質量ppmの範囲であることがよい。
さらに、粗面化材を含有する層(シール層7など)の厚さは5μm~20μmの範囲であることが好ましい。この層の厚さが5μm以上であることにより、この層からの粗面化材の脱落を確実に抑制することができる。この層の厚さが20μm以下であることにより、粗面化材の含有による粗面化効果が確実に得られる。
熱融着性樹脂層4において、少なくともシール層7には滑剤が添加されることが好ましい。滑剤の添加により、包装材1の内面1aの滑り性を好適な範囲に確実に調整することができる。
滑剤としては、飽和脂肪酸アミド(例:ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド)、不飽和脂肪酸アミド(例:オレイン酸アミド、エルカ酸アミド)、置換アミド(例:N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド)、メチロールアミド(例:メチロールステアリン酸アミド)、飽和脂肪酸ビスアミド(例:メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド)、不飽和脂肪酸ビスアミド(例:エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド)、脂肪酸エステルアミド(例:ステアロアミドエチルステアレート)、芳香族系ビスアミド(例:m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミド)などが用いられる。
これらの滑剤として、特に脂肪酸アミド系滑剤(即ち、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミドなど)を用いることが好ましい。
シール層7における脂肪酸アミド系滑剤の質量添加率(以下「滑剤添加率」ともいう)は500質量ppm~3000質量ppmの範囲であることが好ましい。その理由は次のとおりである。
滑剤添加率が500質量ppm以上であることにより、包装材1の内面1aにおいて良好な滑り性を確実に得ることができる。滑剤添加率が3000質量ppm以下であることにより、包装材1の内面1aにおける滑剤のブリードアウト量を確実に低減することができ、そのため、包装材1の内面1aに析出する白色の粉状の滑剤(以下「白粉」ともいう)による金型や製造ラインの汚染を確実に抑制することができる。
滑剤添加率について特に好ましい下限は600質量ppmであり、特に好ましい上限は2500質量ppmである。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、ラミネート層5における滑剤添加率はシール層7における滑剤添加率の0~1/2倍に設定することが好ましい。また多層フィルムが中間層6を含む場合、中間層6における滑剤添加率はシール層7における滑剤添加率の2倍程度に設定することが好ましい。
具体的には滑剤添加率は次の範囲に設定されることが好ましい。
・ラミネート層5における滑剤添加率:0質量ppm~1500質量ppm
・中間層6における滑剤添加率 :1000質量ppm~6000質量ppm
・シール層7における滑剤添加率 :500質量ppm~3000質量ppm。
包装材1の内面(即ち熱融着性樹脂層4の表面)1aに析出する白粉の析出量は限定されるものではなく、好ましくは0.1μg/cm~1μg/cmの範囲であることがよい。白粉の析出量が0.1μg/cm以上であることにより、包装材1の内面1aの滑り性を確実に良好に調整することができる。白粉の析出量が1μg/cm以下であることにより、白粉による金型や製造ラインの汚染を確実に抑制することができる。
包装材1の熱融着性樹脂層4のマルテンス硬さHMsは15N/mm~25N/mmの範囲に設定されている。その理由を図6及び7を参照して以下に説明する。
図6及び7では、絞り加工装置40に備えられた金型41の雌ダイ42上に包装材1がその内面1aを上側にして配置されている。したがって包装材1の上面が包装材1の内面1aである。さらに、包装材1の外周側の部分がその最外周部がはみ出るように上側からしわ押さえ板45で押さえられており、そのため包装材1におけるしわ押さえ板45で押さえられた部分11(この部分を包装材1の「被押さえ部11」という)の上面と包装材1におけるしわ押さえ板45の外周側にはみ出た部分12(この部分を包装材1の「はみ出し部12」という)の上面との間に段差Sが生じている。この状態で、金型41のパンチ43が下降することにより包装材1がパンチ43によって雌ダイ42内にて容器状に押圧変形される。このとき、包装材1の被押さえ部11は雌ダイ42内に引き込まれる。
HMsが小さい場合、図6に示すように段差Sが大きくなる。そのため、包装材1の被押さえ部11が雌ダイ42内に引き込まれる際の抵抗が大きく、包装材1の成形加工性が低下する。
HMsが大きい場合、図7に示すように段差Sが小さくなる。そのため、包装材1の被押さえ部11が雌ダイ42内に引き込まれる際の抵抗が小さい。これにより、包装材1の成形加工時に包装材1の押さえ部11が雌ダイ42内にスムーズに引き込まれ、良好な成形加工が行われる。
HMsが15N/mm以上であることにより、図7に示すように段差Sが小さくなる。そのため、包装材1を良好に成形加工することができ、即ち包装材1の成形加工性が高い。特に好ましいHMsの下限は16N/mmである。
HMsが25N/mmを超えると、段差Sは更に小さくなるが、包装材1において金属箔層3の変形に対する熱融着性樹脂層4の追随性が低下する。その結果、包装材1の成形加工時に包装材1が厳しい成形加工を受ける金型41のコーナー部及び雌ダイ42の肩部42aにおいて金属箔層3の変形に熱融着性樹脂層4が追随できなくなって金属箔層3/熱融着性樹脂層4の間のデラミネーション(層間剥離)や金属箔層3のくびれ(局部的な肉厚減少)が発生し易くなる。HMsが25N/mm以下である場合、そのような不具合の発生が抑制され、包装材1は高い成形加工性を有する。特に好ましいHMsの上限は21N/mmである。
HMsは、熱融着性樹脂フィルムにおける樹脂の条件(例:種類、融点、メルトフローレート(MFR)、分子量、添加剤)、フィルムの製膜条件(例:膜厚、延伸度合い、押出し温度、巻取り速度(加工速度)、冷却ロール温度、エアナイフ風量、アニール条件(温度・時間))などにより変化することから、これらの条件を適宜検討してHMsを15N/mm~25N/mmの範囲に設定することができる。
例えば、熱融着性樹脂フィルムを十分に急冷可能な製膜条件を当該フィルムにおける樹脂の条件に応じて調整することにより、HMsを15N/mm~25N/mmの範囲に設定することができる。具体的には、HMsが例えば高い熱融着性樹脂フィルムを製膜する場合は、熱融着性樹脂フィルムの製膜時においてフィルムの急冷速度を速くすることによりフィルムに微結晶を最初に多く生成させて結晶密度を高める。これによりHMsが高い熱融着性樹脂フィルムを製膜できる。
フィルムの急冷方法としては、冷却ロール温度を通常の冷却ロール温度(例えば40℃)よりも低く(例えば10℃~30℃低く)設定すること、フィルムの巻取り速度を遅くすること、エアナイフをONにすることなどが挙げられる。さらに、これらの急冷方法を二つ以上組み合わせてフィルムの急冷を行っても良い。なお、エアナイフをONにするとは、エアナイフを動作させること即ちエアナイフ風量をゼロよりも大きい所定の風量にすることを意味し、エアナイフをOFFにするとは、エアナイフを動作させないこと即ちエアナイフ風量をゼロにすることを意味する。以下同じである。
ここで、HMsは圧子としてバーコビッチ圧子を用いてISO14577(計装化押込み試験)に基づいて測定された値である。
HMsは、負荷試験力-押込み深さ曲線(負荷曲線)の勾配から求めるマルテンス硬さとも呼ばれている。本実施形態では、稜間角が115°のバーコビッチ圧子を用い、包装材1の熱融着性樹脂層4の表面に熱融着性樹脂層4の厚さの1/10の厚さまでバーコビッチ圧子を押し込んだ時の負荷試験力-押込み深さ曲線において、最大負荷試験力Pmaxの50%値(その時の変位h50)から90%値(その時の変位h90)までの押込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾きをMとしたとき、HMsは次の式(1)で算出される。
HMs=1/(26.43×M) …式(1)。
包装材1の内面1aの動摩擦係数は0.02~0.3の範囲であることが好ましい。その理由は次のとおりである。
包装材1の内面1aの動摩擦係数が0.02以上であることにより、包装材1をコイル状に巻回した際の包装材1の巻きずれを確実に抑制できるし、包装ケース20の製造ラインに沿うコンベヤ上での包装材1の不慮の蛇行を確実に抑制できる。より好ましい動摩擦係数の下限は0.05である。
包装材1の内面1aの動摩擦係数が0.3以下であることにより、包装材1の内面1aの滑り性が高く、そのため包装材1の成形加工性が向上する。より好ましい動摩擦係数の上限は0.25である。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば上記実施形態では、包装材1において金属箔層3と熱融着性樹脂層4は内側接着剤層8aを介して互いに接着されているが、本発明ではその他に例えば両層3、4が内側接着剤層8aを介さずに接着されていてもよい。
また本発明では、包装材により包装される蓄電デバイスの本体は、リチウムイオン二次電池等の各種電池の電池本体であることに限定されるものではなく、その他に例えば各種コンデンサのコンデンサ本体などであってもよい。
本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
Figure 2023180219000002
Figure 2023180219000003

Figure 2023180219000004
Figure 2023180219000005
1.ポリオレフィン系フィルムの製造
包装材1の熱融着性樹脂層4を構成するポリオレフィン系フィルム(以下「熱融着性樹脂フィルム」ともいう)として、単層CPPフィルムと三層共押出しCPPフィルムを次の方法により製造した。
(1)単層CPPフィルム
実施例7、比較例3、4では、hPP又はrPPにAB材、粗面化材及び滑剤を所定量添加し、製膜条件(巻取り速度、エアナイフON/OFF、及び冷却ロール温度)を調整することによりマルテンス硬さHMsの異なる厚さ25μm及び30μmの単層CPPフィルムを製造した。
このCPPフィルムでは、AB材としてシリカ微粒子、炭酸Ca(炭酸カルシウム)微粒子又はアルミナ微粒子を、粗面化材としてHDPE(高密度ポリエチレン)ビーズ又はアクリル樹脂ビーズを、及び滑剤としてエルカ酸アミドをそれぞれ用いた。その詳細を表1及び2に示す。
なお表1及び2において、AB材の添加率、粗面化材の添加率及び滑剤の添加率はいずれも質量添加率(質量含有率)を意味している。以下同じである。
また、このCPPフィルムを製造したときの製膜条件(巻取り速度、エアナイフON/OFF、及び冷却ロール温度)を表3に示す。
(2)三層共押出しCPPフィルム
実施例1~6、比較例1、2では、bPPを中間層6とし、rPP又は/及びhPPをシール層7及びラミネート層5とし、各層にAB材、粗面化材又は/及び滑剤を所定量添加し、製膜条件(巻取り速度、エアナイフON/OFF、及び冷却ロール温度)を調整することによりマルテンス硬さHMsの異なる厚さ40μm及び80μmの三層共押出しCPPフィルムを製造した。
このCPPフィルムでは、AB材としてシリカ微粒子又は炭酸カルシウム(炭酸Ca)微粒子を、粗面化材としてHDPEビーズを、及び滑剤としてエルカ酸アミドをそれぞれ用いた。その詳細を表1及び2に示す。
また、このCPPフィルムを製造したときの製膜条件(巻取り速度、エアナイフON/OFF、及び冷却ロール温度)を表3に示す。
2.包装材の製造
厚さ40μmのアルミニウム箔(金属箔層3)(材質:A8021-O)の内外両面にそれぞれ下地層3aとして化成処理皮膜(厚さ:0.05μm)を形成した。この化成処理皮膜の形成は、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水及びアルコールからなる化成処理液をアルミニウム箔の両面に塗布した後、180℃で乾燥することにより行った。化成処理皮膜のクロム付着量はアルミニウム箔の片面で5mg/mであった。
次いで、上述の化成処理済みアルミニウム箔の一方の面(外面)に、外側接着剤層8bとしての2液硬化型ウレタン系接着剤層(厚さ:3μm)を介して基材層2としての厚さ25μmの二軸延伸6ナイロン(ONy)フィルムをドライラミネートした(貼り合わせた)。
次いで、上述の単層CPPフィルムの外面又は上述の三層共押出しCPPフィルムのラミネート層5の外面に、内側接着剤層8aとして2液硬化型接着剤層(厚さ:2μm)を介して上述のドライラミネート後のアルミニウム箔の他方の面(内面)を重ね合わせて、ゴムニップロールと100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、その後、40℃で7~10日間エージングすることにより、評価用包装材1を製造した。
なお、上述の単層CPPフィルムの外面及び上述の三層共押出しCPPフィルムのラミネート層5の外面は、当該外面に上述のドライラミネート後のアルミニウム箔の他方の面(内面)が重ね合わされる前に、コロナ処理されている。また、内側接着剤層8aとしての2液硬化型接着剤層の接着剤として、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とイソシアネートとの2液硬化型接着剤を用いた。
3.評価
上述の評価用包装材1について、熱融着性樹脂層4のマルテンス硬さHMs、動摩擦係数、成形加工性試験、及び白粉拭取り試験を行った。その結果を表4に示す。
HMs及び動摩擦係数の測定方法、並びに成形加工性試験及び白粉拭取り試験の方法は以下のとおりである。
<マルテンス硬さHMs>
スライドガラス上に東亞合成株式会社製の瞬間接着剤「アロンアルファ(登録商標)」を1滴塗布し、この瞬間接着剤を介して評価用包装材1から採取した試料片の外面1b、即ち基材層2の表面をスライドガラスに接着固定した。次いで、試料片の内面1a、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面を測定面とし、ISO14577に基づきバーコビッチ圧子を用いてHMsを測定した。この測定は少なくとも5回行われ、その測定値の算術平均値をHMsの値とした。
この測定に用いた装置及びソフトウェア名は次のとおりであり、HMsをこのソフトウェアにより算出した。
・測定装置:ダイナミック超微小硬度計 DUH-211 (株式会社島津製作所製)
・ソフトウェア:SHIMAZU DUH アプリケーション Version2.20。
また、その測定条件は次のとおりである。
・バーコビッチ圧子:稜間角115.0° 三角錐ダイヤモンド圧子
・測定温度:23℃
・測定相対湿度:60%RH
・負荷速度:2.6648mN/s
・最大押込み深さ:熱融着性樹脂層4の厚さの10%(例:厚さ80μmの熱融着性樹脂フィルム(熱融着性樹脂層4)の場合、最大押込み深さは8μm)。
ここで、バーコビッチ圧子による熱融着性樹脂層4の表面への最大押込み深さが熱融着性樹脂層4の厚さの10%であることから、この測定で得られるHMsは、詳述すると、熱融着性樹脂層4におけるその表面から厚さ(深さ)10%までの表層部の値である。
<動摩擦係数>
評価用包装材1から採取した試料片の内面1a、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面について、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定器TR型を用いてJIS K7125:1999に準拠して動摩擦係数を測定した。この測定は少なくとも3回行われ、その測定値の算術平均値を動摩擦係数の値とした。
<成形加工性試験>
株式会社アマダ製のプレス成形機(品番:TP-25C-X2)を用い、評価用包装材1から採取した試料素板を絞り加工装置により成形加工速度20spmで縦55mm×横35mm×深さ4mm~8mmの直方体容器状に深絞り成形加工した。そして、得られた深絞り成形加工品のコーナー部においてピンポールの発生の有無を透過光により目視にて確認し、ピンホールが発生しない最大成形加工深さを調べ、包装材の成形加工性を評価した。その評価基準は次のとおりである。なお、◎と○を成形加工性試験の合格とした。
◎:最大成形加工深さが7mm以上
○:最大成形加工深さが5mm以上7mm未満
×:最大成形加工深さが5mm未満。
<白粉拭取り試験>
評価用包装材1から採取した縦200mm×横100mmの長方形状の試料片の内面1aの全体、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面の全体を黒い布で拭き、拭いた後の黒い布への白粉の付着状態を目視にて評価した。その評価基準は次のとおりである。
○:白粉の付着が殆どなし
△:白粉の付着が僅かに認められた
×:白粉の付着が多い。
表4の「成形加工性」欄から分かるように、実施例1~7の場合、成形加工性が良好であった。したがって、包装材の熱融着性樹脂層(詳述すると、包装材の熱融着性樹脂層におけるその表面から厚さ10%までの表層部)のHMsが15N/mm~25N/mmの範囲である場合、包装材は高い成形加工性を有することを確認し得た。
本発明は、電池(例:リチウムイオン二次電池、全固体電池)、コンデンサ(例:電気2重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等の蓄電デバイス用の包装材などに利用可能である。
1:包装材
1a:包装材の内面
2:基材層
3:金属箔層
4:熱融着性樹脂層
20:包装ケース
21:包装ケース本体(成形加工品)
30:電池(蓄電デバイス)
31:電池本体(蓄電デバイス本体)

Claims (5)

  1. 金属箔層と、前記金属箔層の外面側に設けられた基材層と、前記金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えた積層材からなり、前記熱融着性樹脂層が内面に配置された蓄電デバイス用包装材であって、
    前記熱融着性樹脂層がポリオレフィン系フィルムからなり、
    バーコビッチ圧子を用いて測定された前記熱融着性樹脂層のマルテンス硬さHMsが15N/mm~25N/mmの範囲である蓄電デバイス用包装材。
  2. 内面の動摩擦係数が0.02~0.3の範囲である請求項1記載の蓄電デバイス用包装材。
  3. 前記ポリオレフィン系フィルムが少なくとも一層のフィルムで形成されており、
    前記少なくとも一層のフィルムにおいて、包装材の内面を形成するフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を500質量ppm~3000質量ppm含有している請求項1又は2記載の蓄電デバイス用包装材。
  4. 請求項1又は2記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を包装ケース構成部材として備えた蓄電デバイス用包装ケース。
  5. 請求項1又は2記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を包装ケース構成部材として備えた包装ケース内に蓄電デバイス本体が収容された蓄電デバイス。
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