ところで、屋内スペースの有効利用の観点からすると、パントリーが食料品等を収納するためだけに用いられるのは好ましくない。その一方で、パントリーはキッチンの奥に設けられているため、パントリーへはキッチンを通って出入りするしかなく、パントリーを他の用途で利用しようとしても使い勝手がよくないと考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パントリーの有効利用を図ることができる建物を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物は、建物内の部屋として、食料品等を収納する食品庫であるパントリーがキッチンに隣接して設けられた建物であって、前記パントリーは、前記キッチンの他に洗面室にも隣接して配置されており、前記パントリーへの出入口として、前記キッチンから前記パントリーへの出入りを可能とする第1出入口と、前記洗面室から前記パントリーへの出入りを可能とする第2出入口とが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、パントリー(食品庫)がキッチンに隣接して設けられているとともに、洗面室にも隣接して設けられており、キッチンからは第1出入口を通じてパントリーへの出入りが可能となっており、洗面室からは第2出入口を通じてパントリーへの出入りが可能となっている。これにより、キッチンと洗面室との間をパントリーを通じて行き来することができるため、キッチンで料理をしたり洗面室で洗濯をしたりする等家事を行う際の家事動線を短縮化させることができる。そのため、パントリーを利用して家事の効率化を図ることができ、パントリーの有効利用を図ることができる。
また、パントリーが洗面室に隣接して設けられているため、パントリーには食料品等だけでなく、洗面室で用いられる洗剤やせっけん等を収納することもできる。この場合、キッチン及び洗面室で家事を行う際に必要なものをそれら各部屋の近くに収納しておくことができるため、家事を行うにあたって好都合となる。
第2の発明の建物は、第1の発明において、前記パントリーは、外壁を隔てて屋外に隣接しており、前記外壁には、前記パントリーから屋外への出入りを可能とする第3出入口が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、さらに、パントリーから屋外へ第3出入口を通じて出入りが可能となっているため、例えばキッチンからパントリーを通じて屋外にごみ出しに出たり、洗面室からパントリーを通じて屋外に洗濯物を干しに出たりすることができる。この場合、ごみ出しや洗濯物干しを速やかに行うことができるため、パントリーを利用してさらなる家事の効率化を図ることができ、パントリーについてより一層の有効利用を図ることができる。
また、パントリーが屋外に隣接して設けられているため、パントリーには、屋外で洗濯物を干す際に用いられる洗濯ばさみやハンガー等を収納しておくこともできる。この場合、キッチン、洗面室及び屋外のそれぞれで家事を行う際に必要なものを近くに収納しておくことができるため、家事を行うにあたってより好都合となる。
第3の発明の建物は、第2の発明において、前記パントリーには、食料品等を収納するための収納棚が設置されており、前記パントリーの四方を囲む4つの壁部のうち、3つの壁部にそれぞれ前記第1出入口と前記第2出入口と前記第3出入口とが形成されており、それら出入口が形成されていない残りの壁部の壁面に沿って前記収納棚が設置されていることを特徴とする。
一般に、パントリーには、食料品等を収納する収納棚が設置されている。キッチン、洗面室及び屋外のそれぞれからパントリーへの出入りが可能とされている上記第2の発明の構成では、この収納棚にキッチン、洗面室及び屋外のそれぞれで家事に用いられるものが収納されることが想定される。そこで本発明では、この点に鑑みて、パントリーを囲む4つの壁部のうち、出入口が形成されていない壁部の壁面に沿って収納棚を設置している。この場合、いずれの出入口からパントリーに入ったとしても、すなわちキッチン、洗面室及び屋外のいずれからパントリーに入ったとしても、収納棚へのアクセスがし易い。このため、収納棚の使い勝手をよくすることができる。
第4の発明の建物は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記キッチンに隣接してダイニングが設けられており、前記キッチンと前記洗面室との間を前記ダイニングを経由して行き来する場合に、前記洗面室への出入りを行うための出入口として第4出入口が設けられていることを特徴とする。
キッチンに隣接してダイニングが設けられている建物では、通常、家事を行うにあたってキッチンと洗面室との間を行き来する際、ダイニングを経由して移動することになる。しかしながら、ダイニングに来客がいる場合等には、客の前を通って移動することになるため都合が悪い。その点、本発明によれば、パントリーを経由してキッチンと洗面室との間を行き来することができるため、ダイニングに来客がいる場合であっても客の前を通らずに家事を行うことができる。
第5の発明の建物は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記キッチンと隣接しかつ囲み部によって囲まれた居室が設けられており、前記囲み部には、前記キッチンと前記居室との間を出入りするための出入部が設けられており、前記出入部には、前記囲み部の一部であってかつ当該出入部を開閉する開閉部材が設けられており、前記開閉部材は、前記キッチンから前記居室を見通すための見通し部を有することを特徴とする。
本発明によれば、キッチンと隣接して居室が設けられているため、キッチンで家事をする際にその居室を子供やペット(以下、子供等という)の居場所として利用すれば、子供等がけがをする等の不都合が起こっても即座に対応することができる。また、居室が囲み部によって囲まれているため、子供等が勝手に居室から出て料理をしているキッチンの方へ来てしまうのを防止することができる。これにより、子供等の安全性を確保しながらキッチンで家事を行うことができる。
また、キッチンと居室との間を出入りするための出入部には開閉部材が設けられ、その開閉部材には見通し部が設けられているため、出入部を開閉部材により閉鎖した状態でもキッチンから見通し部を通じて子供等の様子を監視することができる。これにより、子供等の安全性を好適に確保しながらキッチンで家事をすることができる。
第6の発明の建物は、第5の発明において、前記キッチンを挟んで前記パントリーとは反対側に前記居室が配置されており、前記第1出入口は、前記キッチンを挟んで前記出入部と対向して配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1出入口がキッチンを挟んで出入部と対向して配置されているため、家事を行うにあたってパントリーを通る際、パントリーから第1出入口と出入部(開閉部材の見通し部)とを通じて居室を見ることができる。これにより、パントリーを通る度に、居室にいる子供等の様子をキッチン越しに伺うことができるため、子供等の安全性をより確保し易くすることができる。
第7の発明の建物は、第5又は第6の発明において、前記居室は、屋外に隣接して設けられ、前記囲み部の一部である外壁部分によって屋外と仕切られており、前記外壁部分には、前記居室と屋外とを連通する開口部が形成されており、前記開閉部材には、前記居室と前記キッチンとを通気可能に連通する通気部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、居室が屋外と外壁部分によって仕切られており、その外壁部分には居室と屋外とを連通する開口部が形成されているため、その開口部を通じて居室に風(外気)を取り込むことができる。これにより、居間において子供等が快適に過ごすことが可能となる。また、開閉部材には通気部が設けられているため、開閉部材を閉めたままでも居室に取り込まれた風を通気部を通じてキッチンへ送り込むことができる。これにより、居室における子供等の安全性を確保しながら、キッチンにおいて家事を快適に行うことが可能となる。
第8の発明の建物は、第7の発明において、前記パントリーは、外壁を隔てて屋外に隣接しており、前記外壁には、前記パントリーから屋外への出入りを可能とする第3出入口が設けられており、前記第3出入口は、前記パントリーを挟んで前記第1出入口と対向して配置されており、前記キッチンを挟んで前記パントリーとは反対側に前記居室が配置されており、前記第1出入口は、前記キッチンを挟んで前記出入部と対向して配置されており、前記開口部は、前記居室を挟んで前記出入部と対向して配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、キッチンを挟んだ両側にパントリーと居室とがそれぞれ配置されており、パントリー、キッチン、居室がこの順に一列に並んで配置されている。そして、パントリーを屋外と隔てる外壁に設けられた第3出入口がパントリーを挟んで第1出入口と対向配置され、第1出入口がキッチンを挟んで出入部と対向配置され、出入部が居室を挟んで開口部と対向配置されている。この場合、第3出入口、第1出入口、出入部及び開口部が一列に並んで配置されているため、これら各開口を通じて居室、キッチン及びパントリーに好適に風を通すことができる。これにより、居室とキッチンとを共に快適な空間とすることができるとともに、パントリーに湿気がこもるのを抑制することができるため、居室にいる子供等にとっても、キッチンで家事をする者にとっても、パントリーに収納されている食材にとっても、良好な環境とすることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態における建物は二階建ての住宅となっており、この住宅に居住者として夫婦と子供とからなる4人家族が居住している場合を想定している。図1は、住宅の一階部分の間取りを示す平面図である。
図1に示すように、住宅10は、平面視において略矩形状をなしており、その外周部には外壁11が設けられている。住宅10の一階部分には、その外壁11により囲まれた内側に、屋内空間として、玄関12と、LD(リビング・ダイニング)13と、キッチン14と、洗面室15と、浴室16と、トイレ17とが設けられている。
玄関12は、一階部分において南東の角部に設けられている。玄関12は、南側の外壁11aによって玄関ポーチ21と仕切られており、その外壁11aには、玄関12と玄関ポーチ21とを連通する玄関口22が設けられている。この玄関口22を通じて住宅10への出入りが可能となっている。また、玄関口22には、当該玄関口22を開閉する玄関ドア23が設けられている。
LD13は、リビング空間(以下、単にリビング25という)と、ダイニング空間(以下、単にダイニング26という)とが連続して形成された一体空間となっている。リビング25には、テーブル28aと椅子28bとを有してなるソファセット28が設けられている。リビング25は、家族団らんの場、テレビ鑑賞の場として用いられる他、来客時における接客の場としても用いられる。ダイニング26には、テーブル29aと椅子29bとを有してなる食卓セット29が設けられている。ダイニング26は、食事の場として用いられる他、来客時における接客の場としても用いられる。
キッチン14は、ダイニング26の西側に隣接して設けられている。キッチン14は、南北方向に長い長方形状の空間となっており、西側の外壁11bに隣接している。キッチン14とダイニング26との間には仕切壁が設けられておらず、それによってキッチン14はダイニング26と連続した空間となっている。キッチン14には、流し台31aやコンロ台31bを有する作業台31が設けられている。作業台31は、キッチン14とダイニング26との境界に沿って設けられており、この作業台31によってキッチン14とダイニング26とが区画されている。
キッチン14には、西側の外壁11bに沿って冷蔵庫32や食器棚33が設けられている。キッチン14においてこれら冷蔵庫32及び食器棚33と作業台31との間のスペースは通路スペース34(作業スペース)となっている。この通路スペース34は、作業台31の南側に設けられた出入り部35を介してダイニング26と通じている。
洗面室15は、ダイニング26の北側に隣接して設けられている。洗面室15には、洗面台41や洗濯機42、収納棚43等が設けられている。洗面室15は、ダイニング26と仕切壁37によって仕切られており、その仕切壁37にはダイニング26と洗面室15との間を出入りするための出入口38が設けられている。出入口38には、当該出入口38を開閉する折戸39が設けられている。なお、この場合、出入口38が第4出入口に相当し、折戸39が第4開閉部に相当する。また、第4開閉部として、折戸39に代えて、引き戸や回動式のドアを用いてもよい。
浴室16は、洗面室15の東側に隣接して設けられている。浴室16は洗面室15と仕切壁45によって仕切られており、その仕切壁45には洗面室15と浴室16との間を出入りするための出入口46が設けられている。なお、洗面室15と浴室16とはいずれも北側の外壁11cに隣接して設けられている。
ダイニング26の東側には、二階部分へ通じる階段48が設置された階段室49が設けられている。階段室49へは出入口51を通じてダイニング26から出入り可能となっている。また、階段室49の北側にはトイレ17が設けられており、階段室49の南側には衣服を収納する収納室52が設けられている。
ところで、住宅10の一階部分には、上述の屋内空間12〜17の他に、食料品等を収納する食品庫であるパントリー20が設けられている。本実施形態では、このパントリー20周辺の間取りに関して特徴を有しており、以下この点について説明をする。
パントリー20は、食料品や調理器具、食器等を収納するための小部屋であり、キッチン14の北側に隣接して設けられている。パントリー20は、一階部分において北西の隅部に配置されている。パントリー20は、その平面視形状がパントリー20とキッチン14とが並ぶ並び方向と直交する方向(東西方向)に長い長方形状となっている。パントリー20は、その長手方向の長さがキッチン14における同方向の長さと略同じとなっており、その短手方向の長さが後述する洗面室15への出入口58の開口幅と略同じとなっている。
パントリー20は、仕切壁54によってキッチン14と仕切られており、その仕切壁54にはキッチン14とパントリー20との間を出入りするための出入口55が設けられている。この出入口55には、当該出入口55を開閉する引き戸56が設けられている。なお、この場合、出入口55が第1出入口に相当し、引き戸56が第1開閉部に相当する。但し、第1開閉部として、引き戸56に代えて回動式のドア等を用いてもよい。また、第1開閉部を設けないようしてもよい。
パントリー20は、洗面室15の西側に隣接して設けられている。パントリー20は、仕切壁57によって洗面室15と仕切られており、その仕切壁57には洗面室15とパントリー20との間を出入りするための出入口58が設けられている。この出入口58には、当該出入口58を開閉する折戸59が設けられている。なお、この場合、出入口58が第2出入口に相当し、折戸59が第2開閉部に相当する。但し、第2開閉部として、折戸59に代えて、回動式のドアや引き戸等を用いてもよい。
パントリー20の北側には、外壁11cを隔ててテラス61が隣接して設けられている。外壁11cには、パントリー20とテラス61との間を出入りするための出入口63が設けられている。この出入口63は、パントリー20を挟んで出入口55と対向して配置されている。また、出入口63には、当該出入口63を開閉する回動式のドア64が設けられている。このドア64は、屋外への回動により開状態となる外開き式のドアとなっている。なお、この場合、出入口63が第3出入口に相当し、ドア64が第3開閉部に相当する。但し、第3開閉部として、回動式のドア64に代えて、引き戸等を用いてもよい。
テラス61(テラス空間)は、屋外にウッドデッキが敷設されることにより形成された床上空間となっている。テラス61には、その隅部にごみ収集箱65が設置されている。これにより、キッチン14で料理の際に発生した生ゴミ等をこのごみ収集箱65に捨てることが可能となっている。また、テラス61は、洗濯物を干すための物干しスペースとしての利用も可能となっている。したがって、テラス61は、ごみ捨てスペース及び物干しスペースに相当する。
パントリー20には、西側の外壁11bに沿って収納棚60が設置されている。収納棚60は、キッチン14で用いられる食料品や調理器具、食器等を収納するための棚である。本実施形態では、この収納棚60に、食料品等の他に、洗面室15で用いられる洗剤や石けん等が収納されているとともに、テラス61で用いられる洗濯ばさみやハンガー等が収納されている。収納棚60は、その幅がパントリー20の短手方向(南北方向)の長さと同じとなっており、パントリー20を挟んで(南北方向に)対向する外壁11cと仕切壁54とに跨がって配設されている。この場合、収納棚60は、(東西方向に)出入口58と対向して配置されており、各出入口55,63に対して西側に配置されている。
住宅10の一階部分には、さらに屋内空間として居間19が設けられている。居間19は、キッチン14の南側に隣接して設けられており、キッチン14を挟んでパントリー20とは反対側に配置されている。居間19は、一階部分において南西の角部に配置されている。本実施形態では、この居間19が子供の居場所として利用されるものとなっている。居間19は、その床材67が柔軟性の高い素材(例えばクッション材)により形成されている。そのため、居間19で子供が転んだりしてもけがすることがないようになっている。また、居間19には、子供用の学習机66が設けられている。なお、居間19が「居室」に相当する。
居間19とキッチン14との間には仕切壁が設けられておらず、それ故居間19とキッチン14との間の境界部には同境界部全域に亘って開口部72が形成されている。この開口部72を通じてキッチン14と居間19との間の出入りが可能となっている。また、開口部72は、キッチン14(詳しくは通路スペース34)を挟んで出入口55と対向して配置されている。なお、この開口部72が出入部に相当する。
開口部72には、当該開口部72を開閉する格子戸73が設けられている。格子戸73は、複数の長尺材を格子状に並べて形成された引き戸からなる。格子戸73は、開口部72において複数(具体的には3つ)設けられており、これら各格子戸73が開口部72の幅方向に並べて配置されることにより開口部72が閉鎖されるようになっている。なお、この格子戸73が開閉部材に相当する。但し、格子戸73は必ずしも引き戸とする必要はなく、折戸や回動式のドアとしてもよい。また、格子戸73を閉めた状態で当該格子戸73を施錠する施錠部(ロック部)を設けてもよい。
格子戸73において、長尺材同士の間の隙間はキッチン14と居間19とを連通する通気部74となっている。この通気部74を通じてキッチン14と居間19との間で通気が可能となっている。また、通気部74は、キッチン14から居間19を見通すための見通し部としての役割も有している。これにより、キッチン14で家事をしながら居間19で遊ぶ子供を監視することが可能となっている。さらに、この通気部74を通じて居間19からキッチン14へ光を採り入れることも可能である。また、通気部74によって居間19の音がキッチン14へ伝わり易くなるため、子供の様子が把握し易くなる効果もある。
居間19は、その東側においてリビング25と隣接している。居間19とリビング25との間には仕切壁が設けられておらず、居間19とリビング25との境界に沿って複数(図1では4つ)の収納棚68が並べて設けられている。これらの収納棚68は、居間19とリビング25との間の境界部全域に亘って配置されており、その高さ寸法が居間19の床面から天井面付近までの上下寸法と略同じとなっている。これにより、これら収納棚68によって居間19とリビング25とが出入り不能に仕切られている。なお、収納棚68は、その高さ寸法が腰高程度(例えば1m程度)のものであってもよい。また、収納棚68に代えて、居間19とリビング25とを仕切る仕切壁を設けてもよい。
居間19は、西側の外壁11bによって屋外と仕切られており、南側の外壁11aによって屋外(詳細には後述するテラス76)と仕切られている。つまり、居間19は、格子戸73が閉められた状態では、格子戸73と各収納棚68と各外壁11a,11bとによって囲まれた空間となる。なお、この場合、格子戸73と各収納棚68と各外壁11a,11bとにより囲み部が構成されている。
居間19の南側には、外壁11aを隔ててテラス76が隣接して設けられている。テラス76(テラス空間)は、屋外にウッドデッキが敷設されることにより形成された床上空間となっている。テラス76は、洗濯物を干すための物干しスペースとして利用することができる他、子供の遊び場として利用することも可能である。
テラス76を居間19と仕切る外壁11a(外壁部分)には、居間19とテラス76との間を出入りするための出入口77が設けられている。出入口77は、いわゆる掃き出し窓となっており、居間19を挟んで開口部72と(南北方向に)対向して配置されている。この場合、出入口77と開口部72と出入口55と出入口63とは南北方向に一列に並んで配置されている。出入口77には、当該出入口77を開閉するサッシ戸78が設けられている。なお、この場合、出入口77が開口部及び第5出入口に相当し、サッシ戸78が第5開閉部に相当する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
パントリー20をキッチン14に隣接させて配置するとともに洗面室15にも隣接させて配置し、そしてパントリー20への出入口として、キッチン14からの出入口55と、洗面室15からの出入口58とを設けた。この場合、キッチン14と洗面室15との間をパントリー20を経由して行き来することができるため、キッチン14で料理したり洗面室15で洗濯したりする等家事を行う際の家事動線を短縮させることができる。これにより、パントリー20を利用して家事の効率化を図ることができ、パントリー20の有効利用を図ることができる。
さらに、パントリー20から屋外のテラス61へ出入りするための出入口63を設けたため、キッチン14からパントリー20を通じてテラス61のごみ収集箱65へごみ出しに出たり、洗面室15からパントリー20を通じてテラス61へ洗濯物を干しに出たりすることができる。この場合、ごみ出しや洗濯物干しを速やかに行うことができるため、パントリー20を利用してさらなる家事の効率化を図ることができる。よって、パントリー20のより一層の有効利用を図ることができる。
また、パントリー20をキッチン14だけでなく洗面室15及びテラス61にも隣接させたことで、パントリー20(収納棚60)にはキッチン14で用いられる食料品等だけでなく、洗面室15で用いられる洗剤やせっけん等、さらにはテラス61にて洗濯物を干す際に用いられる洗濯ばさみやハンガー等を収納することができる。これにより、キッチン14及び洗面室15、テラス61のそれぞれで家事を行うのに必要なものを近くに収納しておくことができるため、家事を行うにあたって好都合となる。
パントリー20の四方を囲む4つの壁部54,57,11c,11bのうち、3つの壁部54,57,11cにそれぞれ各出入口55,58,63を形成し、残りの壁部11bの壁面に沿って収納棚60を設置した。これにより、いずれの出入口55,58,63からパントリー20に入ったとしても、つまりキッチン14、洗面室15及びテラス61のうちいずれからパントリー20に入ったとしても収納棚60へのアクセスがし易くなり、収納棚60の使い勝手をよくすることができる。
キッチン14に隣接してダイニング26が設けられている本実施形態のような住宅10では、通常、家事を行うにあたってキッチン14と洗面室15との間を行き来する際、ダイニング26を経由して移動することになる。しかしながら、ダイニング26に来客がいる場合等には、客の前を通って移動することになるため都合が悪い。その点、パントリー20を経由して(換言するとダイニング26を経由せずに)キッチン14と洗面室15との間の行き来を可能としたことで、ダイニング26に来客がいる場合であっても客の前を通らずに家事を行うことができる。
キッチン14と隣接して設けた居間19を子供の居場所としたため、子供がけがする等の不都合が起こっても即座に対応することができる。また、居間19を囲み部(格子戸73、各収納棚68、外壁11a,11b)によって囲んだため、子供が勝手に居間19の外へ出て料理をしているキッチン14の方へ来てしまうのを防止することができる。これにより、子供の安全性を確保しながらキッチン14で家事を行うことができる。
また、キッチン14と居間19との間を出入りするための開口部72に格子戸73を設け、その格子戸73の通気部74をキッチン14から居間19を見通すための見通し部としたため、開口部72を格子戸73により閉鎖した状態でもキッチン14から見通し部を通じて居間19の子供の様子を監視することができる。これにより、子供の安全性を好適に確保しながらキッチン14で家事をすることができる。
なお、来客時には格子戸73を閉めておくことで、居間19で子供がおもちゃ等を散らかしてもそのままにしておくことができるため、家事の負担を減らせる。
キッチン14を挟んでパントリー20とは反対側に居間19を配置するとともに、キッチン14を挟んで開口部72と対向する位置に出入口55を配置した。この場合、家事を行うにあたりパントリー20を通る際、パントリー20から出入口55と開口部72(詳しくは格子戸73の見通し部)とを通じて居間19を見ることができるため、パントリー20を通る度に、居間19にいる子供の様子をキッチン14越しに伺うことができる。そのため、子供の安全性をより確保し易くすることができる。
居間19を屋外と仕切る外壁11a(外壁部分)に居間19と屋外とを連通する出入口77を設けたため、サッシ戸78を開けておけば出入口77を通じて居間19に風(外気)を取り込むことができる。これにより、居間19において子供が快適に過ごすことが可能となる。また、格子戸73には通気部74を設けたため、格子戸73を閉めたままでも居間19に取り込まれた風をキッチン14へ送り込むことができる。これにより、子供の安全性を確保しながら、キッチン14において家事を快適に行うことが可能となる。
出入口63をパントリー20を挟んで出入口55と対向させて配置し、出入口55をキッチン14を挟んで開口部72と対向させて配置し、開口部72を居間19を挟んで出入口77と対向させて配置した。この場合、出入口63、出入口55、開口部72及び出入口77が(南北方向に)一列に並んで配置されているため、ドア64、引き戸56及びサッシ戸78を開けておけば、これら各開口55,63,72,77を通じて居間19、キッチン14及びパントリー20に好適に風を通すことができる。これにより、居間19とキッチン14とを共に快適な空間とすることができるとともに、パントリー20に湿気がこもるのを抑制することができるため、居間19にいる子供等にとっても、キッチン14で家事をする者にとっても、パントリー20に収納されている食材にとっても、良好な環境とすることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)パントリー20周辺の間取りは必ずしも上記実施形態のものに限定されることはなく、その他の間取りとしてもよい。例えば、図2(a)に示すように、パントリー20を挟んだ両側にそれぞれキッチン14及び洗面室15を隣接させて設けてもよい。この場合にも、パントリー20へキッチン14から出入口55を通じて出入り可能とし、洗面室15から出入口58を通じて出入り可能とすることで、キッチン14と洗面室15との間をパントリー20を通じて行き来することが可能となる。そのため、家事動線の短縮化を図ることができ、パントリー20を利用して家事の効率化を図ることができる。
また、図2(a)においても、パントリー20から屋外への出入りを可能とする出入口63がさらに設けられているため、キッチン14からパントリー20を通じて屋外にごみ出しに出たり洗面室15からパントリー20を通じて屋外に洗濯物を干しに出たりすることができる。そのため、パントリー20を利用したさらなる家事の効率化を図ることができる。
なお、図2(b)に示すように、パントリー20から屋外への出入口63を設けないようにしてもよい。この場合であっても、キッチン14と洗面室15との間をパントリー20を通じて行き来することが可能であるため、パントリー20を利用した家事の効率化を図ることができる。
また、図2(c)に示すように、パントリー20をキッチン14、洗面室15、屋外にそれぞれ隣接させるとともに、さらにダイニング26に隣接させ、パントリー20への出入口として、各出入口55,58,63に加え、ダイニング26からパントリー20への出入口81を設けるようにしてもよい。この場合、4つの出入口55,58,63,81から、つまりキッチン14、洗面室15、屋外及びダイニング26からそれぞれパントリー20への出入りが可能となり、パントリー20を利用して一階部分におけるさらなる動線の短縮化を図ることができる。
(2)上記実施形態では、外壁11aに開口部としてテラス76への出入口77を設けたが、これに代えて、窓部(開口部に相当)を設けてもよい。この場合でも、窓部を通じて屋外の風を居間19に採り入れることができるとともに、その採り入れた風を通気部74を通じてキッチン14へと送り込むことができる。これにより、居間19における子供の安全性を確保しながらキッチン14において家事を快適に行うことが可能となる。
(3)上記実施形態では、居間19を子供の居場所として利用したが、居間19をペットの居場所として利用してもよい。この場合にも、格子戸73を閉めておけばペットが居間19から料理をしているキッチン14の方へ飛び出すのを防止することができ、格子戸73を閉めた状態でも通気部74を通じてキッチン14から居間19にいるペットの様子を確認することができる。そのため、ペットの安全性を好適に確保しながらキッチン14で家事を行うことができる。
(4)上記実施形態では、開閉部材としての格子戸73にキッチン14と居間19とを連通する通気部74(連通部)を設け、その通気部74を見通し部としたが、見通し部は必ずしもかかる連通部によって構成する必要はない。例えば、開閉部材をかかる連通部を有しない引き戸により構成し、その引き戸の少なくとも一部をガラス等の透明板により構成してもよい。その場合、透明板が見通し部となり、その透明板を通じてキッチン14から居間19を見通すことが可能となる。