JP5932380B2 - ひげ玉、てんぷおよび時計 - Google Patents

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Description

この発明は、ひげ玉、このひげ玉を備えたてんぷおよび時計に関するものである。
機械式時計は、表輪列を構成する香箱車、二番車、三番車および四番車の回転を制御するための脱進・調速機構を備えていることが知られている。一般的な脱進・調速機構は、がんぎ車と、てんぷとを備えている。てんぷは、てん輪と、てん輪の回転中心となるてん真と、拡縮によりてん輪を回転させるひげぜんまいと、ひげぜんまいをてん真に固定するひげ玉とにより形成されている。ひげ玉は、一般に略円環状をした部材であり、てん真に外嵌される本体部と、本体部の径方向外側において、ひげぜんまいの内周側端部が溶接される溶接面と、を備えている。
例えば、特許文献1に記載のコレット(本願請求項の「ひげ玉」に相当。)は、金属製のバンド(本願請求項の「本体部」に相当。)から形成され、その内輪郭には、コレットをバランス・スタッフ(本願請求項の「てん真」に相当。)に組み込むための開口を形成している。また、その外輪郭には、コレットとバランス・スプリング(本願請求項の「ひげぜんまい」に相当。)との間の作用点(本願請求項の「溶接面」に相当。)を、スタッフの中心Oからの距離Rが外輪郭の他の点よりも大きくなるような場所のアームの端部に配置している。
バランス・スプリングは、バランス・スプリングの内側カーブの端部(本願請求項の「内周側端部」に相当。)がコレットの作用点に溶接されることにより、コレットに固定されている。また、バランス・スプリングが固定されたコレットは、バンドの開口がバランス・スタッフに外嵌圧入されることにより、バランス・スタッフに取り付けられる。すなわち、バランス・スプリングは、コレットを介してバランス・スタッフに取り付けられている。
特開2005−300532号公報
しかし、従来技術のひげ玉には、以下の問題がある。
ひげ玉の溶接面にひげぜんまいの内周側端部を溶接する際、溶接時の熱が、ひげ玉の溶接面からひげ玉の本体部に伝達する。
このとき、ひげ玉の本体部のうち、溶接面に近い径方向外側部分が特に高温となり、焼鈍されて硬度が低くなる。これに対して、ひげ玉の本体部のうち、溶接面から遠い径方向内側部分は、焼鈍されないため硬度に変化はないが、焼鈍された径方向外側部分よりも相対的に硬度が高くなる。したがって、ひげぜんまいを溶接した後のひげ玉の本体部は、ひげぜんまいを溶接する前のひげ玉の本体部と比較して、相対的に高硬度な部分(すなわち焼鈍されなかった部分)が径方向に薄くなる。これにより、ひげ玉の開口をてん真に外嵌圧入したとき、ひげ玉の本体部のうち、薄くなった高硬度な部分に割れが発生し、製造不良が発生するおそれがある。
また、近年では、特殊形状のひげ玉を低コストで形成するために、電鋳を利用して製造する方法が採用されている。一般に、電鋳を利用してひげ玉を形成する場合、ひげ玉の材料にはニッケルおよびニッケル合金が採用される。ここで、ニッケルおよびニッケル合金の融点は、鉄等の金属と比較して高温であるため、ひげ玉にひげぜんまいを溶接する際の溶接温度が高温となる。これにより、ひげ玉の本体部のうち、溶接面に近い径方向外側部分がより焼鈍され易くなる。したがって、ひげ玉の本体部のうち、径方向内側の相対的に高硬度な部分は、径方向に極めて薄くなるため上記問題が特に顕著となる。
そこで本発明は、てん真に外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できるひげ玉、このひげ玉を備えたてんぷおよび時計の提供を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明のひげ玉は、てん真にひげぜんまいの内周側端部を固定するためのひげ玉であって、前記てん真に同軸に外嵌可能な開口を有する本体部と、前記本体部の径方向の外側に突出形成され、前記ひげぜんまいを支持する支持部と、を備え、前記径方向における前記支持部の側面には、前記ひげぜんまいの前記内周側端部が溶接される溶接面が形成され、前記本体部の軸方向における前記支持部の両端面のうち、少なくとも一方の端面には、凹部が形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、支持部に凹部が形成されているので、凹部が形成されていない場合よりも、溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積を小さくできる。これにより、溶接面から本体部にかけて、支持部の熱伝達率を低くできる。また、溶接時の熱は、溶接面から凹部を回り込んで本体部に伝達する。これにより、凹部が形成されていない場合よりも、溶接面から本体部までの熱伝達経路が長くなるので、支持部の熱伝達率を低くできる。さらに、支持部は、凹部が形成されることにより、凹部が形成されていない場合よりも表面積が大きくなるので、熱を良好に放熱できる。
このように、溶接時の熱は、溶接面から本体部に伝達しにくくなるので、焼鈍される範囲を溶接面から凹部近傍までに制限できる。したがって、ひげ玉の本体部のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分を厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのを抑制できるので、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できる。
また、本発明のひげ玉は、前記凹部が、前記支持部の前記端面を前記本体部側から前記溶接面にかけて前記軸方向に凹ませた段差部であることを特徴としている。
本発明によれば、凹部を段差部とすることにより、電鋳や機械加工等により簡単に凹部を形成できる。
また、本発明のひげ玉は、前記凹部が、前記本体部の周方向に沿って伸びる溝であることを特徴としている。
本発明によれば、凹部を溝とすることにより、電鋳や機械加工等により簡単に凹部を形成できる。
また、本発明のひげ玉は、前記凹部が、前記支持部の前記両端面を連通する貫通孔であることを特徴としている。
本発明によれば、支持部に貫通孔が形成されているので、溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積をさらに小さくでき、支持部の熱伝達率をさらに低くできる。また、溶接時の熱は、溶接面から貫通孔を回り込んで本体部に伝達する。これにより、溶接時の熱が溶接面から本体部に伝達するときの、溶接面と本体部とを結ぶ直線的な熱伝達経路が貫通孔により絶たれる。すなわち、溶接時の熱は、貫通孔の径方向外側を回り込んで溶接面から本体部に伝達するので、支持部の熱伝達率をさらに低くできる。したがって、ひげ玉の本体部のうち相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを確実に防止できる。
また、凹部を貫通孔とすることにより、電鋳によりひげ玉の本体部および支持部と同時に貫通孔を形成できるので、簡単かつ低コストに凹部を形成できる。
また、本発明のひげ玉は、前記段差部が、前記段差部の側壁面と前記開口との最短距離をL1とし、前記段差部の側壁面と前記溶接面との最短距離をL2としたとき、L1>L2を満たすように形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、段差部の側壁面と開口との最短距離L1を、段差部の側壁面と溶接面との最短距離L2よりも大きく確保しているので、溶接時の熱により焼鈍される範囲を溶接面から側壁面近傍までの短距離に制限できる。また、側壁面から本体部の開口にかけて熱伝達経路を長く確保することで熱伝達率を低くできるので、段差部の側壁面から放熱できなかった熱は、段差部の側壁面から本体部に伝達しにくくなる。したがって、ひげ玉の本体部のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分をより厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを確実に防止できる。
また、本発明のひげ玉は、前記凹部が、前記凹部と前記開口との最短距離をL3とし、前記凹部と前記溶接面との最短距離をL4としたとき、L3>L4を満たすように形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、凹部と開口との最短距離L3を、凹部と溶接面との最短距離L4よりも大きく確保しているので、溶接時の熱により焼鈍される範囲を溶接面から凹部近傍までの短距離に制限できる。また、凹部から本体部の開口にかけて熱伝達経路を長く確保することで熱伝達率を低くできるので、凹部から放熱しきれなかった熱は、凹部から本体部に伝達しにくくなる。したがって、ひげ玉の本体部のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分をより厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを確実に防止できる。
また、本発明のひげ玉は、前記溶接面と前記凹部とが形成された前記支持部を複数備え、前記複数の支持部は、前記本体部の周方向に等ピッチに形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、複数の支持部を周方向に等ピッチに形成することにより、ひげ玉の重心をひげ玉の回転中心に配置できる。これにより、ひげ玉が回転したときに、振動することなく安定して回転できる。したがって、本発明のひげ玉を構成部品として、てんぷおよび時計を形成したとき、回転周期の誤差が少なく良好な性能を確保できる。
また、溶接面が形成された複数の支持部を備えているので、ひげぜんまいをひげ玉に溶接するとき、複数の支持部の溶接面のうち、いずれかの溶接面とひげぜんまいの内周側端部とを位置合わせして溶接すればよい。これにより、支持部の溶接面が一箇所の場合よりも、ひげ玉の溶接面とひげぜんまいの内周側端部との位置決めが素早くできる。さらに、複数の支持部には各々凹部が形成されているので、いずれの支持部の溶接面にひげぜんまいの内周側端部を溶接しても、本体部の溶接面に近い部分が焼鈍されるのを抑制できる。したがって、ひげぜんまいをひげ玉に溶接する時の作業効率を向上できるとともに、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できる。
また、本発明のひげ玉は、電鋳により形成されたことを特徴としている。
電鋳によりひげ玉を形成する場合、材料にはニッケルおよびニッケル合金が採用されることが多い。ここで、一般に、ニッケルおよびニッケル合金の融点は、鉄等の金属と比較して高温であるため、ひげ玉にひげぜんまいを溶接する際の溶接温度は高温となる。しかし、本発明によれば、支持部に凹部を設けているので、支持部の熱伝達率を低くできるとともに、支持部から熱を良好に放熱できる。これにより、溶接温度が高温であっても、本体部が焼鈍されるのを抑制できる。したがって、特殊形状のひげ玉を低コストで形成できるとともに、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できる。このように、本発明は、電鋳により形成されたひげ玉に特に好適である。
また、本発明のてんぷは、上述のひげ玉を備えたことを特徴としている。
また、本発明の時計は、上述のてんぷを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できるので、製造不良のないてんぷおよび時計を形成できる。
本発明によれば、支持部に凹部が形成されているので、凹部が形成されていない場合よりも、溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積を小さくできる。これにより、溶接面から本体部にかけて、支持部の熱伝達率を低くできる。また、溶接時の熱は、溶接面から凹部を回り込んで本体部に伝達する。これにより、凹部が形成されていない場合よりも、溶接面から本体部までの熱伝達経路が長くなるので、支持部の熱伝達率を低くできる。さらに、支持部は、凹部が形成されることにより、凹部が形成されていない場合よりも表面積が大きくなるので、熱を良好に放熱できる。
このように、溶接時の熱は、溶接面から本体部に伝達しにくくなるので、焼鈍される範囲を溶接面から凹部近傍までに制限できる。したがって、ひげ玉の本体部のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分を厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのを抑制できるので、てん真にひげ玉を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できる。
コンプリート裏側の平面図である。 ムーブメント表側の平面図である。 てんぷを軸方向に見たときの平面図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 ひげぜんまいの説明図である。 第一実施形態のひげ玉の平面図である。 図6のB−B線に沿った断面図である。 ひげ玉にひげぜんまいを溶接するときの説明図である。 第一実施形態の第一変形例に係るひげ玉の断面図である。 第一実施形態の第二変形例に係るひげ玉の断面図である。 ひげ玉の製造工程のフローチャートである。 電鋳型を電鋳液に漬浸させた状態を示す図である。 電鋳を行って外形形成用孔内で金属体を成長させた状態を示す図である。 第二実施形態のひげ玉の平面図である。 図14のC−C線に沿った断面図である。 第三実施形態のひげ玉の平面図である。 図16のD−D線に沿った断面図である。
以下に、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明をする。以下では、まず時計およびてんぷについて説明をした後、第一実施形態のひげ玉およびひげ玉の製造方法について説明をする。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。
図1は、コンプリート裏側の平面図である。
図1に示すように、時計1のコンプリート1aは、時に関する情報を示す目盛り3などをもつ文字板2を備えている。また、時を示す時針4a、分を示す分針4bおよび秒を示す秒針4cを含む針4を備えている。
図2は、ムーブメント表側の平面図である。なお図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略している。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、地板102と香箱受160との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、地板102と輪列受162との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針4b(図1参照)が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針4a(図1参照)が「時」を表示するようになっている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142およびてんぷ10で構成されている。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんぷ10は、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
以下に、てんぷ10の構造について詳細に説明する。
(てんぷ)
図3は、ムーブメント100(図2参照)の裏側からてんぷ10を軸方向に見たときの平面図である。なお、図3において、ひげ持106を二点鎖線で図示している。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。なお、図4において、地板102を挟んで紙面上側がムーブメント100(図2参照)の裏側となっており、地板102を挟んで紙面下側がムーブメント100の表側となっている。また、地板102、てんぷ受104およびひげ持106を二点鎖線で図示している。
図3に示すように、てんぷ10は、主にてん輪20と、てん真30と、ひげぜんまい40と、ひげ玉50とを備えている。
(てん輪)
てん輪20は、例えば真鍮等の金属により形成されており、略円環状に形成されたてん輪本体部21を備えている。てん輪本体部21の中心軸は、てんぷ10の回転中心である中心軸Oと一致している。
てん輪本体部21の内周面21aからは、中心軸Oに向かって径方向に沿うように四本のアーム部23(23a〜23d)が延設されている。四本のアーム部23a〜23dは、てん輪本体部21の周方向に90°ピッチとなるように、略等間隔に形成されている。四本のアーム部23a〜23dは、てん輪本体部21の内周面21aから中心軸Oに向かうに従って漸次幅が広くなるように形成されており、中心軸O近傍で連結されている。
図4に示すように、四本のアーム部23a〜23dの連結部25には、中心軸Oと同軸の嵌合孔25aが形成されている。連結部25の嵌合孔25aは、てん真30に外嵌圧入されている。
(てん真)
てんぷ10は、中心軸Oと同軸上に、てん真30を備えている。てん真30は、例えば真鍮等の金属により形成された棒状の部材である。
てん真30は、軸方向の両端に、先細りに形成されたほぞ31(31a,31b)を備えている。てん真30は、一方のほぞ31aがてんぷ受104に不図示の軸受けを介して枢支され、他方のほぞ31bが地板102に不図示の軸受けを介して枢支されることにより、中心軸Oまわりに回転可能となっている。
てん真30には、軸方向における略中央に、てん輪20の連結部25の嵌合孔25aが外嵌圧入されている。これにより、てん輪20とてん真30とが一体化されている。
てん真30は、軸方向におけるてん輪20よりも地板102側(図4における下側)に、略円筒形状をした振り座35を備えている。振り座35には、径方向に張り出したフランジ部36が形成されている。フランジ部36の径方向外側には、所定の位置に不図示の振り石が設けられている。振り石は、てんぷ10の往復回転の周期と同期してアンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に跳ね上げている。これにより、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bは、がんぎ車130の歯130aに対して係合および解除される。
(ひげぜんまい)
図4に示すように、てんぷ10は、てん輪20よりもてんぷ受104側(図4における上側)に、ひげぜんまい40を備えている。
図5は、ひげぜんまい40の説明図である。なお、図5では、ひげぜんまい40を極座標上に図示している。また、アルキメデス曲線X、てん真30および後述するひげ玉50を二点鎖線で図示している。
図5に示すように、ひげぜんまい40は、例えば鉄やニッケル等の金属からなる薄板ばねであり、複数の巻き数をもった渦巻状のひげぜんまい本体41と、ひげぜんまい本体41の外周側の円弧部42と、により形成されている。

ひげぜんまい本体41は、いわゆるアルキメデス曲線Xに沿うように形成されている。
アルキメデス曲線Xは、極座標系において、
r=aθ(aは定数)・・・(1)
により得られる曲線である。
ひげぜんまい本体41がアルキメデス曲線Xに沿うように形成されることで、軸方向から見たときに、ひげぜんまい本体41が渦巻状にかつ径方向に略等間隔に隣り合うように配置される。
図3に示すように、ひげぜんまい本体41の外周側は、ひげぜんまい本体41よりも曲率半径が大きく形成された円弧部42となっている。円弧部42の外周側端部42aは、てんぷ受104(図4参照)から不図示のひげ持受を介して立設されたひげ持106に固定されている。また、ひげぜんまい40の内周側端部43は、ひげ玉50に固定されている。
(第一実施形態のひげ玉)
図6は、軸方向から見たときの第一実施形態のひげ玉50の平面図である。なお、図6では、紙面表側がてんぷ受104(図4参照)側となっており、紙面裏側が地板102(図4参照)側となっている。また、図6では、てん真30およびひげぜんまい40を二点鎖線で図示している。
図7は、図6のB−B線に沿った断面図である。なお、図7では、紙面左側がてんぷ受104(図4参照)側となっており、紙面右側が地板102(図4参照)側となっている。また、図6および図7において、本体部51と支持部55との境界は、一点鎖線で図示している。
図6に示すように、ひげ玉50は、例えばニッケルやニッケル合金等により形成された環状の部材であり、てん真30に外嵌される本体部51と、本体部51の径方向の外側に突出形成された支持部55とを備えている。図7に示すように、ひげ玉50の本体部51の軸方向の厚さは、ひげぜんまい40の軸方向の厚さ(すなわちひげぜんまい40の幅)よりも十分厚く形成されている。
(本体部)
図6に示すように、本体部51は、外形が略楕円環状に形成されており、径方向に沿う第一方向F(図6における左右方向)に長軸方向を有し、第一方向Fと直交する第二方向S(図6における上下方向)に短軸方向を有している。
本体部51は、径方向に所定の肉厚を有しており、中央に開口53が形成されている。開口53は、本体部51の外形に対応して、第一方向Fに長軸方向を有し、第二方向Sに短軸方向を有する略楕円形状に形成されている。開口53により、本体部51は、てん真30に対して外嵌可能に形成されている。
本体部51のうち、第一方向Fに対応した部分は、両側が径方向外側に膨出した一対の膨出部51a,51aとなっている。また、本体部51のうち、第二方向Sに対応した部分は、内周面の直径がてん真30の外径よりも小さく形成された一対の外嵌固定部51b,51bとなっている。膨出部51a,51aを設けることで、開口53をてん真30に外嵌する際、てん真30の外周面と膨出部51a,51aとの間に空間が形成される。これにより、本体部51をてん真30に外嵌圧入する際、膨出部51a,51aは、容易に弾性変形できる。したがって、ひげ玉50の外嵌固定部51b,51bは、膨出部51a,51aの弾性力により外嵌圧入時における破損が抑制されるとともに、てん真30に対して適度な保持力を確保できる。
(支持部)
本体部51の外嵌固定部51b,51bの径方向外側には、一対の支持部55,55が形成されている。支持部55は、本体部51の外嵌固定部51bから径方向外側に向かって突出形成されている。支持部55は、径方向内側から径方向外側に向かって、第一方向Fに沿う方向の幅が漸次狭くなる先細り形状に形成されている。
一対の支持部55,55は、中心軸Oを挟んで径方向の両側に形成されており、本体部51の周方向に等ピッチ(本実施形態では180°ピッチ)に形成されている。また、一対の支持部55,55には、後述する段差部61が各々形成されている。一対の支持部55,55に段差部61を各々形成したときの効果については後述する。
一対の支持部55,55の径方向外側の側面には、各々溶接面57が形成されている。溶接面57には、ひげぜんまい40のひげぜんまい本体41のうち、内周側端部43の内周面43aが、例えばレーザ溶接により溶接される。レーザ溶接したときに形成される溶接ナゲット71は、支持部55およびひげぜんまい40の軸方向端面に、溶接面57を跨ぐように形成される。
溶接面57は、例えば、ひげぜんまい40の内周側端部43の内周面43aに沿うように、アルキメデス曲線X(図5参照)に対応した曲率を有する曲面に形成されている。
溶接面57は、一対の支持部55,55に対応して、中心軸Oを挟んで径方向の両側に一対形成されている。したがって、ひげぜんまい40をひげ玉50に溶接するとき、一対の支持部55,55の溶接面57のうち、一方の支持部55の溶接面57とひげぜんまい40の内周側端部43とを位置合わせして溶接すればよい。したがって、支持部55の溶接面57が一箇所の場合よりも、ひげ玉50の溶接面57とひげぜんまい40の内周側端部43との位置決めが素早くできる。これにより、ひげぜんまい40をひげ玉50に溶接する時の作業効率を向上できる。なお、ひげ玉50とひげぜんまい40との溶接については後述する。
ところで、てんぷ10の回転周期の誤差は、ひげぜんまい40が固定される位置の精度に依存する。具体的には、図5に示すように、軸方向から見たときに、ひげぜんまい本体41に対応するアルキメデス曲線Xの中心軸と、てんぷ10の中心軸Oとが一致するように設計されているので、両者間の位置ずれ(以下「横振れ」という。)が少ないほど、てんぷ10の回転周期の誤差は小さくなる。
また、径方向外側から見たときに、ひげぜんまい本体41に対応するアルキメデス曲線Xの中心軸と、てんぷ10の中心軸Oとの角度ずれ(以下「縦振れ」という。)が少ないほど、てんぷ10の回転周期の誤差は小さくなる。
ここで、溶接面57は、アルキメデス曲線Xに対応した曲率を有する曲面に形成されているので、溶接面57にひげぜんまい40の内周側端部43を溶接するとき、支持部55の溶接面57とひげぜんまい40の内周面43aとを面接触させることができる。これにより、溶接面57とひげぜんまい40との位置ずれを抑制し、ひげぜんまい40の横振れおよび縦振れが少ない状態で安定して溶接できるので、回転周期の誤差の少ないてんぷ10を形成できる。
(段差部)
図7に示すように、軸方向における支持部55の両端面56a,56bのうち、地板102側(図4参照、図7における右側)の一方端面56aには、凹部60として、段差部61が形成されている。段差部61は、支持部55の一方端面56aを本体部51側から溶接面57にかけて、軸方向に凹ませることにより形成されている。これにより、支持部55には、径方向外側に面する側壁面62が形成される。
段差部61の軸方向の深さは、例えば本体部51の軸方向の厚さの半分程度になるように形成されている。段差部61を形成することで、支持部55のうち側壁面62よりも径方向外側の段差部形成領域55aは、側壁面62よりも径方向内側の段差部非形成領域55bよりも軸方向に薄肉に形成される。
また、段差部形成領域55aの軸方向の厚さ(すなわち溶接面57の軸方向の幅)は、ひげぜんまい40の軸方向の厚さ(すなわちひげぜんまい40の幅)よりも厚いことが望ましい。これにより、ひげぜんまい40の内周面43aは、溶接面57から軸方向にはみ出ることなく面接触させて溶接できる。したがって、溶接面57とひげぜんまい40との位置ずれを抑制しつつ、強固に溶接できる。なお、溶接面57の軸方向の幅は、ひげぜんまい40の幅の1.2倍未満とすることがさらに望ましい。
ここで、段差部61は、段差部61の側壁面62と開口53の内周面53aとの最短距離をL1とし、段差部61の側壁面62と溶接面57との最短距離をL2としたとき、
L1>L2・・・(2)
を満たすように形成されている。
すなわち、(2)式を満たすように段差部61を形成することにより、段差部61の側壁面62と開口53との最短距離L1を、段差部61の側壁面62と溶接面57との最短距離L2よりも大きく確保している。これにより、後述するように、ひげ玉50の溶接面57にひげぜんまい40の内周側端部43を溶接したとき、溶接時の熱により焼鈍される範囲を溶接面57から側壁面62近傍までの短距離に制限できる。
また、側壁面62から本体部51にかけて熱伝達経路を長く確保することで熱伝達率を低くできるので、段差部61の側壁面62から放熱できなかった熱は、段差部61の側壁面62から本体部51に伝達しにくくなる。したがって、ひげ玉50の本体部51のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分をより厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを確実に防止できる。
また、段差部61は、周方向に等ピッチに形成された一対の支持部55,55に、各々同一形状で形成されている。これにより、一対の支持部55,55の重量は略同一となるので、ひげ玉50の重心をひげ玉50の回転中心(すなわち中心軸O)に配置できる。したがって、ひげ玉50が回転したときに、振動することなく安定して回転できるので、本実施形態のひげ玉50を構成部品として、てんぷ10(図3参照)および時計1(図1参照)を形成したとき、回転周期の誤差が少なく良好な性能が確保される。
また、一対の支持部55,55には各々段差部61が形成されているので、いずれの支持部55の溶接面57にひげぜんまい40の内周側端部43を溶接しても、本体部51の溶接面57に近い部分が焼鈍されるのを抑制できる。したがって、ひげぜんまい40をひげ玉50に溶接する時の作業効率を向上できるとともに、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部の割れを防止できる。
(ひげ玉とひげぜんまいとの溶接)
図8は、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接するときの概略説明図である。
図8に示すように、上述したひげ玉50の溶接面57には、ひげぜんまい40の内周側端部43が、例えばレーザ溶接により溶接されている。具体的な溶接方法としては、まず、平板状の位置規制治具86に、支持部55の軸方向の他方端面56bおよびひげぜんまい本体41の軸方向の他方端面41bを当接させて、支持部55の他方端面56bおよびひげぜんまい本体41の他方端面41bを略面一の位置に合わせる。
続いて、所定のレーザ出力および照射範囲を有するレーザ溶接機85を使用して、段差部61が形成されている一方端面56a側から、ひげ玉50の溶接面57近傍に所定出力のレーザ88を照射してレーザ溶接を行う。これにより、図6に示すように、支持部55の一方端面56aおよびひげぜんまい本体41の一方端面41aに、溶接面57を跨ぐように溶接ナゲット71が形成され、ひげ玉50にひげぜんまい40が溶接される。
ここで、溶接面57と本体部51との間の支持部55に段差部61を形成することで、支持部55の段差部形成領域55aは、段差部非形成領域55bよりも軸方向に薄肉に形成されている。このため、第二方向Sと直交する断面積、すなわち溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積は、段差部61が形成されていない場合よりも小さくなっており、熱伝達率が低くなっている。さらに、支持部55は、段差部61が形成されることにより、段差部61が形成されていない場合よりも表面積が大きくなっているので、溶接時の熱が良好に放熱される。このように、段差部61により、溶接時の熱の本体部51への伝達が抑制されるので、焼鈍される範囲が溶接面57から段差部61近傍までに制限される。したがって、ひげ玉50の本体部51のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分を厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのを抑制できる。
また、このとき、図6に示すように、レーザ溶接で形成される溶接ナゲット71の直径は、溶接面57の周方向に沿う方向の幅と略同一になるように形成されるのが望ましい。これにより、軸方向から見て、溶接ナゲット71の外縁が、溶接面57の周方向の両端に接するように形成されるので、溶接面57の周方向に沿う方向の全体にわたって、ひげぜんまい40の内周面43aと溶接できる。したがって、支持部55の溶接面57にひげぜんまい40を強固に溶接できる。また、溶接面57の周方向に沿う方向の幅と溶接ナゲット71の直径とを略同一とすることで、溶接面57とひげぜんまい40との溶接範囲がばらつくのを防止できる。これにより、拡縮可能なひげぜんまい40の長さのばらつきを抑制できるので、回転周期の誤差の少ないてんぷ10を形成できる。
(第一実施形態の各変形例)
続いて、第一実施形態の各変形例に係るひげ玉50について説明する。
図9は、本実施形態の第一変形例のひげ玉50の説明図である。
図10は、本実施形態の第二変形例のひげ玉50の説明図である。
第一実施形態のひげ玉50では、ひげ玉50の軸方向の一方端面56aにのみ段差部61が形成されていた(図7参照)。これに対して、第一変形例のひげ玉50では、ひげ玉50の軸方向の他方端面56bにのみ段差部61が形成されている点で、第一実施形態とは異なっている。また、第二変形例のひげ玉50では、ひげ玉50の軸方向の両端面56a,56bに段差部61a,61bが形成されている点で、第一実施形態とは異なっている。なお、第一実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、第一変形例では、段差部61は、ひげ玉50の他方端面56bに形成されている。具体的には、支持部55の他方端面56bを本体部51側から溶接面57にかけて軸方向に凹ませることにより形成されている。
図10に示すように、第二変形例では、段差部61a,61bは、ひげ玉50の一方端面56aおよび他方端面56bに形成されている。具体的には、第一の段差部61aは、支持部55の一方端面56aを本体部51側から溶接面57にかけて軸方向に凹ませることで形成されている。また、第二の段差部61bは、支持部55の他方端面56bを本体部51側から溶接面57にかけて軸方向に凹ませることで形成されている。
(効果)
本実施形態および本実施形態の変形例によれば、支持部55に凹部60として段差部61が形成されているので、段差部61が形成されていない場合よりも、溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積を小さくできる。これにより、溶接面57から本体部51にかけて、支持部55の熱伝達率を低くできる。また、溶接時の熱は、溶接面57から段差部61を回り込んで本体部51に伝達する。これにより、段差部61が形成されていない場合よりも、溶接面57から本体部51までの熱伝達経路が長くなるので、支持部55の熱伝達率を低くできる。
このように、溶接時の熱は、溶接面57から本体部51に伝達しにくくなるので、焼鈍される範囲を、溶接面57から段差部61近傍までに制限できる。したがって、ひげ玉50の本体部51のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分を厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのを抑制できるので、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを防止できる。
また、凹部60を段差部61とすることにより、電鋳や機械加工等により簡単に凹部60を形成できる。
(ひげ玉の製造工程)
続いて、以下に上述した第一実施形態のひげ玉50(図6参照)の製造工程について、図面を参照して説明する。
図11は、ひげ玉50の製造工程のフローチャートである。
図12は、電鋳型94を電鋳液Wに漬浸させた状態を示す図である。
図13は、電鋳を行って、外形形成用孔95内で金属体99を成長させた状態を示す図である。
図11に示すように、本実施形態のひげ玉50の製造工程は、電鋳工程S10と、厚み調整工程S20と、除去工程S30とを備えている。以下に、各工程について説明する。
(電鋳工程S10)
はじめに、ひげ玉50(図6参照)の外形形状を形成する電鋳工程S10を行う。
図12に示すように、電鋳工程S10では、以下のように形成された電鋳型94を用いて、ひげ玉50の外形形状を形成している。
電鋳型94は、フォトリソグラフィ技術を用いて形成される。
具体的には、まず、シリコン基板90を用意した後、シリコン基板90の表面に、金、銀、銅やニッケル等を主成分とする導電膜91を形成する。続いて、導電膜91上に、第一の感光性材料94aを塗布する。なお、第一の感光性材料94aは、ポジレジストでもネガレジストでも構わないが、本実施形態ではネガレジストを用いている。続いて、ひげ玉50の外形形状にパターニングされ、それ以外の領域が開口したフォトレジストマスク(不図示)を用いて、第一の感光性材料94aを露光する。すると、第一の感光性材料94aはネガレジストであるので、露光された部分が硬化する。続いて、現像液(不図示)を用いて、第一の感光性材料94aを現像する。すると、第一の感光性材料94aはネガレジストであるので、露光されていない領域が溶解される。続いて、段差部61(図6参照)の外形を形成するために、第一の感光性材料94aに重ねて、第二の感光性材料94bを塗布する。そして、上述と同様に、第二の感光性材料94bを露光および現像する。これにより、段差部61を有するひげ玉50の外形形状に倣って、第一の感光性材料94aおよび第二の感光性材料94bに外形形成用孔95が形成されるとともに、導電膜91が露出されて、ひげ玉50を形成可能な電鋳型94が形成される。
電鋳工程S10では、まず、処理槽96内に貯液された電鋳液Wにシリコン基板90全体を漬浸させる。なお、この電鋳工程S10を行うにあたって、電鋳すべき金属材料に応じて電鋳液Wを選択する。例えば、ニッケル電鋳を行う場合には、スルファミン酸浴、ワット浴や硫酸浴等が用いられる。
仮にスルファミン酸浴を用いてニッケル電鋳を行う場合には、処理槽96の中にスルファミン酸ニッケル水和塩を主成分とするスルファミン酸浴を入れる。また、電鋳すべき金属材料(本実施形態ではニッケル)からなる陽極電極97をスルファミン酸浴の中に浸漬させる。陽極電極97としては、例えば、電鋳すべき金属材料からなるボールを複数用意し、この金属ボールをチタン等で作った金属製のかごの中に入れることで構成する。
そして、シリコン基板90をスルファミン酸浴の中に浸漬した後、シリコン基板90に形成した導電膜91を電源98の陰極に接続すると共に陽極電極97を電源98の陽極に接続して、電鋳を開始する。すると、陽極電極97を構成する金属がイオン化してスルファミン酸浴中を移動し、外形形成用孔95内で露出する導電膜91上に金属として析出し、この金属が徐々に成長する。そして、図13に示すように、少なくとも外形形成用孔95を完全に塞ぐ金属体99になるまで金属を成長させる。この際、外形形成用孔95は、上述したように段差部61を有するひげ玉50(図6参照)の外形形状に倣っているので、成長した金属体99に関しても段差部61を有するひげ玉50の外形形状に倣った状態となっている。ひげ玉50の外形形状が形成された時点で、電鋳工程S10が終了する。
(厚み調整工程S20)
次に、金属体99の厚みがひげ玉50(図6参照)の厚みとなるように調整する、厚み調整工程S20を行う。
厚み調整工程S20では、処理槽96からシリコン基板90を引き上げ、純水等で洗浄処理する。その後、外形形成用孔95から溢れた金属体99を除去すると共に、残った金属体99の厚みがひげ玉50(図6参照)の厚みとなるように厚み調整する。この方法としては、CMP法(化学機械研磨法)等の研磨加工によって行えば良い。
(除去工程S30)
最後に、第一の感光性材料94a、第二の感光性材料94b、導電膜91およびシリコン基板90を除去する除去工程S30を行う。
除去工程S30では、アッシング処理や剥離液法等により第一の感光性材料94aおよび第二の感光性材料94bを除去すると共に、CMP法等によりシリコン基板90および導電膜91を除去する。これにより、ひげ玉50を電鋳によって作製することができる。
シリコン基板90および導電膜91が除去された時点で、除去工程S30が終了するとともに、ひげ玉50の製造工程の全てが終了する。
(効果)
電鋳によりひげ玉50を形成する場合、材料にはニッケルおよびニッケル合金が採用されることが多い。ここで、一般に、ニッケルおよびニッケル合金の融点は、鉄等の金属と比較して高温であるため、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接する際の溶接温度は高温となる。しかし、本実施形態によれば、支持部55に段差部61を設けているので、支持部55の熱伝達率を低くできるとともに、支持部55から熱を良好に放熱できる。これにより、溶接温度が高温であっても、本体部51が焼鈍されるのを抑制できる。したがって、特殊形状のひげ玉50を低コストで形成できるとともに、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを防止できる。このように、本実施形態の発明は、電鋳により形成されたひげ玉50に特に好適である。
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態のひげ玉50について説明する。
図14は、第二実施形態のひげ玉50の説明図である。なお、図14は、ひげ玉50の一方端面56aから見た状態を図示している。
図15は、図14のC−C線に沿った断面図である。
第一実施形態のひげ玉50では、凹部60として、ひげ玉50の一方端面56aに段差部61が形成されていた(図7参照)。これに対して、第二実施形態のひげ玉50では、図14に示すように、凹部60として、ひげ玉50の一方端面56aに溝64が形成されている点で、第一実施形態とは異なっている。なお、第一実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
溝64は、ひげ玉50の一方端面56aに、本体部51の周方向に沿って伸びて形成されている。溝64の周方向内側の内壁面64aは、本体部51よりも径方向外側において、本体部51の開口53から所定距離離間するように、本体部51に沿って形成されている。溝64の周方向外側の外壁面64bは、支持部55の溶接面57から所定距離離間するように形成されている。溝64の軸方向の深さは、例えば本体部51の軸方向の厚さの半分程度になるように形成されている。溝64を形成することで、支持部55のうち溝64が形成された溝形成領域55aは、溝64よりも径方向外側および径方向内側の溝非形成領域55bよりも軸方向に薄肉に形成される。
第二実施形態では、溶接ナゲット71は、他方端面56b(図15参照)側に形成されていてもよい。理由は、以下のとおりである。
第一実施形態では、図8に示すように、段差部61は、一方端面56aと溶接面57との角部が切り欠かれて形成されていた。このため、ひげぜんまい40とひげ玉50との溶接時には、位置規制治具86に、平坦な他方端面56bを当接させて、ひげぜんまい本体41の他方端面41bと位置に合わせ、一方端面56a側から溶接する必要があった。
これに対して、第二実施形態では、図15に示すように、溝64は、一方端面56aと溶接面57との角部よりも径方向内側が切り欠かれて形成されており、溝64の径方向外側および径方向内側の面が略面一となっている。したがって、ひげぜんまい40とひげ玉50との溶接時には、位置規制治具86に、一方端面56aおよび他方端面56bを区別することなく当接させて、ひげぜんまい本体41の他方端面41bとの位置に合わせができる。したがって、溶接する面が一方端面56a側に限定されることがないので、溶接時の位置合わせ工程時間の短縮ができる。
第一実施形態では、段差部形成領域55aに溶接面57が形成されていたのに対し(図7参照)、本実施形態では、溝非形成領域55bに溶接面57が形成されている。したがって、溝非形成領域55bの軸方向の厚さ(すなわち溶接面57の軸方向の幅)は、ひげぜんまい40の軸方向の厚さ(すなわちひげぜんまい40の幅)よりも厚いことが望ましい。
また、図15に示すように、溝64は、溝64の内壁面64aと開口53の内周面53aとの最短距離、すなわち凹部60と開口53との最短距離をL3とし、溝64の外壁面64bと溶接面57との最短距離、すなわち凹部60と溶接面57との最短距離をL4としたとき、
L3>L4・・・(3)
を満たすように形成されている。
(第二実施形態の効果)
第二実施形態によれば、溝64の内壁面64aと開口53との最短距離L3を、溝64の外壁面64bと溶接面57との最短距離L4よりも大きく確保している。これにより、ひげ玉50の溶接面57にひげぜんまい40の内周側端部43を溶接したとき、溶接時の熱により焼鈍される範囲を、溶接面57から溝64の外壁面64b近傍までの短距離に制限できる。また、溝64の内壁面64aから本体部51にかけて熱伝達経路を長く確保することで熱伝達率を低くできるので、溝64から放熱できなかった熱は、溝64から本体部51に伝達しにくくなる。
さらに、支持部55は、溝64が形成されることにより、溝64が形成されていない場合よりも表面積が大きくなるので、熱を良好に放熱できる。
したがって、ひげ玉50の本体部51のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分をより厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを確実に防止できる。
また、凹部60を溝64とすることにより、電鋳や機械加工等により簡単に凹部60を形成できる。
(第三実施形態)
続いて、第三実施形態のひげ玉50について説明する。
図16は、第三実施形態のひげ玉50の説明図である。なお、図16は、ひげ玉50の一方端面56aから見た状態を図示している。
図17は、図16のD−D線に沿った断面図である。
第一実施形態のひげ玉50では、凹部60として、ひげ玉50の軸方向の両端面56a,56bのうち一方端面56aに段差部61が形成されていた(図7参照)。これに対して、第三実施形態のひげ玉50では、図16に示すように、凹部60として、ひげ玉50の軸方向の両端面56a,56bを連通する貫通孔66が形成されている点で、第一実施形態とは異なっている。なお、第一実施形態と同様の構成の部分については、詳細な説明を省略する。
図17に示すように、貫通孔66は、ひげ玉50の一方端面56aと他方端面56bとを連通して形成されている。貫通孔66の内周面66aは、本体部51よりも径方向外側において、支持部55の外形および本体部51に沿うように形成されている。貫通孔66の内周面66aは、支持部55の溶接面57および本体部51の開口53から所定距離離間するように形成されている。なお、第三実施形態では、第二実施形態と同様の理由から、他方端面56b(図17参照)側に溶接ナゲット71が形成されていてもよい。これにより、第三実施形態においても、溶接する面が一方端面56a側に限定されることがないので、溶接時の位置合わせ工程時間の短縮ができる。
第一実施形態では、段差部形成領域55aに溶接面57が形成されていたのに対し(図7参照)、本実施形態では、孔非形成領域55bに溶接面57が形成されている。したがって、孔非形成領域55bの軸方向の厚さ(すなわち溶接面57の軸方向の幅)は、ひげぜんまい40の軸方向の厚さ(すなわちひげぜんまい40の幅)よりも厚いことが望ましい。
貫通孔66は、貫通孔66の内周面66aと開口53の内周面53aとの最短距離、すなわち凹部60と開口53との最短距離をL3とし、貫通孔66の内周面66aと溶接面57との最短距離、すなわち凹部60と溶接面57との最短距離をL4としたとき、第二実施形態と同様に、
L3>L4・・・(3)
を満たすように形成されている。
貫通孔66の形成は、電鋳により行うのが望ましい。前述のとおり、電鋳型94(図12参照)は、フォトリソグラフィ技術を用いて形成される。ここで、第一の感光性材料94a(図12参照)を露光する際に、貫通孔66に対応した領域に開口を有するフォトレジストマスク(不図示)を使用して第一の感光性材料94aを露光する。すると、第一の感光性材料94aはネガレジストであるので、露光された貫通孔66に対応する部分が硬化する。そして、現像液(不図示)を用いて、第一の感光性材料94aを現像すると、露光されていない領域が溶解されるとともに、露光された貫通孔66(図16参照)に対応する部分が残存する。これにより、貫通孔66を有するひげ玉50(図16参照)を形成可能な電鋳型94が形成される。また、本実施形態では、第一の感光性材料94aのみで貫通孔66が形成できるため、段差部61(図6参照)を形成するための第二の感光性材料94b(図12参照)を用いる必要がない。したがって、このように形成された電鋳型94を用いることで、貫通孔66を有する特殊形状のひげ玉50を低コストに形成できる。
(第三実施形態の効果)
第三実施形態によれば、(3)式を満たすことで、第二実施形態と同様に、ひげ玉50の溶接面57にひげぜんまい40の内周側端部43を溶接したとき、溶接時の熱により焼鈍される範囲を、溶接面57から貫通孔66近傍までの短距離に制限できる。また、貫通孔66から本体部51にかけて熱伝達経路を長く確保することで熱伝達率を低くできるので、貫通孔66から放熱できなかった熱は、貫通孔66から本体部51に伝達しにくくなる。したがって、ひげ玉50の本体部51のうち焼鈍されず相対的に高硬度な部分をより厚く確保でき、相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを確実に防止できる。
また、支持部55に貫通孔66が形成されているので、溶接時の熱が伝達する熱伝達経路の断面積をさらに小さくでき、支持部55の熱伝達率をさらに低くできる。また、溶接時の熱は、溶接面57から貫通孔66を回り込んで本体部51に伝達する。これにより、溶接時の熱が溶接面57から本体部51に伝達するときの、溶接面57と本体部51とを結ぶ直線的な熱伝達経路が貫通孔66により絶たれる。すなわち、溶接時の熱は、貫通孔66の径方向外側を回り込んで溶接面57から本体部51に伝達するので、支持部55の熱伝達率をさらに低くできる。したがって、ひげ玉50の本体部51のうち相対的に高硬度な部分が薄くなるのをさらに抑制できるので、てん真30にひげ玉50を外嵌圧入したときの本体部51の割れを確実に防止できる。
さらに、凹部60を貫通孔66とすることにより、電鋳を利用して、ひげ玉50の本体部51および支持部55と同時に貫通孔66を形成できるので、簡単かつ低コストに凹部60を形成できる。
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
ひげ玉50の外形形状は、各実施形態に限られることはない。例えば、各実施形態のひげ玉50の本体部51は、外形が略楕円環状に形成されていた。これに対して、ひげ玉50の本体部51は、外形が略真円環状に形成されていてもよい。ただし、ひげ玉50の本体部51に第一方向Fに膨出した膨出部51a,51aが形成されており、膨出部51a,51aの弾性力により外嵌圧入時における本体部51の破損が抑制されるとともに、てん真30に対して適度な保持力を確保できる点で、各実施形態のひげ玉50に優位性がある。
ひげ玉50に形成される凹部60の形状は、各実施形態に限られることはない。例えば、第二実施形態の溝64は、支持部55の一方端面56aにのみ形成されていたが、支持部55の一方端面56aおよび他方端面56bの両端面に形成されていてもよい。
また、各実施形態では、支持部55に一個の凹部60が形成されていたが、ひげ玉50に形成される凹部60の個数は、各実施形態に限られることはない。例えば、第二実施形態の溝64は、一個の支持部55に対して一本形成されていたが、一個の支持部55に溝64が複数本形成されていてもよい。
各実施形態では、本体部51の周方向に180°ピッチに、一対の支持部55,55が形成されていたが、支持部55の周方向のピッチ角および個数は、各実施形態に限定されることはない。例えば、支持部55を一個形成してもよい。ただし、ひげ玉50の重心をひげ玉50の回転中心(すなわち中心軸O)に配置でき、ひげ玉50が振動することなく安定して回転できる点で、各実施形態に優位性がある。また、本体部51の周方向に120°ピッチに、三個の支持部55を形成してもよい。
第一実施形態では、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接する方法として、レーザ溶接を例に説明をしたが、溶接方法はレーザ溶接に限られることはない。例えば、アーク溶接や、抵抗溶接、摩擦攪拌接合等により、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接してもよい。支持部55に凹部60を設けることで、いずれの溶接方法においても本発明の効果を得ることができる。
第一実施形態では、凹部60を電鋳により形成していたが、凹部60の形成方法はこれに限定されることはなく、例えば、機械加工により凹部60を形成してもよい。
1・・・時計 10・・・てんぷ 30・・・てん真 40・・・ひげぜんまい 43・・・内周側端部 50・・・ひげ玉 51・・・本体部 53・・・開口 55・・・支持部 56(56a,56b)・・・端面 57・・・溶接面 60・・・凹部 61・・・段差部 62・・・側壁面 64・・・溝 66・・・貫通孔

Claims (7)

  1. てん真にひげぜんまいの内周側端部を固定するためのひげ玉であって、
    前記てん真に同軸に外嵌可能な開口を有する本体部と、
    前記本体部の径方向の外側に突出形成され、前記ひげぜんまいを支持する支持部と、
    を備え、
    前記径方向における前記支持部の側面には、前記ひげぜんまいの前記内周側端部が溶接される溶接面が形成され、
    前記本体部の軸方向における前記支持部の両端面のうち、少なくとも一方の端面には、凹部が形成されており、
    前記凹部は、前記支持部の前記端面を前記本体部側から前記溶接面にかけて前記軸方向に凹ませた段差部であり、
    前記段差部は、
    前記段差部の側壁面と前記開口との最短距離をL1とし、
    前記段差部の側壁面と前記溶接面との最短距離をL2としたとき、
    L1>L2
    を満たすように形成されていることを特徴とするひげ玉。
  2. てん真にひげぜんまいの内周側端部を固定するためのひげ玉であって、
    前記てん真に同軸に外嵌可能な開口を有する本体部と、
    前記本体部の径方向の外側に突出形成され、前記ひげぜんまいを支持する支持部と、
    を備え、
    前記径方向における前記支持部の側面には、前記ひげぜんまいの前記内周側端部が溶接される溶接面が形成され、
    前記本体部の軸方向における前記支持部の両端面のうち、少なくとも一方の端面には、凹部が形成されており、
    前記凹部は、前記本体部の周方向に沿って伸びる溝であり、
    前記凹部は、
    前記凹部と前記開口との最短距離をL3とし、
    前記凹部と前記溶接面との最短距離をL4としたとき、
    L3>L4
    を満たすように形成されていることを特徴とするひげ玉。
  3. てん真にひげぜんまいの内周側端部を固定するためのひげ玉であって、
    前記てん真に同軸に外嵌可能な開口を有する本体部と、
    前記本体部の径方向の外側に突出形成され、前記ひげぜんまいを支持する支持部と、
    を備え、
    前記径方向における前記支持部の側面には、前記ひげぜんまいの前記内周側端部が溶接される溶接面が形成され、
    前記本体部の軸方向における前記支持部の両端面のうち、少なくとも一方の端面には、凹部が形成されており、
    前記凹部は、前記支持部の前記両端面を連通する貫通孔であり、
    前記凹部は、
    前記凹部と前記開口との最短距離をL3とし、
    前記凹部と前記溶接面との最短距離をL4としたとき、
    L3>L4
    を満たすように形成されていることを特徴とするひげ玉。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載のひげ玉であって、
    前記溶接面と前記凹部とが形成された前記支持部を複数備え、
    前記複数の支持部は、前記本体部の周方向に等ピッチに形成されていることを特徴とするひげ玉。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のひげ玉であって、電鋳により形成されたことを特徴とするひげ玉。
  6. 請求項1に記載のひげ玉を備えたてんぷ。
  7. 請求項に記載のてんぷを備えた時計。
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