JP2018194381A - 機械部品、時計、機械部品の製造方法 - Google Patents

機械部品、時計、機械部品の製造方法 Download PDF

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宗裕 澁谷
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剛夫 舟川
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Abstract

【課題】軸部材に対する回転部材の抜け及び回転が抑止され、競争力のあるコストで生産できる機械部品、その機械部品を用いた時計、及び機械部品の製造方法を提供する。【解決手段】機械部品としてのがんぎ車35は、軸部材102と、軸部材102が挿通された開口部115と、軸部材102に向かって張り出した張出部112と、を有するがんぎ歯車部101と、軸部材102にがんぎ歯車部101を固定する環状の固定部材130と、を備え、固定部材130は、張出部112と接すると共に、一部を変形させて開口部115内に突出するように配置されていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、機械部品、時計、機械部品の製造方法に関する。
機械式時計には、歯車等に代表される数多くの機械部品が搭載されている。歯車等の機械部品は、外周に複数の歯部が形成された回転部材の中心に設けられた開口部に、軸部材が挿入され固定されてなる。従来、機械部品は金属材料を機械加工することにより形成されているが、近年では、時計用の機械部品の材料としてシリコンが用いられるようになっている。シリコンを基材とする機械部品は、金属を基材とするものに比べて軽いことから、機械部品の慣性力を小さくすることができるので、エネルギーの伝達効率の向上が見込まれる。また、シリコンはフォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて形成する形状の自由度が高いため、シリコンを基材とすることで機械部品の加工精度を向上できるという利点もある。
特許文献1に、シリコン製の回転部材に金属製の軸部材を挿通し、金属製の固定部材(ワッシャー)で固定した機械部品が開示されている。特許文献1に記載の機械部品では、固定部材に回転部材の開口部に嵌合する突起(ピン)が設けられている。この突起が回転部材の開口部に嵌合することにより、軸部材に対する回転部材の抜け及び回転の抑止を図っている。
EP1705533B1号公報
しかしながら、特許文献1に記載の機械部品では、金属製の固定部材に突起を形成する際に、切削加工や研削加工などの機械加工が必要となる。そして、固定部材で軸部材と回転部材とを固定する際に、回転部材の開口部と固定部材の突起との周方向(回転方向)における位置合わせが必要となる。そのため、加工や組み立てにおける工数が増大して生産コストが上昇するおそれがある。また、固定部材に突起を形成する機械加工における加工精度がばらつくと、軸部材と回転部材とを固定する際の位置のずれやばらつきが生じたり、回転部材と固定部材との間に隙間が生じたりして、機械部品の品質が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る機械部品は、軸部材と、前記軸部材が挿通された第1開口部と、前記軸部材に向かって張り出した張出部と、を有する回転部材と、前記軸部材に前記回転部材を固定する環状の固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記張出部と接すると共に、一部を変形させて前記第1開口部内に突出するように配置されていることを特徴とする。
本適用例の機械部品の構成によれば、軸部材に回転部材を固定する環状の固定部材を備えている。固定部材は回転部材の張出部と接するように設けられているので、軸部材の軸方向における回転部材の位置が規制される。そして、固定部材の一部が変形して第1開口部内に突出した部分(以下では、突起部という)を有しているので、軸部材の周方向(回転方向)における回転部材の位置が規制される。これにより、軸部材に対する回転部材の抜け及び回転が抑止された機械部品を提供できる。
[適用例2]上記適用例に係る機械部品であって、前記第1開口部は、複数の前記張出部で囲まれるように形成されており、前記固定部材は、前記軸部材の軸方向から見た平面視において前記回転部材の前記第1開口部と重なる部分が、前記軸方向に突出するように形成されていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、固定部材のうち、平面視において回転部材の張出部と重なる部分に対して、張出部で囲まれた第1開口部と重なる部分が軸方向に突出しているので、第1開口部の形状に合わせて突起部が形成されている。これにより、回転部材に対する固定部材の位置のずれやばらつきを効果的に抑止することができる。
[適用例3]上記適用例に係る機械部品であって、前記固定部材のビッカース硬度は、前記回転部材のビッカース硬度よりも小さいことが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、固定部材のビッカース硬度が回転部材のビッカース硬度よりも小さいので、回転部材に対して固定部材を押圧することにより、固定部材の一部を塑性変形させて突起部を形成することが可能である。すなわち、固定部材を回転部材の張出部と接するように配置した後に、固定部材を押圧して突起部を形成することが可能である。そのため、固定部材に突起部を形成するための切削加工や研削加工などの機械加工を不要にできると共に、固定部材と回転部材との周方向における位置合わせを不要にできる。また、固定部材のうち張出部と接する部分に対して第1開口部と重なる部分を回転部材側に突出させることができるので、回転部材に対する固定部材の位置のずれやばらつきの発生を抑止するとともに、回転部材と固定部材との隙間を小さくできる。
[適用例4]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記回転部材を間に挟んで前記固定部材とは反対側に、径方向の外側に突出する突出部を有し、前記固定部材の前記張出部と接する第1面の径は、前記突出部の前記回転部材と接する面の径以下であることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、固定部材を押圧して一部を塑性変形させる際に、軸部材の突出部の面に支持された回転部材に対して固定部材の第1面から力が伝達される。このとき、固定部材の張出部と接する第1面の径が突出部の回転部材と接する面の径以下であるので、固定部材を押圧することで回転部材に加えられる力は、突出部の回転部材と接する面の範囲内で支持される。これにより、固定部材を押圧することで回転部材に反り等の変形が生じることを抑止できる。
[適用例5]上記適用例に係る機械部品であって、前記固定部材の前記第1面とは反対側の第2面の径は、前記第1面の径以上であることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、固定部材を押圧する際に力が加えられる第2面の径は、張出部と接する第1面の径以上である。そのため、張出部と接する第1面の径を突出部の回転部材と接する面の径よりも大きくすることなく、固定部材を押圧する第2面の径を大きくして、容易に固定部材を押圧することができる。
[適用例6]上記適用例に係る機械部品であって、前記回転部材は、複数の歯部を有するリム部と、前記張出部と前記リム部との間に設けられた弾性部および第2開口部と、を有することが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、張出部とリム部との間に弾性部を有しているので、弾性部の弾性により、張出部に加わる応力が緩和されるとともに張出部で軸部材を保持する適切な保持力が得られる。
[適用例7]本適用例に係る時計は、上記に記載の機械部品を備えたことを特徴とする。
本適用例の時計の構成によれば、上記適用例のいずれかに記載の機械部品を備えているので、品質に優れ精度が高くコスト競争力のある時計を提供することができる。
[適用例8]本適用例に係る機械部品の製造方法は、中央部に向かって張り出した張出部と、前記張出部で囲まれた第1開口部と、を有する回転部材を形成する工程と、前記回転部材の前記第1開口部内に、前記軸部材を挿通する工程と、環状の固定部材の開口内に前記軸部材を、前記固定部材が前記回転部材の張出部と接するように挿通する工程と、前記固定部材を押圧し、前記固定部材の一部が前記回転部材の前記第1開口部内に突出するように変形させる工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の機械部品の製造方法によれば、軸部材を、回転部材の第1開口部内に挿通した後、環状の固定部材の開口内に固定部材が回転部材の張出部と接するように挿通する。そして、固定部材を押圧して、固定部材の一部が回転部材の第1開口部内に突出するように変形させるので、固定部材の開口内に固定部材を挿通した後に、固定部材に突起部を形成できる。すなわち、予め固定部材に突起部を形成しなくてもよいので、固定部材に突起部を形成するための切削加工や研削加工などの機械加工を不要にできるとともに、固定部材の開口内に固定部材を挿通する際の回転部材の第1開口部と突起部との位置合わせを不要にできる。これにより、加工や組み立てにおける工数を少なくできるので機械部品の生産コストを低減できる。また、固定部材のうち回転部材の第1開口部と重なる部分が第1開口部内に突出するので、第1開口部の形状に合わせて突起部を形成できる。これにより、回転部材の位置のずれやばらつきの発生を抑止するとともに、回転部材と固定部材との隙間を小さくできるので、固定部材により軸部材に対する回転部材の抜け及び回転を抑止して、優れた品質の機械部品を製造できる。
[適用例9]上記適用例に係る機械部品の製造方法であって、前記固定部材の開口内に前記軸部材を挿通する工程において、前記固定部材の前記開口の内径は、前記軸部材の外径よりも小さいことが好ましい。
本適用例の機械部品の製造方法によれば、固定部材の開口の内径が軸部材の外径よりも小さいので、固定部材の開口内に軸部材を挿通すると固定部材は外側へ広げられる。この応力により固定部材が軸部材に固定されるので、固定部材により回転部材をより確実に軸部材に固定することができる。
本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図。 本実施形態に係る脱進機構の平面図。 本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車の斜視図。 図2のA−A’線に沿う断面図。 本実施形態に係る回転部材としてのがんぎ歯車部の平面図。 図4のD部を拡大した部分断面図。 図2のB部を拡大した部分平面図。 図3のC部を拡大した部分斜視図。 本実施形態に係るがんぎ車の製造方法を示すフローチャート。 固定部材に軸部材を挿通する工程を説明する概略断面図。 固定部材に軸部材を挿通する工程を説明する概略断面図。 固定部材に軸部材を挿通する工程を説明する概略断面図。 固定部材に軸部材を挿通する工程を説明する概略断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、本発明の時計の一例として、機械式時計を取り上げる。そして、本発明の機械部品の一例として、機械式時計のムーブメントにおける時計部品を構成する歯車の1つであるがんぎ車を例にあげて説明する。以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。
(実施形態1)
[機械式時計]
はじめに、本実施形態に係る時計としての機械式時計1について説明する。図1は、本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図である。図1に示すように、本実施形態に係る機械式時計1は、ムーブメント10と、ムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
図1における紙面の手前側を表側といい、奥側を裏側という。ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。地板11の裏側には、図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、巻真案内穴11aに巻真12が回転自在に組み込まれている。巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15、及び裏押さえ16を有する切換装置により、その軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、きち車17が回転することにより、きち車17と噛合う丸穴車20が回転する。そして、丸穴車20が回転することにより、丸穴車20と噛合う角穴車21が回転する。さらに、角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント10の表輪列は、上述した香箱車(機械部品)22の他に、所謂番車と呼ばれる二番車(機械部品)25、三番車(機械部品)26、及び四番車(機械部品)27により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30及び調速機構31が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車である。三番車26は、二番車25に噛合う歯車である。四番車27は、三番車26に噛合う歯車である。脱進機構30は、上述した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車27と噛み合うがんぎ車(機械部品)35と、がんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル(機械部品)36と、を備えている。調速機構31は、上述した脱進機構30を調速する機構であって、てんぷ(機械部品)40を具備している。
<がんぎ車>
次に、本実施形態に係る脱進機構30が備えるがんぎ車35について、より詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る脱進機構の平面図である。図3は、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車の斜視図である。図4は、図2のA−A’線に沿う断面図である。図5は、本実施形態に係る回転部材としてのがんぎ歯車部の平面図である。
図2〜図4に示すように、脱進機構30が備えるがんぎ車35は、回転部材としてのがんぎ歯車部101と、がんぎ歯車部101に同軸(軸線O1)上に固定された軸部材(回転軸)102と、がんぎ歯車部101と軸部材102とを固定する環状の固定部材130と、を備えている。
以下の説明では、がんぎ歯車部101及び軸部材102の軸線O1に沿う方向を単に軸方向といい、軸線O1に直交する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。また、径方向において、軸線O1側を内側といい、軸線O1側とは反対側を外側という。
図2〜図5に示すように、がんぎ歯車部101は、一方の面である表面101aと、一方の面と反対側の面である裏面101bと、が平坦面とされるとともに、全面に亘って均一な厚みとされた板状のものである。がんぎ歯車部101は、単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料、または金属等の材料からなる。がんぎ歯車部101は、張出部112と、第1開口部としての開口部115と、弾性部113と、第2開口部としての開口部113aと、開口部113bと、リム部111と、を有している。
張出部112は、がんぎ歯車部101の中央部に配置され、軸部材102に向かって内側に湾曲して張り出すように複数形成されている。本実施形態では、がんぎ歯車部101は、3つの張出部112を有している。開口部115は、複数の張出部112で囲まれるように形成された貫通孔である。軸部材102は、開口部115内に挿通され、3つの張出部112の内側の頂部と接している。これにより、軸部材102は、その軸線O1ががんぎ歯車部101の中心に位置するように保持されている。
弾性部113は、張出部112とリム部111とを連結する部位であり、スポーク状に複数形成されている。各弾性部113は、隣り合う張出部112の間から、リム部111の内周縁に向かって2つに枝分かれした円弧状の形状で放射状に延在している。開口部113aは、張出部112と弾性部113とリム部111とで囲まれるように形成された貫通孔である。開口部113bは、弾性部113とリム部111とで囲まれるように形成された貫通孔である。
張出部112とリム部111との間に弾性部113を有しているので、弾性部113の弾性により、張出部112に加わる応力が緩和されるとともに、張出部112で軸部材102を保持する適切な保持力が得られる。リム部111は、がんぎ歯車部101の周囲に配置されている。リム部111の外周面には、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部114が径方向の外側に向けて突設されている。
図2に示すように、がんぎ車35の複数の歯部114は、アンクル36に噛合するようになっている。アンクル36は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、軸であるアンクル真142fと、を備えている。アンクル体142dは、アンクル真142fによって回動可能に構成されている。なお、アンクル真142fは、その両端が上述した地板11及び図示しないアンクル受に対してそれぞれ回動可能に支持されている。
3つのアンクルビーム143のうち、2つのアンクルビーム143の先端には爪石144a,144bが設けられ、残り1つのアンクルビーム143の先端にはアンクルハコ145が取り付けられている。爪石144a,144bは、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
このように構成されたアンクル36がアンクル真142fを中心に回動した際に、爪石144a或いは爪石144bが、がんぎ車35の歯部114の先端に接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ145が取り付けられたアンクルビーム143が、図示しないドテピンに接触するようになっており、これによってアンクル36は、同方向にそれ以上回動しないようになっている。その結果、がんぎ車35の回転も一時的に停止するようになっている。
がんぎ歯車部101の基材をシリコンとすることで、がんぎ歯車部101をフォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて形成できるので、各部の形状を所望の形状に形成でき、かつ、その加工精度を向上できる。また、がんぎ歯車部101の基材にシリコンを用いることで、金属を基材とする場合に比べてがんぎ歯車部101を軽くできるため、がんぎ歯車部101の慣性力を小さくすることができるので、エネルギーの伝達効率を向上できる。
図3及び図4に示すように、軸部材102は、ほぞ部121a,121bと、がんぎかな部122と、圧入軸部123と、突出部としてのフランジ部124と、を有している。ほぞ部121a,121bは、軸部材102の軸方向の両端部に配置されている。ほぞ部121a,121bのうち、軸方向の一端側に位置する一端ほぞ部121aは、図示しない輪列受に回転可能に支持され、軸方向の他端側に位置する他端ほぞ部121bは、上述した地板11に回転可能に支持されている。
がんぎかな部122は、軸部材102において、一端ほぞ部121a寄りに形成されている。がんぎかな部122は、上述した四番車27(図1参照)の歯車部に噛合される。がんぎかな部122が四番車27に噛合されることで、四番車27の回転力が軸部材102に伝達され、がんぎ車35が回転するようになっている。
圧入軸部123は、上述したほぞ部121a,121bよりも大径に形成されている。圧入軸部123は、がんぎ歯車部101の複数の張出部112で囲まれた開口部115内に、裏面101b側から挿通されている。圧入軸部123は、その一部ががんぎ歯車部101の表面101aから軸方向他端側に向けて突出した状態で、開口部115内に張出部112の内側の頂部と接して配置されている。
ここで、軸部材102の圧入軸部123に向かって張り出す3つの張出部112の頂部を通る内接円115a(図2及び図5参照)の直径は、開口部115内に軸部材102が挿通されていない状態(図5参照)において、軸部材102の圧入軸部123の径よりも小さく設計されている。したがって、がんぎ歯車部101の開口部115内に軸部材102を挿通すると、圧入軸部123と接する張出部112が径方向の外側へ変形する。この変形によって生じる応力により、軸部材102をがんぎ歯車部101の中心に配置して保持することができる。
フランジ部124は、軸部材102におけるがんぎかな部122と圧入軸部123との間に、径方向の外側に向けて突出するように形成されている。フランジ部124は、がんぎ歯車部101を間に挟んで固定部材130とは反対側に配置されている。フランジ部124の径は、圧入軸部123の径よりも大きい。したがって、フランジ部124の径は、3つの張出部112の頂部を通る内接円115aの径よりも大きい。フランジ部124のほぞ部121b側に位置する端面125(図6参照)は、がんぎ歯車部101(張出部112)の裏面101bと接している。これにより、軸部材102の軸方向(一端ほぞ部121aに向かう方向)におけるがんぎ歯車部101の位置が規制される。
軸部材102は、剛性や耐熱性に優れ、切削加工や研削加工などの加工性が高い金属材料で形成されている。軸部材102の材料は、炭素鋼であることが好ましい。
固定部材130は、開口130a(図4参照)を有する環状の部材である。固定部材130は、円形の平面形状を有している(図2参照)。固定部材130の開口130a内に、軸部材102が挿通されている。換言すれば、固定部材130は、他端ほぞ部121b側から軸部材102の圧入軸部123に押し込まれている。
固定部材130は、軸部材102の軸方向において、がんぎ歯車部101を間に挟んでフランジ部124とは反対側の他端ほぞ部121b側に配置されている。固定部材130の開口130aの内径は、軸部材102の圧入軸部123の外径よりも小さく設計されている。したがって、固定部材130を軸部材102に押し込む(すなわち、固定部材130の開口130a内に軸部材102を挿通する)と、固定部材130が軸部材102に固定される。
固定部材130の詳細構成について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、図4のD部を拡大した部分断面図である。図7は、図2のB部を拡大した部分平面図である。図8は、図3のC部を拡大した部分斜視図である。
図6に示すように、固定部材130は、大径部131と、大径部131と軸方向に接続された小径部132と、を有している。開口130aは、大径部131と小径部132とを貫通している。固定部材130は、小径部132ががんぎ歯車部101側と対向するように配置されている。
小径部132のがんぎ歯車部101側の面を、第1面としての面133とする。小径部132の面133は、がんぎ歯車部101(張出部112)の表面101aと接している。大径部131のがんぎ歯車部101とは反対側の面を、第2面としての面135とする。小径部132の面133の径D2は、フランジ部124の端面125の径D3以下である。また、大径部131の面135の径D1は、小径部132の面133の径D2以上であり、フランジ部124の端面125の径D3以上であることが好ましい。
固定部材130は、張出部112と接すると共に、一部を変形させて開口部115内に突出するように配置されている。より具体的には、固定部材130は、小径部132における張出部112(がんぎ歯車部101)の表面101aと接する面133から軸方向に突出するように形成された突起部134を有している。
図7に示すように、固定部材130の小径部132は、軸部材102の軸方向から見た平面視において、がんぎ歯車部101の張出部112と重なる部分132aと、がんぎ歯車部101の開口部115と重なる部分132bとを有している。換言すれば、固定部材130の小径部132は、張出部112と面133(図8参照)で接する部分132aと、張出部112と接していない部分132bとを有している。
図8に示すように、小径部132のうち張出部112と重なる部分132aは、面133で張出部112の表面101aと接している。これにより、軸部材102の軸方向(他端ほぞ部121bに向かう方向)におけるがんぎ歯車部101の位置が規制される。この結果、がんぎ歯車部101は、固定部材130とフランジ部124との間に挟まれて軸部材102に固定される。
小径部132のうち開口部115と重なる部分132bは、部分132aの面133から軸方向に突出している。小径部132の部分132bにおいて、面133から開口部115内に軸方向に突出した部分が、突起部134となっている。この突起部134は、周方向(がんぎ歯車部101及び軸部材102の回転方向)において張出部112の内側の面(軸方向に沿った面)と接している。これにより、周方向におけるがんぎ歯車部101の位置が規制される。面133に対する突起部134の突出量は、3μm以上であることが好ましい。
このように、固定部材130により、がんぎ歯車部101の軸方向における位置と周方向における位置とが規制されるので、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の抜け及び回転を抑止することができる。
固定部材130は、切削加工や研削加工などの加工性が高く、がんぎ歯車部101よりもやわらかい金属材料で形成されている。より具体的には、固定部材130のビッカース硬度(HV:Vickers Hardness)は、がんぎ歯車部101のビッカース硬度よりも小さい。そして、固定部材130のビッカース硬度は、軸部材102のビッカース硬度よりも小さいことが好ましい。固定部材130の材料は、例えば、黄銅である。
黄銅のビッカース硬度は、組成によって変わるが、50HV〜200HV程度である。一方、がんぎ歯車部101の材料が単結晶シリコンである場合、そのビッカース硬度は1040HV程度である。また、軸部材102の材料が炭素鋼である場合、そのビッカース硬度は210HV〜300HV程度である。なお、固定部材130の材料は、アルミ合金、青銅、鉄、チタン合金等であってもよい。
詳細は後述するが、本実施形態では、固定部材130ががんぎ歯車部101に接した状態で固定部材130を押圧して、固定部材130の一部(小径部132の部分132b)を塑性変形させることにより、突起部134を形成する。このように突起部134を形成することにより、開口部115の形状(張出部112の形状)に合わせて突起部134を形成できるので、固定部材130とがんぎ歯車部101との位置合わせを不要にできる。そして、がんぎ歯車部101に対する固定部材130の位置のずれやばらつきの発生を抑止できる。
[がんぎ車の製造方法]
次に、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の製造方法について説明する。図9は、本実施形態に係るがんぎ車の製造方法を示すフローチャートである。図10〜図13は、固定部材に軸部材を挿通する工程を説明する概略断面図である。図10〜図13は、図4の要部を拡大した部分断面図に相当する。
図9に示すように、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の製造方法は、回転部材としての歯車部(がんぎ歯車部101)を形成する工程と、軸部材102を形成する工程と、固定部材130を形成する工程と、これらを組み合わせてがんぎ車35を形成する工程と、を含む。
がんぎ歯車部101を形成する工程は、ステップS01〜ステップS06を含む。まず、シリコンを含むウェハー状の基板を準備する(ステップS01)。がんぎ歯車部101の基材をシリコンとすることで、がんぎ歯車部101をフォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて各部の形状を所望の形状に形成でき、かつ、その加工精度を向上できる。
次いで、例えばスピンコート法やスプレーコート法等により、基板の表面にフォトレジストを塗布する(ステップS02)。ステップS02で塗布するフォトレジストは、ネガ型、及びポジ型のいずれの材料も採用することができる。
次いで、基板の表面に塗布したフォトレジストに対してフォトリソグラフィー技術により、露光をした後(ステップS03)、現像を行う(ステップS04)。これにより、図5に示すがんぎ歯車部101の平面視外形に対応するマスク(エッチングマスク)となるフォトレジストパターンが形成される。
次いで、図9に示すステップS03及びステップS04で形成したフォトレジストパターンをマスクとして、基板に、例えばディープ・リアクティブ・イオンエッチング(Deep Reactive Ion Etching:DRIE)等の異方性エッチングを施す(ステップS05)。これにより、フォトレジストパターンを介して、基板が表面側から略垂直方向に深掘りされ、図5に示すような、張出部112と開口部115と弾性部113と開口部113a,113bとリム部111とを有するがんぎ歯車部101の外形形状が得られる。
次いで、フォトレジスト(フォトレジストパターン)を除去する(図9のステップS06)。ステップS06では、例えば、フォトレジストを溶解・剥離可能な発煙硝酸や有機溶剤等でのウェットエッチング、あるいは、酸素プラズマアッシング等により、フォトレジストを除去できる。これにより、がんぎ歯車部101を形成する工程は終了する。
なお、ステップS05で基板に異方性エッチングを施すときに、基材の裏面をエッチングから保護するマスクを形成するようにしてもよい。基材の裏面にマスクを形成することにより、ステップS05において基板が裏面側からエッチングされないので、張出部112の側面(軸方向に沿った面)の形状が変化しないようにして、図4に示すようながんぎ歯車部101の断面形状を得ることができる。
軸部材102を形成する工程は、図9に示すステップS11とステップS12とを含む。軸部材102を形成する工程は、ステップS01〜ステップS06のがんぎ歯車部101を形成する工程とは別に行われる。
まず、軸部材102となる部材を準備する(ステップS11)。軸部材102は、軸体として十分な剛性を有しているとともに、耐熱性を有していることが望ましい。炭素鋼は、上述した剛性や耐熱性に優れた材料であることに加えて、切削加工や研削加工などの加工性も高い材料であるため、軸部材102の材料として特に好適である。なお、軸部材102の材料としてタンタル(Ta)またはタングステン(W)を用いてもよい。
次いで、軸部材102となる部材に対して、切削加工や研削加工などの機械加工を行う(ステップS12)。これにより、図3及び図4に示すような、ほぞ部121a,121bとがんぎかな部122と圧入軸部123とフランジ部124とを有する軸部材102が得られる。
固定部材130を形成する工程は、図9に示すステップS21とステップS22とを含む。固定部材130を形成する工程も、ステップS01〜ステップS06のがんぎ歯車部101を形成する工程や、ステップS11及びステップS12の軸部材102を形成する工程とは別に行われる。まず、固定部材130となる部材を準備する(ステップS21)。固定部材130の材料としては、切削加工や研削加工などの加工性が高く、ビッカース硬度ががんぎ歯車部101よりも小さい、黄銅等の金属材料が好適である。
次いで、固定部材130となる部材に対して、切削加工や研削加工などの機械加工を行う(ステップS22)。これにより、図6及び図7に示すような、大径部131及び小径部132と開口130aとを有する固定部材130を形成する。
がんぎ車35を形成する工程は、図9に示すステップS31〜ステップS33を含む。まず、ステップS01〜ステップS06で形成されたがんぎ歯車部101に、ステップS11及びステップS12で形成された軸部材102を挿通する(ステップS31)。ステップS31では、軸部材102を、がんぎ歯車部101の開口部115内の3つの張出部112の頂部を通る内接円115a(図5参照)に挿通して、フランジ部124の端面125を張出部112の裏面101bに接触させる(図6参照)。
上述したように、がんぎ歯車部101の開口部115内の内接円115aの直径は軸部材102の圧入軸部123の径よりも小さく設計されている。そのため、開口部115内に軸部材102を挿通すると、がんぎ歯車部101に対して、圧入軸部123と接する張出部112が径方向の外側へ押し広げられるように応力が加わる。そして、張出部112とリム部111との間に設けられた弾性部113の弾性により、張出部112に加わる応力を緩和してがんぎ歯車部101の損傷を抑えながら、軸部材102をがんぎ歯車部101の中心に配置し適切な保持力で保持することができる。
次いで、ステップS21及びステップS22で形成された固定部材130の開口130a内に軸部材102を挿通する(ステップS32)。まず、図10に示すように、上述したステップS31でがんぎ歯車部101に挿通された軸部材102の他端ほぞ部121b側に、小径部132ががんぎ歯車部101を向くようにして固定部材130を配置する。そして、図11に示すように、軸部材102の圧入軸部123に、固定部材130を軸方向に沿って押し込む。
さらに、図12に示すように、固定部材130の小径部132の面133ががんぎ歯車部101の張出部112の表面101aと接するまで、固定部材130を軸部材102に押し込む。これにより、固定部材130の開口130a内に軸部材102が挿通される。図12において、固定部材130の小径部132のうち、軸部材102に対して右側の部分が軸方向から見た平面視において張出部112と重なる部分132a(図7参照)であり、軸部材102に対して左側の部分が開口部115と重なる部分132b(図7参照)である。
続いて、図12に示す状態から、固定部材130をがんぎ歯車部101側に軸方向に沿って押圧する(図9のステップS33)。このとき、固定部材130の小径部132のうち、軸部材102に対して右側の部分(部分132a)とフランジ部124との間には張出部112が介在するが、軸部材102に対して左側の部分(部分132b)とフランジ部124との間は開口部115であり張出部112が介在しない。
上述したように、固定部材130のビッカース硬度は、がんぎ歯車部101のビッカース硬度よりも小さく、軸部材102のビッカース硬度よりも小さい。そのため、固定部材130が押圧されると、張出部112と接する部分132aに対して、張出部112と接していない部分132bが、軸方向に沿って開口部115内に突出するように塑性変形する。これにより、図13に示すように、固定部材130に軸方向に突出する突起部134が形成される。部分132aの面133に対する突起部134の突出量は、3μm以上であることが好ましい。
また、上述したように、固定部材130の開口130aの内径は、軸部材102の圧入軸部123の外径よりも小さく設計されている。そのため、固定部材130を押圧すると、固定部材130は、径方向の外側に広げられて圧入軸部123に固定される。これにより、がんぎ歯車部101が固定部材130とフランジ部124との間に固定されるので、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の抜けを抑止することができる。そして、固定部材130の部分132bに開口部115内に突出する突起部134が形成されるので、軸部材102に対するがんぎ歯車部101の回転を抑止することができる。
ここで、本実施形態に係るがんぎ車35の製造方法とは異なる方法として、ステップS22において固定部材130に予め突起部134を形成しておく場合を想定する。この場合、ステップS22において、固定部材130に突起部134を形成するための切削加工や研削加工などの機械加工が追加で必要となる。そして、ステップS32において固定部材130の開口130a内に軸部材102を挿通する際に、がんぎ歯車部101の開口部115と固定部材の突起部134との位置合わせが必要となる。そのため、ステップS22における加工やステップS32における組み立てにおける工数が増大して生産コストが上昇するおそれがある。
また、ステップS22において固定部材130に突起部134を形成する機械加工の加工精度がばらつくと、ステップS32においてがんぎ歯車部101の開口部115と固定部材の突起部134とを位置合わせする際の位置のずれやばらつきが生じたり、がんぎ歯車部101(張出部112)と固定部材130との間に隙間が生じたりして、がんぎ車35の品質が低下してしまうおそれがある。
本実施形態では、ステップS22ではなくステップS33において、固定部材130を押圧して固定部材130の一部を塑性変形させることにより突起部134を形成する。そのため、上記想定の場合と比べて、ステップS22における突起部134を形成するための切削加工や研削加工などの機械加工を不要にでき、かつ、ステップS32におけるがんぎ歯車部101の開口部115と固定部材130の突起部134との位置合わせを不要にできる。これにより、がんぎ車35を形成する工程における工数を少なくし、がんぎ車35の生産コストを低減することができる。
また、固定部材130の平面視においてがんぎ歯車部101の開口部115と重なる部分132bに突起部134が形成されるため、がんぎ歯車部101の形状に合わせて精度良く突起部134を形成できる。そして、固定部材130が押圧されることにより、固定部材130の張出部112と重なる部分132aの面133が張出部112の表面101aに押し付けられるため、がんぎ歯車部101(張出部112)と固定部材130(部分132a)との隙間を小さくできる。これにより、がんぎ車35の品質向上を図ることができる。
ところで、ステップS33では、固定部材130が押圧されることで、固定部材130とフランジ部124との間に挟まれたがんぎ歯車部101(張出部112)にも力が加えられる。仮に、固定部材130の小径部132の面133の径D2(図6参照)が、がんぎ歯車部101を支持するフランジ部124の端面125の径D3(図6参照)よりも大きいと、がんぎ歯車部101における小径部132から力が加えられる範囲は、フランジ部124で支持される範囲よりも大きくなる。したがって、がんぎ歯車部101のうちフランジ部124よりも外側に位置する部分は、面133から加えられる力に対してフランジ部124で支持されないため、がんぎ歯車部101に反り等の変形や破損が発生するおそれがある。
本実施形態では、固定部材130の小径部132の面133の径D2がフランジ部124の端面125の径D3以下であるので、がんぎ歯車部101における小径部132から力が加えられる部分は、フランジ部124で支持される範囲よりも小さい。したがって、ステップS33においてがんぎ歯車部101に反り等の変形や破損の発生を抑えることができる。
一方、固定部材130を押圧する際には、大径部131の面135に力を加えるため、大径部131の面135の径D1は大きいことが望ましい。仮に、固定部材130が小径部132を有していない場合、大径部131の面135の径D1をフランジ部124の端面125の径D3よりも大きくすると、上述したように、がんぎ歯車部101に反り等の変形や破損が発生するおそれが生じてしまう。
本実施形態では、固定部材130が大径部131と小径部132とを有しており、大径部131の面135の径D1は小径部132の面133の径D2以上である。そのため、小径部132の面133の径D2をフランジ部124の端面125の径D3よりも大きくすることなく、固定部材130を押圧する大径部131の面135の径D1を大きくすることができる。したがって、ステップS32及びステップS33において、容易に固定部材130を押圧することができる。また、大径部131の面135の径D1をフランジ部124の端面125の径D3より大きくすれば、より容易に固定部材130を押圧することが可能となる。
以上述べた工程を経ることによって、機械部品としてのがんぎ車35の一連の製造工程が終了する。
上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
本発明に係る回転部材としてのがんぎ歯車部101の構成や平面視形状は、上記実施形態の図5に示す形状に限定されない。がんぎ歯車部101の構成(例えば、張出部112、開口部115、弾性部113、リム部111等の部位)が異なっていてもよいし、平面視形状が他の形状であってもよい。
(変形例2)
本発明に係る固定部材130の構成や形状は、上記実施形態の図6に示す形状に限定されない。例えば、固定部材130は、がんぎ歯車部101に近付くに従って径が小さくなるテーパー面が形成された台形状の断面形状を有していてもよいし、円形以外の平面形状を有していてもよい。
(変形例3)
本発明に係るがんぎ車の製造方法において、ステップS31でがんぎ歯車部101に軸部材102を挿通した後で、がんぎ歯車部101の表面に、二酸化ケイ素(SiO2)からなるシリコン酸化膜を形成する酸化処理を行うこととしてもよい。がんぎ歯車部101に酸化処理を行うと、シリコンを含む材料からなるがんぎ歯車部101の表面に形成されるシリコン酸化膜により、がんぎ歯車部101の機械的強度が向上する。酸化処理を行う場合は、例えば1000℃以上の高温で行う熱酸化処理を行うことが好ましい。
(変形例4)
上記実施形態では、機械部品の一例としてがんぎ車35を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の機械部品の構成及びその製造方法は、他の機械部品にも適用することができる。
1…機械式時計(時計)、35…がんぎ車(機械部品)、101…がんぎ歯車部(回転部材)、102…軸部材、111…リム部、112…張出部、113…弾性部、113a…開口部(第2開口部)、114…歯部、115…開口部(第1開口部)、124…フランジ部(突出部)、125…端面(突出部の回転部材と接する面)、130…固定部材、130a…開口、132a…部分(第1開口部と重なる部分)、133…面(第1面)、135…面(第2面)。

Claims (9)

  1. 軸部材と、
    前記軸部材が挿通された第1開口部と、前記軸部材に向かって張り出した張出部と、を有する回転部材と、
    前記軸部材に前記回転部材を固定する環状の固定部材と、を備え、
    前記固定部材は、前記張出部と接すると共に、一部を変形させて前記第1開口部内に突出するように配置されていることを特徴とする機械部品。
  2. 前記第1開口部は、複数の前記張出部で囲まれるように形成されており、
    前記固定部材は、前記軸部材の軸方向から見た平面視において前記回転部材の前記第1開口部と重なる部分が前記軸方向に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記固定部材のビッカース硬度は、前記回転部材のビッカース硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の機械部品。
  4. 前記軸部材は、前記回転部材を間に挟んで前記固定部材とは反対側に、径方向の外側に突出する突出部を有し、
    前記固定部材の前記張出部と接する第1面の径は、前記突出部の前記回転部材と接する面の径以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の機械部品。
  5. 前記固定部材の前記第1面とは反対側の第2面の径は、前記第1面の径以上であることを特徴とする請求項4に記載の機械部品。
  6. 前記回転部材は、複数の歯部を有するリム部と、前記張出部と前記リム部との間に設けられた弾性部および第2開口部と、を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の機械部品。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の機械部品を備えたことを特徴とする時計。
  8. 中央部に向かって張り出した張出部と、前記張出部で囲まれた第1開口部と、を有する回転部材を形成する工程と、
    前記回転部材の前記第1開口部内に、前記軸部材を挿通する工程と、
    環状の固定部材の開口内に前記軸部材を、前記固定部材が前記回転部材の張出部と接するように挿通する工程と、
    前記固定部材を押圧し、前記固定部材の一部が前記回転部材の前記第1開口部内に突出するように変形させる工程と、を備えたことを特徴とする機械部品の製造方法。
  9. 前記固定部材の開口内に前記軸部材を挿通する工程において、前記固定部材の前記開口の内径は、前記軸部材の外径よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の機械部品の製造方法。
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