JP2016057158A - 時計部品、ムーブメント、時計、および時計部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、表面に凹凸を有する微細な部品の製造方法として、電鋳を用いる方法が知られている。例えば特許文献1には、表面に凹凸を有し、かつ電気伝導性を有する基板上に、フォトレジスト層による成形型を形成して電鋳を行うことで、基板の凹凸を部品に転写する方法が開示されている。また、特許文献2には、基板に対して保護膜の形成と等方性エッチングとを繰り返して行うことで、深さ方向に沿う側面に凹凸を有する成形型を形成し、その成形型を用いて電鋳を行うことで、側面の凹凸を部品に転写する方法が開示されている。
本発明によれば、摺動面に凹凸を形成することで、その凹部内でアンカー効果等によって潤滑剤を保持させることができる。これにより、摺動面上での潤滑剤の保持性能を向上させ、他部品との摺動によって潤滑剤が摺動面から外部に排出されることを抑制でき、摺動面と他部品との摺動抵抗を長期に亘って低減できる。
また、摺動面に凹凸を形成することで、潤滑剤を介して平面同士が摺動する場合に比べ、部品同士の張り付きを抑制し、この張り付きに伴う回転抵抗(摺動抵抗)の増加を抑制できる。このため、他部品と摺動面との間に十分に潤滑剤を介在させることができる。
したがって、摺動面と他部品との摩耗を軽減できるので、メンテナンス性の向上を図るとともに、長期に亘って動作信頼性を確保できる。
本発明によれば、時計部品を高硬度なニッケルまたはニッケル合金により形成することで、時計部品の耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、底面および側面のうち少なくとも一方が他部品と摺動する時計部品において、部品同士の張り付きおよび潤滑剤の排出を抑制させることができる。
本発明によれば、上述した時計部品を備えているため、部品同士の摩耗が軽減され、メンテナンス性の向上を図るとともに、長期に亘って動作信頼性を確保できる。
本発明によれば、上述したムーブメントを備えているため、メンテナンス性の向上を図るとともに、長期にわたって動作信頼性を確保できる。
本発明によれば、成形型の内面に形成された被膜に対して陽極酸化を行うことで、成形型のうち、少なくとも摺動面に対応する部分に凹凸形状を有する陽極酸化膜を形成できる。そして、この成形型を用いて電鋳により時計部品を形成するため、所望の形状を有し、かつ成形型の内面の凹凸形状が摺動面に転写された時計部品が得られる。
(第1実施形態)
[時計]
以下では、最初に第1実施形態に係る機械式の時計およびこの時計に組み込まれたムーブメントについて説明したあと、第1実施形態に係るがんぎ車(請求項の「時計部品」に相当。)について説明する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板11と、時を示す時針12、分を示す分針13、および秒を示す秒針14と、を備えている。文字板11には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
図2に示すように、ムーブメント10は、このムーブメント10の基板を構成する地板20を有している。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構と、脱進機構を調速するてんぷ47を有する調速機構と、が配置されている。
図3に示すように、脱進機構は、四番車27と噛み合うがんぎ車30(時計部品)と、このがんぎ車30を脱進させて規則正しく回転させるアンクル40と、を備えている。
本実施形態のがんぎ車30は、例えば、ニッケルやニッケル合金等の電鋳材料により形成されている。なお、がんぎ車30は、銅や銅合金等の電鋳材料により形成されていてもよい。
図3および図4に示すように、歯部34の先端面は、つめ石41が摺動する摺動面34aになっている。そして、各摺動面34aには、潤滑剤を保持する微小な凹凸35が形成されている。具体的に、凹凸35は、がんぎ車30の径方向における外側に向けて突出するとともに、がんぎ車30の周方向および軸方向に間隔をあけて配列された凸部35aと、凸部35aの周囲を取り囲む凹部35bと、を有している。凹凸35は、凸部35aの高さが例えば数100nm〜数μm程度であり、各摺動面34aにおいて一様に形成されている。
潤滑剤は、摺動面34a上において、凹部35b内(隣接する凸部35a間)でアンカー効果等によって保持されている。なお、潤滑剤としては、例えば歯部34の構成材料よりも表面エネルギーの小さい材料からなる潤滑油等の液体潤滑剤や、二硫化モリブデンの粉末、フッ素樹脂の粉末等の固体潤滑剤を用いることができる。
次に、上述したがんぎ車30の製造方法について説明する。
本実施形態の時計部品の製造方法は、成形型形成工程、被膜形成工程、陽極酸化工程、電極形成工程、電鋳工程、および取出し工程を主に有している。
図5に示すように、成形型形成工程では、まずシリコン等からなる基板91上に成形型92(図7参照)の形成材料となるレジスト層93を形成する。なお、レジスト層93の厚みは、がんぎ車30の厚みと同等の厚みとする。本実施形態では、レジスト層93として、ネガ型のフォトレジストを用いる。レジスト層93の形成材料としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした紫外線硬化性の樹脂材料である「SU−8」を用いる。「SU−8」は、粘度が高い高分子構造を有するため、高アスペクト比の構造物を形成する上で好適である。本実施形態では、スピンコート法やスプレーコート法等により、樹脂材料の液体を基板91上に塗布することで、レジスト層93を形成する。
以上により、がんぎ車30の製造が終了する。
これに対して、本実施形態のがんぎ車30は、電鋳材料からなるとともに、アンクル40と摺動する摺動面34aを有し、摺動面34aには、潤滑剤を保持する凹凸35を有する構成とした。
上記構成によれば、摺動面34aに凹凸35を形成することで、その凹部35b内でアンカー効果等によって潤滑剤を保持させることができる。これにより、摺動面34a上での潤滑剤の保持性能を向上させ、アンクル40(つめ石41)との摺動によって潤滑剤が摺動面34aから外部に排出されることを抑制でき、つめ石41と摺動面34aとの摺動抵抗を長期に亘って低減できる。したがって、両者の摩耗を軽減できるので、メンテナンス性の向上を図るとともに、長期に亘って動作信頼性を確保できる。
この方法によれば、成形型92の内面に形成された被膜95に対して陽極酸化を行うことで、成形部92aのうち、少なくとも摺動面34aに対応する部分に凹凸形状を有する陽極酸化膜96を形成できる。そして、この成形型92を用いて電鋳によりがんぎ車30を形成するため、所望の形状を有し、かつ成形部92aの内面の凹凸形状が摺動面34aに転写されたがんぎ車30が得られる。
しかも、成形型92に凹凸形状の陽極酸化膜96を形成することで、従来のように凹凸を有する基板に対して電鋳を行う構成と異なり、がんぎ車30の所望の領域に凹凸35を形成することができる。そのため、設計の自由度を向上させ、摺動面34aとして使用される側面部分(歯部34の先端面)に対しても、凹凸35を簡単に形成できる。また、成形型92に陽極酸化膜96による凹凸を形成することで、従来のように等方性エッチングで凹凸を形成する構成に比べて、高精度な成形型を作製できる。そのため、転写される電鋳体98(がんぎ車30)を所望の形状に形成することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、時計部品のうち、日車に本発明の構成を採用した点で、上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、説明を要略する。
図14および図15に示すように、地板20の裏側には、分車70、日の裏車50および筒車51を含む裏輪列と、日車60と、日ジャンパ52と、第1日回し中間車53と、第2日回し中間車54と、日回し車55と、が少なくとも配置されている。また、地板20の裏側には、日車60、日ジャンパ52および日回し車55を裏側から押さえる日車押さえ57が取付けられている。なお、日車押さえ57の裏側に、上述した文字板11(図1参照)が配置されている。
各内歯62は、円環部61の内周縁から、円環部61の径方向の内側に向かって突設されるとともに、円環部61の周方向に互いに間隔をあけて配列されている。
筒車51は、分車70と同軸状に配置され、日の裏車50を介して分車70に接続されている。筒車51には、時針12(図1参照)が取り付けられ、12時間に1回転するように構成されている。
また、本実施形態では、電鋳による日車60の成形時に凹凸65を一括で形成できるので、日車60の成形後に凹凸を後加工で施す場合に比べ、製造効率の向上や低コスト化を図ることができる。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、本発明の時計部品を分車に採用した点で、上述した各実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図16に示すように、分車70は、筒かな71と、筒かな71に対して相対回転可能に外嵌(スリップ係合)された分歯車73と、を有している。
軸部71aの一端部(かな部71bに対して地板20の裏側)には、分針13(図1参照)が取り付けられている。
一対のアーム部75は、リム部74と同等の厚みを有する板状の部材である。一対のアーム部75は、分車70の中心軸Pに対して軸対称となる位置に、上述した筒かな71の軸部71aの軸径よりも狭い間隔をあけて平行に配置されている。
例えば、上述した実施形態では、機械式時計を例にして説明したが、これに限らず、アナログクオーツ時計に本発明を採用しても構わない。
Claims (6)
- 電鋳材料からなるとともに、他部品と摺動する摺動面を有し、
前記摺動面は、潤滑剤を保持する凹凸を有する、
ことを特徴とする時計部品。 - 請求項1に記載の時計部品において、
ニッケルまたはニッケル合金により形成されている、
ことを特徴とする時計部品。 - 請求項1または請求項2に記載の時計部品において、
底面および側面のうち少なくとも一方に前記摺動面を有する、
ことを特徴とする時計部品。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時計部品を備えたことを特徴とするムーブメント。
- 請求項4に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
- 他部品と摺動する摺動面を有する時計部品の製造方法であって、
成形型の内面のうち、少なくとも前記摺動面に対応する部分に被膜を形成する工程と、
前記被膜を陽極酸化させ、前記被膜の表面に凹凸形状の陽極酸化膜を生成する工程と、
前記成形型を用いて電鋳を行い、前記陽極酸化膜上に母材を形成する工程と、
を有することを特徴とする時計部品の製造方法。
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JP2014183406A JP2016057158A (ja) | 2014-09-09 | 2014-09-09 | 時計部品、ムーブメント、時計、および時計部品の製造方法 |
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CN113406875A (zh) * | 2020-03-16 | 2021-09-17 | 精工时计株式会社 | 钟表零件、机芯和钟表 |
WO2022210159A1 (ja) * | 2021-03-29 | 2022-10-06 | シチズン時計株式会社 | 電鋳型の製造方法及びフォトマスク |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010077528A (ja) * | 2008-08-28 | 2010-04-08 | Seiko Instruments Inc | 機械部品、機械部品の製造方法および時計 |
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2014
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