JP2010261906A - 時計用歯車及び時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性が高く、耐久性にも優れた時計用歯車を提供すること。
【解決手段】陽極酸化処理可能な金属により歯車状に形成された母材132と、陽極酸化処理により母材の表面に被膜された陽極酸化膜133と、を備えている時計用歯車130を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、時計用歯車及びこれを備えた時計に関するものである。
機械式時計に代表される時計には、非常に多くの時計用歯車が用いられている。この種の時計用歯車は、用途に応じて様々な形状に形成されているうえ、複雑に組み合わされて動力を伝達している。特に、時計用歯車は摺動回数が多いので、高い耐摩耗性が求められている。また、耐久性の向上化や、より正確な時を刻ませるために、今後に向けてさらなる耐摩耗性の改善が望まれている。
一般的に時計用歯車の耐摩耗性を向上させるための処理として、母材に熱酸化処理を施して保護膜を被膜させる方法(特許文献1参照)や、物理蒸着処理(PVD:Physical Vapor Deposition)を施して保護膜を被膜させる方法等が知られている。このように、母材を保護膜で覆うことで、母材を摩耗から保護し、耐摩耗性の向上化に繋げている。
特表2008−544290号公報
ところが、従来の方法では、十分な耐摩耗性を確保することが困難であった。この点を以下に詳細に説明する。
はじめに、従来の方法で被膜された保護膜は硬度が高く、特にPVD処理により施された保護膜は非常に高い硬度の高硬度被膜とされている。ビッカース硬さ(Hv)としては、Hv=1500〜3000という高い数値を示す被膜である。ところが、その反面、従来の方法により施された保護膜は、残留応力が高いという特性を有している。従って、膜厚を薄くせざるを得なかった。仮に、膜厚を厚くしてしまった場合には、高い残留応力が蓄積してしまい、母材との間に大きな応力差が生じてしまう。そのため、この応力差によって自己破壊による割れやひび等が保護膜に生じる可能性が高かった。よって、保護膜の膜厚は、0.1μm〜2μm程度に薄くせざるを得なかった。ところが、膜厚が薄いために、高硬度被膜とされている保護膜であっても擦れや衝撃等によって剥がれてしまう可能性が高かった。その結果、上述したように、十分な耐摩耗性を確保することが困難であった。
更に、従来の方法では、母材に対する保護膜の密着強度が低く、保護膜が剥離する可能性が高かった。通常、保護膜を被膜させる際の処理温度を高くするほど密着性が高まるが、母材に悪影響(熱変形等)を与え易いので、処理温度を上げることができない。そのため、保護膜の密着強度を上げることが難しかった。よって、保護膜が剥離し易くなってしまい、この点においても十分な耐摩耗性を確保することが困難であった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、耐摩耗性が高く、耐久性にも優れた時計用歯車及びこれを備えた時計を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る時計用歯車は、陽極酸化処理可能な金属により歯車状に形成された母材と、陽極酸化処理により前記母材の表面に被膜された陽極酸化膜と、を備えていることを特徴とする。
この発明に係る時計用歯車においては、歯車状に形成された母材の表面に陽極酸化膜が被膜されている。この陽極酸化膜は、高硬度な被膜であることに加え、被膜時に残留応力が低いという特性を有している。そのため、従来のものとは異なり、陽極酸化膜の膜厚を厚くしたとしても母材との間に大きな応力差が生じ難く、割れやひび等が生じ難い。従って、従来ではなし得なかった十分な厚さ(例えば、十数μm)の陽極酸化膜を母材の表面に被膜させることが可能である。これにより、高硬度で且つ十分な厚みのある陽極酸化膜で母材を保護することができる。
更に、陽極酸化膜は、母材上に単に形成された膜とは違い、陽極酸化処理による酸化反応によって母材の表面に形成された酸化物である。従って、陽極酸化膜に高い密着強度を発揮させることができ、母材と陽極酸化膜との密着性を高めることができる。よって、擦れや衝撃等を受けたとしても、母材から陽極酸化膜が剥離し難い。
つまり、高硬度で且つ十分な厚みのある陽極酸化膜を母材の表面に高い密着強度で被膜させた時計用歯車とすることができる。従って、耐摩耗性を高めることができ、耐久性の向上化を図ることができる。
(2)本発明に係る時計用歯車は、上記本発明の時計用歯車において、前記母材が、全面に亘って均一な厚みに形成されていることを特徴とする。
この発明に係る時計用歯車においては、陽極酸化膜によって耐摩耗性が高められているので、潤滑油等を保油する段差部(油溜まり)を設ける等の一般的な耐摩耗性向上のための対策を施す必要がない。従って、母材を全面に亘って均一な厚みに形成することができ、厚み自体を薄くすることが可能である。
従って、時計用歯車の軽量化を図ることができると共に、歯車としての動きを良くして作動効率を高めることができる。
(3)本発明に係る時計用歯車は、上記本発明の時計用歯車において、前記陽極酸化膜には、潤滑剤が含浸されていることを特徴とする。
この発明に係る時計用歯車においては、陽極酸化膜に潤滑剤が含浸されているので、潤滑性を高めることができ、耐摩耗性をさらに高めることができる。
(4)本発明に係る時計は、上記本発明の時計用歯車を備えていることを特徴とする。
この発明に係る時計においては、耐摩耗性が高く、耐久性が向上した時計用歯車を備えているので、長期間に亘って正確な時を刻むことができ、作動の信頼性が高い高品質な時計とすることができる。
本発明に係る時計用歯車によれば、耐摩耗性を高めることができ、耐久性の向上化を図ることができる。
また、本発明に時計によれば、上述した時計用歯車を備えているので、長期間に亘って正確な時を刻むことができ、作動の信頼性が高い高品質な時計とすることができる。
本発明に係る時計用歯車であるがんぎ車を有する機械式時計の、ムーブメント表側の平面図(一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している)である。 図1に示すムーブメントの香箱車からがんぎ車の部分を図示する概略部分断面図である。 図1に示すムーブメントのがんぎ車からてんぷの部分を図示する概略部分断面図である。 図1に示すムーブメントを構成するがんぎ車及びアンクルの平面図である。 図4に示すがんぎ車の歯部を拡大した斜視図である。 本発明に係る時計用歯車を有する自動巻き式時計のムーブメント表側の平面図である。 図6に示すムーブメントの香箱車からボールベアリングの部分を図示する概略部分断面図である。
以下、本発明に係る一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げ、また、時計用歯車の一例としてがんぎ車を例に挙げて説明する。
はじめに、機械式時計について、図1から図3を参照して説明する。なお、図1は、ムーブメント表側の平面図である。図2は、香箱車からがんぎ車の部分を図示する概略部分断面図である。図3は、がんぎ車からてんぷの部分を図示する概略部分断面図である。
これら図1から図3に示すように、機械式時計1は、ムーブメント100を備えている。このムーブメント100は、該ムーブメント100の基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。また、ムーブメント100には、文字板104(図2及び図3参照)が取り付けられている。
一般に、地板102の両側のうち、文字板104が配される側をムーブメント100の裏側と称し、文字板104が配される側の反対側をムーブメント100の表側と称する。また、ムーブメント100の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント100の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194、裏押さえ196を含む切換装置により、巻真110の軸線方向の位置が決められている。きち車112は、巻真110の案内軸部に回転可能に設けられている。巻真110が、回転軸線方向に沿ってムーブメント100の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真110を回転させると、つづみ車111の回転を介してきち車112が回転する。丸穴車114は、きち車112の回転により回転する。また、角穴車116は、丸穴車114の回転により回転する。角穴車116が回転することにより、香箱車120に収容されたぜんまい122(図2参照)が巻き上げられる。
二番車124は、香箱車120の回転により回転する。がんぎ車130は、四番車128、三番車126、二番車124の回転を介して回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126及び四番車128は、表輪列を構成する。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、てんぷ140と、がんぎ車130と、アンクル142とで構成されている。てんぷ140は、図3に示すように、てん真140aと、ひげぜんまい140cとを備えている。図2に示すように、二番車124の回転に基づいて、筒かな150が同時に回転する。そして、筒かな150に取り付けられた分針152が「分」を表示する。
また、筒かな150には、二番車124に対するスリップ機構が設けられている。筒かな150の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して筒車154が回転する。そして、筒車154に取り付けられた時針156が「時」を表示する。
図3に示すようにひげぜんまい140cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい140cの内端部は、てん真140aに固定されたひげ玉140dに固定されている。一方、ひげぜんまい140cの外端部は、てんぷ受166(図1参照)に固定されたひげ持受170に取り付けたひげ持170aを介してねじ締めにより固定されている。
緩急針168は、てんぷ受166に回転可能に取り付けられている。また、てんぷ140は、地板102及びてんぷ受166に対して回転可能に支持されている。
図2に示すように香箱車120は、香箱歯車120dと、香箱真120fと、ぜんまい122とを備えている。香箱真120fは、上軸部120aと、下軸部120bとを備えている。香箱真120fは、炭素鋼等の金属で形成されている。香箱歯車120dは、黄銅等の金属で形成されている。
二番車124は、上軸部124aと、下軸部124bと、かな部124cと、歯車部124dと、そろばん玉部124hとを備えている。二番車124のかな部124cは、香箱歯車120dと噛み合うように構成されている。上軸部124a、下軸部124b及びそろばん玉部124hは、炭素鋼等の金属で形成されている。歯車部124dは、ニッケル等の金属で形成されている。
三番車126は、上軸部126aと、下軸部126bと、かな部126cと、歯車部126dとを備えている。三番車126のかな部126cは、歯車部124dと噛み合うように構成されている。
四番車128は、上軸部128aと、下軸部128bと、かな部128cと、歯車部128dとを備えている。四番車128のかな部128cは、歯車部126dと噛み合うように構成されている。上軸部128a及び下軸部128bは、炭素鋼等の金属で形成されている。歯車部128dは、ニッケル等の金属で形成されている。
がんぎ車130は、上軸部130aと、下軸部130bと、がんぎかな部130cと、がんぎ歯車部132とを備えている。がんぎかな部130cは、歯車部128dと噛み合うように構成されている。
図3に示すように、アンクル142は、アンクル体142dと、アンクル真142fとを備えている。アンクル真142fは、上軸部142aと、下軸部142bとを備えている。
香箱車120は、図2に示すように、地板102及び香箱受160に対して回転可能に支持されている。即ち、香箱真120fの上軸部120aは、香箱受160に対して回転可能に支持されている。香箱真120fの下軸部120bは、地板102に対して回転可能に支持されている。
また、二番車124、三番車126、四番車128及びがんぎ車130は、地板102及び輪列受162に対してそれぞれ回転可能に支持されている。即ち、二番車124の上軸部124a、三番車126の上軸部126a、四番車128の上軸部128a、がんぎ車130の上軸部130aは、それぞれ輪列受162に対して回転可能に支持されている。また、二番車124の下軸部124b、三番車126の下軸部126b、四番車128の下軸部128b、がんぎ車130の下軸部130bは、それぞれ地板102に対して回転可能に支持されている。
図3に示すように、アンクル142は、地板102及びアンクル受164に対して回転可能に支持されている。即ち、アンクル142の上軸部142aは、アンクル受164に対して回転可能に支持されている。アンクル142の下軸部142bは、地板102に対して回転可能に支持されている。
香箱真120fの上軸部120aを回転可能に支持する香箱受160の軸受部と、二番車124の上軸部124aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、三番車126の上軸部126aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、四番車128の上軸部128aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、がんぎ車130の上軸部130aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、アンクル142の上軸部142aを回転可能に支持するアンクル受164の軸受部には、潤滑油が注油されている。
また、香箱真120fの下軸部120bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、二番車124の下軸部124bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、三番車126の下軸部126bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、四番車128の下軸部128bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、がんぎ車130の下軸部130bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、アンクル142の下軸部142bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油されている。
上述した潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。
地板102のそれぞれの軸受部、香箱受160の軸受部、輪列受162のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。この油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。
また、地板102、香箱受160、輪列受162及びアンクル受164は、黄銅等の金属で形成しても良いし、ポリカーボネート等の樹脂で形成しても良い。
次に、上述したがんぎ車130について、より詳細に説明する。
このがんぎ車130は、図4及び図5に示すように、所定の厚みに形成された金属製の母材132と、陽極酸化処理により母材132全体の表面に被膜された陽極酸化膜133と、母材132の中心に打ち込まれた軸部材131と、で構成されている。
なお、図4は、互いに噛合したがんぎ車130及びアンクル142の平面図である。但し、この図4では、陽極酸化膜133の図示を省略している。図5は、がんぎ車133の歯部132aを拡大した斜視図である。
母材132は、陽極酸化処理可能な材料、例えば、アルミニウム(Al)により歯車状に形成されている。より具体的には、上面及び下面が平坦面とされているうえ、全面に亘って均一な厚みに形成されており、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部132aを有している。これら複数の歯部132aの先端に、後述するアンクル142の爪石144a、144bが接触するようになっている。つまり、歯部132aの先端の側面は爪石144a、144bが接触して摺動する摺動面(衝撃面)132bとされている。
陽極酸化膜133は、Hv(ビッカース硬さ)=1600〜2000程度の高硬度な被膜であり、母材132の表面に十分な厚み(十数μm)で被膜されている。
軸部材131は、母材132の中心に設けられた図示しない保持孔内に打ち込まれることで取り付けられた部材であり、中心軸ががんぎ車130の中心軸と同一とされている。また、軸部材131の上端部に上述した上軸部130aが設けられ、下端部に下軸部130bが設けられている。また、上軸部130aの下方にがんぎかな部130cが設けられている。このがんぎかな部130cは、上述したように、四番車128の歯車部128dに噛合しており、これによって四番車128の回転力を軸部材131に伝達してがんぎ車130を回転させる役割を果している。
このように構成されたがんぎ車130は、複数の歯部132aがアンクル142に噛合するようになっている。アンクル142は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、アンクル真142fとを備えたもので、軸であるアンクル真142fによってアンクル体142dが回転可能に構成されている。
3つのアンクルビーム143のうち2つのアンクルビーム143の先端には、爪石144a、144bが設けられ、残り1つのアンクルビーム143先端には、アンクルハコ145が取り付けられている。爪石144a、144bは、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
このように構成されたアンクル142は、アンクル真142fを中心に回転した際に、爪石144a或いは爪石144bが、がんぎ車130の歯部132aの先端、より詳細には摺動面132bに接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ145が取り付けられたアンクルビーム143が、ドテピン(図示せず)に接触するようになっており、これによってアンクル142は、同方向にそれ以上回転しないようになっている。その結果、がんぎ車130の回転も一時的に停止するようになっている。
次に、上述したがんぎ車130の製法方法について、以下に簡単に説明する。
まず、所定の厚みに調整されたアルミニウム(Al)の平板を用意した後、該平板をプレス成形や、カッター、ワイヤ或いはレーザ等によるカッティング等を行って、複数の歯部132aを有する母材132を形成する。次に、母材132の中心に軸部材131を打ち込んだ後、陽極酸化処理を施して母材132全体の表面に陽極酸化膜133を被膜させる。これにより、図4及び図5に示すがんぎ車130を製造することができる。
特に、がんぎ車130を製造するにあたって、陽極酸化膜133は高硬度な被膜であることに加え、被膜時に残留応力が低いという特性を有している。そのため、従来のものとは異なり、陽極酸化膜133の膜厚を厚くしたとしても母材132との間に大きな応力差が生じ難く、割れやひび等が生じ難い。従って、0.1μm〜十数μmまでの膜厚で陽極酸化膜133を形成することが可能であり、従来ではなし得なかった十分な厚さの陽極酸化膜133を母材132の表面に被膜させることができる。これにより、高硬度で且つ十分な厚みのある陽極酸化膜133で母材132を保護することができる。
また、陽極酸化膜133は、母材132上に単に形成された膜とは異なり、陽極酸化処理による酸化反応によって母材132の表面に形成された酸化物である。従って、陽極酸化膜133に高い密着強度を発揮させることができ、母材132と陽極酸化膜133との密着性を高めることができる。よって、擦れや衝撃等を受けたとしても、母材132から陽極酸化膜133が剥離し難い。
つまり、高硬度で且つ十分な厚みのある陽極酸化膜133を母材132の表面に高い密着強度で被膜させたがんぎ車130とすることができる。従って、耐摩耗性を高めることができ、耐久性の向上化を図ることができる。
特にこのがんぎ車130は、年間の摺動回数が数百万回を超えるため、非常に摩耗し易い歯車である。しかしながら、本実施形態のがんぎ車130によれば、上述したように陽極酸化膜133によって耐摩耗性が高まっているので、摺動回数が多くても摩耗し難く、信頼性に優れている。
更に、このがんぎ車130は、陽極酸化膜133によって耐摩耗性が高められているので、潤滑油等を保油する段差部(油溜まり)を歯部132aの先端に設ける等の一般的な耐摩耗性向上のための対策を施す必要がない。従って、母材132を全面に亘って均一な厚みにすることができ、厚み自体を薄くすることが可能である。従って、がんぎ車130の軽量化を図ることができると共に、歯車としての動きを良くして作動効率、即ち、脱進機効率を高めることができる。特に、本実施形態では、母材132が軽量金属の1つであるアルミニウム(Al)で形成されているので、脱進機効率が非常に優れている。
また、本実施形態の機械式時計1は、上述したがんぎ車130、即ち、耐摩耗性が高く、耐久性が向上し且つ脱進機効率を高めるがんぎ車130を備えているので、長期間に亘って正確な時を刻むことができ、作動の信頼性が高い高品質な時計とすることができる。
なお、上記実施形態において、陽極酸化膜133に各種の潤滑剤を含浸させても構わない。陽極酸化処理によって被膜された陽極酸化膜133は、ポーラス構造となる性質を有するので、潤滑剤として潤滑油を注油した場合には、該潤滑油を確実に保油することができる。つまり、陽極酸化膜133に潤滑油を十分に含浸させることができ、オイルプールの役割を担わせることができる。従って、潤滑性を高めることができ、耐摩耗性をさらに高めることができる。
また、潤滑剤は、潤滑油に限定されるものではなく、例えば、炭素、テフロン(登録商標)や二硫化モリブデン等の粒子状の固体潤滑剤であっても良い。この場合には、陽極酸化膜133に固体潤滑剤を吸引や擦り付け等によって充填することで含浸させることができる。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、母材132をアルミニウム(Al)形成した場合を例に挙げて説明したが、アルミニウム合金であっても良いし、陽極酸化処理可能な金属であれば他の金属材料を用いて構わない。
例えば、マグネシウム(Mg)或いはマグネシウム合金、又は、チタン(Ti)或いはチタン合金、又は、リチウム(Li)等の金属材料を用いて構わない。特に、この種の金属材料の中でも、アルミニウム(Al)等のようにできるだけ軽量の金属材料を用いることが好ましい。こうすることで、軽量化を図ることができると同時に、歯車としての動きを良くして作動効率を高めることができる。この点においては、マグネシウム(Mg)やマグネシウム合金を用いることが好ましい。
また、上記実施形態では、時計用歯車をがんぎ車130に適用した場合を例に挙げて説明したが、がんぎ車130に限定されるものではなく、その他の歯車であっても構わない。特に、摺動負荷が高く耐摩耗性が求められる歯車に好適に適用することができる。
具体的には、図6及び図7に示すように、自動巻き周りの各種歯車(伝え歯車や伝え中間歯車)に適用することができる。図6は、自動巻き式時計のムーブメント表側の平面図である。図7は、香箱車からボールベアリングの部分を図示する概略部分断面図である。
図6及び図7に示すように、自動巻き式時計のムーブメント200においては、図示しないきち車の回転によって、角穴車201が回転し、香箱車202に収容された図示しないぜんまいを巻き上げるようになっている。また、角穴車201には、香箱受203及び伝え受204によって上下の軸部が軸支された二番伝え歯車205の二番伝えかな205aが噛合されている。これにより、角穴車201が回転することで、二番伝え歯車205が回転するようになっている。また、この二番伝え歯車205には、つめレバー206の先端が噛合している。このつめレバー206は、二番受207及び伝え車受208によって上下の軸部が軸支された一番伝え車209に基端側が固定されている。
一番伝え車209には、三番受210及び伝え車受208よって上下の軸部が軸支された一番伝え中間車211が噛合されている。これにより、一番伝え歯車が回転することで、一番伝え中間車211が回転するようになっている。また、この一番伝え中間車211には、ボールベアリング212の外周面に形成された歯車212aが噛合されている。よって、一番伝え中間車211が回転することで、ボールベアリング212が回転するようになっている。
上述した一番伝え車209、一番伝え中間車211及び二番伝え歯車205は、摺動負荷が高く耐摩耗性が求められる歯車であり、本発明に係る時計用歯車をこの種の歯車にも好適に使用することができる。
1…機械式時計(時計)
130…がんぎ車(時計用歯車)
132…母材
133…陽極酸化膜

Claims (4)

  1. 陽極酸化処理可能な金属により歯車状に形成された母材と、
    陽極酸化処理により前記母材の表面に被膜された陽極酸化膜と、を備えていることを特徴とする時計用歯車。
  2. 請求項1に記載の時計用歯車において、
    前記母材は、全面に亘って均一な厚みに形成されていることを特徴とする時計用歯車。
  3. 請求項1又は2に記載の時計用歯車において、
    前記陽極酸化膜には、潤滑剤が含浸されていることを特徴とする時計用歯車。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の時計用歯車を備えていることを特徴とする時計。
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