JP6057732B2 - 装飾構造体、回転錘および時計 - Google Patents

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この発明は、装飾構造体、回転錘および時計に関するものである。
一般に、チタンやチタン合金は軽量であり、かつ比強度が大きいという特徴を有し、さらに耐食性などの点で優れた金属であるため、幅広い分野においてチタンやチタン合金の利用量が増大している。例えば、機械式時計に用いられる部品には、落下等による耐衝撃性が高く、高強度、高弾性、高振動吸収性等が求められるため、チタンやチタン合金等は使用に適していると言える。また、チタンやチタン合金は十分な耐食性を有するため、防錆等の後処理は必要ないが、部品がチタンやチタン合金以外の金属である場合、鉄等のような防錆処理が必要になる。防錆処理としては、例えばメッキ等を施すことが考えられるが、メッキが薄膜であるとピンホールを生じやすく耐久性が低下する虞がある。一方、メッキを厚膜にすると、公差の厳しい時計部品においては寸法誤差が大きくなる虞がある。このため、部品をチタンやチタン合金で形成し、陽極酸化処理を施すことにより、防錆処理を必要とせず、且つ発色させて装飾性を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−256352号公報
ところで、上述の従来技術にあっては、表面付近以外がチタンまたはチタン合金(以下、チタン材料)で形成されていても装飾には関係しないことから、高価なチタン材料において不要な部分を多く有してしまう。また、表面付近にのみチタン材料を形成する場合には、母材との密着性を確保することが困難であり、色むらや外観性の低下を招いてしまう虞がある。
本発明は、かかる事情を考慮してなされるものであり、表面付近にチタン層を形成することにより不要なチタン材料を減らし、かつ酸化膜による色むらが抑制される装飾構造体、回転錘および時計を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る装飾構造体は、母材と、母材上に形成され、微小開口を有する下地層と、下地層上に形成され、下地層が形成される側とは反対側の表面にチタンの酸化膜が形成されるチタン層とを備え、チタン層は、微小開口の内部に埋め込まれる埋め込み部を有するように形成されることを特徴とする。
かかる特徴により、チタン材料の表面に酸化膜が形成されるとともに、かかる酸化膜の母材となるチタン材料により埋め込み部が形成されるので、チタン材料が装飾と接合強度確保とを併せて担うことができ、不要なチタン材料を減らしつつ、減らしたチタン材料が置き換えられた母材と、かかるチタン材料との接合強度が確保されるようになり、チタン材料の接合不足による色むらを抑制することができる。よって、効率的な量のチタン材料により安定した装飾状態を確保することができる。
また、本発明に係る装飾構造体は、埋め込み部が、チタンの化合物により形成されることを特徴とする。かかる特徴により、上述の効果に加え、さらに接合状態を強固に確保することができる。
また、本発明に係る回転錘は、上述の装飾構造体が軸中心に回転可能に形成される回転錘体と、装飾構造体の外周側に形成される回転重錘とを備え、外部振動により軸を中心として回転することを特徴とする。かかる特徴により、上述の効果を回転状態においても発揮することができる。
本発明に係る時計は、上述の回転錘を有する時計であって、回転錘が内部に回転可能に収容されることを特徴とする。かかる特徴により、上述の効果を有する時計を提供することができる。
本発明によれば、不要なチタン材料を減らしつつ、チタン材料表面の酸化膜の色むらが抑制される装飾構造体、回転錘および時計を提供することができる。すなわち、チタン材料を薄膜のチタン膜とすることでその下地となる下地層を形成し、かかる下地層にチタン層の埋め込み部を形成することで、表面に酸化膜が形成されるチタン層の母材に対する密着性を確保することができる。よって、かかる酸化膜の色彩を安定して確保することができるようになる。
本発明の第1実施形態におけるムーブメントを表側からみた平面図である。 本発明の第1実施形態における自動巻機構の概略構成図である。 本発明の第1実施形態における装飾構造体を有する回転錘の平面図である。 本発明の第1実施形態における装飾構造体の断面図である。 本発明の第2実施形態における装飾構造体の断面図である。 本発明の第3実施形態における装飾構造体の断面図である。 (a):本発明の第1実施形態の製造方法における、ニッケル層を形成する前 に母材上に形成したニッケル層成長の起点の断面図である。(b):(a)形成後に形 成したニッケル層を含む装飾構造体の断面図である。(c):(b)を形成した後、チ タン層を形成した後の装飾構造体の断面図である。 (a):本発明の第3実施形態の製造方法におけるニッケル層を形成する前に 母材上に形成したレジストの断面図である。(b):(a)形成後に形成したニッケル 層を含む装飾構造体の断面図である。(c):(b)を形成した後、レジストを除去し 、チタン層を形成した後の装飾構造体の断面図である。
以下において、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。まず、自動巻腕時計について説明する。図1は、自動巻機構を取り外した状態でムーブメントを表側からみた平面図、図2は、自動巻機構の概略構成図である。
図1、図2に示すように、本発明に係る装飾構造体(例えば、後述の回転錘160または回転錘体164)が組み込まれた自動巻腕時計(時計)10は、ムーブメント100と、このムーブメント100を収納する不図示のケーシングとにより構成され、ムーブメント100に不図示の文字板が取り付けられている。ムーブメント100は、基板を構成する地板102と、一番受105と、二番受106と、てんぷ受108と、アンクル受109とを備えている。二番受106は、一番受105と地板102との間に配置される。地板102には巻真案内孔103が形成されており、ここに巻真110が回転可能に組み込まれている。ここで、地板102の両側のうち、文字板が配置される側(図1、図2における紙面奥側)をムーブメント100の裏側と称し、文字板が配置される側とは反対側(図1、図2における紙面手前側)をムーブメント100の表側と称する。ムーブメント100の裏側には、裏輪列と称する輪列や、おしどり140、かんぬき142、及びおしどり押さえ144を含む切換装置が配置されている。この切換装置により、巻真110の軸方向の位置が決定するようになっている。一方、ムーブメント100の表側には、表輪列と称する輪列、表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置40、および自動巻機構60等が組み込まれている。表輪列は、香箱車120、二番車124、三番車126、四番車128により構成されている。香箱車120は、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されており、不図示のぜんまいを有している。そして、巻真104を回転させると不図示のつづみ車が回転し、さらにきち車、丸穴車(何れも不図示)、及び角穴車118を介してぜんまいが巻き上げられる。さらに、角穴車118の歯部には、板状のこはぜ117が噛合されており、これにより、角穴車118の回転が規制されるようになっている。一方、ぜんまいが巻き戻される際の回転力により香箱車120が回転し、さらに二番車124が回転するように構成されている。二番車124は、二番受106と地板102とにより回転可能に支持されている。二番車124が回転すると、三番車126が回転する。三番車126は、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されている。三番車126が回転すると、四番車128が回転する。四番車128は、一番受105と二番受106とにより回転可能に支持されている。四番車128が回転することにより脱進・調速装置40が駆動する。
次に、脱進調速装置について説明する。脱進・調速装置40は、てんぷ136と、がんぎ車134と、アンクル138とを備えている。アンクル138は、アンクル受109と地板102とにより回転可能に支持されている。てんぷ136は、てんぷ受108と地板102とにより回転可能に支持されている。てんぷ136は、てん真136aと、てん輪136bと、ひげぜんまい136cとを有している。このような構成のもと、脱進・調速装置40は、二番車124が1時間に1回転するように制御する。二番車124の回転に基づいて不図示の筒かなが同時に回転するように構成されており、この筒かなに取り付けられた不図示の分針が「分」を表示するようになっている。また、筒かなには、二番車124に対するスリップ機構が設けられている。筒かなの回転に基づいて、日の裏車の回転を介し、筒車(何れも不図示)が12時間に1回転するように構成されている。そして、筒車に取付けられた不図示の時針が「時」を表示するようになっている。さらに、二番車124の回転により、三番車126の回転を介し、四番車128が1分間に1回転するように構成されている。四番車128には、不図示の秒針が取り付けられている。
次に、自動巻機構について説明する。自動巻機構60は、この自動巻機構60を構成する回転錘160をユーザーの腕の動きで動かし、香箱車120の不図示のぜんまいを巻き上げるものである。回転錘160は、ボールベアリング162と、回転錘体164と、回転重錘166とを有している。ボールベアリング162は、内輪と、外輪と、これら外輪と内輪との間に設けられた複数のボール(何れも不図示)とを有しており、内輪がボールベアリング止めねじ168を介して一番受105に固定されている。
次に、図3に基づいて、回転錘について説明する。図3は、回転錘の平面図である。図2、図3に示すように、回転錘160の回転錘体164は、陽極酸化処理が可能なチタン(Ti)、及びチタン合金の何れか一方により、平面視略扇状に形成されたものである。回転錘体164の回転中心には、ボールベアリング162が配置され、ボールベアリング162の外輪と回転錘体164とが固定されている。これにより回転錘体が軸中心に回転可能に支持される。
また、回転錘体164の外周縁には、この外周縁に沿うように湾曲した回転重錘166が取り付けられている。回転錘体164と回転重錘166とは締結部材を介して固定されている。また、接着材等で接着されてもよい。尚、回転錘体164と回転重錘166とが一体成形されていてもよい。回転錘体164のボールベアリング162の外輪には、回転錘かな178が設けられている。
この回転錘かな178は、一番伝え車182の一番伝え歯車182aに噛合わされる。一番伝え歯車182aは、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されている。さらに、一番伝え車182と一番受105との間には、つめレバー180が組み込まれている。つめレバー180は、一番伝え車182の軸心から偏心した形で取り付けられたものであって、引きつめ180a、および押しつめ180bを有している。これら引きつめ180a、および押しつめ180bは、二番伝え車184の二番伝え歯車184aに噛合わされる。二番伝え車184は、二番伝え歯車184aの他に二番伝えかな184bを有している。二番伝え歯車184aは、回転錘体164と一番受105との間に位置している。一方、二番伝えかな184bは、角穴車118と噛み合うようになっている。そして、二番伝え歯車184aに噛合うつめレバー180の引きつめ180a、および押しつめ180bは、二番伝え歯車184aの中心に向かって弾性力により付勢されている。
このような構成のもと、回転錘160が回転すると、回転錘かな178も同時に回転し、回転錘かな178の回転により、一番伝え車182が回転する。この一番伝え車182の軸心から偏心した形で取り付けられているつめレバー180は、一番伝え車182の回転により往復運動を行う。そして、引きつめ180a、および押しつめ180bにより二番伝え車184を一定の方向に回転させる。すると、二番伝え車184の回転により角穴車118が回転し、香箱車120の不図示のぜんまいを巻き上げる。ここで、自動巻腕時計10の不図示のケーシングの裏側は、内部が視認可能なように透明になっている。このため、不図示のケーシングを介して視認される回転錘160の表面が発色されており、自動巻腕時計10のデザイン性が向上されている。
次に、図4に基づいて、装飾構造体としての回転錘体164について説明する。図4は、本実施形態の回転錘体164の表面付近の断面図を模式的に表した図である。回転錘体164は、母材となる真鍮材202の表面にニッケル層204を形成してある。ニッケル層204の上には、ニッケル層204を下地層としてチタン層206が形成されている。さらに、チタン層の表面には陽極酸化膜22が形成されている。チタン層206はチタンまたはチタン合金で形成されている。陽極酸化膜22は、チタン層206の表層を酸化させて形成されている。
ニッケル層204は、チタン層206と真鍮材202とを連通する微小開口208が形成されており、かかる微小開口208がニッケル層204の貫通孔となっている。微小開口208の開口径はおよそ0.1マイクロメートルから50マイクロメートルとなっている。また、チタン層206の膜厚はおよそ0.1マイクロメートルから5.0マイクロメートルとなっている。陽極酸化膜22の膜厚は、その表層のおよそ0.05マイクロメートルから0.3マイクロメートルとなっている。微小開口208は、チタン層206の埋め込み部206aにより埋められており、埋め込み部206aが真鍮材202に接触している。チタン層206は、一方の面側にチタン層206自体が酸化された陽極酸化膜22と、他方の面側にニッケル層204の微小開口208を埋め、同じチタンまたはチタン合金で形成される埋め込み部206aとを有している。
陽極酸化膜22を含むチタン層206の表面は、微小開口206の上部においても周囲と同様に均一に形成されており、陽極酸化膜22により均一に発色、または色むらが抑制されている。埋め込み部206はニッケル層204の微小開口208とのアンカー効果により接合面積が確保されるので、チタン層206とニッケル層204および/または真鍮材202との接合強度を所望の値に確保できる。このように、チタン層206の表面に酸化膜22が形成されるとともに、かかる酸化膜22の基材となるチタン層206により埋め込み部206aが形成されるので、チタン層206が装飾と接合強度確保とを併せて担うことができる。従って、不要なチタン材料を減らしつつ、減らしたチタン材料が置き換えられた母材である真鍮材202とかかるチタン層206との接合強度が確保されるようになる。よって、効率的な量のチタン材料により安定した装飾状態を確保することができる。
ニッケル層204の膜厚は1〜2マイクロメートル以下であるが、微小開口の幅に対する深さの比がおよそ2以下となるように開口が形成されることで微小開口208が埋め込み部206aにより埋められ、チタン層206の表面の陽極酸化膜22が均一に発色することができる。
尚、微小開口は一つではなく、母材表面上に複数形成されていてもよく、複数形成されていた場合、接合強度は更に強化される。また、微小開口208はチタン層206と真鍮材202とを連通していなくてもよい。
次に、このような埋め込み部206aと陽極酸化膜22とを有するチタン層206が形成される回転錘体164の形成方法について説明する。まず、母材となる真鍮材202で形成される回転錘体164を準備し、回転錘体164の表面にニッケル層204を電解めっきおよび無電解めっきにより成膜する。このとき、ニッケル層204の厚みをおよそ1マイクロメートル以下となるような厚みとすることで、母材表面に残った不純物の影響や洗浄時に吸蔵された水素などの影響を考慮することでニッケル層におよそ1マイクロメートル以下の微小開口208を形成する。このニッケル層204が成膜された真鍮材202を真空中又はアルゴン雰囲気中に設置し、イオンプレーティング法により、ニッケル層204上にチタン層206を成膜する。このとき、ニッケル層204の微小開口208にはチタン層206の埋め込み部206aが成膜される。その後、電解液中に回転錘体164を浸漬して陽極に接続し、陰極との間を通電する、所謂陽極酸化処理を行う。これにより水が電気分解され、回転錘体164の表面に陽極酸化膜22が形成される。この後、純水で洗浄し、エアブローで回転錘体164を乾燥させ、酸化膜22が形成された回転錘体164が得られる。
次に、上述の第1実施形態とは別の第2実施形態について図5を用いて説明する。図5は本実施形態の装飾構造体である回転錘体164の表面付近の断面図を模式的に表した図である。本実施形態の第1実施形態と重複する部分については、同一符号を付して、説明を省略する。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、チタン層206がチタンの化合物である窒化チタン層210を有する点である。
窒化チタン層210は、ニッケル層204が形成される側に形成されている。よって、ニッケル層204の微小開口208を埋める埋め込み部206aは、チタンの化合物である窒化チタンにより形成されており、埋め込み部206aが窒化チタン層210の一部を構成している。窒化チタンはイオンプレーティングにおける膜形成時にチタンと共に窒素ガスを導入し窒化チタン膜を形成する。従って、チタン膜のみ形成する場合よりもガスによるチタン粒子の回り込みが増加し、微小開口208への付き回り及び埋め込み性が向上する。これにより、チタン層206とニッケル層204および/または真鍮材202との接合強度を更に向上することができる。
次に、上述の実施形態と異なる第3実施形態について図6に基づき説明する。図6は、本実施形態の装飾構造体である回転錘体164の表面付近の断面図を模式的に表した図である。本実施形態の第1実施形態と重複する部分については、同一符号を付して、説明を省略する。本実施形態が上述の実施形態と異なる点は、微小開口の形状が、真鍮材202に向うに従い絞られる略錐状だったのに対し、真鍮材202に向うに従い拡径となる略逆錐状となっている点である。
図6に示すように、本実施形態の微小開口308は、真鍮材202側を下面として逆錐状のテーパー形状となっている。微小開口308に埋め込まれるチタン層206の埋め込み部206aは、ニッケル層204の上部が狭窄されていることにより、ニッケル層204や真鍮材202との密着強度がさらに向上するようになっている。
次に、上述の第1実施形態の製造方法について図7(a)〜図7(c)を用いて説明する。図7(a)は本実施形態の回転錘体164の表面付近においてニッケル層及びイオンプレーティングによるチタン層を形成する前の断面図を模式的に表した図である。図7(a)に示すように、ニッケル層を形成する前に、フラッシュ蒸着等で母材上に島状にニッケル層成長の起点204aを複数形成しておく。この状態でニッケル層204を形成することにより、図7(b)に示すように起点204aを中心に起点間の間においてもニッケル層204が成長していき、微小開口208が形成される。この後、図7(c)に示すように、イオンプレーティングにてチタン層を形成することにより微小開口208を埋める埋め込み部206aを形成することができる。このような起点204aを形成することによって微小開口208を形成することにより、微小開口208の数をコントロールすることができ、更にニッケル層の厚みと微小開口208のアスペクト比をコントロールすることや、より目的に応じた接合強度を得ることができる。なお、上述の第2実施形態の製造方法は、ニッケル層204の直上に窒化チタン層210を形成する点が異なる以外は同様である。
次に、上述の第3実施形態の製造方法について図8(a)〜図8(c)を用いて説明する。図8(a)は本実施形態の回転錘体164の表面付近においてニッケル層及びイオンプレーティングによるチタン層を形成する前の断面図を模式的に表した図である。図8(a)に示すように、ニッケル層を形成する前に母材上にレジストによりパターン204bを形成しておく。この状態でニッケル層204を形成することにより、図8(b)に示すようにレジストパターン204bの部分にはニッケル層は形成されない。この後、ウェットエッチング等によりレジストパターン204bを剥離し、図8(c)に示すように、イオンプレーティングにてチタン層を形成することにより微小開口208を埋める埋め込み部206aを形成することができる。このような微小開口形成方法を採用することにより、微小開口208の数をコントロールすることができ、また、ニッケル層の厚みと微小開口208のアスペクト比をコントロールすることができる。また、レジストパターンの形状を図8(a)のように逆錐状のテーパーを作成することにより、チタン層をより強固に接合することができる。
また、上述の実施形態では、母材を真鍮材202としたが、洋白材としてもよい。
また、上述の実施形態では、回転錘体164における所望の表面箇所を陽極酸化した場合を説明したが、回転重錘166を含む回転錘160の表面を陽極酸化して、陽極酸化膜22を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、微小開口208の底面は母材となっているが、ニッケル層が形成されていてもよい。
この他、自動巻腕時計10に用いられるさまざまな部品に本発明を適用することができる。例えば、回転錘160の他に、地板102、一番受105、二番受106、てんぷ受108、アンクル受109、各車120〜128、てん輪136b等、さまざまな部品に本発明の適用することができる。さらには、自動巻腕時計10を構成する部品に限らず、酸化膜を形成することで発色させるさまざまな部品に本発明を適用することができる。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、各実施形態の開示する複数の構成要件における適宜な組み合わせが可能である。
10 自動巻時計(時計)
22 陽極酸化膜(酸化膜)
160 回転錘(装飾構造体)
202 真鍮材(母材)
204 ニッケル層(下地層)
208,308 微小開口
206 チタン層
206a 埋め込み部
208 微小開口
210 窒化チタン層
164 回転錘体(装飾構造体)
166 回転重錘
160 回転錘(装飾構造体)
162 回転軸(軸)

Claims (4)

  1. 母材と、
    前記母材上に形成され、微小開口を有する下地層と、
    前記下地層上に形成され、前記下地層が形成される側とは反対側の表面にチタンの酸化膜が形成されるチタン層とを備え、
    前記チタン層は、前記微小開口の内部に埋め込まれる埋め込み部を有し、
    前記微小開口は、前記母材に向うに従い拡径となるテーパー形状であることを特徴とする装飾構造体。
  2. 請求項1に記載の装飾構造体であって、
    前記埋め込み部は、前記チタンの化合物により形成されることを特徴とする装飾構造体。
  3. 請求項1または2に記載の装飾構造体が軸中心に回転可能に形成される回転錘体と、前記装飾構造体の外周側に形成される回転重錘とを備え、外部振動により前記軸を中心として回転することを特徴とする回転錘。
  4. 請求項3に記載の回転錘を有する時計であって、
    前記回転錘が内部に回転可能に収容されることを特徴とする時計。
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