JP2016057268A - 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法 - Google Patents

時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016057268A
JP2016057268A JP2014186441A JP2014186441A JP2016057268A JP 2016057268 A JP2016057268 A JP 2016057268A JP 2014186441 A JP2014186441 A JP 2014186441A JP 2014186441 A JP2014186441 A JP 2014186441A JP 2016057268 A JP2016057268 A JP 2016057268A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
press
fit
shaft
timepiece
uneven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014186441A
Other languages
English (en)
Inventor
夏生 海老原
Natsuo Ebihara
夏生 海老原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP2014186441A priority Critical patent/JP2016057268A/ja
Publication of JP2016057268A publication Critical patent/JP2016057268A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)

Abstract

【課題】大型化及び部材の破損等を抑制した上で、各部材間に十分な締結力を確保できる時計部品、ムーブメント、時計、及び時計部品の製造方法を提供する。
【解決手段】圧入軸部53を有する軸部材34と、圧入軸部53が圧入される貫通孔46を有するがんぎ歯車部33と、を有し、圧入軸部53及び貫通孔46には、圧入軸部53及び貫通孔46間で係合する歯車側凹凸部61及び軸側凹凸部62が各別に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法に関する。
時計には、歯車等に代表される多くの回転部品(時計部品)が搭載されている。回転部品は、回転軸(第1部材)と、回転軸が固定される貫通孔を有する回転体(第2部材)と、を備えている。回転部品では、軸方向への抜けや周方向への緩みを抑制するために、回転体及び回転体間で十分な締結力を確保する必要がある。
回転部品の固定方法として、例えば回転軸の外径を回転体(貫通孔)の内径よりも大きくして各部材間に締め代を設け、回転軸を貫通孔内に圧入することで、各部材の弾性変形により回転軸と回転体とを固定する方法が知られている。
また、回転軸及び回転体の何れか一方側の部材にカシメ部を設け、このカシメ部を他方側の部材に向けて塑性変形させてカシメることで、回転軸と回転体とを固定する方法も知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2005−326218号公報
しかしながら、上述した固定方法のうち、圧入によって固定する方法は、時計部品のような薄肉部材の場合、十分な圧力を得ることが難しく、各部材間での締結力を確保できないおそれがある。また、十分な圧力を得るために、各部材間の締め代を大きくした場合には、各部材の変形や破損に繋がるおそれがある。
一方、カシメによって固定する場合には、カシメ部を確保することで部材の大型化に繋がるという課題がある。また、カシメ部を変形させる際のカシメ力の調整が難しく、仮にカシメ力が大きい場合には、部材の反りや破損に繋がり、カシメ力が小さい場合には締結力を確保できないおそれがある。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、大型化及び部材の破損等を抑制した上で、各部材間に十分な締結力を確保できる時計部品、ムーブメント、時計、及び時計部品の製造方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る時計部品は、圧入部を有する第1部材と、前記圧入部が圧入される被圧入部を有する第2部材と、を有し、前記圧入部及び前記被圧入部には、両者間で係合する凹凸部が各別に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、圧入部及び被圧入部に、両者間で係合する凹凸部が各別に形成されているため、凹凸部が互いに噛み合った状態で、圧入部が被圧入部内に圧入されることになる。この場合、従来に比べて締め代を小さくした上で、圧入部と被圧入部との間の締結力を確保できるので、圧入時における各部材の破損等を抑制できる。また、従来のようにカシメによって固定する場合に比べて、部材の大型化を抑制できる。
この場合、比較的薄肉とされた第2部材(被圧入部)に圧入部を圧入する際、第2部材が外側に塑性変形した場合であっても、凹凸部同士の係合により締結力を確保することができる。これにより、従来と同等に締め代を設けた場合であっても、より高い締結力を確保することができる。
また、前記圧入部側の凹部内に、前記被圧入部側における複数の凸部が収容されていてもよい。
この構成によれば、圧入部側の凹部内に、被圧入部側の凸部が複数収容された状態で、圧入部が被圧入部内に固定されることで、各凹凸部が一対一で対応する場合と異なり、組立工程において、圧入部と被圧入部との周方向の位置決めが不要となる。そのため、構成の簡素化を図るとともに、製造効率を向上させることができる。
また、前記第1部材は、中空軸であってもよい。
この構成によれば、中空軸を被圧入部内に圧入する際、第1部材が径方向の内側に向けて塑性変形した場合であっても、凹凸部同士の係合により締結力を確保することができる。これにより、従来と同等に締め代を設けた場合であっても、より高い締結力を確保することができる。
また、本発明に係るムーブメントは、上記本発明の時計部品を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、信頼性及び耐久性に優れた高品質な製品を提供することができる。
また、本発明に係る時計は、上記本発明のムーブメントを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、信頼性及び耐久性に優れた高品質な製品を提供することができる。
また、本発明に係る時計部品の製造方法は、上記本発明時計部品の製造方法であって、前記圧入部に前記凹凸部を形成する第1部材作製工程と、前記被圧入部に前記凹凸部を形成する第2部材作製工程と、前記被圧入部に前記圧入部を圧入する組立工程と、を有し、前記第2部材作製工程では、成形型の内面のうち、少なくとも前記被圧入部に対応する部分に被膜を形成する被膜形成工程と、前記被膜を陽極酸化させ、前記被膜の表面に凹凸形状の陽極酸化膜を生成する陽極酸化工程と、前記成形型を用いて電鋳を行い、前記陽極酸化膜上に電鋳体を形成する電鋳工程と、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、陽極酸化工程において、被膜を陽極酸化させると、被膜の表面に凹凸形状(ポーラス構造)の陽極酸化膜が生成される。その後、電鋳工程において、成形型を用いて電鋳を行うことで、電鋳体の外面に陽極酸化膜の凹凸形状を転写することができる。これにより、時計部品のような微細な部品に対して機械加工等で被圧入部に凹凸部を形成する場合に比べて、凹凸部を簡単、かつ高精度に形成することができる。
本発明によれば、大型化及び部材の破損等を抑制した上で、各部材間に十分な締結力を確保できる。
時計の外観図である。 図1のII−II線に相当する断面図である。 脱進機構の平面図である。 図3のIV−IV線に相当する断面図である。 図4のV部に相当する拡大図である。 図5のVI−VI線に相当する断面図である。 圧入軸部の概略側面図である。 歯車作製工程を説明するためのフローチャートである。 歯車作製工程(成形型形成工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(成形型形成工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(成形型形成工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(被膜形成工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(陽極酸化工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(電極形成工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(電鋳工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(電鋳工程)を説明するための工程図である。 歯車作製工程(取り出し工程)を説明するための工程図である。 実施形態の他の構成に係る圧入軸部の概略側面図である。 実施形態の他の構成に係る圧入軸部の概略側面図である。 実施形態の他の構成に係る圧入軸部の概略側面図である。 実施形態の他の構成に係る圧入軸部の概略側面図である。 回転錘の平面図である。 回転錘の側面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明の時計部品の一例として、機械式時計の時計部品を構成する歯車のうち、がんぎ車を例に挙げて説明する。
[時計]
図1は、時計1の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、図示しないケース蓋、及びガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4と、時を示す時針5、分を示す分針6及び秒を示す秒針7を含む指針と、を備えている。図示の例において、文字板4には、日付を表す数字を明示させる日窓4aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を表示することが可能とされている。
図2は、図1のII−II線に相当する断面図である。
図2に示すように、ムーブメント10は、基盤を構成する地板11と、地板11に回転可能に組み込まれた輪列機構12と、を有している。輪列機構12は、地板11の裏側(文字板4側)に組み込まれる裏輪列と、地板11の表側(文字板4とは反対側)に組み込まれる表輪列と、を主に有している。
ムーブメント10の表輪列は、図示しない香箱車と、香箱車に噛み合う二番車21と、二番車21に噛み合う三番車(不図示)と、三番車に噛み合う及び四番車23と、を主に備えている。
二番車21は、上述した分針6が取り付けられるとともに、1時間に1回転する。四番車23は、秒針7が取り付けられるとともに、1分間に1回転する。なお、上述した時針5は、裏輪列を構成するとともに、二番車21に噛み合う筒車25に取り付けられている。筒車25は、12時間に1回転する。図示の例において、二番車21、四番車23及び筒車25は、同軸状に配置され、四番車23に対して二番車21及び筒車25が回転可能に外挿されている。すなわち、四番車23の軸部23aは中実軸とされ、二番車21及び筒車25の軸部21a,25aは中空軸とされている。
また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30(図3参照)と、脱進機構30を調速するてんぷを有する調速機構(不図示)と、が配置されている。
<脱進機構>
図3は脱進機構30の平面図であり、図4は図3のIV−IV線に相当する断面図である。
図3、図4に示すように、脱進機構30は、四番車23と噛み合うがんぎ車(時計部品)31と、このがんぎ車31を脱進させて規則正しく回転させるアンクル32と、を備えている。がんぎ車31は、がんぎ歯車部(第2部材)33と、がんぎ歯車部33に同軸で固定された軸部材(第1部材)34と、を備えている。以下の説明では、軸部材34の軸線に沿う方向を単に軸方向、軸線に直交する方向を径方向といい、軸線回りに周回する方向を周方向という。
がんぎ歯車部33は、電鋳材料(例えば、ニッケルや、ニッケル合金、銅、銅合金等)からなり、後述する電鋳工程S5において一体に形成されている。具体的に、がんぎ歯車部33は、環状のリム部41と、リム部41の内側に配置されたハブ部42と、これらリム部41及びハブ部42を連結する複数のスポーク部43と、を有している。
リム部41の外周面には、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部44が径方向の外側に向けて突設されている。これら複数の歯部44の先端部に、アンクル32の後述するつめ石45が噛み合うようになっている。
ハブ部42は、円板形状とされ、その中央部分に軸部材34が圧入される貫通孔(被圧入部)46が形成されている。
各スポーク部43は、ハブ部42の外周縁からリム部41の内周縁に向かって放射状に延在している。
軸部材34は、中実軸とされ、その軸方向両端部に位置するほぞ部51と、上述した四番車23に噛合されるがんぎかな部52と、上述したハブ部42の貫通孔46内に圧入される圧入軸部(圧入部)53と、を有している。
圧入軸部53は、上述した各ほぞ部51よりも大径に形成されるとともに、がんぎ歯車部33(ハブ部42)の貫通孔46内に、軸方向の一端側から圧入されている。
アンクル32は、3つのアンクルビーム55によってT字状に形成されたアンクル体56と、アンクル真57と、を備えたもので、軸であるアンクル真57によってアンクル体56が回転可能に構成されている。
3つのアンクルビーム55のうち、2つのアンクルビーム55の先端には、つめ石45が設けられ、残り1つのアンクルビーム55先端には、アンクルハコ58が取り付けられている。つめ石45は、ルビー等が角柱状に形成されてなり、接着剤等によりアンクルビーム55に接着固定されている。
このように構成されたアンクル32は、アンクル真57を中心に回転した際に、つめ石45が、がんぎ車31の歯部44の先端に接触するようになっている。この際、アンクルハコ58が取り付けられたアンクルビーム55が、ドテピン(図示せず)に接触するようになっており、これによってアンクル32は、同方向にそれ以上回転しないようになっている。その結果、がんぎ車31の回転も一時的に停止するようになっている。
図5は図4のV部に相当する拡大図であり、図6は図5のVI−VI線に相当する断面図である。
ここで、図5、図6に示すように、上述した軸部材34(圧入軸部53)の外周面、及びがんぎ歯車部33(ハブ部42)における貫通孔46の内周面には、両者間で係合する凹凸部(歯車側凹凸部61及び軸側凹凸部62)がそれぞれ形成されている。
図5、図6に示すように、歯車側凹凸部61は、径方向の内側に向けて突出するとともに、周方向及び軸方向に亘って間隔をあけて配列された凸部61aと、凸部61aの周囲を取り囲む凹部61bと、を有している。歯車側凹凸部61は、貫通孔46の内周面全域に亘って形成されるとともに、周方向及び軸方向に所定ピッチP1で凸部61aが形成されている。なお、歯車側凹凸部61は、貫通孔46の内周面のうち、少なくとも圧入軸部53との圧入領域に形成されていれば構わない。また、本実施形態において、凸部61aの径方向における高さ(凹部61b及び凸部61a間の径方向における距離)は、例えば数μm程度とされている。
図7は、圧入軸部53の概略側面部である。
図5〜図7に示すように、軸側凹凸部62は、例えば機械加工(詳細は後述する)により形成されたものであって、圧入軸部53の外周面のうち、少なくとも貫通孔46との圧入領域に形成されている。なお、圧入軸部53の外周面全域に亘って軸側凹凸部62を形成しても構わない。
軸側凹凸部62は、径方向の内側に向けて窪むとともに、軸方向に対して交差する方向に沿って格子状に延びる凹部62aと、凹部62aに囲まれた凸部62bと、を有している。図示の例において、各凸部62bは、径方向から見た側面視が矩形状とされ、周方向及び軸方向に所定ピッチP2で等間隔に配列されている。また、本実施形態において、凸部62bの径方向における高さ(凹部62a及び凸部62b間の径方向における距離)は、上述した歯車側凹凸部61の凸部61aに対して数倍程度とされている。この場合、貫通孔46の最小内径(径方向で対向する凸部61a間の距離)は、少なくとも圧入軸部53の最大外径(径方向で対向する凸部62b間の距離)よりも小さくなっており、圧入軸部53と貫通孔46との間に締め代が設けられている。
そして、本実施形態において、圧入軸部53は、歯車側凹凸部61と軸側凹凸部62とが互いに噛み合った状態で、貫通孔46内に圧入されている。具体的に、歯車側凹凸部61のうち、凸部61aのピッチP1及び径方向から見た側面視外形は、軸側凹凸部62のうち、凸部62bのピッチP2及び側面視外形に比べて小さくなっている。そのため、軸側凹凸部62の凹部62a内に、歯車側凹凸部61における複数の凸部61aが収容された状態で、各凹凸部61,62が係合している。
<がんぎ車の製造方法>
次に、上述したがんぎ車31の製造方法について説明する。
本実施形態のがんぎ車31の製造方法は、軸部材34を作製する軸部材作製工程(第1部材作製工程)と、がんぎ歯車部33を作製する歯車作製工程(第2部材作製工程)と、がんぎ歯車部33に軸部材34を固定する組立工程と、を有している。なお、以下の説明では、歯車作製工程について主に説明する。
軸部材作製工程では、ほぞ部51やがんぎかな部52が形成された軸部材34に対して、軸側凹凸部62を形成する。本実施形態の軸部材作製工程は、例えば転造加工により行う。具体的に、軸部材作製工程では、軸側凹凸部62に対応する凹凸パターンが外周面に形成されたローラを、圧入軸部53に押し付けるとともに、ローラ及び圧入軸部53を相対回転させる。これにより、ローラの凹凸パターンが圧入軸部53に転写され、圧入軸部53に上述した軸側凹凸部62が形成される。この場合、軸側凹凸部62のパターンやピッチP1、大きさ、断面形状等は、ローラに形成された凹凸パターンに応じて適宜設計変更が可能である。なお、軸部材作製工程は、転造加工に限らず、ホーニング加工等によって行うことも可能である。
図8は歯車作製工程を説明するためのフローチャートである。
図8に示すように、歯車作製工程は、成形型形成工程S1、被膜形成工程S2、陽極酸化工程S3、電極形成工程S4、電鋳工程S5、及び取出し工程S6を主に有している。
図9〜図17は歯車作製工程を説明するための工程図である。
図9に示すように、成形型形成工程S1では、まずシリコン等からなる基板71上に成形型72(図11参照)の形成材料となるレジスト層73を形成する。なお、レジスト層73の厚みは、がんぎ歯車部33の厚みと同等の厚みとする。本実施形態では、レジスト層73として、ネガ型のフォトレジストを用いる。レジスト層73の形成材料としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした紫外線硬化性の樹脂材料である「SU−8」を用いる。「SU−8」は、粘度が高い高分子構造を有するため、高アスペクト比の構造物を形成する上で好適である。本実施形態では、スピンコート法やスプレーコート法等により、樹脂材料の液体を基板71上に塗布することで、レジスト層73を形成する。
次に、図10に示すように、遮光パターン74aが形成されたフォトマスク74をレジスト層73上に配置し、フォトマスク74を通してレジスト層73を露光する。なお、フォトマスク74の遮光パターン74aは、平面視形状ががんぎ歯車部33の形状に対応している。レジスト層73を露光すると、レジスト層73のうち、紫外線が照射される領域(平面視で遮光パターン74aと重ならない領域)にはレジスト層73が硬化した硬化部73aが形成される。なお、レジスト層73のうち、紫外線が照射されない領域(平面視で遮光パターン74aと重なる領域)は、硬化せず液体の状態を維持している(図10中の非硬化部73b)。
次に、図11に示すように、レジスト層73を現像し、非硬化部73bを除去することで、成形型72が形成される。すなわち、成形型72は、基板71と、レジスト層73の硬化部73aと、に画成されるとともに、がんぎ歯車部33の外形に対応する成形部72aを有している。
次に、図12に示すように、被膜形成工程S2では、アルミニウムやアルミニウム合金、マグネシウム等、陽極酸化可能な材料(いわゆる、バルブ金属)からなる被膜75を、成形型72上に形成する。本実施形態では、蒸着やスパッタ等の成膜法を用い、成形型72のうち、成形部72a内面、及び硬化部73a上の全体に亘って被膜75を形成する。なお、被膜75の膜厚は、0.1μm〜5μm程度とされている。この場合、被膜75の厚さを5μm以下とすることで膜厚の寸法ばらつきを抑制できる。また、被膜75は、後の陽極酸化工程S3において、電気的導通を図ることができれば、成形型72のうち、所望の領域のみ(例えば、上述した貫通孔46の内周面に対応する部分のみ)に形成しても構わない。この場合、被膜75の不要部分は、フォトリソグラフィ法等によって除去することができる。
次に、図13に示すように、陽極酸化工程S3において、成形型72上に形成された被膜75を陽極酸化させる。具体的には、まず成形型72及び電極板(不図示)を電解液中に浸漬し、成形型72に形成された被膜75を陽極とし、電極板を陰極として、電解液中で陽極及び陰極間に電圧を印加する。すると、被膜75の表面において、酸化反応が進行することで、被膜75の表面に凹凸形状(ポーラス構造)の陽極酸化膜76が生成される。この場合、陽極酸化膜76は、後の電鋳工程S5で電鋳体81に転写する転写パターンとして機能する。なお、陽極酸化膜76における凹部の深さやピッチ等は、例えば陽極及び陰極間に印加する電圧の調整により制御できる。具体的には、電圧を低くするに従い、凹部を深くできるとともに、隣り合う凹部のピッチを狭くすることが可能である。また、本実施形態において、陽極酸化膜76の空孔率(陽極酸化膜76中に含まれる凹部の割合)を、60Vol%以下に設定することで、陽極酸化膜76が脆くなるのを抑制できる。
次に、図14に示すように、電極形成工程S4では、成形型72(陽極酸化膜76上)上に導電膜77を形成する。電極形成工程S4では、金、銅、銀、クロム、及びそれらの合金等からなる導電性材料を、無電解めっきや蒸着、スパッタ等を用いて成膜する。この際、導電膜77は、陽極酸化膜76の表面形状(転写パターン)に倣って形成される。なお、導電膜77の厚さは、陽極酸化膜76の凹部が埋まらない程度の厚さ(0.1μm〜2μm程度)に設定することが好ましい。また、電極形成工程S4において、無電解めっきを採用する場合には、上述した各種導電性材料のうち、金や銅等を採用することが好ましい。
続いて、図15に示すように、電鋳工程S5では、成形型72に対して電鋳を行う。具体的には、図示しない電鋳槽内の電鋳液に成形型72を浸漬させた後、成形型72の導電膜77と、図示しない陽極と、の間に電圧を印加する。すると、成形型72上に形成された導電膜77上に電鋳材料が析出する。そして、析出した電鋳材料が成長することで、電鋳体81が形成される。このとき、電鋳体81は、導電膜77の表面形状に倣って形成されることで、陽極酸化膜76の転写パターンが転写される。すなわち、電鋳体81の外面(成形型72との界面)には、陽極酸化膜76の転写パターンに対応して凹凸部(歯車側凹凸部61)が形成される。なお、本実施形態では、成形型72のうち、少なくとも成形部72a内が埋まるように電鋳体81が形成される。その後、図16に示すように、電鋳体81を研磨・研削して、電鋳体81を所望の厚さにする。
最後に、図17示す取出し工程S6において、成形型72から電鋳体81を取り出す。具体的には、エッチング等により成形型72や被膜75、導電膜77を溶解し、基板71から電鋳体81を剥離する。これにより、上述したがんぎ歯車部33が形成される。なお、取出し工程S6の後、電鋳体81を所望の形状に研磨する等してもよい。
以上により、歯車作製工程が終了する。
次に、組立工程では、歯車作製工程で作製されたがんぎ歯車部33の貫通孔46内に、軸部材作製工程で作製された軸部材34の圧入軸部53を圧入する。具体的には、貫通孔46内に軸部材34を軸方向の一端側から挿入する。この場合、軸部材34の圧入軸部53が貫通孔46の内周縁に到達するまでは、軸部材34はスムーズに挿入されていく。そして、軸部材34の圧入軸部53が貫通孔46の内周縁に到達した時点で、軸部材34に対して圧入荷重を付与する。すると、圧入軸部53と貫通孔46との締め代を弾性変形させながら、圧入軸部53が貫通孔46内に圧入される。このとき、貫通孔46内の歯車側凹凸部61と、圧入軸部53の軸側凹凸部62と、が互いに噛み合った状態で、圧入軸部53が貫通孔46内に圧入される。
以上により、組立工程が終了する。
このように、本実施形態では、貫通孔46の内周面及び圧入軸部53の外周面に、両者間で係合する凹凸部61,62が形成されているため、凹凸部61,62が互いに噛み合った状態で、圧入軸部53が貫通孔46内に圧入されることになる。この場合、従来に比べて締め代を小さくした上で、圧入軸部53と貫通孔46との間の締結力を確保できるので、圧入時における部材の破損等を抑制できる。また、従来のようにカシメによって固定する場合に比べて、部材の大型化を抑制できる。
また、本実施形態では、圧入軸部53における軸側凹凸部62の凹部62a内に、貫通孔46における歯車側凹凸部61の凸部61aが複数収容された状態で、圧入軸部53が貫通孔46内に固定される。この場合、各凹凸部61,62が一対一で対応する場合と異なり、組立工程において、圧入軸部53と貫通孔46との周方向の位置決めが不要となる。そのため、構成の簡素化を図るとともに、製造効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、陽極酸化工程S4で生成された陽極酸化膜76に倣って電鋳体81を形成することで、電鋳体81の外面に陽極酸化膜76の凹凸形状を転写することができる。これにより、時計部品のような微細な部品に対して機械加工等で歯車側凹凸部61を形成する場合に比べて、歯車側凹凸部61を簡単、かつ高精度に形成することができる。
そして、本実施形態のムーブメント10及び時計1によれば、上述したがんぎ車31を備えているため、信頼性及び耐久性に優れた高品質な製品を提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、機械式時計を例にして説明したが、これに限らず、アナログクオーツ時計に本発明を採用しても構わない。
また、上述した実施形態では、軸部材34及び貫通孔46を軸方向から見た平面視で円形とする構成について説明したが、これに限られない。例えば、軸部材34及び貫通孔46を軸方向から見た平面視において、多角形状や、円弧の一部に弦を有する形状等としても構わない。また、軸部材34及び貫通孔46同士は、上述した実施形態のように平面視外形が同形状のもの同士を固定してもよく、また異形状のもの同士を固定してもよい。
さらに、上述した実施形態では、貫通孔46を被圧入部とした場合について説明したが、これに限られない。すなわち、圧入部が圧入される形状であれば、凹部であっても構わない。
また、軸側凹凸部62のパターンは、適宜設計変更が可能である。この場合、例えば図18に示すように、軸方向に沿って延びる凹部を周方向に間隔をあけて形成したり、図19、図20に示すように、凹部を軸方向及び周方向に間隔をあけて形成したりしても構わない。また、図21に示すように、軸方向に交差する方向に沿って延びる凹部を周方向に間隔をあけて形成しても構わない。この場合、図18、図19に示す軸側凹凸部62については、特に軸方向での締結力を確保でき、図20、図21に示す軸側凹凸部62については、軸方向及び周方向での締結力を確保できる。
また、上述した実施形態では、電鋳工程S5において、電解処理により電鋳体81を形成する場合について説明したが、これに限らず、無電解処理により電鋳体81を形成しても構わない。この場合には、上述した歯車作製工程のうち、電極形成工程S4が不要となる。
さらに、上述した実施形態では、本発明をがんぎ車31に採用した場合について説明したが、これに限られない。圧入部を有する第1部材と、圧入部が圧入される被圧入部を有する第2部材と、を備えた各種時計部品に本発明を採用することが可能である。例えば、図2に示すように、指針(時針5、分針6、秒針7)と、各歯車(筒車25、二番車21、四番車23)と、の固定に本発明を採用することができる。
すなわち、図2に示す例において、各車21,23,25における軸部21a,23a,25aの外周面、及び各指針5〜7における圧入筒部5a〜7a(袴部)の内周面にそれぞれ凹凸部を形成し、これら凹凸部を係合させた状態で、軸部21a,23a,25aを圧入筒部5a〜7a内に各別に圧入しても構わない。
この構成によれば、特に軸部21a,25aのような中空軸を圧入筒部5a,6a内に圧入する際、軸部21a,25aが径方向の内側に向けて塑性変形した場合であっても、凹凸部同士の係合により締結力を確保することができる。これにより、従来と同等に締め代を設けた場合であっても、より高い締結力を確保することができる。同様に、圧入筒部5a〜7aのように薄肉の部材に軸部21a,23a,25aを圧入する際、圧入筒部5a〜7aが径方向の外側に塑性変形した場合であっても、凹凸部同士の係合により締結力を確保することができる。
また、図22、図23に示すように、自動巻機構を構成する回転錘100に本発明を採用しても構わない。回転錘100は、ボールベアリング(第1部材)101と、回転錘体(第2部材)102と、回転重錘103と、を有している。
ボールベアリング101は、外輪(圧入部)101a及び内輪101bと、これら外輪101a及び内輪101b間に設けられた複数のボール101cと、を有している。
回転錘体102は、平面視扇状に形成され、その外周縁に沿って回転重錘103が固定されている。回転錘体102の回転中心には、貫通孔(被圧入部)102aが形成され、この貫通孔102a内にボールベアリング101の外輪101aが圧入されている。そして、貫通孔102aの内周面及び外輪101aの外周面にそれぞれ凹凸部を形成し、これら凹凸部を係合させた状態で、回転錘体102とボールベアリング101とを固定しても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
1 時計
5 時針(第2部材)
5a 圧入筒部(被圧入部)
6 分針(第2部材)
6a 圧入筒部(被圧入部)
7 秒針(第2部材)
7a 圧入筒部(被圧入部)
10 ムーブメント
21 二番車(第1部材)
21a 軸部(圧入部)
23 四番車(第1部材)
23a 軸部(圧入部)
25 筒車(第1部材)
25a 軸部(圧入部)
31 がんぎ車(時計部品)
33 がんぎ歯車部(第2部材)
34 軸部材(第1部材)
46 貫通孔(被圧入部)
53 圧入軸部(圧入部)
61 歯車側凹凸部(凹凸部)
61a 凸部
62 軸側凹凸部(凹凸部)
62a 凹部
72 成形型
75 被膜
76 陽極酸化膜
81 電鋳体
100 回転錘(時計部品)
101 ボールベアリング(第1部材)
101a 外輪(圧入部)
102 回転錘体(第2部材)
102a 貫通孔(被圧入部)

Claims (6)

  1. 圧入部を有する第1部材と、
    前記圧入部が圧入される被圧入部を有する第2部材と、を有し、
    前記圧入部及び前記被圧入部には、両者間で係合する凹凸部が各別に形成されていることを特徴とする時計部品。
  2. 前記圧入部側の凹部内に、前記被圧入部側における複数の凸部が収容されていることを特徴とする請求項1記載の時計部品。
  3. 前記第1部材は、中空軸であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の時計部品。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時計部品を備えていることを特徴とするムーブメント。
  5. 請求項4に記載のムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
  6. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の時計部品の製造方法であって、
    前記圧入部に前記凹凸部を形成する第1部材作製工程と、
    前記被圧入部に前記凹凸部を形成する第2部材作製工程と、
    前記被圧入部に前記圧入部を圧入する組立工程と、を有し、
    前記第2部材作製工程では、
    成形型の内面のうち、少なくとも前記被圧入部に対応する部分に被膜を形成する被膜形成工程と、
    前記被膜を陽極酸化させ、前記被膜の表面に凹凸形状の陽極酸化膜を生成する陽極酸化工程と、
    前記成形型を用いて電鋳を行い、前記陽極酸化膜上に電鋳体を形成する電鋳工程と、を有していることを特徴とする時計部品の製造方法。
JP2014186441A 2014-09-12 2014-09-12 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法 Pending JP2016057268A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014186441A JP2016057268A (ja) 2014-09-12 2014-09-12 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014186441A JP2016057268A (ja) 2014-09-12 2014-09-12 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016057268A true JP2016057268A (ja) 2016-04-21

Family

ID=55758157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014186441A Pending JP2016057268A (ja) 2014-09-12 2014-09-12 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016057268A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018155523A (ja) * 2017-03-16 2018-10-04 セイコーインスツル株式会社 時計部品、ムーブメントおよび時計
US20220056606A1 (en) * 2020-08-19 2022-02-24 Point Engineering Co., Ltd. Anodic aluminum oxide mold, mold structure including same, method of manufacturing molded article using anodic aluminum oxide mold, and molded article manufactured thereby

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018155523A (ja) * 2017-03-16 2018-10-04 セイコーインスツル株式会社 時計部品、ムーブメントおよび時計
US20220056606A1 (en) * 2020-08-19 2022-02-24 Point Engineering Co., Ltd. Anodic aluminum oxide mold, mold structure including same, method of manufacturing molded article using anodic aluminum oxide mold, and molded article manufactured thereby

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5478498B2 (ja) シリコン/金属複合体マイクロメカニカル構成要素およびこれを製造する方法
JP6915602B2 (ja) 時計部品および時計
JP5622256B2 (ja) 機械部品、機械部品の製造方法および時計
TW201011481A (en) Gear system for a timepiece
JP5872181B2 (ja) 機械部品、機械組立体および時計
JP2014152400A (ja) 少なくとも2つの高さ方向に異なる機能をもつ単一ピース微小機械構成部品を製造する方法
JP2014163737A (ja) 回転部品、ムーブメント、時計、及び回転部品の製造方法
CN102402173A (zh) 钟表用齿轮和钟表
JP2016057268A (ja) 時計部品、ムーブメント、時計及び時計部品の製造方法
US20160251215A1 (en) One-piece, hollow micromechanical part with several functional levels formed of a synthetic carbon allotrope based material
JP5658344B2 (ja) 機械部品の製造方法
JP6529516B2 (ja) 電鋳部品の製造方法
JP2010078147A (ja) 機械部品、機械部品の製造方法、機械部品組立体および時計
JP5596991B2 (ja) 機械部品、機械部品の製造方法および時計
JP2018194381A (ja) 機械部品、時計、機械部品の製造方法
JP2016057158A (ja) 時計部品、ムーブメント、時計、および時計部品の製造方法
CN105467811A (zh) 机械零件、机械零件的制造方法、机芯以及钟表
JP6211754B2 (ja) 機械部品の製造方法、及び機械部品
JP6249480B2 (ja) 時計用部品、ムーブメント、時計、および時計用部品の製造方法
JP7223613B2 (ja) 時計部品、ムーブメント、時計、および時計部品の製造方法
JP5700924B2 (ja) 電鋳体とその製造方法、および時計部品
JP2006064575A (ja) 時計用部品、時計用組立部品、および時計
JP6128857B2 (ja) 装飾構造体、回転錘および時計
JP2013238423A (ja) 時計部品の製造方法、時計部品及び時計
US20200384669A1 (en) Manufacture of a horology component