JP2018155523A - 時計部品、ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Description
本発明の時計は、上記のムーブメントを備えることを特徴とする。
[時計]
図1は、時計の外観図である。なお、以下に示す各図では、図面を見やすくするため、時計部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計部品を簡略化して図示している場合がある。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、ムーブメント2や文字板3、各種指針4〜6等が時計ケース7内に組み込まれて構成されている。
図2は、ムーブメントを表側から見た平面図である。
図2に示すように、ムーブメント2は、ムーブメント2の基板を構成する地板21に複数の歯車体等が回転可能に支持されて構成されている。なお、以下の説明では、地板21に対して時計ケース7のガラス12側(文字板3側)をムーブメント2の「裏側」と称し、裏蓋側(文字板3側とは反対側)をムーブメント2の「表側」と称する。
巻真19を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車31が回転する。きち車31の回転により丸穴車32および角穴車33が順に回転し、香箱車34に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
ぜんまいの復元力により香箱車34が回転すると、香箱車34の回転により二番車41、三番車42および四番車43が順に回転する。香箱車34、二番車41、三番車42および四番車43は、表輪列を構成する。
図3に示すように、ムーブメント2には、調速脱進機51が搭載されている。調速脱進機51は、てんぷ52、がんぎ車53およびアンクル54を有している。
てん真61は、地板21とてんぷ受65との間で、第1軸線O1回りに回動可能に支持されている。てん真61は、ひげぜんまい63から伝えられた動力によって第1軸線O1回りに一定の振動周期で往復回動する。
一方、振り座67の小つば67bにおいて、第1軸線O1周りの周方向で振り石68に対応する位置にはツキガタ66が形成されている。ツキガタ66は、小つば67bの一部が第1軸線O1における径方向の内側に窪んで形成されている。
図4に示すように、がんぎ車53は、がんぎ真71と、がんぎかな72と、がんぎ歯車73と、を有している。
がんぎかな72は、がんぎ真71に形成されている。がんぎかな72は、上述した四番車43に噛合している。すなわち、がんぎ車53は、四番車43の回転に伴い第2軸線O2回りに回転する。
アンクル真81は、地板21とアンクル受75との間で第3軸線O3回りに回動可能に支持されている。
続いて、上述したてんぷ52やがんぎ車53、アンクル54等として適用可能な時計部品の各実施形態について説明する。
最初に、第1実施形態の時計部品100について説明する。
図5は、第1実施形態に係る時計部品の断面図である。
図5に示すように、時計部品100は、軸部材110と、軸部材110に外挿された外挿部材120と、軸部材110から突設された突出部130と、外挿部材120と突出部130とを係合する係合部140と、を備えている。軸部材110は、例えばてん真61やがんぎ真71、アンクル真81である。また、外挿部材120は、例えばひげ玉69やがんぎ歯車73、アンクル体82である。時計部品100は、軸部材110の軸線C回りに回動可能または回転可能に設けられる。なお、以下の説明では、軸線Cに沿う軸線方向を軸線C方向といい、軸線C方向に直交して軸線Cから放射状に延びる方向を径方向といい、軸線C周りの周方向を単に周方向という。
図6に示すように、係合部140は、外挿部材120の第1主面122に設けられた複数の係合凸部124と、突出部130の対向面131に設けられた複数の係合凹部134と、を備えている。
図6および図7に示すように、複数の係合凸部124は、外挿部材120の第1主面122から軸線C方向に沿って突出部130に向かって突設されている。各係合凸部124は、軸線C方向から見て、径方向に沿って延在する矩形状に形成されている。各係合凸部124は、直方体状に形成され、軸線C方向に直交する方向に向く側面と、軸線C方向における突出部130側に向く頂面と、を備えている。複数の係合凸部124は、それぞれ略同形同大に形成されている。複数の係合凸部124は、周方向に等間隔、且つ軸線Cを中心として放射状に配置されている。すなわち、複数の係合凸部124は、軸線Cについて回転対称性を有するように形成されている。
図6および図8に示すように、複数の係合凹部134は、突出部130の対向面131において、軸線C方向において外挿部材120とは反対側に窪んでいる。複数の係合凹部134は、複数の係合凸部124と同数設けられている。複数の係合凹部134は、それぞれ係合凸部124を受け入れるように形成されている。具体的に、各係合凹部134は、軸線C方向から見て、係合凸部124と略同形同大であって、径方向に沿って延在する矩形状に形成されている。複数の係合凹部134は、周方向に等間隔、且つ軸線Cを中心として放射状に配置されている。すなわち、複数の係合凹部134は、軸線Cについて回転対称性を有するように形成されている。係合凹部134は、突出部130の対向面131に対し、切削加工や転造加工を施すことにより形成される。
図9は、第1実施形態の変形例に係る外挿部材を突出部側から見た平面図である。図10は、第1実施形態の変形例に係る突出部を外挿部材側から見た平面図である。なお、図9では、係合凸部125の頂面にハッチングを付している。また、図10では、係合凹部135の底面にハッチングを付している。
図9および図10に示すように、複数の係合凸部125は、格子状に設けられている。また、複数の係合凹部135は、複数の係合凸部125に対応して、格子状に設けられている。これにより、複数の係合凸部125、および複数の係合凹部135を備える係合部140は、外挿部材120と突出部130とを周方向で係合できる。
次に、第2実施形態の時計部品200について説明する。
図11は、第2実施形態に係る時計部品の断面図であって、図5のVI−VI線に相当する部分における周方向に沿う拡大断面図である。
図11に示すように、係合部240は、外挿部材120の第1主面122に設けられた複数の係合凸部224(凸部)と、突出部130の対向面131に設けられた複数の係合凹部234(凹部)と、を備えている。
図11および図12に示すように、複数の係合凹部234は、外挿部材120を軸部材110(図5参照)に外挿して外挿部材120を突出部130に接触させる際に、突出部130の対向面131に複数の係合凸部224を押し込むことで形成できる。このようにして複数の係合凹部234を形成する場合には、係合凸部224が設けられた外挿部材120は、突出部130よりもビッカース硬さの小さい材料により形成されている。例えば、外挿部材120を鉄により形成し、突出部130を真鍮により形成する。
次に、第3実施形態の時計部品300について説明する。
図13は、第3実施形態に係る時計部品の断面図であって、図5のVI−VI線に相当する部分における周方向に沿う拡大断面図である。図14は、第3実施形態に係る外挿部材を突出部側から見た平面図である。図15は、第3実施形態に係る突出部を外挿部材側から見た平面図である。
図13から図15に示すように、係合部340は、外挿部材120の第1主面122に設けられた第1粗面部324(粗面部)と、突出部130の対向面131に設けられた第2粗面部334(粗面部)と、を備えている。
また、本実施形態では、各粗面部324,334をサンドブラストにより形成しているが、これに限定されず、例えばめっき処理による表面荒れ加工により粗面部を形成してもよい。
次に、第4実施形態の時計部品400について説明する。
図16は、第4実施形態に係る時計部品の断面図である。
図16に示すように、時計部品400は、軸部材110と、外挿部材120と、軸部材110に設けられたかな430(突出部)と、外挿部材120とかな430とを係合する係合部440と、を備えている。
図16および図17に示すように、係合凹部424は、外挿部材120の第1主面122において、軸線C方向においてかな430とは反対側に窪んでいる。係合凹部424は、かな430の外挿部材120側の端部を受け入れるように形成されている。具体的に、係合凹部424は、軸線C方向から見て、かな430と略同形同大に形成されている(図18参照)。係合凹部424は、かな430の歯面に係合している。
次に、第5実施形態の時計部品500について説明する。
図19は、第5実施形態に係る時計部品の断面図である。
第1実施形態では、外挿部材120は、軸部材110の外周面のうち軸線C方向に沿って一定の外径で延在する部分に圧入されている。これに対して図19に示す第5実施形態では、外挿部材120は、軸部材110の外周面の括れ部511に圧入されている点で、第1実施形態と異なっている。
図20は、第5実施形態の変形例に係る時計部品の断面図である。
図20に示すように、外挿部材120の挿通孔521は、軸線C方向に沿って突出部130側からその反対側に向かって漸次拡径していてもよい。挿通孔521の内周面の軸線Cに対する傾斜角度は、軸部材110の括れ部511のテーパ面513の軸線Cに対する傾斜角度よりも小さい。これにより、挿通孔521における突出部130とは反対側の端縁がテーパ面513に接触するので、外挿部材120が軸部材110に対して軸線C方向に変位することを防止できる。
次に、第6実施形態の時計部品600について説明する。
図21は、第6実施形態に係る時計部品の断面図である。
図21に示す第6実施形態では、軸部材110を挟んで突出部130とは反対側に、押さえ部材150が配置されている点で、第1実施形態と異なっている。
なお、図22に示すように、軸部材110の外周面には、押さえ部材150が圧入される括れ部611が形成されていてもよい。括れ部611は、軸部材110の外周面における、外挿部材120が圧入される部分と軸線C方向で隣接している。括れ部611は、軸線C方向で外挿部材120から離れるに従い漸次拡径するテーパ面613を備えている。括れ部611の軸線C方向における寸法は、押さえ部材150の内周面の軸線C方向における寸法よりも大きい。これにより、軸線C方向における押さえ部材150の変位を規制できるので、外挿部材120の軸部材110からの脱落をより確実に抑制できる。
次に、第7実施形態の時計部品700について説明する。
図23は、第7実施形態に係る時計部品の断面図である。
第1実施形態では、突出部130は、軸部材110と一体的に形成されている。これに対して図23に示す第7実施形態では、突出部730は、軸部材110とは別体で形成されている点で、第1実施形態と異なっている。突出部730は、軸部材110の外側に圧入されることにより、軸部材110に固定されている。突出部730のその他の構成は、突出部130と同様である。これにより、突出部130が一体的に形成されていない軸部材110と外挿部材120との相対回転を防止できる。
例えば、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
具体的には、図19に示す時計部品500に対し、押さえ部材150を配置してもよい。また、図23に示す時計部品700に対し、軸部材110の外周面に括れ部511および括れ部611の一方または両方を形成してもよい。
Claims (10)
- 軸部材と、
前記軸部材に外挿され、前記軸部材の径方向に沿って延びる第1面を備える外挿部材と、
前記軸部材から前記径方向に沿って突設されるとともに、前記軸部材に固定され、前記第1面に対向する第2面を備える突出部と、
前記第1面および前記第2面のうち少なくとも一方に設けられ、前記外挿部材と前記突出部とを前記軸部材周りの周方向で係合する係合部と、
を備えることを特徴とする時計部品。 - 前記係合部は、前記第1面および前記第2面の両方に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計部品。 - 前記係合部は、前記径方向に沿って延在する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の時計部品。 - 前記外挿部材および前記突出部の一方は、他方よりもビッカース硬さの小さい材料により形成され、
前記係合部は、
前記一方に設けられた凸部と、
前記他方に設けられ、前記凸部を受け入れる凹部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の時計部品。 - 前記係合部は、算術平均粗さが1.0μm以上の粗面部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の時計部品。 - 前記外挿部材は、前記軸部材に圧入されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の時計部品。 - 前記軸部材の外周面には、前記外挿部材が圧入される括れ部が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の時計部品。 - 前記軸部材に圧入され、前記軸部材から前記径方向に沿って突出するとともに、前記外挿部材を挟んで前記突出部とは反対側から当接する押さえ部材を備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の時計部品。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の時計部品を備えることを特徴とするムーブメント。
- 請求項9に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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