JP6308810B2 - 時計用部品、ムーブメント、時計及び時計用部品の製造方法 - Google Patents

時計用部品、ムーブメント、時計及び時計用部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、時計用部品、ムーブメント、時計及び時計用部品の製造方法に関する。
小型の精密機械の1つである機械式時計には、歯車やレバー等の小型の時計用部品が多く搭載されている。これらの時計用部品には、例えば歯車のように、他部品と係合するように配置されるものがある。このような他部品と係合する時計用部品においては、歯車等の噛合い部が繰り返し摺動することによって摩耗することを抑制するために、噛合い部に潤滑油を注入する必要がある。
ところで、噛合い部の摺動面を潤滑させる技術として、例えば下記特許文献1及び2に記載された構成が知られている。
特許文献1には、歯車の歯先に潤滑油を保持する溝が形成された構成が記載されている。また、特許文献2には、歯車の歯と係合するアンクルの爪にチャネルが形成された構成が記載されている。
特開昭49−102379号公報 特開2006−84466号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、歯先に形成された溝が外部に連通しているため、溝から外部に潤滑油が排出されてしまう。また、特許文献2の構成では、チャネル周りの居所的な部分にしか潤滑油が行き渡らないため、摺動面を十分に潤滑することができない。従って、特許文献1及び2の構成では、摺動面に潤滑油を保持することができず、噛合い部の耐久性を維持することができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することが可能な時計用部品、ムーブメント、時計及び時計用部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用した。
(1)即ち、本発明の第一の態様に係る時計用部品は、部品本体と、他部品に接する接触面を有する機能部と、を備え、少なくとも前記機能部は、電鋳法により形成され、前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面は、電鋳型からの転写により、全面に亘って凹曲面状に窪んでいることを特徴とする。
この構成によれば、凹曲面状の接触面により、機能部と他部品との噛合い部に注入された潤滑油が摺動によって外部に排出されるのを抑制することができる。従って、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することができる。
(2)上記(1)に記載の時計用部品において、前記部品本体と前記機能部とが電鋳法により一体に形成されていてもよい。
この構成によれば、部品本体と機能部とが別個に形成される構成に比べて、時計用部品の機械的強度を向上させることができると共に、製造効率を向上させることができる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の時計用部品において、前記時計用部品は、中心部に配置された軸打込み部と、周縁部に配置された歯部と、前記軸打込み部と前記歯部との間に配置され、前記軸打込み部と前記歯部とを連結する中間部と、を備える歯車であり、前記部品本体は、前記軸打込み部と前記中間部とによって構成され、前記機能部は、前記歯部であってもよい。
この構成によれば、凹曲面状の接触面により、歯部と他部品との噛合い部に注入された潤滑油が摺動によって外部に排出されるのを抑制することができる。従って、摺動面に潤滑油を保持することができ、歯車の噛合い部の耐久性を維持することができる。
(4)上記(3)に記載の時計用部品において、前記歯部の外周面は、前記電鋳型からの転写により、全周に亘って凹曲面状に窪んでいてもよい。
この構成によれば、接触面にのみ凹曲面状が形成される場合に比べて、歯車を作り易くすることができる。
(5)本発明の第二の態様に係るムーブメントは、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の時計用部品を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、上記時計用部品を備えるため、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することが可能なムーブメントを提供することができる。
(6)本発明の第三の態様に係る時計は、上記(5)に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、上記ムーブメントを備えるため、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することが可能な時計を提供することができる。
(7)本発明の第四の態様に係る時計用部品の製造方法は、部品本体と、他部品に接する接触面を有する機能部と、を備えた時計用部品の製造方法であって、導電膜が形成された基板の表面に、前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面に相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する電鋳型を配置する電鋳型配置工程と、前記電鋳型及び前記電鋳型から露出した前記導電膜の表面に、電鋳法により金属材料で、少なくとも前記機能部を形成する電鋳工程と、を含み、前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面は、前記電鋳型からの転写により、全面に亘って凹曲面状に窪んでいることを特徴とする。
この方法によれば、凹曲面状の接触面により、機能部と他部品との噛合い部に注入された潤滑油が摺動によって外部に排出されるのを抑制することができる。従って、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することができる。
また、電鋳型及び電鋳型から露出した導電膜の表面に、電鋳法により金属材料で少なくとも機能部を形成するので、複雑な形状の機能部であっても、簡単且つ精度良く形成することができる。
(8)上記(7)に記載の時計用部品の製造方法において、前記電鋳型配置工程は、前記導電膜が形成された前記基板の表面に、前記電鋳型の形成材料となるレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層の上にフォトマスクを配置して前記レジスト層を露光し、硬化部と非硬化部とを形成する露光工程と、前記硬化部を加熱して前記硬化部を膨張させて膨張部を形成する加熱工程と、前記非硬化部を除去し、前記膨張部により前記電鋳型を形成する電鋳型形成工程と、を含んでいてもよい。
この方法によれば、加熱工程における硬化部の熱膨張を利用して膨張部を形成し、この膨張部により接触面の凹曲面状に対応する凸曲面状を有する電鋳型を形成するので、複雑な形状の機能部であっても、簡単且つ精度良く形成することができる。
本発明によれば、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することが可能な時計用部品、ムーブメント、時計及び時計用部品の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る時計用部品の斜視図である。 上記時計用部品の歯部の拡大斜視図である。 上記歯部の接触面を歯車の径方向の外側から見た正面図である。 図3のI−I線における断面図である。 図3のII−II線における断面図である。 本発明の一実施形態に係る時計用部品の製造方法を説明する工程図である。 図6に続く、工程図である。 図7に続く、工程図である。 (a)、(b)図8に続く、工程図である。 図9に続く、工程図である。 図10に続く、工程図である。 図11に続く、工程図である。 図12に続く、工程図である。 図13に続く、工程図である。 時計の外観図である。 ムーブメント表側の平面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(時計用部品)
図1は、本発明の一実施形態に係る時計用部品10の斜視図である。
図2は、上記時計用部品10の歯部14の拡大斜視図である。
本実施形態では、時計用部品10として、がんぎ車10(以下、単に歯車10と称する。)を例に挙げて説明する。
図1及び図2に示すように、歯車10は、歯車本体11(部品本体)と、他部品に接触する接触面14aを有する歯部14(機能部)と、を備えている。歯車本体11は、軸打込み部12と中間部13とによって構成されている。
軸打込み部12は、歯車本体11の中心部に配置されている。軸打込み部12は、歯車10の回転軸と一致する中心軸を有する円環状に形成されている。軸打込み部12には、中心軸に沿って貫通孔15が形成されている。この貫通孔15には歯車10を回転させる軸が圧入される。
歯部14は、歯車本体11の周縁部に配置されている。歯部14は、歯車10の周方向に沿って、所定間隔を空けて複数配置されている。歯部14は、歯車10の径方向の外側に向かって突出している。歯部14の先端部には、接触面14aが形成されている。これにより、歯車10は、隣接する部品と噛み合うようになっている。
中間部13は、軸打込み部12と歯部14との間に配置されている。中間部13は、軸打込み部12と歯部14とを連結する。中間部13は、内側円環部13a、外側円環部13b及びアーム部13cを備えている。内側円環部13a、外側円環部13b及びアーム部13cは、一体的に形成されている。
内側円環部13aは、軸打込み部12の外周に沿って配置されている。外側円環部13bは、歯部14の内周に沿って配置されている。アーム部13cは、内側円環部13aと外側円環部13bとの間に配置されている。アーム部13cは、内側円環部13aと外側円環部13bとを連結する。
アーム部13cは、歯車10の周方向に沿って略等角度間隔に複数(本実施形態では4本)形成されている。各アーム部13cに挟まれた領域には、貫通部16が形成されている。
尚、本実施形態に係る中間部13は、複数のアーム部13c及び貫通部16を有するが、これに限られない。例えば、中間部13は、貫通部16を有していなくてもよい。即ち、中間部13は、一定の厚さを有する円環状であってもよい。
外側円環部13bと歯部14との間には、貫通部17が形成されている。貫通部17は、歯車10の周方向に沿って略等角度間隔に複数(本実施形態では20個)形成されている。
尚、外側円環部13bと歯部14との間には、貫通部17が形成されていなくてもよい。即ち、歯部14が外側円環部13bの外周に沿って隙間なく形成されていてもよい。
歯車10は、金属材料により形成されている。金属材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル‐鉄合金、ニッケル‐コバルト合金等が用いられる。歯車本体11(軸打込み部12及び中間部13)と歯部14とは、後述する電鋳法により一体に形成されている。
歯部14の接触面14aを含む外周面14sは、後述する電鋳型からの転写により、全周に亘って凹曲面状に窪んでいる。
次に、図3から図5を用いて、歯部14の凹曲面状について説明する。
以下の説明においては、便宜上、歯部14の外周面14sの一部である接触面14aの凹曲面状について説明する。接触面14a以外の面の凹曲面状については、接触面14aの凹曲面状と同様の形状であるため、詳細な説明は省略する。
図3は、上記歯部14の接触面14aを歯車10の径方向の外側から見た正面図である。
図4は、図3のI−I線における断面図である。
図5は、図3のII−II線における断面図である。
尚、図3において、横軸Xは接触面14aの正面視における左右長さ(以下、接触面14aの幅という。)であり、縦軸Yは接触面14aの正面視における上下長さ(以下、接触面14aの厚みという。)である。図4において、横軸Xは接触面14aの幅であり、縦軸Zは接触面14aの歯車10の径方向に沿う高さ(以下、接触面14aの高さという。)である。図5において、横軸Yは接触面14aの厚みであり、縦軸Zは接触面14aの高さである。
図3から図5に示すように、接触面14aは、後述する電鋳型からの転写により、全面に亘って凹曲面状に窪んでいる。ここで、接触面14aにおける凹曲面状は、歯車10の径方向の内側に向かってすり鉢状に凹む形状をいう。
接触面14aは、幅方向(X方向)及び厚み方向(Y方向)のそれぞれにおいて、凹曲線状を有している。
図4に示すように、接触面14aは、幅方向(X方向)において左右対称の凹曲線状を有している。幅方向(X方向)における接触面14aの高さは、中央部が最も低く、且つ、両端部が最も高くなっている。
図5に示すように、接触面14aは、厚み方向(Y方向)において上下非対象の凹曲線状を有している。厚み方向(Y方向)における接触面14aの高さは、中央部が最も低く、且つ下端部が最も高くなっている。尚、接触面14aの上端部の高さが下端部の高さよりも低いのは、後述する研磨工程で、歯部14の基材となる電鋳部材28の上端部が研磨されることによる。
接触面14aの幅方向(X方向)及び厚み方向(Y方向)のそれぞれにおいて、接触面14aの最大高さと最小高さとの差(接触面14aの最大深さ)は、例えば50nm以上1000nm以下となっている。
(時計用部品の製造方法)
次に、図6から図14を用いて、時計用部品10の製造方法について説明する。本実施形態では、時計用部品10の製造方法として、上記歯車10の製造方法について説明する。
図6から図14は、本実施形態に係る歯車10の製造方法を説明する工程図である。尚、図9(b)は歯部14の先端部に相当する部分の上面図である。図6から図9(a)及び図10から図14は、図9(b)のIII−III線に相当する部分における断面図である。
本実施形態に係る歯車10の製造方法は、電鋳型配置工程と、電鋳工程と、を含む。
電鋳型配置工程は、導電膜21が形成された基板20の表面に、歯部14の外周面14sに相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する電鋳型26を配置する工程である。本実施形態において、電鋳型配置工程は、レジスト層形成工程と、露光工程と、加熱工程と、電鋳型形成工程と、を含む。
電鋳工程は、電鋳型26及び電鋳型26から露出した導電膜21の表面に、電鋳法により金属材料で、電鋳型26からの転写により、歯部14を形成する工程である。歯部14の外周面14sは、電鋳型26からの転写により、全周に亘って凹曲面状に窪む。
先ず、図6に示すように、導電膜21が形成された基板20を用意する。
例えば、シリコンやガラス等で構成される基板20の表面に、電鋳電極として導電膜21を形成する。導電膜21は、例えば、金や銀、銅、ニッケル等の金属材料で構成されている。導電膜21の形成は、例えば、スパッタリングや蒸着、無電解めっき等の方法により行うことができる。
次に、図7に示すように、導電膜21が形成された基板20の表面に、電鋳型の形成材料となるレジスト層22を形成する(レジスト層形成工程)。
レジスト層22の厚みは、歯車10の厚み程度の厚みとする。本実施形態では、レジスト層22として、ネガ型のフォトレジストを用いる。レジスト層22の形成材料としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂材料である「SU−8」を用いる。「SU−8」は、粘度が高い高分子構造を有するため、高アスペクト比の構造物を形成する上で好適である。本実施形態では、当該樹脂材料の液状体を導電膜21が形成された基板20の表面に塗布することで、レジスト層22を形成する。
次に、図8に示すように、所定のフォトマスク25を配置してレジスト層22を露光する(露光工程)。
フォトマスク25には、紫外線を遮光する遮光パターン25aが形成されている。遮光パターン25aの形状及び寸法は、平面視における歯車10の形状及び寸法に対応している。
レジスト層22の露光を行うことで、硬化部23と非硬化部24とが形成される。
硬化部23は、レジスト層22のうち紫外線が照射される領域(平面視で遮光パターン25aと重ならない領域)に形成される。硬化部23は、後述する加熱工程において所望の量だけ膨張するように、完全には硬化されず、半硬化(半乾き状態)とされている。尚、硬化部23は、露光工程において僅かに(例えば1nmから数十nm程度で)膨張している。
非硬化部24は、レジスト層22のうち紫外線が照射されない部分(平面視で遮光パターン25aと重なる領域)に形成される。非硬化部24は、露光工程前のレジスト層22の状態(例えば液状体)となっている。
次に、図9(a)及び図9(b)に示すように、硬化部23(図8参照)を加熱して硬化部23を膨張させて膨張部23aを形成する(加熱工程)。
具体的に、硬化部23を例えば90度程度で所定の時間加熱し、非硬化部24の側及び導電膜21とは反対側(上側)に膨張させる。これにより、硬化部23において膨張部23aが形成される。非硬化部24は、硬化部23が膨張して膨張部23aが形成される過程で押し上げられて上側に膨らんだ状態となる。
膨張部23aは、歯部14の外周面14sに相当する部分と対向する部分の上下中央部の膨張量が最も大きくなるように形成される。膨張部23aを形成する際には、前記上下中央部の最大膨張量が、例えば200nm以上300nm以下になるように調整する(接触面14aの最大深さに相当)。
尚、膨張部23aの膨張量は、加熱工程における加熱温度によって制御することができる。これにより、歯部14において潤滑油を多く必要とする部分は、適宜、膨張量を大きくすることができる。
次に、図10に示すように、非硬化部24を除去し、膨張部23aにより電鋳型26を形成する(電鋳型形成工程)。
具体的に、膨張部23aに紫外線を照射して完全に硬化させると共に(本硬化)、ウエットエッチング等により非硬化部24を除去する。これにより、膨張部23aにより電鋳型26が形成される。電鋳型26は、歯部14の外周面14sに相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する。電鋳型26には、歯部14(歯車10)の形状と対応した空間部27が形成される。
次に、図11に示すように、電鋳型26及び電鋳型26から露出した導電膜21の表面に、電鋳法により金属材料で電鋳部材28を形成する(電鋳工程)。
電鋳工程では、電鋳部材28は、空間部27が埋まると共に、空間部27から電鋳型26の上側に少しはみ出す程度に電鋳部材28が成長したとき、電鋳部材28の形成を終了する。
次に、図12に示すように、電鋳部材28及び電鋳型26のそれぞれの上面の高さが面一になるように研磨を行う(研磨工程)。
研磨工程では、歯部14(歯車10)が所望の厚み寸法となるように、電鋳部材28を電鋳型26と併せて研磨する。本実施形態では、電鋳型26の表面の電鋳部材28が除去されるように研磨を行い、歯部14(歯車10)の上面と電鋳型26の上面とが面一となるようにする。これにより、歯部14(歯車10)が形成される。
次に、図13に示すように、電鋳型26を溶解等によって除去する。
そして、歯部14(歯車10)を基板20から剥離することで、図14に示すように、歯部14(歯車10)が取り出される。
尚、歯部14(歯車10)の取り出し方法は、上記のような溶解に限らず、物理的な方法を用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る歯車10によれば、凹曲面状の接触面14aにより、歯部14と他部品との噛合い部に注入された潤滑油が摺動によって外部に排出されるのを抑制することができる。従って、摺動面に潤滑油を保持することができ、歯車10の噛合い部の耐久性を維持することができる。
また、歯車本体11と歯部14とが電鋳法により一体に形成されることで、歯車本体11と歯部14とが別個に形成される構成に比べて、歯車10の機械的強度を向上させることができると共に、製造効率を向上させることができる。
また、歯部14の外周面14sが、電鋳型26からの転写により、全周に亘って凹曲面状に窪むことで、接触面14aにのみ凹曲面状が形成される場合に比べて、歯車10を作り易くすることができる。
本実施形態に係る歯車10の製造方法によれば、凹曲面状の接触面14aにより、歯部14と他部品との噛合い部に注入された潤滑油が摺動によって外部に排出されるのを抑制することができる。従って、摺動面に潤滑油を保持することができ、歯車10の噛合い部の耐久性を維持することができる。
また、電鋳型26及び電鋳型26から露出した導電膜21の表面に、電鋳法により金属材料で歯車10を形成するので、複雑な形状の歯車10であっても、簡単且つ精度良く形成することができる。
また、加熱工程における硬化部23の熱膨張を利用して膨張部23aを形成し、この膨張部23aにより接触面14aの凹曲面状に対応する凸曲面状を有する電鋳型26を形成するので、複雑な形状の歯部14であっても、簡単且つ精度良く形成することができる。
尚、本実施形態では、歯車本体11と歯部14とが電鋳法により一体に形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、歯車本体11と歯部14とが別体に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、歯部14の外周面14sが電鋳型26からの転写により全周に亘って凹曲面状に窪んでいる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、歯部14の接触面14aのみが電鋳型26からの転写により全面に亘って凹曲面状に窪んでいてもよい。即ち、歯部14の表面のうち少なくとも接触面14aが電鋳型26からの転写により全面に亘って凹曲面状に窪んでいればよい。
また、本実施形態では、電鋳型配置工程において、歯部14の外周面14sに相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する電鋳型26を配置する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、歯部14の接触面14aのみが電鋳型26からの転写により全面に亘って凹曲面状に窪んでいる構成を形成する場合には、電鋳型配置工程において、歯部14の接触面14aに相当する部分と対向する部分のみが凸曲面状を有する電鋳型26を配置してもよい。即ち、電鋳型配置工程においては、目的とする歯部14の形状に合わせて、歯部14の表面のうち少なくとも接触面14aに相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する電鋳型26を配置することができる。
また、本実施形態では、レジスト層22として、ネガ型のフォトレジストを用いる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、レジスト層22として、ポジ型のフォトレジストを用いてもよい。この場合、遮光パターン25aの形状及び寸法は、平面視における歯車10の非形成領域(貫通孔15、貫通部16、貫通部17及び歯間の空間等)の形状及び寸法に対応させる。これにより、硬化部23は、レジスト層22のうち紫外線が照射されない部分(平面視で遮光パターン25aと重なる領域)に形成される。非硬化部24は、レジスト層22のうち紫外線が照射される領域(平面視で遮光パターン25aと重ならない領域)に形成される。
(時計、ムーブメント)
次に、機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)及びこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「ムーブメント」に相当。)について説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、即ち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、即ち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図15は、実施形態に係る時計1の外観図である。
図15に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、及びガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント100と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4と、時を示す時針5、分を示す分針6及び秒を示す秒針7を含む指針と、を備えている。文字板4には、日付を表す数字を明示させる日窓4aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を表示することが可能とされている。
図16は、ムーブメント100の表側の平面図である。尚、図16では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計用部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計用部品を簡略化して図示している。
図16に示すように、ムーブメント100は、このムーブメント100の基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。
香箱車120は、地板102及び香箱受160に対して回転可能に支持されている。
また、二番車124、三番車126、四番車128及びがんぎ車130は、地板102及び輪列受162に対してそれぞれ回転可能に支持されている。これら香箱車120、二番車124、三番車126及び四番車128は、表輪列を構成する。この二番車124、三番車126、及び四番車128のうち少なくとも一つに、前述した実施形態の歯車が採用されている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142及びてんぷ140により構成されている。
がんぎ車130の外周には歯が形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受(不図示)との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石を備えている。アンクル142の一方のつめ石が、がんぎ車130の歯に係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんぷ140は、てんぷ受(不図示)と地板102との間において回転可能に支持されており、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯に、アンクル142の一方のつめ石及び他方のつめ石を、交互に係合及び解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
上記構成によれば、前述した実施形態の歯車を備えているので、摺動面に潤滑油を保持することができ、噛合い部の耐久性を維持することが可能なムーブメント及び時計を提供することができる。
尚、この発明は上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態においては、時計用部品の一例として、歯車を挙げ、歯車としてがんぎ車の構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、歯車は、がんぎ車に限らず、平歯車であってもよい。また、時計用部品は、歯車に限らず、アンクルやレバー類、軸受部等であってもよい。
1…時計 10…歯車(時計用部品) 11…歯車本体(部品本体) 12…軸打込み部) 13…中間部 14…歯部(機能部) 14a…接触面 14s…外周面 20…基板 21…導電膜 22…レジスト層 23…硬化部 23a…膨張部 24…非硬化部 25…フォトマスク 26…電鋳型 100…ムーブメント

Claims (8)

  1. 部品本体と、
    他部品に接する接触面を有する機能部と、を備え、
    少なくとも前記機能部は、電鋳法により形成され、
    前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面は、電鋳型からの転写により、全面に亘って、前記部品本体の径方向の内側に向かってすり鉢状に凹む形状であることを特徴とする時計用部品。
  2. 前記部品本体と前記機能部とが電鋳法により一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の時計用部品。
  3. 前記時計用部品は、中心部に配置された軸打込み部と、周縁部に配置された歯部と、前記軸打込み部と前記歯部との間に配置され、前記軸打込み部と前記歯部とを連結する中間部と、を備える歯車であり、
    前記部品本体は、前記軸打込み部と前記中間部とによって構成され、
    前記機能部は、前記歯部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の時計用部品。
  4. 前記歯部の外周面は、前記電鋳型からの転写により、全周に亘って凹曲面状に窪んでいることを特徴とする請求項3に記載の時計用部品。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の時計用部品を備えたことを特徴とするムーブメント。
  6. 請求項5に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
  7. 部品本体と、他部品に接する接触面を有する機能部と、を備えた時計用部品の製造方法であって、
    導電膜が形成された基板の表面に、前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面に相当する部分と対向する部分が凸曲面状を有する電鋳型を配置する電鋳型配置工程と、
    前記電鋳型及び前記電鋳型から露出した前記導電膜の表面に、電鋳法により金属材料で、少なくとも前記機能部を形成する電鋳工程と、を含み、
    前記機能部の表面のうち少なくとも前記接触面は、前記電鋳型からの転写により、全面に亘って、前記部品本体の径方向の内側に向かってすり鉢状に凹む形状であることを特徴とする時計用部品の製造方法。
  8. 前記電鋳型配置工程は、
    前記導電膜が形成された前記基板の表面に、前記電鋳型の形成材料となるレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
    前記レジスト層の上にフォトマスクを配置して前記レジスト層を露光し、硬化部と非硬化部とを形成する露光工程と、
    前記硬化部を加熱して前記硬化部を膨張させて膨張部を形成する加熱工程と、
    前記非硬化部を除去し、前記膨張部により前記電鋳型を形成する電鋳型形成工程と、
    を含むことを特徴とする請求項7に記載の時計用部品の製造方法。
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