JP5135528B2 - 電鋳部品の製造方法と機械式時計およびアナログ電子時計 - Google Patents

電鋳部品の製造方法と機械式時計およびアナログ電子時計 Download PDF

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Description

本発明は、電鋳部品の製造方法に関する。さらに、本発明は、前記製造方法によって作られた電鋳部品を少なくとも1つ含む機械式時計、および、前記製造方法によって作られた電鋳部品を少なくとも1つ含むアナログ電子時計に関する。
第1のタイプの従来技術において、微細パターン複製用金型の製作方法では、シリコン基板にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストにフォトマスク上のパターンを露光、現像してフォトレジストのパターンを形成し、シリコン基板をエッチング加工し、フォトレジストのパターンを除去して複製用金型の原盤を製作している。さらに、この原盤の表面にITO膜を形成し、このITO膜上にニッケル電鋳を行い、その後、電鋳部品を剥離することによって金型を製作していた(特許文献1参照)。
第2のタイプの従来技術において、電鋳部品の製造方法は、一部が導電性を有する基板上に非導電性材料をパターン化して電鋳型を形成する工程と、基台の導電性部上に電鋳部品を形成する工程と、非導電性材料を基台および電鋳部品から除去する工程と、電鋳部品を基台から分離する工程とを有している。すなわち、この方法では、ガラス基板上にニッケル導電膜を形成し、非導電性のマスクパターニング(レジスト)を行い、ニッケル電鋳を行い、レジストリムーブの後、超音波、水圧、空圧などを用いて電鋳部品を基台から分離している(特許文献2参照)。
第3のタイプの従来技術では、アンクルの基型を作り、この基型を樹脂基板に転写して母型を作り、樹脂基板の全面に導電膜を作り、電鋳加工により時計のアンクルを形成している(特許文献3参照)。
従来の電鋳加工の工程では、母型を作り、母型が導体の場合には、表面に離型処理をして電着工程に入り、母型が不導体の場合には、母型表面を導体化してから離型処理をして電着工程に入り、所要厚さまで電着した後、電鋳部品を母型から剥離している(非特許文献1参照)。
特開平2−170994号公報(第2〜4頁、第1図〜第3図) 特開2001−254193号公報(第2〜4頁、第1図〜第3図) 特開昭48−44138号公報(第2〜4頁、第4図)
佐藤敏一著、「特殊加工」、第235〜261頁、1981年第1版発行、1997年第8版発行、養賢堂
第1のタイプの従来技術は、光ディスクやホログラムディスクなどの、表面に凹凸を有する平板状の部品を製造するのに使用する金型の製作には適しているけれども、様々な形状を有する機械部品の製造に使用する金型の製作に適用するのが困難であるという課題があった。
第2のタイプの従来技術、或いは、第3のタイプの従来技術を用いると、機械部品を作製することは可能である。しかし、例えば、電鋳部品を回転する機械部品として使用する場合、軸などの部品の取り付けを行う必要が生じることがある。例えば、腕時計を構成する機械部品のように、部品サイズが微小である場合、電鋳部品に他の部品を取付ける工程(例えば、軸の打ち込み、部品相互の接着など)は、部品の材料、形状、寸法の選定、加工機械の製造と調整、加工作業などに高度の技術が要求されている。このような微小部品の製造工程においては、部品のハンドリングが難しいことに加え、圧入による応力で部品が破壊するおそれが生じるという課題があった。また、接着工程において、部品が微小であるため、接着の貼り付け代を十分に確保することができず、余分な接着剤が部品の形状や厚さに悪い影響を及ぼすという課題があった。
本発明の目的は、電鋳加工によって作製した電鋳部品に他の部品を取付ける工程をなくして、簡単な工程で複数部品からなる金属部品を製造する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造された小型の電鋳部品を含む機械式時計およびアナログ電子時計を提供することにある。
本発明に関連する技術は、電鋳部品の製造方法において、(あ)マスクを有する基板にエッチング穴420hを形成する工程と、(い)軸部品の下軸部の先端を含む下軸部の部分を基板のエッチング穴に挿入する工程と、(う)軸部品の一部を挿入した基板に電鋳加工を行い、軸部品と一体に電鋳金属部を形成する工程とを含むことを特徴とする。また、本発明に関連する技術の方法では、前記(あ)に記載した工程の後に、基板の表面からマスクをリムーブする工程と、基板の表面と、エッチング穴の底面に導電膜を付着させて、基板の表面の導体化を行う工程とを更に含むようにするのがよい。或いは、本発明の方法では、前記(あ)に記載した工程の後に、基板の表面からマスクをリムーブする工程を実施せずに、マスクの上に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う工程とを更に含むようにすることもできる。この方法を用いることにより、微小な機械部品を簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。
さらに、本発明に関連する技術は、電鋳部品の製造方法において、(a)基板を準備する工程と、(b)基板の表面にフォトレジストをコートし、コートしたフォトレジストに必要形状を露光し、現像してマスクをパターニングする工程と、(c)マスクを有する基板にエッチング穴を形成する工程と、(d)基板の表面からマスクをリムーブする工程と、(e)基板の表面と、エッチング穴の底面に導電膜を付着させて、基板の表面の導体化を行う工程と、(f)軸部品を準備し、軸部品の下軸部の先端を含む下軸部の部分を基板のエッチング穴に挿入する工程と、(g)基板に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して外形形成用レジストをパターニングする工程と、(h)軸部品の一部を挿入した基板に電鋳加工を行い、外形形成用レジストと軸部品との間に電鋳金属部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に関連する技術においては、前記(d)に記載した工程の代わりに、マスクの上に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う工程を含むようにしてもよい。或いは、本発明の方法では、前記(f)に記載した工程の後に前記(g)に記載した工程を行う代わりに、前記(g)に記載した工程の後に前記(f)に記載した工程を行うこともできる。また、本発明に関連する技術の方法では、軸部品は、軸部品と一体に形成される電鋳金属部の中に位置するように構成された、軸部品の抜け、及び/又は、軸部品の回転を阻止するための輪郭形状を有するのが好ましい。更に、本発明に関連する技術において、上記いずれかの方法によって製造された電鋳部品を提供することができる。
更に、本発明に関連する技術は、時計用の輪列部品において、マスクを有する基板にエッチング穴を形成し、「かな」の下軸部の先端を含む下軸部の部分を基板のエッチング穴に挿入し、「かな」を挿入した基板に電鋳加工を行い、「かな」と一体に歯車を形成することによって製造されることを特徴とする。また、本発明に関連する技術において、時計用のアンクルは、マスクを有する基板にエッチング穴を形成し、アンクル真の下軸部の先端を含む下軸部の部分を基板のエッチング穴に挿入し、アンクル真を挿入した基板に電鋳加工を行い、アンクル真と一体にアンクル体を形成し、さらに、剣先およびつめ石をアンクル体に固定することによって製造されることを特徴とする。この方法を用いることにより、時計用の部品を簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。更に、本発明に関連する技術は、時計用のアンクルの製造方法において、(あ)マスクを有する基板にエッチング凹部を形成する工程と、(い)基板の表面と、エッチング凹部の表面に導電膜を付着させて、基板の表面の導体化を行う工程と、(う)つめ石を基板のエッチング凹部に配置する工程と、(え)つめ石を配置した基板に電鋳加工を行い、つめ石と一体に電鋳金属部を形成する工程とを含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、2つのつめ石を備えた時計用のアンクルを簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。
本発明は、電鋳部品の製造方法において、(あ)基板の凸部を形成する工程と、基板の表面の導体化を行う工程と、中空軸の構造をもつ筒部品の中心穴の部分を基板の凸部に配置する工程と、基板に外形形成用レジストをパターニングする工程と、(お)外形形成用レジストと筒部品との間に電鋳金属部を形成する工程とを含むことを特徴とする。また、本発明は、電鋳部品の製造方法において、基板の凸部を形成する工程と、(い)基板の表面の導体化を行う工程と、(う)基板に外形形成用レジストをパターニングする工程と、(え)中空軸の構造をもつ筒部品の中心穴の部分を基板の凸部に配置する工程と、(お)外形形成用レジストと筒部品との間に電鋳金属部を形成する工程とを含むことを特徴とする。上記の方法において、筒部品はフランジ部を有し、該フランジ部は、電鋳金属部の中に配置されるのが好ましい。さらに、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された筒部品付き電鋳部品を提供することができる。特に、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された筒部品付きの時計用の歯車部品を提供することができる。さらに、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された電鋳部品、上記の方法によって製造された時計用アンクルのうちの少なくとも1つ含む機械式時計を提供することができる。さらに、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された電鋳部品のうちの少なくとも1つ含むアナログ電子時計を提供することができる。
上記の製造方法を用いることによって、微小な機械部品を簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。上記の製造方法を用いることによって、電鋳部品と一体化される部品、例えば、軸、「かな」、つめ石などの微小な部品の取付け精度を向上させることができる。本明細書において「かな」とは、小歯車(ピニオン)を意味する。上記の製造方法は、ウェハ上の決まった座標に部品を配置するので、工程の自動化が容易である。本発明に関連する技術により、軸、「かな」、つめ石などの微小な部品を備えた小型部品を、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。さらに、本発明に関連する技術により、2つのつめ石を備えた時計用のアンクルを簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。本発明の方法を用いることにより、時計用の輪列部品を簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。本発明の方法を用いることにより、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造した電鋳部品を含む機械式時計、アナログ電子時計を提供することができる。
図1は、本発明に関連する技術において、中実軸部品を備えた電鋳部品の製造工程の一部を説明する原理図(その1)である。 図2は、本発明に関連する技術において、中実軸部品を備えた電鋳部品の製造工程の一部を説明する原理図(その2)である。 図3は、電鋳加工の概略を説明する原理図である。 図4は、本発明に関連する技術において、電鋳部品の構造を示す上面図である。 図5は、本発明に関連する技術において、軸部品の構造を示す断面図である。 図6は、本発明に関連する技術において、電鋳部品の構造を示す断面図である。 図7は、本発明に関連する技術において、電鋳部品の構造を示す断面図である。 図8は、本発明に関連する技術において、電鋳部品の構造を示す断面図である。 図9は、本発明に関連する技術において、軸部品に設けられた回り止め部の構造を示す上面図である。 図10は、本発明に関連する技術において、軸部品に設けられた回り止め部の他の構造を示す上面図である。 図11は、本発明に関連する技術において、軸部品に設けられた回り止め部の更に他の構造を示す上面図である。 図12は、本発明に関連する技術において、ムーブメントの表側の概略形状を示す平面図である(図12では、一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している)。 図13は、本発明の実施形態において、香箱からアンクルの部分を示す概略部分断面図である。 図14は、本発明の実施形態において、がんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。 図15は、本発明に関連する技術において、三番車を示す上面図である。 図16は、本発明に関連する技術において、三番車を示す側面図である。 図17は、本発明に関連する技術において、三番車を示す斜視図である。 図18は、本発明に関連する技術において、がんぎ車を示す上面図である。 図19は、本発明に関連する技術において、がんぎ車を示す側面図である。 図20は、本発明に関連する技術において、がんぎ車を示す斜視図である。 図21は、本発明に関連する技術において、アンクルを示す上面図である。 図22は、本発明に関連する技術において、アンクルを示す側面図である。 図23は、本発明に関連する技術において、アンクルを示す斜視図である。 図24は、本発明に関連する技術において、アンクルの製造工程の一部を説明する原理図(その1)である。 図25は、本発明に関連する技術において、アンクルの製造工程の一部を説明する原理図(その2)である。 図26は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、中空軸部品を備えた電鋳部品の製造工程の一部を説明する原理図(その1)である。 図27は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、中空軸部品を備えた製造工程の一部を説明する原理図(その2)である。 図28は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品を適用したムーブメントを表側から見た概略形状を示す平面図である(図28では、一部の部品を省略している)。 図29は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品を適用したムーブメントのうちの秒モータから秒針の部分を示す概略部分断面図である。 図30は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品を適用したムーブメントのうちの分モータから分針の部分を示す概略部分断面図である。 図31は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品を適用したムーブメントのうちの時モータから時針の部分を示す概略部分断面図である。 図32は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品である時車を示す断面図である。 図33は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品である時車を示す部分断面斜視図である。
以下に、本発明に関連する技術と、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(1)電鋳部品の製造方法
図1を参照して、本発明に関連する技術において、電鋳部品の製造方法の実施形態について説明する。図1(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる基板420を準備する(工程401)。基板420を構成する材料は、シリコン、ガラス、プラスチックなどである。エッチングの加工精度を考えると、シリコンが適している。基板420の大きさは、例えば、2インチ(約50mm)〜8インチ(約200mm)の範囲の半導体製造に用いられる標準寸法であるのが好ましい。基板420の厚さは、基板420の大きさによって異なるが、例えば4インチシリコン基板の場合、300μm〜625μmの厚さのものが用いられる。
図1(b)を参照すると、基板420の表面にフォトレジストをコートし、コートしたフォトレジストに必要形状を露光し、現像してマスク422をパターニングする(工程402)。マスク422は、フォトレジスト、SiO2 などの他の酸化膜、アルムニウム、クロムなどの金属膜で形成することができる。フォトレジスト以外の材料で構成したマスクを用いる場合、フォトレジストをマスクとして、フォトレジスト以外の材料をエッチングすることによりマスクを形成することができる。マスク422の厚さは、基板420とマスク422のエッチング時の選択比とエッチング深さによって決定される。例えば、基板420とマスク422の選択比が100対1のとき、基板420のエッチング深さ100μmに対する必要なマスク422の厚さは1μm以上である。好ましくは1.5μm〜10μmの範囲とする。
図1(c)を参照すると、マスク422を有する基板420をDRIE(Deep RIE)によりエッチングし、基板420にエッチング穴420hを形成する(工程403)。図1(d)を参照すると、基板420の表面からマスク422をリムーブする(工程404)。或いは、マスク422をリムーブしないで、マスク422の上に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行うこともできる。マスク422の上に形成する金属薄膜は、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどで構成することができる。このような方法では、マスク422を構成する材料を選択することによって、電鋳部品を基板420の表面から取り外すときの犠牲層として用いることも可能である。このような犠牲層として用いることができる材料として、例えばフォトレジストに代表される樹脂材料が挙げられる。フォトレジストは有機溶媒、発煙硝酸等によって容易に除去することが可能である。
図1(e)を参照すると、基板420の表面と、エッチング穴420hの底面に、金、銀、銅、ニッケルなどの金属の導電膜424を付着させて、基板420の表面の導体化を行う(工程405)。金属の導電膜424の付着は、スパッタリング、蒸着、無電解めっきなどの方法により行うことができる。金属の導電膜424の膜厚は、数nm(不連続膜)〜数μmの範囲であるのが好ましい。
図2(a)を参照すると、軸部品426を準備する。軸部品426を構成する材料は、ガラス、セラミック、プラスチックなどの非導電性の材料を用いることができる。軸部品426をアルミニウムで構成する場合、軸部品426にアルマイト処理を行うのがよい。軸部品426を炭素鋼、ステンレス鋼などの金属で構成する場合、軸部品426に酸化膜を付加するのがよい。付加する酸化膜として、軸部品426を構成する金属の陽極酸化膜、SiO2などがあげられる。或いは、軸部品426を金属で構成する場合、軸部品426にテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングしてもよい。コーティングする材料は、前記テフロン(登録商標)のほか、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミドなどの非導電性樹脂があげられる。或いは、軸部品426を金属で構成する場合、軸部品426の電鋳金属を析出させない部分にレジストを付着させ、電鋳加工が終わったのち、レジストを剥離してもよい。
軸部品426は上軸部426aと、下軸部426bと、上軸部426aと下軸部426bとの間に位置するフランジ部426fとを含む。軸部品426の下軸部426bの先端を含む下軸部の部分を基板420のエッチング穴420hに挿入する(工程406)。この状態で、軸部品426のフランジ部426fの下面は、導電膜424から離れて配置されるのがよい。エッチング穴420hの内径は、下軸部426bを受け入れることができるように決められている。上記の方法により、軸部品426をばらばらになっている本体部品に挿入するよりも作業を容易に行うことができる。また、上記の方法では、軸部品426の下軸部426bを挿入すべき基板420のエッチング穴420hの位置が予め定められているので、軸部品426を挿入する工程を自動化するのが可能になる。さらに、上記の方法では、例えば、外径が4インチ(約100mm)〜8インチ(約200mm)であるような大きなウェハに軸部品426を挿入するので、軸部品426を挿入すべき部品の機械的強度が大きく、この部品が破損するおそれはほとんどない。
図2(b)を参照すると、基板420に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト428をパターニングする(工程407)。外形形成用レジスト428の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体の厚さより厚くなるように設定する。外形形成用レジスト428の厚さは、軸部品426のフランジ部426fの上面より厚くなるように形成されるのがよい。外形形成用レジスト428の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体の厚さによって異なるけれども、100μm〜数mmの範囲であるのが好ましい。上記の方法では、前記工程406を行った後に前記工程407を行ってもよいし、或いは、これらの工程を行う順番を逆にして、前記工程407を行った後に前記工程406を行ってもよい。図2(c)を参照すると、軸部品426を挿入した基板420に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト428と軸部品426との間に電鋳金属部430を形成する(工程408)。機械部品を形成する場合において、電鋳金属部430を形成する電鋳金属は、例えば、歯車などの構造物に使用する場合、摺動性を考慮し、硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、電鋳金属部430を形成する電鋳金属は、装飾性が高い構造物に使用する場合、金、銀、銅、ニッケル、クロム、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、構造物の内面を硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成し、構造物の表面を硬度が低い錫、亜鉛、およびこれらを含む合金などで構成するように、特性が異なる二種以上の金属又は合金で電鋳金属部430を構成することができる。また、電鋳金属部430は、構造物の表面と内面で金属の組成が異なる合金などで構成することができる。
軸部品426のフランジ部426fは、電鋳金属部430の中に配置されるのがよい。フランジ部426fを電鋳金属部430の中に配置することにより、軸部品426と電鋳金属部430との間の接触面積を増やすことができ、軸部品426が電鋳金属部430から抜けるのを阻止するだけでなく、軸部品426が電鋳金属部430に対して回転するのを効果的に阻止することができる。すなわち、フランジ部426fは、軸部品426と一体に形成される電鋳金属部430の中に位置するように構成された、軸部品426の抜け、及び/又は、軸部品426の回転を阻止するための輪郭形状を構成している。
次に、図3を参照して、電鋳加工の具体的な方法を説明する。図3(a)を参照すると、電鋳すべき金属材料により電鋳液を選ぶ必要があり、例えば、ニッケル電鋳加工ではスルファミン酸浴、ワット浴、硫酸浴などが用いられる。スルファミン酸浴を用いてニッケル電鋳を行う場合は、電鋳加工用の処理槽740の中にスルファミン酸ニッケル水和塩を主成分とするスルファミン酸浴電鋳液742を入れる。電鋳すべき金属材料からなる陽極電極744をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。例えば、陽極電極744は、電鋳すべき金属材料からなるボールを複数用意し、この金属ボールをチタン等で作った金属製のかごの中に入れることにより構成することができる。電鋳加工を行うべき電鋳型748をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。図3(b)を参照すると、電鋳型748を電源760の陰極に接続し、陽極電極744を電源760の陽極に接続すると、陽極電極744を構成する金属がイオン化してスルファミン酸浴中を移動し、電鋳型748の型キャビティ748f上に金属として析出する。配管(図示せず)を介して弁(図示せず)を処理槽740に接続することができる。濾過用フィルタを配管に設け、処理槽740から排出されるスルファミン酸浴を濾過することができる。濾過されたスルファミン酸浴は、注入用配管(図示せず)から処理槽740の中に戻すことができる。
図2(d)を参照すると、基板420から外形形成用レジスト428をリムーブし、電鋳部品432を取り外す(工程409)。電鋳部品432は、軸部品426と、軸部品426に一体化された電鋳金属部430とを含む。軸部品426のフランジ部426fが電鋳金属部430の中に配置されるので、軸部品426が電鋳金属部430から分離するおそれがない。
上記の電鋳部品の製造方法を用いると、電鋳加工により作製した電鋳金属部に他部品を打ち込む必要がなく、或いは、電鋳金属部に他部品を接着などにより取付ける必要がない。したがって、本発明により、金属部品と金属部品(軸、「かな」など)を一体電鋳成形することができるし、また、金属部品と非導電性の部品(軸、「かな」など)を一体電鋳成形することができる。すなわち、上記の電鋳部品の製造方法を用いることにより、金属部品と金属部品、或いは、金属部品と非導電性の部品が一体電鋳成形されるので、後付け工程を用意することなしに、複数部品からなる機械部品を形成することができる。さらに、電鋳の加工条件を調整することにより、電鋳部品に生じる内部応力を調整することができ、非導電性の部品の取付け圧力をコントロールし、電鋳部品を破損させることなく強固に非導電性の部品を電鋳金属部に固定することができる。
さらに、電鋳金属部に固定すべき部品の固定部に、半径方向に凹凸する種々の輪郭形状を設けることができる。このような半径方向に凹凸する輪郭形状として、例えば、フランジ部、波状部、雄ねじ部、ローレット部、丸カット部、溝部などを挙げることができる。このような電鋳金属部に固定すべき部品に設けられた半径方向に凹凸する輪郭形状を、それぞれ、1つ、或いは、複数個、或いは、前記輪郭形状の何種類かを組み合わせて複数個、電鋳金属部に固定すべき部品の固定部に設けることにより、電鋳金属部に固定すべき部品が電鋳金属部から外れたり、電鋳金属部から抜けたり、電鋳金属部に対して滑ったりするのを確実かつ効果的に防止することができる。すなわち、半径方向に凹凸する輪郭形状を電鋳金属部の中に配置することにより、電鋳金属部に固定すべき部品と電鋳金属部との間の接触面積を増やすことができ、電鋳金属部に固定すべき部品が電鋳金属部から抜けるのを阻止するだけでなく、電鋳金属部に固定すべき部品が電鋳金属部に対して回転するのを効果的に阻止することができる。すなわち、電鋳金属部に固定すべき部品に設けられた半径方向に凹凸する輪郭形状は、電鋳金属部に固定すべき部品と一体に形成される電鋳金属部の中に位置するように構成された、電鋳金属部に固定すべき部品の抜け、及び/又は、電鋳金属部に固定すべき部品の回転を阻止するための輪郭形状を構成している。
(2)電鋳部品の構造
図4および図5を参照すると、電鋳部品435は、軸部品436と、電鋳金属部437とを含む。以下に示すいずれの実施形態においても、軸部品を構成する材料は、ガラス、セラミック、プラスチックなどの非導電性の材料を用いることができる。軸部品をアルミニウムで構成する場合、軸部品にアルマイト処理を行うのがよい。軸部品を、炭素鋼、ステンレス鋼などの金属で構成する場合、軸部品に酸化膜を付加するのがよい。或いは、軸部品を金属で構成する場合、軸部品にテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングするのがよい。電鋳金属部437の外周部には、歯車部437gを形成することができる。歯車部437gの平面形状は、上述した工程407において、外形形成用レジスト428をパターニングするときの外形形成用レジスト428の内側の形状により定められる。或いは、電鋳部品435を形成したのち、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、歯車部437gを形成することもできる。
変形構造の例として、図6を参照すると、電鋳部品440は、軸部品442と、電鋳金属部444とを含む。軸部品442は上軸部442aと、下軸部442bと、上軸部442aと下軸部442bとの間に位置するフランジ部442fとを含む。電鋳金属部444の外周部には、歯車部444gを形成することができる。歯車部444gの平面形状は、上述した工程407において、外形形成用レジスト428をパターニングするときの外形形成用レジスト428の内側の形状により定められる。或いは、電鋳部品440を形成したのち、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、歯車部444gを形成することもできる。電鋳金属部444の中に配置される軸部品442の固定部に、フランジ部を設けることにより、軸部品442が電鋳金属部444から外れたり、電鋳金属部444から抜けたり、電鋳金属部444に対して滑ったりするのを確実かつ効果的に防止することができる。さらに、変形構造の例として、図6に二点鎖線で示すように、電鋳加工を行う前に、軸部品442の下軸部442bに、ピニオン部(外周部に歯車部を設けた小歯車部)を形成することができる。本発明のこのような構成により、減速輪列又は増速輪列を構成する部品として、2つの歯車部を備えた輪列部品(例えば、時計の「番車」、「日の裏車」、「がんぎ車」、「伝え車」など)を効率的に製造することができる。
図7を参照すると、図6に示す構造を変形した構造の例として、電鋳部品450は、軸部品452と、電鋳金属部454とを含む。軸部品452は上軸部452aと、下軸部452bと、上軸部452aと下軸部452bとの間に位置する波形部452jとを含む。図7には、波形部452jの一例として、軸部品452の一部に雄ねじを設ける構成を示している。波形部452jの断面形状は、三角形であってもよいし、四角形であってもよいし、半円形であってもよいし、先端に円弧部をもつ三角形などであってもよい。波形部452jは、雄ねじであってもよいし、1個の凸状部であってもよいし、軸部品452の軸線方向に複数個配置された凸状部であってもよい。波形部452jは、複数ピッチを含む雄ねじで構成するか、或いは、複数個の凸状部で構成するのが好ましい。この構成により、軸部品452が電鋳金属部454から外れたり、電鋳金属部454から抜けたり、電鋳金属部454に対して滑ったりするのを一層確実かつ効果的に防止することができる。波形部452j(或いは、雄ねじ)などの半径方向に凹凸する輪郭形状を電鋳金属部454の中に配置することにより、軸部品452と電鋳金属部454との間の接触面積を増やすことができ、軸部品452が電鋳金属部454から抜けるのを阻止するだけでなく、軸部品452が電鋳金属部454に対して回転するのを効果的に阻止することができる。すなわち、軸部品452に設けられた波形部452j(或いは、雄ねじ)などの半径方向に凹凸する輪郭形状は、軸部品452と一体に形成される電鋳金属部454の中に位置するように構成された、軸部品452の抜け、及び/又は、軸部品452の回転を阻止するための輪郭形状を構成している。
図8を参照すると、図6に示す構造の更なる変形構造の例として、電鋳部品460は、軸部品462と、電鋳金属部464とを含む。軸部品462は上軸部462aと、下軸部462bと、上軸部462aと下軸部462bとの間に位置する回り止め部462kとを含む。図8には、回り止め部462kの一例として、軸部品462の一部に、軸部品462の軸線方向に2個配置されたローレット部を設ける構成を示している。図9を参照すると、ローレット部462kの平面図が示されている。ローレット部462kは転造加工で形成してもよいし、歯切り加工で形成してもよいし、他の加工方法で形成してもよい。回り止め部462kは、軸部品462の軸線方向に1個配置されていてもよいが、軸部品462の軸線方向に複数個配置されるのが好ましい。この構成により、軸部品462が電鋳金属部464から外れたり、電鋳金属部464から抜けたり、電鋳金属部464に対して滑ったりするのを一層確実かつ効果的に防止することができる。すなわち、軸部品462に設けられたローレット部462kのように半径方向に凹凸する輪郭形状は、軸部品462と一体に形成される電鋳金属部464の中に位置するように構成された、軸部品462の抜け、及び/又は、軸部品462の回転を阻止するための輪郭形状を構成している。
図10を参照すると、二面カットしたフランジを含むフランジ部462mが、図9に示すローレット部462kの代わりに設けることができる。フランジ部462mには、フランジ部462mの厚さ方向の中間部の一部に、半径方向にくぼんだ溝部462nを設けることができる。フランジ部462mは転造加工で形成してもよいし、歯切り加工で形成してもよいし、他の加工方法で形成してもよい。フランジ部462mは、軸部品462の軸線方向に1個形成してもよいが、軸部品462の軸線方向に複数個形成してもよい。この構成により、軸部品462が電鋳金属部464から外れたり、電鋳金属部464から抜けたり、電鋳金属部464に対して滑ったりするのを一層確実かつ効果的に防止することができる。
図11を参照すると、フランジ部の厚さ方向の中間部の一部に、半径方向に切り取られた切欠部462tを形成したフランジ部462uが、図9に示すローレット部462kの代わりに設けることができる。フランジ部462uは転造加工で形成してもよいし、旋盤加工で形成してもよいし、他の加工方法で形成してもよい。フランジ部462uは、軸部品462の軸線方向に1個形成してもよいし、軸部品462の軸線方向に複数個形成してもよい。この構成により、軸部品462が電鋳金属部464から外れたり、電鋳金属部464から抜けたり、電鋳金属部224に対して滑ったりするのを一層確実かつ効果的に防止することができる。加えて、図5から図8に示すいずれの実施形態においても、電鋳金属部464の外周部に、歯車部464gを形成することができる。さらに、図5から図8に示すいずれの実施形態においても、軸部品462の上軸部462a及び/又は下軸部462bに、ピニオン部(小歯車部)を形成することができる。
(3)機械式時計の構造
次に、本発明に関連する技術、或いは、本発明の方法を用いて製造した電鋳部品を適用した機械式時計の実施の形態について説明する。図12〜図14を参照すると、機械式時計において、機械式時計のムーブメント(機械体)300は、ムーブメントの基板を構成する地板302を有する。巻真310が、地板302の巻真案内穴302aに回転可能に組み込まれる。文字板304(図26に仮想線で示す)がムーブメント300に取付けられる。一般に、地板の両側のうちで、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称し、文字板のある方の側と反対側をムーブメントの「表側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称し、ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。おしどり390、かんぬき392、かんぬきばね394、裏押さえ396を含む切換装置により、巻真310の軸線方向の位置を決める。きち車312が巻真310の案内軸部に回転可能に設けられる。巻真310が、回転軸線方向に沿ってムーブメントの内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真310を回転させると、つづみ車の回転を介してきち車312が回転する。丸穴車314が、きち車312の回転により回転する。角穴車316が、丸穴車314の回転により回転する。角穴車316が回転することにより、香箱車320に収容されたぜんまい322を巻き上げる。二番車324が、香箱車320の回転により回転する。がんぎ車330が、四番車328、三番車326、二番車324の回転を介して回転する。香箱車320、二番車324、三番車326、四番車328は表輪列を構成する。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、てんぷ340と、がんぎ車330と、アンクル342とを含む。てんぷ340は、てん真340aと、てん輪340bと、ひげぜんまい340cとを含む。二番車324の回転に基づいて、筒かな350が同時に回転する。筒かな350に取付けられた分針352が「分」を表示する。筒かな350には、二番車324に対するスリップ機構が設けられる。筒かな350の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して、筒車354が回転する。筒車354に取付けられた時針356が「時」を表示する。ひげぜんまい340cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい340cの内端部は、てん真340aに固定されたひげ玉340dに固定され、ひげぜんまい340cの外端部は、てんぷ受366に固定されたひげ持受370に取り付けたひげ持370aを介してねじ締めにより固定される。緩急針368が、てんぷ受366に回転可能に取付けられている。ひげ受1340とひげ棒1342が、緩急針368に取付けられている。ひげぜんまい340cの外端部に近い部分は、ひげ受1340とひげ棒1342との間に位置する。てんぷ340は、地板302及びてんぷ受366に対して回転可能なように支持される。
香箱車320は、香箱歯車320dと、香箱真320f、ぜんまい322とを備える。香箱真320fは、上軸部320aと、下軸部320bとを含む。香箱真320fは、炭素鋼などの金属で形成される。香箱歯車320dは黄銅などの金属で形成される。二番車324は、上軸部324aと、下軸部324bと、かな部324cと、歯車部324dと、そろばん玉部324hとを含む。二番車324のかな部324cは香箱歯車320dと噛み合うように構成される。上軸部324aと、下軸部324bと、そろばん玉部324bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部324dは黄銅などの金属で形成される。三番車326は、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cと、歯車部326dとを含む。三番車326のかな部326cは歯車部324dと噛み合うように構成される。四番車328は、上軸部328aと、下軸部328bと、かな部328cと、歯車部328dとを含む。四番車328のかな部328cは歯車部326dと噛み合うように構成される。上軸部328aと、下軸部328bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部328dは黄銅などの金属で形成される。がんぎ車330は、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部330cと、歯車部330dとを含む。がんぎ車330のかな部330cは歯車部328dと噛み合うように構成される。アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fとを備える。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。
香箱車320は、地板302及び香箱受360に対して回転可能なように支持される。すなわち、香箱真320fの上軸部320aは、香箱受360に対して回転可能なように支持される。香箱真320fの下軸部320bは、地板302に対して、回転可能に支持される。二番車324、三番車326、四番車328、がんぎ車330は、地板302及び輪列受362に対して回転可能なように支持される。すなわち、二番車324の上軸部324a、三番車326の上軸部326a、四番車328の上軸部328a、がんぎ車330の上軸部330aは、輪列受362に対して回転可能なように支持される。また、二番車324の下軸部324b、三番車326の下軸部326b、四番車328の下軸部328b、がんぎ車330の下軸部330bは、地板302に対して、回転可能に支持される。アンクル342は、地板302及びアンクル受364に対して回転可能なように支持される。すなわち、アンクル342の上軸部342aは、アンクル受364に対して回転可能なように支持される。アンクル342の下軸部342bは、地板302に対して、回転可能に支持される。
香箱真320fの上軸部320aを回転可能に支持する香箱受360の軸受部と、二番車324の上軸部324aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、三番車326の上軸部326aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、四番車328の上軸部328aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、がんぎ車330の上軸部330aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、アンクル342の上軸部342aを回転可能に支持するアンクル受364の軸受部には、潤滑油が注油される。秒ロータ276の下軸部276bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、香箱真320fの下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、二番車324の下軸部324bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、三番車326の下軸部326bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、四番車328の下軸部328bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、がんぎ車330の下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、アンクル342の下軸部342bを回転可能に支持する地板302の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。地板302のそれぞれの軸受部、香箱受360の軸受部、輪列受362のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。地板302、香箱受360、輪列受362、アンクル受364は、黄銅などの金属で形成してもよいし、ポリ−カーボネートなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。
(4)三番車の製造方法と構造
図15〜図17を参照すると、本発明に関連する技術において、三番車326は、三番かな326fと、三番歯車326gとを含む。三番歯車326gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは150μm〜250μmである。三番かな326fは、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cとを含む。三番歯車326gは、中心支持部326hと、あみだ部326jと、歯車部326dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部326jは5本である。あみだ部326jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。或いは、あみだ部326jを設けなくてもよい。三番かな326fは、炭素鋼などの金属で形成される。三番歯車326gはニッケルなどの金属で形成される。
図2(a)を参照すると、軸部品326として、三番かな326fを準備する。三番かな326fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングするのがよい。或いは、三番かな326fの電鋳金属を析出させない部分にレジストを付着させ、電鋳加工が終わったのち、レジストを剥離してもよい。変形例として、三番かな326fは、ポリアセタールなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。この場合、三番かな326fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングする必要はないし、三番かな326fにレジストを付着させる必要もない。
図2(b)を参照すると、基板420に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに歯車の輪郭形状とあみだの窓形状を含む必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト428をパターニングする(工程407)。外形形成用レジスト428の厚さは、三番歯車326gの厚さより大きくなるように設定する。三番歯車326gの厚さが200μmである場合、外形形成用レジスト428の厚さは、200μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。
図2(c)を参照すると、三番かな326fの下軸部326bを挿入した基板420に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト428と三番かな326fとの間に電鋳金属部を形成する(工程408)。三番歯車326gを形成する場合、電鋳金属部は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。図2(d)を参照すると、基板420から外形形成用レジスト428をリムーブし、電鋳部品として、歯車部326dが未加工の三番車326を取り外す(工程409)。電鋳部品として、歯車部326dが未加工の三番車326を形成したのち、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、三番歯車326gの歯車部326dを形成することができる。以上のように、本発明の実施形態を三番車について説明したけれども、本発明は三番車だけでなく、二番車、四番車、五番車、伝え車、日の裏車、修正車などにも応用することができる。
(5)がんぎ車の製造方法と構造
図18〜図20を参照すると、本発明に関連する技術において、がんぎ車330は、がんぎかな330fと、がんぎ歯車330gとを含む。がんぎ歯車330gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。がんぎかな330fは、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部330cとを含む。がんぎ歯車330gは、中心支持部330hと、あみだ部330jと、歯車部(すなわち、アンクルのつめ石と接触して作動する部分)330dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部330jは4本である。あみだ部330jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。或いは、あみだ部326jを設けなくてもよい。がんぎかな330fは、炭素鋼などの金属で形成される。がんぎ歯車330gはニッケルなどの金属で形成される。
図2(a)を参照すると、軸部品126として、がんぎかな330fを準備する。がんぎかな330fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングするのがよい。或いは、がんぎかな330fの電鋳金属を析出させない部分にレジストを付着させ、電鋳加工が終わったのち、レジストを剥離してもよい。変形例として、がんぎかな330fは、ポリアセタールなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。この場合、がんぎかな330fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングする必要はないし、がんぎかな330fにレジストを付着させる必要もない。
図2(b)を参照すると、基板120に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストにがんぎ車の輪郭形状とあみだの窓形状を含む必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト128をパターニングする(工程107)。外形形成用レジスト128の厚さは、がんぎ歯車330gの厚さより大きくなるように設定する。がんぎ歯車330gの厚さが100μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μmである場合、外形形成用レジスト128の厚さは、がんぎ歯車330gの厚さと同一か、同一から500μm程度の範囲とするのが好ましい。
図2(c)を参照すると、がんぎかな330fの下軸部330bを挿入した基板420に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト428とがんぎかな330fとの間に電鋳金属部を形成する(工程408)。がんぎ歯車330gを形成する場合、電鋳金属部は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。図2(d)を参照すると、基板420から外形形成用レジスト428をリムーブし、電鋳部品として、歯車部330dが未加工のがんぎ車330を取り外す(工程409)。電鋳部品として、歯車部330dが未加工のがんぎ車330を形成したのち、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、がんぎ歯車330gの歯車部330dを形成することができる。さらに、図示するように、がんぎ歯車330gの最外周部に斜面部330kを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部330kを形成することができる。
(6)アンクルの製造方法と構造
図21〜図23を参照すると、本発明に関連する技術において、アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fと、剣先342gと、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石342jおよび出つめ石342kとを備える。アンクル体342dの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。アンクル体342dは、ニッケルなどの金属で形成される。アンクル真342fは炭素鋼などの金属で形成される。アンクル真342fは、炭素鋼などの金属で形成される。アンクル体342dはニッケルなどの金属で形成される。
図2(a)を参照すると、軸部品126として、アンクル真342fを準備する。アンクル真342fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングするのがよい。或いは、アンクル真342fの電鋳金属を析出させない部分にレジストを付着させ、電鋳加工が終わったのち、レジストを剥離してもよい。変形例として、アンクル真342fは、ポリアセタールなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。この場合、アンクル真342fにテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングする必要はないし、アンクル真342fにレジストを付着させる必要もない。
図2(b)を参照すると、基板420に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト428をパターニングする(工程407)。外形形成用レジスト428の厚さは、アンクル体342dの厚さより大きくなるように設定する。アンクル体342dの厚さが100μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μmである場合、外形形成用レジスト428の厚さは、アンクル体342dの厚さと同一か、同一から500μm程度の範囲とするのが好ましい。
図2(c)を参照すると、アンクル真342fの下軸部342bを挿入した基板420に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト428とアンクル真342fとの間に電鋳金属部を形成する(工程408)。アンクル体342dを形成する場合、電鋳金属部は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。図2(d)を参照すると、基板420から外形形成用レジスト428をリムーブし、電鋳部品として、剣先およびつめ石がないアンクル体342dを取り外す(工程409)。電鋳部品として、剣先およびつめ石がないアンクル体342dを形成したのち、二次加工として、アンクル体342dに、入りつめ石342jおよび出つめ石342kを接着することができる。さらに、二次加工として、アンクル体342dに、剣先342gを取付けることができる。剣先342gは、剣先軸部342hをアンクル体342dに嵌めこむことによって固定することもできるし、剣先軸部342hをアンクル体342dに接着することによって固定することもできる。さらに、図示するように、アンクル体342dの剣先342gに隣接する部分に斜面部342mを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部342mを形成することができる。
(7)つめ石付きアンクルの製造方法
以下に、図24および図25を参照して、本発明に関連する技術において、つめ石付きアンクルの製造方法を説明する。図24(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる基板520を準備する(工程501)。基板520を構成する材料は、シリコン、ガラス、プラスチックなどである。エッチングの加工精度を考えると、シリコンが適している。基板520の大きさは、例えば、2インチ(約50mm)〜8インチ(約200mm)の範囲の半導体製造に用いられる標準寸法であるのが好ましい。基板520の厚さは、基板520の大きさによって異なるが、例えば4インチシリコン基板の場合、300μm〜625μmの厚さのものが用いられる。
図24(b)を参照すると、基板520の表面にSiO2 膜522をコートし、SiO2膜522の上にアモルファスシリコン膜524をコートする(工程502)。SiO2 膜522の厚さは0.1μm〜100μmの範囲であるのが好ましい。アモルファスシリコン膜524の厚さは、SiO2 膜522をエッチングする際の選択比を考慮すると、SiO2 膜522の厚さの1/4程度であるのが好ましい。図24(c)を参照すると、フォトレジストをアモルファスシリコン膜524の上にコートし、コートしたフォトレジストに必要形状を露光し、現像してマスク526をパターニングする(工程503)。マスク526の厚さは、アモルファスシリコン膜524とマスク526のエッチング時の選択比とエッチング深さによって決定される。例えば、アモルファスシリコン膜524とマスク526の選択比が10対1のとき、アモルファスシリコン膜524の膜厚5μmとした場合の必要なマスク526の厚さは0.5μm以上である。好ましくは1μm〜10μmの範囲とする。
図24(d)を参照すると、基板520のアモルファスシリコン膜524をエッチングし、アモルファスシリコン膜524にエッチング凹部524hを形成する(工程504)。図24(e)を参照すると、リフトオフ法などによって、基板520の表面からマスク526をリムーブする(工程505)。図24(f)を参照すると、基板520のSiO2 膜522をRIEによりエッチングし、SiO2 膜522にエッチング凹部522hを形成する(工程506)。図24(g)を参照すると、基板520の表面をDRIE(Deep RIE)又はRIEによりエッチングし、基板520にエッチング凹部520hを形成する(工程507)。アモルファスシリコン膜524は事前にエッチングしなくても、基板520をエッチングするときに除去される。
図25(a)を参照すると、基板520のSiO2 膜522をHF又はBHFによりエッチングする(工程508)。図25(b)を参照すると、基板520の表面上と、基板520のエッチング凹部520hの側壁上及び底面上に金属の導電膜530を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う(工程509)。キャビティ530hが基板520のエッチング凹部520hに対応する部分に形成される。基板520の上に形成する金属薄膜は、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどで構成することができる。金属の導電膜530の付着は、スパッタリング、蒸着、無電解めっきなどの方法により行うことができる。金属の導電膜530の膜厚は、10nm〜数μmの範囲であるのが好ましい。
図25(c)を参照すると、つめ石550をキャビティ530hに配置する(工程510)。図面を簡略化するために、図25(c)には1つのつめ石550のみを図示するけれども、工程510において、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石および出つめ石をキャビティ530hに配置する。つめ石550(入りつめ石、出つめ石)を構成する材料は、人工ルビー、セラミック(アルミナ、ジルコニア)などを用いることができる。本発明の方法では、つめ石550を配置すべきキャビティ530hの位置が予め定められているので、つめ石550を配置する工程を自動化するのが可能である。さらに、本発明の方法では、例えば、外径が4インチ(約100mm)〜8インチ(約200mm)であるような大きなウェハにつめ石550を配置するので、つめ石550を配置すべき部品の機械的強度が大きく、このつめ石550を配置すべき部品が破損するおそれはほとんどない。
図25(d)を参照すると、基板520に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト532をパターニングする(工程511)。外形形成用レジスト532の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体の厚さより大きくなるように設定する。外形形成用レジスト532の厚さは、製造するアンクル体の上面より厚くなるように形成されるのがよい。外形形成用レジスト532の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体(例えば、アンクル体)の厚さによって異なるけれども、数十μm〜数mmの範囲であるのが好ましい。本発明の方法では、前記工程510を行った後に前記工程511を行ってもよいし、或いは、これらの工程を行う順番を逆にして、前記工程511を行った後に前記工程510を行ってもよい。図25(e)を参照すると、つめ石550を配置した基板520に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト532の内側に、つめ石550を保持する電鋳金属部540を形成する(工程512)。電鋳加工は、図3を参照して前述したした方法によって行うことができる。アンクルのような機械部品を形成する場合、電鋳金属部540は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。この工程512では、つめ石550は、電鋳金属部540と一体となる。電鋳金属部540の寸法形状は、製造すべきアンクル体の寸法形状に対応するように定められている。
図25(f)を参照すると、基板520から外形形成用レジスト532をリムーブし、つめ石付き電鋳部品542を取り外す(工程513)。つめ石付き電鋳部品542は、電鋳金属部540と、つめ石550とを含む。前述したように、つめ石550は、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石342jおよび出つめ石342kとからなる。上記の電鋳部品の製造方法を用いると、電鋳加工により作製した電鋳金属部540に、後工程において、つめ石550を固定する必要がない。或いは、必要に応じて、電鋳金属部540とつめ石550に接着剤を付けて、つめ石550の保持強度を高めることもできる。したがって、本発明により、金属部品と、他の非導電性の部品(つめ石など)を一体電鋳成形することができる。すなわち、上記の電鋳部品の製造方法を用いることにより、金属部品と非導電性の部品が一体電鋳成形されるので、後付け工程を用意することなしに、複数部品からなる機械部品を形成することができる。さらに、電鋳の加工条件を調整することにより、電鋳部品に生じる内部応力を調整することができ、非導電性の部品の取付け圧力をコントロールし、電鋳部品を破損させることなく強固に非導電性の部品を電鋳金属部に固定することができる。
図21〜図23を参照して前述したように、アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fと、剣先342gと、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石342jおよび出つめ石342kとを備える。アンクル体342dの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。アンクル体342dは、ニッケルなどの金属で形成される。アンクル真342fは炭素鋼などの金属で形成される。アンクル真342fは、炭素鋼などの金属で形成される。入りつめ石342jおよび出つめ石342kとを備えたアンクル体342dは、図24および図25を参照して前述したつめ石付き電鋳部品542として形成することができる。図21〜図23を参照すると、つめ石付き電鋳部品542として、剣先およびアンクル真342fがないアンクル体342dを形成したのち、二次加工として、アンクル体342dに、アンクル真342fを固定することができる。さらに、二次加工として、アンクル体342dに、剣先342gを取付けることができる。剣先342gは、剣先軸部342hをアンクル体342dに嵌めこむことによって固定することもできるし、剣先軸部342hをアンクル体342dに接着することによって固定することもできる。さらに、図示するように、アンクル体342dの剣先342gに隣接する部分に斜面部342kを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部342kを形成することができる。この方法によって、つめ石のような微小な部品を備えたアンクルを、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。
(8)中空軸部品を備えた電鋳部品の製造方法
図26および図27を参照して、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、中空軸部品を備えた電鋳部品の製造方法について説明する。以下の説明は、本発明の中空軸部品を備えた電鋳部品の製造方法の実施形態が、上述した中実軸部品を備えた電鋳部品の製造方法と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した中実軸部品を備えた電鋳部品の製造方法についての説明をここに準用する。図26(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる基板620を準備する(工程601)。図26(b)を参照すると、基板620の表面において、フォトレジストをコートし、コートしたフォトレジストに中空軸の穴部に対応する形状を露光し、現像して中央マスク622をパターニングする(工程602)。中央マスク622は、フォトレジスト、SiO2 などの他の酸化膜、アルムニウム、クロムなどの金属膜で形成することができる。図26(c)を参照すると、中央マスク622を有する基板620をDRIE(Deep RIE)によりエッチングし、基板620に凹部620bを形成する(工程603)。この工程603において、基板620の中央マスク622に対応する箇所に凸部620hが形成される。図26(d)を参照すると、基板620の凸部620hの表面から中央マスク622をリムーブする(工程604)。図26(e)を参照すると、基板620の凹部620bの表面に、金、銀、銅、ニッケルなどの金属の導電膜624を付着させて、基板620の表面の導体化を行う(工程605)。
また、工程603を行ったあと、中央マスク622をリムーブせず、工程605を実施して基板620の凹部620b、および、中央マスク622を含む全体表面に金属の導電膜624を付着させて、基板620の表面の導体化を行い、さらに、工程604を実施して中央マスク622をリムーブする順に工程を行うこともできる。この場合、工程604において中央マスク622をリムーブする際、中央マスク622上の導電膜624がリフトオフされるため、容易に図26(e)に示した凹部620b上にのみ、導電膜624が配置された構造を作製することができる。図27(a)を参照すると、筒部品626を準備する。筒部品626の構造は中空軸である。筒部品626を構成する材料は、黄銅、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料を用いることができる。筒部品626をアルミニウムで構成する場合、筒部品626にアルマイト処理を行うのがよい。筒部品626を炭素鋼、ステンレス鋼などの金属で構成する場合、筒部品626に酸化膜を付加するのがよい。付加する酸化膜として、筒部品626を構成する金属の陽極酸化膜、SiO2 などがあげられる。或いは、筒部品626を金属で構成する場合、筒部品626にテフロン(登録商標)などの合成樹脂をコーティングしてもよい。コーティングする材料は、前記テフロン(登録商標)のほか、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミドなどの非導電性樹脂があげられる。或いは、筒部品626を金属で構成する場合、筒部品626の電鋳金属を析出させない部分にレジストを付着させ、電鋳加工が終わったのち、レジストを剥離してもよい。
筒部品626は上筒部626aと、下筒部626bと、上筒部626aと下筒部626bとの間に位置するフランジ部626fと、中心穴626hとを含む。筒部品626の下筒部626bの中心穴626hの部分を基板620の凸部620hに配置する(工程606)。この状態で、筒部品626のフランジ部626fの下面は、導電膜624から離れて配置されるのがよい。凸部620hの外径は、筒部品626の下筒部626bの中心穴626hに嵌め合うことができるように決められている。本発明の方法により、筒部品626をばらばらになっている本体部品に挿入するよりも作業を容易に行うことができる。また、本発明の方法では、筒部品626の中心穴626hを配置すべき基板620の凸部620hの位置が予め定められているので、筒部品626を配置する工程を自動化するのが可能になる。さらに、本発明の方法では、例えば、外径が4インチ(約100mm)〜8インチ(約200mm)であるような大きなウェハに筒部品626を挿入するので、筒部品626を挿入すべき部品の機械的強度が大きく、この部品が破損するおそれはほとんどない。
図27(b)を参照すると、基板620に厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して外形形成用レジスト628をパターニングする(工程607)。外形形成用レジスト628の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体の厚さより大きくなるように設定する。外形形成用レジスト628の厚さは、筒部品626のフランジ部626fの上面より厚くなるように形成されるのがよい。外形形成用レジスト628の厚さは、電鋳加工すべき部品の本体の厚さによって異なるけれども、100μm〜数mmの範囲であるのが好ましい。本発明の方法では、前記工程606を行った後に前記工程607を行ってもよいし、或いは、これらの工程を行う順番を逆にして、前記工程607を行った後に前記工程606を行ってもよい。図27(c)を参照すると、筒部品626を配置した基板620に電鋳加工を行い、外形形成用レジスト628と筒部品626との間に電鋳金属部630を形成する(工程608)。機械部品を形成する場合、電鋳金属部630は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。筒部品626のフランジ部626fは、電鋳金属部630の中に配置されるのがよい。フランジ部626fを電鋳金属部630の中に配置することにより、筒部品626と電鋳金属部630との間の接触面積を増やすことができ、筒部品626が電鋳金属部630から抜けるのを阻止するだけでなく、筒部品626が電鋳金属部630に対して回転するのを効果的に阻止することができる。すなわち、フランジ部626fは、筒部品626と一体に形成される電鋳金属部630の中に位置するように構成された、筒部品626の抜け、及び/又は、筒部品626の回転を阻止するための輪郭形状を構成している。図27(d)を参照すると、基板620から外形形成用レジスト628をリムーブし、電鋳部品632を取り外す(工程609)。電鋳部品632は、筒部品626と、筒部品626に一体化された電鋳金属部630とを含む。筒部品626のフランジ部626fが電鋳金属部630の中に配置されるので、筒部品626が電鋳金属部630から分離するおそれがない。以上説明したように、本発明の電鋳部品の製造方法を適用した機械式時計は、本発明の電鋳部品の製造方法によって製造された電鋳部品のうちの少なくとも1つ含むのが好ましい。
(9)アナログ電子時計の構造
以下に説明する本発明の電鋳部品の製造方法を適用した実施の形態は、輪列を有する時計、すなわち、アナログ電子時計に関するものである。しかしながら、本発明の電鋳部品の製造方法は、アナログ電子時計に限定されるものでなく、計測器、印刷機、映像機器、録音機器、記録機器などの輪列を構成する部材等に広く適用することができる。図28〜図31を参照すると、アナログ電子時計のムーブメント(機械体)100は、ムーブメントの基板を構成する地板102を有する。巻真110が、地板102の巻真案内穴に回転可能に組み込まれる。文字板104(図29に仮想線で示す)がムーブメント100に取付けられる。ムーブメント100は、巻真110の軸線方向の位置を決めるための切換ばね166を備える。ムーブメント100の「表側」には、電池120、回路ブロック116、時モータ210、時表示輪列220、分モータ240、分表示輪列250、秒モータ270、秒表示輪列280などが配置される。地板102、輪列受112、二番受114は支持部材を構成する。時モータ210の回転により時表示輪列220が回転して、時針230により現在の時刻のうちの「時」を表示するように構成される。分モータ240の回転により分表示輪列250が回転して、分針260により現在の時刻のうちの「分」を表示するように構成される。秒モータ270の回転により秒表示輪列280が回転して、秒針290により現在の時刻のうちの「秒」を表示するように構成される。IC118と水晶振動子122とが、回路ブロック116に取り付けられる。回路ブロック116は、絶縁板160を介してスイッチばね162により、地板102および輪列受112に対して固定される。切換ばね166は、スイッチばね162に一体形成される。電池120はアナログ電子時計の動力源を構成する。アナログ電子時計の動力源として、充電可能な二次電池を用いることもできるし、充電可能なコンデンサを用いることもできる。水晶振動子122は、アナログ電子時計の源振を構成し、例えば、32,768ヘルツで発振する。
図29および図30を参照すると、秒モータ270は、秒コイルブロック272と、秒ステータ274と、秒ロータ276とを含む。秒コイルブロック272が秒モータ駆動信号を入力すると、秒ステータ274が磁化して、秒ロータ276を回転させる。秒ロータ276は、例えば、1秒ごとに180度回転するように構成される。秒ロータ276は、上軸部276aと、下軸部276bと、かな部276cと、ロータ磁石276dとを含む。上軸部276aと、下軸部276bと、かな部276cは、炭素鋼などの金属で形成される。秒ロータ276の回転に基づいて、秒伝え車282の回転を介して秒車284が回転するように構成される。秒伝え車282は、上軸部282aと、下軸部282bと、かな部282cと、歯車部282dとを含む。かな部276cは歯車部282dと噛み合うように構成される。上軸部282aと、下軸部282bと、かな部282cは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部282dは黄銅などの金属で形成される。
秒車284は1分間に1回転するように構成される。秒車284は、上軸部284aと、そろばん玉部284bと、歯車部284dとを含む。かな部282cは歯車部284dと噛み合うように構成される。上軸部284aと、そろばん玉部284bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部284dは黄銅などの金属で形成される。秒針290が秒車284に取付けられる。秒車284を、アナログ電子時計の中心に配置してもよいし、アナログ電子時計の中心とは異なる位置に配置してもよい。秒針290は秒表示部材を構成する。秒表示部材として、秒針を用いてもよいし、円盤を用いてもよいし、花又は幾何学的形状を含む他の形状の表示部材を用いてもよい。秒表示輪列220は秒伝え車282と秒車284とを含む。秒ロータ276、秒伝え車282は、地板102と輪列受112に対して、回転可能に支持される。秒車284は、二番受114に設けられた中心パイプ126と輪列受112に対して、回転可能に支持される。すなわち、秒ロータ276の上軸部276aと、秒伝え車282の上軸部282aと、秒車284の上軸部284aは、輪列受112に対して、回転可能に支持される。中心パイプ126は、炭素鋼などの金属で形成される。また、秒ロータ276の下軸部276bと、秒伝え車282の下軸部282bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
図29から図31を参照すると、秒ロータ276の上軸部276aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、秒伝え車282の上軸部282aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、秒車284の上軸部284aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部には、潤滑油が注油される。秒ロータ276の下軸部276bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、秒伝え車282の下軸部282bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。このような時計油の一例として、メービス社より入手可能な「メービスA(商標)」が挙げられる。輪列受112のそれぞれの軸受部、地板102のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。日車170が地板102に対して回転可能に支持される。日車押え172が日車170を地板102に対して支持する。日車170の歯先部と地板102との接触部には、潤滑油を注油するのが好ましい。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。
電池マイナス端子170が地板102に取り付けられる。電池マイナス端子170は、回路ブロック116のマイナスパターンを介して電池120の陰極とIC118のマイナス入力部Vssとを導通させる。電池押え172がスイッチばね162に取り付けられる。電池押え172およびスイッチばね162は、回路ブロック116のプラスパターンを介して電池120の陽極とIC118のプラス入力部Vddとを導通させる。分モータ240は、分コイルブロック242と、分ステータ244と、分ロータ246とを含む。分コイルブロック242が分モータ駆動信号を入力すると、分ステータ244が磁化して、分ロータ246を回転させる。分ロータ246は、例えば、20秒ごとに180度回転するように構成される。分ロータ246は、上軸部246aと、下軸部246bと、かな部246cと、ロータ磁石246dとを含む。上軸部246aと、下軸部246bと、かな部246cは、炭素鋼などの金属で形成される。
分ロータ246の回転に基づいて一番分伝え車252が回転し、一番分伝え車252の回転に基づいて二番分伝え車254を介して分車256が回転するように構成される。一番分伝え車252は、上軸部252aと、下軸部252bと、かな部252cと、歯車部252dとを含む。かな部246cは歯車部252dと噛み合うように構成される。上軸部252aと、下軸部252bと、かな部252cは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部252dは黄銅などの金属で形成される。二番分伝え車254は、上軸部254aと、下軸部254bと、かな部254cと、歯車部254dとを含む。かな部252cは歯車部254dと噛み合うように構成される。上軸部254aと、下軸部254bと、かな部254cは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部254dは黄銅などの金属で形成される。分車256は、筒状部256aと、歯車部256dとを含む。かな部254cは歯車部256dと噛み合うように構成される。筒状部256aは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部256dは黄銅などの金属で形成される。
分車256は1時間に1回転するように構成される。分針260が分車256に取付けられる。分車256の回転中心は秒車284の回転中心と同じである。分針260は分表示部材を構成する。分表示部材として、分針を用いてもよいし、円盤を用いてもよいし、花又は幾何学的形状を含む他の形状の表示部材を用いてもよい。分表示輪列250は一番分伝え車252と、二番分伝え車254と、分車256とを含む。分ロータ246、一番分伝え車252、二番分伝え車254は、地板102と輪列受112に対して、回転可能に支持される。分車256は、二番受114に設けられた中心パイプ126の外周部に接触して、回転可能に支持される。すなわち、分ロータ246の上軸部246aと、一番分伝え車252の上軸部252aと、二番分伝え車254の上軸部254aは、輪列受112に対して、回転可能に支持される。また、分ロータ246の下軸部246bと、一番分伝え車252の下軸部252bと、二番分伝え車254の下軸部254bは、地板102に対して、回転可能に支持される。分ロータ246の上軸部246aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、一番分伝え車252の上軸部252aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、二番分伝え車254の上軸部254aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部には、潤滑油が注油される。分ロータ246の下軸部246bの軸受部と、一番分伝え車252の下軸部252bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、二番分伝え車254の下軸部254bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。輪列受112のそれぞれの軸受部、地板102のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。
時モータ210は、時コイルブロック212と、時ステータ214と、時ロータ216とを含む。時コイルブロック212が時モータ駆動信号を入力すると、時ステータ214が磁化して、時ロータ216を回転させる。時ロータ216は、例えば、20分ごとに180度回転するように構成される。時ロータ216は、上軸部216aと、下軸部216bと、かな部216cと、ロータ磁石216dとを含む。上軸部216aと、下軸部216bと、かな部216cは、炭素鋼などの金属で形成される。時ロータ216の回転に基づいて、一番時伝え車222が回転する。一番時伝え車222の回転に基づいて、二番時伝え車224の回転を介して時車すなわち筒車226が回転するように構成される。一番時伝え車222は、上軸部222aと、下軸部222bと、かな部222cと、歯車部222dとを含む。かな部216cは歯車部222dと噛み合うように構成される。上軸部222aと、下軸部222bと、かな部222cは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部222dは黄銅などの金属で形成される。二番時伝え車224は、上軸部224aと、下軸部224bと、かな部224cと、歯車部224dとを含む。かな部222cは歯車部224dと噛み合うように構成される。上軸部224aと、下軸部224bと、かな部224cは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部224dは黄銅などの金属で形成される。時車すなわち筒車226は、筒状部226aと、歯車部226dとを含む。かな部224cは歯車部226dと噛み合うように構成される。筒車226は黄銅などの金属で形成される。
筒車226は12時間に1回転するように構成される。時針230が筒車226に取付けられる。筒車226の回転中心は分車256の回転中心と同じである。したがって、筒車226の回転中心と、分車256の回転中心と、秒車284の回転中心とは同じである。時針230は時表示部材を構成する。時表示部材として、時針を用いてもよいし、円盤を用いてもよいし、花又は幾何学的形状を含む他の形状の表示部材を用いてもよい。時表示輪列220は一番時伝え車222と、二番時伝え車224と、時車すなわち筒車226とを含む。時ロータ216、一番時伝え車222、二番時伝え車224は、地板102と輪列受112に対して、回転可能に支持される。時車すなわち筒車226は、分車256の外周部に接触して、回転可能に支持される。すなわち、時ロータ216の上軸部216aと、一番時伝え車222の上軸部222aと、二番時伝え車224の上軸部224aは、輪列受112に対して、回転可能に支持される。また、時ロータ216の下軸部216bと、一番時伝え車222の下軸部222bと、二番時伝え車224の下軸部224bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
時ロータ216の上軸部216aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、一番時伝え車222の上軸部222aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部と、二番時伝え車224の上軸部224aを回転可能に支持する輪列受112の軸受部には、潤滑油が注油される。時ロータ216の下軸部216bの軸受部と、一番時伝え車222の下軸部222bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、二番時伝え車224の下軸部224bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。輪列受112のそれぞれの軸受部、地板102のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。時車すなわち筒車226が回転することにより、日回し車(図示せず)が回転するように構成される。日回し車は、時車すなわち筒車226の回転により1日に1回転するように設けられる。日回し車に設けられた日回しつめ(図示せず)が、日車170を、1日に1歯づつ送るように構成される。
(10)筒車の構造
以下に説明する本発明の電鋳部品の製造方法を適用した実施の形態は、時計の時車すなわち筒車に関するものである。ここで、筒車は、筒部品付き電鋳部品を構成する。しかしながら、本発明の電鋳部品の製造方法は、機械式時計の部品に適用することもできるし、また、電子時計用の部品に適用することもできるし、他の機器に適用される筒部品付き電鋳部品に適用することもできる。すなわち、本発明の電鋳部品の製造方法は、時計の時車(すなわち筒車)だけでなく、時計の伝え車、修正車、表示車などの時計用輪列部品(歯車部を有する筒部品付き電鋳部品付き歯車部品)に広く適用することができる。さらに、本発明の電鋳部品の製造方法は、計測器、印刷機、映像機器、録音機器、記録機器などの輪列部品(歯車部を有する筒部品付き電鋳部品)等にも広く適用することができる。
図32および図33を参照すると、時車すなわち筒車226は筒部226cと、歯車プレート部226hとを含む。筒部226cは、上筒部226aと、下筒部226bと、上筒部226aと下筒部226bとの間に位置するフランジ部226fと、中心穴226hとを含む。歯車部226gを形成する前の歯車プレート部226hは、図26および図27について前述した本発明の電鋳部品の製造方法により形成することができる。筒部226cは、図26および図27における筒部品626に対応する。歯車部226hは、図27における電鋳金属部630に対応する。筒部226cのフランジ部226fは、電鋳金属部である歯車プレート部226hの中に配置されるのがよい。フランジ部226fを歯車プレート部226hの中に配置することにより、筒部226cと歯車プレート部226hとの間の接触面積を増やすことができ、筒部226cが歯車プレート部226hから抜けるのを阻止するだけでなく、筒部226cが歯車プレート部226hに対して回転するのを効果的に阻止することができる。すなわち、フランジ部226fは、筒部226cと一体に形成される歯車プレート部226hの中に位置するように構成された、筒部226cの抜け、及び/又は、筒部226cの回転を阻止するための輪郭形状を構成している。電鋳部品として、歯車部226gが未加工の歯車プレート部226hを形成したのち、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、歯車部226gを形成することができる。以上説明したように、本発明の電鋳部品の製造方法を適用したアナログ電子時計は、本発明の電鋳部品の製造方法によって製造された電鋳部品のうちの少なくとも1つ含むのが好ましい。
本発明の製造方法を用いることによって、微小な部品を備えた小型部品を、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造することができる。特に、本発明により、機械式時計の部品、アナログ電子時計用の部品を電鋳加工によって製造することができる。また、本発明の製造方法を用いることによって、簡単な工程からなる電鋳加工によって製造した電鋳部品を少なくとも1つ含む機械式時計、アナログ電子時計を提供することができる。
100 ムーブメント(機械体)
102 地板
112 輪列受
114 二番受
216 時ロータ
226 筒車
246 分ロータ
256 分車
276 秒ロータ
284 秒車
300 ムーブメント(機械体)
302 地板
320 香箱車
324 二番車
326 三番車
328 四番車
330 がんぎ車
342 アンクル
420 基板
420h エッチング穴
422 マスク
426 軸部品
426b 下軸部
428 外形形成用レジスト
430 電鋳金属部
520 基板
520h エッチング凹部
522 SiO2
524 アモルファスシリコン膜
526 マスク
530 金属の導電膜
532 外形形成用レジスト
540 電鋳金属部
542 つめ石付き電鋳部品
550 つめ石
620 基板
622 中央マスク
624 導電膜
626 筒部品
628 外形形成用レジスト
630 電鋳金属部

Claims (6)

  1. 電鋳部品の製造方法において、
    (あ)基板(620)の凸部(620h)を形成する工程と、
    (い)基板(620)の表面の導体化を行う工程と、
    (う)中空軸の構造をもつ筒部品(626)の中心穴(626h)の部分を基板(620)の凸部(620h)に配置する工程と、
    (え)基板(620)に外形形成用レジスト(628)をパターニングする工程と、
    (お)外形形成用レジスト(628)と筒部品(626)との間に電鋳金属部(630)を形成する工程とを含み、
    前記工程(あ)から前記工程(お)は、上記した順序にしたがって行われる、
    ことを特徴とする方法。
  2. 電鋳部品の製造方法において、
    (あ)基板(620)の凸部(620h)を形成する工程と、
    (い)基板(620)の表面の導体化を行う工程と、
    (う)基板(620)に外形形成用レジスト(628)をパターニングする工程と、
    (え)中空軸の構造をもつ筒部品(626)の中心穴(626h)の部分を基板(620)の凸部(620h)に配置する工程と、
    (お)外形形成用レジスト(628)と筒部品(626)との間に電鋳金属部(630)を形成する工程とを含み、
    前記工程(あ)から前記工程(お)は、上記した順序にしたがって行われる、
    ことを特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法において、前記筒部品(626)はフランジ部(626f)を有し、前記フランジ部(626f)は、前記電鋳金属部(630)の中に配置されることを特徴とする方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造されることを特徴とする筒部品付き電鋳部品。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含むことを特徴とする機械式時計。
  6. 請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含むことを特徴とするアナログ電子時計。
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