JP4530263B2 - アールを含む電鋳部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、部品の縁部のうちの一部にアールを含む電鋳部品の製造方法に関する。特に、本発明は、機械式時計用の縁部のうちの一部アールを含む部品を電鋳加工によって製造する製造方法と、その製造方法によって作られた機械式時計用の部品に関する。さらに、本発明は、前記製造方法によって作られた電鋳部品を少なくとも1つ含む機械式時計、および、前記製造方法によって作られた電鋳部品を少なくとも1つ含むアナログ電子時計に関する。
電鋳加工においては、電鋳型の形状を電鋳部品に精度良く転写するため、電鋳部品の縁部にアールを付けたい場合、電鋳型そのものにアールが付いている形状になるように電鋳型を作っている。或いは、電鋳部品の縁部にアールを付けたい場合、電鋳部品を電鋳加工した後、電鋳部品にバレル研磨などを行うことによって、電鋳部品の縁部にアールを付けていた。
第1のタイプの従来技術において、マイクロレンズの作製方法では、多角形の形状をなす開口を有するレセプタクルのアレイを形成し、このレセプタクルに硬化可能な液体を充填し、それによって、各レセプタクル内にメニスカスを形成している。次に、硬化した液体の表面にレンズ材料を塗布することによって、全体的に球面状をなす凸マイクロレンズのアレイ(配列)を形成している(特許文献1参照)。
第2のタイプの従来技術において、電鋳部品の製造方法は、一部が導電性を有する電鋳型上に非導電性材料をパターン化して電鋳型を形成する工程と、基台の導電性部上に電鋳部品を形成する工程と、非導電性材料を基台および電鋳部品から除去する工程と、電鋳部品を基台から分離する工程とを有している。すなわち、この方法では、ガラス電鋳型上にニッケル導電膜を形成し、非導電性のマスクパターニング(レジスト)を行い、ニッケル電鋳を行い、レジストリムーブの後、超音波、水圧、空圧などを用いて電鋳部品を基台から分離している(特許文献2参照)。
第3のタイプの従来技術では、アンクルの基型を作り、この基型を樹脂製の電鋳型に転写して母型を作り、樹脂製の電鋳型の全面に導電膜を作り、電鋳加工により時計のアンクルを形成している(特許文献3参照)。
さらに、従来の電鋳加工の工程では、母型を作り、母型が導体の場合には、表面に離型処理をして電着工程に入り、母型が不導体の場合には、母型表面を導体化してから離型処理をして電着工程に入り、所要厚さまで電着した後、電鋳部品を母型から剥離している(非特許文献1参照)。
特表平8−503171号公報(第8〜11頁、図1〜図6) 特開2001−254193号公報(第2〜4頁、第1図〜第3図) 特開昭48−44138号公報(第2〜4頁、第4図) 佐藤敏一著、「特殊加工」、第235〜261頁、1981年第1版発行、1997年第8版発行、養賢堂
第1のタイプの従来技術は、硬化した液体の表面が、その液体の表面張力によって球面状になり、ストレート部分を残すことができないという課題があった。第2のタイプの従来技術、第3のタイプの従来技術、第4のタイプの従来技術を用いて電鋳型にアールを付けたとき、アールの形状を変える必要がある場合、或いは、アールを付けるべき領域が変わる場合、その都度、電鋳型を新規に作らなければならないという課題があった。また、このようなタイプの従来技術では、電鋳部品にバレル研磨などを行う場合、電鋳部品の一部の縁部にアールを付けたくない場合でも、電鋳部品の全ての縁部にアールが付いてしまうという課題があった。
本発明の目的は、電鋳型を新規に製作することなしに、電鋳部品の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けることが可能な電鋳部品の製造方法を提供することにある。
本発明は、電鋳部品の製造方法において、(あ)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティを形成した電鋳型を準備する工程と、(い)電鋳型のキャビティの中で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分にアール形成用の硬化剤を付ける工程と、(う)電鋳型に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行い、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティを形成する工程と、(え)型キャビティの内部を除いて、金属薄膜の表面にレジストを設ける工程と、(お)電鋳型に電鋳加工を行い、型キャビティの中に電鋳部品を形成する工程と、(か)電鋳部品を型キャビティから取り出す工程とを含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、電鋳型を新規に製作することなしに、電鋳部品の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けることができる。上記方法において、前記硬化剤は、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマー、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂などの紫外線硬化樹脂からなる群から選択されるのが好ましい。
また、本発明は、電鋳部品の製造方法において、(a)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティを形成した電鋳型を準備する工程と、(b)電鋳型に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う工程と、(c)電鋳型のキャビティの中で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分にアール形成用の導電性の硬化剤を付けて、型キャビティを形成する工程と、(d)型キャビティの内部を除いて、金属薄膜の表面にレジストを設ける工程と、(e)電鋳型に電鋳加工を行い、型キャビティの中に電鋳部品を形成する工程と、(か)電鋳部品を型キャビティから取り出す工程とを含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、電鋳型を新規に製作することなしに、電鋳部品の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けることができる。上記方法において、前記導電性の硬化剤は、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーからなる群から選択されるのが好ましい。
更に、本発明は、上記いずれかの方法によって製造された電鋳部品を提供することができる。さらに、本発明は、時計用の輪列部品において、上記のいずれかの方法によって製造された「歯車」と、前記歯車に固定された「かな(かな:ピニオン歯車部)」とを含むことを特徴とする。すなわち、本明細書において「かな」とは、小歯車(ピニオン)を意味する。この方法を用いることにより、電鋳型を新規に製作することなしに、歯車の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けた時計用の輪列部品を製造することができる。
さらに、本発明は、時計用のアンクルにおいて、上記のいずれかの方法によって製造された「アンクル体」と、前記アンクル体に固定された「入りつめ石」および「出つめ石」と、前記アンクル体に取付けられた「剣先」とを含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、電鋳型を新規に製作することなしに、アンクル体の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けた時計用のアンクルを製造することができる。さらに、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含む機械式時計を提供することができる。さらに、本発明により、上記のいずれかの方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含むアナログ電子時計を提供することができる。
本発明の製造方法により、アール形状をもたない電鋳型を作製した後、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分に導電性液体、又は、レジストなどを付けるだけで、容易に電鋳部品の縁部にアール形状の付加を行うことができる。また、本発明の製造方法を用いると、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分にのみ導電性液体、又は、レジストなどを付けることによって、選択的に電鋳部品の縁部にアール形状を付けることが可能になる。また、本発明の製造方法では、導電性液体、又は、レジストなどを付ける量を調整することによって、電鋳部品の縁部のアール形状の大きさをコントロールすることができる。さらに、本発明の製造方法においては、導電性液体、又は、レジストを電鋳型から剥離することが可能であるので、電鋳部品の縁部のアール形状の大きさを変えたい場合や、電鋳部品の縁部でアール形状を付ける箇所を変えたい場合でも、電鋳型を再度新規に作製する必要はない。すなわち、本発明の製造方法を用いると、電鋳型を新規に製作することなしに、電鋳部品の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けることができる。さらに、本発明の製造方法を用いると、電鋳部品の縁部にアールを付けるための機械加工を行う工程を削除することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(1)電鋳部品の製造方法
図1を参照して、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態について説明する。図1(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる電鋳型420を準備する(工程401)。電鋳型420を構成する材料は、シリコン、ガラス、プラスチックなどである。電鋳部品を形成するためのキャビティ420cが電鋳型420の上面に形成される。キャビティ420cは、側壁420dと、底面420eとにより構成される。電鋳型420の大きさは、例えば、2インチ(約50mm)〜8インチ(約200mm)の範囲であるのが好ましい。電鋳型420の厚さは、電鋳型420の大きさによって異なるが、例えば4インチシリコン基板の場合、300μm〜625μmの厚さのものが用いられる。
図1(b)を参照すると、電鋳型420のキャビティ420cの側壁420dと底面420eの交差部で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する前記交差部の部分に導電性液体、又は、レジストなどのアール形成用の硬化剤422を付ける(工程402)。導電性液体として、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーなどを用いることができる。レジストとして、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂などの紫外線硬化樹脂などを用いることができる。すなわち、前記硬化剤422は、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマー、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、シリコン系樹脂などの紫外線硬化樹脂からなる群から選択されるのが好ましい。アール形成用の硬化剤422は、マイクロシリンジ、ピペット、のようなアプリケータなどを用いて、キャビティ420cの中の必要な箇所に付けることができる。
電鋳型420の表面が疎水性である場合、電鋳型420の表面を親水性になるように処理するのがよい。この処理は、例えば、界面活性剤への浸漬である。電鋳型420の表面を親水性にした後、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する前記交差部の部分にアール形成用の硬化剤422を付けると、アール形成用の硬化剤422の表面張力によって、アール形成用の硬化剤422の表面は円弧状になる。その後、付けたアール形成用の硬化剤422を放置して硬化させ、或いは、アール形成用の硬化剤422を加熱して硬化させる。
図1(c)を参照すると、電鋳型420の表面上と、キャビティ420cの側壁420dおよび底面420eの表面上と、電鋳型420のキャビティ420cの一部に付けた硬化剤422の円弧状表面上とに金属薄膜424を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う(工程403)。この工程403において形成する金属薄膜424は、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどで構成することができる。金属薄膜424の付着は、スパッタリング、蒸着、無電解めっきなどの方法により行うことができる。金属薄膜424の膜厚は、数nm(不連続膜)〜数μmの範囲であるのが好ましい。金属薄膜424を形成すると、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティ420fが形成される。図1(d)を参照すると、型キャビティ420fの内部を除いて、金属薄膜424の表面(すなわち、上面)にレジスト428を設ける(工程404)。図1(e)を参照すると、電鋳型420に電鋳加工を行い、型キャビティ420fの中に電鋳部品430を形成する(工程405)。機械部品を形成する場合において、電鋳部品430を形成する電鋳金属は、例えば、歯車などの構造物に使用する場合、摺動性を考慮し、硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、電鋳部品430を形成する電鋳金属は、装飾性が高い構造物に使用する場合、金、銀、銅、ニッケル、クロム、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、構造物の内面を硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成し、構造物の表面を硬度が低い錫、亜鉛、およびこれらを含む合金などで構成するように、特性が異なる二種以上の金属又は合金で電鋳部品430を構成することができる。また、電鋳部品430は、構造物の表面と内面で金属の組成が異なる合金などで構成することができる。図1(f)を参照すると、電鋳部品430を電鋳型420の型キャビティ420fから取り出す(工程406)。上述した電鋳加工によって作製された電鋳部品430には、下面の1つの縁部だけにアール部430bが形成されている。
本発明の方法では、前記工程402を行った後に前記工程403を行ってもよいし、或いは、変形例として、これらの工程を行う順番を逆にして、前記工程403を行った後に前記工程402を行ってもよい。以下の説明は、本発明の変形例の実施形態が、図1に関して上述した実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、図1に関して上述した実施形態についての説明をここに準用する。
図3(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる電鋳型420を準備する(工程401b)。図3(b)を参照すると、電鋳型420の表面上と、キャビティ420cの側壁420dおよび底面420eの表面上とに金属薄膜424hを形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う(工程402b)。
図3(c)を参照すると、電鋳型420のキャビティ420cの側壁420d上の金属薄膜424hと、底面420e上の金属薄膜424hとの交差部で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する前記交差部の部分にアール形成用の導電性の硬化剤422を付ける(工程403b)。アール形成用の導電性の硬化剤422hとして、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーなどを用いることができる。すなわち、前記導電性の硬化剤422hは、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーからなる群から選択されるのが好ましい。この変形例では、型キャビティ420hの一部は、前記導電性の硬化剤422hの円弧状部分によって形成される。したがって、電鋳部品の形状は、金属薄膜424hの形状と、アール形成用の硬化剤422hの円弧状部分の形状とによって定められる。
図3(d)を参照すると、型キャビティ420hの内部を除いて、金属薄膜424hの表面(すなわち、上面)にレジスト428hを設ける(工程404b)。図3(e)を参照すると、電鋳型420に電鋳加工を行い、型キャビティ420hの中に電鋳部品430cを形成する(工程405b)。図3(f)を参照すると、電鋳部品430cを電鋳型420の型キャビティ420hから取り出す(工程406b)。上述した電鋳加工によって作製された電鋳部品430cには、下面の1つの縁部だけにアール部430dが形成されている。
次に、図4を参照して、電鋳加工の具体的な方法を説明する。図4(a)を参照すると、電鋳すべき金属材料により電鋳液を選ぶ必要があり、例えば、ニッケル電鋳加工ではスルファミン酸浴、ワット浴、硫酸浴などが用いられる。スルファミン酸浴を用いてニッケル電鋳を行う場合は、電鋳加工用の処理槽740の中にスルファミン酸ニッケル水和塩を主成分とするスルファミン酸浴電鋳液742を入れる。電鋳すべき金属材料からなる陽極電極744をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。例えば、陽極電極744は、電鋳すべき金属材料からなるボールを複数用意し、この金属ボールをチタン等で作った金属製のかごの中に入れることにより構成することができる。電鋳加工を行うべき電鋳型748をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。図4(b)を参照すると、電鋳型748を電源760の陰極に接続し、陽極電極744を電源760の陽極に接続すると、陽極電極744を構成する金属がイオン化してスルファミン酸浴中を移動し、電鋳型748の型キャビティ748f上に金属として析出する。配管(図示せず)を介して弁(図示せず)を処理槽740に接続することができる。濾過用フィルタを配管に設け、処理槽740から排出されるスルファミン酸浴を濾過することができる。濾過されたスルファミン酸浴は、注入用配管(図示せず)から処理槽740の中に戻すことができる。
本発明の製造方法においては、導電性液体、又は、レジストなどの硬化剤422を電鋳型420から剥離することが可能である。したがって、電鋳部品430の縁部のアール形状の大きさを変えたい場合や、電鋳部品430の縁部でアール形状を付ける箇所を変えたい場合でも、電鋳型420を再度新規に作製する必要はない。さらに、本発明の製造方法を用いると、電鋳部品430の縁部にアールを付けるためのバレル加工、或いは、機械加工などを削除することができる。
(2)電鋳部品の構造
図2(a)を参照すると、前述した工程402において、電鋳型420の側壁420dと底面420eの4つの交差部のうちの1つの交差部に硬化剤422を付けると、電鋳部品432には、下面の1つの縁部だけにアール部432bが形成される。図2(b)を参照すると、前述した工程402において、電鋳型420の側壁420dと底面420eの4つの交差部のうちの交差部の平行な2つの交差部に硬化剤422を付けると、電鋳部品434には、下面の平行な2つの縁部にアール部434b、434cが形成される。図2(c)を参照すると、前述した工程402において、電鋳型420の側壁420dと底面420eの4つの交差部の全てに硬化剤422を付けると、電鋳部品436には、下面の4つの縁部の全てにアール部436b、436c、436d、436eが形成される。さらに、硬化剤422を付ける量を変化させたり、或いは、硬化剤422を複数回付けることによって、電鋳部品に形成するアールの大きさを調整することができる。
(3)機械式時計の構造
次に、本発明の電鋳部品を適用した機械式時計の実施の形態について説明する。図5〜図7を参照すると、機械式時計において、機械式時計のムーブメント(機械体)300は、ムーブメントの基板を構成する地板302を有する。巻真310が、地板302の巻真案内穴302aに回転可能に組み込まれる。文字板304(図26に仮想線で示す)がムーブメント300に取付けられる。一般に、地板の両側のうちで、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称し、文字板のある方の側と反対側をムーブメントの「表側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称し、ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。おしどり390、かんぬき392、かんぬきばね394、裏押さえ396を含む切換装置により、巻真310の軸線方向の位置を決める。きち車312が巻真310の案内軸部に回転可能に設けられる。巻真310が、回転軸線方向に沿ってムーブメントの内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真310を回転させると、つづみ車の回転を介してきち車312が回転する。丸穴車314が、きち車312の回転により回転する。角穴車316が、丸穴車314の回転により回転する。角穴車316が回転することにより、香箱車320に収容されたぜんまい322を巻き上げる。二番車324が、香箱車320の回転により回転する。がんぎ車330が、四番車328、三番車326、二番車324の回転を介して回転する。香箱車320、二番車324、三番車326、四番車328は表輪列を構成する。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、てんぷ340と、がんぎ車330と、アンクル342とを含む。てんぷ340は、てん真340aと、てん輪340bと、ひげぜんまい340cとを含む。二番車324の回転に基づいて、筒かな350が同時に回転する。筒かな350に取付けられた分針352が「分」を表示する。筒かな350には、二番車324に対するスリップ機構が設けられる。筒かな350の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して、筒車354が回転する。筒車354に取付けられた時針356が「時」を表示する。ひげぜんまい340cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい340cの内端部は、てん真340aに固定されたひげ玉340dに固定され、ひげぜんまい340cの外端部は、てんぷ受366に固定されたひげ持受370に取り付けたひげ持370aを介してねじ締めにより固定される。緩急針368が、てんぷ受366に回転可能に取付けられている。ひげ受1340とひげ棒1342が、緩急針368に取付けられている。ひげぜんまい340cの外端部に近い部分は、ひげ受1340とひげ棒1342との間に位置する。てんぷ340は、地板302及びてんぷ受366に対して回転可能なように支持される。
香箱車320は、香箱歯車320dと、香箱真320f、ぜんまい322とを備える。香箱真320fは、上軸部320aと、下軸部320bとを含む。香箱真320fは、炭素鋼などの金属で形成される。香箱歯車320dは黄銅などの金属で形成される。二番車324は、上軸部324aと、下軸部324bと、かな部324cと、歯車部324dと、そろばん玉部324hとを含む。二番車324のかな部324cは香箱歯車320dと噛み合うように構成される。上軸部324aと、下軸部324bと、そろばん玉部324bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部324dは黄銅などの金属で形成される。三番車326は、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cと、歯車部326dとを含む。三番車326のかな部326cは歯車部324dと噛み合うように構成される。四番車328は、上軸部328aと、下軸部328bと、かな部328cと、歯車部328dとを含む。四番車328のかな部328cは歯車部326dと噛み合うように構成される。上軸部328aと、下軸部328bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部328dは黄銅などの金属で形成される。がんぎ車330は、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部330cと、歯車部330dとを含む。がんぎ車330のかな部330cは歯車部328dと噛み合うように構成される。アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fとを備える。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。
香箱車320は、地板302及び香箱受360に対して回転可能なように支持される。すなわち、香箱真320fの上軸部320aは、香箱受360に対して回転可能なように支持される。香箱真320fの下軸部320bは、地板302に対して、回転可能に支持される。二番車324、三番車326、四番車328、がんぎ車330は、地板302及び輪列受362に対して回転可能なように支持される。すなわち、二番車324の上軸部324a、三番車326の上軸部326a、四番車328の上軸部328a、がんぎ車330の上軸部330aは、輪列受362に対して回転可能なように支持される。また、二番車324の下軸部324b、三番車326の下軸部326b、四番車328の下軸部328b、がんぎ車330の下軸部330bは、地板302に対して、回転可能に支持される。アンクル342は、地板302及びアンクル受364に対して回転可能なように支持される。すなわち、アンクル342の上軸部342aは、アンクル受364に対して回転可能なように支持される。アンクル342の下軸部342bは、地板302に対して、回転可能に支持される。
香箱真320fの上軸部320aを回転可能に支持する香箱受360の軸受部と、二番車324の上軸部324aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、三番車326の上軸部326aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、四番車328の上軸部328aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、がんぎ車330の上軸部330aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、アンクル342の上軸部342aを回転可能に支持するアンクル受364の軸受部には、潤滑油が注油される。秒ロータ276の下軸部276bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、香箱真320fの下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、二番車324の下軸部324bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、三番車326の下軸部326bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、四番車328の下軸部328bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、がんぎ車330の下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、アンクル342の下軸部342bを回転可能に支持する地板302の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。地板302のそれぞれの軸受部、香箱受360の軸受部、輪列受362のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。地板302、香箱受360、輪列受362、アンクル受364は、黄銅などの金属で形成してもよいし、ポリ−カーボネートなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。
(4)三番車の製造方法と構造
図8〜図10を参照すると、本発明の実施形態において、三番車326は、三番かな(かな:ピニオン歯車部)326fと、三番歯車326gとを含む。三番歯車326gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは150μm〜250μmである。三番かな326fは、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cとを含む。三番歯車326gは、中心支持部326hと、あみだ部326jと、歯車部326dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部326jは5本である。あみだ部326jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。或いは、あみだ部326jを設けなくてもよい。三番かな326fは、炭素鋼などの金属で形成される。三番歯車326gはニッケルなどの金属で形成される。
電鋳型420を用いて、三番歯車326gを電鋳加工する。三番歯車326gを形成する場合、電鋳する金属は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。三番歯車326gに複数のあみだ部326jが設けられる。この構成では、隣接する2つのあみだ部326jの間に位置する三番歯車326gの窓部326mに対応する電鋳型420の領域に、厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して、あみだ部形成用レジスト(図示せず)をパターニングする。あみだ部形成用レジストの厚さは、三番歯車326gの厚さより大きくなるように設定する。三番歯車326gの厚さが200μmである場合、あみだ部形成用レジストの厚さは、200μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。
本発明の方法を用いることにより、三番歯車326gの窓部326mの一方の面の縁部の一部又は全部にアールを形成することができる。すなわち、前述した工程102において、三番歯車326gの窓部326mのアールを付けたい箇所に対応する部分に硬化剤122を付ける。例えば、三番歯車326gの窓部326mの上面すべてにアールを付けることができる。歯車部326dが未加工の三番車326を電鋳加工した後、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、三番歯車326gの歯車部326dを形成することができる。三番かな326fは旋盤加工などにより形成することができる。歯車部326dを形成した三番歯車326gに三番かな326fを固定して三番車326を製造することができる。以上のように、本発明の実施形態を三番車について説明したけれども、本発明は三番車だけでなく、二番車、四番車、五番車、伝え車、日の裏車、修正車などの各種の輪列部材にも応用することができる。
(5)がんぎ車の製造方法と構造
図11〜図13を参照すると、本発明の実施形態において、がんぎ車330は、がんぎかな(かな:ピニオン歯車部)330fと、がんぎ歯車330gとを含む。がんぎ歯車330gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。がんぎかな330fは、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部(ピニオン歯車部)330cとを含む。がんぎ歯車330gは、中心支持部330hと、あみだ部330jと、歯車部(すなわち、アンクルのつめ石と接触して作動する部分)330dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部330jは4本である。あみだ部330jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。がんぎかな330fは、炭素鋼などの金属で形成される。がんぎ歯車330gはニッケルなどの金属で形成される。がんぎ歯車330gの隣接する2つのあみだ部330jの間に位置するがんぎ歯車330gの窓部330mに対応する電鋳型120の領域に、厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して、あみだ部形成用レジスト(図示せず)をパターニングする。あみだ部形成用レジストの厚さは、がんぎ歯車330gの厚さより大きくなるように設定する。がんぎ歯車330gの厚さが100μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μmである場合、外形形成用レジスト128の厚さは、がんぎ歯車330gの厚さと同一であるか、或いは、がんぎ歯車330gの厚さより厚くて、がんぎ歯車330gの厚さに500μmを加えた厚さまでの厚さの範囲とするのが好ましい。
本発明の方法を用いることにより、がんぎ歯車330gの窓部330mの一方の面の縁部の一部又は全部にアールを形成することができる。すなわち、前述した工程102において、がんぎ歯車330gの窓部330mのアールを付けたい箇所に対応する部分に硬化剤122を付ける。例えば、がんぎ歯車330gの窓部330mの上面すべてにアールを付けることができる。歯車部330dが未加工のがんぎ車330を電鋳加工した後、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、がんぎ歯車330gの歯車部330dを形成することができる。さらに、図示するように、がんぎ歯車330gの最外周部に斜面部330kを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部330kを形成することができる。がんぎかな330fは旋盤加工などにより形成することができる。歯車部330dを形成したがんぎ歯車330gにがんぎかな330fを固定してがんぎ車330を製造することができる。さらに、上記斜面部330kを設ける代わりに、本発明の方法を用いて、アール部を形成することもできる。
(6)アンクルの製造方法と構造
図14〜図16を参照すると、本発明の実施形態において、アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fと、剣先342gと、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石342jおよび出つめ石342kとを備える。アンクル体342dの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。アンクル体342dは、ニッケルなどの金属で形成される。アンクル真342fは炭素鋼などの金属で形成される。アンクル真342fは、炭素鋼などの金属で形成される。アンクル体342dは、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。本発明の方法を用いることにより、アンクル体342dの外形部の一方の面の縁部の一部又は全部にアールを形成することができる。すなわち、前述した工程102において、アンクル体342dの外形部の一方の面の縁部のうちでアールを付けたい箇所に対応する部分に硬化剤122を付ける。例えば、入りつめ石342jおよび出つめ石342kを取付ける部分を除き、アンクル体342dの上面すべてにアールを付けることができる。
剣先およびつめ石がないアンクル体342dを電鋳加工したのち、二次加工として、アンクル体342dに、入りつめ石342jおよび出つめ石342kを接着などによって固定することができる。さらに、二次加工として、アンクル体342dに、剣先342gを取付けることができる。剣先342gは、剣先軸部342hをアンクル体342dに嵌めこむことによって固定することもできるし、剣先軸部342hをアンクル体342dに接着することによって固定することもできる。さらに、図示するように、アンクル体342dの剣先342gに隣接する部分に斜面部342mを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部342mを形成することができる。以上説明したように、本発明の電鋳部品の製造方法を適用した機械式時計は、本発明の電鋳部品の製造方法によって製造された電鋳部品のうちの少なくとも1つ含むのが好ましい。
(7)アナログ電子時計の構造
以下に説明する本発明の電鋳部品の製造方法を適用した実施の形態は、輪列を有する時計、すなわち、アナログ電子時計に関するものである。しかしながら、本発明の電鋳部品の製造方法は、アナログ電子時計に限定されるものでなく、計測器、印刷機、映像機器、録音機器、記録機器などの輪列を構成する部材等に広く適用することができる。図17を参照すると、アナログ電子時計のムーブメント(機械体)100は、ムーブメントの基板を構成する地板102を有する。巻真110が、地板102の巻真案内穴に回転可能に組み込まれる。文字板(図示せず)がムーブメント100に取付けられる。ムーブメント100は、巻真110の軸線方向の位置を決めるための切換ばね166を備える。ムーブメント100の「表側」には、電池120、回路ブロック116、時モータ210、時表示輪列220、分モータ240、分表示輪列250、秒モータ270、秒表示輪列280などが配置される。地板102、輪列受112、二番受114は支持部材を構成する。時モータ210の回転により時表示輪列220が回転して、時針230により現在の時刻のうちの「時」を表示するように構成される。分モータ240の回転により分表示輪列250が回転して、分針260により現在の時刻のうちの「分」を表示するように構成される。秒モータ270の回転により秒表示輪列280が回転して、秒針290により現在の時刻のうちの「秒」を表示するように構成される。IC118と水晶振動子122とが、回路ブロック116に取り付けられる。回路ブロック116は、絶縁板160を介してスイッチばね162により、地板102および輪列受112に対して固定される。切換ばね166は、スイッチばね162に一体形成される。電池120はアナログ電子時計の動力源を構成する。アナログ電子時計の動力源として、充電可能な二次電池を用いることもできるし、充電可能なコンデンサを用いることもできる。水晶振動子122は、アナログ電子時計の源振を構成し、例えば、32,768ヘルツで発振する。
秒モータ270は、秒コイルブロック272と、秒ステータ274と、秒ロータ276とを含む。秒コイルブロック272が秒モータ駆動信号を入力すると、秒ステータ274が磁化して、秒ロータ276を回転させる。秒ロータ276は、例えば、1秒ごとに180度回転するように構成される。秒ロータ276の回転に基づいて、秒伝え車282の回転を介して秒車284が回転するように構成される。秒車284は1分間に1回転するように構成される。秒針(図示せず)が秒車284に取付けられる。電池マイナス端子170が地板102に取り付けられる。電池マイナス端子170は、回路ブロック116のマイナスパターンを介して電池120の陰極とIC118のマイナス入力部Vssとを導通させる。電池押え172がスイッチばね162に取り付けられる。電池押え172およびスイッチばね162は、回路ブロック116のプラスパターンを介して電池120の陽極とIC118のプラス入力部Vddとを導通させる。分モータ240は、分コイルブロック242と、分ステータ244と、分ロータ246とを含む。分コイルブロック242が分モータ駆動信号を入力すると、分ステータ244が磁化して、分ロータ246を回転させる。分ロータ246は、例えば、20秒ごとに180度回転するように構成される。分ロータ246の回転に基づいて一番分伝え車252が回転し、一番分伝え車252の回転に基づいて二番分伝え車254を介して分車256が回転するように構成される。分車256は1時間に1回転するように構成される。分針(図示せず)が分車256に取付けられる。分車256の回転中心は秒車284の回転中心と同じである。
時モータ210は、時コイルブロック212と、時ステータ214と、時ロータ216とを含む。時コイルブロック212が時モータ駆動信号を入力すると、時ステータ214が磁化して、時ロータ216を回転させる。時ロータ216は、例えば、20分ごとに180度回転するように構成される。時ロータ216の回転に基づいて、一番時伝え車222が回転する。一番時伝え車222の回転に基づいて、二番時伝え車224の回転を介して時車すなわち筒車(図示せず)が回転するように構成される。筒車は12時間に1回転するように構成される。時針(図示せず)が筒車に取付けられる。筒車の回転中心は分車256の回転中心と同じである。したがって、筒車の回転中心と、分車256の回転中心と、秒車284の回転中心とは同じである。本発明の電鋳部品の製造方法は、アナログ電子時計の輪列を構成する種々の部品(秒伝え車282、秒車284、一番時伝え車222、二番時伝え車224、一番分伝え車252、二番分伝え車254など)に適用することができる。以上説明したように、本発明の電鋳部品の製造方法を適用したアナログ電子時計は、本発明の電鋳部品の製造方法によって製造された電鋳部品のうちの少なくとも1つ含むのが好ましい。
本発明の製造方法を用いることによって、電鋳型を新規に製作することなしに、電鋳部品の縁部のうちで必要な箇所だけにアールを付けることができる。さらに、本発明により、機械式時計用の輪列部品、がんぎ車、アンクルなどを電鋳加工によって製造することができる。
図1は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、製造工程を説明する原理図である。 図2は、本発明の電鋳部品の概略形状を示す斜視図である。 図3は、本発明の電鋳部品の製造方法の変形例の実施形態において、製造工程を説明する原理図である。 図4は、電鋳加工の概略を説明する原理図である。 図5は、本発明の実施形態において、ムーブメントの表側の概略形状を示す平面図である(図5では、一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している)。 図6は、本発明の実施形態において、香箱からアンクルの部分を示す概略部分断面図である。 図7は、本発明の実施形態において、がんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。 図8は、本発明の実施形態において、三番車を示す上面図である。 図9は、本発明の実施形態において、三番車を示す側面図である。 図10は、本発明の実施形態において、三番車を示す斜視図である。 図11は、本発明の実施形態において、がんぎ車を示す上面図である。 図12は、本発明の実施形態において、がんぎ車を示す側面図である。 図13は、本発明の実施形態において、がんぎ車を示す斜視図である。 図14は、本発明の実施形態において、アンクルを示す上面図である。 図15は、本発明の実施形態において、、アンクルを示す側面図である。 図16は、本発明の実施形態において、、アンクルを示す斜視図である。 図17は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳部品を適用したアナログ電子時計のムーブメントを表側から見た概略形状を示す平面図である(図17では、一部の部品を省略している)。
符号の説明
300 ムーブメント(機械体)
302 地板
320 香箱車
324 二番車
326 三番車
328 四番車
330 がんぎ車
342 アンクル
420 電鋳型
420c キャビティ
420d 側壁
420e 底面
420f 型キャビティ
422 硬化剤
424 金属薄膜
428 レジスト
430 電鋳部品

Claims (9)

  1. 電鋳部品の製造方法において、
    (あ)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティ(420c)を形成した電鋳型(420)を準備する工程と、
    (い)電鋳型(420)のキャビティ(420c)の中で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分にアール形成用の硬化剤(422)を付ける工程と、
    (う)電鋳型(420)に金属薄膜(424)を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行い、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティ(420f)を形成する工程と、
    (え)型キャビティ(420f)の内部を除いて、金属薄膜(424)の表面にレジスト(428)を設ける工程と、
    (お)電鋳型(420)に電鋳加工を行い、型キャビティ(420f)の中に電鋳部品(430)を形成する工程と、
    (か)電鋳部品(430)を型キャビティ(420f)から取り出す工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載されている方法において、前記硬化剤は、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーからなる群から選択されることを特徴とする方法。
  3. 電鋳部品の製造方法において、
    (a)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティ(420c)を形成した電鋳型(420)を準備する工程と、
    (b)電鋳型(420)に金属薄膜(424h)を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う工程と、
    (c)電鋳型(420)のキャビティの中で、電鋳部品のアールを付けたい縁部に対応する部分にアール形成用の導電性の硬化剤(422h)を付けて、型キャビティ(420h)を形成する工程と、
    (d)型キャビティ(420h)の内部を除いて、金属薄膜(424h)の表面にレジスト(428h)を設ける工程と、
    (e)電鋳型(420)に電鋳加工を行い、型キャビティ(420h)の中に電鋳部品(130c)を形成する工程と、
    (か)電鋳部品(430c)を型キャビティ(420h)から取り出す工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項3に記載されている方法において、前記導電性の硬化剤(422h)は、銀塗料、黒鉛塗料、ニッケル塗料、銅塗料などの導電性塗料、銀ペーストなどの導電性ペースト、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの導電性ポリマーからなる群から選択されることを特徴とする方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載されている方法によって製造されることを特徴とする電鋳部品。
  6. 時計用の輪列部品において、請求項1から4のいずれか1項に記載されている方法によって製造された「歯車」と、前記歯車に固定された「かな」とを含むことを特徴とする輪列部品。
  7. 時計用のアンクルにおいて、請求項1から4のいずれか1項に記載されている方法によって製造された「アンクル体(342d)」と、前記アンクル体(342d)に固定された「入りつめ石(342j)」および「出つめ石(342k)」と、前記アンクル体(342d)に取付けられた「剣先(342g)」とを含むことを特徴とするアンクル。
  8. 請求項1から4のいずれか1項に記載されている方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含むことを特徴とする機械式時計。
  9. 請求項1から4のいずれか1項に記載されている方法によって製造された電鋳部品を少なくとも1つ含むことを特徴とするアナログ電子時計。
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