JP6234851B2 - ひげ玉、てんぷ、ムーブメント及び時計、並びにてんぷ製造方法 - Google Patents
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Description
第7の発明は、ムーブメントであって、上記第6の発明であるてんぷを備えるという構成を採用する。
第8の発明は、時計であって、上記第7の発明であるムーブメントを備えるという構成を採用する。
これらの発明によれば、本発明のひげ玉を備えていることから、ひげ玉の治具挿入部にひげ玉回し治具を差し込んで、てん真に対してひげ玉を回転させることができる。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。
図1に示すように、時計1のコンプリート1aは、時に関する情報を示す目盛り3などをもつ文字板2と、時を示す時針4a、分を示す分針4bおよび秒を示す秒針4cを含む針4と、を備えている。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針4a(図1参照)が「時」を表示するようになっている。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんぷ10は、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
以下に、てんぷ10の構造について詳細に説明する。
図3は、ムーブメント100(図2参照)の表側からてんぷ10を軸方向に見たときの平面図である。なお、図3において、ひげ持106を二点鎖線で図示している。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。なお、図4において、地板102を挟んで紙面上側がムーブメント100(図2参照)の表側となっており、地板102を挟んで紙面下側がムーブメント100の裏側となっている。また、地板102、てんぷ受104およびひげ持106を二点鎖線で図示している。
図3に示すように、てんぷ10は、主にてん輪20と、てん真30と、ひげぜんまい40と、ひげ玉50とを備えている。
てん輪20は、例えば真鍮等の金属により形成されており、略円環状に形成されたてん輪本体部21を備えている。てん輪本体部21の中心軸は、てんぷ10の回転中心である中心軸Oと一致している。
てん輪本体部21の内周面21aからは、中心軸Oに向かって径方向に沿うように四本のアーム部23(23a〜23d)が延設されている。四本のアーム部23a〜23dは、てん輪本体部21の周方向に90°ピッチとなるように、略等間隔に形成されている。
四本のアーム部23a〜23dは、てん輪本体部21の内周面21aから中心軸Oに向かうに従って漸次幅が広くなるように形成されており、中心軸O近傍で連結されている。
図4に示すように、四本のアーム部23a〜23dの連結部25には、中心軸Oと同軸の嵌合孔25aが形成されている。
てんぷ10は、中心軸Oと同軸上に、てん真30を備えている。てん真30は、例えば真鍮等の金属により形成された棒状の部材である。
てん真30は、軸方向の両端に、先細りに形成されたほぞ31(31a,31b)を備えている。てん真30は、一方のほぞ31aがてんぷ受104に不図示の軸受けを介して枢支され、他方のほぞ31bが地板102に不図示の軸受けを介して枢支されることにより、中心軸Oまわりに回転可能となっている。
てん真30には、軸方向における略中央に、てん輪20の嵌合孔25aが外嵌圧入されている。これにより、てん輪20とてん真30とが一体化されている。
図4に示すように、てんぷ10は、てん輪20よりもてんぷ受104側(図4における上側)に、ひげぜんまい40を備えている。
図5は、ひげぜんまい40の説明図である。なお、図5では、中心軸Oを原点とした極座標上にひげぜんまい40を図示している。また、アルキメデス曲線X、てん真30および後述するひげ玉50を二点鎖線で図示している。
ひげぜんまい本体41は、いわゆるアルキメデス曲線Xに沿うように形成されている。
アルキメデス曲線Xは、極座標系において、
r=aθ(aは定数)・・・(1)
により得られる曲線である。
ひげぜんまい本体41がアルキメデス曲線Xに沿うように形成されることで、軸方向から見たときに、ひげぜんまい本体41が渦巻状にかつ径方向に略等間隔に隣り合うように配置される。
図6は、軸方向から見たときの第1実施形態のひげ玉50の平面図である。なお、図6では、紙面表側がてんぷ受104(図4参照)側となっており、紙面裏側が地板102(図4参照)側となっている。また、図6では、てん真30およびひげぜんまい40を二点鎖線で図示している。
図7は、図6のB−B線に沿った断面図である。なお、図7では、紙面上側がてんぷ受104(図4参照)側となっており、紙面下側が地板102(図4参照)側となっている。また、図6および図7において、後述する本体部51と支持部55との境界を一点鎖線で図示している。
本体部51は、全周にわたって径方向に一定の幅を有しており、中央に開口53を有している。開口53は、本体部51の外形に対応して、第一方向Fに長軸を有し、第二方向Sに短軸を有する略楕円形状に形成されている。本体部51は、開口53により、てん真30に対して外嵌可能に形成されている。
溶接面57には、ひげぜんまい40のひげぜんまい本体41のうち、内周側端部43の内周面43aが、例えばレーザ溶接により溶接される。これによって、支持部55およびひげぜんまい40の軸方向端面に、溶接面57を跨ぐように溶接ナゲットが形成される。
溶接面57は、例えば、ひげぜんまい40の内周側端部43の内周面43aに沿うように、アルキメデス曲線X(図5参照)に対応した曲率を有する曲面に形成されている。
図8は、本実施形態のてんぷ製造方法の一部を示すフローチャートである。この図に示すように、本実施形態のてんぷ製造方法は、外装固定工程S1と、挿入工程S2と、位置調整工程S3とを有している。なお、てんぷ製造方法では、図8に示す工程以外にも、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接する工程等、他の必要な工程も当然に行われる。
図10は、本変形例におけるひげ玉50の図7と同位置での断面図である。また、図11は、ひげ玉回し治具200が挿入された状態の断面図である。図11に示すように、本変形例では、ひげ玉回し治具200が半球状の先端部202を有している。また、本変形例のひげ玉50は、上述の治具挿入部60に換えて、ひげ玉回し治具200の半球状の先端部202の形状に合わせたディンプル状の治具挿入部62を備えている。
続いて、本発明の第2実施形態のひげ玉50Aについて説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図15は、第2実施形態の第1変形例におけるひげ玉50Aの図13と同位置での断面図である。また、図16は、ひげ玉回し治具300が挿入された状態の断面図である。図16に示すように、本変形例では、ひげ玉回し治具300が、先端部301の外側面302が中央が凹むように湾曲された形状を有している。また、本変形例のひげ玉50Aは、上述の治具挿入部70に換えて、ひげ玉回し治具300の先端部301の外側面302の形状に合わせた湾曲面73を有する治具挿入部72を備えている。このような変形例においても、同様に、ひげぜんまい40の形状を崩すことなく、てん真30に対するひげ玉50Aの位置調整を正確かつ確実に行うことが可能となる。
図17(b)は、第2実施形態の第3変形例における、図13と同位置でのひげ玉50Aの断面図であり、ひげ玉回し治具300が挿入された状態を示している。この図に示すように、本変形例では、ひげ玉回し治具300の先端部301の外側縁部に面取り部303が形成されている。
これらの第2変形例及び第3変形例によれば、ひげ玉回し治具300の先端部301を治具挿入部70に挿入するときに、面取り部74あるいは面取り部303によって、より円滑にひげ玉回し治具300の先端部301を治具挿入部70に挿入することができる。
なお、第2変形例の構成と第3変形例の構成とを組み合わせ、面取り部74あるいは面取り部303の両方を備えるようにしても良い。
続いて、本発明の第3実施形態のひげ玉50Bについて説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
Claims (10)
- てん真に対して軸を一致させて外装固定され、前記てん真に対してひげぜんまいを固定するひげ玉であって前記ひげぜんまいが固定される外縁を有するひげ玉において、
前記てん真に対して前記ひげ玉を回転させるためのひげ玉回し治具の形状に対応させた形状を有する治具挿入部であって前記外縁との間に間隔を有する治具挿入部を備えることを特徴とするひげ玉。 - 前記治具挿入部は、前記軸に対して傾斜する傾斜壁面からなる治具案内部を備えることを特徴とする請求項1記載のひげ玉。
- 前記治具挿入部は、前記軸を中心として180°変位した位置に各々設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のひげ玉。
- 前記治具挿入部は、前記軸方向から見て全周を囲う壁面を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のひげ玉。
- 環状でかつ前記軸を中心とする周方向の一箇所に分断部を有する本体部を有し、
前記治具挿入部は、前記分断部に重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のひげ玉。 - 請求項1〜5いずれか一項に記載のひげ玉を備えることを特徴とするてんぷ。
- 請求項6記載のてんぷを備えることを特徴とするムーブメント。
- 請求項7記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
- てん真に対してひげ玉およびひげぜんまいを回転させるためのひげ玉回し治具の形状に対応させた形状を有する治具挿入部を備えるひげ玉を、てん真に対して軸を一致させて外装固定する外装固定工程と、
前記ひげぜんまいとの間に間隔を有する前記治具挿入部に前記ひげ玉回し治具を挿入する挿入工程と、
前記ひげ玉回し治具によって前記ひげ玉を前記てん真に対して回転させる位置調整工程と
を有することを特徴とするてんぷ製造方法。 - てん真と、
ひげぜんまいと、
てん真に対して軸を一致させて外装固定され、前記てん真に対してひげぜんまいを固定するひげ玉であって、前記てん真に対して前記ひげ玉を回転させるためのひげ玉回し治具の形状に対応させた形状を有する治具挿入部であって前記ひげぜんまいとの間に間隔を有する治具挿入部を有するひげ玉と、
を備えることを特徴とするてんぷ。
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