JP6579695B2 - 機械部品、機械部品の製造方法、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

機械部品、機械部品の製造方法、ムーブメントおよび時計 Download PDF

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本発明は、機械部品、機械部品の製造方法、ムーブメントおよび時計に関する。
機械式時計などの精密機械には、軸部材を中心に回動する、歯車などの機械部品が用いられている。
機械部品と軸部材との結合構造としては、例えば、図23に示す構造がある(例えば、特許文献1を参照)。
図23に示す機械部品90は、脆性材料からなる部品本体91の中央に、軸部材30が圧入される平面視三角形の中央孔部94が形成され、中央孔部94の各辺に近接して、スリット状の開口部92が形成されている。
中央孔部94と開口部92との間の橋絡部93は、弾性力により軸部材30を保持する。
この種の機械部品は薄く形成されるため、軸部材を圧入する際に生じた応力の影響を受けやすいが、機械部品90では、橋絡部93の弾性力によって前記応力を緩和することができる。
欧州特許出願公開第1708045号明細書
しかしながら、機械部品90では、軸部材30の圧入により橋絡部93が破損しやすいという問題がある。
橋絡部93の弾性変形量を小さくすれば橋絡部93は破損しにくくなるが、その場合には軸部材30に対する機械部品90の固定が不十分となるおそれがある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、軸部材の圧入によって破損することがなく、かつ確実に軸部材に固定される機械部品、機械部品の製造方法、ムーブメントおよび時計を提供することを目的とする。
本発明は、軸部材を中心に回動する機械部品であって、前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、前記貫通孔の内面に形成され、前記軸部材を前記部品本体に固定する1または複数の軸支持部と、を有し、前記軸支持部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔内に突出し、弾性力によって前記軸部材を保持可能であり、前記軸支持部の伸び率は前記部品本体の伸び率より大きい、機械部品を提供する。
この構成では、軸支持部の伸び率が部品本体の伸び率より大きく、軸支持部が弾性力によって軸部材を保持するため、ある程度の軸部材の変位を許容できることから、優れた緩衝効果を有する。よって、部品本体に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材を圧入する際の応力による機械部品の破損を防ぐことができる。
さらに、軸支持部は、上述のように変位許容量が大きいため、十分な回転緩みトルクおよび抜き力を確保し、確実に軸部材を保持できる。よって、軸部材のトルクを確実に部品本体に伝達でき、機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
前記軸支持部は、塑性変形可能な材料により形成され、前記軸部材を曲げ弾性力により保持可能であることが好ましい。
この構成では、弾性変形領域を越える軸部材の変位を許容できることから、緩衝効果を高めることができる。よって、部品本体に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材を圧入する際の応力による機械部品の破損を防ぐことができる。
軸支持部は、曲げ弾性を有し、かつ塑性変形可能であれば、自らも破損しにくい。
前記軸支持部は、一端側および他端側がそれぞれ前記部品本体に固定され、中間部分が前記貫通孔内面から離間するアーチ状に形成され、前記中間部分は、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能であることが好ましい。
この構成によれば、軸支持部の両端側が部品本体に固定されているため、軸支持部の耐久性を高めることができる。
前記部品本体には、前記軸支持部の一部を保持することにより、この軸支持部を固定するアンカー構造としての保持凹部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、軸支持部の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
前記貫通孔の内面には、前記軸部材が予め定められた通常位置から外れた場合に、前記軸部材に当接して外方への変位を規制する変位規制凸部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、軸部材の位置ずれを規制することができるため、機械部品の破損を防ぎ、この機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
前記軸支持部は、一端側および他端側がそれぞれ前記部品本体に固定された一対の固定部と、前記固定部から前記中央孔部内に延出する基部と、前記基部の延出端どうしを連結する内周延在部とを備え、前記内周延在部は、前記部品本体の周方向に延在し、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能であることが好ましい。
この構成によれば、内周延在部が部品本体の周方向に沿って延在する形状であるため、周方向の広い範囲で軸部材に当接する。そのため、軸支持部に作用する力を分散して軸支持部の破損を防ぐとともに、内周延在部によって軸部材を確実に保持できる。
前記内周延在部には、前記軸部材に当接してこれを保持する保持凸部が内方に突出して形成され、前記保持凸部は、前記内周延在部の端部より内方に突出して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、内周延在部の端部での応力集中を緩和し、軸支持部の破損を防ぐことができる。
前記軸支持部は、前記部品本体の周方向にわたって形成された開口部を有する構成としてよい。
この構成によれば、前記開口部の径方向内方の部分に曲げ弾性力を与えることができ、この曲げ弾性力によって軸部材を確実に保持できる。
前記軸支持部は、前記部品本体に対する厚さ方向の変位を規制する変位規制構造を有する構成としてよい。
この構成によれば、軸部材の位置ずれを規制することができるため、機械部品の破損を防ぎ、この機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
前記部品本体は、脆性材料からなり、前記軸支持部は、金属からなることが好ましい。
前記軸支持部は、前記軸部材が圧入されることにより前記軸部材に固定される圧入部を構成してよい。
本発明のムーブメントは、前記機械部品を備えている。
この構成によれば、計時精度が高いムーブメントを提供することができる。
本発明の時計は、前記機械部品を備えている。
この構成によれば、計時精度が高い時計を提供することができる。
本発明は、軸部材を中心に回動する機械部品の製造方法であって、前記機械部品は、前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、前記貫通孔の内面に形成され、前記軸部材を前記部品本体に固定する1または複数の軸支持部と、を有し、前記軸支持部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔内に突出し、弾性力によって前記軸部材を保持可能であり、前記軸支持部の伸び率は前記部品本体の伸び率より大きく、前記部品本体となる基材の少なくとも一方の面に、前記軸支持部の形状に対応した内形と前記部品本体の外形に対応した外形とを有するマスクを形成し、前記マスクの内形に合わせて前記基材に前記軸支持部を保持するための構造を形成する工程と、電鋳法により、前記材料からなる前記軸支持部を形成する工程と、前記マスクの外形に合わせて前記基材の不要部分を除去する工程と、を有する機械部品の製造方法を提供する。
本発明によれば、共通のマスクを用いて、圧入部を形成するとともに、部品本体の外形を規定するため、軸部材に対する部品本体の同軸度を高めることができる。また、径方向の寸法精度を高めることができる。
このため、軸部材に対する軸ズレを起こりにくくし、機械部品の動作時の偏心を防ぐことができる。よって、この機械部品を用いた時計の計時精度を高めることができる。
本発明は、軸部材を中心に回動する機械部品であって、前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、前記貫通孔の内面に形成され、前記軸部材が圧入されることにより前記軸部材に固定される圧入部とを有し、前記圧入部は、塑性変形可能な材料により形成された1または複数の軸支持部を有し、前記軸支持部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔内に延出し、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能である機械部品を提供する。
この構成では、曲げ弾性を有し、かつ塑性変形可能である軸支持部を用いる。軸支持部は、塑性変形領域があるため、弾性変形領域を越える軸部材の変位を許容できることから、緩衝効果を高めることができる。よって、部品本体に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材を圧入する際の応力による機械部品の破損を防ぐことができる。
また、軸支持部は、曲げ弾性を有し、かつ塑性変形可能であるため、自らも破損しにくい。
さらに、軸支持部は、上述のように変位許容量が大きいため、十分な回転緩みトルクおよび抜き力を確保し、確実に軸部材を保持できる。よって、軸部材のトルクを確実に部品本体に伝達でき、この機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
前記軸支持部は、一端側および他端側がそれぞれ前記部品本体に固定され、中間部分が前記貫通孔内面から離間するアーチ状に形成され、前記中間部分は、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能であることが好ましい。
この構成によれば、軸支持部の両端側が部品本体に固定されているため、軸支持部の耐久性を高めることができる。
前記部品本体には、前記軸支持部の一部を保持することにより、この軸支持部を固定するアンカー構造としての保持凹部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、軸支持部の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
前記貫通孔の内面には、前記軸部材が予め定められた通常位置から外れた場合に、前記軸部材に当接して外方への変位を規制する変位規制凸部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、軸部材の位置ずれを規制することができるため、機械部品の破損を防ぎ、この機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
本発明のムーブメントは、前記機械部品を備えている。
この構成によれば、計時精度が高いムーブメントを提供することができる。
本発明の時計は、前記機械部品を備えている。
この構成によれば、計時精度が高い時計を提供することができる。
本発明は、軸部材を中心に回動する機械部品の製造方法であって、前記機械部品は、前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、前記貫通孔の内面に形成され、前記軸部材が圧入されることにより前記軸部材に固定される圧入部とを有し、前記圧入部は、塑性変形可能な材料により形成された1または複数の軸支持部を有し、前記軸支持部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔内に延出し、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能であり、前記部品本体となる基材の少なくとも一方の面に、前記圧入部の形状に対応した内形と前記部品本体の外形に対応した外形とを有するマスクを形成し、前記マスクの内形に合わせて前記基材に前記軸支持部を保持するための構造を形成する工程と、電鋳法により、前記材料からなる前記圧入部を形成する工程と、前記マスクの外形に合わせて前記基材の不要部分を除去する工程と、を有する機械部品の製造方法を提供する。
本発明によれば、共通のマスクを用いて、圧入部を形成するとともに、部品本体の外形を規定するため、軸部材に対する部品本体の同軸度を高めることができる。また、径方向の寸法精度を高めることができる。
このため、軸部材に対する軸ズレを起こりにくくし、機械部品の動作時の偏心を防ぐことができる。よって、この機械部品を用いた時計の計時精度を高めることができる。
本発明に係る機械部品では、軸支持部の伸び率が部品本体の伸び率より大きく、軸支持部が弾性力によって軸部材を保持するため、ある程度の軸部材の変位を許容できることから、優れた緩衝効果を有する。よって、部品本体に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材を圧入する際の応力による機械部品の破損を防ぐことができる。
さらに、軸支持部は、上述のように変位許容量が大きいため、十分な回転緩みトルクおよび抜き力を確保し、確実に軸部材を保持できる。よって、軸部材のトルクを確実に部品本体に伝達でき、機械部品を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
本発明に係る機械部品の製造方法によれば、共通のマスクを用いて、圧入部を形成するとともに、部品本体の外形を規定するため、軸部材に対する部品本体の同軸度を高めることができる。また、径方向の寸法精度を高めることができる。
このため、軸部材に対する軸ズレを起こりにくくし、機械部品の動作時の偏心を防ぐことができる。よって、この機械部品を用いた時計の計時精度を高めることができる。
本発明の第1実施形態における機械部品を示す図であり、(a)は全体の平面図であり、(b)は(a)の一部を拡大した平面図である。 図1の機械部品を示す断面図であり、図1のI−I’線に沿う断面図である。 本発明の実施形態における機械部品の製造方法を示す説明図である。 前図に続く機械部品の製造方法を示す説明図である。 前図に続く機械部品の製造方法を示す説明図である。 前図に続く機械部品の製造方法を示す説明図である。 電鋳装置の構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態の機械部品の具体例を示す平面図である。 本発明の第2実施形態における機械部品を示す平面図である。 本発明の第3実施形態における機械部品を示す平面図である。 本発明の第4実施形態における機械部品を示す平面図である。 本発明の第5実施形態における機械部品を示す平面図であり、(a)は全体の平面図であり、(b)は(a)の一部を拡大した平面図である。 本発明の第6実施形態における機械部品を示す平面図である。 図1の機械部品の第1変形例を模式的に示す断面図である。 図14の機械部品を示す平面図である。 図1の機械部品の第2変形例を模式的に示す断面図である。 図1の機械部品の第3変形例を模式的に示す断面図である。 図1の機械部品の第4変形例を模式的に示す断面図である。 図1の機械部品の第5変形例を模式的に示す断面図である。 図1の機械部品の第6変形例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態におけるコンプリートの平面図である。 本発明の実施形態におけるムーブメント表側の平面図である。 従来の機械部品の一例を示す平面図である。
(第1実施形態、機械部品)
本発明の第1実施形態である機械部品10について説明する。
図1(a)は、機械部品10を示す平面図であり、図1(b)は、機械部品10の一部を拡大した平面図である。図2は、図1(a)のI−I’線における断面図である。なお、図1は軸部材30を圧入する前の機械部品10を示す。
図1および図2に示すように、機械部品10は、概略円板状の部品本体11と、部品本体11の内側に設けられた圧入部12と、を備えている。
A1は部品本体11の中心軸であり、機械部品10の回転軸である。
以下の説明において、「周方向」とは、部品本体11の第1面11aを含む面内において中心が中心軸A1に一致する円の周方向である。「径方向」とは、前記円の径方向である。また、「内方」とは中心軸A1に近づく方向であり、「外方」とは中心軸A1から離れる方向である。また、周方向のうち、図1(a)における右回りの方向をC1方向といい、左回りの方向をC2方向という。
図1に示すように、部品本体11の中央には、部品本体11を厚さ方向に貫通する中央孔部14(貫通孔)が形成されている。
中央孔部14の内縁14a(内面)には、複数の保持凹部15が周方向に間隔をおいて形成されている。
保持凹部15は、平面視において円弧形に形成されている。
なお、保持凹部15の平面視形状は円弧形に限らず、矩形、三角形などとしてよい。
図1に示す例では、6つの保持凹部15が形成されている。これらの保持凹部15を、右回りにそれぞれ第1〜第6保持凹部15A〜15Fということがある。
なお、保持凹部の数は、図示例に限定されず、1または複数とすることができる。
図1(b)に示すように、保持凹部15は、最も中央孔部14側の位置15a(第1位置)における幅寸法L1が、幅寸法が最大となる位置15b(位置15aよりも保持凹部15の奥側の位置)(第2位置)における幅寸法L2より小さくされている。
この保持凹部15は、軸支持部18の端部19を保持することによって、軸支持部18が脱落する方向の変位を規制するアンカー構造として機能する。この構造によって、軸支持部18の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
なお、保持凹部は、第1位置における幅寸法が、前記第1位置より奥側の第2位置における幅寸法より小さければ、第1位置は最も中央孔部側の位置でなくてもよく、第2位置は最大幅寸法の位置でなくてもよい。
中央孔部14の内縁14a(内面)には、軸部材30が予め定められた通常位置(例えば中央孔部14の中央位置)から外れた場合に、軸部材30に当接して外方への変位を規制する複数の変位規制凸部17が形成されている。
変位規制凸部17は、平面視において円弧形に形成されている。
なお、変位規制凸部17の平面視形状は円弧形に限らず、矩形、三角形などとしてよい。
図1に示す例では、周方向に間隔をおいて3つの変位規制凸部17が形成されている。
これらの変位規制凸部17を、右回りにそれぞれ第1〜第3変位規制凸部17A〜17Cということがある。
第1変位規制凸部17Aの周方向位置は、保持凹部15B,15Cの間とされ、第2変位規制凸部17Bの周方向位置は、保持凹部15D,15Eの間とされ、第3変位規制凸部17Cの周方向位置は、保持凹部15F,15Aの間とされている。
変位規制凸部17は、中央部17aが最も中心軸A1に近く位置していることが好ましい。
変位規制凸部17を形成することによって、軸部材30の位置ずれを規制することができるため、機械部品10の破損を防ぎ、この機械部品10を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
なお、変位規制凸部の数は、図示例に限定されず、1または複数とすることができる。
部品本体11の材料としては、セラミックス材料などの脆性材料が好ましい。セラミックス材料としては、Si、SiC、Si、ジルコニア、ルビー、カーボン材などが使用できる。
なお、脆性材料とは、外部からの応力による弾性変形の限界ひずみ量が小さく、弾性変形の限界を超えると、降伏点が存在せず破壊に至るものであり、望ましくは弾性変形領域が1%以下のもので、より望ましくは0.5%以下のものである。脆性材料は、靱性が低い性質を有する。
部品本体11は、高い絶縁性を有することが望ましい。部品本体11の絶縁性が十分でない場合は、軸支持部18に当接する表面に酸化物膜を形成することが望ましい。
保持凹部15(15A〜15F)には、圧入部12を構成する軸支持部18が形成されている。
軸支持部18は、一方の端部19および他方の端部19がそれぞれ保持凹部15に固定され、中間部分16(端部19,19の間の部分)の少なくとも一部が、中央孔部14の内面から離間するアーチ状に形成されている。
図1に示す例では、圧入部12は3つの軸支持部18によって構成されている。これらの軸支持部18を、右回りにそれぞれ第1〜第3保持凹部18A〜18Cということがある。
第1軸支持部18Aの端部19,19はそれぞれ保持凹部15A,15Bに固定され、第2軸支持部18Bの端部19,19はそれぞれ保持凹部15C,15Dに固定され、第3軸支持部18Aの端部19,19はそれぞれ保持凹部15E,15Fに固定されている。
端部19は、保持凹部15を満たすように形成されることによって、保持凹部15に固定されている。
中間部分16は、例えば平面視において円弧状に形成することができ、中央孔部14の内面(内縁14a)から離間して、中央孔部14の内の空間(内側空間26)に延出した形状を有する。
中間部分16は、長手方向の中央部16aが最も中心軸A1に近く位置していることが好ましい。
中間部分16は、端部19に近づくほど中央孔部14の内面(内縁14a)に対する距離が小さく、かつ中央部16aに近づくほど中央孔部14の内面(内縁14a)に対する距離が大きくなるように形成されていることが望ましい。
中間部分16の厚さtは、端部19の外径より小さくされている。中間部分16の厚さtは、中間部分16の長手方向に一定であることが好ましい。
軸支持部18は、両端部19,19が部品本体11に固定された形状(アーチ状)とされているため、耐久性の点で優れている。
図2に示すように、軸支持部18の第1面18dは、部品本体11の第1面11aと面一に形成することができ、軸支持部18の第2面18eは、部品本体11の第2面11bと面一に形成することができる。
軸支持部18は部品本体11と一体になっている。
部品本体11の外径は、例えば数mm〜数十mmとすることができる。部品本体11の厚みは、例えば100〜1000μm程度とすることができる。
図1および図2に示す径rm1は、中心軸A1から中間部分16の中央部16aまでの距離であり、中心軸A1から軸支持部18までの最短距離である。
径rb1は、中心軸A1から変位規制凸部17の中央部17aまでの距離であり、中心軸A1から変位規制凸部17までの最短距離である。
径rb1は、径rm1より大きく設定される。すなわち、「rb1>rm1」とされる。これによって、変位規制凸部17で規定される範囲内で、軸部材30の変位を許容することができる。
距離dは、中央孔部14の内縁14aから中間部分16までの最大離間距離であり、図1の例では、中間部分16の中央部16aにおける、内縁14aまでの径方向の距離である。
距離dは、軸部材30が内側空間26(後述)に圧入される際の、軸支持部18の弾性変形代となる寸法である。
距離dは、径rm1と径rb1の差より大きいことが好ましい。すなわち、「d>(rm1−rb1)」が成立することが好ましい。
これによって、十分な弾性変形代を確保できるため、軸部材30の変位許容量を大きくできる。
図1に示す圧入部12は周方向に並ぶ3つの軸支持部18によって構成されているが、軸支持部18の数はこれに限らない。軸支持部18の数は1または複数とすることができるが、軸部材30を安定に保持するためには3以上が好ましい。
軸支持部18の伸び率は、部品本体11の伸び率より大きい。
軸支持部18は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。金属材料としては、塑性流動可能であり、かつ電鋳によって形成することができる材料が好ましい。
このような金属材料としては、例えばAu、Ni、Cu、および、それらの合金がある。前記合金としては、Ni合金、Cu合金、Au合金などがある。軸支持部18には弾性(例えば曲げ弾性)を与える必要があるため、これに用いられる金属材料は、応力緩和しにくい電鋳材料、例えばNi−Fe,Ni−Mn,Ni−P,Ni−Pdなどが好ましい。
金属材料は脆性材料に比べて、曲げ強度、引張強度、延性、限界ひずみが高く、脆性が低い性質を有する。
なお、軸支持部18の構成材料としては、前述の条件を満たす材料であれば、非金属材料(例えば樹脂)を用いてもよい。
軸支持部18の内側の空間26(内側空間26)には、軸部材30が圧入可能である。
軸部材30が圧入されると、軸支持部18は中間部分16の中央部16aが軸部材30に当接し、軸部材30によって外方に押圧される。これによって、中間部分16は、中央部16aおよびその近傍が外方に変位するように弾性変形するとともに、その弾性力(曲げ弾性力)によって軸部材30を保持する。
軸支持部18が軸部材30を保持することによって、機械部品10は軸部材30に固定される。
軸部材30の直径は、例えば、数十〜500μm程度とすることができる。
軸支持部18は、軸部材30に取り付けた後、軸部材30に対して接合してもよい。接合方法としては、レーザー溶接、はんだ付け、拡散接合、ろう付け、共晶接合、熱圧着、接着材による接合、ワックスによる接合などを採用できる。
機械部品10は、軸支持部18の伸び率が部品本体11の伸び率より大きく、軸支持部18が弾性力によって軸部材30を保持するため、ある程度の軸部材30の変位を許容できることから、優れた緩衝効果を有する。よって、部品本体11に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材30を圧入する際の応力による機械部品10の破損を防ぐことができる。
また、機械部品10では、軸支持部18は塑性変形可能である。そのため、弾性変形領域を越える軸部材30の変位を許容できることから、緩衝効果を高めることができる。よって、部品本体11に脆性材料が用いられている場合でも、軸部材30を圧入する際の応力による機械部品10の破損を防ぐことができる。
軸支持部18は、曲げ弾性を有し、かつ塑性変形可能であるため、自らも破損しにくい。
さらに、軸支持部18は、上述のように変位許容量が大きいため、十分な回転緩みトルクおよび抜き力を確保し、確実に軸部材30を保持できる。よって、軸部材30のトルクを確実に部品本体11に伝達でき、機械部品10を用いた時計の計時精度を向上させることができる。
(第1実施形態、機械部品の製造方法)
次に、第1実施形態の機械部品10の製造方法について、図3〜図6を参照しつつ説明する。
図3では(a)、(c)、(e)は平面図であり、(b)、(d)、(f)は、それぞれ(a)、(c)、(e)におけるII−II’線、III−III’線、IV−IV’線の断面図である。図4では(a)、(c)、(e)は平面図であり、(b)、(d)、(f)は、それぞれ(a)、(c)、(e)におけるV−V’線、VI−VI’線、VII−VII’線の断面図である。図5では(a)、(c)は平面図であり、(b)、(d)は、それぞれVIII−VIII’線、IX−IX’線の断面図である。図6では(a)、(c)は平面図であり、(b)、(d)は、それぞれX−X’線、XI−XI’線の断面図である。
本実施形態の製造方法は、成形型41を作製する工程と、成形型41に電鋳により圧入部12を形成する工程と、不要部分を除去する工程と、を有する。
(1)成形型の作製
図3(a)および図3(b)に示すように、Siなどからなる基材31を用意する。
次いで、図3(c)および図3(d)に示すように、基材31の少なくとも一方の面(ここでは第1面31a)に、SiOなどの酸化物等からなる第1マスク32を形成する。
第1マスク32は、複数の開口部32aを有する。開口部32aの平面視形状(第1マスク32の内形)は、図1(a)に示す圧入部12の形状に対応した形状である。詳しくは、圧入部12の平面視形状と同じ平面視形状を有する。
開口部32aによって囲まれた部分を中央部32bという。
第1マスク32の平面視における外形は、部品本体11の平面視における外形と同じである。
第1マスク32は、例えば基材31の第1面31aの全域に形成した酸化物(例えばSiO)等からなる被覆膜をフォトリソグラフィによりパターニングすることによって形成することができる。
前記被覆膜のパターニングは、例えば次の方法により行うことができる。
基材31の第1面31aの全域に前記被覆膜を形成し、この被覆膜の表面にレジスト層(図示略)を形成する。レジスト層としては、ネガ型のフォトレジストを用いてもよいし、ポジ型のフォトレジストを用いてもよい。
レジスト層の表面に、所定のフォトマスクを配置してレジスト層を露光する。フォトマスクの遮光パターンの平面視における形状および寸法は、図1(a)に示す部品本体11の平面視における形状および寸法に対応している。
レジスト層の現像によって不要部分が除去され、レジスト層は第1マスク32に応じた形状となる。
レジスト層がない部分の被覆膜をドライエッチングなどにより除去することによって、図3(c)および図3(d)に示す第1マスク32が形成される。第1マスク32の形成後、レジスト層を除去する。
次いで、図3(e)および図3(f)に示すように、第1マスク32の外縁より外側の領域に、環状の第2マスク33を形成する。
第2マスク33によって、基材31の第1面31aのうち第1マスク32より外側の領域が覆われる。開口部32aは第2マスク33に覆われないため、開口部32aでは基材31の第1面31aが露出した状態となる。
なお、図3(e)および図3(f)に示すように、第2マスク33は、一部が第1マスク32の外縁を含む領域にかかっていてもよい。
第2マスク33は、例えばレジスト層によって形成することができる。レジスト層としては、ネガ型のフォトレジストを用いてもよいし、ポジ型のフォトレジストを用いてもよい。
前記レジスト層は、例えばフォトリソグラフィによるパターニングにより形成することができる。例えば、レジスト層を所定のフォトマスクを通して露光し、現像することによって、図3(e)および図3(f)に示す環状の第2マスク33を形成することができる。
次いで、図4(a)および図4(b)に示すように、第1マスク32の開口部32aに露出した部分の基材31を、ドライエッチングなどにより除去する。これによって、基材31には、開口部32aに即した平面視形状および寸法を有する貫通穴34が形成される。
貫通穴34は、後の工程において保持凹部15となる。
この際、第1マスク32より外側の領域は第2マスク33に覆われているため、この領域が除去されることはない。
第2マスク33を除去することによって、貫通穴34を有する基材31の表面に第1マスク32が形成された成形型41を得る。
なお、本実施形態の製造方法で用いるエッチングは、リアクティブイオンエッチング(RIE)などのドライエッチングでもよいし、緩衝フッ酸水溶液(BHF)などによるウェットエッチングでもよい。RIEとしては、ディープリアクティブイオンエッチング(DRIE)が好ましい。
(2)圧入部の形成
図4(c)および図4(d)に示すように、成形型41を基板60の表面60aに接着等により固定する。この際、成形型41は、基材31の第1面31aを基板60に向けた姿勢とする。基板60とこれに固定した成形型41とを基板付き成形型41Aという。基板60は、表面60aに金属などからなる導電膜(図示略)が形成されていてもよいし、基板60自体が導電性材料で構成されていてもよい。
なお、図4(c)および図4(d)では、成形型41は第1面31aを下向きにした姿勢とされている。
成形型41の開口部32a内に、金属材料で軸支持部18を形成する。軸支持部18は、電鋳法により形成するのが好ましい。
図7は、軸支持部18を形成するための電鋳装置50の構成を示す模式図である。
電鋳装置50は、電鋳槽51と、電極53と、電気配線55と、電源部57とを有する。
電鋳槽51には、電鋳液59が貯液されている。電極53は、電鋳液59に浸漬されている。電極53は、軸支持部18と同一の金属材料を用いて形成されている。
電気配線55は、第一配線55aおよび第二配線55bを有する。第一配線55aは、電極53と電源部57の陽極側とを接続している。第二配線55bは、基板付き成形型41Aと電源部57の陰極側とを接続している。
この構成より、電源部57の陽極側には電極53が接続され、陰極側には基板付き成形型41Aが接続される。
電鋳液59は、電鋳材料に応じて選択される。例えばニッケルからなる電鋳部材を形成する場合には、スルファミン酸浴、ワット浴や硫酸浴等が用いられる。スルファミン酸浴を用いてニッケル電鋳を行う場合には、例えば電鋳槽51の中に電鋳液59としてスルファミン酸ニッケル水和塩を主成分とするスルファミン酸を入れる。
図7に示すように、基板付き成形型41Aを電鋳装置50にセットし、電源部57を作動させて、電極53と基板付き成形型41Aの間に電圧を印加する。
これにより、電極53を構成する金属(例えばニッケル)がイオン化して電鋳液59を移動し、基板60の表面60aのうち成形型41の貫通穴34に面した領域に析出する。
図4(c)および図4(d)に示すように、前記金属は貫通穴34内で成長し、軸支持部18が形成される。貫通穴34が金属で満たされ、第2面31bから少しはみ出す程度に金属が成長したら、電圧印加を停止する。
次いで、図4(d)に仮想線で示すように、第2面31bからはみ出した部分の金属(膨出部分61)を研削・研磨等により除去する。前記金属の表面は第2面31bと面一になることが好ましい。
具体的には、貫通穴34に前記金属が形成された成形型41を電鋳槽51から取り出した後、成形型41の第2面31bに研削・研磨を施し、第2面31bを平坦化するとともに、成形型41の厚みを調整することができる。
これにより、貫通穴34内に軸支持部18が形成される。
次いで、成形型41を基板60から取り外す。
(3)不要部分の除去
次いで、図4(e)および図4(f)に示すように、基材31の第1面31aに、中央穴部63を有する第3マスク35を形成する。中央穴部63の平面視における形状および寸法は、図1(a)に示す中央孔部14の平面視における形状および寸法に対応している。
第3マスク35を構成する材料は、次の工程において第1マスク32の中央部32bを除去する際に、金属からなる軸支持部18を損傷しないものを選択するのが好ましい。第3マスク35は、レジスト層または金属層としてよい。
図4(e)および図4(f)では、成形型41は第1面31aを上向きにした姿勢とされている。
次いで、図5(a)および図5(b)に示すように、第1マスク32の中央部32bを除去する。中央部32bを除去するには、例えばフルオロカーボン系ガスを用いたドライエッチングを採用できる。
次いで、図5(c)および図5(d)に示すように、有機溶剤やOプラズマアッシングなどを用いて第3マスク35を除去する。
次いで、図6(a)および図6(b)に示すように、第1マスク32が形成されていない領域、すなわち平面視において第1マスク32の内側および外側に位置する領域の基材31を除去する。
第1マスク32の内側に位置する領域の基材31が除去されることによって、基材31には、図1(a)に示す中央孔部14が形成される。
第1マスク32の外側に位置する領域の基材31が除去されることによって、図1(a)に示す形状の部品本体11が得られる。
次いで、図6(c)および図6(d)に示すように、第1マスク32を除去する。第1マスク32を除去するには、例えばフルオロカーボン系ガスを用いたドライエッチングを採用できる。
これによって、図1および図2に示す機械部品10が得られる。
本実施形態の機械部品の製造方法によれば、共通の第1マスク32を用いて、圧入部12を形成するとともに、部品本体11の外形を規定するため、軸部材30に対する部品本体11の同軸度を高めることができる。また、径方向の寸法精度を高めることができる。
このため、軸部材30に対する軸ズレを起こりにくくし、機械部品10の動作時の偏心を防ぐことができる。よって、この機械部品10を用いた時計の計時精度を高めることができる。
(第1実施形態の具体例、機械部品)
図8は、第1実施形態の機械部品10の具体例に係る機械部品10Aの平面図である。
機械部品10Aは歯車であり、機械部品10Aの外周縁には、径方向外方に向かって突出する複数の歯27が形成されている。歯27は、突出方向に徐々に幅が狭くなる形状(先細り形状)とされている。歯27の形成により、機械部品10Aは、隣接する歯車と噛合可能である。
機械部品10Aとしての歯車は、番車などである。
なお、機械部品10は、機械部品10Aのような歯車に限らず、がんぎ車、アンクル、てんわなどであってもよい。
(第2実施形態、機械部品)
本発明の第2実施形態である機械部品70について説明する。なお、以下、既出の実施形態と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、機械部品70を示す平面図である。
図9に示すように、機械部品70は、概略円板状の部品本体71と、部品本体71の内側に設けられた圧入部72と、を備えている。
部品本体71の中央には、平面視において円形の中央孔部74(貫通孔)が形成され、中央孔部74の内縁74aには、周方向に間隔をおいて複数(この例では3つ)の保持凹部75が形成されている。
保持凹部75は、軸支持部78の基端部79aが固定される平面視略円形の基端部75aと、基端部75aから延出して中央孔部74の内縁74a(内面)に達する延出部75bとを有する。
延出部75b(第1位置)の幅寸法L3は、基端部75a(第2位置)の外径(幅寸法L4)より小さい。このため、保持凹部75は、軸支持部78が脱落する方向の変位を規制するアンカー構造として機能する。
部品本体71は、第1実施形態における部品本体11と同様に、セラミックス材料などの脆性材料からなることが好ましい。
圧入部72は、1または複数の軸支持部78からなる。図9では、圧入部72は3つの軸支持部78からなる。
軸支持部78は、平面視略円形の基端部79aと、基端部79aから延出する先端側部分76とを有する。基端部79aは基端部75aに固定されている。先端側部分76の一部は、中央孔部74の内面(内縁74a)から、中央孔部74内の空間(内側空間26)に延出している。
先端側部分76の厚さは、基端部79aの外径より小さい。先端側部分76の厚さは長手方向に一定であることが好ましい。
先端側部分76は、例えば平面視において円弧状に形成することができ、先端部79bが最も中心軸A1に近く位置していることが好ましい。先端側部分76は、例えば先端部79bから延長した円弧軌道が中心軸A1を通る円弧状とすることができる。
先端側部分76の、中央孔部74内に延出した部分は、基端部79aに近づくほど中央孔部74の内面(内縁74a)に対する距離が小さく、かつ先端部79bに近づくほど中央孔部74の内面(内縁74a)に対する距離が大きくなるように形成されていることが望ましい。
軸支持部78の伸び率は、部品本体71の伸び率より大きい。軸支持部78は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。軸支持部78は、第1実施形態における軸支持部18と同様に、例えば電鋳法を用いて形成される。
軸支持部78の内側の空間26(内側空間26)には、軸部材30が圧入可能である。
軸部材30が圧入されると、軸支持部78は先端側部分76の先端部79bが軸部材30に当接し、軸部材30によって外方に押圧される。これによって、先端側部分76は、先端部79bおよびその近傍が外方に変位するように弾性変形するとともに、その弾性力(曲げ弾性力)によって軸部材30を保持する。
軸支持部78が軸部材30を保持することによって、機械部品70は軸部材30に固定される。
機械部品70では、第1実施形態の機械部品10と異なり、軸支持部78の一方の端部(先端部79b)が部品本体71に固定されていないが、軸支持部78は十分な曲げ弾性力を有するため、この機械部品70は軸部材30に強固に固定される。このため、軸部材30のトルクを確実に部品本体71に伝達でき、時計の計時精度を向上させることができる。
また、第1実施形態の機械部品10と同様に、緩衝効果を高め、機械部品70の破損を防ぐことができる。
(第3実施形態、機械部品)
本発明の第3実施形態である機械部品80について説明する。
図10は、機械部品80を示す平面図である。
図10に示すように、機械部品80は、概略円板状の部品本体81と、部品本体81の内側に設けられた圧入部82と、を備えている。
部品本体81の中央には、平面視において概略三角形の中央孔部84(貫通孔)が形成され、中央孔部84の内縁84aのうち頂点を含む位置には、それぞれ保持凹部85が形成されている。
保持凹部85は、平面視略三角形とされ、最内周位置85a(最も中央孔部84に近い位置。第1位置)における幅寸法L5が、幅寸法が最大となる位置85b(第2位置)における幅寸法L6より小さくされている。
この保持凹部85は、軸支持部88の端部89を保持することによって、軸支持部88が脱落する方向の変位を規制する、アンカー構造として機能する。この構造によって、軸支持部88の脱落を防止できる。
部品本体81は、第1実施形態における部品本体11と同様に、セラミックス材料などの脆性材料からなることが好ましい。
圧入部82は、軸支持部88からなる。軸支持部88は、中央孔部83aを有する環状の軸保持部83と、軸保持部83から径方向の外方に延出する複数の延出部87とを有する。
軸保持部83は、フレーム部86を組み合わせた構造であり、中央孔部84内に形成され、中央孔部84の内縁84a(内面)から離間して配置されている。図10に示す軸保持部83は、概略直線状の3つのフレーム部86が組み合わされて構成された略三角形の環状体であり、中央孔部83aは平面視三角形となっている。
フレーム部86の内縁は直線状に形成され、外縁は凸状に形成されている。フレーム部86の外縁は、長手方向の中央部86aにおいて最も突出高さが大きくなっている。このため、中央部86aの外縁は、フレーム部86の他の部分よりも中央孔部84の内縁84aに近い位置にある。
フレーム部86は、外縁が凸状に形成されているため、中央部86aは他の部分より厚く形成されている。フレーム部86の中央部86aは、軸部材30が当接するため応力が集中しやすいが、中央部86aを厚く形成することによって、前記応力を分散させることができる。
延出部87の端部89は、保持凹部85を満たすように形成されており、平面視略三角形とされている。
軸支持部88は、延出部87の端部89が保持凹部85に固定され、それ以外の部分が中央孔部84の内縁84a(内面)から離間して中央孔部84内に延出する形状となっている。
軸支持部88の伸び率は、部品本体81の伸び率より大きい。軸支持部88は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。軸支持部88は、例えば電鋳法を用いて形成される。
軸保持部83の内側の空間26(内側空間26、中央孔部83a)には、軸部材30が圧入可能である。
軸部材30が圧入されると、軸保持部83のフレーム部86の中央部86aが軸部材30に当接し、軸部材30によって外方に押圧される。これによって、フレーム部86は、中央部86aおよびその近傍が外方に変位するように弾性変形するとともに、その弾性力(曲げ弾性力)によって軸部材30を保持する。
軸支持部88が軸部材30を保持することによって、機械部品80は軸部材30に固定される。
平面視略三角形の中央孔部84の内縁84aのうち、各辺の中央部84bは、軸部材30が予め定められた通常位置から外れた場合に、フレーム部86(詳しくは中央部86aの外縁)が当接することにより軸部材30の外方への変位を規制する変位規制部として機能する。
機械部品80は、軸支持部88のフレーム部86が十分な曲げ弾性力を有するため、軸部材30に強固に固定される。このため、軸部材30のトルクを確実に部品本体81に伝達でき、時計の計時精度を向上させることができる。
また、第1実施形態の機械部品10と同様に、緩衝効果を高め、機械部品80の破損を防ぐことができる。
なお、中央孔部の平面視形状は、三角形に限らず、四角形以上の多角形であってもよい。
(第4実施形態、機械部品)
図11は、本発明の第4実施形態である機械部品170を示す平面図である。
図11に示すように、機械部品170は、概略円板状の部品本体171と、部品本体171の内側に設けられた圧入部172と、を備えている。
中央孔部174(貫通孔)の内縁174aには保持凹部175が形成されている。
保持凹部175は、軸支持部178の基端部179aが固定される平面視略円形の基端部175aと、基端部175aから延出して中央孔部174の内縁174a(内面)に達する延出部175bとを有する。延出部175b(第1位置)の幅寸法は、基端部175a(第2位置)の外径より小さい。保持凹部175は、軸支持部178の変位を規制するアンカー構造として機能する。部品本体171は、例えばセラミックス材料などの脆性材料からなる。
圧入部172は、1または複数の軸支持部178からなる。図11では、圧入部172は3つの軸支持部178からなる。
軸支持部178は、平面視略円形の基端部179aと、基端部179aから延出する先端側部分176とを有する。基端部179aは基端部175aに固定されている。先端側部分176の一部は、中央孔部174の内面(内縁174a)から、中央孔部174内の空間(内側空間26)に延出している。
先端側部分176は、径方向内方に延出している点で、図9に示す先端側部分76と異なる。先端側部分176の厚さは、基端部179aの外径より小さい。先端側部分176の厚さは長手方向に一定であることが好ましい。
軸支持部178の伸び率は、部品本体171の伸び率より大きい。軸支持部178は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。軸支持部178は、例えば電鋳法を用いて形成される。
軸部材30が内側空間26に圧入されると、軸支持部178は先端側部分176の先端部179bが軸部材30に当接し、軸部材30によって径方向外方に押圧される。先端側部分176は、長さ方向に押圧され、短縮する方向にわずかに弾性変形するとともに、その圧縮弾性力によって軸部材30を保持する。
軸支持部178が軸部材30を保持することによって、機械部品170は軸部材30に固定される。
機械部品170は、軸部材30のトルクを確実に部品本体171に伝達でき、時計の計時精度を向上させることができる。また、緩衝効果を高め、機械部品170の破損を防ぐことができる。
(第5実施形態、機械部品)
図12(a)は、本発明の第5実施形態である機械部品180を示す平面図である。図12(b)は、機械部品180の一部を拡大した平面図である。
機械部品180は、概略円板状の部品本体181と、部品本体181の内側に設けられた圧入部182と、を備えている。
中央孔部184(貫通孔)の内縁184aには、周方向に間隔をおいて複数(この例では6つ)の保持凹部185が形成されている。
保持凹部185は、軸支持部188の基部189aが固定される基部185aと、基部185aに比べて周方向の寸法が小さい狭幅部185bとを有する。狭幅部185bは基部185aの径方向内方側に位置する。部品本体181は、例えばセラミックス材料などの脆性材料からなる。
軸支持部188は、隣り合う保持凹部185,185に設けられた一対の固定部189,189と、これらを連結して設けられた中間部分200とを備えている。
固定部189は、保持凹部185内に形成されている。基部185aに形成された部分を基部189aといい、狭幅部185bに形成された部分を狭幅部189bという。
保持凹部185の狭幅部185bは、固定部189の基部189aに比べて周方向の寸法が小さいため、保持凹部185は、軸支持部188の変位を規制するアンカー構造として機能する。
中間部分200は、固定部189,189から中央孔部184内に、略内方に延出した基部201,201と、基部201,201の先端(延出端)どうしを連結して形成された内周延在部202とを備えている。内周延在部202の端部は、中間部分200が屈曲している。以下、この部分を屈曲部204という。
内周延在部202は、部品本体181の周方向に沿って延在している。内周延在部202は、中央孔部184の内縁184aおよび固定部189から径方向内方に離間している。
図12(b)に示すように、内周延在部202の内縁202aには、内方に突出する保持凸部203が形成されている。保持凸部203は、内周延在部202の長さ方向にわたって形成される。
保持凸部203は、内周延在部202の長さ方向の一部、例えば内周延在部202の長さ方向の中央部を含む範囲に形成されることが望ましい。保持凸部203は、屈曲部204よりも内周延在部202の長さ方向中央側の位置に形成されることが望ましい。
保持凸部203は、屈曲部204よりも径方向内方に突出していることが望ましい。これによって、屈曲部204への応力集中を緩和できる。
保持凸部203の内縁203aは、部品本体181の周方向に沿って形成され、軸部材30の外周面に当接可能である。
軸支持部188の伸び率は、部品本体181の伸び率より大きい。軸支持部188は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。軸支持部188は、例えば電鋳法を用いて形成される。
軸部材30が内側空間26に圧入されると、軸支持部188の内周延在部202の保持凸部203の内縁203aは軸部材30に当接し、軸部材30によって径方向外方に押圧される。内周延在部202は、径方向外方に押圧されることによりわずかに弾性変形するとともに、曲げ弾性力によって軸部材30を保持する。
内周延在部202は、部品本体181の周方向に沿って延在する形状であるため、周方向の広い範囲で軸部材30に当接する。そのため、軸支持部188に作用する力を分散して軸支持部188の破損を防ぐとともに、内周延在部202によって軸部材30を確実に保持できる。
また、内周延在部202は、保持凸部203によって軸部材30を保持する構造であるため、内周延在部202の端部(屈曲部204)での応力集中を緩和し、軸支持部188の破損を防ぐことができる。
軸支持部188が軸部材30を保持することによって、機械部品180は軸部材30に固定される。
なお、軸支持部188は、保持凸部203がない構成も可能である。その場合には、内周延在部202の内縁202aによって軸部材30が保持される。
機械部品180は、軸部材30に強固に固定される。そのため、軸部材30のトルクを確実に部品本体181に伝達でき、時計の計時精度を向上させることができる。また、緩衝効果を高め、機械部品180の破損を防ぐことができる。
(第6実施形態、機械部品)
図13は、本発明の第6実施形態である機械部品210を示す平面図である。
機械部品210は、部品本体211と、部品本体211の内側に設けられた圧入部212と、を備えている。
中央孔部214(貫通孔)の内縁214a(内面)には、複数の保持凹部215が形成されている。保持凹部215は、平面視において、周方向に沿う円弧状の周縁215aと、周縁215aの両端からそれぞれ内方に向かう側縁215b,215bとを有する概略扇形に形成されている。側縁215b,215bには、周縁215aから離れた位置(周縁215aよりも内方寄りの位置)にそれぞれ凸部216,216が形成されている。
保持凹部215は、軸支持部218を保持することによって、軸支持部218が内方および周方向に変位するのを規制するアンカー構造として機能している。
部品本体211は、セラミックス材料などの脆性材料からなる。
保持凹部215には、圧入部212を構成する軸支持部218が形成されている。
軸支持部218は、保持凹部215の内部空間を満たすとともに、中間部分217の内縁217aより内方に突出して形成されている。
軸支持部218は、平面視において、周縁215aに当接する円弧状の周縁218aと、側縁215bに当接する側縁218bと、周方向に沿う内縁218cとを有する、概略扇形とされている。
軸支持部218のうち保持凹部215内に形成された部分を主部221Aといい、中間部分217の内縁217aより内方に突出した部分を突出部222Aという。
軸支持部218の側縁218b,218bには、周縁218aから離れた位置(周縁218aよりも内方寄りの位置)に、それぞれ凹部224,224が形成されている。
軸支持部218の伸び率は、部品本体211の伸び率より大きい。軸支持部218は、塑性変形可能な材料、例えば金属材料により形成されていることが好ましい。軸支持部218は、例えば電鋳法を用いて形成される。
軸支持部218には、厚さ方向に貫通する貫通孔である開口部219が形成されている。開口部219は、部品本体211の周方向にわたるスリット状であることが好ましい。開口部219は、部品本体211の周方向に沿う形状であることが好ましい。開口部219の両端部は、それぞれ軸支持部218の周方向の両端部に近い位置(例えば凹部224または側縁218bに近い位置)にあることが好ましい。
開口部219よりも内方側の部分は、部品本体211の周方向に沿って延在する内周延在部223である。内周延在部223は、曲げ弾性力によって軸部材30を確実に保持できる。
開口部219は、軸部材30の保持により生じた軸支持部218の歪を吸収できるため、軸支持部218の破損を防ぐことができる。
開口部219は、内周延在部223に曲げ弾性力を与えるための構造であり、その形状は図示例に限定されない。例えば、周方向の十分な範囲にわたる形状であれば、部品本体211の周方向に沿う形状でなくてもよい。
機械部品210を製造する際には、開口部219の形状に即した中子(図示略)を使用して開口部219を形成することができる。例えば、軸支持部218を形成する工程(図4(a)および図4(b)に示す工程を参照)において、基材31の貫通穴34内に前記中子を設置した状態で軸支持部218を形成することによって、開口部219を形成することができる。前記中子は、軸支持部218の形成後、軸支持部218から取り外す。
図13に示す圧入部212は、周方向に並ぶ複数の軸支持部218によって構成されている。軸支持部218の形状は、環状体が複数箇所で分割された形状といえる。
圧入部212を分割形状とすることによって、圧入部212の周方向の変位を起こりにくくし、部品本体211に対する圧入部212の固定強度をさらに高め、機械部品210の動作時における回転緩みを防止することができる。よって、軸部材30のトルクを確実に部品本体211に伝達することができる。
なお、軸支持部の分割数は1以上であればよく、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。
軸支持部218の内縁218cの内側の空間26(内側空間26)には、軸部材30が圧入可能である。
軸部材30が圧入されると、軸支持部218は外方に押圧されて圧縮方向に塑性変形するとともに、軸支持部218の内縁218cが軸部材30を保持する。また、内周延在部223は、径方向外方に押圧されることによりわずかに弾性変形するとともに、曲げ弾性力によって軸部材30を確実に保持する。これによって、機械部品210は軸部材30に固定される。
そのため、軸部材30のトルクを確実に部品本体211に伝達でき、時計の計時精度を向上させることができる。また、緩衝効果を高め、機械部品210の破損を防ぐことができる。
(第1実施形態の第1変形例、機械部品)
図14は、第1実施形態の機械部品10の第1変形例である機械部品220を模式的に示す断面図である。図15は、機械部品220を示す平面図である。図14は、図15のXII-XII’線(一点鎖線)における断面図である。
図15に示すように、機械部品220は、部品本体221と圧入部222とを備えている。圧入部222は複数の軸支持部228からなる。軸支持部228の端部229は保持凹部225に保持されている。端部229,229の間の部分を中間部分226という。
図14に示すように、保持凹部225の周縁225aの内面225bは、第1面221aから第2面221bにかけて縮径するように一定角度で傾斜する傾斜面である。
軸支持部228は、(部品本体221に対する)厚さ方向の変位を規制する構造を有する。詳しくは、軸支持部228の端部229の外縁229aの外面229bは、軸支持部228の第1面228cから第2面228dにかけて縮径するように一定角度で傾斜する傾斜面であり、全面にわたって内面225bに当接している。
軸支持部228の第1面228cにおける外径(最大外径)は、保持凹部225の第2面221bにおける内径(最小内径)より大きいため、軸支持部228の下方移動(部品本体221の厚さ方向の移動)は規制される。
機械部品220は、この構造によって、軸支持部228の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
(第1実施形態の第2変形例、機械部品)
図16は、第1実施形態の機械部品10の第2変形例である機械部品230を模式的に示す断面図である。機械部品230の軸支持部238は中間部分236と端部239,239とを有する。
軸支持部238は、(部品本体231に対する)厚さ方向の変位を規制する構造を有する。詳しくは、軸支持部238の端部239は、本体部239aと、外方延出部239bとからなる断面L字状の構造を有する。
本体部239aは、保持凹部235の周縁235aの内面235bに設けられている。外方延出部239bは、本体部239aの第1面231a側の端部から、部品本体231の第1面231aに沿って径方向外方に延出する。
軸支持部238は、外方延出部239bが当接する第1面231aによって下方移動(部品本体231の厚さ方向の移動)が規制される。
機械部品230は、この構造によって、軸支持部238の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
(第1実施形態の第3変形例、機械部品)
図17は、第1実施形態の機械部品10の第3変形例である機械部品240を模式的に示す断面図である。機械部品240の軸支持部248は中間部分246と端部249,249とを有する。
保持凹部245は、部品本体241の厚さ方向の全範囲ではなく、一部範囲のみに形成されている。詳しくは、保持凹部245は、厚さ方向の中間位置から第1面241aまでの厚さ範囲に形成されている。
軸支持部248の中間部分246は、部品本体241と同じ厚さであり、部品本体241の全厚さ範囲に形成されている。
軸支持部248は、(部品本体241に対する)厚さ方向の変位を規制する構造を有する。詳しくは、軸支持部248の端部249は、部品本体241より薄くされ、部品本体241の厚さ範囲の一部(厚さ方向の中間位置から第1面241aまでの厚さ範囲)に形成されており、保持凹部245内に位置している。そのため、軸支持部248は、保持凹部245の底部245aによって下方移動(部品本体241の厚さ方向の移動)が規制される。
機械部品240は、この構造によって、軸支持部248の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
(第1実施形態の第4変形例、機械部品)
図18は、第1実施形態の機械部品10の第4変形例である機械部品250を模式的に示す断面図である。機械部品250の軸支持部258は中間部分256と端部259,259とを有する。
部品本体251に形成された保持凹部255は、主部255cと、第1面251aに形成された第1面凹部255dと、第1面凹部255dの外縁部に形成された外縁凹部255eとを有する。
主部255cは、保持凹部255の周縁255aの内面255bに形成されている。外縁凹部255eは、第1面凹部255dの外縁部の底面に、第2面251bに向けた凹状に形成されている。
軸支持部258は、(部品本体251に対する)厚さ方向の変位を規制する構造を有する。詳しくは、軸支持部258の端部259は、本体部259aと、外方延出部259bと、外縁凸部259cとを有する。
本体部259aは、主部255cに、部品本体251の全厚さ方向にわたって設けられている。外方延出部259bは、本体部259aの第1面251a側の部分から径方向外方に突出し、第1面凹部255d内に形成されている。外縁凸部259cは、外方延出部259bの外縁部から第2面251bに向けて突出し、外縁凹部255e内に形成されている。
軸支持部258は、第1面凹部255dの底部と外縁凹部255eの底部によって下方移動(部品本体251の厚さ方向の移動)が規制される。
機械部品250は、この構造によって、軸支持部258の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
(第1実施形態の第5変形例、機械部品)
図19は、第1実施形態の機械部品10の第5変形例である機械部品260を模式的に示す断面図である。機械部品260の軸支持部268は中間部分266と端部269,269とを有する。
保持凹部265は、部品本体261の厚さ方向の一部範囲、すなわち厚さ方向の中間位置から第1面261aまでの厚さ範囲に形成されている。
軸支持部268は、(部品本体261に対する)厚さ方向の変位を規制する構造を有する。詳しくは、軸支持部268の端部269は、部品本体261より薄くされ、部品本体241の厚さ範囲の一部(厚さ方向の中間位置から第1面261aまでの厚さ範囲)に形成されており、保持凹部265内に位置している。そのため、軸支持部268は、保持凹部265の底部265aによって下方移動(部品本体261の厚さ方向の移動)が規制される。
軸支持部268の中間部分266は、端部269と同じ厚さであって、端部269と同じ厚さ範囲に形成されている。
機械部品260は、前述の厚さ方向の変位を規制する構造によって、軸支持部268の脱落を防止し、その耐久性を高めることができる。
(第1実施形態の第6変形例、機械部品)
図20は、第1実施形態の機械部品10の第6変形例である機械部品270を模式的に示す断面図である。
部品本体271の保持凹部に形成された軸支持部278は、部品本体271の厚さ方向に弾性変形可能であり、この弾性力によって軸部材30を保持する。
以下、図面を参照して、本発明に係るムーブメントおよび時計の一実施形態について説明する。なお、参照する図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースの風防のある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「文字板側」と称する。
地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。
図21は、コンプリートの平面図である。
図21に示すように、時計1のコンプリート1aは、時に関する情報を示す目盛り3などをもつ文字板2と、時を示す時針4a、分を示す分針4bおよび秒を示す秒針4cを含む針4と、を備えている。
図22は、ムーブメント表側の平面図である。なお図22では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略している。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、地板102と香箱受160との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、地板102と輪列受162との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針4b(図21参照)が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針4a(図21参照)が「時」を表示するようになっている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142および機械部品10(てんわ)で構成されている。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
機械部品10(てんわ)は、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
上記構成によれば、前述した実施形態の機械部品を備えているので、計時精度が高いムーブメントおよび時計を提供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
1…時計
10,10A,70,80,170,180,210,220,230,240,250,260,270…機械部品
11,71,81,171,181,211,221,231,241,251,261,271…部品本体
12,72,82,172,182,212…圧入部
14,74,84,174,184,214…中央孔部(貫通孔)
14a,74a,84a,174a,184a,214a…中央孔部の内縁(貫通孔の内面)
15,75,85,175,185,215,225,235,245,255,265…保持凹部
17…変位規制凸部
19…軸支持部の端部
18,78,88,178,188,218,238,248,258,268,278…軸支持部
30…軸部材
31…基材
32…第1マスク
50…電鋳装置
100…ムーブメント
189…固定部
200…中間部分
201…基部
202・・・内周延在部
202a…内周延在部の内縁
203…保持凸部
203a…保持凸部の内縁
219…開口部

Claims (13)

  1. 軸部材を中心に回動する機械部品であって、
    前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、
    前記貫通孔の内面から前記貫通孔の内側に突出し、前記軸部材を前記部品本体に固定する1または複数の軸支持部と、を有し、
    前記軸支持部は弾性力によって前記軸部材を保持可能であり、
    前記部品本体には、前記軸支持部の一部を保持することにより、この軸支持部を固定する保持凹部が形成され、
    前記保持凹部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔の外側に向けて形成され、最も前記貫通孔に近い第1位置における幅寸法が、前記第1位置より前記貫通孔の外側に位置する第2位置における幅寸法より小さくされ
    前記軸支持部の伸び率は前記部品本体の伸び率より大きい、ことを特徴とする機械部品。
  2. 前記軸支持部は、塑性変形可能な材料により形成され、前記軸部材を曲げ弾性力により保持可能である、請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記軸支持部は、一端側および他端側がそれぞれ前記部品本体に固定され、中間部分が前記貫通孔内面から離間するアーチ状に形成され、
    前記中間部分は、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の機械部品。
  4. 前記貫通孔の内面には、前記軸部材が予め定められた通常位置から外れた場合に、前記軸部材に当接して外方への変位を規制する変位規制凸部が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  5. 前記軸支持部は、一端側および他端側がそれぞれ前記部品本体に固定された一対の固定部と、前記固定部から前記貫通孔内に延出する基部と、前記基部の延出端どうしを連結する内周延在部とを備え、
    前記内周延在部は、前記部品本体の周方向に延在し、曲げ弾性力によって前記軸部材を保持可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の機械部品。
  6. 前記内周延在部には、前記軸部材に当接してこれを保持する保持凸部が内方に突出して形成され、
    前記保持凸部は、前記内周延在部の端部より内方に突出して形成されていることを特徴とする請求項に記載の機械部品。
  7. 前記軸支持部は、前記部品本体の周方向にわたって形成された開口部を有する請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  8. 前記軸支持部は、前記部品本体に対する厚さ方向の変位を規制する変位規制構造を有する請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  9. 前記部品本体は、脆性材料からなり、
    前記軸支持部は、金属からなることを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  10. 前記軸支持部は、前記軸部材が圧入されることにより前記軸部材に固定される圧入部を構成することを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の機械部品を備えたことを特徴とするムーブメント。
  12. 請求項11に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
  13. 軸部材を中心に回動する機械部品の製造方法であって、
    前記機械部品は、前記軸部材が挿通する貫通孔を有する部品本体と、
    前記貫通孔の内面に形成され、前記軸部材を前記部品本体に固定する1または複数の軸支持部と、を有し、
    前記軸支持部は、前記貫通孔の内面から前記貫通孔内に突出し、弾性力によって前記軸部材を保持可能であり、
    前記軸支持部の伸び率は前記部品本体の伸び率より大きく、
    前記部品本体となる基材の少なくとも一方の面に、前記軸支持部の形状に対応した内形と前記部品本体の外形に対応した外形とを有するマスクを形成し、前記マスクの内形に合わせて前記基材に前記軸支持部を保持するための構造を形成する工程と、
    電鋳法により前記軸支持部を形成する工程と、
    前記マスクの外形に合わせて前記基材の不要部分を除去する工程と、を有することを特徴とする機械部品の製造方法。
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