JP5926005B2 - 発泡性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

この発明は、ウレタン樹脂及び(メタ)アクリル系複合樹脂からなる複合樹脂を含有する発泡性樹脂組成物に関する。
ウレタン樹脂は、種々の分野で利用されている樹脂である。このウレタン樹脂の製造に際しては、有機溶剤が多量に用いられることが多く、作業環境などで問題となることがあり、自己分散性の水性ポリウレタン樹脂の有用性が注目されている。このような自己分散性の水性ポリウレタン樹脂については、本来有する基材への密着性、耐摩耗性、耐寒性等の長所を活かしつつ、耐候性や耐溶剤性の欠点を補うため、近年、アクリル樹脂との複合による機能化が行われている。
ウレタン樹脂は、ジオールと多価イソシアネートとを重縮合させてなる樹脂であり、(メタ)アクリル系重合体とは異なる性質を有しており、両者を複合化することで双方の樹脂の利点を活かすものとすることができる。(メタ)アクリル系重合体とウレタン樹脂との複合樹脂を得るには、両者を単純に混合する方法(いわゆるポリマーブレンド)が知られている。
また、反応容器に仕込んだウレタン樹脂の水分散体に、アクリル系単量体を加えてシード重合してウレタン−アクリル系重合体の粒子内混合物のエマルジョンを得、次いで、さらにこのエマルジョンに、アクリル系単量体を添加して、前記の粒子内混合物をシードとして重合したウレタン樹脂とアクリル樹脂との複合エマルジョンが知られている(特許文献1、請求項1、[0007])。
さらに、芯部を構成するアクリル系重合体と殻部を構成するウレタン系重合体からなる複合樹脂が知られている(特許文献2)。そして、この複合樹脂の製造方法としては、反応容器に仕込んだウレタン系重合体のエマルジョンに、アクリル系単量体を添加して乳化重合する方法、反応容器に仕込んだアクリル系重合体の存在下に、ラジカル重合性基を有するウレタン系プレポリマーや、ウレタン系重合体をウレタン系単量体に溶解したものを添加して重合する方法等が記載されている。
特開2005−120304号公報 特開平9−111132号公報
ところで、人工皮革にウレタン樹脂が使用されているが、ウレタン樹脂は耐久性や耐加水分解性と柔軟性との両立が困難であることと、コスト面の問題から人工皮革における、これらウレタン樹脂の欠点を改良し、かつその使用量を減らすことが検討されている。この方法としては、例えばアクリル樹脂等の他の樹脂をブレンドする方法があげられる。
しかし、ウレタン樹脂とアクリル樹脂とを単純にブレンドして皮膜化した場合、両樹脂がそれぞれ別個に皮膜を形成したり、耐候性や人工皮革としての実用上の強度や屈曲性、耐加水分解性が不十分となったりする傾向がある。
これに対し、特許文献1や2に記載の方法で得られるエマルジョンを用いることが考えられる。しかし、この場合、単純にブレンドした場合に比べ、問題点は多少改善されるものの、十分とはいえない。
そこで、この発明は、人工皮革として使用した場合に、十分な強度と屈曲性を有するとともに、耐加水分解性に優れたウレタン−(メタ)アクリル系の複合樹脂水性分散液を得、更にその樹脂の効果を最大限に発揮させることができる人工皮革用配合を得ることを目的とする。
この発明は、下記のウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液から得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂100重量部あたり、起泡剤0.05〜7重量部、及び整泡剤0.5〜6重量部を含有してなる発泡性樹脂組成物を用いることにより、上記の課題を解決したのである。
・ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液:
1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を予め分散した原料乳化液を、水系媒体の存在下、反応容器中に逐次的又は連続的に添加することにより、ウレタン樹脂の存在下で、上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を乳化重合して得られる水性分散液であって、上記乳化重合は、上記原料乳化液として、互いに異なる組成を有する少なくとも2種類の原料乳化液を用い、一つの原料乳化液の添加が終了した後、次の原料乳化液の添加を開始し、かつ、上記原料乳化液のうち、最初に上記反応容器中に添加する原料乳化液として、ウレタン樹脂が含有されたものを用いて行うことにより得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液。
この発明によると、特定のウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂、起泡剤、及び整泡剤を用いるので、人工皮革として使用した場合に、十分な強度と屈曲性を持ち、しかも耐加水分解性の優れた複合樹脂を得ることができる。
剥離強度測定において得られる剥離長と剥離強度との関係のチャートの例
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物は、所定のウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液から得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂に、起泡剤及び整泡剤を含有させた樹脂組成物である。なお、この発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を示す。
[ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液]
上記のウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液は、1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を予め分散した原料乳化液を、水系媒体の存在下、反応容器中に逐次的又は連続的に添加することにより、ウレタン樹脂の存在下で、上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を乳化重合して得られる水性分散液である。
上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル基を有する単量体である。その中でも、主成分として用いる単量体としては、汎用の(メタ)アクリル基を有する単官能系単量体を使用することが好ましい。
なお、主成分とは、その使用量が全単量体量の50%を超えるか、又は3種類以上の単量体を用いる場合、その中で最も使用量が多いものを言う。
上記の(メタ)アクリル系単量体のうち(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチルが挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、とりわけアルキル基の炭素原子数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
また、重合の安定化のために、併用することが好ましい親水性基(水酸基、カルボキシル基、エーテル基等)を有する(メタ)アクリル系単量体としては、以下の単量体を例示することができる。カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2−アクリロイルオキシプロピオン酸等があげられる。
また、水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。
さらに、エーテル基含有単量体としては、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、アリルアルコール等が挙げられる。
上記親水性基含有単量体の含有割合は、単量体混合物に含有される単量体の全量を100重量部としたとき、0.5重量部以上がよく、1重量部以上が好ましい。0.5重量部より少ないと、乳化重合の安定性が十分に向上しない傾向がある。一方、含有割合の上限は、20重量部がよく、15重量部が好ましい。20重量部より多いと、重合中にゲル化しやすくなり、重合が困難となる場合がある。
これらの成分は1種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
また、上記の(メタ)アクリル系単量体を含む原料乳化液には、(メタ)アクリル系単量体に加えて、重合性二重結合を有するその他の単量体を含んでいてもよい。このようなその他の単量体としては、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体が挙げられる。
上記エステル基含有ビニル単量体の具体例としては、炭素原子数が1〜8の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル類、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸ビニル等の疎水性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
上記(メタ)アクリル系単量体は、使用する(メタ)アクリル系単量体から得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が、−80℃以上となるように選択するのが好ましく、−65℃以上となるように選択するのがより好ましい。−80℃より低い(メタ)アクリル系単量体組成では、得られる皮膜がタック性を示すことがあり質感を損なうという問題点を生じるおそれがある。一方、ガラス転移温度(Tg)の上限は、110℃が好ましく、80℃がより好ましい。110℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、本願発明で得られる複合樹脂を用いても、均一な皮膜が形成されないことがある。
また、上記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。さらに、上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
さらにまた、得られる複合樹脂水性分散液から形成される皮膜の強度を向上させるため、上記(メタ)アクリル系単量体混合液には、上記の1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体に加え、ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体を添加してもよい。これにより得られる複合樹脂を、多価ヒドラジド化合物により架橋することが可能となり、皮膜の強度向上に効果的である。
上記ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセチルアセトン(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は複数種をあげることができる。
このケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体の含有割合としては、上記(メタ)アクリル系単量体に含まれる全単量体を100重量部としたとき、0.1重量部以上がよく、0.3重量部以上が好ましい。0.1重量部より少ないと、添加による効果が十分得られない場合がある。一方、使用量の上限としては、30重量部がよく、20重量部が好ましい。30重量部より多いと、反応系が不安定となり、重合を阻害する場合がある。
上記ウレタン樹脂は、ジオール成分と多価イソシアネート化合物とを反応させた重合体であって、上記(メタ)アクリル系単量体と混合可能な平均粒子径及び分子量を有するものであり、水分散性のものが好ましい。このようなウレタン樹脂としては、市販のウレタン水性エマルジョンをそのまま用いてもよい。具体的には、DIC(株)製:ハイドランHW−301、HW−310、HW−311、HW−312B、HW−333、HW−340、HW−350、HW−375、HW−920、HW−930、HW−940、HW−950、HW−970、AP−10、AP−20、ECOS3000、三洋化成工業(株)製:ユープレンUXA−3005、ケミチレンGA−500、第一工業製薬(株)製:スーパーフレックス110、スーパーフレックス150、スーパーフレックス260S、スーパーフレックス210、スーパーフレックス420、スーパーフレックス500M、アデカ社製:アデカボンタイターUHX−210、アデカボンタイターUHX−280、住化バイエルウレタン(株)製:ディスパコールU53、ディスパコールU54、ディスパコールU56、ディスパコールU42、インプラニールDLU、インプラニールDLS等の市販品を用いてもよい。
上記ジオール成分とは、1分子中に2つのヒドロキシル基を有する有機化合物をいい、具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオール類、又はこれらのジオール類の少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエーテルジオール類、その他、ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール、ポリアクリル酸エステルジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジオール等があげられる。
上記多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物をいい、脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物を用いることができる。このような多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等をあげることができる。これらの内で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートは黄変が少ない点で好適である。
上記ウレタン樹脂を製造するウレタン生成反応は、無溶媒下でも行うことができるが、反応を均一に行うために、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、その他のイソシアネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶媒を使用してもよい。
また、イソシアネート基に対して反応性のない、すなわち、活性水素基を含まない上記(メタ)アクリル系単量体やその他の単量体をこのウレタン樹脂の製造の際に存在させてもよい。この場合、この上記(メタ)アクリル系単量体やその他の単量体によって反応系が希釈されて反応を均一に行うことができる。このウレタン生成反応は、50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度行えばよい。
上記ウレタン生成反応における、ジオール成分と多価イソシアネート化合物との使用割合は、特に限定されるものではないが、当量比で、ジオール成分:多価イソシアネート化合物=1:1.1〜2がよく、1:1.2〜1.9が好ましい。
多価イソシアネート化合物の割合を、上記範囲より高くすると、水分散の際に残存するイソシアネートと水との反応により、炭酸ガスの発生が顕著に起こり、発泡や凝集が起こるという問題点を生じる場合がある。一方、上記範囲より少なくすると、生成するウレタンプレポリマーが高粘度化してしまい、ゲル状になることがあり、作業上問題になる場合がある。
上記ウレタン樹脂の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレートやジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の有機アミン又はその塩等があげられる。
上記のウレタン樹脂の重量平均分子量は500以上であるとよく、1000以上であると好ましい。重量平均分子量が500未満であると、得られる複合樹脂を用いて製造した皮膜の凝集力が下がり、所望の物性(伸度等)が得られ難くなるおそれがある。一方で、重量平均分子量は、50万以下であるとよく、10万以下であると好ましい。50万より大きいと、シードそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定な(メタ)アクリル系単量体混合液が得られなくなったりする場合がある。
上記のウレタン樹脂を後述する水系媒体に分散させて、ウレタン樹脂エマルジョンを生成させると、上記(メタ)アクリル系単量体を混合して得られる、上記(メタ)アクリル系単量体混合液を水分散液とすることができる。この水分散液は、(メタ)アクリル系単量体の乳化重合反応にそのまま供与することができ、乳化重合時の反応系をより安定させることが可能となり、得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂エマルジョンの分散系を安定化させることができる。また、この場合、乳化重合時に生じやすい凝集物の生成を抑制させることが可能となる。
上記ウレタン樹脂エマルジョンを生成する場合、ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入しておくと、自己分散性樹脂としてエマルジョン化が可能となり好ましい。また、必要に応じて、乳化剤を用いると、エマルジョンをより安定化させることができ、好ましい。
上記乳化剤は、通常、ジオール成分と多価イソシアネート化合物の合計量に対して、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いられる。この乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤を用いることができる。そして、これらの乳化剤は、1種又は2種以上を選択して用いることができる。
上記のアニオン性界面活性剤の具体例としては、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリル燐酸エステル等の非反応性界面活性剤、及びアルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば三洋化成(株)製:エレミノール(登録商標)JS−2、例えば花王(株)製:ラテムル(登録商標)S−180A、S−180等があげられる。)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば第一工業製薬(株)製:アクアロン(登録商標)HS−10、HS−5、BC−10、BC−5等があげられる)、α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩(例えば旭電化工業(株)製:アデカリアソープ(登録商標)SE−10、SE−1025A等があげられる)、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば第一工業製薬(株)製:アクアロン(登録商標)KH−10等があげられる)、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩(例えば旭電化工業(株)製:アデカリアソープ(登録商標)SR−10、SR−1025等があげられる)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩(例えば花王(株)製:ラテムル(登録商標)PD−104等があげられる)等の反応性界面活性剤等があげられる。
上記のカチオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等の非反応性界面活性剤等が挙げられる。
上記のノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピルブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非反応性界面活性剤、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))(旭電化工業(株)製:アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製:アクアロンRN−20、RN−30、RN−50)、ポリオキシアルキルアルケニルエーテル(花王(株)製:ラテムルPD−420、PD−430、PD−450)等の反応性界面活性剤等があげられる。
さらに、上記乳化剤としては、上記したもの以外に、両イオン性成分として、両イオン性の界面活性剤を用いることができる。
上記両イオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルヒドロキシスルホベタイン等の非反応性界面活性剤があげられる。
上記ウレタン樹脂エマルジョン中の水分散体の平均粒子径は、30nm以上であると好ましく、50nm以上であるとより好ましい。30nm未満では、水分散液の粘度が高くなり、流動性が低下するおそれがある。一方、1500nm以下であると好ましく、1000nm以下であるとより好ましい。1500nmを超えると、得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂の平均粒子径が大きくなり、保存中に分離・沈降するおそれがある。このような条件を満たすウレタン樹脂エマルジョンの例としては、前述した市販されている水分散性ウレタン樹脂があげられる。
上記水系媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等を用いることが出来る。この中でも、環境的な側面から水を用いるのが好ましい。
上記ウレタン樹脂エマルジョンの固形分含有率は、10重量%以上であるとよく、25重量%以上であると好ましい。10重量%より少ないと、(メタ)アクリル系単量体との分散液の濃度が低くなり、結果として得られる複合樹脂分散液の濃度が低くなって、塗布後の乾燥のために、時間やエネルギーが多く必要となり、作業性が悪化するおそれがある。一方、上限は、70重量%がよく、60重量%が好ましい。70重量%より多いと、分散液の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向がある。
なお、上記ウレタン樹脂の生成を有機溶媒環境下で行った場合、有機溶媒から上記水系媒体に転相させて、有機溶媒を除去しておくと、その後の乳化重合を阻害しなくなるので望ましい。
次に、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を得るための重合反応である乳化重合について説明する。
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液は、上記の通り、水系媒体の存在下で、反応容器中に原料乳化液を逐次的又は連続的に添加することにより、ウレタン樹脂の存在下で、上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を乳化重合することにより得ることができる。
上記原料乳化液とは、前述の1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を水系媒体に乳化分散した(メタ)アクリル系単量体のエマルジョンである。そして、最初に反応器中に添加する原料乳化液には、ウレタン樹脂が含有される。この原料分散液をエマルジョンとすることにより、後述する乳化重合反応において、(メタ)アクリル系単量体の水系媒体中への分散がより容易となり、分散系を安定させることができる。そして、分散系の安定により、乳化重合時に生じやすい凝集物の生成を抑制することができる。
上記の分散をする場合、分散性を向上させるため、乳化剤を用いるのが好ましい。この乳化剤としては、上記した乳化剤と同様の乳化剤を用いることができる。
また、この乳化剤の含有量は、上記(メタ)アクリル系単量体に対して、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上が好ましい。0.05重量%未満であると、乳化分散が十分に行われず、添加後の反応が不安定となる可能性が高くなる。一方、上限は、10重量%が好ましく、5重量%がより好ましい。10重量%を超えると、乳化剤により、生成する皮膜の耐水性や吸水性が悪くなる傾向が生じるおそれがある。
上記反応容器に添加される上記原料乳化液としては、互いに異なる組成を有する少なくとも2種類の原料乳化液が用いられる。そして、一つの原料乳化液の添加後に次の原料乳化液を添加する、すなわち、一つの原料乳化液の添加が終了した後、次の原料乳化液の添加を開始することが好ましい。このように、複数の原料乳化液を順次添加していくことにより、得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を人工皮革用に使用したとき、柔軟性と強靭性を併せ持った膜の形成を可能とすることができる。
上記の複数の原料乳化液を順次添加していく場合において、一つの原料乳化液中の(メタ)アクリル系単量体組成から得られる重合体のガラス転移温度(TgA1)と、上記次の原料乳化液中の(メタ)アクリル系単量体組成から得られる重合体のガラス転移温度(TgA2)とは、TgA2がTgA1より高い温度であることがよく、その差(TgA2−TgA1)は、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。10℃より低いと、複数の原料乳化液に分割して添加することによる効果が十分に得られないことがある。一方、差の上限は、150℃が好ましく、100℃がより好ましい。150℃より高いと、得られる皮膜が硬くなり、人工皮革用としては、柔軟性が不足する傾向がある。
また、上記ウレタン樹脂は、上記原料乳化液のうち、最初に上記反応容器中に添加する原料乳化液に少なくとも含有される。より均一なウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂分散液を得るためには、組成比を調整した上で、他の原料乳化液に上記ウレタン樹脂を含有させることも好ましい態様である。
なお、上記ウレタン樹脂のウレタン生成反応時に、(メタ)アクリル系単量体を添加する場合、このウレタン樹脂を含有させる原料乳化液を製造する際に使用される(メタ)アクリル系単量体の使用量は、上記ウレタン生成反応時に使用した(メタ)アクリル系単量体量を差し引いたものとすればよい。
上記の全原料乳化液の全量に対する、上記の全原料乳化液におけるウレタン樹脂と(メタ)アクリル系単量体との合計固形分量の割合は、30重量%以上であるとよく、40重量%以上であると好ましい。30重量%未満であると、得られる複合樹脂の固形分濃度が低くなり、皮膜を形成させる際に、乾燥のためのエネルギーや時間が多く必要となり、作業上の問題点が生じるおそれがある。一方、上限は、80重量%がよく、70重量%が好ましい。80重量%を超えると、上記の混合液や分散液の粘度が高くなり、流動性が低下するおそれがある。
上記の原料乳化液を、上記した条件の下、順次水系媒体の存在下で反応容器中に添加して、乳化重合を実施する。この水系媒体としては、前記と同様のものを用いることができる。
上記水系媒体中には、予め乳化剤を含ませておくと、乳化重合の反応系を安定させることができるので好ましい。ここで用いる乳化剤としても、前記と同様のものを用いることができる。
上記の反応容器中の水系媒体に含まれる上記乳化剤の量は、上記(メタ)アクリル系単量体に対して0.05重量%であると好ましく、0.1重量%以上であるとより好ましい。0.05重量%未満であると、反応系での分散が十分にされず、反応系が不安定となる可能性が高くなる。一方で、上記(メタ)アクリル系単量体に対して10重量%以下であると好ましく、5重量%以下であるとより好ましい。10重量%を超えると、乳化剤により、得られる皮膜の耐水性や吸水性が悪化するおそれがある。
上記乳化重合において、ラジカル重合開始剤は、前もって上記水系媒体に加えておいてもよく、上記の原料乳化液の滴下にあわせて、ラジカル重合開始剤を滴下してもよく、その両方を行ってもよい。
このラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いればよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイドやジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系単量体及び上記その他の単量体の合計量に対して、0.01〜5重量%程度、好ましくは0.05〜2重量%程度とすればよい。
上記乳化重合の重合温度は10〜90℃で行うのがよく、30〜70℃で行うとより好ましい。この重合は、通常、発熱が終了した後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、ほぼ完了する。これにより、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂の水性エマルジョンが得られる。
ところで、上記ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体を用いる場合、乳化重合後に、末端に複数のヒドラジド基を有する化合物(下記式(1)、以下、「多価ヒドラジド化合物」と称することがある。)を添加すると、自己架橋性が発現する点で好ましい。このようにすると、皮膜形成時に架橋構造が形成されて、得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂から生成する皮膜の強度の向上を図ることができる。また、多価ヒドラジド化合物を含むウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の分散液は、自己架橋性を有しつつ、安定的に長期保存が可能である。
Figure 0005926005
なお、上記式(1)中、Rは、直接結合、炭素数1〜8の2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基等)、又は下記式(2)で表される基を示す。
Figure 0005926005
上記末端にヒドラジド基を複数有する化合物(多価ヒドラジド化合物)としては、分子中に2個(以上)のヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体があげられる。具体的には、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等があげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アジピン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(ヒドラジドカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインが水への溶解性が良好である点から好ましく、さらにアジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
このような多価ヒドラジド化合物の使用量は、上記のケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体の使用量に対し、0.1倍当量以上が好ましく、0.3倍当量以上がより好ましい。0.1倍当量より少ないと、架橋不足となり、所望の効果が十分得られない場合がある。一方、使用量の上限は1.5倍当量が好ましく、1.2倍当量がより好ましい。1.5倍当量より多いと、未反応で残留する多価ヒドラジド化合物が、塗膜欠陥(ブツ、フクレ等)の原因となる場合がある。
なお、多価ヒドラジド化合物の添加時期は、乳化重合終了後であれば、特に限定されず、例えば、乳化重合が終了し、未反応単量体の除去後、分散液の移送中やその前後、あるいは、酸化防止剤、充填剤、安定剤等の各種助剤添加時やその前後、などがあげられる。
なかでも、本発明の特徴である保存安定性を活かしつつ、使用の利便性を考慮すると、未反応単量体の除去後や、生成分散液の移送中又はその前後に添加するのが、多価ヒドラジド化合物の均一な分散・溶解と、それによる皮膜形成時の均一な架橋構造形成の点で好ましい。
得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂において、ウレタン樹脂成分とアクリル系樹脂成分との重量比率は、ウレタン樹脂成分/アクリル系樹脂成分で、5/95以上がよく、10/90以上が好ましい。5/95より小さいと、ウレタン樹脂成分の効果を得られないという問題点を生じる場合がある。一方、重量比率の上限は、85/15がよく、80/20が好ましい。85/15より大きいと、得られた分散液から作られる皮膜の耐久性が低下するという問題点を生じる場合がある。
得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂には、後述する硬化剤と反応し得る官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、カルボキシル基等があげられる。
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂のカルボキシル基は、上記したように、(メタ)アクリル系複合樹脂を構成する単量体として用いられる側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体や、ウレタン樹脂を構成するジオールとして用いられるカルボキシル基を有するジオールに由来する。
[(メタ)アクリル系単量体の単独重合体]
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液には、必要に応じて、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体を含有させてもよい。この(メタ)アクリル系単量体の例としては、上記と同様の(メタ)アクリル系単量体をあげることができる。
上記(メタ)アクリル系単量体単独重合体は、水性媒体中で1種類の(メタ)アクリル系単量体を重合することにより得られる。この重合方法としては、上記の(A)分散液を製造するために用いられる乳化重合方法を採用することができる。この水性媒体としては、上記と同様の水性媒体を使用することができる。
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂と、上記(メタ)アクリル系単量体単独重合体との混合比率(重量比)は、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂/(メタ)アクリル系単量体単独重合体で、94/6以下がよく、90/10以下が好ましい。94/6より大きいと、(メタ)アクリル系単量体単独重合体に基づく効果が得られないという問題点を生じる場合がある。一方、混合比率の下限は、4/96がよく、5/95が好ましい。4/96より小さいと、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂に基づく柔軟性とべたつき防止の両立等の効果が得られないという問題点を生じる場合がある。
この発明にかかる複合樹脂水性分散液中の複合樹脂の平均粒子径は、30nm以上がよく、50nm以上が好ましい。30nmより小さいと、エマルジョンが高粘度となって、作業性が悪化する傾向となる。一方、平均粒子径の上限は、1500nm(1.5μm)がよく、1000nmが好ましい。1500nmより大きいと、得られる複合樹脂水性分散液の安定性が低下したり、樹脂の沈降分離が発生することがある。
[発泡性樹脂組成物]
この発明にかかる発泡性樹脂組成物は、上記の通り、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液から得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂、及び必要に応じて(メタ)アクリル系単量体単独重合体を混合した混合樹脂に、起泡剤及び整泡剤を含有させた樹脂組成物である。
上記起泡剤は、樹脂組成物を気泡させるための剤であり、上記整泡剤は、生じた気泡を保持するための剤である。
この起泡剤としては、アニオン界面活性剤等、撹拌等によって機械的に発泡させる剤や、炭酸水素ナトリウムやアゾジカルボンアミド等の化学発泡剤等をあげることができる。上記アニオン界面活性剤の例としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩類、オレイン酸カリ石けん、ひまし油カリ石けん、ステアリン酸ソーダ石けん等の脂肪酸アルカリ金属塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等の高分子系界面活性剤等があげられる。
また、上記整泡剤としては、高級脂肪酸アルカリ金属塩類等があげられる。
上記起泡剤の含有量は、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂100重量部あたり、0.05重量部以上が必要で、0.06重量部以上が好ましい。0.05重量部より少ないと、起泡効果が十分得られない。一方、含有量の上限は、7重量部で、6.5重量部が好ましい。7重量部より多いと、耐水性が不十分となる。
上記整泡剤の含有量は、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂100重量部あたり、0.5重量部以上が必要で、0.6重量部以上が好ましい。0.5重量部より少ないと、効果が十分得られず、発泡体のセル粗れ等が発生する。一方、含有量の上限は、6重量部で、6.5重量部が好ましい。6重量部より多いと、膜にした時の強度が低下する。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物は、さらに、硬化剤を含有させてもよい。この硬化剤を加えることにより、発泡性樹脂組成物を構成する樹脂同士を架橋することができ、強度をより向上させることができる。
この硬化剤としては、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂中の官能基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有する剤が用いられる。上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂中の官能基がカルボキシル基の場合、使用される硬化剤の具体的な例としては、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物等があげられる。
上記硬化剤の使用量は、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂100重量部に対し、1重量部以上がよく、2重量部以上が好ましい。1重量部より少ないと、効果が十分得られないことがある。一方、含有量の上限は、10重量部がよく、4重量部が好ましい。10重量部より多いと、未硬化の硬化剤が残り塗膜欠陥の原因になることがある。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物の粘度は、25℃において、B型粘度計(#4ローター)を用い、12rpmで測定した条件において、5,000mPa・s以上がよく、6000mPa・s以上が好ましい。5,000mPa・sより小さいと、基布への浸透性が高くなり、発泡層の均一性が不足したり、皮膜の風合いが悪化することがある。一方、粘度の上限は、50,000mPa・sがよく、45,000mPa・sが好ましい。50,000mPa・sより大きいと、作業性が悪化する傾向となる。
ところで、この発明にかかる発泡性樹脂組成物の粘度が、使用目的より高め又は低めの場合がある。この場合、この発泡性樹脂組成物に粘度調整剤を添加し、粘度を調整してもよい。ただし、粘度調整剤を加えた後の粘度は、上記条件において、上記した粘度範囲を満たすことが好ましい。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物から形成される皮膜は、十分な強度及び伸度等の機械的物性値が得られ、また、耐水性や吸水性も優れている。
特に、上述のように、ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体を共重合させ、かつ、これと多価ヒドラジド化合物を併用すると、架橋構造形成による皮膜の強度の向上を図ることができて好ましい。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物から形成される皮膜のJIS−K−7161〜7162に従って測定した最大伸びは、200%以上とすることができ、900%以上とすることが好ましい。200%未満であると、柔軟性が不足することがある。一方、伸度の上限は、3000%であるとよく、2500%であると好ましい。3000%より大きいと、弾性が低く、織布等に塗布した場合の追従性が悪化する傾向となる。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物から形成される皮膜のJIS−K−7161〜7162に従って測定した破断強度は、2MPa以上であるとよく、5MPa以上であると好ましい。2MPa未満であると、皮膜強度が不足し、実用性に劣ることとなる。
この発明にかかる発泡性樹脂組成物から形成される皮膜の吸水率は、30%以下とすることができ、20%以下とすることが好ましい。30%を超えると、皮膜の耐水性が不足するおそれがある。
[用途]
この発明にかかる発泡性樹脂組成物は、基材層に積層することにより、基材層の表面に発泡層を形成した積層体を得ることができる。
このような積層体の例として、人工皮革をあげることができる。この人工皮革とは、通常、織布や不織布等の基材層に樹脂を塗布又は積層して樹脂層を形成した積層体である。このとき、樹脂を含む塗布液が基材層へ浸透し、基材層、基材層に樹脂が含浸された複合層、及び樹脂層の3層構造を形成することもある。上記の樹脂を含む塗布液は、樹脂そのものの溶融物でも、樹脂を主な構成成分とする配合物(液)でもよい。このとき、上記樹脂層及び/又は複合層が発泡構造を有する発泡層を形成していてもよい。
さらに、この樹脂層は外表面にエンボス加工等の表面処理が加えられたり、又は樹脂層の上にエンボス加工された被覆層やハードコート層、防汚層等の表面層が積層されたりしていても構わない。
上記基材層としては、織布、不織布、不織布上に織布を載せたもの等があげられる。この不織布や織布を構成する繊維としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等の溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレート等の溶融紡糸可能なポリエステル類、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維等の合成繊維やセルロース系繊維等の半合成繊維、再生繊維等があげられる。
上記の基材層に含浸される樹脂は、人工皮革としたときの強度、耐久性、柔軟性を考慮して、一般のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂や、この発明にかかる複合樹脂水性分散液に含有される複合樹脂、またはこれらの混合物の中から任意の樹脂を用いることができる。この含浸用樹脂として、この発明にかかる複合樹脂水性分散液に含有される複合樹脂を用いると、耐摩耗性、耐寒性及び耐久性に優れた人工皮革を得ることができ好ましい。
また、上記の繊維質基材積層体からなる人工皮革は、まず、基材層に上記樹脂を含浸させ、次いで、その表面に上記コーティング用樹脂分散液を塗工して、発泡成形をし、次いで、必要に応じて、得られた発泡層に、直接、表面処理を行うか、表面処理をした表面層(スキン層)を積層させるか、又はスキン層の積層後に表面処理をすることにより、表面処理されたスキン層を有する繊維質基材積層体を製造することができ、これを人工皮革として用いることもできる。
この発明にかかる複合樹脂水性分散液は、上記の通り、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液から得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂を用いるので、最大伸びや剥離強度等の強度が向上し、表面タックが少なく、耐久性の良好なものとすることができる。
以下、この発明を、実施例を用いてより具体的に示す。なお、この発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、評価方法及び使用した原材料について説明する。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
樹脂中の各構成単量体(重合性単量体)a,b,…の構成重量分率をWa,Wb,…とし、各構成単位a,b,…の単独重合体のガラス転移温度をTga,Tgb,…としたとき、下記に示すFOXの式で、共重合であるビニル重合体のTgの値を求めた。
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+…
[平均粒子径測定]
ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を、フィルター(アドバンテック社製:DISMIC−25cs)でろ過したイオン交換水で10000倍に希釈する。それを測定用セルに充填し、動的光散乱法(大塚電子(株)製:ELS−8000を使用)にて、平均粒子径を測定した。
なお、ウレタンの水分散液についても、同様の方法で平均粒子径を測定した。
[粘度]
発泡前の発泡性樹脂組成物約400gを500mlのポリエチレン製瓶に入れて、蓋をした後、25℃の恒温槽に3時間放置して、温度が25℃になったところで、B型粘度計(TOKI SANGYO Co.製、TV−10M型、#4ローター、12rpm)で粘度を測定した。
[比重]
JIS K 5600−2−4の記載にしたがって測定した。
[試験片の作成]
発泡させた各発泡性樹脂組成物を固形分で100重量部になるように採取し、下記の配合で調整した塗工液を繊維質層のポリエステルフェルトに1mm厚に塗布して、140℃熱風乾燥機により、塗膜を乾燥させて、人工皮革としての評価用試験片を作成した。
[塗工液]
下記の各原材料をディスパーにより良く撹拌混合し、増粘剤を添加して、配合物粘度が13,000〜20,000mPa・sとなるように増粘させた。その後、ハンドミキサーにより、機械発泡させ、混合物密度を0.72〜0.75g/mlに調整したものを塗工液とした。
・共重合体(固形分)…100重量部
・ブロッキング防止剤…0.73重量部
・凝固剤…0.94重量部
・起泡剤…4.1重量部
・整泡剤…5.0重量部
・顔料…7.5重量部
・硬化剤…3.0重量部
[剥離強度]
上記で作製した試験片を2.5cm幅に切断し、発泡層面にシアノアクリレート接着剤を塗布し、アクリル板に圧着させ、24時間室温乾燥したものを剥離強度用試験片とした。
この剥離強度用試験片をオートコムC型万能機((株)キーエスイー製)を用いて、23℃、50%RHの測定雰囲気下、クロスヘッドスピード100mm/minで、180°剥離試験を行った。剥離強度を測定すると、発泡体を剥離させているので、強度の測定値が小さく変動して、例えば、図1に示すような剥離長と1cm幅あたりの剥離強度との関係のチャートが得られる。そして、このチャート上で最も低い測定値を「最小強度」とし、最も高い測定値を「最大強度」とし、その平均値を「平均強度」とした。
[屈曲性]
上記で作製した試験片を屈曲させた後、自然に戻した際の屈曲部の折れ曲がり状態を目視観察により評価を行った。
○…屈曲前の状態に戻り、屈曲部にも屈曲による痕跡は見られない
×…屈曲前の状態に戻らないか、又は屈曲部に折れ目やひび割れが発生した
[表面タック性]
上記作製の試験片の表面を指触によりタックの有無を確認し、以下の評価によって判定した。
○…タックなし
△…ややタックあり
×…タックあり
[耐摩耗性]
上記作製の試験片の発泡層面を学振型試験器(大栄科学(株)製)を用いて、摩擦子にCC−280耐水研磨紙(理研コランダム株式会社製)を用い、荷重1kg、回数5000回で試験を実施した。
○…変化なし
△…僅かに摩耗変化あり
×…発泡層が削れる
[耐加水分解性]
上記作製の試験片を80℃、90%RHの雰囲気下に300時間処理し、その後、表面層の状態を処理前と処理後で目視観察し状態変化を確認した。
○…変化なし
×…変化あり
[風合い]
柔軟性、表面タック、折り曲げ時の反発等を鑑み、指触により、下記の基準で評価した。
○:良い
△:やや良い
×:悪い
<原材料>
[ウレタン樹脂]
・三洋化成(株)製:ケミチレンGA−500…平均粒子径850nm、固形分50.0重量%、ポリエーテル系無黄変タイプ、以下「GA−500」と称する。
・(株)ADEKA製:ボンタイターHUX−280…平均粒子径285nm、固形分60.0重量%、以下「HUX−280」と称する。
・第一工業製薬(株)製:スーパーフレックス−410…平均粒子径200nm、固形分41.0重量%、ポリカーボネート系無黄変タイプ、以下「SF−410」と称する。
[(メタ)アクリル系単量体]
・メタクリル酸メチル…三菱レイヨン(株)製、以下「MMA」と略する。
・アクリロニトリル…ダイヤニトリックス(株)製、以下「AN」と略する。
・アクリル酸エチル…三菱化学(株)製、以下「EA」と略する。
・アクリル酸ブチル…三菱化学(株)製、以下「BA」と略する。
・メタクリル酸…三菱レイヨン(株)製、以下「MAA」と略する。
・イタコン酸…磐田化学工業(株)製、以下「IA」と略する。
[ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体]
・N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド…日本化成(株)製:ジアセトンアクリルアミド、以下、「DAAm」と略する。
[多価ヒドラジド化合物]
・アジピン酸ジヒドラジド…大塚化学(株)製:以下、「ADH」と略する。
[ラジカル重合開始剤]
・過硫酸カリウム…(株)ADEKA製、以下「KPS」と略する。
・無水重亜硫酸ナトリウム…(有)戸川化学工業所、以下「SBS」と略する。
[乳化剤]
・エマルゲン1135S−70…花王(株)製、以下「E1135S−70」と略する。
[ブロッキング防止剤]
・TSF451−100…ジメチルシリコーンオイル(MOMENTIVE社製:TSF451−100)
[凝固剤]
・TPA4380…ポリエーテル変性シリコーンオイル(MOMENTIVE社製:TPA4380)
[起泡剤]
・ペレックスTA…スルホコハク酸N−アルキルモノアミドジナトリウム(花王(株)製:ペレックスTA)
・エマール2FG…ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製:エマール2FG)
・エマールD3D…ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製:エマールD3D)
・FR−14…オレイン酸カリ石けん(花王(株)製:FR−14)
・FR−25…ヒマシ油カリ石けん(花王(株)製:FR−25)
[整泡剤]
・DC−100A…ステアリン酸アンモニウム水分散液(サンノプコ(株)製:DC−100A)
[顔料]
・T−60…60%酸化チタン分散液(中央理化工業(株)製:T−60)
[水溶性樹脂]
・10%RS−2117…高結晶性ポリビニルアルコール系ポリマー((株)クラレ製:エクセバールRS−2117)の10%水溶液
[硬化剤]
・EX−8…脂肪酸ポリグリシジルエーテル(中央理化工業(株)製:リカボンドEX−8)
・酸化亜鉛…酸化亜鉛(キシダ化学(株)製:酸化亜鉛)
・ベイコート20…炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属(株)製:ベイコート20)
・2030E…オキサゾリン基含有ポリマー((株)日本触媒製:エポクロスK−2030E)
・BA−11B…脂肪族ポリイソシアネート(中央理化工業(株)製:リカボンドBA−11B)
[増粘剤]
・FK−600S…アルカリ増粘性アクリル共重合体(中央理化工業(株)製:リカボンドFK−600S)
・UH−752…ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマー((株)ADEKA製:アデカノールUH−752)
[基材層]
・ポリエステルフェルト…ダイソー(株)製:ポリエステルフェルト
[ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液の製造]
下記表1に記載の種類及び量のウレタン樹脂に、表1に記載の種類及び量の(メタ)アクリル系単量体を添加・混合し、第1段目の樹脂混合物、及び第2段目の樹脂混合物を調整した。次いで、それらに乳化剤として、E1135S−70を第1段目に3重量部、第2段目に2重量部を加え、さらに、液全体の固形分が60重量%となるようにイオン交換水を添加し、第1段目の原料乳化液及び第2段目の原料乳化液を得た。
また、撹拌翼を有する容積2リットルの反応容器に、乳化重合後のエマルジョンの固形分が47重量%となるように水を加え、次いで、この反応容器の撹拌翼を60rpmで回転させて撹拌しつつ、60℃に昇温した。
そして、まず、上記第1段目の原料乳化液を3時間かけて連続的に滴下した。次いで、第1段目の原料乳化液の滴下終了後、続いて、第2段目の原料乳化液を1時間半かけて滴下し、その後、2時間温度を保持して、重合を完結させた。その後、多価ヒドラジド化合物としてADHを1.08重量部(DAAmに対して25.7重量%)添加・混合した。
得られたウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液について、上記の各種測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005926005
[(メタ)アクリル酸系単量体単独重合体]
・リカボンドFK−474…中央理化工業(株)製、(メタ)アクリル系エマルジョン、Tg:−26℃、固形分:55.0%(以下FK−474と記す)
・リカボンドFK−455…中央理化工業(株)製、(メタ)アクリル系エマルジョン、Tg:−4.4℃、固形分:45.0%(以下FK−455と記す)
・リカボンドES−90…中央理化工業(株)製、(メタ)アクリル系エマルジョン、Tg:92℃、固形分:51.0%(以下ES−90と記す)
(実施例1〜29、比較例1〜3)
下記表2〜6に記載の各成分を記載の量ずつ混合して発泡性樹脂組成物を得た。次いで、ハンドミキサーにより機械発泡させ、これを用いて上記の各種測定・評価を行った。その結果を表2〜6に示す。
Figure 0005926005
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Claims (5)

  1. 料乳化液として、互いに異なる組成を有する少なくとも2種類の原料乳化液を用い、
    この原料乳化液は、1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を予め分散したものであり、
    上記少なくとも2種類の原料乳化液を、水系媒体の存在下、反応容器中に逐次的又は連続的に添加して、ウレタン樹脂の存在下で、上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体を乳化重合するに際し、
    上記少なくとも2種類の原料乳化液のうち、一つの原料乳化液の添加が終了した後、次の原料乳化液の添加を開始し、
    上記の少なくとも2種類の原料乳化液のうち、1つの原料乳化液中の(メタ)アクリル系単量体組成から得られる重合体のガラス転移温度(Tg A1 )と、その次に添加する原料乳化液中の(メタ)アクリル系単量体組成から得られる重合体のガラス転移温度(Tg A2 )とは、Tg A2 がTg A1 より高い温度であると共に、その差(Tg A2 −Tg A1 )は、30℃以上100℃以下であり、かつ、それらのガラス転移温度は、いずれも−65℃以上110℃以下であり、
    かつ、上記原料乳化液のうち、最初に上記反応容器中に添加する原料乳化液として、ウレタン樹脂が含有されたものを用いて、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を製造し、
    上記の製造されたウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液は、官能基としてカルボキシル基を有し、
    次いで、このウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液に、この分散液中のウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂100重量部あたり、カルボキシル基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有する硬化剤を1〜10重量部、起泡剤0.05〜7重量部、及び整泡剤0.5〜6重量部を含有させる発泡性樹脂組成物の製造方法
  2. さらに、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体を、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂との重量比率として、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂/(メタ)アクリル系単量体単独重合体で、94/6〜4/96となるように含有させる請求項1に記載の発泡性樹脂組成物の製造方法
  3. 記原料乳化液として、1種又は複数種の(メタ)アクリル系単量体に加え、ケト基又はアルデヒド基に基づくカルボニル基を分子中に少なくとも1個有する重合性単量体を添加したものを用いる請求項1又は2に記載の発泡性樹脂組成物の製造方法
  4. 上記硬化剤は、エポキシ系化合物及び/又はオキサゾリン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性樹脂組成物の製造方法
  5. さらに粘度調整剤添加して、25℃において、B型粘度計(#4ローター)を用い、12rpmで測定した粘度5,000mPa・s〜50,000mPa・sとする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性樹脂組成物の製造方法
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