JP3507849B2 - アクリル系接着シートおよびその製造方法 - Google Patents

アクリル系接着シートおよびその製造方法

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JP3507849B2 JP19059394A JP19059394A JP3507849B2 JP 3507849 B2 JP3507849 B2 JP 3507849B2 JP 19059394 A JP19059394 A JP 19059394A JP 19059394 A JP19059394 A JP 19059394A JP 3507849 B2 JP3507849 B2 JP 3507849B2
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瀬 進 川
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  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、自動車、車両、船舶、航
空機、建築、建材、家電、OA機器、ディスプレイ(看
板等)、機械部品、一般市販用などに広く使用される部
材固定用接着に用いられる、両面に接着性を付与したア
クリル系接着シートおよびこれらのシートを製造する方
法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】自動車、機械部品、電化製品、建
材等、種々の分野において、従来機械的接合が行われて
いた部分に接着剤が使用されることが多くなってきてい
る。接着剤は一般に、異なる物性を有する被着物を相互
に接着することから、接着強度が高いことが必要とされ
ることは勿論、接着剤自体の剪断強度が高く、しかも形
態追随性が良いことが必要とされる。
【0003】このような接着に用いられる感圧接着シー
トとして、特公昭57−17030号公報には、平均直
径が10〜200μmである比重1未満のミクロバブル
が、20〜60容量%の量で接着剤層中に分散されてお
り、実質的にボイドを含有しておらず、そしてミクロバ
ブルの平均直径の3倍以上であり、かつ最大直径の2倍
以上の厚さを有する厚さ0.2〜1mmの感圧接着シー
トの発明が開示されている。
【0004】この感圧接着シートの感圧接着剤層は、剥
離力および剪断力の両方に対して良好な抵抗性を示し、
例えば、短時間の応力下では充分な弾力性であるが、応
力をしばらくの間保持するとその弾性が非常に低くなる
という特性を有している。また、このシートを粗い被接
着面に押圧するとき、接着剤はその粗表面に流れ込み、
そして圧力を取り除いた後も微細な凹凸面と密着し良好
な接着性を示す。
【0005】この感圧接着シートは、経済的な理由か
ら、一般には、重合可能な混合物にガラスのミクロバブ
ルを分散させ、これを塗布した後、紫外線照射により重
合させる方法で製造されている。この場合、ガラスミク
ロバブルは紫外線伝達性でなければならず、紫外線透過
性は肉厚が薄いほど高くなる。即ち、この感圧接着シー
トでは、本質的に紫外線透過性のあるガラスミクロバブ
ルを使用する必要がある。なお、この感圧接着シート
は、紫外線照射の他に、熱により重合させることもでき
る旨開示されているが、開示されている組成で熱により
重合させると紫外線による重合と比較して重合速度が遅
くなり、相当コスト高になる。
【0006】上記の発明に関連して、特開昭61−27
2251号公報には、着色ガラスを充填したガラスマイ
クロバブルを充填した物品の発明が開示され、特開昭6
3−241087号公報には複合感圧接着シート及びそ
の製造法の発明が開示され、さらに特開平3−2371
76号公報には、光重合性モノマー中に顔料、染料が分
散しており、着色ガラスマイクロバブルを含有した混合
物を紫外線重合するガラスマイクロバブルを有する感圧
粘着シートの製法の発明が開示されている。
【0007】上記の一連の発明は、接着剤成分中に薄い
肉厚の低比重(比重0.2以下)のガラスマイクロバブ
ルを分散させてこれを紫外線重合または熱重合により重
合させることにより製造される感圧接着シートであり、
このシートにおいてガラスマイクロバブルを使用するこ
とにより高い耐剥離性を有すると共に剪断力に対しても
優れた抵抗性を示し、紫外線重合させたシートは、経済
性にも優れている。
【0008】しかしながら、これらの感圧接着シート
は、基本的には紫外線重合により製造するため、分散さ
れているガラスマイクロバブルが紫外線透過性を有して
いなければならない。近年、こうした感圧接着シートに
は、単に被接着物を接着するという機能の他に、例えば
導電性、難燃性、着色性などの接着性とは異なる特性を
賦与してこうした特性を利用しながら接着するとの要求
が高くなってきており、上述の感圧接着シートにおい
て、配合されているガラスマイクロバブルに紫外線透過
性が必要となるという構成が、感圧接着シートに新たな
特性を賦与する際の障害になることが多い。しかも、最
近の感圧接着シートの厚さは1mm以下になってきてお
り、接着剤自体が非常に軽量化していることから、低比
重のガラスマイクロバブルを使用してシートの重量を低
減する意味があまりなくなってきている。また、感圧接
着シートに対するニーズの多様化に伴い、接着剤とシー
トとが一体になった接着シートでは、被着体への選択の
幅が狭くなるため、多様化したニーズに対応することが
困難になってきている。
【0009】感圧接着シートとして、上記のようなガラ
スマイクロバブルを使用したものの他に、ポリマーマト
リックス中に気泡を導入してアクリルフォームを形成
し、このフォームの表面に感圧接着層を形成した感圧接
着シートが知られている。例えば特公昭58-5836
9号公報には、概略、MMAを主成分とする重合体ある
いは単量体の水性分散液に尿素系発泡剤を添加して加熱
発泡させるアクリル系発泡体の製造法が開示されてい
る。また、特開昭63-89585号公報には、アクリ
ルエマルジョンを攪拌起泡し、このエマルジョンを用い
てフォーム状シートを形成し、このシートの表面に接着
剤層を形成した接着シートの発明が開示されている。さ
らにこうした気泡含有接着シートの改良として、特開平
5-186744号公報には、アクリルエマルジョンと
ウレタンエマルジョンとの混合エマルジョンを使用する
粘着シートの発明が開示されている。さらに、特開平4
-45184号公報にはアクリルエマルジョンを機械的
に攪拌して生じた連続気泡と加熱乾燥工程における発泡
剤の反応により生じた独立気泡とが混在する粘接着フォ
ームシートの発明が開示されている。また、特開平1-
304170号公報には、アクリル酸アルキルエステル
を主成分とするアクリル系重合体と、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂との混合乳化物を起泡処理後、展開し、この
展開層を加熱処理して架橋構造を形成させてシートを形
成し、このシート表面の接着剤層を形成した接着シート
の発明が開示されている。
【0010】また、特開平1-201320号公報に
は、アクリル系低分子量共重合体を多官能イソシアネー
トで硬化するようにした空孔形成剤組成物の発明が開示
されており、ここでは空孔形成剤として、中空粒子また
は発泡剤が使用されている。ここで中空粒子としてはシ
ートの柔軟性を確保するために、0.01〜0.5g/cm
3のものが使用されている。
【0011】また、ゴムまたはプラスチック性の連続気
泡薄皮フォームからなる支持体の両面に粘着剤を塗布
し、前記支持体の網目状気泡内で一体架橋したフォーム
両面テープ(特開平4-248887号公報参照)につ
いても知られており、この両面接着テープの接着剤層に
は導電性を有する微粉末が導入されている、ここで使用
される連続気泡薄皮フォームは、従来発泡体を支持体と
する粘着テープの構造が、両面に設けた粘着剤層が発泡
体等の支持体により分断されたセパレータ構造または界
面構造となっているのに対し、連続気泡薄皮フォームか
らスライスして作製した連続気泡薄皮フォームと粘着剤
とを一体化させた構造とすることにより、粘着剤の厚さ
を増し、両面テープの機械的強度と粘着剤の接着力を高
めるために使用されている。
【0012】このような構造の両面テープは、接着力は
向上するが、両面テープの応力分散が不充分となるた
め、定荷重剥離力や保持力などの長期信頼性が乏しくな
るという欠点を有している。
【0013】上記のように気泡を含有するシートを用い
た感圧接着シートは、こうした気泡含有シートを用いる
ことにより、被着体表面のミクロな凹凸に追随して接着
面積が増大するので、接着強度が高くなるとの利点はあ
るが、反面、気泡を導入するため、機械的強度(引っ張
り強度、層間強度)が低くなる傾向がある。また、アク
リル系重合体のようにわずかに吸水性を有する樹脂をポ
リマーマトリックスとして使用した場合には、ポリマー
マトリックス中に形成されている気泡内部に水分が進入
し、感圧接着シートの耐水性が低下するという問題があ
る。
【0014】また、このような感圧接着シートを巻き取
る際に、接着シートが圧縮されて接着剤がはみ出す等の
問題を有していた。即ち、発泡樹脂を使用した場合の問
題を解消するために、従来は、形成される気泡を発泡剤
を用いて独立気泡にしたり、ポリマーマトリックスとし
て、PMMAのようなガラス転移温度の高い樹脂を使用
したり、使用する樹脂を組み合わせて使用したり、さら
には発泡剤や架橋剤を用いて架橋構造を形成して気泡含
有シートに弾性を賦与しているのである。
【0015】ところがこのようにして形成したフォーム
を支持体として使用しても、得られる感圧接着シート
は、180度Peel強度、耐クリープ接着力(保持
力)に関しては良好な値を示すが、定荷重剥離力が低く
なり、例えば90度剥離力では被着体の接着界面から接
着シートが徐々に剥がれる界面剥離現象が現れ、長期間
の接着には耐えられず、比較的短期間に被着体が落下す
るという問題がある。この界面剥離現象は、シートの架
橋密度が高く、弾性が大きくなるにつれて顕著に現れる
傾向がある。
【0016】また、エマルジョン型ポリマーを調製する
場合、エマルジョンに乳化剤、架橋剤、硬化剤、増粘
剤、pH調整剤、ゲル化剤等を配合するが、これらの成
分はエマルジョンを塗布して乾燥させて得られたシート
中に残存し、耐水性、耐有機溶剤性等の低下の一要因と
なり得る。殊にシート中に残存する乳化剤は、低温と高
温との冷熱サイクルにおける環境変化に伴ってシート表
面にブリードし、感圧接着剤層の接着性を低下させると
いう重大な問題を引き起こしている。また、耐水性、耐
溶剤性等を改善するために使用される架橋剤は、架橋反
応速度に温度依存性があるものが多い。しかしながら、
製造工程における加熱条件は、経済性の点から加熱温度
や乾燥ラインの速度には自ずと制限があり、発泡や架橋
反応をこうした製造工程における加熱によって完結させ
ることは難しい。従って、シート中に残存する架橋剤
が、時間の経過と共に徐々に反応してシートの物性が徐
々に変化するという熱老化の問題がある。また、過度に
架橋構造を形成すると、一般にポリマーのガラス転移温
度が高くなり、低温度での弾性が大きくなるため、冬季
のように低温環境下でこうした感圧接着シートを加工す
る場合には、シートが剛直になり取り扱いにくくなると
いう問題もある。
【0017】また、上記のような感圧接着シートの他
に、充填物を配合した接着剤として、特開昭58-49
766号公報には、接着剤基材に、高弾性率の繊維、粒
子、中空粒子、鱗片物質のいずれかを充填した接着剤材
料の発明が開示されている。ここで接着剤基材として
は、クロロプレンゴム系樹脂のような溶剤可溶型の樹
脂、エポキシ樹脂のような二液反応硬化タイプの樹脂、
さらに紫外線硬化性、電子線硬化性樹脂などが使用され
ている。このような接着剤材料では、接着基材の弾性率
を充填剤を配合して高めることにより、スピーカーの高
域限界周波数をさらに高域側に移行させ、再生帯の拡大
を図っている。また、特開昭59-64682号公報に
は、高分子ラテックスに平均粒子径5〜100μmの中
空ガラス粒子を配合した接着剤組成物の発明が開示され
ている。この接着剤組成物は、カーペットやパイル織物
などの繊維製品用の接着剤であり、断熱性を賦与し軽量
化を図ると共に、カーペットなどの剛性を補填する目的
で使用されている。そして、高分子ラテックスとして、
ゴム系ラテックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体ラテ
ックス、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体ラテックス、
塩化ビニル重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニルエマルジ
ョンなどを使用することが開示されている。
【0018】
【発明の目的】本発明は、感圧接着シートとして使用す
ることにより、高耐久性、高信頼性を有し、経済性があ
り、かつ導電性、難燃性、着色性等の所望の機能を賦与
することができるアクリル系シートおよびこのようなシ
ートをアクリル系エマルジョンから製造する方法を提供
することを目的としている。
【0019】さらに本発明は、高耐久性、高接着信頼性
を有し、経済性があり、かつ導電性、難燃性、着色性等
の所望の機能を賦与することが可能な感圧接着シートお
よびこの接着シートをアクリル系エマルジョンから製造
する方法を提供することを目的としている。
【0020】
【0021】
【0022】本発明のアクリル系接着シートは、脂マ
トリックス中に平均粒子径1〜100μmの中実粒子を
25〜55容量%の量で含有するアクリル系シートの
面に感圧接着剤層が形成されたアクリル系接着シートで
あり、該アクリル系シートを構成する樹脂マトリックス
が、官能基を有する重合性単量体を0.1〜15重量
%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを60〜9
9.9重量%および他の単量体0〜39.9重量%から形
成されたガラス転移温度( Tg )が−60〜0℃の ( メタ )
アクリル系共重合体からなると共に、該(メタ)アクリ
ル系共重合体に上記官能基と反応性を有する多官能化合
物により架橋構造が形成されていることを特徴としてい
る。
【0023】このアクリル系接着シートは、官能基を有
する重合性単量体0.1〜15重量%、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル60〜99.9重量%および他の
単量体0〜39.9重量%を水性媒体中で乳化重合させ
て得たガラス転移温度(Tg)が−60〜0℃の(メタ)
アクリル系共重合体を含む水性エマルジョンに、上記官
能基と反応性を有する多官能化合物を疎水性溶媒に溶解
させた溶液と、水性エマルジョン中の樹脂量に対して2
5〜55容量%の量の平均粒子径1〜100μmの中実
粒子とを混合した後、得られた混合液中に含有される気
泡量が10容量%以下になるように脱泡し、得られた脱
泡混合液を流涎した後、揮発成分を除去して得られたア
クリル系シートの両面に感圧接着剤層を形成することに
より製造することができる。
【0024】
【発明の具体的説明】次に本発明のアクリル系シート、
アクリル系接着シート、およびこれらを製造する方法に
ついて具体的に説明する。
【0025】前述のようにエマルジョン型ポリマーを原
料とする感圧接着シートについては既に出願されてい
る。しかしながら、これらの感圧接着シートは、気泡を
導入することにより、被着体の凹凸に対するシートの追
随性を高め、一方で高弾性ポリマーの使用や架橋構造を
形成することでシートの機械的強度を向上させてシート
物性のバランスをとっている。しかしながら、こうした
気泡含有シートに接着剤を積層して得られる感圧接着シ
ートの接着性能を、接着剤層にガラスミクロバブルを分
散させた接着シートの接着性能と比較すると、定荷重剥
離性が著しく異なり、気泡含有接着シートは、時間の経
過とともに被着体からテープが界面でずれていくのに対
して、ガラスミクロバブルを分散させた感圧接着シート
では、こうした被着体からのシートのずれはほとんど見
られない。
【0026】こうした接着性能の違いは、シート内に分
散された気泡とガラスミクロバブルとの応力に対する分
散機構の相違にあると思われる。従って、エマルジョン
型ポリマーに粒子を分散させた混合物からシートを形成
すればガラスミクロバブルを分散した感圧接着シートと
同等の接着性能が得られると考えられる。ところが、従
来のエマルジョン型ポリマーあるいはエマルジョン型ポ
リマー/架橋剤からなる混合物をマトリックスとして、
これに容量%で20〜60%の粒子を配合すると、得ら
れるシートの弾性が高くなりすぎて、シートの伸びが抑
制され、応力緩和が起こりにくくなり、結果として接着
性能が低下することがわかった。そこで、弾性を抑える
ために、エマルジョン型感圧接着剤のような低ガラス転
移温度(Tg)の粘弾性体をマトリックスとして使用
し、このマトリックス中に粒子を分散させたシートは、
伸び、応力緩和の両者共大きくなるが、反面、凝集力が
不足して機械的強度が低下することがわかった。架橋剤
を配合してポリマー間に架橋構造を形成すれば機械的強
度は向上するが、この場合、架橋反応を早く完結させる
ために、乾燥温度を高く設定したり、二段階加熱を行っ
たり、あるいはライン速度を遅くして加熱時間を長くす
る必要がある。こうした加熱工程の変更によってシート
の製造コストが相当高くなり、経済性の点から好ましく
ない。さらにシート物性が熱老化試験によって変化する
など物性が一定したシートを製造することがきわめて難
しくなる。
【0027】また、製造工程上も、エマルジョン型ポリ
マーに多量の粒子を配合すると、粒子が同伴した気泡が
マトリックス中に混入する。従来の気泡含有シートで
は、高弾性ポリマーマトリックスを使用しているため、
マトリックス中に気泡が分散されても、シートの機械的
強度はある程度低下するものの、この低下は実用的には
それほど問題になることはなく、むしろ被着体に対する
シートの追随性あるいは連続気泡構造とすることによる
感圧接着剤との一体化の際に良好に作用していた。
【0028】しかしながら、低ガラス転移温度の粘弾性
体をマトリックスとして、これに粒子を分散させたシー
ト構造物に気泡が混在すると、例えば定荷重剥離のよう
に弱い力が持続してシートにかかった場合にマトリック
スポリマーの弾性が低いために、シートが引き伸ばされ
ると共に気泡が変形して、この気泡変形部分からシート
が開裂して破断に至るという現象が観察される。また、
感圧接着剤をシートに積層して形成した接着シートは、
気泡のある部分とない部分とで、シートと感圧接着剤と
の層間接着力に違いが見られ、気泡のある部分は感圧接
着剤が被着体側に転写されてシートから感圧接着剤が剥
がれやすい。
【0029】さらに製造上の問題として、一般に、エマ
ルジョン型ポリマーと粒子との混合物をシート状に流涎
する場合にはこの混合物のチキソ性を賦与する必要があ
り、エマルジョン型ポリマーの粘度が低い場合には、例
えばガラスミクロバブル(比重0.4以上)を45〜5
5容量%配合しても、この混合物の増粘はわずかであ
り、別の増粘剤を加える必要がある。エマルジョン型ポ
リマーは水性分散物であるため、水溶性の増粘剤を加え
るのが一般的であるが、水溶性の増粘剤は、シートの耐
水性を低下させる原因となり、また微粒子状の増粘剤を
使用したとしても、ポリマーマトリックスとこの微粒子
状の増粘剤との相互作用により、凝集力が極端に高くな
り、シートの機械的強度のバランスが崩れることがあ
る。
【0030】本発明は、こうしたエマルジョン型ポリマ
ーに中実粒子を配合してアクリル系接着シートの支持体
となるアクリル系シートを製造する際に、エマルジョン
型ポリマーとして(メタ)アクリル酸アルキルエステル
を主成分とし、これにα,β-不飽和カルボン酸0.1〜
15重量%、さらに必要により他の単量体を配合した
(メタ)アクリル系重合体水性エマルジョンを調製し、
この水性エマルジョンに架橋剤として例えばポリグリシ
ジルアミンのような官能基を有する重合性単量体と反応
性を有する多官能化合物を配合した組成物に、平均粒子
径1〜100μmの中実粒子を樹脂量に対して25〜5
5容量%の量で配合した混合物を、脱泡処理した後流涎
して乾燥させることにより実質的に気泡を含有していな
いシートを製造している。このシートに接着剤層を敷設
した接着シートは、低温で柔軟性があり、かつ剥離力、
剪断力に対する抵抗力があり、Peel接着力、耐クリ
ープ性(保持力)、定荷重剥離性に優れているのであ
る。
【0031】本発明のアクリル系シートは、(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル、官能基を有する重合性単量
体およびこれらと共重合可能な他の単量体から形成され
る共重合体からなり、この共重合体は特定の架橋剤によ
り形成された架橋構造を有している。
【0032】ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルとしては、アルキル基の炭素原子数が1〜12のア
ルキル基を有する化合物が好ましい。本発明で好適に使
用されるアルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アク
リル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピ
ル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリ
ル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマル
オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルおよび(メ
タ)アクリル酸ラウリルなどを挙げることができる。
【0033】これらの(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルは、単独であるいは組み合わせて用いることができ
る。上記のような(メタ)アクリル酸アルキルエステル
と共に用いられる官能基を有する重合性単量体は、後述
する多官能化合物と反応性を有する官能基と、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン性
二重結合とを有する化合物である。
【0034】この重合性単量体の有する官能基の例とし
ては、カルボキシル基、アミド基、水酸基、N-アルキロ
ール基、グリシジル基、ハロゲン原子を有する基および
アルコキシシリル基を挙げることができる。
【0035】官能基としてカルボキシル基を有する重合
性単量体としては、具体的には、α,β-不飽和カルボン
酸を挙げることができ、この不飽和カルボン酸は、通常
は1〜2個程度のカルボキシル基を含有している。この
α,β-不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、クロトン
酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イ
ソクロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸
およびグルタコン酸などを挙げることができる。これら
のうち、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられ
るが、さらにメタクリル酸が特に好ましい。これらのカ
ルボキシル基含有単量体は、単独であるいは組み合わせ
て用いることができる。
【0036】また、官能基としてアミド基を有する単量
体の例としては、アクリルアミド、t-ブチル(メタ)ア
クリルアミド等を挙げることができる。また、水酸基を
有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルお
よび(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、エチレング
リコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等を
挙げることができ、N-アルキロール基を有する単量体の
例としては、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-
ブチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることがで
きる。さらに、官能基としてグリシジル基を有する単量
体の例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリ
ルグリシジルエーテル等を挙げることができ、さらにハ
ロゲン原子を有する基を有する単量体の例としては、ビ
ニルクロライド、ビニルブロマイド、アリルクロライ
ド、アリルブロマイド、2,3-ジブロモプロピル(メタ)
アクリレート、2,3-ジクロロプロピル(メタ)アクリレ
ート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、3-クロロ
-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロ
メチルスチレン、2-ブロモエチル(メタ)アクリレート
およびフッ化ビニル等を挙げることができる。さらに、
アルコキシシリル基を有する単量体の例としては、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ
-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げ
ることができる。
【0037】これらの官能基を有する重合性単量体の中
でも特にα,β-不飽和カルボン酸が好ましい。また、必
要に応じて使用される共重合可能な単量体としては、ニ
トリル基、N-メトキシ基、N-メトキシアルキル基、フェ
ニル基、アルコキシ基などを有する単量体及び酢酸ビニ
ルを挙げることができる。前述の官能基を有する重合性
単量体及びこれらの単量体のうち、ニトリル基、アミド
基、水酸基あるいはアルコキシ基を有する単量体は、親
水性を有するので、このような基を有する単量体を使用
することにより、乳化重合を容易にすると共に、重合中
のエマルジョンの分散安定性が向上し、さらに重合後の
エマルジョンの分散安定性を向上させることができる。
【0038】また、N-アルキロール基やN-メトキシアル
キル基を有する単量体は、自己架橋性を有するので、こ
のような単量体を共重合させることにより、シート用ポ
リマーとしての凝集力を高めることができる。
【0039】また、フェニル基、ニトリル基あるいはハ
ロゲン原子を有する単量体を共重合させることにより、
得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)を高くする
ことができ、さらにシート用ポリマーの弾性を変化させ
ることができる。
【0040】上記のような基を有すると共に、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルおよび官能基を有する重合
性単量体と共重合可能な単量体として、具体的な例とし
ては、ニトリル基を有する(メタ)アクリロニトリル
等、N-メトキシアルキル基を有するN-メトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)ア
クリルアミド、N-メトキシプロピル(メタ)アクリルア
ミド、N-メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等、フ
ェニル基を有するスチレン、α-メチルスチレン、(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル
等、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸メトキシ
エチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等を挙げる
ことができる。
【0041】本発明のアクリル系シートを形成するアク
リル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを60〜99.9重量%、好ましくは70〜99.5重
量%、官能基を有する重合性単量体は0.1〜15重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、そして他の単量体
を0〜39.9重量%、好ましくは0〜29.5重量%の
量で配合して共重合させることにより製造される。(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルが60重量%に満たな
いと、得られるアクリル系共重合体のガラス転移温度
(Tg)が高くなり、低温での柔軟性が低下する。ま
た、官能基を有する重合性単量体が0.1重量%に満た
ないと、ポリマーの凝集力が極端に低下してポリマー物
性が悪くなり、また官能基を有する重合性単量体が15
重量%を超えると、得られるアクリル系共重合体の耐水
性が低下する。また他の単量体の量が39.9重量%を
超えることは相対的に(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルあるいは官能基を有する重合性単量体の量が減少す
ることを意味し、得られるアクリル系共重合体に所期の
物性が発現しない。
【0042】本発明では、水性媒体中に上記単量体を分
散させた乳化重合法によりアクリル系共重合体を調製す
る。一般に、乳化重合により形成されたアクリル系共重
合体は、生成したポリマー粒子の表面に乳化剤が付着し
ている。このように乳化剤の付着したポリマー粒子から
シートを製造すると、シート成形後に、低温および高温
の熱サイクルを繰り返すなどの環境の変化によって乳化
剤がシートの表面にブリードし、感圧接着剤層の接着性
能を低下させることがある。そこで、本発明では、上記
のような単量体を水性媒体に分散させる際に反応性界面
活性剤を使用することが好ましく、反応性界面活性剤を
使用することにより得られるシートにブリード現象が見
られなくなる。
【0043】本発明で使用することができる反応性界面
活性剤は、親水性基[i]、親油性基[ii]および上記単量
体と共重合可能な官能基[iii]を有している。ここで親
水性基[i]としてはポリオキシアルキレン基を挙げるこ
とができる。また、親油性基[ii]としては、アルキルフ
ェニルオキシ基、アルキルフェニル基およびアルキル基
を挙げることができる。さらに上記単量体と共重合可能
な官能基[iii]としては、エチレン性二重結合を有する
ラジカル重合性の官能基を挙げることができる。ここで
親水性基[i]と親油性基[ii]とは、直接結合していても
よく、また置換または非置換の炭化水素基を介して結合
していても良い。ここで置換あるいは非置換の炭化水素
基としては、エチレン基のような炭素原子数が1〜5程
度のアルキレン基を挙げることができ、また、これらの
アルキレン基を構成する水素原子はビニル結合を有する
置換基(例:CH2=CH-CH2O-CH2-)のようなラジカル重合
性の置換基で置換されていてもよい。また、親油性基[i
i]にはイソプロペニル基などのラジカル重合性の置換基
を有していても良い。
【0044】このような反応性界面活性剤は、アニオン
性、ノニオン性あるいはカチオン性のいずれであっても
良いが、本発明のアクリル系共重合体中にはα,β-不飽
和カルボン酸が共重合されることから、アニオン性の反
応性界面活性剤あるいはノニオン性の反応性界面活性剤
を使用することが好ましい。
【0045】上記のような反応性界面活性剤の例を以下
に示す。ただし以下に示す式において「Ph」はフェニ
レンを表す。
【0046】
【化1】
【0047】上記のような反応性界面活性剤に関して
は、特願平5-293475号明細書に詳細に記載され
ている。上記のような反応性界面活性剤は、単量体混合
物100重量部に対して、通常は0.1〜70重量部、
好ましくは0.2〜20重量部の量で使用される。この
反応性界面活性剤の量が0.1重量部に満たないと重合
時の液の安定性が充分には確保できないことがあり、ま
た70重量部を超えると重合安定性が低下すると共に、
接着剤とシートとの接着性が充分に発現しないことがあ
る。
【0048】本発明では、乳化剤として上記のような反
応性界面活性剤を使用することが好ましいが、得られる
シートの耐水性を損なわない範囲内の量であれば反応性
を有していない従来の界面活性剤を用いて乳化させるこ
ともできる。また、上記の反応性界面活性剤と共に反応
性を有しない界面活性剤を併用することもできる。
【0049】また、上記の単量体混合物を乳化重合する
際には、重合開始剤を使用する。ここで使用することが
できる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウムような過硫酸塩系開始剤、アゾビスシアノバ
レリアン酸またはその塩のようなアゾビス系開始剤など
の公知の開始剤を使用することができる。このような重
合開始剤は、反応条件や物性を考慮して適宜その種類や
添加量を決定することができる。
【0050】本発明のアクリル系シートは、優れた耐水
性を有しており、上述のように反応性界面活性剤を使用
して乳化重合を行うことにより、シートの耐水性は向上
するが、こうした方法の他に、乳化重合の際のエマルジ
ョンの粒子径を小さくすることにより得られるシートの
耐水性が向上する。すなわち、乳化重合したエマルジョ
ンポリマーからシートを形成する場合、成膜時に乳化液
に存在する媒体(水または水/有機溶剤)の蒸発により
形成される空孔(間隙)ができる限り小さいかあるいは
ないことが望ましい。このような空孔を形成しないため
には乳化重合体粒子の平均粒子径を通常は0.5μm以
下、好ましくは0.3μm以下に調整する。
【0051】このような粒子径の小さな乳化重合物は、
粘度が高く、かつチキソ性があるため、シート形成用エ
マルジョンポリマーとして好適である。上記のような平
均粒子径0.3μm以下の乳化重合物の不揮発分(固形
分)は、通常40〜65%、好ましくは50〜60%で
ある。不揮発分が40%以下だと乳化液の粘度が低くな
る傾向があり、例えば中実粒子を容量%で30%以上配
合しても、塗工するのに充分なチキソ性が得られないこ
とがあり、また、不揮発分が65%を超えると、粘度が
高くなりすぎて、中実粒子を容量%で30%以上配合す
ると、塗布できないことがある。このような平均粒子径
が0.3μm以下の乳化重合物は、反応性界面活性剤の
添加量を多くすれば通常の乳化重合により製造すること
ができるが、シード乳化重合法などを採用して、粒子の
成長を注意深く制御すればより好ましい平均粒子径を有
する乳化重合物が得られる。
【0052】上記のようにして製造されたエマルジョン
型ポリマーは、成膜過程で粒子が相互に界面で融着し
て、一体化した膜を形成する。この点は、溶剤型ポリマ
ーや紫外線硬化型ポリマーのように溶媒にポリマーが均
一に溶解している均一系の溶液から成膜する場合と大き
く異なる。特に、このエマルジョン型の製膜過程に適し
た乳化重合を行う必要があり、そのような重合条件は、
例えば、反応温度75〜85℃において、反応時間は、
通常は1〜12時間、好ましくは3〜8時間である。
【0053】通常、乳化重合直後のエマルジョンのpH
値は7以下であり、このようにpH値が低いと乳化物の
機械的安定性が低くなることがあり、こうした不安定な
乳化物からシートを形成するとシートがうまくできない
ことがある。そこで、本発明では、乳化重合した後のエ
マルジョンのpH値を7以上にすることが好ましく、ア
ンモニア水等を用いて得られたエマルジョンのpH値を
7以上に調整することが望ましい。
【0054】こうして形成されるアクリル系共重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、通常−60〜0℃の範囲
内にある。本発明のアクリル系シートは、上述のアクリ
ル系共重合体が、官能基と反応性を有する多官能化合物
(架橋剤)によって形成された架橋構造を有する。
【0055】アクリル系共重合体に導入された官能基と
反応性を有する基としては、カルボキシル基、イソシア
ネート基、エポキシ基、金属錯体(金属キレート)、ア
ミノ基等を挙げることができる。例えば、アクリル系共
重合体に導入された官能基がカルボキシル基である場合
における多官能化合物としては、多官能エポキシ化合
物、金属キレート化合物、多官能イソシアネート化合物
が好ましく、官能基がアミド基である場合における多官
能化合物として、多官能イソシアネート化合物が好まし
く、官能基が水酸基である場合における多官能化合物と
しては、多官能イソシアネート化合物が好ましく、官能
基がN-アルキロール基である場合の多官能化合物として
は、多価カルボン酸、酸無水物、金属キレート化合物が
好ましく、官能基がグリシジル基である場合における多
官能化合物としては、酸無水物、金属キレート化合物、
アミン化合物、ヒドラジン誘導体、イミダゾール誘導体
が好ましく、官能基がハロゲン原子を有する基である場
合における多官能化合物としては、多官能エポキシ化合
物、金属キレート化合物が好ましく、さらに官能基がア
ルコキシシリル基である場合における多官能化合物とし
ては、金属キレート化合物、多価カルボン酸が好まし
い。
【0056】特に官能基がカルボキシル基である場合に
おける多官能化合物としては、グリシジル基を有する化
合物が好適であり、この化合物としては、分子内にエポ
キシ基を2個以上有すると共に、第3級窒素原子を1個
以上有する化合物が好ましい。従って、上記カルボキシ
ル基を有する重合性単量体と反応性を有する多官能化合
物としてはポリグリシジルアミンが好ましい。
【0057】このポリグリシジルアミンの具体的な例と
しては、N・N-ジグリシジルアニリン、N・N-ジグリシジル
トルイジン、m-N・N-ジグリシジルアミノフェニルグリシ
ジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,
N',N'-テトラグリシジルアミノジフェニルメタンおよび
N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、
1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキ
サンなどを挙げることができる。
【0058】多官能化合物について、ポリグリシジルア
ミンを例にしてさらに詳しく説明すると、通常は、ポリ
グリシジルアミンに対して不活性な疎水性の有機溶剤お
よび/または可塑剤に溶解するか、またはポリグリシジ
ルアミンをポリグリシジルアミンに対して不活性な粘着
付与剤とともに疎水性の有機溶剤および/または可塑剤
に溶解し、この溶液を界面活性剤の存在下に水に乳化分
散させて使用される。ここで使用される粘着付与剤とし
ては、官能基としてカルボキシル基やアミノ基のような
ポリグリシジルアミンと反応する基を含んでいない疎水
性の粘着付与剤が使用される。この粘着付与剤は軟化点
が高いものであることが好ましく、例えば石油系の炭化
水素樹脂、テルペン系樹脂およびこれらの変成物を使用
することができる。また、これらを溶解する疎水性の有
機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭
化水素類、および、n-ヘキサン、シクロヘキサンなどの
脂肪族あるいは脂環族炭化水素類を使用することができ
る。なお、架橋剤の溶解性が低い場合は必要に応じてア
ルコールやジオキサン、エチレングリコールなどの極性
溶剤を混合して使用しても良い。また、架橋剤さらに必
要により粘着付与剤を溶解するために使用される疎水性
の可塑剤の例としては、ジオクチルフタレート、ジブチ
ルフタレート、ジオクチルアジペートおよびテルペン系
可塑剤を挙げることができる。
【0059】本発明では、疎水性の有機溶剤の使用量は
任意に選択できるが、一般には多官能化合物1重量部あ
たり、疎水性の有機溶剤または可塑剤を0.2〜50重
量部程度使用するのが実用的である。
【0060】また、本発明では、通常は、(メタ)アク
リル系共重合体が分散した水性エマルジョンと多官能化
合物の有機溶剤溶液と粒子を配合した混合物を脱泡処理
した後、直ちに塗工してシート状にするので、水性溶媒
中に多官能化合物を配合しているにも拘わらず、接着剤
組成物のように架橋剤の活性を低下させて可使時間を長
くすることを特に必要とはしていない。
【0061】この点、従来の接着剤では、架橋剤である
ポリグリシジルアミンが水等と反応して架橋機能を損な
わないように、ポリグリシジルアミンに対して不活性な
粘着付与剤と共に、疎水性の有機溶剤および/または可
塑剤に溶解させた溶液の水性エマルジョンを調製してポ
リグリシジルアミンの安定化図る必要がある(例え
ば、特公昭63-28949号公報参照)。
【0062】本発明において、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル共重合体を含有する水性エマルジョンと架
橋剤が溶解した有機溶剤または可塑剤溶液との混合比
は、水性エマルジョンおよび架橋剤溶液の濃度により異
なるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が含有す
る官能基1当量あたり、通常は0.001〜2当量、好
ましくは0.005〜1.2当量のエポキシ基などの反応
性基が供給できるように、架橋剤溶液を添加する。架橋
剤は10%程度の濃度で溶解されている疎水性の有機溶
剤または可塑剤溶液に溶解して添加するので、添加する
溶液の量は架橋剤の使用量の10倍程度になる。
【0063】本発明では、上記のような架橋剤が配合さ
れたエマルジョン型ポリマーに中実粒子を配合する。こ
こで使用される中実粒子とは、粒子内部に実質的に気泡
を含有しない粒子である。このような中実粒子の例とし
ては、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、ステ
ンレスなどの導電性金属微粉末;金属酸化物;炭化ケイ
素、炭化ホウ素、炭化窒素などの炭化物;窒化アルミニ
ウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;アルミ
ナ、ジルコニアなどの酸化物に代表されるセラミック粒
子;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス、シ
リカなどの無機物;火山シラス、砂などの天然原料;P
MMA系粒子、PSt系粒子、フェノール樹脂粒子、ベ
ンゾグアナミン系樹脂粒子、尿素樹脂系粒子、シリコー
ン樹脂系粒子、ナイロン系粒子、ポリエステル系粒子、
ポリウレタン系粒子、ポリエチレン系粒子、ポリプロピ
レン系粒子、ポリアミド系粒子、ポリイミド系粒子など
のポリマー粒子;また重合法や粉体表面改質機などを用
いて、各種粒子の表面を金属、顔料、染料、難燃剤、半
導体などの機能性材料で改質した表面改質粒子、複合粒
子などを挙げることができる。
【0064】これらの中実粒子の中で、アクリル系重合
体と屈折率の近いアクリル系架橋粒子を、アクリル系重
合体マトリックスに分散させると、透明性の優れたシー
トが形成されるので、透明性が要求される用途には特に
好適である。
【0065】透明性を与える粒子の屈折率Npは、ポリ
マーマトリックスの屈折率Nmとの関係が、|Nm−N
p|≦0.05の範囲のものがよい。また、水酸化アル
ミウニウムのような金属塩の中実粒子を配合することに
より、シートを難燃性にすることもできる。
【0066】粒子形状は不定形であってもよいが、シー
トの3次元方向への応力分散を考慮すると球状であるの
が好ましい。また、高価ではあるが、粒子径の揃った単
分散粒子は特に好ましい。粒子形態は、ポリマーマトリ
ックスと粒子との相互作用に影響を及ぼすので重要であ
るが、通常は表面が平滑な粒子が使用される。
【0067】また、中実芯材粒子表面に微粒子が固着し
た表面改質粒子や複合粒子は、ポリマーマトリックス中
での分散性に優れ、機能性を付与するのに特に好まし
い。また、超微粒子や微粒子を造粒して調製した凝集体
粒子であってもよい。
【0068】このような中実粒子の平均粒子径は、1〜
100μmの範囲内にあることが必要であり、さらに1
0〜80μmの範囲内にある中実粒子を使用することが
好ましい。(メタ)アクリル系共重合体の水性エマルジ
ョンに粒子径1〜100μmの平均粒子径を有する中実
粒子を配合すると、水性エマルジョンのチキソ性が増
し、このチキソ性は中実粒子の粒子径が小さいほど大き
くなる。しかし、中実粒子の粒子径が1μmより小さく
なると、混合物の粘度増加が著しくなり、塗布するため
には、水または有機溶剤で希釈しなければならず、不揮
発分が減少して乾燥性が悪くなると共に、シートの柔軟
性、伸びが失われ、高弾性となってシート物性のバラン
スが悪くなる。また、平均粒子径が100μmを超える
と、チキソ性が得られず、別の増粘剤を添加しなければ
ならなくなると共に、粒子の自重により混合物中で沈降
したり、シート表面に凹凸ができ、平滑なシートが得ら
れない。さらに、低歪みに対する剪断強度が低下する。
また、このような粒子径の中実粒子を配合すると、図1
に示すように、シートの剪断強度−歪み測定における初
期の低歪みに対する剪断強度が著しく増大する。さら
に、中実粒子を容量%で25〜55%充填されたシート
は、引張り強度−伸び測定における初期の低い伸びに対
する引張り強度の増加にも現れた。この強度増加は弾性
率の増加と考えられ、このことは中実粒子を充填してい
ないシートとの粘弾性測定結果の比較から、0℃〜50
℃付近における貯蔵弾性率と損失弾性率の増加結果から
も裏付けられた。また、中実粒子の配合量を同一にした
場合、粒子径が小さいほど低歪みにおける剪断強度は大
きく、逆に低伸びにおける引張り強度は大きくなる傾向
が認められる。従って、粒子の粒子径を選定する場合
は、価格や機能とともに得ようとするシート物性を考慮
する必要がある。
【0069】中実粒子の配合割合が容量%で25%に満
たないと、シートの弾性が低下し、低歪みにおける剪断
強度が弱く、また応力分散性が悪くなり、他方、容量%
で55%を超えると、シート状物の伸びや引き裂き強度
が低下する。
【0070】本発明では、上記のような中実粒子の他
に、シートに、機能を付与するために、必要に応じて充
填剤や水に不溶かつ有機溶剤または可塑剤に溶解する化
合物を配合してもよい。
【0071】本発明において充填剤としては無機充填剤
および有機充填剤を使用することができる。無機充填剤
あるいは有機充填剤が球状である場合、この充填剤とし
ては、平均粒子径が通常は1μm未満、好ましくは0.
02〜0.8μmのものが使用される。このような充填
剤の中で、無機質充填剤の例としては、シリカ、ケイ藻
土、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェ
ライト、ストロンチウムフェライト、酸化バリウム、軽
石、アルミナ繊維などの酸化物;水酸化マグネシウムお
よび塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物;炭酸カル
シウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸バリウム、硫
酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウムおよび亜硫酸カル
シウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;タルク、クレー、
マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ケイ
酸カルシウム、モンモリナイトおよびベントナイトなど
のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト、炭素繊
維などの炭素類;ならびに硫化モリブデン、ボロン繊
維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウ
ム、ホウ酸ナトリウム、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、単
結晶チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などを挙
げることができる。
【0072】また、有機質充填剤の例としては、モミ
殻、木炭、ジュート、木綿、木粉、紙細片、セロハン
片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエス
テル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維および各
種ポリマー微粒子材料などを挙げることができる。これ
らの有機質材料は単独であるいは組み合わせて使用して
もよいし、無機質充填剤と並用してもよい。
【0073】さらに、本発明のシートは、各種の添加剤
を含有していてもよい。このような添加剤としては、例
えば、滑り剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線防
止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤など
を配合することができる。
【0074】中実粒子を配合し、さらに必要により他の
成分を配合した後に、中実粒子等を配合することにより
同伴される気泡を、真空式脱気装置などを用いて脱泡す
る。脱泡は、エマルジョン中に含有される気泡の容量が
10容量%未満、好ましくは5容量%未満になるように
行われる。
【0075】また、中実粒子が同伴する気泡の量を抑制
するため中実粒子(粉体)を予め水および/または有機
溶剤に分散したもの、濾過後脱水または脱溶剤したスラ
リ状、ケーク状のものを配合してもよい。粒子に同伴さ
れる気泡の平均直径は百ミクロン〜数百ミクロンである
が、気泡含量が容量%で10%以上になると、シートの
機械的物性(引張り強度)が弱くなる。
【0076】このようにして配合された上記混合物は、
シートの厚さに応じて、塗布加工されるが、通常は剥離
紙や剥離剤処理したフィルム上に、ダイコーター(Tダ
イ)等の薄層塗布装置を用いて塗布される。塗布厚は、
乾燥厚さで通常は0.05〜1mm程度である。
【0077】またこの塗布に用いられる混合物の粘度
は、70Poise〜500Poise程度であって、チキソ性を
有していることが好ましい。混合物の粘度が70Poise
未満の場合には、増粘剤を添加する。また、粘度増加、
チキソ性付与の目的のほかに、ポリマーマトリックス中
に分散して弾性を増加させる目的で、微粒子シリカや有
機系微粒子、ミクロゲルなどの架橋ポリマーゲル微粒子
などを添加してもよい。
【0078】こうして流涎されたエマルジョンの乾燥に
は、既存の設備を利用でき経済的であることから加熱乾
燥法を採用することが好ましい。こうした加熱乾燥法に
おいて、乾燥速度を上げ、ラインスピードを速くするこ
とによる生産性向上のため、赤外線、遠赤外線、電磁波
などのエネルギー照射を併用してもよい。上記混合物
は、室温でも架橋反応が起こるが、経済性から70℃〜
140℃の温度範囲で乾燥するのが好ましい。こうした
温度において乾燥時間は通常は2〜20分間である。
【0079】こうして乾燥することにより、形成される
アクリル系シートには、乾燥工程あるいは養生工程で架
橋反応が進行し、多くの場合、分子内あるいは分子間
で、カルボキシル基に対して好適な架橋剤であるポリグ
リシジルアミンによる架橋構造が形成される。
【0080】こうして得られたアクリル系シートは、通
常は0.05〜1mm、好ましくは0.08〜0.8mmの厚
さを有しており、このシート中には実質的に気泡が含有
されていない。即ちこのシートの気泡含有率は、通常は
2容量%以下である。
【0081】本発明のアクリル系接着シートには、上記
のようなアクリル系シート両面に感圧接着剤層が形成
されている。ここで使用される感圧接着剤としては、こ
のアクリル系接着シートの用途、被着体の種類等を考慮
して、溶剤型、エマルジョン型、UV硬化型等の種々の
タイプの接着剤を使用することができ、接着性能に応じ
て使い分けることができる。感圧接着剤は、例えばアク
リル系シートの表面に直接塗布する方法、他の支持体上
に塗布した感圧接着剤をこのアクリル系シート上に転写
する方法などにより形成することができる。
【0082】こうして形成される感圧接着剤層の厚さ
は、通常は、30〜100μmの範囲内にある。
【0083】
【発明の効果】本発明のアクリル系シートは、水性エマ
ルジョン中で乳化重合により調製された特定のアクリル
系共重合体と架橋剤とから形成された実質的に気泡を含
有しない樹脂マトリックス中に、特定の粒子径の中実粒
子が分散されているので、低温度であっても柔軟性に富
み、凝集力と伸びのバランスがよい。さらに架橋剤を使
用することにより、このアクリル系共重合体の官能基と
架橋剤との間で架橋反応が行われるので、低温度で架橋
反応が完結して熱老化や経時変化によるシート物性の変
化がなく、機械的強度(引張り強度−伸び、剪断強度−
歪み)が向上する。また、本発明のアクリル系シートは
実質的に気泡を含有していないので、シート層への水の
浸入を阻止し、耐水性に優れている。さらに中実粒子を
25〜55容量%の量で含有するため、混合物の不揮発
分の量が多くなり、エマルジョンを流涎した後の乾燥性
が良くなり、量産性が向上する。さらに、本発明のアク
リル系シートは、安価な原料を多量に配合するので原材
料のコストが低く、しかも既存設備を使用できるので経
済性に富む。
【0084】また、中実粒子に、導電性、電磁波シール
ド性、難燃性、透明性、着色性等、様々な機能を有する
粒子を配合することにより、本発明のアクリル系シート
に接着性能の他に、新たな機能を付加させることができ
る。
【0085】また、中実粒子を配合することにより、こ
のアクリル系シートにかかる応力を緩和する作用が著し
く向上するとともに、良好な感圧接着剤とシートとを良
好に接着させることができる。
【0086】さらに、このアクリル系シートの表面に感
圧接着剤層を形成した本発明のアクリル系接着シート
は、被着体に対する追随性に優れ、中実粒子の充填効果
により応力分散が従来の気泡含有フォーム材料に比べ、
著しく向上し、剥離力、剪断力に対する抵抗性を有し、
180度Peel接着力、耐クリープ接着力(保持
力)、定荷重剥離力に優れており、しかもこうした優れ
た接着性能が長期間変動することなく維持されるので、
本発明のアクリル系接着シートは高い接着信頼性を有し
ている。
【0087】さらに本発明のアクリル系シートは、既存
の乳化重合装置を用いて製造される水性エマルジョンか
ら容易に製造することことができる。
【0088】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定的に解
釈されるべきではない。
【0089】
【製造例1】 [シート用エマルジョン(AF−2)の合成]脱イオン
水450重量部に、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナ
トリウム10重量部を溶解させた乳化剤水溶液に、アク
リル酸ブチル850重量部、メタクリル酸ブチル110
重量部、メタクリル酸30重量部、メタクリル酸2-ヒド
ロキシエチル10重量部、次式(6-30)で表される反
応性界面活性剤(旭電化工業(株)製、アデカリアソー
プ,品番;NE−30)20重量部を撹拌下に分散させて
単量体水性分散液1480重量部を調製した。
【0090】
【化2】
【0091】別に、撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素
ガス導入管、および環流冷却装置を備えたガラス製反応
器に、脱イオン水480重量部を入れ、さらに過硫酸ア
ンモニウム20重量部、アクリル酸ブチル20重量部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10重量部を加
えて、水性反応母液を調製した。
【0092】次いで、このガラス製反応器内に窒素ガス
を導入して反応器内の空気を窒素ガスで置換した後、水
性反応母液を82℃に加熱して反応を開始させた。反応
が開始した直後より、この滴下ロートから上記単量体水
性分散液1480重量部を180分かけて滴下し、乳化
重合を行った。この間反応液の温度を、82℃に保持し
た。
【0093】180分経過後、さらに120分間反応液
の温度を82℃に維持して重合反応を完結させた。冷却
後、得られた水性エマルジョンにアンモニア水を添加し
てpH値を8.5に調整した。水性エマルジョンは不揮
発分51.8重量%であり、エマルジョンポリマー粒子
の平均粒子径を測定したところ、0.2μmであった。
また、B型粘度計による粘度測定(No.4ローター使
用)の結果、6rpmでは30Poise/25℃、60rpmでは7
Poise/25℃であった。
【0094】
【参考例1】[透明シートの製造] ディスパー型撹拌機を供えたポリ容器に上記製造例1で
調製した水性エマルジョン1930重量部(樹脂含量:
51.8重量%)と、4官能エポキシ化合物であるN,N,N
',N'-テトラグリシジルm-キシレンジアミン(三菱瓦斯
化学(株)製,商品名TETRAD-X)5重量部をトルエン4
5重量部に溶解した溶液10重量部を秤量し、撹拌混合
したのち、平均粒子径20μm、比重1.19の球状架
橋PMMA微粉末(綜研化学(株)製品番;MR−20
G)1000重量部を、前記水性エマルジョン混合物中
に、撹拌しながら投入し、30分間撹拌を継続し、球状
架橋PMMA微粉末を均一に分散させた水性エマルジョ
ン混合物を得た。
【0095】この混合物を容器回転式攪拌脱泡機に供給
し、真空度−760mmHgにて、10分間脱泡した。こう
して脱泡した水性エマルジョン混合物について、B型粘
度計により測定(No.4ローター使用)した粘度は6rpm
で105Poise/25℃、60rpmで20Poise/25℃であっ
た。
【0096】次いで、この脱泡した水性エマルジョン混
合物を、剥離紙上に20ミルのドクターブレードで塗布
し、70℃にて5分乾燥したのち、90℃で20分乾燥
した。
【0097】得られた透明なアクリル系シートの厚さ、
比重、気泡含有率を表2に示した。
【0098】
【参考例2〜4】参考例1において、水性エマルジョン
の量、4官能エポキシ架橋剤の量および中実粒子の量を
表1に示すように変えた以外は同様にしてアクリル系シ
ートを製造した。このアクリル系シートの製造に使用し
た水性エマルジョン混合物の粘度を表1に示す。
【0099】得られた透明なアクリル系シートの厚さ、
比重、気泡含有率を表2に示した。
【0100】
【参考例5】[透明シートの製造] ディスパー型攪拌機を備えたポリ容器に上記水性エマル
ジョン1930重量部(樹脂含量:51.8重量%)と、
多官能イソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシ
アネート3量体;イソシアネート基3.2〜3.3モル付
加物)であるDC3900(日本ポリウレタン工業
(株)製)20重量部をトルエン80重量部に溶解した
トルエン溶液25重量部を秤量し、攪拌混合した後、平
均粒子径20μm、比重1.19の球状架橋PMMA微
粉末(綜研化学(株)製、製品番:MR-20G)1000
重量部を、前記水性エマルジョン混合物中に、攪拌しな
がら投入し、30分間攪拌を継続し、球状架橋PMMA
微粉末を均一に分散させた水性エマルジョン混合物を得
た。
【0101】この混合物を容器回転式攪拌脱泡機ボーグ
II(エムアンドケー(株)製)に供給し、真空度−76
0mmHgにて、10分間脱泡した。こうして脱泡した水性
エマルジョン混合物について、B型粘度計により測定
(No.4ローター使用)した粘度は6rpmで98poise/2
5℃であり、60rpmで18poise/25℃であった。
【0102】次いで、この脱泡した水性エマルジョン混
合物を、剥離紙上に20ミルのドクターブレードで塗布
し、90℃にて60分間乾燥した後、130℃にて20
分間乾燥した。
【0103】得られた透明なアクリルシートの厚さ、比
重、気泡含有率を表2に示す。
【0104】
【参考例6】[難燃シートの作製] ディスパー型撹拌機を備えたポリ容器に上記水性エマル
ジョン1930重量部と、4官能エポキシ化合物である
N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(三
菱瓦斯化学(株)製,商品名TETRAD-X)5重量部をトル
エン45重量部に溶解した溶液20重量部を秤量し、撹
拌混合したのち、中実粒子であって難燃剤でもある平均
粒子径25μm、真比重2.35の水酸化アルミニウム
微粉末(住友化学(株)製、品番;C−325)200
0重量部を、前記水性エマルジョン混合物中に、撹拌し
ながら投入し、30分間撹拌を継続し、水酸化アルミニ
ウム微粉末を均一に分散させた水性エマルジョン混合物
を得た。この混合物を容器回転式攪拌脱泡機に供給し、
真空度−760mmHgにて、10分間脱泡した。
【0105】こうして脱泡した水性エマルジョン混合物
についてB型粘度計(No.4ローター使用)により測定
した粘度は6rpmで80Poise/25℃、60rpmで20Pois
e/25℃であった。
【0106】次いで、この脱泡した水性エマルジョン混
合物を、剥離紙上に20ミルのドクターブレードで塗布
し、70℃にて5分乾燥したのち、90℃で20分乾燥
した。得られたシート厚、比重を表2に示した。
【0107】
【参考例7】参考例6において、水性エマルジョンの
量、4官能エポキシ架橋剤の量および中実粒子の量を表
1に示すように変えた以外は同様にしてアクリル系シー
トを製造した。この難燃性のアクリル系シートの製造に
使用した水性エマルジョン混合物の粘度を表1に示す。
【0108】得られた難燃性のアクリル系シートの厚さ
および比重を表2に示した。
【0109】
【実施例1〜7】[アクリル系接着シートの作製] 2-エチルヘキシルアクリレートを主成分とするアクリル
系溶剤型感圧接着剤であるSKダイン1570(綜研化
学(株)製)150重量部にイソシアネート系硬化剤コ
ロネートL(日本ポリウレタン(株)製)の45%溶液2
重量部を混合したのち、剥離紙上に13ミルドクターブ
レードで塗布し、85℃にて2分乾燥し、膜厚60μm
の感圧接着剤を得た。これを前記参考例1〜7で製造し
た中実粒子を含有するアクリル系シートに両面転写した
後、20kgローラーで2往復圧着し、両面接着シート
(実施例1〜7で使用したシートは、それぞれ参考例1
〜7で製造したものである)を作製した。
【0110】
【比較例1】 [シートの作製および両面接着シートの作製]市販の気
泡を導入したエチルアクリレートを主成分としウレタン
樹脂架橋したアクリルフォーム(フォーム厚;0.5mm,
比重;0.5)に、上記接着シートの作製手順に従って、
感圧接着剤を両面転写したアクリルフォーム両面接着テ
ープを作製し、比較試料とした。
【0111】
【物性の測定】上記実施例1〜7および比較例1で製造
したアクリル系接着シートをコロナ放電処理した厚さ5
0μmのPETに片面に貼り合わせ、20kgローラー
で2往復圧着し、24時間常態(23℃、65%RH)
で保持した試料を調製し、この試料について下記のよう
にして180度Peel強度、耐クリープ性(保持
力)、90度定荷重剥離力(常態および耐水)、剪断強
度−歪み測定を以下のようにして測定した。
【0112】a)180度Peel接着力 試料を25mm幅にカットし、ステンレス板に貼り合わ
せ、1kgローラーで3往復圧着したのち、24時間常
態で保持してから、引張り速度300mm/分で180
度Peel剥離力の測定を行った。 b)耐クリープ性 試料を20mm×100mmにカットし、ステンレス板
に20mm×20mm角の面積を貼り合わせ、1kgロ
ーラーにて2往復圧着した。1時間常態で放置後、80
℃の乾燥機に入れ、1時間保持したのち、試料の一端に
剪断力1kgの荷重をかけ、両面接着シートの剥がれた
距離を測定した。 c)90度定荷重剥離力(常態および耐水) 試料を20mm×100mm角にカットし、ステンレス
板に20mm×20mm角の面積を貼り合わせ、1kg
ローラーにて2往復圧着した。このステンレス板の試料
を、常態および25℃の恒温水槽中に3日間保持したの
ち、両面接着シートの一端に、ステンレス板と直角にな
るように所定の荷重をかけ、両面接着シートのステンレ
ス板からのズレの距離を測定した。なお耐水試験の測定
は、恒温水槽から取り出し直後に所定の荷重をかけて測
定した。
【0113】d)剪断強度−歪み測定 両面接着シートを10mm×10mm角にカットし、幅
15mm、長さ50mm、厚さ2mmのポリカーボネー
ト板2枚の先端部にサンドイッチ状に貼り合わせ、接着
部に1kgの荷重を15分かけた。この試料を2枚準備
し、一つは常態で24時間保持し、もう一つは、25℃
の恒温水槽中に24時間浸漬したのち取り出し、直ちに
常態で測定した。剪断強度−歪み測定は、引張り試験機
により引張り速度1mm/分で測定した。
【0114】上記a)b)c)の各項目の接着性能評価
結果を表2に、d)の測定結果を図1に示した。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、常態および耐水浸漬直後におけるアク
リル系接着シートの剪断強度と剪断歪との関係を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 7/02 C09J 133/08 C08J 5/18 C08L 33/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂マトリックス中に平均粒子径1〜1
    00μmの中実粒子を25〜55容量%の量で含有する
    アクリル系シートの両面に感圧接着剤層が形成されたア
    クリル系接着シートであり、該アクリル系シートを構成
    する樹脂マトリックスが、官能基を有する重合性単量体
    を0.1〜15重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエ
    ステルを60〜99.9重量%および他の単量体0〜3
    9.9重量%から形成されたガラス転移温度( Tg )が−
    60〜0℃の ( メタ ) アクリル系共重合体からなると共
    に、該(メタ)アクリル系共重合体に上記官能基と反応
    性を有する多官能化合物により架橋構造が形成されてい
    ることを特徴とするアクリル系接着シート。
  2. 【請求項2】 上記官能基を有する重合性単量体が、
    α,β-不飽和カルボン酸であることを特徴とする請求項
    第1項記載のアクリル系接着シート。
  3. 【請求項3】 上記官能基と反応性を有する多官能化合
    物が、ポリグリシジルアミンであることを特徴とする請
    求項第1項記載のアクリル系接着シート。
  4. 【請求項4】 官能基を有する重合性単量体0.1〜1
    5重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル60〜
    99.9重量%および他の単量体0〜39.9重量%を水
    性媒体中で乳化重合させて得たガラス転移温度(Tg)が
    −60〜0℃の(メタ)アクリル系共重合体を含む水性
    エマルジョンに、上記官能基と反応性を有する多官能化
    合物を疎水性溶媒に溶解させた溶液と、水性エマルジョ
    ン中の樹脂量に対して25〜55容量%の量の平均粒子
    径1〜100μmの中実粒子とを混合した後、得られた
    混合液中に含有される気泡量が10容量%以下になるよ
    うに脱泡し、得られた脱泡混合液を流涎した後、揮発成
    分を除去して得られたアクリル系シートの両面に感圧
    着剤層を形成することを特徴とするアクリル系接着シー
    トの製造法。
  5. 【請求項5】 上記水性媒体中において、官能基を有す
    る重合性単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
    および他の単量体を、反応性乳化剤の存在下に乳化重合
    させることを特徴とする請求項第4項記載のアクリル系
    接着シートの製造法。
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