JP6148069B2 - 水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
(メタ)アクリル樹脂は、耐候性、光沢、耐アルカリ性等に優れているが、塗膜にした際の硬さと軟さの両立が困難であり、耐屈曲性、耐衝撃性、耐摩耗性等が不充分であった。一方、ウレタン樹脂は、機械的物性、密着性、耐磨耗性、柔軟性等に優れているが、耐候性、耐アルカリ性、耐熱性などが不良であり、かつ高価であった。
しかし、ウレタン樹脂である以上、特許文献1に記載の方法による改善効果には限界がある。
例えば特許文献2には、活性水素を有しない(メタ)アクリル系モノマー中で、ポリイソシアネートと、水酸基及びアミノ基から選ばれる官能基を2つ以上含み、かつ酸性官能基を有する化合物と、酸性官能基を有しないポリオールと、分子内にグリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、重合性不飽和基及び酸性官能基を有するウレタンプレポリマーを製造し、ついでこれを中和し、水希釈して乳化させた後、該ウレタンプレポリマーの鎖延長反応と、前記(メタ)アクリル系モノマーと前記ウレタンプレポリマーとのラジカル重合反応とを行うことで、アクリル樹脂とウレタン樹脂が結合した水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液を製造する方法が開示されている。
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献2に記載の方法は、液安定性に未だ改善の余地がある。また、製造安定性にも改善の余地がある。例えば特許文献2に記載の方法では、酸性官能基を有する化合物等が(メタ)アクリル系モノマーに溶解し難く、ウレタン化反応の進行に伴い、析出物の発生が起こり、ウレタンプレポリマーの製造の安定性が低下し易い。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と、酸無水物(b)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程2:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)と、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)とを反応させて、カルボキシ基および重合性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(C2)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C2)とを含む混合液(II)を得る工程。
工程3:工程2で得られた混合液(II)に中和剤および水を加えて乳化させた後、重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液を得る工程。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と、酸無水物(b)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程4:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)とを反応させて、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(C4)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C4)とを含む混合液(IV)を得る工程。
工程5:工程4で得られた混合液(IV)に中和剤と水とを加えて乳化させた後、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)と前記ウレタンプレポリマー(C4)との反応、および重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液を得る工程。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を示し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を示すものとする。
本発明の第一の態様の製造方法(以下、製造方法(1)ともいう。)は、下記の工程1、工程2および工程3を含む。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)(以下、「(a)成分」という。)と、酸無水物(b)(以下、「(b)成分」という。)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程2:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)(以下、「(c)成分」という。)と、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)(以下、「(d)成分」という。)と反応させて、カルボキシ基および重合性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(C2)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C2)とを含む混合液(II)を得る工程。
工程3:工程2で得られた混合液(II)に中和剤および水を加えて乳化させた後、重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液(以下、単に「水性樹脂分散液」ともいう。)を得る工程。
以下、モノマー組成物(A)および(a)〜(d)成分、ならびに工程1〜3について詳しく説明する。
モノマー組成物(A)は、(メタ)アクリル系モノマーを含む。
(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリロイル基(CH2=C(R)−C(=O)−、Rは水素原子またはメチル基を表す。)を有する化合物である。(メタ)アクリル系モノマーが有する(メタ)アクリロイル基は1つでも2つ以上でもよい。
得られる水性樹脂分散液をコーティング剤、塗料、インキ等に用いたときの被塗装物への塗装性、形成される塗膜の被塗装物への密着性、塗膜物性等のバランスの点で、モノマー組成物(A)は、2種以上の(メタ)アクリル系モノマーを含むことが好ましい。
活性水素とは、酸素や窒素など電気陰性度の大きな原子に結合し、反応性の高い水素を意味する。たとえばカルボキシ基、水酸基、メチロール基、シラノール基、1級アミノ基、2級アミノ基等に含まれる水素は活性水素である。
(e)成分としては、上記の(メタ)アクリル系モノマーの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および三級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、炭素数12、13のアルキルを有する(メタ)アクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等がより好ましい。
三級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等がより好ましい。
ビニル系モノマーは、重合性二重結合を有する化合物である。ビニル系モノマーが有する重合性二重結合は1つでも2つ以上でもよい。
(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーの例としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;ビニルトリエトキシシラン等の含珪素不飽和単量体;イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシ基を有する不飽和単量体等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーとして、重合性二重結合を2つ有する不飽和単量体(例えばジビニルベンゼン等)を用いてもよい。
ただし、モノマー組成物(A)中の(e)成分と(f)成分との比率は、質量比で、(e)成分:(f)成分=60:40〜100:0の範囲内が好ましく、(e)成分:(f)成分=80:20〜100:0の範囲内がより好ましい。(e)成分の比率が、前記範囲の下限値((e)成分:(f)成分=60:40)以上であると、ウレタン化反応が効率良く進行し、ウレタンプレポリマーを高分子量化させ易い。ウレタンプレポリマーが高分子量化すると、得られる水性樹脂分散液から形成される塗膜の耐溶剤性や耐水性が向上する。
(a)成分は、ポリオールである。ポリオールは、分子内に水酸基を2つ以上有する化合物である。
(a)成分としては、分子量が50〜500の低分子量ポリオール、分子量が500〜5000の高分子量ポリオールなどが挙げられる。
低分子量ポリオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジオールと二塩基酸の重縮合物とからなるポリエステルが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、上述したポリエステル以外にも、例えばポリカプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどを用いてもよい。
アクリルポリオールとしては、水酸基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ジヒドロキシアクリレート等が挙げられる。
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等がある。
さらに、上述したポリオール以外にも、例えばポリブタジエンジオール、ひまし油などを用いてもよい。
被塗装物への密着性、塗装性、あるいは塗膜物性等のバランスをとるためには、(a)成分として、化学構造の異なる2種類以上を混合して使用することが好ましい。
また、2種類以上の(a)成分を併用する場合、各(a)成分の分子量を適宜選択することによっても、被塗装物への密着性、塗装性、あるいは塗膜物性等のバランスをとることができる。
2価アルコールとしては、高分子量のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。
分子内に水酸基を3つ以上有するポリオールとしては、3価以上のアルコールが好ましい。
ここで、「エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物」とは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドのいずれか一方のみが付加したもの、それらの両方が付加したものを意味する。
さらに、(b)成分との付加反応性の点から、分子量が50〜500の低分子量体のアルコールが好ましく、中でもトリメチロールプロパンが特に好ましい。
(b)成分は、酸無水物である。
(b)成分の例としては、無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデシル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、オクタデシル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等の脂肪族酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルー3−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリストリメリテート無水物、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート等の芳香族酸無水物;テトラブロモ無水フタル酸等のハロゲン系酸無水物;等が挙げられる。
(b)成分としては、モノマー組成物(A)への溶解性の点から、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートが好ましく、(a)成分との反応性の点から、無水コハク酸が特に好ましい。
(c)成分は、ポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
(c)成分の例としては、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートおよびその誘導体などが挙げられる。具体的には、キシリレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネートおよびこれらの重合物が挙げられる。
また、(c)成分として、例えば上記の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、アロファネート結合、イソシアヌレート結合、カルボジイミド結合などを有する化合物との縮合物を用いてもよい。
(c)成分としては、詳しくは後述するが、モノマー組成物(A)中で製造されたウレタンプレポリマーを水に分散する際のイソシアネート基と水との反応性、および得られる水性樹脂分散液の耐候性の点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが好ましい。さらに、モノマー組成物(A)との相溶性の点から、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
(d)成分は、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物である。
(d)成分の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
これら(d)成分は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
(d)成分としては、ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基、あるいはポリオール(B)中のカルボキシ基との付加反応性の点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
工程1では、モノマー組成物(A)中で、(a)成分と(b)成分とを反応(付加反応)させる。これにより、カルボキシ基を有するポリオール(B)が生成し、モノマー組成物(A)とポリオール(B)とを含む混合液(I)が得られる。
水酸基:酸無水物基=4:1〜2:1の範囲内で(a)成分と(b)成分とを反応させると、その後のウレタンプレポリマーの製造(工程2)と、その後の水性樹脂分散液の製造(工程3)を安定に行うことができる。
なお、付加反応時、ポリオール(B)として、分子内に水酸基数が少ないポリオールが生成すると、該ポリオールがウレタン化反応の末端封鎖剤として作用し、ウレタンプレポリマーを低分子量化させ易い。一方、分子内に水酸基数が多いポリオール(B)が生成すると、該ポリオールが、ウレタン化反応(工程2での(c)成分との反応)の架橋反応点として作用し、ウレタン化反応中の高粘度化やゲル化が起こり易くなり、製造安定性が低下し易い。
水酸基の配合比が前記範囲の下限値(水酸基:酸無水物基=2:1)以上となるように(a)成分を反応させると、末端封鎖剤として作用するポリオール(B)の発生を抑制でき、ウレタンプレポリマーを高分子量化させ易い。一方、水酸基の配合比が前記範囲の上限値(水酸基:酸無水物基=2:1)以下となるように(a)成分を反応させると、架橋反応点として作用するポリオール(B)の発生を抑制でき、ウレタン化反応を安定に行うことができる。
触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジルコニウムオクトエート、亜鉛ナフテネート等が挙げられる。
工程2では、工程1で得られた混合液(I)中で、ポリオール(B)と、(c)成分と、(d)成分とを反応させる。これにより、ポリオール(B)由来のカルボキシ基と、(d)成分由来の重合性不飽和基とを有するウレタンプレポリマー(C2)が生成する。
工程2は工程1の後に連続して行われ、該反応は、モノマー組成物(A)中で進行する。そのため、上記反応により、モノマー組成物(A)とウレタンプレポリマー(C2)とを含む混合液(II)が得られる。
ウレタンプレポリマー(C2)の酸価が前記範囲内であれば、ウレタンプレポリマー(C2)の製造と、その後の水性樹脂分散液の製造をより安定に行うことができる。
なお、ウレタンプレポリマーの酸価(C2)が前記範囲の下限値(35mgKOH/g)以上であると、工程3での乳化時のモノマー組成物(A)の分散安定性が向上し、それ故ラジカル重合反応時のカレット発生が抑制され、製造の安定性が向上する。一方、ウレタンプレポリマー(C2)の酸価が前記範囲の上限値(150mgKOH/g)以下であると、得られる水性樹脂分散液より形成される塗膜の耐溶剤性や耐水性が向上する。
ウレタンプレポリマー(C2)の酸価は、後述する式(iii)により求められる理論値(理論酸価)である。
方法(2−1):混合液(I)中で、ポリオール(B)と(c)成分との反応(ウレタン化反応)を行った後、その反応生成物と(d)成分との反応(付加反応)を行う方法。
方法(2−2):混合液(I)中で、ポリオール(B)と(d)成分との反応(付加反応)を行った後、その反応生成物と(c)成分との反応(ウレタン化反応)を行う方法。
これらのうち、得られる水性樹脂分散液の液安定性が向上する点、該水性樹脂分散液から得られる塗膜の耐水性や耐溶剤性が良好となる点から、方法(2−1)が好ましい。
水酸基:イソシアネート基が前記範囲内となるようにポリオール(B)と(c)成分とを反応させれば、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを容易に製造できる。かかるウレタンプレポリマーは、後述する工程3にて任意に行われる鎖延長反応において高分子量化し易い。
触媒としては、例えばジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物などが挙げられる。
ウレタンプレポリマー(C2)の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。GPCは、市販のGPC装置(例えば東ソー株式会社製)を用いて行うことができる。
ウレタンプレポリマー(C2)の数平均分子量は、方法(2−1)又は方法(2−2)で行うウレタン化反応にて、水酸基とイソシアネート基のモル比を変えることにより調整することができる。
ウレタンプレポリマー(C2)とモノマー組成物(A)の質量比が前記範囲内となるように各成分を配合すれば、工程2や工程3を安定に行うことができ、得られる水性樹脂分散液の液安定性が良好である。また、該水性樹脂分散液から形成される塗膜の耐溶剤性や耐水性も良好である。
なお、ウレタンプレポリマー(C2)の比率が前記範囲の下限値(ウレタンプレポリマー(C2):モノマー組成物(A)=20:80)以上であると、工程3での乳化工程時のモノマー組成物(A)の分散安定性が向上し、それ故ラジカル重合反応時のカレット発生が抑制され、製造の安定性が向上する。一方、ウレタンプレポリマー(C2)の比率が前記範囲の上限値(ウレタンプレポリマー(C2):モノマー組成物(A)=90:10)以下であると、工程2でのウレタン化反応時の系内の粘度が高くなり過ぎず、安定にウレタン化反応を行うことができる。また、続く工程3でも、中和による粘度上昇が抑えられ、乳化工程を安定に行うことができる。
工程3では、まず、工程2で得られた混合液(II)に中和剤および水を加えて乳化させる(中和・乳化工程)。これにより、混合液(II)中のウレタンプレポリマー(C2)のカルボキシ基が中和されるとともに、水中に混合液(II)が分散した分散液が得られる。
中和・乳化工程の後、重合反応を行う。これにより、分散液中にて、モノマー組成物(A)を構成するモノマーおよびウレタンプレポリマー(C2)がラジカル重合し、アクリル樹脂とウレタン樹脂が結合したウレタン変性(メタ)アクリル樹脂が水中に分散した水性樹脂分散液が得られる。
必要に応じて、中和・乳化工程の後、重合反応を行う前に、または重合反応と同時に、中和されたウレタンプレポリマー(C2)の鎖延長反応を行ってもよい。
中和・乳化工程は、例えば、混合液(II)に、中和剤と水とを混合した溶液を、滴下等により徐々に添加し、乳化させる方法、混合液(II)に、中和剤のみを添加して中和させ、その後水を添加して乳化させる方法、等により行うことができる。
中和熱が抑制され、さらに乳化が容易になる点から、混合液(II)に、中和剤と水とを混合した溶液を徐々に添加し、乳化させる方法が好ましい。
有機アミン類としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンなどが挙げられる。
無機塩基類としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
これら中和剤は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、塗膜にした後に揮発性を有する点で、有機アミン類、アンモニアが好ましく、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが特に好ましい。
乳化剤としては、乾燥塗膜の耐水性・耐候性等を考慮し、後述する反応性乳化剤を用いるのが好ましい。
中和されたウレタンプレポリマー(C2)の鎖延長反応は、反応系(中和・乳化工程で得られた分散液)内に存在する水をそのまま鎖延長剤として使用して行うことができる。
前記鎖延長反応を、水以外の鎖延長剤を使用して行ってもよい。水以外の鎖延長剤としては、ウレタン樹脂をより高分子量化できる点で、ポリアミン類が好ましい。ポリアミン類を使用するとウレタン樹脂中にウレア結合が形成され、ポリウレタン−ウレア樹脂が得られ、ウレタン樹脂部分の高分子量化が図れる。特に、3官能以上のポリアミン類は架橋剤としても作用するので、塗膜の耐溶剤性もより向上する。
ポリアミン類としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ジフェニルジアミン等の脂肪族系、脂環式系、芳香族系のジアミン、トリアミンなどが挙げられる。
ポリアミン類とともに、モノアミンを併用してもよい。モノアミンを併用すれば鎖延長反応の停止が起こるため、ウレタン樹脂の分子量の調整も容易である。
水を鎖延長剤として使用する場合、鎖延長反応は、反応温度(反応系内の温度)70℃以上で行うことが好ましい。反応温度が70℃以上であると、水を介する鎖延長反応が進行しやすくなる。
水を鎖延長剤とする鎖延長反応は、後述のモノマー組成物(A)とのラジカル重合と同時に行うことも可能である。
特に、ポリアミン類を鎖延長剤として用いて鎖延長反応を行う場合は、ポリアミンとイソシアネート基との反応性が高いことから、反応系内の温度を20〜70℃(より好ましくは20〜50℃)にして行うのが好ましい。
水に溶解するポリアミンを用いる場合、鎖延長反応は、ポリアミンを適量の水に混合し、その溶液を反応系内に滴下しながら徐々に導入する方法より行うことが、反応熱の緩和とウレタン樹脂のゲル化抑制の点から好ましい。
重合反応は、通常、40〜100℃の温度で行うことが好ましい。
重合反応を行う際には、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよい。
重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジンカーボネイト等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機パーオキサイド化合物;などが挙げられる。
有機過酸化物または無機パーオキサイド化合物は、還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤として使用することも可能である。例えば重合反応を70℃以下での比較的低温で行う場合(例えば水を鎖延長剤とする鎖延長反応を同時に行う場合)や、重合速度を促進させたい場合は、レドックス系開始剤が好ましい。この場合に用いられる還元剤としては、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリットなどが挙げられる。
これら重合開始剤は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
重合開始剤は、モノマー組成物(A)100質量部に対して0.05〜5.00質量部の範囲内で使用するのが好ましい。
重合開始剤として水溶性重合開始剤を用いる場合は、ウレタンプレポリマー(C2)とモノマー組成物(A)とを含む混合液(II)に水を添加した後、すなわち中和・乳化工程の後(水以外の鎖延長剤を使用して鎖延長反応を行う場合は、鎖延長反応の後)、得られた分散液に重合開始剤を添加するのが好ましい。
重合開始剤の添加は、一度に重合開始剤の全量を添加する方法、重合開始剤の全量を時間をかけて滴下する方法、始めに重合開始剤の一部を添加し残りを後から添加する方法のいずれの方法で行ってもよい。
連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ターシャルドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などの公知の連鎖移動剤を用いることができる。
そこで、重合反応は、乳化剤の存在下で行うことが好ましい。これにより凝集物やカレットの発生を低減することができる。
乳化剤としては、乾燥塗膜の耐水性や耐候性等の点で、反応性乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、反応部位としてアリル基を分子内に有する反応性乳化剤を用いることができる。具体的には、株式会社ADEKA製の「アデカリアソープSR−10」、「ER−10」、「ER−30」等が挙げられる。
また、反応性乳化剤としては、反応部位として例えばアルケニル基等を持つアニオン性反応性乳化剤を使用することもできる。具体的には花王株式会社製の「ラテムルPD−104」等が挙げられる。
反応性乳化剤の使用量は、塗膜の耐水性および耐候性の点から、また工程2の中和・乳化工程で反応性乳化剤を使用する場合はウレタンプレポリマー(C2)製造時の重合安定性から、モノマー組成物(A)100質量部に対して、0.5〜10質量部とすることが好ましい。
水性樹脂分散液の固形分濃度(樹脂固形分)は、後記実施例で述べる式(i)で求められる。
水性樹脂分散液の粘度は、後記実施例で述べる測定方法で求められる。
水性樹脂分散液のpHは、後記実施例で述べる測定方法で求められる。
本発明の第二の態様の製造方法(以下、製造方法(2)ともいう。)は、下記の工程1、工程4および工程5を含む。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)((a)成分)と、酸無水物(b)((b)成分)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程4:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)((c)成分)とを反応させて、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(C4)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C4)とを含む混合液(IV)を得る工程。
工程5:工程4で得られた混合液(IV)に中和剤と水とを加えて乳化させた後、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)((d)成分)と前記ウレタンプレポリマー(C4)との反応、および重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液(水性樹脂分散液)を得る工程。
製造方法(2)は、(d)成分を工程2で反応させるのではなく、工程3の中和・乳化工程の後に反応させる以外は、製造方法(1)と同様である。
製造方法(2)におけるモノマー組成物(A)および(a)〜(d)成分、ならびに工程1についての説明は、前述の製造方法(1)と同様である。
以下、工程4〜5について詳しく説明する。
工程4では、工程1で得られた混合液(I)中で、ポリオール(B)と、(c)成分とを反応させる。これにより、ポリオール(B)由来のカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(C4)が生成する。
工程4は工程1の後に連続して行われ、該反応は、モノマー組成物(A)中で進行する。そのため、上記反応により、モノマー組成物(A)とウレタンプレポリマー(C4)とを含む混合液(IV)が得られる。
工程4におけるポリオール(B)と(c)成分との反応(ウレタン化反応)は、前述した工程2におけるウレタン化反応と同様に行うことができる。
ウレタンプレポリマー(C4)の好ましい酸価および数平均分子量はそれぞれ、ウレタンプレポリマー(C2)と同様である。
ウレタンプレポリマー(C4)とモノマー組成物(A)の質量比が前記範囲内となるように各成分を配合すれば、工程4や工程5を安定に行うことができ、得られる水性樹脂分散液の液安定性が良好である。また、該水性樹脂分散液から形成される塗膜の耐溶剤性や耐水性も良好である。
なお、ウレタンプレポリマー(C4)の比率が前記範囲の下限値(ウレタンプレポリマー(C4):モノマー組成物(A)=20:80)以上であると、工程5での乳化工程時のモノマー組成物(A)の分散安定性が向上し、それ故ラジカル重合反応時のカレット発生が抑制され、製造の安定性が向上する。一方、ウレタンプレポリマー(C4)の比率が前記範囲の上限値(ウレタンプレポリマー(C4):モノマー組成物(A)=90:10)以下であると、工程4でのウレタン化反応時の系内の粘度が高くなり過ぎず、安定にウレタン化反応を行うことができる。また、続く工程5でも、中和による粘度上昇が抑えられ、乳化工程を安定に行うことができる。
工程5では、まず、工程4で得られた混合液(IV)に中和剤および水を加えて乳化させる(中和・乳化工程)。これにより、混合液(IV)中のウレタンプレポリマー(C4)のカルボキシ基が中和されるとともに、水中に混合液(IV)が分散した分散液が得られる。
中和・乳化工程の後、(d)成分とウレタンプレポリマー(C4)との反応(付加反応)および重合反応(付加・重合工程)を行う。これにより、分散液中にて、カルボキシ基と(d)成分由来の重合性不飽和基とを有するウレタンプレポリマーが生成し、モノマー組成物(A)を構成するモノマーおよび前記ウレタンプレポリマー(カルボキシ基と重合性不飽和基とを有するもの)がラジカル重合して、アクリル樹脂とウレタン樹脂が結合したウレタン変性(メタ)アクリル樹脂が水中に分散した水性樹脂分散液が得られる。
必要に応じて、中和・乳化工程の後、付加・重合工程の前に、中和されたウレタンプレポリマー(C4)の鎖延長反応を行ってもよい。
鎖延長反応は、工程3における鎖延長反応と同様に行うことができる。
付加・重合工程における付加反応、重合反応はそれぞれ、工程2における付加反応、工程3における重合反応と同様に行うことができる。例えば重合反応の重合開始剤として油溶性重合開始剤を用いる場合は、中和・乳化工程で水を添加する前に予め、ウレタンプレポリマー(C4)とモノマー組成物(A)とを含む混合液(IV)中に溶解させておくことが好ましい。重合開始剤として水溶性重合開始剤を用いる場合は、ウレタンプレポリマー(C4)とモノマー組成物(A)とを含む混合液(IV)に水を添加した後、すなわち中和・乳化工程の後(水以外の鎖延長剤を使用して鎖延長反応を行う場合は、鎖延長反応の後)、得られた分散液に重合開始剤を添加するのが好ましい。
付加反応および重合反応は、同時進行的に行ってもよく、付加反応を行った後に重合反応を行ってもよい。付加反応および重合反応を同時進行的に行う方法としては、例えば中和・乳化工程の前に予め、混合液(IV)に(d)成分を添加し、中和・乳化工程を行った後、所定の反応温度(付加反応および重合反応が進行する温度。例えば50〜100℃)とする方法が挙げられる。
重合反応を終えた直後の水性樹脂分散液の粘度(25℃)は、製造方法(1)と同様、5〜1000mPa・sが好ましく、5〜100mPa・sがより好ましい。
重合反応を終えた直後の水性樹脂分散液のpH(25℃)の値は、製造方法(1)と同様、6〜10が好ましく、7〜9がより好ましい。
製造方法(1)または(2)によれば、水性樹脂分散液を安定に製造することができる。
例えばウレタンプレポリマーを製造する際に、(メタ)アクリル系モノマーでのウレタン化反応(工程2または4)の進行に伴う析出物の発生を抑制することができる。また、その後の乳化工程(工程3または5)で得られる分散液の高粘度化やゲル化、凝集物の発生を抑制できる。そのため、これらの工程を安定的に継続することができる。
また、製造方法(1)または(2)によれば、耐アルコールショック性、凍結融解サイクルに対する耐久性、熱安定性等の液安定性の良好な水性樹脂分散液を得ることができる。
さらに、製造方法(1)または(2)によれば、耐溶剤性および耐水性が良好な塗膜を形成できる水性樹脂分散液を得ることができる。
本発明の第三の態様の水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液(水性樹脂分散液)は、前記製造方法(1)または(2)により得られるものである。
本態様の水性樹脂分散液を製造する方法としては、(d)成分の付加反応が効率良く進行し、より優れた液安定性が得られる点から、製造方法(1)が好ましい。
添加剤としては、用途に応じて公知の添加剤のなかから適宜選択することができる。
なお、水性樹脂分散液をコーティング剤、塗料、インキなどして使用する場合、ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂の樹脂固形分については特に限定されないが、通常、3〜50質量%である。樹脂固形分が高すぎる場合は、所望の値になるように、水性樹脂分散液に水や有機溶剤を配合し、希釈して使用してもよい。
なお、本実施例において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
各種測定方法、評価方法は以下の通りである。
(数平均分子量の測定)
ウレタンプレポリマーのモノマー組成物(A)混合物を、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製、ポリスチレン換算)で測定し、最も高分子量側に出たピークをウレタンプレポリマーとみなし、数平均分子量を求めた。
(樹脂固形分の測定)
予め得られた水性樹脂分散液の質量を測定した。ついで、分散液を105±5℃の範囲内の温度で2時間乾燥させ、乾燥残分の質量を測定し、下記式(i)により樹脂固形分を求めた。
樹脂固形分(質量%)=乾燥残分の質量(g)/乾燥前の分散液の質量(g)×100 ・・・(i)
水性樹脂分散液を25±1℃の範囲内の温度で2時間静置した後、B型粘度計(東機産業株式会社製、「TV−22形粘度計 スピンドルタイプ」)を用いて、水性樹脂分散液の粘度(単位:mPa・s)を測定した。
水性樹脂分散液を25±1℃の範囲内の温度で2時間静置した後、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、「Gシリーズ HM−30G」)を用いて、水性樹脂分散液のpHを測定した。
以下の評価基準に基づき,水性樹脂分散液製造までの各工程の製造安定性を評価した。
(ウレタン化反応工程:工程1、2または工程1、4)
工程1、工程2、工程4において、原料投入後から所定反応時間終了までの、反応系内の溶液の状態(原料の溶解性、析出物の発生等)を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき製造の安定性を評価した。
{評価基準}
5:ウレタン化反応終了まで反応液は透明性を保ち、さらに析出物の発生も無く、製造の安定性が良好。
4:ウレタン化反応の進行により反応液はやや白濁化してくるが、析出物の発生は無く、製造の安定性に問題はない。
3:ウレタン化反応の進行により反応液は白濁化し、さらに析出物が少量発生し、製造の安定性がやや低下。
2:ウレタン化反応の進行により反応液は白濁化し、さらに析出物が多量発生し、製造の安定性が低下。
1:ウレタン化反応中、原料が完全に溶解しない、または析出物が多量に発生し、反応の継続が不能となる。
ウレタンプレポリマーとモノマー組成物(A)とを含む混合物に中和剤と水を添加して、ウレタンプレポリマーを乳化させる工程において、中和剤と水を全量投入後の反応系内の分散液の状態(粘度、凝集物の発生、反応器内壁および撹拌羽への樹脂付着等)を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき製造の安定性を評価した。
{評価基準}
5:分散液の粘度は低く、凝集物の発生および反応器への樹脂付着も無く、製造の安定性が良好。
4:分散液の粘度がやや高くなるが、凝集物の発生および反応器への樹脂付着は無く、製造の安定性に問題は無い。
3:分散液の粘度がやや高くなり、さらに凝集物の発生および反応器への樹脂付着が少量発生し、製造の安定性がやや低下。
2:分散液の粘度がやや高くなり、さらに凝集物の発生および反応器への樹脂付着が多量発生し、製造の安定性が低下。
1:分散液の粘度が著しく高くなる、またはゲル化する、あるいは大きな凝集物が発生し攪拌不能になる等で、乳化の継続が不能となる。
ウレタンプレポリマーとモノマー組成物(A)のラジカル重合反応において、反応系内の液の状態(粘度、反応器内壁および撹拌羽へのカレット付着等)を目視で観察し、さらに以下のようにカレットの発生率を測定して、以下の評価基準に基づき製造の安定性を評価した。
カレットの発生率は、製造後150メッシュナイロン紗を用いて、分散液を濾過し、凝集物を採取、ついで、採取した凝集物を105±5℃の範囲内の温度で2時間乾燥させ、乾燥残分の質量を測定し、下記式(ii)により発生率を求めた。
カレットの発生率(質量%)=乾燥残分の質量(g)/仕込みモノマー質量(g)×100 ・・・(ii)
5:カレットの発生率が0.2質量%未満で、反応器および攪拌羽にカレットの付着は殆どなく、製造の安定性が良好。
4:カレットの発生率が0.2質量%以上0.5質量%未満で、反応器および攪拌羽にカレットの付着は殆どなく、製造の安定性に問題はない。
3:カレットの発生率が0.5質量%以上1質量%未満で、反応器および攪拌羽にカレットが少量付着し、製造の安定性がやや低下。
2:カレットの発生率が1質量%以上3質量%未満で、反応器および攪拌羽にカレットが多量に付着し、製造の安定性が低下。
1:カレットの発生率が3質量%以上で、反応器および攪拌羽にカレットが多量に付着し、製造の安定性が著しく不良。
(耐アルコールショック性の評価)
水性樹脂分散液/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)、または水性樹脂分散液/メタノール=1/1(質量比)で配合し、それぞれを攪拌して水性樹脂分散液のアルコール配合液を作製した。
ついで、得られたアルコール配合液を25℃で2時間静置した後、B型粘度計を用いて、アルコール配合液の粘度を測定した。そして、アルコール配合前の水性樹脂分散液の粘度に対する、アルコール配合後の粘度の上昇率を求めた。さらに凝集物の発生の有無について目視にて観察した。これらの結果から、以下の評価基準に基づき耐アルコールショック性の評価を行った。
{評価基準}
5:粘度上昇率が50%未満であり、凝集物は発生していない。
4:粘度上昇率が50%以上200%未満であり、凝集物は発生していない。
3:粘度上昇率が200%以上500%未満であり、凝集物は発生していない。
2:粘度上昇率が500%以上であり、凝集物は発生していない。
1:ゲル化した。あるいは凝集物が多量に発生した。
水性樹脂分散液を0℃の条件下において完全に凍結させた後、50℃の温水中で2時間静置し溶解させた。本操作を5回繰り返し、水性樹脂分散液の凍結融解サイクル後溶液を作製した。
ついで、得られた凍結融解サイクル後溶液を25℃で2時間静置した後、B型粘度計を用いて、凍結融解サイクル後溶液の粘度を測定した。そして、凍結融解サイクル前の水性樹脂分散液の粘度に対する、凍結融解サイクル後の粘度の上昇率を求めた。さらに凝集物の発生の有無について目視にて観察した。これらの結果から、以下の評価基準に基づき凍結融解サイクルに対する耐久性の評価を行った。
{評価基準}
5:粘度上昇率が10%未満であり、凝集物は発生していない。
4:粘度上昇率が10%以上30%未満であり、凝集物は発生していない。
3:粘度上昇率が30%以上50%未満であり、凝集物は発生していない。
2:粘度上昇率が50%以上であり、凝集物は発生していない。
1:ゲル化あるいは凝集物が多量に発生した。
水性樹脂分散液を50℃下で15日間静置した。50℃静置後の水性樹脂分散液を25℃で2時間静置した後、B型粘度計を用いて、水性樹脂分散液の粘度を測定した。そして、50℃静置前の水性樹脂分散液の粘度に対する、50℃静置後の粘度の上昇率を求めた。さらに凝集物の発生の有無について目視にて観察した。これらの結果から、以下の評価基準に基づき熱安定性の評価を行った。
{評価基準}
5:粘度上昇率が10%未満であり、凝集物は発生していない。
4:粘度上昇率が10%以上30%未満であり、凝集物は発生していない。
3:粘度上昇率が30%以上50%未満であり、凝集物は発生していない。
2:粘度上昇率が50%以上であり、凝集物は発生していない。
1:ゲル化あるいは凝集物が多量に発生した。
(耐溶剤性の評価)
水性樹脂分散液100部に対し、ブチルセロソルブを15部配合して、クリヤー塗料を作製した。
ついで、表面をメタノールで拭いた処理済PETシートに、バーコーターを用いて乾燥膜厚が20μmになるようにクリヤー塗料を塗装し、70℃×40分間乾燥させ、評価用塗膜を得た。
トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールのいずれかの溶剤をしみ込ませたガーゼを、評価用塗膜上に50回ラビングした後、塗膜の外観変化を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき耐溶剤性の評価を行った。
{評価基準}
5:曇りや白化が全く無い。
4:曇りや白化がごくわずかにあるが、問題ない。
3:曇り、白化が認められる。
2:かなり白化している。
1:塗膜のキズ、白化が激しい。
耐溶剤性の評価と同様にして、評価用塗膜を得た。
脱イオン水をしみ込ませたガーゼを、評価用塗膜上に荷重1kgをかけた状態で100回ラビングした後、塗膜の外観変化を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき耐水性の評価を行った。
{評価基準}
5:曇りや白化が全く無い。
4:曇りや白化がごくわずかにあるが、問題ない。
3:曇り、白化が認められる。
2:かなり白化している。
1:塗膜のキズ、白化が激しい。
以下の手順で水性樹脂分散液(P−1)を製造した。この例の製造方法は、製造方法(1)における工程2を方法(2−1)により実施する方法(以下、製造方法(1−1)ともいう。)である。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、(a)成分のトリメチロールプロパンを5.3部、高分子量ポリオール(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとセバシン酸から得られる数平均分子量1000のポリエステル系ジオール。以下、「ポリエステル系ジオール」という。)を15.4部、(b)成分の無水コハク酸を5部、モノマー組成物(A)のメチルメタクリレートを17.3部、イソブチルメタクリレートを17.3部、エチルアクリレートを17.3部、ノルマルブチルアクリレートを6.85部、ジメチルアミノエチルメタクリレート0.5部を仕込んだ。この混合物を攪拌しながら90℃に加熱して3時間保持し、付加反応を行い、ポリオール(B)のモノマー組成物(A)溶液を得た。
ついで、反応器内に(c)成分のイソホロンジイソシアネート14.3部を30分間かけて滴下し、滴下後から反応器内の温度を90℃から80℃に降温し、3時間80℃を保持してウレタン化反応を行い、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマーのモノマー組成物(A)溶液を得た。
ついで、反応器内に(d)成分のグリシジルメタクリレート0.75部を添加し、2時間80℃を保持して付加反応を行い、カルボキシ基と重合性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(C2)のモノマー組成物(A)溶液(混合液(II))を得た。
ついで、混合液(II)を、内温が50℃以下になるまで冷却し、そこに、トリエチルアミン5.2部と脱イオン水174部を混合した溶液(トリエチルアミン水溶液)を、30分間かけて滴下し、乳化させた。
溶液が均一に乳化された後、脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)を系内に添加し、徐々に昇温した。発熱を確認後、75℃で制御して1時間保持し、ラジカル重合と、水による鎖延長反応を行った。その後脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)をさらに追加し、1.5時間ラジカル重合を行い、水性樹脂分散液(P−1)を得た。ラジカル重合は、反応系の温度を40℃以下にすることにより終了させた。
用いた原料の組成を表1、3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様の製造方法にて、水性樹脂分散液(P−2〜P−13)を得た。
工程2において、まず、ポリオール(B)と(d)成分との付加反応を行い、その後、ポリイソシアネート(c)を加えてウレタン化反応を行った以外は、実施例1と同様の製造方法にて、水性樹脂分散液(P−14)を得た。
この例の製造方法は、製造方法(1)における工程2を方法(2−2)により実施する方法(以下、製造方法(1−2)ともいう。)である。
以下の手順で水性樹脂分散液(P−15)を製造した。この例は、製造方法(2)を採用したものである。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、(a)成分のトリメチロールプロパンを5.3部、ポリエステル系ジオールを15.4部、(b)成分の無水コハク酸を5部、モノマー組成物(A)のメチルメタクリレートを17.3部、イソブチルメタクリレートを17.3部、エチルアクリレートを17.3部、ノルマルブチルアクリレートを6.85部、ジメチルアミノエチルメタクリレート0.5部を仕込んだ。この混合物を攪拌しながら90℃に加熱して3時間保持して付加反応を行い、ポリオール(B)のモノマー組成物(A)溶液を得た。
ついで、反応器内に(c)成分のイソホロンジイソシアネート14.3部を30分間かけて滴下し、滴下後から反応器内の温度を90℃から80℃に降温し、3時間80℃を保持してウレタン化反応を行い、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(C4)のモノマー組成物(A)溶液(混合液(IV))を得た。
ついで、反応器内に(d)成分のグリシジルメタクリレート0.75部を添加し、均一に混合した。
ついで、混合液(IV)を、内温が50℃以下になるまで冷却し、そこに、トリエチルアミン5.2部と脱イオン水174部を混合した溶液(トリエチルアミン水溶液)を、30分間かけて滴下し、乳化させた。
溶液が均一に乳化された後、脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)を系内に添加し、徐々に昇温した。発熱を確認後、75℃で制御して1時間保持し、(d)成分の付加反応と、ラジカル重合と、水による鎖延長反応を行った。その後脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)をさらに追加し、1.5時間ラジカル重合を行い、水性樹脂分散液(P−15)を得た。ラジカル重合は、反応系の温度を40℃以下にすることにより終了させた。
表3、5に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様の製造方法にて、水性樹脂分散液(P−16、P−17、P−19〜P−25)を得た。
表3に示す組成に変更し、工程1から工程3(中和・乳化工程)までを、[実施例1]と同様の製造方法にて行った。
溶液が均一に乳化された後、脱イオン水1.5部にエチレンジアミン1部を溶解させた溶液を系内に添加し、内温50℃で制御して、30分間鎖延長反応を行った。
ついで、脱イオン水1.5部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)を系内に添加し、徐々に昇温した。発熱を確認後、75℃で制御して1時間保持し、ラジカル重合を行った。その後脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)をさらに追加し、1.5時間ラジカル重合を行い、水性樹脂分散液(P−18)を得た。ラジカル重合は、反応系の温度を40℃以下にすることにより終了させた。
(b)成分の代わりに、ジメチロールブタン酸を用い、さらにその他の原料を表7に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様の製造方法にて、分散液(P−26)を得た。
(d)成分の代わりに、1,4−ブテンジオールを用い、さらにその他の原料を表7に示す組成に変更し、実施例1と同様の製造方法にて、分散液(P−27)を得た。
また、各例におけるウレタンプレポリマーとモノマー組成物(A)との質量比、(a)成分中の水酸基と(b)成分中の酸無水物基とのモル比、ウレタンプレポリマーの酸価(固形分換算、単位:mgKOH/g)、(d)成分中のグリシジル基とポリオール(B)中のカルボキシ基とのモル比、(c)成分中のイソシアネート基とポリオール(B)または(a)成分中の水酸基とのモル比、各例で採用した製造方法(製造方法(1−1)、(1−2)または(2))、をそれぞれ表1、3、5、7に示す。
いずれの例においても、トリエチルアミンの量は、ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基1当量に対して1当量である。
ウレタンプレポリマーの酸価は、下記式(iii)により求めた理論値(理論酸価)である。
ウレタンプレポリマーの理論酸価(mgKOH/g)
=((b)成分の仕込み量(部)/(b)成分の分子量)×(b)成分の酸無水物基数×56100×(1/ウレタンプレポリマーの質量比) ・・・(iii)
また、各例での水性樹脂分散液の製造安定性評価、得られた水性樹脂分散液の液安定性試験結果、塗膜試験結果を表2、4、6、7に示す。
これに対し、(b)成分の代わりにジメチロールブタン酸を用いた比較例1は、ウレタン化反応中、析出物が多量に発生し、製造の安定性が著しく不良となった。さらに、続く、乳化工程では、凝集物が発生し、製造の継続が不能となった。
ウレタンプレポリマーへ二重結合基を導入する成分として(d)成分の代わりに1,4−ブテンジオールを用いた比較例2は、得られた水性樹脂分散液の液安定性が著しく不良となった。これは、以下の理由によると考えられる。
ウレタンプレポリマーへの重合性不飽和基の導入に、1,4−ブテンジオールのようなアルケンジオールを用いた場合、ウレタンプレポリマーの主鎖骨格中に二重結合が導入されることとなり、(メタ)アクリル系モノマーとのラジカル重合反応性が低下する。その結果、ウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂との間の結合量が減少して、水性樹脂分散液の液安定性が低下したと考えられる。
実施例1と、実施例1に対して(d)成分の量を変更した実施例6〜9とを対比すると、グリシジル基の量が最も多い実施例6にて、水性樹脂分散液の液安定性が最も良好となった。
実施例1と、実施例1に対して、ウレタンプレポリマーの酸価を変更した実施例10、11とを対比すると、ウレタンプレポリマーの酸価を最も低くした実施例11にて、塗膜の耐溶剤性と耐水性が良好となった。
実施例1と、実施例1に対してウレタンプレポリマーとモノマー組成物(A)との質量比を変更した実施例12、13とを対比すると、モノマー組成物(A)の比率が最も高い実施例13にて、塗膜の耐溶剤性と耐水性が最も良好となった。
実施例1と、実施例1に対して製造方法を変更した実施例14、15とを対比すると、いずれも製造の安定性は良好となった。水性樹脂分散液の液安定性と、塗膜の耐溶剤性および耐水性は、製造方法(1−1)を採用した実施例1にて最も良好となった。
鎖延長剤としてエチレンジアミンを用いた実施例18、エチレンジアミンを用いなかった以外はほぼ同じ条件の実施例16とを対比すると、実施例18の方が、実施例16より、塗膜の耐溶剤性と耐水性が向上した。
実施例1と、(a)成分に高分子量ポリオールを用いなかった実施例19〜21とを対比すると、高分子量ポリオールを用いた実施例1の方が、塗膜の耐溶剤性および耐水性が良好であった。
実施例1と、(b)成分に無水コハク酸を用いなかった実施例22、23とを対比すると、無水コハク酸を用いた実施例1の方が、水性樹脂分散液の液安定性が良好であった。
実施例1と、(d)成分にグリシジルメタクリレートを用いなかった実施例24、25とを対比すると、グリシジルメタクリレートを用いた実施例1の方が、水性樹脂分散液の液安定性が良好であった。
Claims (3)
- 下記の工程1、工程2および工程3を含む、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液の製造方法。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と、酸無水物(b)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程2:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)と、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)とを反応させて、カルボキシ基および重合性不飽和基を有するウレタンプレポリマー(C2)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C2)とを含む混合液(II)を得る工程。
工程3:工程2で得られた混合液(II)に中和剤および水を加えて乳化させた後、重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液を得る工程。 - 下記の工程1、工程4および工程5を含む、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液の製造方法。
工程1:(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と、酸無水物(b)とを反応させて、カルボキシ基を有するポリオール(B)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ポリオール(B)とを含む混合液(I)を得る工程。
工程4:工程1で得られた混合液(I)中で、前記ポリオール(B)と、ポリイソシアネート(c)とを反応させて、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(C4)を生成させ、前記モノマー組成物(A)と前記ウレタンプレポリマー(C4)とを含む混合液(IV)を得る工程。
工程5:工程4で得られた混合液(IV)に中和剤と水とを加えて乳化させた後、グリシジル基および重合性不飽和基を有する化合物(d)と前記ウレタンプレポリマー(C4)との反応、および重合反応を行って、水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液を得る工程。 - 前記酸無水物(b)が、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートからなる群から選ばれる請求項1または2に記載の水性ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂分散液の製造方法。
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