JP5968689B2 - ウレタンプレポリマーの製造方法、および水性樹脂分散液の製造方法 - Google Patents

ウレタンプレポリマーの製造方法、および水性樹脂分散液の製造方法 Download PDF

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本発明は、ウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液の製造に好適なウレタンプレポリマーの製造方法、該製造方法で得られるウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの製造方法を用いて水性樹脂分散液を製造する方法、該製造方法で得られる水性樹脂分散液に関する。
従来、コーティング剤、塗料、インキ用の水性樹脂として、アクリル樹脂やウレタン樹脂が使用されている。
アクリル樹脂は、耐候性、光沢、耐アルカリ性などの性能に優れているが、塗膜にした際の硬さと軟さの両立が困難であり、耐屈曲性、耐衝撃性、耐摩耗性などが不十分であった。
一方、ウレタン系樹脂は、機械的物性、密着性、耐磨耗性、柔軟性等に優れているが、耐候性、耐アルカリ性、耐熱性などが不良であり、かつ高価であった。
そこで、両方の樹脂の欠点を補うため、アクリル樹脂とウレタン樹脂を複合化した水性樹脂分散液が提案されている。
例えば特許文献1には、(メタ)アクリルモノマー中でジメチロールプロピオン酸などのカルボキシル基を有するポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、ウレタンプレポリマーのモノマー溶液を得た後に、モノマーを重合する水性ウレタン化合物の製造方法が記載されている。
特開平9−143211号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、原料のジメチロールプロピオン酸がモノマーやポリイソシアネートに溶解し難く、その結果ウレタン化反応の進行に伴い析出物が発生し、製造時の安定性が低下しやすい。さらに、未反応や低分子量のウレタン成分が多くなるため、この水性樹脂分散液より得られる塗膜の耐溶剤性や耐水性が低下しやすいという問題点があった。
本発明は、これらの問題点を解決し、ウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液の製造に好適なウレタンプレポリマーを安定に製造する方法および該製造方法で得られるウレタンプレポリマーを提供することを目的とする。
また本発明は、該ウレタンプレポリマーの製造方法を用いて水性樹脂分散液を製造する方法および該製造方法で得られる水性樹脂分散液を提供することを目的とする。
本発明のウレタンプレポリマーの製造方法は、下記の工程1および工程2を含む。
工程1:(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と酸無水物(b)とを反応させてポリオール(B)を生成し、ポリオール(B)とモノマー組成物(A)を含む反応液を得る工程。
工程2:前記反応液中で、ポリオール(B)とポリイソシアネート(c)とを反応させて、ウレタンプレポリマー(C)を生成する工程。
ポリオール(a)が、分子内にヒドロキシル基を3つ以上有するポリオールであることが好ましい。
本発明は、本発明のウレタンプレポリマーの製造方法で得られるウレタンプレポリマーを提供する。
本発明は、本発明のウレタンプレポリマーの製造方法で得られたウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)を含む混合物をラジカル重合する水性樹脂分散液の製造方法を提供する。
本発明は、本発明の水性樹脂分散液の製造方法で得られる水性樹脂分散液を提供する。
本発明のウレタンプレポリマーの製造方法によれば、ウレタンプレポリマーを安定に製造することができる。
本発明の水性樹脂分散液の製造方法によれば、ウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液を安定に製造することができる。得られた水性樹脂分散液は、耐溶剤性及び耐水性が良好な塗膜を形成できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[工程1]
工程1は(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)と酸無水物(b)とを反応させてポリオール(B)を生成し、ポリオール(B)とモノマー組成物(A)を含む反応液を得る工程である。
[モノマー組成物(A)]
本発明の(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー組成物(A)は、工程1、工程2において溶媒としての働きを有する。
モノマー組成物(A)に含まれる(メタ)アクリルモノマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本製造方法で得られたウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液から得られる塗膜の耐溶剤性、耐水性が向上しやすい点から、2種以上を併用することが好ましい。
モノマー組成物(A)に含まれる(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、炭素数12〜13のアルキルを有するメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、シラノール基、アミド基、1級、2級アミノ基などの官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、プロポキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエトキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する不飽和モノマーなどが挙げられる。
工程2において、モノマー組成物(A)としてカルボキシル基、水酸基、メチロール基、シラノール基、アミド基、1級、2級アミノ基などの官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを用いる場合は、イソシアネート(c)と前述の(メタ)アクリルモノマーとの反応が起こらないようにするため、モノマー組成物(A)中に0〜20質量%の割合で配合することが好ましい。
また、モノマー組成物(A)には、(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーを含んでもよい。
(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーとしては例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、ビニルトリエトキシシラン等の含珪素モノマー、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
さらに不飽和基を2つ以上有するビニルモノマー(例えばジビニルベンゼンなど)を含んでもよい。
モノマー組成物(A)中に含まれる(メタ)アクリルモノマーの含有量は50〜100質量%が好ましい。より好ましくは70〜100質量%であり、90〜100質量%が最も好ましい。
モノマー組成物(A)中に含まれる(メタ)アクリルモノマーの含有量が50質量%以上であると、工程1、工程2においてポリオール(B)やイソシアネート(c)に対する溶解性が向上し、その結果、工程2において高分子量のウレタンプレポリマー(C)を得ることができる。
[ポリオール(a)]
本発明で用いるポリオール(a)は分子内にヒドロキシル基を2つもしくはそれ以上有する化合物である。分子内にヒドロキシル基を3つ以上有すると、工程1、2においてウレタンプレポリマー(C)を高分子量化できる点でより好ましい。
ポリオール(a)としては、例えば数平均分子量が50〜500の低分子量ポリオール、数平均分子量が500〜5000の高分子量ポリオールなどが挙げられる。
低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコールなどが挙げられる。
高分子量ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジオールと二塩基酸の重縮合物とからなるポリエステルが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、上述したポリエステル以外にも、例えばポリカプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオールなどを用いてもよい。
ウレタンプレポリマー(C)を高分子量化できる点から、高分子量のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールが好ましい。
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
さらに、上述したポリオール以外にも、例えばポリブタジエンジオール、ひまし油などを用いてもよい。
ヒドロキシル基を3つ以上有するポリオールの例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールベンゼン、ヘキサントリオール、ペンタントリオール、ヘプタントリオール、オクタントリオール、ノナントリオール、デカントリオール、ベンゼントリオール、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、グリセリン、ポリグリセリン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等の4価のアルコール;キシリトール等の5価のアルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビトールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等の6価のアルコールなどが挙げられる。
モノマー組成物(A)への溶解性および酸無水物(b)成分との付加反応性の点から、トリメチロールプロパンまたはそのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、ソルビトールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物が特に好ましい。
これらポリオール(a)は、1種単独または2種以上を混合して使用することができるが。本製造方法による水性樹脂分散液から得られる塗膜の被塗装物への密着性、塗装性および塗膜物性等のバランスをとるために、化学構造の異なる2種類以上を混合して使用することが好ましい。
[酸無水物(b)]
本発明で用いる酸無水物(b)は、工程1において前述のポリオール(a)と付加反応するものである。
酸無水物(b)としては、脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデシル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、オクタデシル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等が挙げられる。脂環式酸無水物では、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルー3−シクロヘキセンー1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリストリメリテート無水物、グリセリンビスマンヒドロトリメリテートモノアセテート等が挙げられる。ハロゲン系酸無水物としては、テトラブロモ無水フタル酸等が挙げられる。
酸無水物(b)は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
モノマー組成物(A)への溶解性とポリオール(a)との反応性の点から、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、グリセリンビスマンヒドロトリメリテートモノアセテートが好ましい。
[ポリオール(B)]
本発明のポリオール(B)は工程1において、前述のポリオール(a)と酸無水物(b)との付加反応によって生成する。
本発明におけるポリオール(B)は、以下の反応生成物を含む。
前述のヒドロキシル基を2つ有するポリオール(a)を用いた場合は、酸無水物(b)との付加反応によって生成するジオールおよびカルボキシル基を有するモノオール。
前述のヒドロキシル基を3つ以上有するポリオール(a)を用いた場合は、酸無水物(b)との付加反応によって生成する、カルボキシル基を有するポリオールおよびカルボキシル基を有しないポリオール。
本発明においては工程2の後に水へ分散させ、水性樹脂分散液とするために、工程1においてはカルボキシル基を有するポリオールが生成することが好ましい。
ポリオール(a)中のヒドロキシル基と、酸無水物(b)中の酸無水物基とのモル比が4:1〜2:1であると、カルボキシル基を有するポリオール(B)が生成しやすい点で好ましい。より好ましくは3:1である。
上記付加反応は反応温度80〜100℃で、反応温度1〜10時間の条件で行うことが好ましい。
また、本付加反応は、反応系内に触媒がなくても進行するが、触媒を使用すればより容易に進行させることができる。触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジルコニウムオクトエート、亜鉛ナフテネート等を用いることができる。
[工程2]
工程2はポリオール(B)とモノマー組成物(A)を含む反応液中で、ポリオール(B)とポリイソシアネート(c)との反応によりウレタンプレポリマー(C)を得る工程である。
ポリイソシアネート(c)としては、例えば脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートおよびその誘導体などが挙げられる。具体的には、キシリレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネートおよびこれらの重合物が挙げられる。
また、上記の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、アロファネート結合、イソシアヌレート結合、カルボジイミド結合などを有する化合物との縮合物を用いてもよい。
ポリイソシアネート(c)は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。イソシアネート基と水との反応性および本製造方法による水性樹脂分散液から得られる塗膜の耐候性の点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが好ましい。
さらに、モノマー組成物(A)との相溶性の点から、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、中でもイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
工程2において、ポリオール(B)中のヒドロキシル基とポリイソシアネート(c)中のイソシアネート基のモル比が0.5:1〜2:1となるような配合比で反応させると、ウレタンプレポリマー(C)が容易に製造でき、続く鎖延長反応において高分子量化しやすくなる点から好ましい。より好ましくは1:1〜2:1である。
ポリオール(B)とポリイソシアネート(c)を反応させる方法としては、
(1)反応系に、(c)成分を単独で、または(c)成分とモノマー組成物(A)の一部との混合物を、滴下して徐々に添加し、ウレタン化反応を行う方法。
(2)反応系に、(c)成分を単独で、または(c)成分とモノマー組成物(A)の一部との混合物を、一括に投入して添加し、ウレタン化反応を行う方法。
がある。反応時の発熱が小さく、安定に製造できる点から(1)の方法で製造することが好ましい。
ポリオール(B)とポリイソシアネート(c)との反応は、通常、反応系内の温度50〜100℃、反応時間3〜10時間の条件で行うことが好ましい。
反応の進行が遅い場合、ウレタンプレポリマー(C)100質量部に対して触媒を0.1〜1.0質量部程度添加してもよい。
触媒としては、例えばジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物などが挙げられる。
また、工程2においては、反応中の熱によってモノマー組成物(A)が重合するのを防ぐために、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤をモノマー組成物(A)100質量部に対し0.002〜0.3質量部程度の範囲で加えておいてもよい。
[ウレタンプレポリマー(C)]
本発明のウレタンプレポリマー(C)は工程2において前述のポリオール(B)とイソシアネート(c)との反応により生成する。
本発明の製造方法によって得られたウレタンプレポリマー(C)は、カルボキシル基を有するウレタンプレポリマーを含む。
ウレタンプレポリマー(C)の酸価は、固形分換算で35〜150mgKOH/gであることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(C)の分子量は、数平均分子量で500〜10000が好ましい。より好ましくは500〜5000である。上記範囲内であると、工程2の過程において系内の粘度が高くなり過ぎず、安定に製造することができる。
工程1、2において、ウレタンプレポリマー(C)の原材料となるポリオール(a)、酸無水物(b)およびポリイソシアネート(c)の合計質量と、モノマー組成物(A)の質量の比が20:80〜85:15であると安定に製造できる点から好ましい。より好ましくは、30:70〜70:30である。
本発明においてはさらにウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)の混合物に中和剤と水を添加し、ウレタンプレポリマー(C)に含まれるカルボキシル基を中和し、ついで水で希釈することにより、ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)の混合物を乳化させ、水に分散させることができる。
乳化させる方法としては、
(1)反応系に、中和剤と水とを混合した溶液を、滴下して徐々に添加し、乳化させる方法。
(2)反応系に、中和剤のみを添加して中和させ、その後水を添加して乳化させる方法。
があるが、中和熱が抑制され、乳化も容易になる点で、方法(1)が好ましい。
中和剤としては有機アミン類や無機類などの塩基性化合物を用いることができる。
有機アミン類としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンなどが挙げられる。
無機類としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
これらの中でも、本発明の製造方法による水性樹脂分散液を塗膜にする際に揮発性を有する点で有機アミン類とアンモニアが好ましい。特にトリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが好ましい。
中和剤の添加量は、ウレタンプレポリマー(C)中に含まれるカルボキシル基1当量に対して、0.8〜1.2当量(中和率換算で80〜120%)程度が好ましい。
なお、ウレタンプレポリマー(C)の粘度が高い場合や、ウレタンプレポリマー(C)の酸価が低いことにより、中和剤の添加だけでは乳化が困難な場合は、反応系内に乳化剤を添加してもよい。
乳化剤としては、塗膜の耐水性・耐候性等の点から、反応性乳化剤を用いることが好ましい。
反応性乳化剤としては株式会社ADEKA製の「アデカリアソープSR−10」、「ER−10」、「ER−30」等が挙げられる。アニオン性反応乳化剤としては、花王株式会社製の「ラテムルPD−104」等が挙げられる。
本発明においてはその後、さらにウレタンプレポリマー(C)の鎖延長反応を行ってウレタン樹脂を製造することができる。
乳化されたウレタンプレポリマー(C)の鎖延長反応は、反応系内に存在する水をそのまま鎖延長剤として使うことができるが、鎖延長剤としてポリアミンなどを使用すると、ポリアミンが架橋剤としても作用し、より高分子量のウレタン樹脂が得られるため好ましい。特に3官能以上のポリアミンを用いることが好ましい。
ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ジフェニルジアミン等の脂肪族系、脂環式系、芳香族系のジアミン、トリアミンなどが挙げられる。
また、ウレタンプレポリマー(C)の分子量の調整を行いたい場合は、鎖延長反応の停止を目的として単官能のモノアミンを併用することもできる。
水を鎖延長剤として使用する場合、反応系内の温度を70℃以上にすると、鎖延長反応が進行しやすくなる点から好ましい。また、この鎖延長反応は、後述のモノマー組成物(A)のラジカル重合と同時に行うこともできる。
水以外の鎖延長剤を使用する場合は、ウレタンプレポリマー(C)中のイソシアネート基と水との反応を抑制するため、ウレタンプレポリマー(C)を乳化させる工程の前に、または乳化工程と同時に、反応系内の温度を70℃以下に下げることが好ましい。より好ましくは50℃以下である。
70℃以下に下げることで、水とイソシアネート基の反応を抑制でき、水以外の鎖延長剤との反応を効率良く進行させ、ウレタンプレポリマー(C)を高分子量化することができる。
特に、ポリアミンを鎖延長剤として用いて鎖延長反応を行う場合は、ポリアミンとイソシアネートとの反応性が高いことから、反応系内の温度を20〜80℃にして行うのが好ましい。より好ましくは60℃以下である。水に溶解するポリアミンを用いた場合、ポリアミンを適量の水に溶解させ、その溶液を反応系内に滴下しながら徐々に導入する方法が、反応熱の緩和とゲル化抑制の点から好ましい。
[水性分散樹脂分散液]
本発明ではさらに工程1、工程2によって得られたウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)を含む混合物中で、モノマー組成物(A)をラジカル重合することができる。本方法によってウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液が得られる。
モノマー組成物(A)のラジカル重合反応と前述の鎖延長反応とは同時に行ってもよいし、鎖延長反応を行った後にラジカル重合反応を行ってもよい。
なお、鎖延長剤として水を用いる場合は、製造時間を短縮できる点から鎖延長反応とラジカル重合反応を同時に行うことが好ましい。鎖延長剤としてポリアミンなどを用いる場合は、反応熱が緩和できる点から、鎖延長反応を行った後にラジカル重合反応を行うことが好ましい。
ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)を含む混合物中で、モノマー組成物(A)をラジカル重合する方法は、
(1)モノマー組成物(A)の全量を工程1、2における溶媒として用い、ウレタンプレポリマー(C)を乳化した後に、モノマー組成物(A)の全量をそのまま反応器内でラジカル重合させる方法。
(2)モノマー組成物(A)の一部を工程1、2における溶媒として用い、ウレタンプレポリマー(C)を乳化した後に、残りのモノマー組成物(A)を反応系内に滴下して添加し、ラジカル重合させる方法。
がある。製造時間を短縮できる点から(1)の方法が好ましい。
ラジカル重合反応を行う際の重合開始剤は水溶性であっても、油溶性であってもよい。
重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジンカーボネイト等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機パーオキサイド化合物などが挙げられる。
有機または無機パーオキサイド化合物は、還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤として使用することもできる。この場合に用いられる還元剤としては、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリットなどが挙げられる。
これら重合開始剤は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
重合開始剤は、モノマー組成物(A)100質量部に対して0.05〜5.00質量部の範囲内で使用するのが好ましい。
また、ラジカル重合反応は、通常、40〜100℃の温度で行うことが好ましいが、70℃以下での比較的低温での重合や、重合速度を促進させたい場合は、前述したレドックス系開始剤を用いてもよい。
重合開始剤として油溶性重合開始剤を用いる場合は、予めウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)とを含む混合物中に溶解させておくことが好ましい。
一方、重合開始剤として水溶性重合開始剤を用いる場合は、ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)とを含む混合物を水で希釈した後に、重合開始剤を添加する方法が好ましい。重合開始剤を添加する際は、一度に重合開始剤の全量を添加する方法、重合開始剤の全量を滴下する方法、始めに重合開始剤の一部を添加し残りを後から添加する方法のいずれの方法で行ってもよい。
ラジカル重合反応では、分子量を調節する目的で、公知の連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ターシャルドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などを使用してもよい。
また、ラジカル重合反応では、ウレタンプレポリマー(C)の乳化力が低い場合、重合中に凝集物やカレットが発生して、製造の安定性が低下することがある。このような場合は、ラジカル重合反応時に乳化剤を添加してもよい。好ましくは前述の反応性乳化剤を用いるとよい。反応性乳化剤の使用量は、ウレタンプレポリマー(C)製造時の重合安定性、水性樹脂分散液から得られる塗膜の耐水性および耐候性の点から、モノマー組成物(A)100質量部に対して、1〜10質量部とすることが好ましい。
ラジカル重合反応後の水性樹脂分散液の固形分は、3〜50質量%が好ましい。より好ましくは20〜50質量%である。固形分が高すぎる場合は、水や有機溶剤を配合し、希釈して使用してもよい。
また、水性樹脂分散液の粘度(25℃)は、塗装する際に必要以上に希釈することなく使用できる点から5〜1000mPa・sの範囲であることが好ましい。より好ましくは100mPa・s以下である。
水性樹脂分散液のpHの値は、水性樹脂分散液の貯蔵安定性が良好になる点および粘度の点から6〜10の範囲が好ましい。より好ましくは7〜9の範囲である。
本発明により得られる水性樹脂分散液は、そのままコーティング剤、塗料、インキなどとして使用することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本実施例において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
各種測定方法、評価方法は以下の通りである。
<製造安定性の評価>
以下の評価基準に基づき、各工程の製造安定性を評価した。
(ウレタン化反応工程)
工程1、2において、原料投入後から所定時間終了までの反応系内の溶液の状態(原料の溶解性、析出物の発生等)を目視にて観察し、製造の安定性を評価した。
5:ウレタン化反応終了まで反応液は透明性を保ち、さらに析出物の発生も無く、製造の安定性が良好。
4:ウレタン化反応の進行により反応液はやや白濁化してくるが、析出物の発生は無く、製造の安定性に問題はない。
3:ウレタン化反応の進行により反応液は白濁化し、さらに析出物が少量発生し、製造の安定性がやや低下。
2:ウレタン化反応の進行により反応液は白濁化し、さらに析出物が多量発生し、製造の安定性が低下。
1:ウレタン化反応中、原料が完全に溶解しない、あるいは析出物が多量発生し、反応の継続が不能となる。
(乳化工程)
工程1、2の後、ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)とを含む混合物に中和剤と水を添加して、ウレタンプレポリマー(C)を乳化させる工程において、中和剤と水を全量投入後の反応系内の分散液の状態(粘度、凝集物の発生、反応器内壁および撹拌羽への樹脂付着等)を目視にて観察し、製造の安定性を評価した。
5:分散液の粘度は低く、凝集物の発生および反応器への樹脂付着も無く、製造の安定性が良好。
4:分散液の粘度がやや高くなるが、凝集物の発生および反応器への樹脂付着は無く、製造の安定性に問題は無い。
3:分散液の粘度がやや高くなり、さらに凝集物の発生および反応器への樹脂付着が少量発生し、製造の安定性がやや低下。
2:分散液の粘度がやや高くなり、さらに凝集物の発生および反応器への樹脂付着が多量発生し、製造の安定性が低下。
1:分散液の粘度が高くなる、またはゲル化する、あるいは大きな凝集物が発生し攪拌不能になる等で、乳化の継続が不能となる。
(ラジカル重合反応工程)
ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)を含む混合物中でモノマー組成物(A)をラジカル重合する工程において、反応系内の溶液の状態(粘度、反応器内壁および撹拌羽へのカレット付着等)を目視で観察した。さらにカレットの発生率を測定して、製造の安定性を評価した。
カレットの発生率は、製造後150メッシュナイロン紗を用いて、分散液を濾過し、凝集物を採取、ついで、採取した凝集物を105±5℃で2時間乾燥させ、乾燥残分の質量を測定し、下記式より発生率を求めた。
カレットの発生率(質量%)=乾燥残分の質量(g)/仕込みモノマー質量(g)×100
5:カレットの発生率が0.2%未満で、反応器および攪拌羽にカレットの付着は殆どなく、製造の安定性が良好。
4:カレットの発生率が0.2%以上0.5%未満で、反応器および攪拌羽にカレットの付着は殆どなく、製造の安定性に問題はない。
3:カレットの発生率が0.5%以上1%未満で、反応器および攪拌羽にカレットが少量付着し、製造の安定性がやや低下。
2:カレットの発生率が1%以上3%未満で、反応器および攪拌羽にカレットが多量に付着し、製造の安定性が低下。
1:カレットの発生率が3%以上で、反応器および攪拌羽にカレットが多量に付着し、製造の安定性が著しく不良。
<ウレタンプレポリマー(C)の物性測定>
(数平均分子量の測定)
工程2の終了後、ウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)の混合溶液を、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製、ポリスチレン換算)で測定し、最も高分子量側に出たピークをウレタンプレポリマー(A)として、数平均分子量を求めた。
<水性樹脂分散液の物性測定>
(樹脂固形分の測定)
予め水性樹脂分散液の質量を測定した。ついで、水性樹脂分散液を105±5℃で2時間乾燥させ、乾燥残分の質量を測定し、下記式(i)より樹脂固形分を求めた。
樹脂固形分(質量%)=乾燥残分の質量(g)/乾燥前の水性樹脂分散液の質量(g)×100・・・(i)
(粘度の測定)
水性樹脂分散液を25±1℃で2時間放置した後、B型粘度計(東機産業株式会社製、「TV−22形粘度計 スピンドルタイプ」)を用いて、水性樹脂分散液の粘度(単位:mPa・s)を測定した。
(pHの測定)
水性樹脂分散液を25±1℃で2時間放置した後、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、「Gシリーズ HM−30G」)を用いて、水性樹脂分散液のpHを測定した。
<塗膜試験>
(耐溶剤性の評価)
水性樹脂分散液100部に対し、ブチルセロソルブを10部、水系増粘剤(ウレタン変性ポリエーテル系)を1部配合して、クリヤー塗料を作製した。
ついで、表面をメタノールで拭いた処理済PETシートに、バーコーターを用いて乾燥膜厚が20μmになるようにクリヤー塗料を塗装し、70℃×40分間乾燥させ、評価用塗膜を得た。
イソプロピルアルコールをしみ込ませたガーゼを、評価用塗膜上に50回ラビングした後、塗膜の外観変化を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき耐溶剤性を評価した。
5:曇りや白化が全く無い。
4:曇りや白化がごくわずかにある。
3:曇り、白化が認められる。
2:かなり白化している。
1:塗膜のキズ、白化が激しい。
(耐水性の評価)
耐溶剤性の評価と同様にして、評価用塗膜を得た。
脱イオン水をしみ込ませたガーゼを、評価用塗膜上に荷重1kgをかけた状態で100回ラビングした後、塗膜の外観変化を目視にて観察し、以下の評価基準に基づき耐溶剤性を評価した。
5:曇りや白化が全く無い。
4:曇りや白化がごくわずかにあるが、問題ない。
3:曇り、白化が認められる。
2:かなり白化している。
1:塗膜のキズ、白化が激しい。
[実施例1]
(工程1:ポリオール(B)の生成工程)
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、ポリオール(a)としてトリメチロールプロパンを4部およびトリメチロールプロパンにエチレンオキサイドが付加した化合物(以下、「トリメチロールプロパンEO付加物」という。)を11部、酸無水物(b)として無水コハク酸を5部、モノマー組成物(A)としてメチルメタクリレートを16部、イソブチルメタクリレートを16部、エチルアクリレートを16部、ノルマルブチルアクリレートを7部、ジメチルアミノエチルメタクリレート5部を仕込んだ。この混合物を攪拌しながら90℃に加熱して3時間保持し、ポリオール(B)およびモノマー組成物(A)を含む反応液を得た。
(工程2:ウレタン化反応工程)
ついで、反応器内に(c)成分のイソホロンジイソシアネート14.3部を30分間かけて滴下し、滴下後、反応器内の温度を90℃から80℃に降温し、80℃で3時間かけてウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー(C)およびモノマー組成物(A)を含む混合物を得た。
(乳化工程)
ついで、内温が50℃以下になるまで冷却し、その後トリエチルアミン5.1部と脱イオン水174部を混合した溶液(トリエチルアミン水溶液)を、30分間かけて系内に滴下した。
(ラジカル重合反応工程)
溶液が均一に乳化された後、脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)を系内に添加し、徐々に昇温した。発熱を確認後、75℃にて1時間保持し、ラジカル重合を行った。その後脱イオン水3部に過硫酸カリウム0.15部を溶解させた溶液(過硫酸カリウム水溶液)をさらに追加し、1.5時間かけてラジカル重合を行い、水性樹脂分散液(P−1)を得た。
[実施例2]〜[実施例12]
表1、2に示す組成に変更した以外は実施例1と同様の製造方法にて、水性樹脂分散液(P−2)〜(P−12)を得た。
なお、いずれの例においてもウレタンプレポリマー(C)中のカルボキシル基1当量に対して、トリエチルアミンは1当量である。
[比較例1]
酸無水物(b)の代わりに、カルボン酸であるジメチロールプロピオン酸を用い、さらにその他の原料を表3に示す組成に変更して、実施例1と同様の製造方法をおこなった。その結果、ジメチロールプロピオン酸は酸無水物に比べてモノマー組成物(A)およびポリイソシアネートに対する溶解性が小さいため、工程1の段階で析出物が多量に発生し、製造不可となった。
実施例1〜12、比較例1の製造安定性の評価および得られた水性樹脂の塗膜試験結果を表4に示す。
Figure 0005968689
Figure 0005968689
Figure 0005968689
Figure 0005968689
表1〜4から明らかなように、実施例1〜12では工程1、2における製造安定性が良好であった。さらに、続く中和・乳化工程およびモノマー組成物(A)のラジカル重合も安定に行うことができ、水性樹脂分散液(P−1〜P−12)を製造することができた。
本発明によれば、(メタ)アクリルモノマー中で、酸無水物を用いてウレタンプレポリマーを安定に製造することができ、続いて中和・乳化工程を行い、最後に(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を行うことで、ウレタン樹脂とアクリル樹脂が混合した水性樹脂分散液を製造することができる。
さらに、この分散液から得られる塗膜は耐溶剤性や耐水性に優れ、コーティング剤、塗料、インキ用の水性樹脂として工業上有益なものとなる。

Claims (3)

  1. 下記の工程1および工程2を含む、ウレタンプレポリマーの製造方法。
    工程1:(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー組成物(A)中で、ポリオール(a)および酸無水物(b)を反応させてポリオール(B)を生成し、ポリオール(B)およびモノマー組成物(A)を含む反応液を得る工程。
    工程2:前記反応液中で、ポリオール(B)およびポリイソシアネート(c)を反応させて、ウレタンプレポリマー(C)を生成する工程。
  2. ポリオール(a)が、分子内にヒドロキシル基を3つ以上有するポリオールである、請求項1記載のウレタンプレポリマーの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法で得られたウレタンプレポリマー(C)とモノマー組成物(A)を含む混合物をラジカル重合する水性樹脂分散液の製造方法。
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