JP6604716B2 - 水性樹脂組成物、水性樹脂組成物の製造方法およびコーティング剤 - Google Patents

水性樹脂組成物、水性樹脂組成物の製造方法およびコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、水性樹脂組成物、水性樹脂組成物の製造方法およびコーティング剤に関する。
水性樹脂組成物の中でも、カチオン性基を含有するポリウレタン樹脂水性分散体は、従来から建築内装、皮革、金属、木材などの水性被覆組成物として広く使用されている(特許文献1)。
かかるカチオン性基含有ポリウレタン樹脂水性分散体は、一般的に、黄変が起こりやすく外観に影響があった。特に塗装後に高温条件下におくとにごりや黄変が目立つため、塗布後に高温乾燥ができず、塗膜形成時間を短縮することが困難である。また、耐候性や強靭性が要求される用途においては、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂水性分散体と不飽和重合性モノマー重合体水性分散体を混合して使用する場合があるが、混合時の配合安定性が悪いためにゲル化や沈降が起こりやすく、界面活性剤などの乳化剤を添加する必要がある。これらの課題を解決すべく、本発明者らは不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)で乳化されていることを特徴とする水性樹脂組成物を開示してきた(特許文献2)。
国際公開WO2005/092998号公報 特開2012−1584号公報
しかし、近年の用途拡大伴い、特許文献2記載の水性樹脂組成物では、耐溶剤性が不十分である場合が出てきた。本発明は、上記問題点に鑑みて為されたものであり、良好な皮膜物性、接着性および耐食性を有し、さらに耐溶剤性も良好な水性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造を有する不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)で乳化された水性樹脂組成物により前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記に掲げるに発明に関する。
(1) 不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B
)で乳化された水性樹脂組成物であって、前記不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カ
ルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノ
マーのアルキルエステル(a2)の重合体であり、前記カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)が、ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)、およびN−メチルジエタノールアミン、ならびにN−メチルジアミノエチルアミンから選択された1種または2種以上であるカチオン性基含有化合物(b−3)を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)に含まれるカチオン性基を、酸で中和、または四級化剤で四級化し、水または/およびポリアミンで鎖伸長反応することにより得られるポリウレタン樹脂であり、かつ固形分の酸価が5〜70mgKOH/gである、水性樹脂組成物。
(2) 前記不飽和重合性モノマー重合体(A)のカルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)とカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)の含有比が、(a1)/(a2)=2.5〜25/100であることを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂組成物。
(3) カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)、カルボン酸基含有不飽和重合
性モノマーのアルキルエステル(a2)およびカチオン性基含有イソシアネート基末端ウ
レタンプレポリマー(b)を含有する溶液を水に分散する工程と、前記カチオン性基含有
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)を水及び/又はポリアミンで鎖伸長す
ることによりカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)を乳化する工程と、前記カルボン
酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーの
アルキルエステル(a2)を重合して不飽和重合性モノマー重合体(A)を生成する工程
とを含むことを特徴とする水性樹脂組成物の製造方法。
(4) (1)または(2)請求項1請求項2に記載の水性樹脂組成物を含有することを
特徴とするコーティング剤。
本発明によれば、良好な皮膜物性、接着性および耐食性を有し、さらに耐溶剤性も良好な水性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)で乳化されたものである。
<不飽和重合性モノマー重合体(A)>
本発明の不飽和重合性モノマー重合体(A)は、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)の重合体である。また、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)は、1種または2種以上を併用して使用することができる。
本発明におけるカルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)は、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸を含む(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。これらのうち、反応性、皮膜物性、接着性、耐溶剤性の点でメタクリル酸、マレイン酸が好ましい。
本発明におけるカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ビシクロ[3,3,1]ノニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メトキシエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ) アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシエチレングリコール(メタ) アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ) アクリレート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシプロピレングリコール(メタ) アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ) アクリレートなどのモノ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ) アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、などのジ(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのヘキサ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。これらのうち、反応性、皮膜物性、接着性、耐溶剤性の点での点でモノ(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルがより好ましい。
本発明の固形分の酸価は5〜70mgKOH/gであり、好ましくは5〜65mgKOH/g、より好ましくは8〜60mgKOH/gである。これらの範囲であれば、皮膜物性、接着性、耐溶剤性の点で好ましい。なお、本発明でいう固形分とは、不飽和重合性モノマー重合体(A)およびカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)をいう。
本発明において、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)とカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)の含有比は、(a1)/(a2)=1.5〜45/100が好ましく、2.0〜35/100がより好ましく、2.5〜25/100がさらに好ましい。これらの範囲であれば、皮膜物性、接着性、耐溶剤性の点で好ましい。
前記不飽和重合性モノマー(a)を重合する際には、熱重合の他、公知の重合開始剤(c)を添加して重合反応をさせることができる。
重合開始剤(c)としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系開始剤;フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤などが使用できる。または、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物などの過酸化物系開始剤と、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩;硫酸水素ナトリウムなどの亜酸水素塩;硫酸第一銅、硫酸第一鉄などの金属塩;L−アスコルビン酸などの有機還元剤などの還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤も利用できる。また、重合方法としては、乳化重合などの公知の方法が用いられる。重合温度は、前記重合開始剤の種類によって調整されるが、例えば20℃〜100℃が好ましい。前記重合開始剤(c)の使用量は、通常、不飽和重合性モノマー(a)100重量部に対して、例えば0.005〜1%が適当である。
<カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)>
本発明のカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)は、例えば、従来公知の方法で製造することができ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)およびカチオン性基含有化合物(b−3)を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)に含まれるカチオン性基を、酸で中和、または四級化剤で四級化し、水または/およびポリアミンで鎖伸長反応することにより得られる。
(ポリオール化合物(b−1))
前記ポリオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子量400以下の低分子量ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、又は炭化水素系ポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール化合物は、1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。
前記低分子量ポリオールは、分子量400以下のものであり、前記低分子量ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、又はトリメチロールプロパンなどが挙げられる。
前記ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、前記低分子量ポリオールと多価カルボン酸とを反応させてなる水酸基末端エステル化縮合物が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフラン酸、エンドメチンテトラヒドロフラン酸、又はヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAなどの前記低分子量ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、又はショ糖などにアルキレンオキサイドを付加重合したものが挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。
前記ひまし油系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ひまし油、ひまし油に水素付加した水添ひまし油、ひまし油脂肪酸又はこれに水素付加した水添ひまし油脂肪酸を用いて製造されたポリオールなどが挙げられる。また、ひまし油と他の天然油脂とのエステル交換物、ひまし油と多価アルコールとの反応物、ひまし油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物、又はこれらに前記アルキレンオキサイドを付加重合したポリオールなどが挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、従来公知のものが挙げられ、該ポリカーボネートポリオールは、特に限定されないが、例えば、前記低分子量ポリオールとジフェニルカーボネートとの反応により、又は、前記低分子量ポリオールとホスゲンとの反応により得られる。
前記炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、又は水添ポリイソプレンポリオールなどが挙げられる。
(イソシアネート化合物(b−2))
前記イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および芳香脂肪族ポリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。前記イソシアネート化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わされて用いることができる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、前記イソシアネート化合物は、前記ポリイソシアネートの2量体もしくは3量体、ビューレット化イソシアネート等の変性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などを用いることができる。
前記イソシアネート化合物の中でも、水性樹脂組成物の黄変をより抑制できるという点で、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートが特に好ましい。
(カチオン性基含有化合物(b−3))
前記カチオン性基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−メチルジエタノールアミンなどのアルキルジアルカノールアミン;N−メチルジアミノエチルアミンなどのアルキルジアミノアルキルアミンなどが挙げられる。また、これらを酸や四級化剤で四級化したものも使用することができる。
尚、本発明でいうカチオン性基としては、特に限定されないが、例えば、三級アミノ基を酸で中和した、または四級化剤で四級化した四級アンモニウム基が挙げられる。また、カチオン性基含有化合物(b−3)に関しては、四級アンモニウム基を形成しうる三級アミン基含有化合物であってもよい。
前記ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)およびカチオン性基含有化合物(b−3)を反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)を得るが、反応方法としては公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、例えば、30℃〜130℃で0.5時間〜10時間程度の反応条件で行うことができる。
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)に含まれているカチオン性基を中和する酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸および硫酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸などの有機酸が挙げられる。
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)に含まれるカチオン性基を四級化する四級化剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化メチルおよび臭化メチルなどのハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸およびジエチル硫酸などのジアルキル硫酸が挙げられる。
前記のように、カチオン性基を中和または四級化されたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)を水、または水とポリアミンの混合物で鎖伸長してカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)が形成される。
前記鎖伸長剤として水と混合されるポリアミンは、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタキシレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジドのようなポリヒドラジド等が使用できる。前記ポリアミン化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー化を大きく阻害しない程度に反応停止剤としてジブチルアミンなどのモノアミンやメチルエチルケトオキシムのような反応停止剤を使用してもよい。また、前記ポリアミンと水の混合物を鎖伸長剤として使用することもできる。
本発明の水性樹脂組成物の不飽和重合性モノマー重合体(A)とカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)の質量比は、(A)/(B)=90/10〜1/99であることが好ましく、80/20〜10/90であることがより好ましい。これらの範囲であれば、水性樹脂組成物の分散安定性が良好となる。
本発明の水性樹脂組成物は下記の方法で製造することができる。
前記ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)およびカチオン性基含有化合物(b−3)を反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとし、これを5℃〜45℃に冷却して、酸または四級化剤を添加し、カチオン性基本含有イソシアネート基末ウレタンプレポリマー(b)を製造する。
尚、溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの任意の有機溶媒を使用することができる。
この場合、前記ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)およびカチオン性基含有化合物(b−3)の混合比率は、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの遊離のイソシアネート基含有量が、カチオン性基本含有イソシアネート基末ウレタンプレポリマー(b)に対して0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%になるように混合することが好ましい。
また、前記カチオン性基含有化合物(b−3)の混合比率は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのアミン価が5〜80mgKOH/gとなるようにすることが好ましい。
続いて、カチオン性基含有イソシアネート基末端ウレタンポリマー(b)100重量部に対して不飽和重合性モノマー(a)を1〜900重量部添加し、均一溶液とした後、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)とカチオン性基含有イソシアネート基末端ウレタンポリマー(b)の合計量100重量部に対して水を100〜900重量部を添加することで乳化させ、必要によりポリアミンを添加して鎖伸長反応をすることによりポリウレタン樹脂(B)を得る。
さらに鎖伸長と同時または反応後に、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)を重合して不飽和重合性モノマー重合体(A)を生成し、有機溶媒を減圧留去することにより、本発明の不飽和重合性モノマー重合体(A)がカチオン性基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)で乳化されている水性樹脂組成物が製造される。
さらに、本発明の水性樹脂組成物には、必要に応じて一般的に使用される各種添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、例えば、耐候剤、抗菌剤、抗カビ剤、顔料、充填材、防錆剤、顔料、染料、造膜助剤、無機架橋剤、有機架橋剤( 例えばブロックドイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤) 、シランカップリング剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機、有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明について詳細に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル245重量部、メタクリル酸15重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(実施例2)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル230重量部、メタクリル酸30重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(実施例3)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてポリエステルポリオール(クラレポリオールP−520、株式会社クラレ製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33重量部、b−2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル245重量部およびメタクリル酸15重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(実施例4)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル251重量部、マレイン酸9重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(実施例5)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)160重量部、トリメチロールプロパン8重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン44重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート308重量部およびメチルエチルケトン350重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸48.5重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル115重量部、メタクリル酸15重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=20/80であった。
(実施例6)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)80重量部、トリメチロールプロパン4重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン22重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート154重量部およびメチルエチルケトン175重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸23.3重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル375重量部、メタクリル酸15重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=60/40であった。
(実施例7)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル250重量部、メタクリル酸10重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(実施例8)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル210重量部、メタクリル酸50重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
(比較例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、続いて、水1380重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。
(比較例2)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、b-1成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製)120重量部、トリメチロールプロパン6重量部、b-3成分としてN−メチルジエタノールアミン33 重量部、b-2成分として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート231重量部およびメチルエチルケトン260重量部を加え、75℃で4時間反応させてアミン価40mgKOH/gのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。
次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸34.9重量部を加えて四級化した後、a成分としてメタクリル酸メチル160重量部、メタクリル酸100重量部を加えた。続いて、水2300重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散し、t−ブチルヒドロパーオキサイド1重量部及び亜硫酸ナトリウム1重量部を添加し、25℃で3時間反応させて不飽和重合性モノマーを重合させた後、この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分25%の水性樹脂組成物を得た。得られた水性樹脂組成物中の、ポリウレタン樹脂(B)と、不飽和重合性モノマー重合体(A)との重量比はA/B=40/60であった。
<酸価>
固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和するに要するKOHのmg数を示し、用いたカルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)の仕込量より算出した。
<評価サンプル調製>
上記のように得られたポリウレタン樹脂水分散体を、膜厚200μmとなるようにテフロン(登録商標)コーティングシャーレに投入し、80℃で6時間乾燥し、これを所定の大きさ(2cm×4cm)に切断することにより評価サンプルを作製した。
<皮膜物性>
試験条件はJIS−K−6301に準じて、引張速度100mm/minで引張強度および伸度を測定した。
<耐温水、耐溶剤性>
試験液として、40℃に調整した蒸留水、25℃に調整した酢酸エチル/トルエン=1:1の混合溶液、メチルエチルケトン(MEK)を使用した。初期の面積(2×4cm)に対する重量増加率および面積増加率を下記式により求めた。得られた重量増加率および面積増加率が低いほど耐温水、耐溶剤性が良好であると評価した。
重量増加率=(浸漬後の重量―初期の重量)/初期の重量×100
面積増加率=(浸漬後の面積―初期の面積)/初期の面積×100
<密着性>
基材(PETフィルム(コロナ放電処理・未処理))をイソプロピルアルコールを用いて脱脂した。次に、上記実施例及び比較例で得られた水性樹脂組成物をバーコーターで、乾燥膜厚5μmになるように塗布し、雰囲気温度280℃の熱風乾燥炉を用いて10分間乾燥し試験片を作製し、1mm碁盤目試験を実施した。
評価=100区画中の残存率
<耐食性>
得られた水系ポリウレタン樹脂組成物を、真鍮板(50mm×50mm、厚さ:1mm)に、厚さ0.1mmとなるように塗布し、硬化させ、試験片を得た。得られた試験片を25℃のイオン交換水、100ml中に10日間放置し、その後試験片を水から取出して、室温で42日間放置した。試験片の表面積(250mm2)に対する錆の発生の有無を目視で評価した。
Figure 0006604716
Figure 0006604716
本発明の技術的範囲に属する実施例は、いずれも良好な皮膜物性、接着性、耐食性、耐溶剤性が両立できていることが分かる。一方、酸価が本発明の技術的範囲から外れる比較例1,2は前記物性が両立できないことがわかる。また、(a2)を使用せず、(a1)のみの処方では、水性樹脂組成物を得ることができなかった。
また、本発明の水性樹脂組成物は、コーティング剤、塗料として幅広く用いることができる。PETフィルム等のコーティング剤が、特に金属表面処理剤などの金属塗料として使用するのに好適である。

Claims (4)

  1. 不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)で乳化された水性樹脂組成物であって、
    前記不飽和重合性モノマー重合体(A)が、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)の重合体であり、
    前記カチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)が、ポリオール化合物(b−1)、イソシアネート化合物(b−2)、およびN−メチルジエタノールアミン、ならびにN−メチルジアミノエチルアミンから選択された1種または2種以上であるカチオン性基含有化合物(b−3)を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)に含まれるカチオン性基を、酸で中和、または四級化剤で四級化し、水または/およびポリアミンで鎖伸長反応することにより得られるポリウレタン樹脂であり、
    かつ固形分の酸価が5〜70mgKOH/gである、
    水性樹脂組成物。
  2. 前記不飽和重合性モノマー重合体(A)のカルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)とカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)の含有比が、(a1)/(a2)=2.5〜25/100であることを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  3. カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)およびカチオン性基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)を含有する溶液を水に分散する工程と、
    前記カチオン性基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(b)を水及び/又はポリアミンで鎖伸長することによりカチオン性基含有ポリウレタン樹脂(B)を乳化する工程と、
    前記カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー(a1)およびカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル(a2)を重合して不飽和重合性モノマー重合体(A)を生成する工程を含むことを特徴とする水性樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の水性樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤。
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