JP5915935B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
燃料電池は、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、騒音や振動も少ないことから、携帯機器、自動車、鉄道、コジェネレーション等の多様な分野における電源として今後の発展が期待されている(例えば、特許文献1(特開2010−40450号公報)参照)。
燃料電池の発電機構は、セルのアノード側に供給された水素ガスとカソード側に供給された酸素ガス(空気)とが、下記の反応によって生ずる電子(e)の流れを電気エネルギーとして外部に取り出すものである。
アノード側:H→2H+2e
カソード側:1/2O+2H+2e→H
全反応 :H+1/2O→H
上記電池反応を円滑に進行させるためには、電解質膜を適度な湿潤状態に保持して水素ガスをイオン化する必要があり、通常、水素ガス及び酸素ガスに電池の運転温度に近い温度の飽和水蒸気を含ませて加湿することにより湿潤状態を維持している。すなわち、アノード側に供給された水素ガスは触媒電極上でイオン化(H)されて、Hは電解質膜を介して水(HO)とともにカソード側へ移動し、カソードにおいてHOを生成する。
燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池は、イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)の両面を白金などの触媒を担持させたアノード電極板およびカソード電極板で挟み、その両外側に板状セパレータを配してなる単セルを基本構成単位とし、この単セルを数十〜数百個積層させたスタックとその外側に設けた2つの集電体等から構成されてなるものであり、例えば、図1に示すように、セパレータ1、1間に、固体高分子電解質膜M、ガス拡散電極(カソード電極)3およびガス拡散電極(アノード電極)4を介在させ、さらに外周面にはシール材Sを介在させることにより単セルを形成し、該セルを複数積層してスタックを形成し、該スタックの外側に2つの集電体等を設けることにより燃料電池を作製することができる。
このような燃料電池用セパレータとして、代表的には、水素ガスおよび酸素ガス(空気)等の燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路としての溝を、各セパレータの表面に刻設したリブ付セパレータ方式等が挙げられる。
上記セパレータは、水素ガスと酸素ガス(空気)とを完全に分離した状態で電極に供給するために、高度のガス不透過性(ガスリークしない緻密性)が必要とされ、また、発電効率を高めるために、電池の内部抵抗を低減して高い導電性を有することが必要とされる。さらに、複数の単セルを積層するために優れた厚さ精度が求められるともに、スタックを形成する際に単セル同士が密着するように強く締め付ける必要があるので高い材質強度を有することが求められ、さらに自動車に搭載した場合などには、振動、衝撃、温度変化などによる伸縮によって生じる亀裂や破損を抑制する優れた耐久性が求められる。
このような性質を有するセパレータとしては、黒鉛粉末などの炭素粉末を、熱硬化性樹脂をバインダーとして所定の金型で熱圧成形することにより、結着、一体化した炭素−樹脂硬化成形体が好適に使用されている。
上述したように、セパレータは、水素ガスや酸素ガス(空気)等の流路としての溝−山構造(凹凸構造)が形成されてなる発電部を有するものであり、例えば流路形状がサーペンタイン形状を成すセパレータは、ガスの流路が蛇行して突起を成す等複雑な形状からなる発電部を有している。このように、セパレータの発電部においては流路(溝)が集中的に形成されることから、発電部とその周囲のシール部とでは、セパレータの作製時における黒鉛/熱硬化性樹脂混合材料(黒鉛樹脂混合材料)の必要量が異なり、発電部における混合材料の必要量は発電部外周のシール部における混合材料の必要量よりも少なくなる。
このため、セパレータの作製時(上記混合材料の熱圧成形時)において、上記混合材料を発電部形成位置とシール部形成位置に適切に振り分けるために、従来より、セパレータ形状に近似したニアネット形状の予備成形体を作製し、この予備成形体を熱圧成形することにより、セパレータ各部の形成位置に適正量の混合材料を充填することが行われている。
一方、得られるセパレータに高い導電性を付与する(低電気抵抗特性を付与する)ため、一般に上記混合材料中における熱硬化性樹脂の配合量は制限されており、このために上記予備成形体に十分な流動性を付与しつつ熱圧成形することが困難な状況にある。
上記予備成形体に十分な流動性を付与することなく作製されたセパレータは、組織不良を生じ易いことから、十分なガス不透過性(ガスリークしない緻密性)を有するものを得難くなる。
特開2010−40450号公報
このような状況下、本発明は、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを簡便に製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために本発明者等がさらに検討したところ、予備成形体を構成する黒鉛樹脂混合材料の粒度に着目するに至った。
すなわち、従来、黒鉛樹脂混合材料としては、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂溶液とを万能撹拌機等で混合し、自然乾燥、送風乾燥させて有機溶剤を除去した塊状物を自由粉砕機等で粉砕した後、振動篩等により0.3mm以下程度に分級した成形粉を使用していたが、このような方法で作製した成形粉は、0.1mm以下の粒子の含有割合が50%以上になり、この成形粉を予備成形した場合には、成形粉の粉体流動性が悪く、平板であれば均質に充填されず、セパレータ形状であれば形状に適合した成形粉の充填ができないために、得られた予備成形体を熱圧成形した場合には、組織不良を生じ易く、ガスリークし易いセパレータ材となり易いことを見出した。
上記知見に基づいて、本発明者がさらに検討したところ、固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対し、熱硬化性樹脂成分を10〜30質量部含む黒鉛樹脂混合材料を用いて、最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である黒鉛樹脂混合造粒粒子を作製した後、得られた造粒粒子の最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を、前記熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度下で、1〜10MPaの圧力で圧縮成形して予備成形体を作製し、得られた予備成形体を所定の成形面形状を有する金型で150〜200℃の温度条件下、20〜50MPaの圧力を加えて熱圧成形することにより、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
燃料電池用セパレータの製造方法であって、
固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対し、熱硬化性樹脂成分を10〜30質量部含む黒鉛樹脂混合材料を用いて、
最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である造粒粒子を作製した後、
得られた造粒粒子を粉砕処理することなく、造粒粒子の最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を、
前記熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度下で、1〜10MPaの圧力で圧縮成形して予備成形体を作製し、
得られた予備成形体を所定の成形面形状を有する金型で150〜200℃の温度条件下、20〜50MPaの圧力を加えて熱圧成形する
ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを簡便に製造する方法を提供することができる。
燃料電池用セパレータを用いた燃料電池用単セルの説明図である。 造粒粒子を作製する際に使用する造粒機の一例を示す図である。
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対し、熱硬化性樹脂成分を10〜30質量部含む黒鉛樹脂混合材料を用いて、最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である造粒粒子を作製した後、 得られた造粒粒子の最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を、前記熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度下で、1〜10MPaの圧力で圧縮成形して予備成形体を作製し、得られた予備成形体を所定の成形面形状を有する金型で150〜200℃の温度条件下、20〜50MPaの圧力を加えて熱圧成形することを特徴とするものである。
本発明において、黒鉛粉末としては、人造黒鉛粉末、天然黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、あるいは、これらの混合物などの黒鉛粉末を挙げることができ、人造黒鉛粉末としては、等方性黒鉛材や人造黒鉛電極の粉砕物を、天然黒鉛粉末としては、鱗片状黒鉛粉末や球形に加工したもの等を挙げることができる。
これらの黒鉛粉末のうち、曲げ強度や破断歪み等のセパレータ材の機械的特性を考慮すると、人造黒鉛粉末単独あるいは人造黒鉛粉末と天然黒鉛粉末の混合粉末が好ましく、また、上記各黒鉛粉末は、適宜粉砕機により粉砕し篩分けして粒度調整してから使用することが好ましい。
本発明において、黒鉛粉末は、平均粒子径が20〜60μmであるものが好ましく、25〜50μmであるものがより好ましく、30〜40μmであるものがさらに好ましい。また、黒鉛粉末は、最大粒子径が40〜150μmであるものが好ましい。
黒鉛粉末の平均粒子径が20μm未満であると、粒子径が10μm以下の粒子の含有割合が大きくなり熱圧成形時の流動性が低下して、得られるセパレータは、組織不良を生じ易くなるとともに、電気抵抗の上昇を招き易くなる。
黒鉛粉末の平均粒子径が60μmを超えると、最大粒子径が150μmを超え、得られるセパレータがガスリークを起こす場合があり、さらに成形品の表面粗さが大きくなり、外周シール面からもガスがリークしやすくなる。
黒鉛粉末の粒度は成形性と固有抵抗などの物性に影響を与え、細かい微粒子をできるだけ分級、除去したものを使用することが好ましい。
なお、本出願書類において、黒鉛粉末の平均粒径および最大粒子径は、それぞれ、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)および99%の粒径(D99)を意味するものとする。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料は、黒鉛粉末および熱硬化性樹脂成分を含む。
本出願書類において、熱硬化性樹脂成分とは、黒鉛粉末の結合剤として機能する、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂成分を意味し、黒鉛樹脂混合材料がさらに硬化剤としてフェノール樹脂硬化剤等の樹脂や硬化促進剤等を含む場合には、該硬化剤及び硬化促進剤も熱硬化性樹脂成分に含まれるものとする。
熱硬化性樹脂成分の主成分となる熱硬化性樹脂としては、pHが2〜3程度のスルホン酸等の電解質に対する耐酸性および60〜100℃程度の燃料電池の作動温度に耐える耐熱性を有し、黒鉛粉末の結合剤として機能するものであれば特に限定されない。
例えば、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピレン−フェナントレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂等から選ばれる一種以上を用いることができる。
具体的には、フェノール系樹脂としては、レゾールタイプのフェノール樹脂、ノボラックタイプのフェノール樹脂等を挙げることができ、フラン系樹脂としては、フルフリルアルコール樹脂、フルフリルアルコールフルフラール樹脂、フルフリルアルコールフェノール樹脂等を挙げることができ、エポキシ樹脂としては、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂は、熱圧成形後の成形硬化時に縮合水等のガスの発生を伴わないので、好適に使用することができる。
2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリオキシテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
多官能フェノール型エポキシ樹脂としては、分子中にフェノール骨格を有し、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本発明において、硬化剤としては、フェノール樹脂硬化剤が好ましく、硬化促進剤としてはイミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
フェノール樹脂硬化剤としては、分子中にフェノール構造を有するものであれば特に限定されず、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシレン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂などのノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールAなどのビスフェノール類、該ビスフェノール類を該ビスフェノール類のジグリシジルエーテルで高分子量化したり、エピクロルヒドリンと上記ビスフェノール類とを後者が過剰となる割合で反応させて得られるビスフェノール系樹脂などが挙げられる。
これらのフェノール樹脂硬化剤のうち、特にフェノールノボラック樹脂が好ましく、フェノールノボラック樹脂を用いることにより、不純物の溶出を抑制し加水分解を生じ難い耐久性の高いセパレータを得やすくなる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
本発明において、熱硬化性樹脂成分が熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含み、硬化剤としてフェノール樹脂硬化剤を含む場合、フェノール樹脂硬化剤の含有割合は、エポキシ樹脂中における全エポキシ基に対するフェノール樹脂中における全フェノール性水酸基のモル当量比(フェノール樹脂中における全フェノール性水酸基/エポキシ樹脂中における全エポキシ基)が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.5であることがより好ましく、0.9〜1.1であることがさらに好ましく、1.0程度であることが特に好ましい。上記モル当量比が0.5未満であるか1.5を超えると、未反応の熱硬化性樹脂あるいはフェノール樹脂硬化剤の残存量が多くなるため、セパレータからの有機物溶出成分が多くなり発電効率に影響してしまう。
また、本発明において、熱硬化性樹脂成分が熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含み、さらに硬化促進剤を含む場合、硬化促進剤は、通常、固形分換算で、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜2質量部の範囲で添加することができる。また、熱硬化性樹脂成分が熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含むとともに硬化剤を含み、さらに硬化促進剤を含む場合、硬化促進剤は、固形分換算で、エポキシ樹脂および硬化剤100質量部に対し、0.5〜2質量部の範囲で添加することができる。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料は、通常、分散媒として有機溶媒を含み、有機溶媒としては、一般に入手可能なもので熱硬化性樹脂成分を溶解させ得るものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が好ましい。
黒鉛樹脂混合材料が有機溶媒を含むものである場合、有機溶媒を30〜60質量%含む(熱硬化性樹脂成分を40〜70質量%含む)ものであることが好ましく、有機溶媒を35〜55質量%含む(熱硬化性樹脂成分を45〜65質量%含む)ものであることがより好ましく、有機溶媒を40〜50質量%含む(熱硬化性樹脂成分を50〜60質量%含む)ものであることがさらに好ましい。
有機溶媒の含有割合が上記範囲内にあることにより、歩留まりが高く、粒度分布がシャープで流動性に優れた黒鉛樹脂混合材料からなる造粒粒子を容易に得ることができる。
有機溶媒量の含有割合が60質量%を超えると(熱硬化性樹脂成分の含有割合が40質量%未満であると)、有機溶媒量が増加して、造粒時に造粒機への投入時間が長くなったり、塊状造粒物しか得られ難くなる。熱硬化性樹脂成分の含有割合が70質量%を超えると(熱硬化性樹脂成分の含有割合が30質量%未満であると)、黒鉛樹脂混合材料量が増加して、粘度が高くなり易くなり、造粒時に造粒機への投入速度が遅くなり投入時間が長くなったり、塊状造粒物しか得られ難くなる。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料は、固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対して熱硬化性樹脂成分を10〜30質量部含むものであり、15〜28質量部含むものであることが好ましく、20〜25質量部含むものであることがより好ましい。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料が、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂成分とを上記割合で含有するものであることにより、得られるセパレータに必要な特性(強度、電気抵抗、気体不透過性等)を容易に付与することができる。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料を構成する熱硬化性樹脂の含有量が、固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対して10質量部未満である場合、後述する熱圧成形時における成形性が低下して、得られるセパレータに十分な強度およびガス不透過性を付与し難くなる。また、黒鉛樹脂混合材料を構成する熱硬化性樹脂の含有量が、固形分換算で、黒鉛粉末100質量部に対して30質量部を超える場合、得られるセパレータに十分な低電気抵抗特性を付与し難くなり、燃料電池の内部抵抗が高くなり発電性能が低下してしまう。
本発明において、黒鉛樹脂混合材料は、例えば、熱硬化性樹脂を、必要に応じてフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに有機溶剤に溶解してバインダー樹脂液を作製した後、該バインダー樹脂液に黒鉛粉末を分散させることにより作製することができる。
バインダー樹脂液は、上記有機溶媒中に、熱硬化性樹脂を、必要に応じ硬化剤や硬化促進剤とともに添加して、攪拌機にて攪拌、混合することにより作製することができる。攪拌時間は1時間程度が好ましく、攪拌機の回転数は、50〜1000回転/分程度であることが好ましい。
バインダー樹脂液と黒鉛粉末との混合、分散処理は、後述する造粒機で造粒する際に同時に行うことができる。
本発明においては、上記黒鉛樹脂混合材料を用いて、最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である造粒粒子を作製する。
本発明においては、造粒粒子としての最大粒子径は、1.0mm以下であり、0.5mm以下であることが好ましい。
本発明において、造粒粒子の平均粒子径は、0.17〜0.35mmであり、0.2〜0.3mmであることが好ましく、0.2 〜0.25mmであることがより好ましい。
本発明において、造粒粒子を構成する粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合は、0〜30質量%であり、0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましい。
本発明において、造粒粒子を構成する粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合は、60〜90質量%であり、70〜90質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましい。
本発明において、造粒粒子を構成する粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合は、0〜20質量%であり、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
本発明において、造粒粒子を構成する粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合は上記のとおりであるが、その含有割合は少ない程好ましい。
造粒粒子中に粒径が0.5mmを超える粒子が含まれる場合、後述する粒度調整時(成形粉調製時)に除去される。
本発明においては、黒鉛樹脂混合材料を用いて、上記粒度分布を有する造粒粒子を作製した上で、後述するように、最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を使用することにより、熱圧成形時に優れた流動性を発揮して、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを簡便に製造することができる。
本発明において、造粒粒子の平均粒子径が0.17mm未満であり、粒径が0.1mm未満の粒子の含有割合が30質量%よりも多くなると、熱圧成形時に後述する成形粉の流動性が低下して、得られるセパレータのガス不透過性が低下する。
本発明において、造粒粒子の平均粒子径が0.35mmを超え、粒子径が0.5mmを超える粒子を含有する場合には、得られるセパレータの表面が粗くなり、シール性やガス不透過性が低下する。
なお、本出願書類において、造粒粒子の平均粒子径および最大粒子径は、造粒粒子を目開き0.5mmの篩にかけたときに粒径が0.5mmを超える粒子を含まない場合には、それぞれ、界面活性剤を含む水中で、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)および99%の粒径(D99)を意味するものとする。
造粒粒子を目開き0.5mmの篩にかけたときに粒径が0.5mmを超える粒子を含む場合、造粒粒子の最大粒子径は、粒径0.5mmを超える粒子を対象とする篩分け法により求めた値を意味するものとする。また、造粒粒子を目開き0.5mmの篩にかけたときに、粒径が0.5mmを超える粒子を含む場合、造粒粒子の平均粒子径は、粒径が0.5mmを超える粒子の粒度分布を篩分け法により測定し、粒径0.5mm以下の粒子の粒度分布を上記と同様に界面活性剤を含む水中でレーザー回折式粒度分布測定装置により測定し、両粒度分布から算出した値を意味するものとする。
また、本出願書類において、造粒粒子の粒度分布、すなわち、造粒粒子を構成する、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合や、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合も、上記と同様に界面活性剤を含む水中でレーザー回折式粒度分布測定装置により測定された値を意味するものとし、粒径が0.5mmを超える粒子の含有割合も、上記と同様に篩分け法により測定した値を意味するものとする。
本発明において、造粒粒子は、例えば、上記黒鉛樹脂混合材料を、内部に一軸回転する攪拌具が設けられた混合槽を有する造粒機内に投入し、攪拌することにより製造することができる。上記造粒機としては、内部に複数種の攪拌具が設けられた混合槽や内部に複数個の攪拌具が設けられた混合槽を有するものを用いてもよい。
攪拌具の回転軸の方向も適宜設定することができ、攪拌具の回転軸の方向は、略水平方向であってもよいし略垂直方向であってもよい。
図2に、このような攪拌具6を設けた混合槽5を有する造粒機の例を示す。図2(a)および図2(b)は、いずれも混合槽5の垂直断面図であり、図2(a)は、攪拌具6aや攪拌具6bの長手方向の断面図であり、図2(b)は、攪拌具6aや攪拌具6bの回転軸12aや回転軸12c方向から観察したときの断面図である。
図2の例においては、攪拌具6aおよび攪拌具6bが、いずれも略水平方向の回転軸12aおよび回転軸12cを中心に回転駆動するように形成されている。
攪拌具6は公知のものを用いることができるが、図2に示す混合槽には、攪拌具としてミキシングアーム6aとチョッパー6bとが設けられている。ミキシングアーム6aおよびチョッパー6bは、それぞれ混合槽の互いに対向し合う内側壁に沿った位置において、それぞれ異なる略水平方向の回転軸12aおよび回転軸12bに接続されている。
ミキシングアーム6aには、回転軸12aに接続されている基端部からその外側に向けて放射状に突出する複数のアーム13が設けられており、この各アーム13は、対向する内側壁側に向けて略水平方向に曲成されている。
また、図2の例においては、チョッパー6bは二本設けられており、このチョッパー6bは、回転軸12bに接続されている基端部から対向する内壁近傍に向けて略水平方向に延出するように形成され、かつ上記の複数のアーム13に囲まれる位置に配置されている。チョッパー6bの外周面には、複数の攪拌棒14が外側に向けて放射状に突設されている。
図2に示す例においては、混合槽5内に液体をスプレー状に噴射する噴射口15が設けられている。噴射口15としては、二流体ノズル等を挙げることができる。
このように、黒鉛樹脂混合材料を縦方向(垂直方向)に掻き上げるミキシングアームとチョッパーが設けられた高速撹拌造粒機として、具体的には、ダルトン社製スパルタンリューザーを挙げることができる。
図2の例においては、軸方向が略水平方向である攪拌具が混合槽内部に複数設けられた造粒機を示したが、軸方向が略垂直方向である攪拌具が混合槽内部に複数設けられた造粒機を用いてもよい。
この場合、黒鉛樹脂混合材料を横方向(水平方向)に掻き上げるアジテータ(アジテータ羽根)とアジテータの中心を通る貫通式チョッパーを有する高速撹拌造粒機を挙げることもでき、具体的には、深江パウテック社製のハイフレックスグラルが挙げられる。
上記複数の攪拌具を内部に設けた混合槽を有する造粒機を用いて造粒する場合、先ず混合槽内に黒鉛粉末を投入し、上記ミキシングアーム、アジテータ、チョッパーの回転により黒鉛粉末を掻き上げ、掻き上げた黒鉛粉末に対して、上記バインダー樹脂液(熱硬化性樹脂を必要に応じてフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに有機溶剤に溶解して調製したもの)を噴射口から噴霧投入して循環、攪拌、混合し、得られた混合物全体が均一にチョッパーにより解砕され、さらにバインダー樹脂液を連続的または断続的に噴霧投入して混合、解砕が繰り返される。このようにチョッパーにより繰り返し攪拌運動と剪断・衝撃作用を受けることにより、分散、圧密作用を生じて、シャープな粒度分布を有する造粒粒子を得ることができる。また、上記造粒機においては、黒鉛樹脂混合材料が流動しながら解砕されるので、粉砕粒子に比較して、非常に流動性に優れた造粒粒子を得ることができる。さらに、上記造粒機においては混合槽内全体をカバーするチョッパーにより、混合物(黒鉛樹脂混合材料)が滞留することなく解砕されることにより、黒鉛面が露出した造粒物になり、導電性が向上した造粒粒子を得ることができる(チョッパーの短い撹拌造粒機は、チョッパーによる解砕が行き届かなくなり、粒径が1.0mmより大きな粒子が多くなる)。
上記ミキシングアームを有する造粒機において、ミキシングアームの最外周速度は、2〜5m/秒が好ましい。ミキシングアームの最外周速度が5m/秒よりも大きくなると、黒鉛樹脂混合材料を掻き上げ循環する速度が速くなり、粒径が1.0mmを超える造粒粒子を生成し易くなる。
上記アジテータを有する造粒機において、アジテータの最外部周速は2〜5m/秒程度が好ましく、4m/秒程度がより適当である。アジテータの最外部周速が5m/秒であると、黒鉛樹脂混合材料を掻き上げ、粉砕処理が過剰になるため、粒径が0.1mm以下の造粒粒子が生成し易くなる。
バインダー樹脂液を混合槽内に投入する時間は、5〜30分が好ましく、投入時間が5分未満である場合にはバインダー樹脂液が十分に撹拌、解砕されずに塊状物を生成し易く、攪拌時間が30分超であると粒径が0.1mm以下の微粉末の造粒粒子の含有割合が多くなり易い。
噴射口の噴霧圧(空気圧)は、0.3〜0.5MPaが好ましく、噴霧圧を本範囲内に制御することにより、バインダー樹脂液の霧滴サイズを抑制することができ、若干微粒子が増えるものの粒径が0.5mmを超える造粒粒子の含有割合が顕著に少なくなり易い。
さらに、噴霧する際にバインダー樹脂液に掛ける液圧力は、0.1〜0.3MPaが好ましく、バインダー樹脂液の液圧力を上記範囲内に制御することにより、バインダー樹脂液の霧滴サイズを制御することができる。上記液圧力が0.3MPaを超えると、粒径が0.1mm以下の粒子や、粒径が0.5mmを超える造粒粒子が顕著に多くなり易い。
上記ミキシングアームを有する造粒機やアジテータを有する造粒機においては、 バインダー樹脂液の霧滴サイズが小さくなる条件で黒鉛粉末に付着させ、撹拌混合することができるので、バインダー樹脂液を投入している間に直前に投入したバインダー樹脂液が黒鉛と攪拌混合されつつ適当なサイズに造粒することができ、噴射口として二流体ノズルを用い、空気を導入することによって有機溶剤分をある程度揮発させることができるので、バインダー樹脂液投入後における撹拌混合時間は短時間でよい。このため、バインダー樹脂液投入後、直ぐに造粒物を排出することができる。
排出された造粒物は、バットに入れて、加熱せずに室温環境で約一昼夜風乾することにより、有機溶剤成分を除去することが好ましい。
このようにして所望の粒度分布を有する造粒粒子を得ることができる。
所望粒度分布を有する造粒粒子は、バインダー樹脂液の固形分濃度、バインダー樹脂液の噴霧圧力、バインダー樹脂の液圧力、バインダー樹脂液の投入時間などのバインダー樹脂液の添加条件や、造粒機を構成するミキシングアーム、アジテータ、チョッパー等の攪拌具の回転数を適宜制御することにより、作製することができる。
本発明においては、得られた造粒粒子の最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整して成形粉とする。
造粒粒子が粒径0.5mmを超える粒子を含まない場合には、そのまま成形粉とし、造粒粒子が粒径0.5mmを超える粒子を含む場合には、篩掛けによって粒径が0.5mmを超える粒子を除去することにより容易に粒度調整することができる。
成形粉が粒径0.5mmを超える粒子を含む場合、次工程の予備成形体の作製工程において、不均一な予備成形体が得られ易くなり、セパレータの厚さ精度が悪化するほか、シール面が荒れてガスリークを生じ易くなる。
本発明においては、最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を、熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度下で、1〜10MPaの圧力で圧縮成形して予備成形体を作製する。
本発明において、予備成形体作製時における雰囲気温度は、熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度であり、通常70〜90℃程度である。なお、本出願書類において、熱硬化性樹脂成分の融点や熱硬化温度は、熱硬化性樹脂成分を構成する熱硬化性樹脂の融点や熱硬化温度を意味するものとする。
本発明において、予備成形体の作製時における成形粉への押圧力は1〜10MPaであり、2〜7MPaであることが好ましく、3〜5MPaであることがより好ましい。
本発明において、予備成形体作製時における成形粉の押圧時間は5秒間〜180秒間が好ましく、5〜60秒間がより好ましく、5〜20秒間がさらに好ましい。
本発明において、予備成形体は、成形粉を得ようとする予備成形体の形状に対応した成形面を有する成形型中に充填し、圧縮成形することにより作製することが好ましい。
予備成形体の形状は、得ようとするセパレータ形状に近似した形状であることが好ましく、予備成形体の形状を最適化することにより、所望形状のセパレータを容易に得ることができる。
予備成形体の具体的な成形方法としては、以下の方法が挙げられる。
すなわち、セパレータ形状に対応した形状を有する予備成形用下型を作製し、該下型の周囲に金型枠を嵌め合わせた後、成形粉を投入したホッパーを下型上部まで移動させて、下型上に成形粉を充填し、枡切りした後、上記下型の成形面に対向するように平板形状の上型を嵌めこんで、熱圧成形する方法が好ましい。
上記下型としては、得ようとするセパレータの厚みを十分に考慮したものであることが好ましく、具体的には、セパレータの発電部には溝が形成されているので、発電部に相当する箇所は予め溝の容積分を差し引いた平均化した厚さとするとともに、発電部の周囲(シール部)に相当する箇所についても同じく予め求めた平均厚さとしたものが好ましく、このような下型を用いることにより、発電部に相当する部分には外周部分よりも充填される黒鉛樹脂混合材料量を相対的に少なくすることができ、また、発電部の外周(シール部)に相当する部分には発電部に比較して充填される黒鉛樹脂混合材料量を相対的に多くすることができる。
また、マニホールドの入口、出口付近はさらに平均厚さが薄くなるので、本部分に対応する箇所には、黒鉛樹脂混合材料の充填量が少なくなるように彫り込み量を調整した下型を用いることが好ましい。
また、成形粉の嵩密度に応じて充填深さ(下型の彫り込み深さ)を適宜変更することが好ましく、この場合、例えば、下型の周囲に嵌めこむ金型枠の高さを調整したり、金型枠に対する下型の設置位置を上下に調整できる治具(下型の下部に設けたピンをハンドルで上下させる治具)等により、金型枠に対する下型の深さを微調整することが好ましい。
押圧処理後、成形型から押圧物を取り出すことにより、所望形状を有する予備成形体を得ることができる。
本発明においては、得られた予備成形体を所定の成形面形状を有する金型で150〜200℃の温度条件下、20〜50MPaの圧力を加えて熱圧成形する。
上記熱圧成形時の圧力は、20〜50MPaであり、30〜50MPaであることが好ましく、40〜50MPaであることがより好ましい。また、熱圧成形時の温度は、150〜200℃であることが好ましく、160〜190℃であることがより好ましく、170〜180℃であることがさらに好ましい。
熱圧成形時間は、硬化促進剤の添加量や熱圧成形温度に応じて適宜選択することができ、5〜600秒が好ましく、5〜300秒がより好ましく、5〜60秒がさらに好ましい。また、上記熱圧成形時においては、加圧状態を連続的に維持するのではなく、適時加圧状態を開放して、ガス抜きを行ってもよい。
加圧時の圧力が上記範囲内にあることにより、得られるセパレータに所望の強度およびガス不透過性を付与することができる。
本発明において、熱圧成形は、得ようとするセパレータの形状に対応した成形面形状を有する成形金型を用いて行うことが好ましい。上記金型の成形面には、適宜離型剤を塗布することが好ましい。
上記熱圧成形後、適宜、後硬化処理を施してもよい。後硬化処理は、電気加熱式の加熱炉等を使用して、170〜220℃の温度条件下、2〜10時間熱処理することにより行うことが好ましい。
本発明においては、上記熱圧成形して得られた熱圧成形物または上記後硬化処理して得られた後硬化処理物に対し、さらにブラスト処理を施してもよい。
ブラスト処理は、ガスの流路(ガス拡散層)と接する表面粗さRaが0.15〜1.5μmになるように行うことが好ましく、表面粗さRaが0.4〜1.0μmになるように行うことがより好ましい。
ブラスト処理後の表面粗さRaが0.15μm未満である場合には、セパレータ表面において所望の接触角低減効果を得難くなり、セパレータに所望の濡れ性(親水性)を付与し難く、ガス拡散層との接触抵抗も大きくなる。ブラスト処理後の表面粗さRaが1.5μmを超えると、ガス拡散層との接触抵抗低減効果が頭打ちとなり、また、得られるセパレータ外周面におけるシール性が低下し易くなる。
なお、本出願書類において、表面粗さRaは、触針式の表面粗さ計((株)東京精密製ハンディサーフE−35A)を用いて長さ4mmの領域を0.42mm/秒の速度で走査することによってその表面粗さプロファイルを求め、その結果からJISB0601に準拠する算術平均粗さから求めた値を意味する。
ブラスト処理方法としては、主としてエアーコンプレッサーなどの圧縮空気を使ってノズルからブラスト材(砥粒)を投射するエアーブラスト法や、水中ポンプや圧縮エアーを使って液体に混ぜたブラスト材を投射するウエットブラスト法等を挙げることができる。
上記ブラスト処理方法のうち、より細かなブラスト材を使用し得るウエットブラスト法が好ましい。
ブラスト材としては特に制限されず、公知のものを適宜使用することができ、具体的には、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ガラス、ジルコニア、ステンレス等の粒子が挙げられる。また、ブラスト材としては、体積平均粒径が3〜100μmであるものが好ましく、5〜50μmであるものがより好ましく、5〜20μmであるものがさらに好ましい。ブラスト材の体積平均粒径が上記範囲内にあることにより、得られるセパレータの表面層を除去して接触抵抗を低減し、表面の濡れ性(親水性)を向上させ易くなる。
なお、本出願書類において、上記ブラスト材の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
上記表面粗さRaは、ブラスト処理条件、例えば、ブラスト材(砥粒)の種類、ブラスト材の投射圧力、ブラスト材の投射距離(投射ノズルと被処理物との距離)、被処理物の送り速度等を制御することにより調整することができる。
本発明において、ブラスト処理は、熱圧成形物または後硬化処理物の全面に施してもよいが、少なくとも得られるセパレータにおいて水分が流通するガス流通用の溝等が設けられる面に施すことが好ましい。
本発明においては、上記ブラスト処理により、表面の樹脂リッチ層を除去して、内部の黒鉛/樹脂層を露出させることにより、得られるセパレータの接触抵抗を低減することができる。
本発明においては、このようにして、所望形状を有する燃料電池用セパレータを得ることができる。
本発明によれば、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを簡便に製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
1.バインダー樹脂液の調製
熱硬化性樹脂バインダーとして、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、融点約83℃)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(明和化成(株)製)を用い、ノボラック型エポキシ樹脂中における全エポキシ基に対するノボラック型フェノール樹脂中における全フェノール性水酸基のモル当量比(ノボラック型フェノール樹脂中における全フェノール性水酸基/ノボラック型エポキシ樹脂中における全エポキシ基)が1.0になるように混合した樹脂成分に対し、さらに硬化促進剤としてイミダゾールを混合し、アセトンに溶解して固形分濃度が55質量%であるバインダー樹脂液を作製した。なお、上記硬化促進剤は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂とノボラック型フェノール樹脂との混合樹脂(樹脂成分)100質量部に対して2質量部となるように混合した。
2.造粒粒子の調製
黒鉛粉末として、球形化天然黒鉛粉末(平均粒子径が25μm、最大粒子径が90μmであるもの)を用い、該黒鉛粉末100質量部をダルトン社製スパルタンリューザーの混合槽内に投入して、ミキシングアームおよびチョッパーの回転によって黒鉛粉末を掻き上げ流動した。この流動状態にある黒鉛粉末に対し、噴射口(二流体ノズル)から、上記(1)で調製したバインダー樹脂液を、黒鉛粉末100質量部に対して、固形分換算で20重量部となるように噴霧圧(空気圧)0.4MPa、樹脂溶液圧力0.3MPaで10分間投入した。このとき、ミキシングアームの最大周速度が4m/秒、ミキシングアームの回転数が200rpm、チョッパーの回転数が1500rpmとなるように攪拌、混合し、解砕することにより、造粒物を得た。
得られた造粒物をバットに入れて薄く広げて、16時間放置して自然乾燥させることにより、造粒粒子を得た。
得られた造粒粒子の最大粒子径を篩分け法により測定した。具体的には、得られた黒鉛樹脂混合粒子100gを、直径200mmのJIS−Z8801のステンレス製試験篩に入れ、ロータップ篩振盪機にかけて、全量の黒鉛樹脂混合粒子が通過する最も小さな篩目の目開きを最大粒子径として求めたところ、最大粒子径は0.71mmであった。
また、得られた造粒粒子を、目開きが0.5mm及び1.0mmの篩にかけて、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合と、粒径が1.0mmを超える粒子の含有割合とをそれぞれ測定した。また、上記篩分けにより粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子を除いた造粒粒子を、界面活性剤を含む水中に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置により、平均粒子径、粒径が0.01mm以下の粒子、粒径が0.01mmを超え0.1mm以下の粒子、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
3.予備成形体の作製
2.で得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩にかけて粒径が0.5mmを超える粒子を除去することにより、最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を得た。
予備成形体は、セパレータ形状に対応した形状を有する予備成形用下型を作製し、該下型の周囲に金型枠を嵌め合わせた後、上記成形粉を投入したホッパーを下型上部まで移動させて、下型上に成形粉を充填し、枡切りした後、上記下型の成形面に対向するように平板形状の上型を嵌め込んで、プレス機中で、80℃の温度条件下、6MPaで30秒間押圧成形することにより作製した。
上記下型は、得ようとするセパレータの発電部および発電部の周囲(シール部)、マニホールドの入口、出口付近の厚みを考慮して、それぞれ対応する厚みとなるように彫り込み量が調整されたものであり、かつ所望量の成形粉を充填できるように(成形粉の充填深さが所望の深さになるように)、金型枠に対する下型の嵌め込み位置を上下させ、微調整することにより使用した。
押圧処理終了後、成形型を分解して押圧物を取り出すことにより、所望形状を有する予備成形体を得た。
4.セパレータの作製
上記(3)で得られた予備成形体を成形金型中で熱圧成形することにより、燃料電池用セパレータを作製した。
上記セパレータは、発電部として、幅1mm、深さ1mmの溝(凹部)と幅1mmの山(凸部)が縦141mm×横141mmの範囲にサーペンタイン形状に形成されてなる、外形寸法が縦200mm×横200mm、発電部の最大厚さが2.6mm、発電部外周のシール部の厚さが2.6mmであるものであり、上記熱圧成形に供した成形金型も、成形面が上記セパレータに対応する形状を有するように精密に彫り込まれたものを使用した。
上記(3)で得られた予備成形体を成形金型中に投入し、170℃の温度条件下、40MPaで1分間圧縮して熱圧成形した。
得られた熱圧成形物を成形金型から取り出した後、黒鉛板で挟持して電気加熱式硬化炉に載置し温度190℃で5時間保持することにより、後硬化を行った。次いで、後硬化物全体に対してウエットブラスト処理を施すことにより、表面粗さRaが1μmであるセパレータを得た。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度をそれぞれ以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
<密度(g/cm)>
アルキメデス法により測定した。
<曲げ強度(MPa)>
得られたセパレータの外周面(厚さ2.6mm)から切り出した、横50mm×縦5mm×厚さ2.6mmの試験片を用い、JIS R1601に規定される方法に準拠して室温下で測定した。
<固有抵抗(mΩ・cm)>
得られたセパレータの外周面(厚さ2.6mm)から切り出した、横50mm×縦5mm×厚さ2.6mmの試験片を用い、長さ方向(横方向)に1Aの直流電流を流し、40mmの端子間の電圧降下を測定することにより算出した。
<ガス透過度(mol・m・m−2・sec−1・MPa−1)>
得られたセパレータを、外周をシールした治具で挟みこみ、ガス流路面側を真空にし、冷却水面側をヘリウムガスで加圧(0.1MPa)したときの、単位時間、単位断面積当たりのヘリウムガスの漏れ量をヘリウムリークディテクターで測定することにより算出した。
<厚さ平行度(μm)>
セパレータの厚さ25点を測定して最大値と最小値を求め、最大値から最小値を引くことにより算出した。
(実施例2)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から65質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から8分間に変更して、表1に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から45質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、ダルトン社製スパルタンリューザーを深江パウテック社製ハイフレックスグラルに変更し、アジテータおよびチョッパーの回転によって黒鉛粉末を掻き上げ流動させ、この流動状態にある黒鉛粉末に対し、噴射口(二流体ノズル)から、バインダー樹脂液を、黒鉛粉末100質量部に対して、固形分換算で20重量部となるように噴霧圧(空気圧)0.3MPa、樹脂溶液の液圧力0.25MPaで25分間投入し、このとき、アジテータの最大周速度が3m/秒、アジテータの回転数が150rpm、チョッパーの回転数が2500rpmとなるように攪拌、混合し、解砕することにより、表1に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から50質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、黒鉛粉末として、球形化天然黒鉛粉末に代えて、人造黒鉛電極粉砕物(平均粒子径が50μm、最大粒子径が150μmであるもの)を用い、バインダー樹脂液の投入量を黒鉛粉末100質量部に対して20質量部から25質量部に変更するとともに、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から13分間に変更して、表1に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。

(実施例1〜実施例4で得られた何れの造粒粒子においても、粒径が1.0mmを超える粒子は含まれなかったため、表1において、粒径が1.0mmを超える粒子の含有割合は、記載を割愛する)。
(比較例1)
実施例1の「2.黒鉛樹脂混合粒子の調製」において、ダルトン社製スパルタンリューザーをハイスピードミキサー(深江パウテック社製)に変更し、攪拌羽の最大周速度10m/秒、回転数500rpmで、300秒間撹拌することにより、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から35質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から18分間に変更して、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から80質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から7分間に変更して、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から3分間に変更して、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、バインダー樹脂液の投入時間を10分間から35分間に変更して、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例6)
実施例1の「1.バインダー樹脂液の調製」において、バインダー樹脂液の固形分濃度を55質量%から50質量%に変更し、実施例1の「2.造粒粒子の調製」において、ダルトン社製スパルタンリューザーを万能混合機(ダルトン社製25AM−QR)に変更し、自転回転数150rpm、公転回転数100rpmで、1時間撹拌、混合した後、得られた混合物をバットに薄く広げて、16時間放置することにより自然乾燥させた後、自由粉砕機(奈良式粉砕機)で粉砕することにより、表2に示す粒度分布を有する造粒粒子を作製し、得られた造粒粒子を目開き0.5mmの篩に通して粒径が0.5mmを超える粒子を除去した成形粉を得、この成形粉を用いて予備成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを作製した。
得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗、ガス透過率、厚さ平行度を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
表1等の記載から、実施例1〜実施例4においては、最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である造粒粒子を粒度調整した、最大粒子径が0.5mm以下の成形粉を用いていることから、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを簡便に製造し得ることが分かる。
これに対して、表2等の記載から、比較例1〜比較例6においては、最大粒子径の範囲が規定範囲外であったり(比較例3〜比較例6)、平均粒子径の範囲が規定範囲外であったり(比較例1、比較例5、比較例6)、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が規定範囲外であったり(比較例2、比較例4〜比較例6)、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が規定範囲外であったり(比較例1〜比較例6)、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が規定範囲外である(比較例1、比較例3〜比較例6)造粒粒子を粒度調整した成形粉を用いていることから、熱圧成形時における成形粉の流動性が低く、このために、固有抵抗が高かったり(比較例1〜比較例3)、ガス不透過性および厚さ精度が低かったり(比較例4〜比較例5)、厚さ精度が低い(比較例6)燃料電池用セパレータしか得られないことが分かる。
本発明によれば、ガス不透過性および導電性に優れるとともに、電池スタック組立時や電池作動時における破損や亀裂の発生を抑制し得る高い強度および耐久性と、優れた厚さ精度とを有する燃料電池用セパレータを、高い生産性の下で製造する方法を提供する。
1 燃料電池用セパレータ
2 溝(ガス流路)
3 ガス拡散電極(カソード電極)
4 ガス拡散電極(アノード電極)
M 固体高分子電解質膜
S シール材
5 混合槽
6a ミキシングアーム
6b チョッパー
12a 回転軸
12b 回転軸
13 アーム
14 攪拌棒

Claims (1)

  1. 燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    固形分換算で、黒鉛粉100質量部に対し、熱硬化性樹脂成分を10〜30質量部含む黒鉛樹脂混合材料を用いて、
    最大粒子径が1.0mm以下、平均粒子径が0.17〜0.35mm、粒径が0.01〜0.1mmの粒子の含有割合が0〜30質量%、粒径が0.1mmを超え0.5mm以下の粒子の含有割合が60〜90質量%、粒径が0.5mmを超え1.0mm以下の粒子の含有割合が0〜20質量%である造粒粒子を作製した後、
    得られた造粒粒子を粉砕処理することなく、造粒粒子の最大粒子径が0.5mm以下になるように粒度調整した成形粉を、
    前記熱硬化性樹脂成分の融点以上熱硬化温度未満の温度下で、1〜10MPaの圧力で圧縮成形して予備成形体を作製し、
    得られた予備成形体を所定の成形面形状を有する金型で150〜200℃の温度条件下、20〜50MPaの圧力を加えて熱圧成形する
    ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
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