JP2014135145A - 燃料電池用フレーム部材の製造方法 - Google Patents

燃料電池用フレーム部材の製造方法 Download PDF

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朝明 山田
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Abstract

【課題】絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れ、高い強度および耐久性を示す燃料電池用フレーム部材を簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂バインダーを加熱溶融しつつ、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下になるまで真空脱気した後、硬化促進剤および炭素粉末を、熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が30〜70質量部となるように混練して混練物を作製し、冷却した後、粉砕して成形粉を得、得られた成形粉を、3〜10MPaの圧力下で予備成形して予備成形体を作製し、該予備成形体を、金型内において、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形した後、表面粗さRaが0.05〜1.0μmになるようにブラスト処理する製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用フレーム部材の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、騒音や振動も少ないことから、携帯機器、自動車、鉄道、コジェネレーション等の多様な分野における電源として今後の発展が期待されている。
燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池(PEFC)は、イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)の両面を白金などの触媒を担持させたアノード電極板およびカソード電極板で挟み、その両外側に板状セパレータを配してなる単セルを基本構成単位とし、この単セルを数十〜数百個積層させたスタックとその外側に設けた2つの集電体等から構成されてなるものである。
PEFCのうち、車載用PEFCにおいては、1スタックあたり数百個の単セルが積層されることから、使用されるセパレータ数も数百枚に亘る。
PEFC用のセパレータとしては、種々の形態を有するものが提案されているが、近年、アノード電極に対向する燃料ガスプレート(アノードプレート)と、カソード電極に対向する酸化剤ガスプレート(カソードプレート)と、これ等のプレートに挟持される中間プレート(フレーム部材)を備えてなるものが提案されるに至っている(特許文献1(特開2010−40450号公報)参照)。
上記セパレータにおいては、セパレータを構成する各プレートに、燃料ガスおよび酸化剤ガスをそれぞれ外部から供給し排出するための貫通孔が設けられるとともに、フレーム部材を介してアノードプレートからアノード電極に燃料ガスを供給する連通孔と、フレーム部材を介してカソードプレートからカソード電極に酸化剤ガスを供給する連通孔とが設けられ、上記構造を有するために均一なガス供給が可能になるとされている。
特開2010−40450号公報
ところで、PEFC用セパレータとしては、セル間の絶縁性の高いものが必要とされ、長期に亘って安定して発電を行うために、高度の耐食性を有し不純物溶出特性の低いものが求められている。
また、近年、車載用PEFCのセパレータとして、薄型で軽量なものが求められるようになっていることから、スタックを形成する個々のセパレータにおいて、組立時や締結時の荷重に耐え得る、より高い強度を有するものが求められるようになっており、さらに、車載用PEFCのセパレータとしては、PEFCの起動、停止による冷熱サイクルに伴う膨張収縮の繰り返しや、自動車の振動による負荷に耐え得る高度の耐久性(疲労特性)や信頼性を有するものが求められるようになっている。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、燃料電池用フレーム部材として、特許文献1で提案されている無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維等の繊維状フィラーおよびシランカップリング剤を含む材料からなるものを使用した場合、触媒活性を低減する等、発電性能の低下をもたらすことが判明した。これは、PEFCにおいて一般に固体高分子膜として使用されているフッ素系の固体高分子膜が熱水と反応して極微量のフッ化水素(フッ酸)を発生し、この微量のフッ酸によって、ガラス繊維やシランカップリング剤からSi成分が溶出してしまうためと考えられる。
また、燃料電池用フレーム部材の形成材料として特許文献1で提案されているマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、燃料電池の使用温度領域において、セパレータに充分な剛性を付与し難いことが判明した。
さらに、一般に燃料電池用フレーム部材としては、シール性(接着性)に優れるものが求められるようになっている。
このような状況下、本発明は、絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れ、高い強度および耐久性を示す燃料電池用フレーム部材を簡便に製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために、本発明者等が検討したところ、熱硬化性樹脂バインダー100質量部に対し、炭素粉末30〜70質量部と硬化促進剤とを、上記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上で、上記硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で混練して混練物を作製した後、得られた混練物を成形金型に投入して、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形して得られる燃料電池用フレーム部材が、絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れるものであることを見出した。
上述した方法で得られる燃料電池用フレーム部材は、強度および耐久性にも優れるものであるが、燃料電池用フレーム部材としては、強度および耐久性にさらに優れるものが求められるようになっている。
このような状況下、本発明者等が検討を加えたところ、熱硬化性樹脂バインダー中に含まれる縮合水等の水分や低沸点成分が熱圧成形時に微小な気泡(ポアないしボイド)を発生すること、上記熱硬化性樹脂バインダー、炭素粉末および硬化促進剤を含む混練物(成形材料)を金型内で熱圧成形する際に、金型を閉鎖することによって内部の成形材料の流動性が低下して脱気性が低下したり、雰囲気中の空気を抱き込むために、得られるフレーム部材中に同様に微小な気泡を生じること、この微小な気泡がフレーム部材の強度や耐久性を低下させたり不安定化することを見出した。
上記知見に基づき、本発明者等がさらに検討したところ、予め熱硬化性樹脂バインダーを加熱溶融した状態で真空脱気して水分量を所定量以下に低減すること、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で熱圧成形を行うこと等により、上記気泡の発生を低減し、得られるフレーム部材の強度および耐久性を向上し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)燃料電池用フレーム部材の製造方法であって、
熱硬化性樹脂バインダーを、軟化点以上熱硬化温度以下の温度下で加熱溶融しつつ、前記熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下になるまで真空脱気した後、
さらに硬化促進剤および炭素粉末を、前記真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が30〜70質量部となるように、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で混練して混練物を作製し、冷却した後、粉砕して成形粉を得、
得られた成形粉を、3〜10MPaの圧力下、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で予備成形して予備成形体を作製し、
該予備成形体を、金型内において、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形した後、
表面粗さRaが0.05〜1.0μmになるようにブラスト処理する
ことを特徴とする燃料電池用フレーム部材の製造方法、
(2)前記熱硬化性樹脂バインダーが、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合樹脂である上記(1)に記載の燃料電池用フレーム部材の製造方法
を提供するものである。
なお、以下、燃料電池用フレーム部材を、適宜フレーム部材と称することとする。
本発明によれば、絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れ、高い強度および耐久性を示す燃料電池用フレーム部材を簡便に製造する方法を提供することができる。
本発明に係る燃料電池用フレーム部材の製造方法は、燃料電池用フレーム部材の製造方法であって、熱硬化性樹脂バインダーを、軟化点以上熱硬化温度以下の温度下で加熱溶融しつつ、前記熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下になるまで真空脱気した後、さらに硬化促進剤および炭素粉末を、前記真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が30〜70質量部となるように、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で混練して混練物を作製し、冷却した後、粉砕して成形粉を得、得られた成形粉を、3〜10MPaの圧力下、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で予備成形して予備成形体を作製し、該予備成形体を、金型内において、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形した後、表面粗さRaが0.05〜1.0μmになるようにブラスト処理することを特徴とするものである。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーとしては、絶縁性を有するとともに、pHが2〜3程度のスルホン酸などの電解質に対する耐酸性および60〜100℃程度の燃料電池の作動温度に耐え得る耐熱性を有し、さらに加湿水や生成水等に対する耐水性を有するものが適当である。
このような熱硬化性樹脂バインダーとしては、例えば、フェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フルフリルアルコールフルフラール樹脂、フルフリルアルコールフェノール樹脂などのフラン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピレン−フェナントレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂や多官能フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
熱硬化性樹脂バインダーのうち、樹脂の硬化反応時に縮合水等の水分等を生成するものは、該水分により気泡を生成する場合がある。このため、熱硬化性樹脂バインダーとしては、上記水分等の揮発成分を生成し難いものが好ましく、このような熱硬化性樹脂バインダーとしては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合樹脂が好ましく、主剤である多官能エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノール樹脂との混合樹脂がより好ましい。
多官能エポキシ樹脂を用いることにより、成形性や耐熱性を向上させることができ、また、フェノール樹脂は、不純物含有量が少なく、剛直な構造を有することから、多官能エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを組み合わせた混合樹脂を用いることにより、さらに耐酸性や耐熱性を向上させることができ、成形時におけるガスの発生を抑制することができる。
主剤である多官能エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂等の、分子中にフェノール骨格を有する多官能フェノール型エポキシ樹脂や、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
多官能フェノール型エポキシ樹脂としては、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、質量平均分子量が1000〜4000であるものが好ましく、1200〜3500であるものがより好ましく、1400〜2000であるものがさらに好ましい。
硬化剤であるフェノール樹脂としては、レゾールタイプのフェノール樹脂、ノボラックタイプのフェノール樹脂に代表される種々のフェノール樹脂を挙げることができる。
フェノール樹脂としては、質量平均分子量が400〜2000であるものが好ましく、500〜1200であるものがより好ましく、600〜1000であるものがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂バインダーとして、多官能エポキシ樹脂とフェノール樹脂との混合樹脂を使用する場合、フェノール樹脂の含有割合は、多官能エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対するフェノール樹脂中の全フェノール性水酸基の当量比(フェノール樹脂中の全フェノール性水酸基/エポキシ樹脂中の全エポキシ基)が0.5〜1.5となる割合であることが好ましく、0.7〜1.5となる割合であることがより好ましく、0.9〜1.1となる割合であることがさらに好ましく、1.0程度であることが特に好ましい。上記当量比が0.5未満であるか1.5を超えると、未反応の混合樹脂あるいはフェノール樹脂の残存量が多くなるため、効率が低下してしまう。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーは、軟化点が50〜100℃であるものが好ましく、60〜90℃であるものがより好ましく、65〜80℃であるものがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂バインダーを複数使用する場合は、各熱硬化性樹脂バインダーの軟化点がそれぞれ上記範囲内にあることが適当である。
熱硬化樹脂バインダーの軟化点が上記範囲内にあることにより、フレーム部材の作製時において成形性を向上させることができる。
なお、本出願書類において、熱硬化樹脂バインダーの軟化点は、JIS K7234「エポキシ樹脂の軟化点試験方法」の環球法に従って、測定された値を意味する。
本発明の製造方法においては、熱硬化性樹脂バインダーを、軟化点以上熱硬化温度以下の温度下で加熱溶融しつつ、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下になるまで真空脱気する。
本発明の製造方法においては、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が、0.05質量%以下になるまで真空脱気し、0.04質量%以下になるまで真空脱気することが好ましく、0.03質量%以下になるまで真空脱気することがより好ましい。
熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下であることにより、成形時に水蒸気等の発生を抑制することができ、微小な気泡の生成を抑制して、得られるフレーム部材に高い強度や耐久性を付与することができる。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーとして混合樹脂を使用する場合、各樹脂を混合した状態で真空脱気して真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーを得てもよいし、各樹脂を真空脱気した上で混合して真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーを得てもよい。
各樹脂を真空脱気した上で混合して真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーを得る場合、真空脱気した樹脂の混合物中に占める各樹脂中の水分量の合計量の割合が0.05質量%以下になるように調整する。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーの真空脱気は、熱硬化性樹脂バインダーを、その軟化点以上熱硬化温度以下の温度下で加熱溶融しつつ行う。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーが複数の樹脂の混合物からなるものである場合、使用する各熱硬化性樹脂バインダーの軟化点のうち最も高い温度以上の温度であって、かつ使用する熱硬化性樹脂バインダーの熱硬化温度のうち最も低い温度以下の温度下で加熱溶融を行う。
熱硬化性樹脂バインダーを予め上記温度で加熱することにより、内部に含まれる水分等を容易に排出することができる。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量調節のために行う真空脱気は、所定の雰囲気圧力以下になるように行うことが適当であり、雰囲気圧力が、3000Pa以下になるように行うことが好ましく、2500Pa以下になるように行うことがより好ましく、2000Pa以下になるように行うことがさらに好ましい。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量調節のために行う真空脱気は、3〜300分間行うことが好ましく、5〜240分間行うことがより好ましく、10〜180分間行うことがさらに好ましい。
なお、本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダーを複数使用する場合、熱硬化性樹脂バインダー中の水分量とは、熱硬化性樹脂バインダーの合計量に占める水分の合計含有量の質量割合(質量%)を意味するものとする。
本発明の製造方法においては、熱硬化性樹脂バインダーを真空脱気した後、さらに硬化促進剤および炭素粉末を、上記熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が30〜70質量部となるように混合する。
本発明の製造方法において、硬化促進剤としては、特に制限されないが、例えば、熱硬化性樹脂バインダーとして多官能エポキシ樹脂を用いた場合は、通常エポキシ樹脂のアニオン硬化に用いられるものを挙げることができ、具体的には、3級アミン、4級アンモニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、ホスフィン、ホスホニウム塩等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記硬化促進剤のうち、特にイミダゾール類は、少量の使用量でもエポキシ樹脂に対して高い活性を示し、比較的低い硬化温度でも短時間で、例えば、150℃程度でも30秒位で硬化させることができることから、好適に使用することができる。
本発明の製造方法において、硬化促進剤は、反応開始温度が60〜160℃であるものが好ましく、70〜140℃であるものがより好ましく、90〜120℃であるものがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂バインダーを複数使用する場合は、各硬化促進剤の反応開始温度がそれぞれ上記範囲内にあることが適当である。
硬化促進剤の反応開始温度が上記範囲内にあることにより、フレーム部材の作製時に成形性を向上させることができる。
本発明の製造方法において、炭素粉末として、具体的には、カーボンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、仮焼コークス粉等から選ばれる一種以上を挙げることができ、これ等の炭素粉末のうち、所望特性を満たすものを適宜選択すればよい。
これ等の炭素粉末のうち、フレーム部材に要求される絶縁性とアノードプレートやカソードプレート等の金属製プレートとの熱膨張差に耐える強度、低溶出性、十分な剛性を付与し得ることから、ニードルコークスが好適である。
ニードルコークスは以下の方法によって作製することができる。
先ず、多環芳香族に富むコールタール、コールタールピッチ等の石炭系重質油、または石油系重質油を原料として、ディレードコーキング法により400〜600℃程度の温度でコーキング反応を行うことによって生コークスを得る。この生コークスを、ロータリーキルン炉、リードハンマー炉、ロータリーハース炉等で、黒鉛化温度未満の1000〜1400℃で仮焼処理することにより、ニードルコークスを得ることができる。
本発明の製造方法において、炭素粉末は、多少の灰分を含むものであってもよい。
炭素粉末中の灰分量は、1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下であることがより好ましく、200質量ppm以下であることがさらに好ましい。
炭素粉末中の灰分量が1000質量ppm以下であることにより、セル内への不純物溶出を高度に抑制して、発電性能に対する影響を抑制することができる。
なお、本出願書類において、炭素粉末中の灰分量は、JIS K2272「原油及び石油製品−灰分及び硫酸灰分試験方法」に従って、775±25℃にて試料を完全に灰化し、次式によって算出した値を意味する。
灰分(質量%)={(m1−m2)/S }×100
(但し、m1はルツボと灰化後の試料の合計質量(g)、m2はルツボの質量(g)、Sは灰化前の試料の質量(g)である。)
本発明の製造方法において、炭素粉末の結晶面間隔d(002)は、0.3360nm以上であることが好ましく、0.3380nm以上であることがより好ましく、0.3400nm以上であることがさらに好ましい。炭素粉末の結晶面間隔d(002)の上限は特に制限されないが、通常は0.3500nm以下である。
また、本発明の製造方法において、炭素粉末の結晶子厚さLc(002)は10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、2nm以下であることがさらに好ましい。炭素粉末の結晶子厚さLc(002)の下限は特に制限されないが、通常は0.5nm以上である。
炭素粉末の結晶面間隔d(002)が0.3360nm未満であったり、結晶子厚さLc(002)が10nm超である場合には、得られるフレーム部材の絶縁性が十分に確保でき難い場合がある。
なお、本出願書類において、炭素粉末の結晶面間隔d(002)および結晶子厚さLc(002)は、(株)リガク製X線回折装置UltimaIVを用い、学振法に準拠して測定した値を意味するものとする。
本発明の製造方法において、炭素粉末の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましく、2〜18μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。
また、本発明の製造方法において、炭素粉末の最大粒子径は100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
炭素粉末の平均粒径が20μm以下であることにより、フレーム部材に所望の絶縁性を付与するとともに、セパレータを構成するアノードプレートやカソードプレート等の金属製プレートとの熱膨張差に耐え得る強度や、スタック組み立て時の締付け力等機械的な取り扱いに耐え得る程度の強度や、薄いために十分な剛性を有さない金属製プレートを補強し得る剛性を容易に付与することができる。
炭素粉末の平均粒径が20μm超である場合、アノードプレートやカソードプレート等の金属製プレート間の絶縁性を十分に確保でき難く、充分な強度を担保でき難くなる。また、炭素粉末の平均粒径が1μm未満である場合、後述する混練時に抱き込んだ空気を排出し難くなり、得られるフレーム部材に気泡を形成し易くなる。さらに、炭素粉末の平均粒径が1μm未満である場合、熱圧成形時に金型内での流動性が著しく低下するため、成形不良を引き起こし易くなる。
なお、本出願書類において、炭素粉末の平均粒径は、界面活性剤の共存下で炭素粉末を水中に分散させたときに、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
本発明の製造方法において、炭素粉末として上記結晶性や平均粒径を有するものを使用することにより、相当量の炭素粉末を使用した場合であっても、電気抵抗の低下を抑制して得られるフレーム部材に十分な絶縁性を付与することができる。
本発明の製造方法において、炭素粉末の熱膨張係数は、2.8×10−7〜5.2×10−7/Kであることが好ましく、3.0×10−7〜4.5×10−7/Kであることがより好ましい。
なお、本出願書類において、炭素粉末の熱膨張係数は、以下の方法により測定された値を意味する。
先ず、炭素粉末に対し、バインダーピッチを、該バインダーピッチの含有割合が30質量%になるように加えた後、押し出し成形器で円柱状物を作製し、次いで加熱炉にて不活性雰囲気下1000℃で焼成して、直径5mm、長さ10mmの円柱状試験片を作製する。
この円柱状試験片に対し、(株)島津製作所製 サーモメカニカルアナライザー TMA60を用いて、昇温速度5℃/分で室温から2800℃まで昇温したときに、30〜130℃における平均線膨張係数(×10−6/K)を熱膨張係数とする。
本発明の製造方法において、炭素粉末の真比重は2.10g/cm以上であり、2.12g/cm以上であることが好ましい。炭素粉末の真比重の上限は特に制限されないが、通常は2.20g/cm以下である。
炭素粉末の真比重が2.10g/cm以上であることにより、フレーム部材から有機物成分の溶出を抑制して、燃料電池の電池性能の低下を抑制することができる。
なお、本出願書類において、炭素粉末の真比重は、JIS R 7212の規定に準拠し、比重瓶を用いたブタノール置換法により測定した値を意味する。
セパレータを構成するアノードプレートやカソードプレートとしては、通常金属製のものが用いられ、熱硬化性樹脂バインダーを硬化してなる樹脂硬化物は、通常、熱膨張係数が大きいために金属材料との熱膨張係数差も大きくなるが、得られるフレーム部材中に所定量の炭素粉末が存在することにより、アノードプレートやカソードプレートを構成する金属材料(SUS310、SUS304、SUS316等のステンレスや、チタン、アルミ等)との熱膨張係数の差を小さくすることができ、上記金属製のプレートとフレーム部材との熱膨張の差を抑制して、フレーム部材の割れや破断歪みの発生を抑制することができる。
また、得られるフレーム部材が、炭素粉末を内部に分散してなるものであることにより、フレーム部材の剛性を向上させて、厚みの薄い金属セパレータを十分に保持し得るとともに、スタック締め付け時の荷重に耐え得る高い耐クリープ性を付与することができる。
加えて、本発明の製造方法においては、得られるフレーム部材が炭素粉末を含むことにより、フレーム部材に高い耐薬品性を付与することができ、フッ酸や硫酸等の浸食性の高い薬品に対しても優れた耐食性を有することができる。
本発明の製造方法においては、炭素粉末の混練量は、上記(真空脱気した)熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、30〜70質量部であり、35〜65質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがより好ましい。
炭素粉末の混練量が上記範囲内にあることにより、耐クリープ性、シール性および絶縁性に優れ、熱膨張係数が小さくセパレータを構成する金属製プレートとの熱膨張差が低減されてなり、燃料電池を長期間作動させた場合でも吸水による膨潤が生じ難く割れの発生を抑制したフレーム部材を容易に製造することができる。
熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量100質量部に対し、炭素粉末の混練量が30質量部より少なくなると、得られるフレーム部材において、金属製プレートとの熱膨張係数差が拡大して内在応力が増加してしまい、破損ないしは剛性の低下を招き、金属セパレータのハンドリング性が低下してしまう。
一方、熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量100質量部に対し、炭素粉末の混練量が70質量部より多くなると、得られるフレーム部材の絶縁性を確保し難くなる。
本発明の製造方法において、熱硬化性樹脂バインダー、硬化促進剤および炭素粉末は、混練前に乾式混合することが好ましい。
本発明の製造方法において、乾式混合は任意の混合機を用いて行うことができ、混合機としては例えばヘンシェルミキサーを挙げることができる。
ヘンシェルミキサーを用いて乾式混合する場合、ヘンシェルミキサーの回転数は2000〜4000rpmであることが好ましく、攪拌時間は1〜10分間であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、熱硬化性樹脂バインダー、硬化促進剤および炭素粉末を、熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で混練して混練物を作製する。
上記混練は、熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で行うが、熱硬化性樹脂バインダーまたは硬化促進剤を複数用いる場合は、使用する各熱硬化性樹脂バインダーの軟化点のうち最も高い温度以上の温度であって、かつ使用する硬化促進剤の反応開始温度のうち最も低い温度以下の温度下で混練を行う。
上記混練は、各種混練機を用いて行うことができ、混練機としては、ニーダー、ロール、二軸混練押出機等から選ばれる一種以上を挙げることができる。上記混練機としては、二軸混練押出機が好ましく、スクリューの長さLと径Dとの比(L/D)が15〜60である二軸混練押出機がより好ましい。
上記二軸混練押出機としては、例えば、(株)東洋精機製作所 Labo Plastomill 4c150等が挙げられる。
上記混練機を、例えば、溶融温度50〜100℃、回転速度10〜300rpmで運転することにより、乾式混合により得られた混合物を混練することができる。
具体的には、多官能エポキシ樹脂およびフェノール樹脂等からなる熱硬化性樹脂バインダーにおいて、多官能エポキシ樹脂の軟化点およびフェノール樹脂の軟化点のいずれか高い温度よりやや高い温度条件下において、無溶剤下、二本ロールに混練対象物を繰り返し通し、徐々にロールクリアランスを小さくしていくことによって、炭素粉末が熱硬化性樹脂バインダー中に高度に分散した混練物を作製することができる。
また、熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤中とともに、黒鉛粉末を高濃度に十分混練してマスターバッチを作製した後、さらに熱硬化性樹脂バインダーや硬化促進剤を添加して混練することにより、炭素粉末の分散性を向上させ、絶縁性を向上させることができる。
本発明の製造方法において、混練処理は、複数台の混練機を使用して順次混練することにより実施することもできる。
本発明の製造方法においては、上記混練により、熱硬化性樹脂バインダー、硬化促進剤および炭素粉末を均一に混合し、熱硬化性樹脂バインダー中に炭素粉末を均質に分散して、炭素粒子をバインダー樹脂で覆った状態にすることにより、絶縁性を向上させることができる。
上記混練により得られる混練物の形態は特に制限されない。
混練機として上述した二軸混練押出機を用いた場合には、混練後にT型ダイス等を用いて押出すことにより、シート状の混練物を得ることができる。このシート状の混練物の厚みは、通常0.5〜2mm程度である。
本発明の製造方法において、得られた混練物は、一旦室温まで冷却される。
混練物の冷却は、自然放冷により行ってもよいし、強制冷却により行ってもよい。
本発明の製造方法においては、上記冷却された混練物を粉砕して、成形粉を作製する。
粉砕処理は、粉状に粉砕できる粉砕機を用いて行うことが好ましく、粉砕機としては特に限定されず、例えば、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル、転動ボールミル、振動ボールミル等が挙げられる一種以上を挙げることができる。
本発明の製造方法において、粉砕処理は、平均粒径が20〜700μmの成形粉が得られるように行うことが好ましく、平均粒径が30〜600μmの成形粉が得られるように行うことがより好ましく、平均粒径が40〜500μmの成形粉が得られるように行うことがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、上記成形粉の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
本発明の製造方法においては、混練物を直接熱圧成形することなく、一旦成形粉に加工した上で予備成形体を経て熱圧成形物を作製することにより、混練物中に内在していた気泡が開いた状態で(表面近傍に露出した状態で)真空雰囲気下での熱圧成形を行うことができるので、成形粉粒子内の気泡や、さらには樹脂中に含まれる微量の低沸点成分や処理中に吸湿した水分などを、熱圧成形物中に残留することなく系外に排出することができる。
本発明の製造方法においては、上記粉砕処理によって得られた成形粉を、3〜10MPaの圧力下、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で予備成形して予備成形体を作製する。
本発明の製造方法において、上記予備成形は、3〜10MPaの圧力下で行い、4〜9MPaの圧力下で行うことが好ましく、5〜8MPaの圧力下で行うことがより好ましい。
本発明の製造方法において、上記予備成形は、成形粉を構成する熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で行う。
すなわち、予備成形時の温度をT(℃)、熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度をTMA−25(℃)としたときに、硬化促進剤の反応開始温度(℃)との関係で、下記式を満たす温度下で予備成形を行う。
TMA−25≦T<硬化促進剤の反応開始温度
成形粉中に熱硬化性樹脂バインダーが複数含有される場合は、各熱硬化樹脂バインダーの軟化点のうち最も高い温度より25℃低い温度以上の温度下で予備成形を行う。また、成形粉中に硬化促進剤が複数含まれる場合は、各硬化促進剤の反応開始温度のうち最も低い温度未満の温度下に予備成形を行う。
予備成形時の成形温度は、例えば、熱硬化性樹脂バインダーの軟化点が80℃で、硬化促進剤の反応開始温度が110℃である場合、55〜100℃程度であることが適当であり、55〜90℃であることがより適当であり、55〜80℃であることがさらに適当である。
予備成形時の加圧時間は、熱硬化性樹脂バインダーや硬化促進剤の種類によって適宜決定することができる。
また、上記加圧時においては、加圧状態を連続的に維持するのではなく、適時加圧状態を開放して、ガス抜きを行ってもよい。加圧時の圧力が上記範囲内にあることにより、得られる予備成形体に所望の強度を容易に付与することができる。
予備成形は、通常、成形金型を用いて行い、成形金型としては、成形面が、得ようとするフレーム部材に近似した形状を有する一対の上型と下型からなるものを挙げることができる。
得ようとするフレーム部材の形状に近似した成形面形状を有する成形金型を用いることにより、所望形状を有する予備成形体を作製することができる。
成形型の成形面には、適宜離型剤を塗布してもよい。
予備成形方法としては、コンプレッション成形法が挙げられるが、炭素粉末の少ない配合では、樹脂溶融時の流動性が高くなるため、トランスファ成形法や射出成形法によって作製してもよい。
本発明の製造方法においては、フレーム部材形状に熱圧成形することに先だって、予備成形体を作製することにより、熱圧成形金型内の所定の位置に所定量(所定重量)の原料を容易に投入することができ、成形粉のまま投入する場合と比較して、投入時間が短縮され、原料が受ける熱量のバラツキを低減することができる。
本発明の製造方法においては、上記予備成形体を、金型内において、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形する。
本発明の製造方法において、上記熱圧成形は、金型内を、雰囲気圧力3000Pa以下に真空脱気した状態で行い、2500Pa以下に真空脱気した状態で行うことが好ましく、2000Pa以下に真空脱気した状態で行うことがより好ましい。
本発明の製造方法においては、上記熱圧成形を真空雰囲気下で行うことにより、予備成形体と金型との隙間の空気や、予備成形体を構成する成形粉粒子間の空隙、成形粉粒子内の気孔、さらには樹脂に含まれる微量の低沸点分や工程処理中に吸湿した水分などが、成形体に残留することなく系外に排出することができる。
本発明の製造方法において、上記熱圧成形は、1〜20MPaの圧力下で行い、4〜20MPaの圧力下で行うことが好ましく、8〜20MPaの圧力下で行うことがより好ましい。
本発明の製造方法において、上記熱圧成形は、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で行う。
予備成形体中に硬化促進剤が複数含まれる場合は、各硬化促進剤の反応開始温度のうち最も高い温度以上の温度下に熱圧成形を行う。
上記熱圧成形温度は、120〜200℃であることが適当であり、125〜190℃であることがより適当であり、130〜180℃であることがさらに適当である。
上記熱圧成形を行う時間(熱圧成形時間)は、予備成形体を構成する熱硬化性樹脂バインダーや硬化促進剤の種類によって適宜決定することができる。
例えば熱硬化性樹脂バインダーとして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびノボラック型フェノール樹脂を用い、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを用いた場合の熱圧成形加圧時間は、1秒〜600秒が好ましく、1秒〜300秒がより好ましく、1秒〜30秒がさらに好ましい。また、上記加圧時においては、加圧状態を連続的に維持するのではなく、適時加圧状態を開放して、ガス抜きを行ってもよい。加圧時の圧力が上記範囲内にあることにより、得られる予備成形体に所望の強度を容易に付与することができる。
上記熱圧成形は、通常、成形金型を用いて行い、成形金型としては、成形面が、得ようとするフレーム部材に対応する形状を有する一対の上型と下型からなるものを挙げることができる。
得ようとするフレーム部材の形状に対応する成形面形状を有する成形金型を用いることにより、所望形状を有する熱圧成形物を作製することができる。
成形型の成形面には、適宜離型剤を塗布してもよい。
熱圧成形方法としては、コンプレッション成形法が挙げられるが、炭素粉末の少ない配合では、樹脂溶融時の流動性が高くなるため、トランスファ成形法や射出成形法によって作製してもよい。
得られた熱圧成形物は、必要に応じて更に機械加工を施してもよく、また、必要に応じて、疲労特性に影響しない温度(例えば150〜200℃程度)下において所望時間アフターキュア(後硬化)を行ってもよい。後硬化は、例えば黒鉛板等で挟持した状態で行うことができる。
本発明の製造方法においては、上記熱圧処理して得られた熱圧成形物に対し、表面粗さRaが0.05〜1.0μmになるようにブラスト処理する。
ブラスト処理は、表面粗さRaが、0.05〜1.0μmになるように行い、0.1〜0.9μmになるように行うことが好ましく、0.2〜0.8μmになるように行うことがより好ましい。
ブラスト処理後の表面粗さRaが0.05μm未満である場合には、熱圧成形物の表面に残存する離型剤等を十分に除去することができず、また、十分な接着剤の付着性を付与することができないために、所望の接着性(シール特性)を有するフレーム部材を得難くなる。
ブラスト処理後の表面粗さRaが1.0μm超である場合には、表面荒れが大きくなって、接着剤の塗布時に表面の空気を抱き込み易く、接着剤とフレーム部材との界面で破断し易くなって、所望の接着性(シール特性)を有するフレーム部材を得難くなる。
なお、本出願書類において、表面粗さRaは、触針式の表面粗さ計((株)東京精密製ハンディサーフE−35A)を用いて長さ4mmの領域を0.42mm/秒の速度で走査することによってその表面粗さプロファイルを求め、その結果からJISB0601に準拠する算術平均粗さから求めた値を意味する。
ブラスト処理方法としては、主としてエアーコンプレッサーなどの圧縮空気を使ってノズルからブラスト材(砥粒)を投射するエアーブラスト法や、水中ポンプや圧縮エアーを使って液体に混ぜたブラスト材を投射するウェットブラスト法等を挙げることができる。
上記ブラスト処理方法のうち、より細かなブラスト材を使用し得るウェットブラスト法が好ましい。
ブラスト材としては特に制限されず、公知のものを適宜使用することができ、具体的には、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ガラス、ジルコニア、ステンレス等の粒子が挙げられる。また、ブラスト材としては、体積平均粒径が3〜100μmであるものが好ましく、5〜50μmであるものがより好ましく、5〜20μmであるものがさらに好ましい。ブラスト材の体積平均粒径が上記範囲内にあることにより、得られるフレーム部材の表面層を除去し、所望の接着性(シール特性)を付与することができる。
なお、本出願書類において、上記ブラスト材の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
上記表面粗さRaは、ブラスト処理条件、例えば、ブラスト材(砥粒)の種類、ブラスト材の投射圧力、ブラスト材の投射距離(投射ノズルと被処理物との距離)、被処理物の送り速度等を制御することにより調整することができる。
本発明の製造方法において、ブラスト処理は、熱圧成形物または後硬化処理物の全面に施してもよいが、少なくとも得られるフレーム部材をセパレータに接触ないし接着させる部分に施すことが好ましい。
本発明の製造方法によれば、このようにして目的とするフレーム部材を製造することができる。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材は、熱膨張係数が45×10−6/K以下であるものが好ましく、5×10−6/K〜45×10−6/Kであるものがより好ましく、8×10−6/K〜40×10−6/Kであるものがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材の熱膨張係数が45×10−6/K以下であることにより、セパレータを構成するアノードプレートやカソードプレート等の金属製プレートとの熱膨張係数の差を小さくすることができ、上記金属製プレートとフレーム部材の熱膨張の差を抑制して、フレーム部材の割れを抑制することができる。
なお、本出願書類において、フレーム部材の熱膨張係数は、直径5mm、長さ10mmの円柱状試験片を作製し、この円柱状試験片に対し、(株)島津製作所製 サーモメカニカルアナライザー TMA60を用いて、昇温速度5℃/分で室温から200℃まで昇温したときに、30〜130℃における平均線膨張係数(×10−6/K)を意味するものとする。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材は、絶縁抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であるものであるものが好ましく、1.0×10Ω・cm以上であるものがより好ましく、1.0×10Ω・cm以上であるものがさらに好ましい。絶縁抵抗率の上限は高い程よいが、通常1.0×1012Ω・cm以下である。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材の絶縁抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であることにより、燃料電池に使用したときにセル間を好適に絶縁することができる。
なお、本出願書類において、フレーム部材の絶縁抵抗率は、JIS K6911に準拠して測定される値を意味するものとする。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材は、曲げ強度が、100〜140MPaであるものが好ましく、105〜140MPaであるものがより好ましく、110〜140MPaであるものがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材の曲げ強度が上記範囲内にあることにより、スタック締め付け時等におけるフレーム部材の割れの発生を抑制することができる。
なお、本出願書類において、フレーム部材の曲げ強度は、JIS R1601に準拠した方法により室温(20℃)下で測定した値を意味するものとする。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材は、曲げ破断歪みが1.5〜2.6%であるものが好ましく、1.6〜2.5%であるものがより好ましく、1.7〜2.4%であるものがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られるフレーム部材の曲げ破断歪みが上記範囲内にあることにより、高い曲げ強度を発揮することができる。
なお、本出願書類において、フレーム部材の曲げ破断歪みは、JIS R1601に準拠した方法により室温(20℃)下で測定した値を意味するものとする。
本発明によれば、絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れ、高い強度および耐久性を示す燃料電池用フレーム部材を簡便に製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)表1に示すように、熱硬化性樹脂バインダーである、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製オルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂(軟化点70℃)およびフェノール樹脂(明和化成(株)製フェノールノボラック(軟化点70℃))を、それぞれ、100℃の温度条件下、雰囲気圧力が3000Paになるまで真空引きした状態で、1時間真空乾燥することにより、エポキシ樹脂中の水分量が0.03質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.03質量%になるまで真空脱気した。
(2)上記真空脱気したエポキシ樹脂2kgと、上記真空脱気したフェノール樹脂1kgと、炭素粉末(三菱化学(株)製ニードルコークス(灰分100質量ppm 結晶面間隔d(002)0.3477nm 平均粒径13μm、最大粒径45μm、比表面積22m/g))7kgとを、二本ロールを用いて、70℃の温度条件下で20分間加熱溶融混練した後、さらに、上記真空脱気したエポキシ樹脂7.24kgと、上記真空脱気したフェノール樹脂3.62kgと、硬化促進剤(四国化成(株)製2−メチル4−エチルイミダゾール(反応開始温度90℃))0.14kgとを追加して、加圧ニーダーを用いて75℃の温度条件下で10分間加熱溶融混練した。すなわち、上記真空脱気したエポキシ樹脂、上記真空脱気したフェノール樹脂および硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が50質量部になるように、また、上記真空脱気したエポキシ樹脂および上記真空脱気したフェノール樹脂の合計量を100質量部としたときに、硬化促進剤が1質量部になるように、混合して加熱溶融混練を行った。
上記加熱溶融混練を行った後、室温下で放冷することにより十分に冷却し、次いで、微粉砕篩分装置((株)奈良機械製作所製M3)で粉砕することにより、平均粒径250μmの成形粉を作製した。
(3)得られた成形粉を、縦200mm、横200mmの成形面を有する金型内に投入し、75℃の温度条件下、6MPaの圧力で30秒間熱圧成形(予備成形)することにより平板状の予備成形体を得た。
(4)得られた予備成形体を、成形面がフレーム部材形状に対応する形状に彫刻された金型内に投入し、雰囲気圧力が2500Paになるまで真空脱気し、該圧力を維持した状態で、160℃の温度条件下、20MPaの圧力で30秒間熱圧成形することにより、縦200mm、横200mm、厚さ0.8mm、最薄肉部厚さ0.20mmの熱圧成形物を作製した。
(5)得られた熱圧成形物を、体積平均粒径が9.5μmであるアルミナ多角形研磨材をブラスト材として用いて、ウェットブラスト法により熱圧成形物の全表面に、表面粗さRaが0.50μmになるようにブラスト処理を施すことにより、目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(実施例2)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂中の水分量が0.02質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.04質量%になるまで真空脱気し、実施例1の(2)において、真空脱気したエポキシ樹脂と、真空脱気したフェノール樹脂と、硬化促進剤との合計量を100質量部としたときに、炭素粉末量が65質量部となるように加熱溶融混練し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.30μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(実施例3)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂中の水分量が0.03質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.04質量%になるまで真空脱気し、実施例1の(2)において、真空脱気したエポキシ樹脂と、真空脱気したフェノール樹脂と、硬化促進剤との合計量を100質量部としたときに、炭素粉末量が33質量部となるように加熱溶融混練し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.25μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(実施例4)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂中の水分量が0.04質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.05質量%になるまで真空脱気し、実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が3000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.80μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(実施例5)
実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が2000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.08μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(比較例1)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂中の水分量が0.03質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.04質量%になるまで真空脱気し、実施例1の(2)において、真空脱気したエポキシ樹脂と、真空脱気したフェノール樹脂と、硬化促進剤との合計量を100質量部としたときに、炭素粉末量が25質量部となるように加熱溶融混練し、実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が2000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.25μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(比較例2)
実施例1の(2)において、真空脱気したエポキシ樹脂と、真空脱気したフェノール樹脂と、硬化促進剤との合計量を100質量部としたときに、炭素粉末量が75質量部となるように加熱溶融混練し、実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が2000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.25μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(比較例3)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の真空脱気を行わず、実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が2000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.30μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(比較例4)
実施例1の(1)において、エポキシ樹脂中の水分量が0.02質量%、フェノール樹脂中の水分量が0.03質量%になるまで真空脱気し、実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が4000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが0.30μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
(比較例5)
実施例1の(4)において、熱圧成形時における雰囲気圧力が2000Paとなるように真空脱気し、実施例1の(5)において、ブラスト後の表面粗さRaが2.00μmになるようにブラスト処理を施した以外は、実施例1と同様にして目的とする燃料電池用フレーム部材を得た。
実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例5における燃料電池用フレーム部材の製造条件を、表1および表2にまとめて記載する。
なお、表1および表2において、「炭素粉末(質量部)」は、熱硬化性樹脂バインダー(真空脱気したエポキシ樹脂および真空脱気したフェノール樹脂)と硬化促進剤との合計使用量を100質量部とした場合における炭素粉末の使用量(質量部)を意味する。
Figure 2014135145
Figure 2014135145
実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例5で得られた燃料電池用フレーム部材からテストピースを切り出し、以下の方法により、曲げ強度(MPa)、気泡の有無、絶縁抵抗率(Ω・cm)、熱膨張係数(×10−6/K)、接着性を評価した。結果を表3および表4に記載する。
(1)曲げ強度(MPa)
JIS R1601に準拠して室温にて測定した。
(2)フレーム部材表面の気泡の有無
フレーム部材の全表面における直径50μm以上の気泡の有無を目視で確認した。
(3)絶縁抵抗率(Ω・cm)
JIS K6911に準拠して測定した。
(4)熱膨張係数(×10−6/K)
直径5mm、長さ10mmの円柱状のテストピースに対し、(株)島津製作所製 サーモメカニカルアナライザー TMA60を用いて、昇温速度5℃/分で室温から200℃まで昇温したときに、30〜130℃における平均線膨張係数(×10−6/K)を熱膨張係数とした。
(5)接着性
接着剤として、コニシボンド弾力性エポキシ樹脂系接着剤MOS7を接着剤として用い、得られたフレーム部材と金属セパレータとを接着したものを、JIS K 6850に準拠して引っ張りせん断接着強さを測定し、破断箇所を目視で確認し、接着剤自体が破断している場合を○、接着剤とフレーム部材の界面で破断している場合を×として評価した。
Figure 2014135145
Figure 2014135145
実施例1〜実施例5で得られた燃料電池用フレーム部材は、黒鉛粉末を含有することによって高い耐食性や低不純物溶出特性を示し、また、表1および表3より、熱硬化性樹脂バインダー100質量部に対し、炭素粉末を30〜70質量部含む炭素/熱硬化成形体からなるものであることから、絶縁特性に優れ、気泡を有さないことから室温で割れにくく高い強度および耐久性を有し、表面粗さRaが0.05〜1.0μmであることから、シール性(接着性)に優れるものであることが分かる。
また、実施例1〜実施例5においては、燃料電池用フレーム部材を簡便に製造し得たことが分かる。
一方、表2および表4より、比較例1では、炭素粉末の配合量が少ないため、熱膨張係数が50×10−6/Kと大きなフレーム部材しか得ることができず、このために金属セパレータとの熱膨張差から生じる歪により割れが生じる場合がある。
また、表2および表4より、比較例2では、炭素粉末の配合量が多いために、得られるフレーム部材の絶縁抵抗が9.2×10Ω・cm低く、セル間の絶縁を確保でき難い。
表2および表4より、比較例3では、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の真空脱気を行っていないので、熱圧成形時に水分が揮発し、フレーム部材の表面に気泡を生じて外観不良を生じるばかりか、気泡の存在により曲げ強度が低下することが分かる。
表2および表4より、比較例4では、熱圧成形時の真空脱気による雰囲気圧力が4000Paと高く、このために、予備成形体と金型との隙間の空気や、予備成形体を構成する成形粉粒子間の空隙、成形粉粒子内の気孔、さらには樹脂に含まれる微量の低沸点分や樹脂の硬化反応によって生じる揮発成分等が、得られるフレーム部材の内部に気泡として多数残存する。このため、得られるフレーム部材に外観不良を生じるばかりか、気泡の存在により曲げ強度が低下することが分かる。
表2および表4より、比較例5では、得られるフレーム部材の表面粗さRaが2.00μmと大き過ぎるために、接着剤を塗布する際にフレーム部材表面の空気を抱き込んでしましい、接着強度(シール性)の低下を引き起こすことが分かる。
本発明によれば、絶縁特性に優れ、耐食性が高く不純物溶出性が低いものであるとともに、シール性(接着性)に優れ、高い強度および耐久性を示す燃料電池用フレーム部材を簡便に製造する方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 燃料電池用フレーム部材の製造方法であって、
    熱硬化性樹脂バインダーを、軟化点以上熱硬化温度以下の温度下で加熱溶融しつつ、前記熱硬化性樹脂バインダー中の水分量が0.05質量%以下になるまで真空脱気した後、
    さらに硬化促進剤および炭素粉末を、前記真空脱気した熱硬化性樹脂バインダーおよび硬化促進剤の合計量を100質量部としたときに、炭素粉末が30〜70質量部となるように、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で混練して混練物を作製し、冷却した後、粉砕して成形粉を得、
    得られた成形粉を、3〜10MPaの圧力下、前記熱硬化性樹脂バインダーの軟化点より25℃低い温度以上、硬化促進剤の反応開始温度未満の温度下で予備成形して予備成形体を作製し、
    該予備成形体を、金型内において、雰囲気圧力が3000Pa以下になるように真空脱気した状態で、1〜20MPaの圧力下、硬化促進剤の反応開始温度以上の温度下で熱圧成形した後、
    表面粗さRaが0.05〜1.0μmになるようにブラスト処理する
    ことを特徴とする燃料電池用フレーム部材の製造方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂バインダーが、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合樹脂である請求項1に記載の燃料電池用フレーム部材の製造方法。
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