JP4810142B2 - 燃料電池用セパレータの製法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性物質により形成される燃料電池用セパレータの製法に属する。
水素及び酸素を電極に供給し、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池は、エネルギー変換効率が高く、大気汚染物質が発生しない発電装置として利用されている。現在、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型及び固体高分子型の燃料電池が存在し、固体高分子型及びリン酸型の燃料電池には、導電性物質により成形されるセパレータが使用される。セパレータは、隣接する単位電極間を電気的に接続すると共に、水素及び酸素の通過を遮断しながらセパレータ面上に気体流路を形成する。
特許文献1は、黒鉛、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を主成分とする燃料電池セパレータを開示する。詳細には、黒鉛100重量部に対して、エポキシ樹脂15重量部以下と、ポリカルボジイミド樹脂等の硬化剤と、トリフェニルホスフィン等の硬化促進剤とをニーダー(混練機)により混合し押出成形してペレットを形成し、ペレットを金型に充填して燃料電池セパレータを成形する。特許文献2は、エポキシ樹脂及び樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂結合剤と、エポキシ樹脂結合剤の5〜15倍量の黒鉛粉と、トリフェニルホスフィン等の硬化促進剤とを100℃のロールで混練し混練物を粉砕して、粉砕物を金型で成形することにより得られる燃料電池用セパレータを開示する。
特開2001−216976公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2002−83609公報(特許請求の範囲、実施例)
前記特許文献1及び2に示す燃料電池用セパレータは共に、導電性を有する黒鉛と、黒鉛粒子間を結合するエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の分子間に三次元的に架橋を形成する硬化促進剤とを含む燃料電池用セパレータを開示するが、黒鉛、エポキシ樹脂及び硬化促進剤の粒状物質を一度に混練機に投入し撹拌して混練する。このため、ムラ無く均一に混合撹拌するのに長時間要し、特に含有割合の少ない硬化促進剤を均一に分散させることは難しく、硬化促進剤が部分的に偏在する。この混練物により成形される燃料電池用セパレータは、機械的強度の弱い部分が発生し、衝撃により又は長時間の使用によりセパレータが破損するおそれがある。また、導電特性にも偏りが生じ、電気エネルギーへの変換効率が低下する。
そこで、本発明は、高強度かつ導電特性に優れた燃料電池用セパレータの製法を提供することを目的とする。また、本発明は、混練時間を短縮できる燃料電池用セパレータの製法の提供を目的とする。更に、燃料電池用セパレータを成形する前の粉状原料を長期間保存できる燃料電池用セパレータの製法の提供を目的とする。
本発明による燃料電池用セパレータの製法は、溶媒中に硬化促進剤(1)を溶解した促進剤溶液を生成する工程と、促進剤溶液と導電材粉末(2)とを混合し撹拌して混合物を得る工程と、得られた混合物から溶媒を乾燥除去して、硬化促進剤(1)が表面に均一に付着した導電材粉末(2)を形成する工程と、得られた導電材粉末(2)と結着樹脂とを混練して、混練物を形成する工程と、得られた混練物を固化するとき、混練物内に均一に分散された硬化促進剤(1)により、結着樹脂の硬化を促進する工程とを含む。溶媒中に硬化促進剤(1)が均一に溶解した促進剤溶液と導電材粉末(2)とを混合して、得られた混合物から溶媒を乾燥除去すると、硬化促進剤(1)の配合量の多少に係わらず、硬化促進剤(1)が部分的に偏在せずに硬化促進剤(1)が表面に均一に付着した導電材粉末(2)を形成することができる。従って、ムラ無く均一に樹脂硬化材が付着する導電材粉末(2)と結着樹脂とを混練するので、混練時間を大幅に短縮して混練物を形成することができる。混練物を固化するとき、混練物内に均一に分散された硬化促進剤(1)により結着樹脂の硬化を促進する。即ち、均一に混合された硬化促進剤(1)と結着樹脂とが反応し、結着樹脂間に硬化促進剤(1)が均一に架橋を形成して三次元網目構造を構成するため、機械的強度に優れた燃料電池用セパレータを得ることができる。更に、強度保持機能を有する結着樹脂の含有量を減らすことができ、高導電特性が得られる。
本発明では、硬化促進剤が導電材粉末に対して均一に分散して付着されるので、混練するとき、硬化促進剤と、導電材粉末と、結着樹脂とが均一に混合された混練物が短時間で形成され、この混練物により得られる燃料電池用セパレータは、機械的強度及び電気的特性に優れている。このため、長期間故障が無く、安定した電力を供給する燃料電池が得られると共に、混練時間の短縮により、燃料電池用セパレータの製造コストを低減することができる。
本発明による燃料電池用セパレータの製法の実施の形態を図1について説明する。
本発明では、最初に、樹脂の分子間の結合を強化する硬化促進剤(1)と、硬化促進剤(1)を溶解可能な溶媒とを準備し、硬化促進剤(1)を溶媒中に添加し撹拌して、硬化促進剤(1)がほぼ完全に溶解した促進剤溶液を生成する。
硬化促進剤(1)は、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールを含むイミダゾール誘導体、フッ化ホウ素モノエチルアミンを含むフッ化ホウ素錯体、ジシアンジアミド、ジシアンジアミジン及びジシアンジメチルアミンを含むジシアン及びその誘導体、アジピン酸ヒドラジド、アセトヒドラジド及びベンズヒドラジドを含む有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリルを含むジアミノマレオニトリル及びその誘導体、ジアリルメラミンを含むメラミン及びその誘導体、ポリ(ピペリジン−セバチン酸)アミドを含むポリアミド、アミンイミド並びにテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン及び1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを含む有機リン誘導体からなる群から選択される1又は2以上を含む。融点が40〜330℃の硬化促進剤(1)が好ましい。40℃未満であると常温での硬化が進行し長期間保存できない。溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン及び水から選択される。
次に、促進剤溶液と導電材粉末(2)とを混合し、導電材粉末(2)の粒子間及び粒子内に促進剤溶液を浸透及び含浸させて、導電材粉末(2)と、硬化促進剤(1)を含有する促進剤溶液との混合物を形成し、混合物を更に撹拌する。溶媒中に添加する硬化促進剤(1)0.01〜10重量部に対して、導電性及び機械的特性を良好に維持するため導電材粉末(2)20〜200重量部を添加する。
導電材粉末(2)は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、石炭型コークス、石油系コークス等のコークス、ガラス状カーボン、メソカーボンマイクロビーズ、カーボンファイバー及び木炭から選択される。
続いて、促進剤溶液が浸透した湿潤状態の混合物を溶媒の沸点以上の温度で加熱乾燥し溶媒を除去する。本発明では、溶液の状態で硬化促進剤(1)を導電材粉末(2)の粒子間に均一に浸透させるので、固体の状態で硬化促進剤と導電材粉末とを混合する場合と異なり、図1に示すように、硬化促進剤(1)が表面に均一に付着した導電材粉末(2)を形成できる。
溶媒が乾燥除去された導電材粉末(2)と結着樹脂とをV型混合機、円筒型混合機、スクリュー混合機、リボン混合機、流動層混合機、ヘンシェルミキサー又はボールミル等の乾式混合機により混合撹拌する。混合条件は、200〜1500rpm、好ましくは500〜800rpmである。導電材粉末(2)20〜300重量部に対して、結着樹脂2〜100重量部を混練する。2重量部未満であると、燃料電池用セパレータの機械的強度が低下し、100重量部を超えると、機械的強度は増加するが、導電材粉末(2)の含有割合が低く燃料電池用セパレータの導電性が低下する。
結着樹脂は、耐熱性を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジル−p−アミノフェノール(TGAP)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGI)、テトラグリシジルメタキシレンジアミン(TGXDA)、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TGBACH)等の多官能性グリシジルアミン樹脂及びテトラフェニルグリシジルエーテルエタン、テトラフェニルグリシジルエーテルメタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂から選択される。
前記混合撹拌時に、結着樹脂の強度を高めるため、硬化材として耐熱性を有するノボラックフェノール樹脂2〜15重量部を加えてもよい。
更に、導電材粉末(2)と結着樹脂とを混合撹拌した後、バンバリーミキサ、二軸ルーダー又は熱ロール等の熱混練機により混練する。硬化促進剤(1)が均一に付着した導電材粉末(2)に剪断力をかけ、導電材粉末(2)を結着樹脂に擦り込み、導電材粉末(2)を結着樹脂に分散混練させることにより混練物が得られる。熱混練機は二軸ルーダーが好ましく、混練温度条件は、二軸ルーダーのシリンダを入口部、中間部及び出口部の3部分に分け、入口部から出口部に向け温度を降下させる。入口部の高温域で樹脂を溶融状態にしながら混練し、樹脂中に剪断力をかけ、導電材料の粒子間に溶融状態の樹脂を侵入させて、各成分を均一に混合する。続いて、中間部及び出口部の中温域及び低温域で混練物の温度を徐々に下げて混練物を硬化させる。固化の段階では、混練物内に硬化促進剤(1)が均一に分散されているため、結着樹脂と硬化促進剤(1)との反応による硬化を迅速かつ効率的に進めることができる。
固化した混練物をハンマーミル、ピンミル、カッターミル、ロールクラッシャ又はボールミル等の粉砕機により粉砕して、篩、空気分級機等の分級機により平均粒径0.01〜1000μmに分級して粉体又は粒体の粉状原料を作成する。0.01μm未満は、粉砕の限界であり、1000μmを超えると成形時に高圧縮力を要する。
また、成型前の粉状原料は、硬化促進剤(1)と、導電材粉末(2)と、結着樹脂とが均一に分散されているため、局所的に硬化することがなく長期間保存することができる。20℃以下で保存することが好ましい。
最後に、粉体の粉状原料を金型に充填し加熱して、例えば複数の気体流路用溝を有する形状に圧縮成形することによって、燃料電池用セパレータが得られる。
前記実施の形態では、混練物を固化し粉砕した粉状原料を圧縮成形して燃料電池用セパレータを形成するが、混練物が固化する際に燃料電池用セパレータを直接成形してもよい。
[実施例1]
2−エチル−4−メチルイミダゾール0.05重量部をメチルアルコール35重量部に加え溶解した促進剤溶液を平均粒径100μmの人造黒鉛75重量を含む容器に加え撹拌し黒鉛を均一に浸漬した後80℃で乾燥して、2−エチル−4−メチルイミダゾールが表面に均一に付着した導電材粉末75重量部を得た。導電材粉末75重量部と、平均粒径80μmのフェノールノボラックエポキシ樹脂20重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂5重量部とを円筒型混合機により200rpmで30分間撹拌混合し、更に、130℃の入口部、80℃の中間部及び40℃の出口部を有するシリンダを備える二軸ルーダーにより混練して混練物98重量部を得た。混練物をハンマーミルで粉砕し、篩で50〜100μmに分級して粉状原料95重量部を得た。この状態で長時間保存せずに180℃、30秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成した。
形成した燃料電池用セパレータについて、100℃での引張強度、曲げ強度及び100℃での電気抵抗値を測定した結果と、前記燃料電池用セパレータを設置した燃料電池単位約500個を積層した燃料電池を自動車に設置したときの稼働状態とを表1に示す。また、粉状原料を30日間、20℃で保存した後に、前記同様の方法により成形された燃料電池用セパレータについて、前記引張強度、曲げ強度及び電気抵抗値を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
2−エチル−4−メチルイミダゾール0.05重量部と、平均粒径100μmの人造黒鉛75重量部と、平均粒径80μmのフェノールノボラックエポキシ樹脂20重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノール樹脂5重量部とを円筒型混合機により200rpmで30分間撹拌混合し、前記実施例1と同様の二軸ルーダーにより混練して混練物97重量部を得た。混練物をハンマーミルで粉砕し、篩で50〜100μmに分級して粉状原料94重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を180℃、30秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成した。実施例1同様の試験項目について、本燃料電池用セパレータと、本比較例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとを測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート0.6重量部をエチルアルコール35重量部に加え溶解した促進剤溶液を平均粒径40μmのメソカーボンマイクロビーズ80重量部を含む容器に加え、メソカーボンマイクロビーズを均一浸漬した後、80℃で乾燥して、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが表面に均一に付着した導電材粉末80重量部を得た。導電材粉末80重量部と、平均粒径70μmのクレゾールノボラックエポキシ樹脂17重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂3重量部とヘンシェルミキサーにより500rpmで30分撹拌混合し、更に、120℃の入口部、70℃の中間部及び40℃の出口部を有するシリンダ備える二軸ルーダにより混練して混練物97重量部を得た。混練物をカッターミルで粉砕し、篩で50〜100μmに分級して粉状原料94重量部を形成した。この状態で長時間保存せずに粉状原料を300℃、25秒で加熱プレス成型し燃料電池用セパレータを形成した。本燃料電池用セパレータと、本実施例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表1に示す。
[比較例2]
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート0.6重量部と、平均粒径40μmのメソカーボンマイクロビーズ80重量部と、平均粒径70μmのクレゾールノボラックエポキシ樹脂17重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂3重量部とをヘンシェルミキサーにより500rpmで30分間撹拌混合し、実施例2同様の二軸ルーダーにより混練して混練物98重量部を得た。混練物をカッターミルで粉砕し、篩で50〜100μmに分級して粉状原料93重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を300℃、25秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成した。本燃料電池用セパレータと、本比較例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表1に示す。
[実施例3]
ジシアンジアミド2重量部をエチルアルコール35重量部に加え溶解した促進剤溶液をを平均粒径60μmの天然黒鉛85重量部を含む容器に加え撹拌し天然黒鉛を均一に浸漬した後80℃で乾燥して、ジシアンジアミドが表面に均一に付着した導電材粉末86重量部を得た。導電材粉末68重量部と、平均粒径20μmのテトラフェニルグリシジルエーテルエタン(エポキシ樹脂)20重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂10重量部とをヘンシェルミキサーにより500rpmで30分間撹拌混合し、混合物を実施例2同様の二軸ルーダーにより混練して混練物100重量部を得た。混練物をピンミルで粉砕し篩で50〜100μmに分級して粉状原料98重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を210℃、20秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成する。本燃料電池用セパレータと、本実施例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表2に示す。
[比較例3]
ジシアンジアミド2重量部と、平均粒径60μmの天然黒鉛85重量部と、平均粒径20μmのテトラフェニルグリシジルエーテルエタン(エポキシ樹脂)20重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂10重量部とをヘンシェルミキサにより500rpmで30分撹拌混合し、実施例2同様の二軸ルーダーにより混練し、混練物99重量部を得た。混練物をピンミルで粉砕し篩で50〜100μmに分級して粉状原料98重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を210℃、20秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成した。本燃料電池用セパレータと、本比較例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表2に示す。
[実施例4]
ジアミノマレオニトリル4重量部をアセトン35重量部に加え溶解した促進剤溶液を平均粒径90μmの天然黒鉛65重量部を含む容器に加え撹拌し天然黒鉛を均一に浸漬した後80℃で乾燥して、ジアミノマレオニトリルが表面に均一に付着した導電材粉末68重量部を得た。導電材粉末68重量部と、トリグリシジルイソシアヌレート(TIG)(エポキシ樹脂)10重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノールノ樹脂5重量部とをヘンシェルミキサにより500rpmで30分撹拌混合し、更に、130℃の入口部、80℃の中間部及び40℃の出口部を有するシリンダ備える二軸ルーダにより混練して混練物96重量部を得た。混練物をピンミルで粉砕し篩で50〜100μmに分級して粉状原料95重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を180℃、15秒で加熱プレス成型して燃料電池用セパレータを形成した。本燃料電池用セパレータと、本実施例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表2に示す。
[比較例4]
ジアミノマレオニトリル4重量部と、平均粒径90μmの天然黒鉛65重量部と、トリグリシジルイソシアヌレート(TIG)(エポキシ樹脂)10重量部と、平均粒径30μmのノボラックフェノール樹脂5重量部とをヘンシェルミキサにより500rpmで30分間撹拌混合し、実施例4同様の二軸ルーダにより混練して混練物95重量部を得た。混練物をピンミルで粉砕し篩で50〜100μmに分級して粉状原料94重量部を得た。この状態で長時間保存せずに粉状原料を180℃、15秒で加熱プレス成型し、燃料電池用セパレータを形成した。本燃料電池用セパレータと、本比較例の粉状原料を30日間保存後に成形した燃料電池用セパレータとについて、実施例1同様の試験を行った結果を表2に示す。
Figure 0004810142
Figure 0004810142
表1及び表2の結果より、比較例1〜4に対して、実施例1〜4に示す本発明の製法を使用した燃料電池用セパレータは、引張強度、曲げ強度及び電気抵抗について良好な数値が得られ、機械的及び電気的特性に優れていることが判明した。また、粉状原料の状態で長期間保存した後に成形された燃料電池用セパレータも保存せずに成形したものとほぼ同様な結果が得られた。
本発明により得られる燃料電池用セパレータは、携帯電話等の電子機器用、自動車用、家庭電源用及び事業所発電装置用等の様々な用途の燃料電池に使用可能である。
硬化促進剤が導電材粉末の表面に均一に付着した状態を示す部分拡大断面図
符号の説明
(1)・・硬化促進剤、 (2)・・導電材粉末、

Claims (4)

  1. 溶媒中に硬化促進剤を溶解した促進剤溶液を生成する工程と、
    促進剤溶液と導電材粉末とを混合し撹拌して混合物を得る工程と、
    得られた混合物から溶媒を乾燥除去して、硬化促進剤が表面に均一に付着した導電材粉末を形成する工程と、
    得られた導電材粉末と結着樹脂とを混練して、混練物を形成する工程と、
    得られた混練物を固化するとき、混練物内に均一に分散された硬化促進剤により、結着樹脂の硬化を促進する工程とを含むことを特徴とする燃料電池用セパレータの製法。
  2. 固化した混練物を粉砕して粉状原料を作成する工程と、
    粉状原料を加熱して所定の形状に圧縮成形する工程を含む請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製法。
  3. 硬化促進剤は、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールを含むイミダゾール誘導体、フッ化ホウ素モノエチルアミンを含むフッ化ホウ素錯体、ジシアンジアミド、ジシアンジアミジン及びジシアンジメチルアミンを含むジシアン及びその誘導体、アジピン酸ヒドラジド、アセトヒドラジド及びベンズヒドラジドを含む有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリルを含むジアミノマレオニトリル及びその誘導体、ジアリルメラミンを含むメラミン及びその誘導体、ポリ(ピペリジン−セバチン酸)アミドを含むポリアミド、アミンイミド並びにテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン及び1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを含む有機リン誘導体からなる群から選択される1又は2以上を含む請求項1又は2に記載の燃料電池用セパレータの製法。
  4. 溶媒中に硬化促進剤0.01〜10重量部を溶解した促進剤溶液を生成する工程と、
    促進剤溶液と導電材粉末20〜200重量部とを混合し撹拌して混合物を得る工程と、
    得られた混合物から溶媒を乾燥除去して、硬化促進剤が表面に均一に付着した導電材粉末を形成する工程と、
    得られた導電材粉末20〜300重量部と結着樹脂2〜100重量部とを混練して、混練物を形成する工程と、
    得られた混練物を固化するとき、混練物内に均一に分散された硬化促進剤により、結着樹脂の硬化を促進する工程とを含む請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製法。
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