以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
本発明のプロジェクターの一実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態においては、プロジェクター1000として光変調パネルで生成された画像情報を含む色光を投写光学系を介してスクリーン(被投写面)上に投写する投写型のプロジェクターを例に挙げて説明する。
なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、第1光源部10から射出される光の光軸に平行な方向をX方向としており、X方向に直交する2方向をY方向、Z方向としている。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1000の光学系を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1000は、照明装置100と、色分離導光光学系200と、光変調装置としての液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写光学系600と、を備えている。
照明装置100は、光源装置1と、第1レンズアレイ120と、第2レンズアレイ130と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150と、を備えている。照明装置100は、赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を射出する。
光源装置1は、図1に示すように、第1光源部10と、第2光源部20と、励起光合成部30と、アフォーカル光学系40と、レンズインテグレーター50と、ダイクロイックミラー60と、重畳光学系70と、発光素子80と、を備えている。
ここで、レンズインテグレーター50に含まれる第2レンズアレイ52と、重畳光学系70とは、本発明における集光光学系を構成する。
第1光源部10は、第1固体光源アレイ11及び第1コリメーターレンズアレイ14を有する。第2光源部20は、第2固体光源アレイ21及び第2コリメーターレンズアレイ24を有する。
図2は、光源装置1が備える固体光源アレイ(第1固体光源アレイ11、第2固体光源アレイ21)の正面図である。図2(a)は第1固体光源アレイ11を励起光合成部30側から見た図(以下、正面図とする)であり、図2(b)は第2固体光源アレイ21の正面図である。
第1固体光源アレイ11は、図2(a)に示すように、基板12及び励起光として青色光を射出する20個の第1固体光源13を有する。第1固体光源アレイ11においては、20個の第1固体光源13が5行4列のマトリクス状に配置されている。
なお、本発明の光源装置1においては、第1固体光源13の数は20個に限定されず、2個以上であればよい。
基板12は、第1固体光源13を搭載する機能を有する。例えば、基板12は、第1固体光源13に対する電力の供給を仲介する機能や、第1固体光源13で発生する熱を放熱する機能等を有する。
第1固体光源13は、励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm)を射出する半導体レーザーからなる。当該半導体レーザーは、図2(a)に示すように、長方形形状の発光領域を有し、発光領域の短辺方向に沿った光の拡がり角が前記発光領域の長辺方向に沿った光の拡がり角より大きくなるように構成されている。半導体レーザーにおける発光領域の大きさは、例えば、長辺VLが8μm、短辺VSが2μmである。
第1固体光源13は、励起光合成部30の入射面に対するP偏光からなる青色光を射出する。
なお、第1光源部10からの励起光がP偏光からなる励起光として励起光合成部30に入射する構成としては、上記のようにP偏光からなる励起光を射出する固体光源を用いる構成に限らない。例えば、励起光合成部30の入射面に対するS偏光からなる励起光を射出する固体光源とλ/2板とを用いてもよい。
第1コリメーターレンズアレイ14は、複数の第1固体光源13に対応して設けられ、20個の第1コリメーターレンズ15を有する。図示による説明は省略するが、複数の第1コリメーターレンズ15は、5行4列のマトリクス状に配置されている。一の第1コリメーターレンズ15は、複数の第1固体光源13のうち一の第1固体光源13から射出された青色光を略平行化する。第1コリメーターレンズ15は、平凸レンズからなる。
第1コリメーターレンズアレイ14は、複数の第1コリメーターレンズ15における平面が第1固体光源アレイ11側を向くように配置されている。
なお、第1コリメーターレンズアレイ14は、複数の第1コリメーターレンズ15における凸面が第1固体光源アレイ11側を向くように配置されていてもよい。
第2固体光源アレイ21は、図2(b)に示すように、基板22及び励起光として青色光を射出する25個の第2固体光源23を有する。第2固体光源アレイ21においては、25個の第2固体光源23が5行5列のマトリクス状に配置されている。
なお、本発明の光源装置1においては、第2固体光源23の数は25個に限定されず、2個以上であればよい。
基板22は、第2固体光源23を搭載する機能を有する。例えば、基板22は、第2固体光源23に対する電力の供給を仲介する機能や、第2固体光源23で発生する熱を放熱する機能等を有する。
第2固体光源23は、励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm)を射出する半導体レーザーからなる。当該半導体レーザーは、図2(b)に示すように、長方形形状の発光領域を有し、発光領域の短辺方向に沿った光の拡がり角が前記発光領域の長辺方向に沿った光の拡がり角より大きくなるように構成されている。半導体レーザーにおける発光領域の大きさは、例えば、長辺VLが8μm、短辺VSが2μmである。
第2固体光源23は、励起光合成部30の入射面に対するS偏光からなる青色光を射出する。
なお、第2光源部20からの励起光がS偏光からなる励起光として励起光合成部30に入射する構成としては、上記のようにS偏光からなる励起光を射出する固体光源を用いる構成に限らない。例えば、励起光合成部30の入射面に対するP偏光からなる励起光を射出する固体光源とλ/2板とを用いてもよい。
第2コリメーターレンズアレイ24は、複数の第2固体光源23に対応して設けられ、複数の第2固体光源23から射出された青色光をそれぞれ略平行化する25個の第2コリメーターレンズ25を有する。図示による説明は省略するが、複数の第2コリメーターレンズ25は、5行5列のマトリクス状に配置されている。一の第2コリメーターレンズ25は、複数の第2固体光源23のうち一の第2固体光源23から射出された青色光を略平行化する。第2コリメーターレンズ25は、平凸レンズからなる。
第2コリメーターレンズアレイ24は、複数の第2コリメーターレンズ25における平面が第2固体光源アレイ21側を向くように配置されている。
なお、第2コリメーターレンズアレイ24は、複数の第2コリメーターレンズ25における凸面が第2固体光源アレイ21側を向くように配置されていてもよい。
本実施形態に係る光源装置1においては、図2(a)及び図2(b)に示すように、複数の第1固体光源13のうち一の第1固体光源13の発光領域を励起光合成部30に投影したときの形状の長辺方向と短辺方向それぞれが、複数の第2固体光源23のうち一の第2固体光源23の発光領域を励起光合成部30に投影したときの形状の長辺方向と短辺方向と互いに逆になる関係を有する。より詳しくは、第1固体光源13の発光領域を励起光合成部30に投影したとき、発光領域の長辺方向はZ軸方向であり、発光領域の短辺方向はY軸方向である。一方、第2固体光源23の発光領域を励起光合成部30に投影したとき、発光領域の長辺方向はY軸方向であり、発光領域の短辺方向はZ軸方向である。このように、第1固体光源13の発光領域を励起光合成部30に投影したときの形状及び第2固体光源23の発光領域を励起光合成部30に投影したときの形状のそれぞれが、長辺方向と短辺方向とが互いに逆になる関係を有する。また、基板12は正面視において長方形形状であり、基板22は正面視において正方形形状である。基板12の大きさは基板22の大きさよりも小さい。
第1光源部10及び第2光源部20は、図1、図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、後述する励起光合成部30によって合成された青色光の光軸に垂直な平面において第1光源部10からの青色光(第1の励起光)と第2光源部20からの青色光(第2の励起光)とが互いにずれるように、配置されている。
このように本実施形態に係る第1固体光源アレイ11においては、複数の第1固体光源13は、各々の発光領域の長辺方向と短辺方向とに並んでマトリクス状に配置されている。第1固体光源アレイ11における前記長辺方向を第1の方向とする。また、第2固体光源アレイ21においては、複数の第2固体光源23は、各々の発光領域の長辺方向と短辺方向とに並んでマトリクス状に配置されている。第2固体光源アレイ21における前記長辺方向を第2の方向とする。
第1コリメーターレンズアレイ14においては、複数の第1コリメーターレンズ15が、複数の第1固体光源13の配置に対応して、第1の方向と、第1の方向と交差する方向と、に並んでマトリクス状に配置されている。第1の方向における複数の第1コリメーターレンズ15のピッチPSは、第1の方向と交差する方向における複数の第1コリメーターレンズ15のピッチPLよりも短い。
同様に、第2コリメーターレンズアレイ24においては、複数の第2コリメーターレンズ25が、複数の第2固体光源23の配置に対応して、第2の方向と、第2の方向と交差する方向と、に並んでマトリクス状に配置されている。第2の方向における複数の第2コリメーターレンズ25のピッチPSは、第2の方向と交差する方向における複数の第2コリメーターレンズ25のピッチPLよりも短い。
以下、レンズピッチが相対的に長い長ピッチの方向を長ピッチ方向とし、レンズピッチが相対的に短い短ピッチの方向を短ピッチ方向とする。
励起光合成部30は、第1光源部10からの複数の青色光(第1励起光)を通過させるとともに第2光源部20からの複数の青色光(第2励起光)を反射することにより、第1光源部10からの複数の青色光と第2光源部20からの複数の青色光とを合成する。励起光合成部30は、第1光源部10からの複数の青色光と第2光源部20からの複数の青色光とを合成し、合成励起光として射出する。励起光合成部30は、P偏光からなる光を通過しS偏光からなる光を反射する偏光分離膜を有する。励起光合成部30は、アフォーカル光学系40の光軸10axと励起光合成面との角度が所定の角度(例えば45度程度)をなすように配置されている。
図3は、励起光合成部30における第1の励起光及び第2の励起光の入射領域を示す図である。図3において、実線で囲まれた部分は第1の励起光の入射領域、破線で囲まれた部分は第2の励起光の入射領域である。
図3に示すように、本実施形態においては、第1光源部10から射出された第1の励起光及び第2光源部20から射出された第2の励起光のそれぞれが、励起光合成部30において互いに異なる領域に入射するように構成されている。第1の励起光の入射領域は5行4列のマトリクス状に分布し、第2の励起光の入射領域は5行5列のマトリクス状に分布する。その結果、5行9列のマトリクス状の強度分布が得られる。
図4は、アフォーカル光学系40の側面図である。
図4に示すように、アフォーカル光学系40は、集光レンズ41と、平行化レンズ42とを有し、これらが光路上にこの順に配列している。励起光合成部30から射出された合成励起光は、集光レンズ41で集光される。その後、集光レンズ41で集光された合成励起光は、平行化レンズ42で平行化される。このようなアフォーカル光学系40を透過することにより、合成励起光は、光線束全体の幅が狭められる。
ここで、平行化レンズ42は、入射面42aが非球面状の凹面であり、射出面42bが平面である片凹レンズである。入射面42aの形状をさらに具体的に説明すると、平行化レンズ42の入射面42aの非球面形状は、下記式(2)の関係をほぼ満足する形状となっている。すなわち、入射面42aでは、入射面42aの非球面形状を回転二次曲面形状とすることにより、平行度の高い光を射出することが可能となっている。
ここで、r,Zは、図4に示すように、平行化レンズ42の入射面42aと合成励起光の光線束の中心軸10axとの交点を原点L0とし、中心軸10axに軸対象なrθZ円柱座標系における座標値である。なお、図4において、Z方向は、励起光の射出方向を正としている。rは、原点L0からの中心軸10axに直交する方向への距離を示している。θは、所定のr方向からの角度を示しているが、式(2)から分かるように、非球面の形状は角度θに依存しない。
また、式(2)中、近軸曲率cは、集光レンズ41で集光された合成励起光の光線を、球面状の平凹レンズを用いて平行光に変換すると仮定した場合の、当該球面の曲率を示している。すなわち、近軸領域(回転軸付近の領域)では、この曲率cを有する平凹レンズを用いることにより、集光レンズ41で集光された合成励起光の光線を平行光に変換することができることになる。
Kは、円錐定数と呼ばれる値である。この円錐定数Kの値によって、回転二次曲面形状は特定の形状に限定される。すなわち、円錐定数Kの値が−1<K<0である場合には、非球面は回転楕円面となる。また、円錐定数Kの値がK=−1である場合には、非球面は回転放物面となる。さらに、円錐定数Kの値が、K<−1である場合には、非球面は回転双曲面となる。
また、左辺第3項は、一般非球面項と呼ばれる距離rに依存する関数であるが、十分に小さな値であるため、本実施形態では無視することとしている。
本実施形態における平行化レンズ42の非球面の回転二次曲面形状は、式(2)の左辺第3項を無視した下記式(3)に基づき、次のような方法によって決定される。
まず、集光レンズ41の形状と、平行化レンズ42の入射面42aの曲率と、平行化レンズ42の屈折率nと、平行化レンズ42の中心部の厚みと、平行化レンズ42の設置位置とを考慮して、近軸曲率cの値を求める。
具体的には、まず、集光レンズ41の形状、および平行化レンズ42の入射面42aの曲率、屈折率n、中心部の厚み、設置位置を予め決めておく。また、平行化レンズ42の代わりとして、入射面の曲率、屈折率、中心部の厚みが同じで且つ射出面が球面状の凹レンズを想定する。そして、予め決定された形状と同形状の集光レンズに対し、平行化レンズ42の設置位置に上記凹レンズを配置した場合に、球面収差がなければ平行光に変換できる当該凹レンズの入射面の曲率を求める。このようにして求めた曲率の値が近軸曲率cとなる。
次に、円錐定数Kを求める。ここで、平行化レンズ42では、入射面42aが式(3)に基づいて設定された非球面である。このため、平行化レンズ42に入射する励起光は、入射面42aでの屈折により進行方向がほぼ平行な方向に変えられ、射出面42bではほとんど屈折作用を受けない。この結果、平行化レンズ42の屈折率nと円錐定数Kとの関係が一定となる。なお、平行化レンズ42の反射面形状の非球面の円錐定数Kは、ほぼK=−n2で決定されている。
したがって、本実施形態においては、円錐定数Kは、K=−n2で求めることができる。このような平行化レンズ42の非球面の円錐定数Kは、−2.1<K<−3.8の範囲である。したがって、入射面42aを非球面形状とする場合には、入射面42aを回転双曲面形状とするとよい。
このようにして設計された平行化レンズ42を用いると、アフォーカル光学系40を透過した励起光を平行度が高い光とすることができる。
アフォーカル光学系40を透過した合成励起光は、レンズインテグレーター50に入射する。レンズインテグレーター50は、第1レンズアレイ51と第2レンズアレイ52とを有し、これらが光路上にこの順に配列している。第1レンズアレイ51、第2レンズアレイ52は、アフォーカル光学系40から射出された光の輝度分布を均一化するものである。
レンズインテグレーター50を透過した励起光は、ダイクロイックミラー60に入射する。ダイクロイックミラー60は、例えばガラス表面に誘電体多層膜を積層して構成されている。
ダイクロイックミラー60は、励起光の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる波長選択性を有している。具体的には、ダイクロイックミラー60は青色光を反射させ、青色光よりも長波長の光(例えば、480nmよりも長波長の光)を透過させる。
ダイクロイックミラー60で反射された励起光は、重畳光学系70に入射して、発光素子80上に結像する。
図5は、レンズインテグレーター50に入射した励起光(青色光)が発光素子80に照射されるまでの励起光の挙動を示す説明図である。
図5に示すように、第1レンズアレイ51は、複数の第1小レンズ51aを含んでおり、第2レンズアレイ52は複数の第2小レンズ52aを含んでいる。また、第1小レンズ51aおよび第2小レンズ52aの平面視形状は、発光素子80の光照射面80aの平面視形状と略相似形となっている。
なお、図5においては、便宜上、発光素子80のうち励起光の照射領域80aに対応する部分のみを示している。蛍光体層82における励起光の照射領域80aは、例えば、平面視で1mm×1mmの略正方形状である。
第1レンズアレイ51および第2レンズアレイ52において、第1小レンズ51aと第2小レンズ52aとは1対1で対応している。アフォーカル光学系40から射出された光は、複数の第1小レンズ51aに空間的に分かれて入射し、第1小レンズ51aは、入射した光を対応する第2小レンズ52aに結像させる。これにより、複数の第2小レンズ52aの各々に、二次光源像が形成される。
また、複数の第2小レンズ52aの各々から射出される光は、ダイクロイックミラー60を介して重畳光学系70で集光され、発光素子80上に結像する。言い換えると、第2レンズアレイ52と重畳光学系70とを含んで構成される集光光学系は、入射した光を対応する発光素子80の光照射面80aに結像させる。
重畳光学系70は、第1レンズ71及び第2レンズ72を含んで構成されている。第1レンズ71及び第2レンズ72は、両凸レンズからなる。なお、第1レンズ71及び第2レンズ72の形状は、上記形状に限定されるものではない。要するに、第1レンズ71と第2レンズ72とからなる重畳光学系が、ダイクロイックミラー60で反射された励起光を所定の集光位置に集光することができればよい。また、重畳光学系70を構成するレンズの枚数は、1枚であってもよく、3枚以上であってもよい。
このような構成において、第2レンズアレイ52と重畳光学系70とを含んで構成される光学系は、第1レンズアレイ51のレンズ面と、発光素子80の光照射面80aとが共役関係にあるように構成されているとよい。すなわち、第2レンズアレイ52と重畳光学系70とを含んで構成される光学系の物体面が第1レンズアレイ51のレンズ面と一致し、像面が光照射面80aと一致するように構成されているとよい。これにより、光照射面80aには、強度分布が平均化された励起光が照射されることとなる。
ここで、「第1レンズアレイ51のレンズ面」とは、第1レンズアレイ51が有する複数の第1小レンズ51a間の谷をつないだ仮想的な面のことである。
図1に戻り、発光素子80は励起光が入射する側と同じ側へ蛍光を発する、いわゆる反射型の回転蛍光板である。発光素子80は、モーター83により回転駆動される回転板81の上に、回転板81の回転軸の回りに蛍光体層82が形成されてなる。蛍光体層82は蛍光体粒子82a(図5参照)とバインダーを含む。
この発光素子80には、第1レンズ71及び第2レンズ72によって集光された励起光(青色光)が、蛍光体層82の表面から入射する。また、発光素子80は、励起光が入射する側と同じ側に向けて、蛍光体層82が発した蛍光を射出する。蛍光は赤色光及び緑色光を含む。
回転板81は、使用時において7500rpmで回転する。回転板81の直径は50mmであり、蛍光体層82に入射する青色光の集光スポットが回転板81の回転中心から約22.5mm離れた場所に位置するように構成されている。つまり、回転板81は、青色光の集光スポットが約18m/秒の速度で回転軸の回りに円を描くように移動する。
回転板81は、蛍光体層82が発する蛍光を反射する材料よりなる。回転板81の材料としては、例えば、Al等の熱伝導率の高い金属材料等を用いることができる。
蛍光体層82は、蛍光を発する蛍光体粒子82aを有しており、励起光(青色光)を吸収し、概ね490〜750nm(発光強度のピーク:570nm)の蛍光に変換する機能を有する。この蛍光には、緑色光(波長530nm付近)及び赤色光(波長630nm付近)が含まれる。
蛍光体粒子82aは、図1に示す第1光源部10及び第2光源部20から射出される励起光を吸収し、蛍光を発する粒子状の蛍光物質である。例えば、蛍光体粒子82aには、波長が約460nmの青色光によって励起されて蛍光を発する物質が含まれており、励起光の一部を、赤色の波長帯域から緑色の波長帯域まで含む光に変換して射出する。
蛍光体粒子82aとしては、通常知られたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いることとしても良い。
図6は、発光素子80の光照射面80aを照射する励起光の光強度分布を示す図である。図6において、横軸は照射位置、縦軸は励起光の強度(放射照度)を示している。
図3に示したように、第1レンズアレイ51に入射する前の空間位置では、励起光の光強度分布は、第1光源部10及び第2光源部20における複数の固体光源の配列状態に対応して、離散的に明るい部分と暗い部分とが存在する。これに対して、重畳光学系70を通過した後、光照射面80aに入射する前の空間位置では、励起光は、1mm×1mmの略正方形状に成形される。これにより、励起光は、光照射面80aの全ての領域内で光強度が略等しくなり、図6に示すように、いわゆるトップハット形状の光強度分布に近づいた連続的な光強度分布となる。図6において励起光の光強度分布の概ね均一となる領域SAが、光照射面80aに対応した大きさとなる。
発光素子80には、上述のようにレンズインテグレーター50を透過する前と比べて光強度分布が均一に近づいた励起光が照射される。また、照射される励起光は、発光素子80の光照射面80aの平面視形状と略同一形状に成形されている。そのため、光照射面80a内で蛍光の光飽和が生じないように、光照射面80aの全面にわたって光強度分布が略均一な励起光を発光素子80に照射することが容易となる。したがって、発光素子80は、光照射面80aの全面から良好に蛍光RGを発する二次光源として使用することができる。
発光素子80から射出される蛍光RGに対しては、重畳光学系70はピックアップ光学系として機能する。そのため蛍光RGは、重畳光学系70で平行化された後に、ダイクロイックミラー60に入射する。その後、蛍光RGは、ダイクロイックミラー60を透過してレンズアレイ120に向けて射出される。
なお、ダイクロイックミラー60には、重畳光学系70からの光が入射する入射面と反対側の表面に、図示しない他の光源装置から射出された青色光が入射し、重畳光学系70からの光の光線軸と平行な方向に(レンズアレイ120に向けて)反射される。
すなわち、ダイクロイックミラー640から射出される光は、発光素子80から射出される赤色光及び緑色光が混色した蛍光RGと、他の光源装置から射出される青色光Bと、が混色された白色光Lとなる。
第1レンズアレイ120は、図1に示すように、光源装置10からの光を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122を有する。第1レンズアレイ120は、光源装置1からの光を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、複数の第1小レンズ122が照明光軸100axと直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶光変調装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に関して略相似形である。
第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を有する。第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150とともに、第1レンズアレイ120の各第1小レンズ122の像を液晶光変調装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に結像させる機能を有する。第2レンズアレイ130は、複数の第2小レンズ132が照明光軸100axに直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。
偏光変換素子140は、レンズアレイ120,130から射出された光Lの偏光状態を揃えるものである。図7に示すように、偏光変換素子140は、複数の偏光変換セル141を含んでいる。偏光変換セル141は、第2小レンズ132と1対1で対応している。第2小レンズ132に形成された二次光源像からの光Lは、この第2小レンズ132に対応する偏光変換セル141の入射領域142に入射する。
偏光変換セル141の各々には、入射領域142に対応させて、偏光ビームスプリッタ膜143(以下、PBS膜143と称する)及び位相差板145が設けられている。入射領域142に入射した光Lは、PBS膜143によりPBS膜143に対するP偏光L1とS偏光L2とに分離される。P偏光L1、S偏光L2の一方の偏光(ここではS偏光L2)は、反射部材144で反射した後、位相差板145に入射する。位相差板145に入射したS偏光L2は、位相差板145により偏光状態が他方の偏光(ここではP偏光L1)の偏光状態に変換されてP偏光L3になり、P偏光L1とともに射出される。
重畳レンズ150は、偏光変換素子140から射出された光を被照明領域にて重畳させるものである。光源装置100から射出された光は、空間的に分割された後、重畳されることにより輝度分布が均一化されて光線軸100ax周りの軸対称性が高められる。
重畳レンズ150は、当該部分光束を集光して液晶光変調装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。重畳レンズ150の光軸と照明装置100の光軸とが略一致するように、重畳レンズ150が配置されている。
なお、重畳レンズ150は、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
このような構成により、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130及び重畳レンズ150は、レンズインテグレーター光学系として、光源装置1からの光をより均一にする。
なお、レンズインテグレーター光学系の代わりにインテグレーターロッドを備えるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220、反射ミラー230,240,250及びリレーレンズ260,270を備える。色分離導光光学系200は、照明装置100からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光変調装置400R,400G,400Bに導光する機能を有する。
色分離導光光学系200と、液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、集光レンズ300R,300G,300Bが配置されている。
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を通過させる波長選択透過膜が形成されたミラーである。ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射して、緑色光及び青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。反射ミラー230は、赤色光成分を反射する反射ミラーである。反射ミラー240,250は青色光成分を反射する反射ミラーである。
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光は、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Rを通過して赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210を通過した緑色光は、ダイクロイックミラー220で反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー220を通過した青色光は、リレーレンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、集光レンズ300Bを経て青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。リレーレンズ260,270及び反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶光変調装置400Bまで導く機能を有する。
なお、青色光の光路にこのようなリレーレンズ260,270が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態1に係るプロジェクター1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、リレーレンズ260,270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
液晶光変調装置400R,400G,400Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明装置100の照明対象となる。
なお、図示を省略したが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置される。また、各液晶光変調装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置される。これら入射側偏光板、液晶光変調装置400R,400G,400B及び射出側偏光板によって、入射された各色光の光変調が行われる。
液晶光変調装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入した透過型の液晶光変調装置であり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
本実施形態の光源装置1によれば、複数の固体光源を含む2つの光源部(第1光源部10及び第2光源部20)から射出された励起光を用いて蛍光を発する。このため、光源装置1の輝度をより一層高くすることができる。
また、2つの光源部からの励起光を、励起光合成部30を用いて合成した後、発光素子80に集光させている。このため、2つの光源部からの励起光を本発明に係る励起光合成部30を用いることなく合成する場合と比較して、発光素子80に対してより一層小さな入射角で、発光素子のより小さな領域に励起光を入射させることが可能となる。つまり、エテンデューの増大を小さくすることができる。この意味においても、2つの光源部を用いることに起因して生じる蛍光光の利用効率の低下を小さくすることができる。
また、2つの光源部からの励起光が、第1レンズアレイ51と集光光学系(第2レンズアレイ52と重畳光学系70とを含んで構成される集光光学系)を介することで発光素子80上にて重畳し、光強度分布が平均化される。そのため、発光素子80全体に一様な光強度で励起光を照射することが可能となる。これにより、励起光を照射した領域内で光飽和を生じないように光量を制御することが容易となる。
したがって、励起光の利用効率を低下させることなく光源装置1の輝度をより一層高くすることができる。
また、この構成によれば、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが、励起光合成部30において互いに異なる領域に入射するように構成されている。このため、励起光合成部30の特定領域に過大な熱的負荷がかかることがない。そのため、2つの光源部を用いることに起因して励起光合成部30の寿命が短くなる、ということもない。
また、この構成によれば、励起光合成部30は、P偏光からなる光を透過しかつS偏光からなる光を反射する偏光分離膜を有する。また、第1光源部10から射出される複数の第1の励起光が励起光合成部30にP偏光からなる励起光として入射し、第2光源部20から射出される複数の第2の励起光が励起光合成部30にS偏光からなる励起光として入射するように構成されている。このため、偏光分離膜の原理を利用して、第1の励起光と第2の励起光とを高い効率で合成することが可能となる。
また、この構成によれば、第1固体光源13及び第2固体光源23の双方の固体光源は、半導体レーザーからなる。半導体レーザーは、小型で高出力であるため、上記のような構成とすることにより、小型で光出力な光源装置1となる。
また、この構成によれば、半導体レーザーは、平面視において長方形形状の発光領域を有する。また、発光領域の短辺方向に沿った拡がり角が発光領域の長辺方向に沿った拡がり角より大きくなるよう構成される。さらに、前述したように、第1固体光源13の発光領域及び第2固体光源23の発光領域のそれぞれが、長辺方向と短辺方向とが互いに逆になる関係を有する。このため、半導体レーザーの特性を利用して、第1の励起光が偏光分離膜32に入射する領域と第2の励起光が偏光分離膜32に入射する領域との間に隙間が生じにくくなる。よって、合成励起光にムラが生じることを抑制することができる。
なお、励起光合成部30がP偏光からなる光を透過しかつS偏光からなる光を反射する偏光分離膜32を有する場合においては、別途位相差板を設ける必要がなくなる。
さらに、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが、励起光合成部30において互いに一部重なる領域に入射するように構成されている場合においては、偏光分離膜32における第1の励起光及び第2の励起光の入射領域を狭くすることができる。よって、装置の小型化を図ることができる。
また、この構成によれば、第1の光源部10は第1固体光源アレイ11と第1コリメーターレンズアレイ14とを有し、第2の光源部20は第2固体光源アレイ21と第2コリメーターレンズアレイ24とを有する。これにより、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが平行化した状態で励起光合成部30に入射する。このため、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが平行化していない状態で励起光合成部30に入射する場合に比べて、外部に励起光が漏れることを抑制することができる。よって、第1の励起光と第2の励起光とを高い効率で合成することが可能となる。
また、この構成によれば、第1固体光源アレイ11及び第2固体光源アレイ21において複数の第1固体光源13及び複数の第2固体光源23がそれぞれマトリクス状に配置される。また、第1コリメーターレンズアレイ14及び第2コリメーターレンズアレイ24において複数の第1コリメーターレンズ15及び複数の第2コリメーターレンズ25がそれぞれマトリクス状に配置される。さらに、第1コリメーターレンズ15と第1固体光源13の発光領域とは、レンズピッチの長ピッチ方向と発光領域の短辺方向とが対応する関係を有し、かつ、レンズピッチの短ピッチ方向と前記発光領域の長辺方向とが対応する関係を有する。また、第2コリメーターレンズ25と第2固体光源23の発光領域とは、レンズピッチの長ピッチ方向と発光領域の短辺方向とが対応する関係を有し、かつ、レンズピッチの短ピッチ方向と前記発光領域の長辺方向とが対応する関係を有する。これにより、第1固体光源アレイ11及び第2固体光源アレイ21の双方の固体光源アレイにおいて複数の固体光源が整然と配置される。このため、第1固体光源アレイ11及び第2固体光源アレイ21の小型化を図ることができる。また、第1コリメーターレンズアレイ14及び第2コリメーターレンズアレイ24の双方のコリメーターレンズアレイにおいて複数のコリメーターレンズが半導体レーザーの光放射特性に対応した状態で整然と配置される。このため、各コリメーターレンズアレイ14,24の小型化も図ることができる。よって、光源装置1の小型化を図ることができる。
また、この構成によれば、集光光学系が第2レンズアレイ52と重畳光学系70とにより構成され、第1レンズアレイ51のレンズ面と、発光素子80の光照射面80aとが、集光光学系を介して共役関係にある。これにより、複数の部分光線束が発光素子80の光照射面80a上で良好に重畳する。そのため、光強度分布を平均化しやすく、発光素子80の光飽和を生じないように光量を制御することが容易となる。
また、この構成によれば、第1レンズアレイ51を構成する複数の小レンズ51aの平面視形状が光照射面80aの平面視形状と相似形である。また、光照射面80aを照射する励起光の光強度分布が光照射面80aと同じ空間位置において光強度が略均一化された連続的な光強度分布になっている。このため、励起光を発光素子80に無駄なく照射することができるため、投入する励起光量に対する取り出す蛍光量を最大化することができる。
また、この構成によれば、平行化レンズ42が入射面42aに回転二次曲面形状の凹面を有する。これにより、第1レンズアレイ51に入射する励起光の平行度を向上させることができる。このため、第1レンズアレイ51および集光光学系を用いた励起光の平均化を設計通りに制御しやすく、発光効率の低下を容易に抑制することができる。
また、この構成によれば、平行化レンズ42は入射面42aが凹面であり射出面42bが平面である。これにより、平行化レンズ42を透過する励起光の平行度をより向上させることができる。このため、第1レンズアレイ51および集光光学系を用いた励起光の平均化を行い易く、光飽和を抑制して発光素子を発光させることが容易となる。
また、この構成によれば、凹面が上記式(3)によって決定される。このため、凹面の形状を容易に決定することができる。また、上記式(3)に基づいて決定された非球面を有するレンズを用いれば、球面収差を小さくすることができるため、光源装置1から射出される光の平行度をより一層向上させることができる。
本実施形態のプロジェクター1000によれば、上述の光源装置1を有するため、光の利用効率を低下させることなく表示画面の輝度をより一層高くすることができるプロジェクター1000を提供することができる。
なお、本実施形態においては、平行化レンズ42は、入射面42aが非球面形状を有することとしたが、射出面側が非球面形状であるレンズを用いることとしても構わない。
図8は、本実施形態に係るアフォーカル光学系の変形例を示す図である。
図8に示すように、本変形例に係るアフォーカル光学系40Aは、集光レンズ43と、平行化レンズ44とを有し、これらが光路上にこの順に配列している。
本変形例に係る平行化レンズ44は、射出面44bが、上記式(3)の関係を満足する回転二次曲面形状とされており、入射面44aが球面状の凸面である。このような平行化レンズ44の非球面の回転二次曲面形状は、上記式(3)に基づき、次のような方法によって決定される。
具体的には、まず、集光レンズ43の形状、および平行化レンズ44の入射面44aの曲率、屈折率n、中心部の厚み、設置位置を予め決めておく。また、平行化レンズ44の代わりとして、入射面の曲率、屈折率、中心部の厚みが同じで且つ射出面が球面状の凹レンズを想定する。そして、予め決定された形状と同形状の集光レンズに対し、平行化レンズ44の設置位置に上記凹レンズを配置した場合に、近軸領域(回転軸付近の領域)で透過光を平行光に変換できるような、当該凹レンズの射出面の曲率を求める。
このようにして求めた曲率の値が、射出面44bの形状を規定する上記式(3)における近軸曲率cとなる。ここで、平行化レンズ44の入射面44aを平面とする場合には、入射面44aの曲率を0とする。
次に、円錐定数Kを求める。本実施形態の光源装置1において、円錐定数Kは、その値を変更しながら、繰り返し式(3)を用いてシミュレーションを行うことにより、平行光が射出される条件に設定される。このシミュレーションでは、光源装置1から射出される光線束を収差のない理想レンズで集光したときに、集光点での光スポット径が最も小さくなる場合を、ほぼ平行な光が射出される条件とすることが考えられる。
本変形例においても、平行化レンズ44を透過する励起光の平行度をより向上させることができる。このため、第1レンズアレイ51および集光光学系を用いた励起光の平均化を行い易く、光飽和を抑制して発光素子80を発光させることが容易となる。
また、本実施形態の光源装置1では、蛍光体層82が形成された基板として回転板81を用いたが、これに限らない。例えば、蛍光体層が形成された基板として励起光が入射する方向に対して交差する方向に振動可能な基板を用いてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、発光素子80として回転型(移動型)の発光素子を用いたが、これに限らない。例えば、固定型の発光素子を用いてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、励起光として青色光を射出する各固体光源13,23と、青色光から赤色光及び緑色光を含む蛍光を発する蛍光体層82を用いたが、これに限らない。例えば、励起光として紫色光又は紫外光を射出する各固体光源と、紫色光又は紫外光から赤色光、緑色光及び青色光を含む色光を発する蛍光体層とを用いてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、全体として白色光を射出するように構成されているが、これに限らず、白色光以外の光を射出するように構成されていてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、アフォーカル光学系40の光軸10axと励起光合成面とのなす角度が45度という設定で、励起光合成部30上において第1光源部10から射出された第1の励起光が第2光源部20から射出された第2の励起光と互いに重ならないように、複数の第1固体光源13と複数の第2固体光源23とを配置していた。具体的には、図3からわかるように、複数の第1固体光源13を複数の第2固体光源23に対して相対的にZ軸方向にずらして配置していた。しかし、アフォーカル光学系40の光軸10axと励起光合成面とのなす角度が45度の場合に、励起光合成部30上において第1の励起光が第2の励起光と互いに重なるように複数の第1固体光源13と複数の第2固体光源23とを配置されている場合であっても、アフォーカル光学系40の光軸10axと励起光合成面との角度を45°角度からずらすことによって、励起光合成部30上において第1の励起光が第2の励起光と互いに重ならないようにすることができる。
また、本実施形態の光源装置1では、半導体レーザーからなる各固体光源を用いたが、これに限らない。例えば、発光ダイオードからなる各固体光源を用いてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、発光強度のピークが約460nmの青色光を射出する半導体レーザーからなる各固体光源を用いたが、これに限らない。例えば、発光強度のピークが440nm〜450nmの青色光を射出する半導体レーザーからなる各固体光源を用いてもよい。このような構成とすることにより、蛍光体層において、青色光から蛍光を発する効率を向上させることが可能となる。
また、本実施形態の光源装置1では、蛍光体層82における励起光の照射領域80aは、一辺が1mmの正方形である例を挙げたが、これに限らない。一辺が1mmの正方形に包含されるサイズの照射領域であればよいので、照射領域として、さらに小さな(例えば、一辺が0.8mmの正方形や、一辺が0.6mmの正方形)照射領域であってもよい。このような構成とすることにより、蛍光を発する照射領域の面積をより十分に小さいものとすることができる。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、光変調装置として液晶光変調装置を用いたが、これに限定らない。光変調装置としては、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を用いてもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、液晶光変調装置として3つの液晶光変調装置を用いたが、これに限らない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、透過型のプロジェクターを用いたが、これに限らない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過するタイプであることを意味している。「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る光源装置2を示す模式図である。
図9に示すように、本実施形態に係る光源装置2は、第1光源部10に替えて第1光源部10Aを備えている点、励起光合成部30に替えて励起光合成部30Aを備えている点、で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図9においては、アフォーカル光学系40、レンズインテグレーター50、ダイクロイックミラー60、重畳光学系70及び発光素子80の図示を省略している。
図9に示すように、第1光源部10Aは、第1固体光源アレイ11A及び第1コリメーターレンズアレイ14Aを有する。第2光源部20は、第2固体光源アレイ21及び第2コリメーターレンズアレイ24を有する。
図10は、光源装置2が備える固体光源アレイ(第1固体光源アレイ11A、第2固体光源アレイ21)の正面図である。図10(a)は第1固体光源アレイ11Aの正面図であり、図10(b)は第2固体光源アレイ21の正面図である。
第1固体光源アレイ11Aは、図10(a)に示すように、基板12A及び励起光として青色光を射出する25個の第1固体光源13Aを有する。第1固体光源アレイ11Aにおいては、25個の第1固体光源13Aが5行5列のマトリクス状に配置されている。
なお、本発明の光源装置2においては、第1固体光源13Aの数は25個に限定されず、2個以上であればよい。
基板12Aは、第1固体光源13Aを搭載する機能を有する。例えば、基板12Aは、第1固体光源13Aに対する電力の供給を仲介する機能や、第1固体光源13Aで発生する熱を放熱する機能等を有する。
第1固体光源13Aは、励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm)を射出する半導体レーザーからなる。当該半導体レーザーは、図10(a)に示すように、長方形形状の発光領域を有し、発光領域の短辺方向に沿った拡がり角が前記発光領域の長辺方向に沿った拡がり角より大きくなるように構成されている。半導体レーザーにおける発光領域の大きさは、例えば、長辺が8μm、短辺が2μmである。
第1固体光源13Aは、励起光合成部30Aの入射面に対するP偏光からなる青色光を射出する。なお、第1光源部10Aからの励起光がP偏光からなる励起光として励起光合成部30Aに入射するようになるためには、上記のようにP偏光からなる励起光を射出する固体光源を用いる他にも、励起光合成部30Aの入射面に対するS偏光からなる励起光を射出する固体光源とλ/2板とを用いてもよい。
第1コリメーターレンズアレイ14Aは、複数の第1固体光源13Aに対応して設けられ、25個の第1コリメーターレンズ15Aを有する。図示による説明は省略するが、複数の第1コリメーターレンズ15Aは、5行5列のマトリクス状に配置されている。一の第1コリメーターレンズ15Aは、複数の第1固体光源13Aのうち一の第1固体光源13Aから射出された青色光を略平行化する。第1コリメーターレンズ15Aは、平凸レンズからなる。
第1コリメーターレンズアレイ14Aは、複数の第1コリメーターレンズ15Aにおける平面が第1固体光源アレイ11A側を向くように配置されている。なお、第1コリメーターレンズアレイ14Aは、複数の第1コリメーターレンズ15Aにおける凸面が第1固体光源アレイ11A側を向くように配置されていてもよい。
第2固体光源アレイ21及び第2コリメーターレンズアレイ24は、図9及び図10(b)に示すように、第1実施形態に係る第2固体光源アレイ21及び第2コリメーターレンズアレイ24と同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る光源装置2においても、図10(a)及び図10(b)に示すように、第1固体光源13Aの発光領域及び第2固体光源23の発光領域のそれぞれが、長辺方向と短辺方向とが互いに逆になる関係を有する。より詳しくは、第1固体光源13Aの発光領域を励起光合成部30Aに投影したとき、発光領域の長辺方向はZ軸方向であり、発光領域の短辺方向はY軸方向である。一方、第2固体光源23の発光領域を励起光合成部30Aに投影したとき、発光領域の長辺方向はY軸方向であり、発光領域の短辺方向はZ軸方向である。このように、第1固体光源13Aの発光領域を励起光合成部30Aに投影したときの形状及び第2固体光源23の発光領域を励起光合成部30Aに投影したときの形状のそれぞれが、長辺方向と短辺方向とが互いに逆になる関係を有する。
その一方、第1光源部10A及び第2光源部20は、図9、図10(a)、図10(b)及び図11に示すように、後述する励起光合成部30Aによって合成された青色光の光軸に垂直な平面において第1光源部10Aからの青色光(第1の励起光)と第2光源部20からの青色光(第2の励起光)とが互いに一部重なるように配置されている。
本実施形態に係る励起光合成部30Aは、複数の構造体31を有する。複数の構造体31のうち一の構造体31は、第1透明部材33と第2透明部材34との間に挟まれた偏光分離膜32を備える。第1透明部材33、第2透明部材34の形成材料は、例えばガラスを用いる。励起光合成部30Aは,XZ平面視において矩形状の複数の構造体31が偏光分離膜32に沿って並んで組み合わされた、いわゆるキューブ型の偏光ビームコンバイナーである。
励起光合成部30Aは、偏光分離膜32において第1光源部10Aから射出される第1の励起光が入射する側に第1透明部材33が設けられ、偏光分離膜32において第2光源部20から射出される第2の励起光が入射する側に第2透明部材34が設けられている。第1透明部材33及び第2透明部材34は、XZ平面視において三角形状(ここでは直角二等辺三角形状)であり、偏光分離膜32を中心に線対称の形状である。第1透明部材33及び第2透明部材34は、XZ平面視において直角二等辺三角形の底辺が偏光分離膜32を挟んで対向するように配置されている。
このように、本実施形態に係る励起光合成部30Aは、第1透明部材33と偏光分離膜32との第1の界面SF1と、第2透明部材34と偏光分離膜32との第2の界面SF2とが、偏光分離膜32を挟んで互いに対向して重なり合うように配置されている。
図11は、励起光合成部30Aにおける第1の励起光の入射領域及び第2の励起光の入射領域を示す図である。図11において、実線で囲まれた部分は第1の励起光の入射領域、破線で囲まれた部分は第2の励起光の入射領域である。
図9及び図11に示すように、第1の励起光の入射領域は5行5列のマトリクス状に分布し、第2の励起光の入射領域は5行5列のマトリクス状に分布する。また、第1光源部10Aから射出された第1の励起光の光軸と、第2光源部20から射出された第2の励起光の光軸とが、励起光合成部30Aにおいて互いに交差するように構成されている。そのため、励起光合成部30Aにおいて、第1の励起光は第2の励起光と重なる。その結果、5行5列のマトリクス状の強度分布が得られる。
本実施形態の光源装置2によれば、第1光源部10Aから射出される第1の励起光は第1透明部材33を介して偏光分離膜32に入射し、第2光源部20から射出される第2の励起光は第2透明部材34を介して偏光分離膜32に入射する。そのため、偏光分離膜32と空気層(2つの光源部からの励起光が偏光分離膜32に入射するまでに通る媒体)との間で屈折率差が大きい場合であっても、前記屈折率差を緩和することができる。よって、本発明に係る第1透明部材33及び第2透明部材34が偏光分離膜32に配置されることなく2つの光源部からの励起光が直接偏光分離膜32に入射する構成と比較して、前記屈折率差が大きいことによって光の損失が生じることを抑制することができる。
また、この構成によれば、第1の界面SF1と第2の界面SF2とが偏光分離膜32を挟んで互いに対向して重なり合うように配置されている。このため、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが、励起光合成部30Aにおいて偏光分離膜32を挟んで互いに対向する領域に入射するように構成されている場合において、第1透明部材33及び第2透明部材34によって前記屈折率差を緩和しやすくなる。よって、前記屈折率差が大きいことによって光の損失が生じることを抑制することができる。
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態に係る光源装置3を示す模式図である。
図12に示すように、本実施形態に係る光源装置3は、励起光合成部30に替えて励起光合成部30Bを備えている点、で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図12においては、アフォーカル光学系40、レンズインテグレーター50、ダイクロイックミラー60、重畳光学系70及び発光素子80の図示を省略している。
図12に示すように、本実施形態に係る励起光合成部30Bは、偏光分離膜32Bを挟んで第1透明部材33B及び第2透明部材34Bが取り付けられて構成されている。第1透明部材33B及び第2透明部材34Bは、例えば三角柱プリズムである。励起光合成部30Bは,XZ平面視において三角形状の複数の第1透明部材33Bと第2透明部材34とが偏光分離膜32Bに沿って並んで配置されている。
励起光合成部30Bは、第1光源部10から射出される第1の励起光が入射する側に第1透明部材33Bが設けられ、第2光源部20から射出される第2の励起光が入射する側に第2透明部材34Bが設けられている。第1透明部材33B及び第2透明部材34Bは、XZ平面視において三角形状(ここでは直角二等辺三角形状)であり、偏光分離膜32Bを中心に線対称の形状である。第1透明部材33B及び第2透明部材34Bは、XZ平面視において直角二等辺三角形の底辺が偏光分離膜32を挟んで対向するように配置されている。
このように、本実施形態に係る励起光合成部30Bは、第1透明部材33Bと偏光分離膜32Bとの第1の界面SF1と、第2透明部材34Bと偏光分離膜32Bとの第2の界面SF2とが、偏光分離膜32Bを挟んで部分的に重なるように配置されている。
ここで、複数の第1透明部材33Bが、偏光分離膜32Bの第1の励起光が入射する側に所定のピッチで設けられ、複数の第2透明部材34Bが、偏光分離膜32Bの第2の励起光が入射する側に所定のピッチで設けられている。そして、本実施形態に係る励起光合成部30Bでは、第1の界面SF1と第2の界面SF2とが、偏光分離膜32Bを挟んで互いに半ピッチずれるように配置されている。
例えば、図12において、XZ平面視において、一の第1透明部材33Bの底辺の中点をCP1、一の第2透明部材34Bの底辺の中点をCP2とする。この場合、第1透明部材33Bのひとつの端部は第2透明部材34Bの底辺の中点CP2と重なり合う。また、第2透明部材34Bのひとつの端部は第1透明部材33Bの底辺の中点CP1と重なり合う。
本実施形態の光源装置3によれば、第1の励起光が偏光分離膜32Bに入射する領域及び第2の励起光が偏光分離膜32Bに入射する領域のそれぞれが、偏光分離膜32Bにおいて一部重なるように配置される。よって、合成励起光にムラが生じることを抑制することができる。
(第4実施形態)
図13は、本発明の第4実施形態に係る光源装置4を示す模式図である。
図13に示すように、本実施形態に係る光源装置4は、励起光合成部30Aに替えて励起光合成部30Cを備えている点で上述の第2実施形態に係る光源装置2と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図9と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第2実施形態に係る励起光合成部30Aは、XZ平面視において矩形状の複数の構造体31が偏光分離膜32に沿って並んで組み合わされた、いわゆるキューブ型の偏光ビームコンバイナーであったが、本実施形態に係る励起光合成部30Cはこのような構成となっていない。
すなわち、本実施形態に係る励起光合成部30Cは、図13に示すように、偏光分離膜32Cを挟んで第1透明部材33C及び第2透明部材34Cが取り付けられて構成されている。第1透明部材33C及び第2透明部材34Cは、例えば三角柱プリズムである。励起光合成部30Cは,XZ平面視において三角形状の複数の第1透明部材33Cと複数の第2透明部材34Cとが偏光分離膜32Cに沿って並んで配置されている。
本実施形態に係る励起光合成部30Cは、第1透明部材33Cと偏光分離膜32Cとの第1の界面SF1の全面と、第2透明部材34Cと偏光分離膜32Cとの第2の界面SF2の全面とが、偏光分離膜32Cを挟んで互いに対向して重なり合うように配置されている。
本実施形態の光源装置4においても、第1の励起光及び第2の励起光のそれぞれが、励起光合成部30Cにおいて偏光分離膜32Cを挟んで互いに対向する領域に入射するように構成されている場合において、第1透明部材33C及び第2透明部材34Cで前記屈折率差を緩和しやすくなる。よって、前記屈折率差が大きいことによって光の損失が生じることを抑制することができる。
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態に係る光源装置5を示す模式図である。
図14に示すように、本実施形態に係る光源装置5は、励起光合成部30に替えて励起光合成部30Dを備えている点、で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図14においては、アフォーカル光学系40、レンズインテグレーター50、ダイクロイックミラー60、重畳光学系70及び発光素子80の図示を省略している。
図15は、本実施形態に係る励起光合成部30Dの模式図である。図15(a)は励起光合成部30Dの斜視図であり、図15(b)は励起光合成部30Dを第1光源部10側から見た図である。
図15(a)、図15(b)に示すように、本実施形態に係る励起光合成部30Dは、複数の第1の励起光を通過させる通過領域AR1と、複数の第2の励起光を反射させる反射領域AR2と、を有する。励起光合成部30Dにおける通過領域AR1は、偏光分離膜32Dに設けられた複数の開口部32Daからなる。一の開口部32Daは第1光源部10側から見て矩形状である。複数の開口部32Daは、複数の第1固体光源13に対応して設けられ、5行4列のマトリクス状に配置されている。開口部32Daの大きさは、一の第1固体光源13から射出される第1の励起光の光線束のうち少なくとも一部が通過可能な大きさとなっている。
本実施形態の光源装置5によれば、第1の励起光が偏光分離膜32Dを透過することによって生じる光の損失を抑制することができるため、複数の第1の励起光と複数の第2の励起光とを高い効率で合成することが可能となる。
一の第1固体光源13から射出される第1の励起光の光軸が開口部32Daを通過することが好ましい。励起光の光束のうち光軸における強度が最も強いからである。さらに、開口部32Daの大きさは、一の第1固体光源13から射出される第1の励起光の光束全てを通過させるような大きさであり、反射領域AR2は、複数の第2の励起光の光束全てを反射可能であることが好ましい。この構成によれば、第1の励起光が偏光分離膜32Dを透過することによって生じる光の損失を最小にすることができるため、複数の第1の励起光と複数の第2の励起光とをさらに高い効率で合成することが可能となる。
なお、本実施形態の光源装置5では、励起光合成部30Dとして偏光分離膜32Dの通過領域AR1に開口部32Daを有する構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、励起光合成部としては、通過領域に対応する領域に穴を開けた反射ミラーを用いてもよい。また、反射領域に対応する領域に反射層を形成した透明基板を用いてもよい。
ただし、このような構成であると、励起光が通過領域と反射領域との境界部分に入射する場合に光の損失が生じる場合がある。したがって、励起光が通過領域と反射領域との境界部分に入射する場合であっても光の損失が生じることを抑制するためには、本実施形態のように、偏光分離膜32Dに穴を開けて形成された開口部32Daを通過領域AR1とする構成が好ましい。
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態に係るプロジェクター2000を示す模式図である。
図16に示すように、本実施形態に係るプロジェクター2000は、照明装置100に替えて照明装置100Eを備えている点(光源装置1に替えて光源装置6を備えている点で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1000と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図16に示すように、プロジェクター2000は、光源装置6が第1実施形態に係る光源装置1と構成が一部共通している。異なるのは、レンズインテグレーターが対を成しておらず第1レンズアレイ51を1枚のみで使用することである。本実施形態においては、重畳光学系70が本発明の集光光学系として機能する。
図17は、第1レンズアレイ51および重畳光学系70の機能を示す説明図である。図17においては、簡略化のため、重畳光学系70を模式的に1つの凸レンズとして図示している。重畳光学系70は、球面収差がない、または球面収差が補正されて低減されているものとする。
なお、図17においては、便宜上、発光素子80のうち励起光の照射領域80aに対応する部分のみを示している。蛍光体層82における励起光の照射領域80aは、例えば、平面視で1mm×1mmの略正方形状である。
図17(a)に示すように、第1レンズアレイ51および重畳光学系70を含んで構成される光学系では、第1レンズアレイ51に入射する励起光(青色光B)が平行光であり、第1レンズアレイ51と重畳光学系70とを透過した励起光の主光線が、重畳光学系70の焦点F2を通過する構成となっている。言い換えると、第1レンズアレイ51と重畳光学系70を両端とする光学系は、物体面が無限遠に設定されている。すなわち、第1レンズアレイ51および重畳光学系70を含んで構成される光学系が、物体側テレセントリックとなっている。このような光学系では、入射する励起光(青色光B)は、第1レンズアレイ51を透過した後、重畳光学系70に入射し、重畳光学系70から射出される励起光は、重畳光学系70に係る一定幅の射出瞳Pを通過する。
このような構成では、射出瞳Pの幅は、重畳光学系70の開口数NAと焦点距離Lbとによって一定の大きさに定まる。また、射出瞳Pの形状は、第1レンズアレイ51を構成する小レンズ51aと相似形となる。すなわち、射出瞳Pの幅は、重畳光学系70と第1レンズアレイ51との距離Laにはよらず、常に一定となる。例えば、入射瞳Pが1mm×1mmの略正方形状となるように設計する。
したがって、図17(b)に示すように、重畳光学系70の焦点F2の位置に、射出瞳と同じ大きさの発光素子80を配置し、光照射面80aと共役する面を無限遠に設定することで、第1実施形態の光源装置1と比べて、レンズアレイの使用数を減らす(図1に示した第2レンズアレイを使わない)ことが可能となる。その結果、少ない部品数で励起光の光強度を平均化し、発光素子80に照射することができる。
本実施形態の光源装置5によれば、第1レンズアレイ51で複数の光線束に分割された励起光が重畳光学系70で集光されるため、光強度分布が平均化される。加えて、図17(a)に示す射出瞳Pでは、励起光は結像していないため、励起光の像がぼやけ、光強度を平均化しやすい。そのため、発光素子80において光飽和を生じないように光量を制御することが容易となる。
また、この構成によれば、第1レンズアレイ51を構成する複数の小レンズ51aの平面視形状は、発光素子80の光照射面80aの平面視形状と相似形であり、発光素子80の光照射面80aの平面視面積は、インテグレート光学系の射出瞳Pの大きさと略等しい。これにより、励起光を発光素子80に無駄なく照射することができる。このため、投入する励起光量に対する取り出す蛍光量を最大化することができる。
なお、本実施形態においては、発光素子80の光照射面80aの平面視面積が、射出瞳Pの大きさと略等しいこととした。しかし、例えば射出瞳Pの方が大きいことと場合であっても、一部の励起光が無駄となるが、発光素子80での光飽和は抑制されるため、発光効率の改善が期待できる。
また、本実施形態においては、光照射面80aが重畳光学系70の焦点F2と重なって配置されることとしたが、焦点F2からずれていたとしても、第1レンズアレイ51を介することによる励起光の重畳の効果が期待でき、励起光の光強度は平均化される傾向にある。そのため、発光素子80における光飽和現象を抑制し、発光効率の高い光源とすることができる。
(第7実施形態)
図18は、本発明の第7実施形態に係るプロジェクター3000を示す模式図である。
図18に示すように、本実施形態に係るプロジェクター3000は、照明装置100に替えて照明装置100Fを備えている点(光源装置1に替えて光源装置7を備えている点、色分離導光光学系200に替えて色分離導光光学系202を備えている点、第2照明装置700をさらに備える点、で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1000と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
上記第1実施形態においては、青色光のうち一部から赤色光及び緑色光を含む蛍光を発する発光素子80を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態に係る光源装置7は、青色光の全部から蛍光(赤色光及び緑色光)を発する発光素子80Fを備える。また、本実施形態に係る発光素子80Fは励起光が入射する側とは反対側から蛍光を発する、いわゆる透過型の発光素子である。また、発光素子80Fは、固定型の発光素子である。また、プロジェクター3000は、青色光を射出する第2照明装置700をさらに備える。符号720で示すのは青色光光源部であり、第2光源部20と同様の構成を有する。符号730で示すのは青色光を集光し、散乱した後に略平行化する散乱光学系である。青色光生成部720及び散乱光学系730は、第2光源装置710を構成する。符号740で示す第1レンズアレイは第1レンズアレイ120と、符号750で示す第2レンズアレイは第2レンズアレイ130と、符号760で示す偏光変換素子は偏光変換素子140と、符号770で示す重畳レンズは重畳レンズ150とそれぞれ同様の構成を有する。さらにプロジェクター3000は、照明装置100F及び第2照明装置700に対応する色分離導光光学系202を備える。
本実施形態のプロジェクター3000においても、上述の光源装置7を有するため、光の利用効率を低下させることなく表示画面の輝度をより一層高くすることができるプロジェクター3000を提供することができる。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
上記各実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の光源装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。