以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
本発明のプロジェクターの一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態においては、プロジェクター1000として光変調素子で生成された画像情報を含む色光を投写光学系を介してスクリーン(被投写面)上に投写する投写型のプロジェクターを例に挙げて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1000の光学系を示す模式図である。図2は、プロジェクター1000の光学系を示す概略図である。図2においては、便宜上、第2光源アレイ10、ダイクロイックミラー22などの部材の図示を省略している。
図1に示すように、プロジェクター1000は、照明装置100と、色分離導光光学系200と、光変調装置としての液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写光学系600と、を備えている。
照明装置100は、第1光源アレイ50、第1コリメーターレンズアレイ53、λ/2板60、第1集光レンズ54、回転拡散板70、第1ピックアップ光学系80、第2光源アレイ10、第2コリメーターレンズアレイ13、第2集光レンズ20、第1平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、第2ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、フライアイインテグレーター90、偏光変換素子93および第2平行化レンズ94を備えている。
第1光源アレイ50は、第1基台51と、第1基台51上に並べて配置された複数の第1固体光源52とを備えている。第1固体光源52は、ダイクロイックミラー22によって反射可能な青色光を射出する光源である。本実施形態の場合、第1固体光源52は、青色(発光強度のピーク:465nm付近)のレーザー光を射出する半導体レーザーである。なお、第1固体光源52は、ダイクロイックミラー22で反射される波長の光であれば、465nm以外のピーク波長を有する光を射出するものであっても構わない。
図3は、第1固体光源52の構成と第1基台51上での設置状態を示す図である。
図3(a)、図3(b)は、第1固体光源52の概略構成を示す模式図である。図3(c)は、第1基台51上に設置された複数の第1固体光源52の設置状態を示す平面図である。なお、図3(a)では、簡略化のために、第1基台51に設置されている複数の第1固体光源52のうち1個の第1固体光源52を図示している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1固体光源52は、射出される光Lの光軸方向から見て長手方向W1と短手方向W2とを有する細長い矩形の半導体レーザーである。第1固体光源52は、長手方向W1と平行な偏光方向を有する光(直線偏光)Lを射出する。光Lは、長手方向W1の幅を維持したまま、短手方向W2に広がる。そのため、光Lの光軸と直交する平面内で見た光Lの断面形状BSは、W2を長手方向とする矩形形状若しくは楕円形状となる。本実施形態の場合、第1固体光源52の長手方向W1の幅は18μmであり、第1固体光源52の短手方向W2の幅は2μmであるが、第1固体光源52の形状はこれに限定されない。
図3(c)に示すように、第1基台51の面51a上には、16個の第1固体光源52が4行4列のマトリクス状に配置されている。なお、本実施形態の第1光源アレイ50においては、16個の第1固体光源52が配置されているが、配置数は16個に限定されない。第1基台51の中心C1は、図1に示した第1ピックアップ光学系80の光軸と一致する。
第1固体光源52は、青色の直線偏光をλ/2板60の光入射面に入射させる。
16個の第1固体光源52は、その長手方向が、平面視矩形形状を有する第1基台51の一辺(図3中に示す左右の辺)と平行になるように整然と配置されている。そのため、複数の第1固体光源52から射出される複数の光は、互いに偏光方向V1が揃った光となる。
第1コリメーターレンズアレイ53は、各第1固体光源52と1対1に対応した複数の第1マイクロレンズ530を備えている。各第1マイクロレンズ530は、対応する第1固体光源52から射出される青色光の光軸上に設置され、当該青色光を平行化する。第1コリメーターレンズアレイ53から射出された青色光は、λ/2板60に入射する。
λ/2板60は、複屈折を利用して光の偏光状態を変更する複屈折素子である。λ/2板60は、偏光方向が光学軸(遅相軸または進相軸)に対して45°の角度をなす直線偏光を、偏光方向が光学軸に対して−45°の角度をなす直線偏光に変換するものである。
本実施形態においては、λ/2板60の光学軸と第1固体光源52から射出される光の偏光方向とのなす角度が22.5°程度に設定されている。そのため、第1固体光源52から射出された直線偏光はλ/2板60によって円偏光または楕円偏光に変換される。なお、λ/2板60の光学軸と第1固体光源52から射出される光の偏光方向とのなす角度θは、22.5°に限らず、−45°以上+45°以下に設定されていればよい。
λ/2板60から射出される光は、後で説明する偏光分離膜931に対するS偏光と偏光分離膜931に対するP偏光とを概ね等しい割合で含む光であり、後述の偏光変換素子93でこれらの偏光を分離して別々の領域に導いたときに、各領域から射出される光の強度に大きなバラツキは発生しない。ここで、「概ね等しい」とは、S偏光の割合とP偏光の割合との差が±5%の範囲であることをいう。また、偏光分離膜931に対するS偏光の偏光方向と偏光分離膜931に対するP偏光の偏光方向のうち一方は、本発明における第1の偏光方向に相当し、他方は本発明における第2の偏光方向に相当する。
λ/2板60は、例えば樹脂材料等の有機材料を含んで形成されている。λ/2板60は、例えばプラスチックフィルム等の薄い板状の部材である。ただし、λ/2板60が水晶等の無機材料を含んで形成されていてもよい。
λ/2板60は、第1コリメーターレンズアレイ53の光射出面に配置されている。第1コリメーターレンズアレイ53は、第1固体光源52から射出された直線偏光を平行化してλ/2板60に入射させる光学手段として機能する。λ/2板60を第1コリメーターレンズアレイ53の光射出面に配置した場合、第1固体光源52から射出された直線偏光はλ/2板60に対して概ね垂直に入射するため、当該直線偏光を所望の偏光状態に確実に変換することができる。また、第1固体光源52から射出された光が集光せずに広がった状態でλ/2板60に入射するので、λ/2板60が第1固体光源52から射出された光の熱によって熱劣化することが抑制される。なお、λ/2板60は、第1コリメーターレンズアレイ53の光射出面に限らず、第1光源アレイ50と回転拡散板70との間の光路上であれば、いずれの位置に配置されていてもよい。しかし、第1コリメーターレンズアレイ53と第1集光レンズ54との間の光路上にλ/2板60を配置すれば、前述した効果が得られるため好ましい。
図1に戻り、λ/2板60から射出された円偏光または楕円偏光は、凸レンズからなる第1集光レンズ54で集光される。第1コリメーターレンズアレイ53と第1集光レンズ54によって、第1光源アレイ50から射出された複数の青色光を集光する第1集光光学系55が形成されている。
回転拡散板70は、入射した青色光を拡散して入射側とは反対側の面から射出する透過型の回転拡散板である。回転拡散板70は、モーター(回転駆動機構)73により回転駆動される拡散素子としての基板71を備えている。基板71としては、公知の拡散板、例えば、磨りガラスや、ホログラフィックディフューザー、透明基板の表面にブラスト処理を施したもの、透明基板の内部にビーズのような散乱材を分散させ、散乱材によって光を散乱させるものなどを用いることができる。本実施形態では基板71として円板を用いているが、基板71の形状は円板に限られない。回転拡散板70では、基板71を回転駆動することによって、青色光が照射された部分(被照射部分)が円を描くように、青色光が照射される領域(光照射領域)S1に対して相対的に移動する。
回転拡散板70から射出された光は、第1ピックアップ光学系80で平行化され、ダイクロイックミラー22に入射する。ダイクロイックミラー22は、その表面が、第1光源アレイ50の発光面に対して約45°の角度をなすように、第1光源アレイ50の発光面と対峙して配置されている。ダイクロイックミラー22は、第1ピックアップ光学系80から入射する青色光を90°折り曲げてフライアイインテグレーター90側に反射する。
なお、第1ピックアップ光学系80は、回転拡散板70から射出される青色光の広がりに応じて、使用するレンズの屈折率や形状が決められる。また、レンズの数も2つに限らず、1つ又は3つ以上の複数個とすることもできる。
回転拡散板70に入射した光は、回転拡散板70で拡散されることで、放射状に広がる光となる。当該光は第1ピックアップ光学系の第1レンズ81の光入射面に入射する。第1レンズ81は、回転拡散板70から射出された光を屈折させて、第2レンズ82に入射させる。第1レンズ81を透過し第2レンズ82に入射した光は、ダイクロイックミラー22で反射され、色分離導光光学系200に入射して光変調装置400Bの照明光として利用される。
第2光源アレイ10は、第2基台11と、第2基台11上に並べて配置された複数の第2固体光源12とを備えている。第2固体光源12は、回転蛍光板30に備えられた蛍光体層32を励起させる励起光を射出する光源である。本実施形態の場合、第2固体光源12は、励起光として青色(発光強度のピーク:446nm付近)のレーザー光を射出する半導体レーザーである。励起光として、発光強度のピークが440nm〜450nmの青色光を射出する半導体レーザーからなる固体光源を用いることにより、蛍光体層において、青色光から蛍光を発する効率を向上させることが可能となる。なお、第2固体光源12は、蛍光体層32を励起させることができる波長の光であれば、446nm以外のピーク波長を有する光を射出するものであっても構わない。
第2基台11上には、12個の第2固体光源12が4行4列でマトリクス状に配置されている。第2基台11の中心は、第2ピックアップ光学系40の光軸と一致する。第2固体光源12の構成は、図3(a)および図3(b)に示した第1固体光源52の構成と同じである。すなわち、第2固体光源12は、射出される光の光軸方向から見て長手方向と短手方向とを有する細長い矩形の半導体レーザーである。第2固体光源12は、その長手方向と平行な偏光方向を有する光(直線偏光)を射出する。
第2コリメーターレンズアレイ13は、各第2固体光源12と1対1に対応した複数の第2マイクロレンズ130を備えている。各第2マイクロレンズ130は、対応する第2固体光源12から射出される励起光の光軸上に設置され、当該励起光を平行化する。第2コリメーターレンズアレイ13から射出された励起光は、凸レンズからなる第2集光レンズ20で集光される。
第2集光レンズ20とダイクロイックミラー22との間の励起光の光路上には、両凹レンズからなる第1平行化レンズ21が配置されている。第1平行化レンズ21は、第2集光レンズ20と、第2集光レンズ20における焦点位置との間に配置され、第2集光レンズ20から入射する励起光を平行化してダイクロイックミラー22に射出する。
ダイクロイックミラー22は、その表面が、第2光源アレイ10の発光面及び蛍光体層32の表面に対して約45°の角度をなすように、これら各面と対峙して配置されている。ダイクロイックミラー22は、第1平行化レンズ21から入射する励起光(青色光成分)を90°折り曲げて第2ピックアップ光学系40側に反射するとともに、第2ピックアップ光学系40から入射する蛍光(赤色光成分及び緑色光成分)を透過させる。
第2ピックアップ光学系40は、ダイクロイックミラー22と回転蛍光板30との間の励起光および蛍光の光路上に配置されている。第2ピックアップ光学系40は、回転蛍光板30からの蛍光の広がりを抑える第1レンズ41と、第1レンズ41から入射される蛍光を平行化する第2レンズ42とを含んで構成されている。第1レンズ41は、例えば、回転蛍光板30側が平面状、これと反対側が凸の曲面状をなす平凸レンズからなり、第2レンズ42は、例えば凸レンズからなる。
第2ピックアップ光学系40は、回転蛍光板30からの蛍光を略平行化した状態でダイクロイックミラー22に入射させる。また、第2ピックアップ光学系40の第1レンズ41及び第2レンズ42は、ダイクロイックミラー22から入射する励起光を集光する機能を兼ねており、励起光を集光させた状態で回転蛍光板30に入射させる。すなわち、第2コリメーターレンズアレイ13と第2集光レンズ20と第1平行化レンズ21とダイクロイックミラー22と第2ピックアップ光学系40によって、第2光源アレイ10から射出された複数の励起光を集光する第2集光光学系15が形成されている。
なお、第2ピックアップ光学系40は、回転蛍光板30から射出される蛍光の広がりに応じて、使用するレンズの屈折率や形状が決められ、レンズの数も2つに限らず、1つ又は3つ以上の複数個とすることもできる。
回転蛍光板30は、励起光の入射方向と同じ方向に蛍光を射出させる反射型の回転蛍光板である。回転蛍光板30は、モーター(回転駆動機構)33により回転駆動される基板31と、基板31の表面に形成された蛍光体層32とを備えている。基板31は、蛍光体層32が発する蛍光を反射する材料よりなる。基板31は、Al等の熱伝導率の高い金属材料等からなることが好ましく、これにより基板31を放熱板として機能させることができる。蛍光体層32は、励起光が入射する領域に対応して、基板31の回転方向に沿ってリング状に形成されている。本実施形態では基板31として円板を用いているが、基板31の形状は円板に限られない。
蛍光体層32は、第2固体光源12から射出される励起光を吸収し、蛍光を発する粒子状の蛍光物質(蛍光体粒子)を有する。蛍光体層32は、波長が約450nmの励起光(青色光)を吸収し、概ね490〜750nm(発光強度のピーク:570nm)の蛍光に変換する機能を有する。蛍光には、緑色光(波長530nm付近)及び赤色光(波長630nm付近)が含まれる。
蛍光体粒子としては、通常知られたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いることとしても良い。
回転蛍光板30には、第1レンズ41及び第2レンズ42によって集光された励起光(青色光)が、蛍光体層32の表面から入射する。回転蛍光板30は、励起光が入射する側と同じ側に向けて、蛍光体層32が発した赤色光及び緑色光(蛍光)を射出する。回転蛍光板30では、基板31を回転駆動することによって、蛍光体層32の励起光が照射された部分(被照射部分)が円を描くように、励起光が照射される領域(光照射領域)S2に対して相対的に移動する。
回転蛍光板30から射出された光は、第2ピックアップ光学系40で平行化され、ダイクロイックミラー22に入射する。ダイクロイックミラー22は、第2ピックアップ光学系40から入射する光のうち、励起光(青色光)を反射して除去し、緑色光及び赤色光を透過させる。ダイクロイックミラー22には、第2ピックアップ光学系40からの光が入射する入射面と反対側の表面に、第1光源アレイ50から射出された青色光が入射し、第2ピックアップ光学系40から射出された光の光軸と平行な方向に反射される。これにより、第2ピックアップ光学系40から射出された緑色光および赤色光と、第1ピックアップ光学系80から射出された青色光とが合成されて白色光となる。
ダイクロイックミラー22で合成された緑色光、赤色光及び青色光は、第1フライアイレンズアレイ91及び第2フライアイレンズアレイ92からなるフライアイインテグレーター90に入射し、光量分布が均一化される。フライアイインテグレーター90から射出された緑色光、赤色光及び青色光は、偏光変換素子93によって偏光方向が一方向に揃えられた直線偏光に変換される。偏光変換素子93から射出された緑色光、赤色光及び青色光は、第2平行化レンズ94により平行化され、照明装置100から射出される。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220、反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250及びリレーレンズ260を備えている。色分離導光光学系200は、照明装置100からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ光変調装置400R、光変調装置400G、光変調装置400Bに導光する機能を有する。
色分離導光光学系200と液晶光変調装置400Rとの間には集光レンズ300Rが設けられている。色分離導光光学系200と液晶光変調装置400Gとの間には集光レンズ300Gが設けられている。色分離導光光学系200と液晶光変調装置400Bとの間には集光レンズ300Bが設けられている。
ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220は、基板上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を透過させる誘電体多層膜からなる波長選択透過膜が形成されたミラーである。具体的には、ダイクロイックミラー210は、青色光成分を透過させ、赤色光成分及び緑色光成分を反射する。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、赤色光成分を透過させる。
反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250は、入射した光を反射するミラーである。具体的には、反射ミラー230は、ダイクロイックミラー210を透過した青色光成分を反射する。反射ミラー240、反射ミラー250は、ダイクロイックミラー220を透過した赤色光成分を反射する。
ダイクロイックミラー210を透過した青色光は、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Bを通過して、青色光用の光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射され、集光レンズ300Gを通過して、緑色光用の光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー220を透過した赤色光は、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ260、射出側の反射ミラー250、集光レンズ300Rを経て赤色光用の光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
光変調装置400R、光変調装置400G、光変調装置400Bは、通常知られたものを用いることができ、例えば、液晶素子410と液晶素子410を挟持する偏光素子420、430とを有した、透過型の液晶ライトバルブ等の光変調装置により構成される。偏光素子420、430は、例えば透過軸が互いに直交する構成(クロスニコル配置)となっている。
光変調装置400R、光変調装置400G、光変調装置400Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明装置100の照明対象となる。光変調装置400R、光変調装置400G及び光変調装置400Bによって、入射された各色光の光変調が行われる。
例えば、光変調装置400R、光変調装置400G、光変調装置400Bは、一対の透明基板に液晶を密閉封入した透過型の光変調装置であり、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像情報に応じて、入射側偏光素子420から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光素子430から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合せた平面視略正方形状をなしている。直角プリズムを貼り合せた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向が揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
図4は、本実施形態のλ/2板60の作用を説明するための図である。図4(a)は、本実施形態のプロジェクター1000が備える偏光変換素子93を示す模式図である。図4(b)は、本実施形態の偏光変換素子93から射出された光の照明像である。
図4(a)に示すように、偏光変換素子93は、光入射面S1と、光射出面S2と、偏光分離膜931と、反射膜932と、位相差膜933と、を備えている。偏光変換素子93は、フライアイインテグレーター90から入射する光Lを、偏光分離膜931に対するP偏光LPと偏光分離膜931に対するS偏光LSに分離し、P偏光LPの偏光方向をS偏光LSの偏光方向に揃えて射出するものである。以降、偏光分離膜931に対するP偏光LPのことをP偏光LPと呼び、偏光分離膜931に対するS偏光LSのことをS偏光LSと呼ぶ。
光入射面S1は、フライアイインテグレーター90からの光Lが入射する面である。
光射出面S2は、S偏光を射出させる面である。光射出面S2は、互いに隣り合う第1の領域S2Aと第2の領域S2Bとを有する。第1の領域S2Aは、フライアイインテグレーター90からの光Lの入射方向から見て光入射面S1と重なる領域である。第2の領域S2Bは、フライアイインテグレーター90からの光Lの入射方向から見て光入射面S1と重ならない領域である。
偏光分離膜931は、第1の領域S2Aと斜めに対峙するように配置されている。偏光分離膜931は、第1の領域S2Aに対して約45°の角度をなすように斜めに対峙している。偏光分離膜931は、P偏光LPを第1の領域S2Aに向けて透過させるとともにS偏光LSを反射する。
反射膜932は、偏光分離膜931で反射されたS偏光LSを第2の領域S2Bに向けて反射する。
位相差膜933は、第1の領域S2Aに設けられている。位相差膜933は、例えばλ/2板からなる。位相差膜933は、偏光分離膜931を透過したP偏光LPを、その偏光方向を90°回転させてS偏光LSに変換する。
このように構成された偏光変換素子93では、フライアイインテグレーター90からの光Lが、光入射面S1から入射する。ここで、フライアイインテグレーター90からの光Lには、S偏光LSとP偏光LPの双方が含まれており、S偏光LSとP偏光LPとの割合が概ね等しくなっている。
フライアイインテグレーター90からの光Lは、光入射面S1を通過して偏光分離膜931に入射する。
偏光分離膜931に入射した光のうち、S偏光LSは、偏光分離膜931で反射されて反射膜932に入射する。そして、反射膜932に入射したS偏光LSは、反射膜932で第2の領域S2Bに向けて反射される。このように、光入射面S1から入射したS偏光LSは、S偏光LSとして光射出面S2の第2の領域S2Bから射出される。
一方、偏光分離膜931に入射した光のうち、P偏光LPは、偏光分離膜931を透過する。偏光分離膜931を透過したP偏光LPは、位相差膜933に入射してS偏光LSに変換され、S偏光LSとして光射出面S2の第1の領域S2Aから射出される。したがって、偏光変換素子93の光入射面S1から偏光分離膜931に入射した光は、S偏光LSとして光射出面S2の第1の領域S2Aと第2の領域S2Bとから射出される。
なお、本実施形態の偏光変換素子93においては、位相差膜933が第1の領域S2Aに設けられており、位相差膜933がP偏光LPをS偏光LSに変換する構成であるが、これに限らない。例えば、位相差膜が第1の領域S2Aではなく第2の領域S2Bに設けられており、位相差膜がS偏光をP偏光に変換する構成であってもよい。
図13は、比較例のプロジェクターの作用を説明するための図である。図13(a)は、比較例のプロジェクターが備える偏光変換素子93Xを示す模式図である。図13(b)は、比較例の偏光変換素子93Xから射出された光の照明像である。
図13(a)に示すように、比較例の偏光変換素子93Xの構成は、本実施形態の偏光変換素子93の構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。図13(a)において、符号S1Xは光入射面、符号S2Xは光射出面、符号S2XAは第1の領域、符号S2XBは第2の領域、符号931Xは偏光分離膜、符号932Xは反射膜、符号933Xは位相差膜である。
比較例のプロジェクターは、λ/2板60を備えていない点が、図1に示した本実施形態のプロジェクター1000と異なっている。比較例のプロジェクターでは、第1固体光源から射出された直線偏光が円偏光または楕円偏光に変換されずに回転拡散板に入射し、回転拡散板によって十分に偏光解消されないまま偏光変換素子93Xに向けて射出される。そのため、偏光変換素子93Xに入射する光の偏光状態は、第1固体光源から射出された直線偏光の偏光状態を強く反映したものとなる。
例えば、第1固体光源から射出された直線偏光が偏光変換素子93Xに対してS偏光として入射するものとすると、回転拡散板では、第1固体光源から射出された直線偏光(S偏光)がある程度偏光解消されることによって、当該直線偏光と直交する偏光成分(P偏光LPX)が生成されるが、P偏光LPXの割合は偏光解消されずに偏光変換素子に入射した偏光成分(S偏光LSX)と比較して非常に小さい。そのため、光入射面S1Xに入射する光LXには、S偏光LSXとP偏光LPXの双方が含まれているが、それらの偏光成分LPX,LSXの明るさには大きなばらつきがある。
光LXは、光入射面S1Xを通過して偏光分離膜931Xに入射する。
偏光分離膜931Xに入射した光のうち、S偏光LSXは、偏光分離膜931Xで反射されて反射膜932Xに入射する。そして、反射膜932Xに入射したS偏光LSXは、反射膜932Xで第2の領域S2XBに向けて反射される。このように、光入射面S1Xから入射したS偏光LSXは、S偏光LSXとして光射出面S2Xの第2の領域S2XBから射出される。
一方、偏光分離膜931Xに入射した光のうち、P偏光LPXは、偏光分離膜931Xを透過する。偏光分離膜931Xを透過したP偏光LPXは、位相差膜933Xに入射してS偏光LSXに変換され、S偏光LSXとして光射出面S2Xの第1の領域S2XAから射出される。したがって、偏光変換素子93Xの光入射面S1Xから偏光分離膜931Xに入射した光は、S偏光LSXとして光射出面S2Xの第1の領域S2XAと第2の領域S2XBとから射出される。
このように、光入射面S1Xに入射する光LXがP偏光LPXよりもS偏光LSXに偏っている場合、第1の領域S2XAから射出されるS偏光LSXの強度よりも第2の領域S2XBから射出されるS偏光LSXの強度の方が大きくなる。このため、偏光変換素子93Xから射出された光を照明光として用いた場合、第1の領域S2XAから射出される光の強度と第2の領域S2XBから射出される光の強度との差に起因して、スクリーン上にライン状の照度ムラが生じてしまう。
図13(b)において、符号ARX1は、スクリーンに対して偏光変換素子93Xの第1の領域S2XAから射出された光が照射される領域である。また、符号ARX2はスクリーンに対して偏光変換素子93Xの第2の領域S2XBから射出された光が照射される領域である。
図13(b)に示すように、比較例においてスクリーンに照射された光の照射像を見ると、領域ARX1においては暗く、領域ARX2においては明るい像となる。これは、第1の領域S2XAから射出されるS偏光LSXの強度よりも第2の領域S2XBから射出されるS偏光LSXの強度の方が大きいことに起因するものと考えられる。
これに対し、本実施形態のプロジェクター1000では、第1固体光源から射出された直線偏光をλ/2板によって円偏光または楕円偏光に変換してから回転拡散板で拡散しているため、回転拡散板から射出される拡散光にはP偏光成分とS偏光成分とが概ね等しい割合で含まれることになる。このため、偏光変換素子93の第1の領域S2Aから射出される光の強度と第2の領域S2Bから射出される光の強度とが概ね等しくなる。
図4(b)において、符号AR1は、スクリーンに対して偏光変換素子93の第1の領域S2Aから射出された光が照射される領域である。また、符号AR2はスクリーンに対して偏光変換素子93の第2の領域S2Bから射出された光が照射される領域である。
図4(b)に示すように、本実施形態の偏光変換素子93から射出されてスクリーンに照射された光の照射像を見ると、領域AR1及び領域AR2の双方の領域においては明るい像となる。このように、複屈折素子としてのλ/2板60が設けられていることにより、ムラの少ない良好な照明像が得られることを確認することができる。
以上のように、本実施形態のプロジェクター1000によれば、第1光源アレイ50から射出された直線偏光がλ/2板60により円偏光または楕円偏光に変換され、回転拡散板70に入射する光はP偏光とS偏光の割合が概ね等しくなる。さらに、当該偏光の割合が概ね等しくされた光が回転拡散板70により拡散され、偏光変換素子93に入射する光は、偏光状態がランダムになる。このため、偏光変換素子93のいずれの射出領域S2A,S2Bからも互いに強度が概ね等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を抑制することができ表示品質に優れたプロジェクター1000を提供することができる。
複屈折素子であるλ/2板60は一般に入射角依存性を有するため、λ/2板60に対して斜めに直線偏光が入射すると、当該直線偏光が所望の偏光状態に変換されない場合がある。
これに対し、本発明のプロジェクター1000では、第1光源アレイ50とλ/2板60との間の光路上に、第1コリメーターレンズアレイ53が設けられているため、λ/2板60に対して概ね垂直に直線偏光が入射する。よって、当該直線偏光を所望の偏光状態に変換することができ、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
また、この構成によれば、λ/2板60の光学軸の方向を直線偏光の偏光方向に対して適切な方向に調整することで、照度ムラの発生を容易に抑制することができる。
また、本実施形態のプロジェクター1000によれば、基板71をモーター73によって回転させるため、基板71の回転に伴って、第1集光光学系55で集光された複数の青色光が基板71に入射する位置が時間的に変動する。半導体レーザーのように干渉性の高い光を射出する固体光源を用いて表示を行うと、スクリーンSCRなどの散乱体で光の干渉が生じ、明点と暗点が縞模様あるいは斑模様に分布する、いわゆるスペックルと呼ばれる現象が発生する場合があるが、基板71を回転させると、スペックルのパターンが時間的に変動するため、それらが時間的に重畳され平均化されることで、スペックルが認識されにくくなる。
よって、表示品質の高い画像表示が可能となる。
なお、本実施形態のプロジェクター1000では、複屈折素子としてλ/2板60を用い、直線偏光の光の偏光方向とλ/2板60の光学軸とのなす角度が−45°以上+45°以下の角度に設定したが、これに限らない。例えば、複屈折素子としてλ/4板を用いることもできる。
複屈折素子としてλ/4板を用いる場合、λ/4板の光学軸は第1固体光源52から射出される光の偏光方向に対して−45°以上+45°以下の角度をなすように設定されていれば、第1固体光源52から射出されたS偏光からなる励起光は、円偏光または楕円偏光に変換される。
このような構成においても、λ/4板の光学軸の方向を直線偏光の偏光方向に対して適切な方向に調整することで、照度ムラの発生を容易に抑制することができる。
図5は、比較例及び実施例それぞれのプロジェクターにおいて偏光変換素子から射出された光の照明像を示す図である。
図5(a)は、比較例のプロジェクター(第1光源アレイと回転拡散板との間の光路上にλ/2板が設けられていないことにより、偏光変換素子の光入射面に入射するS偏光成分とP偏光成分の割合が大きく異なっている構成)の照明像を示す図である。
図5(b)は、本実施形態のプロジェクター1000において複屈折素子としてλ/4板を用い、λ/4板の光学軸の方向を直線偏光の偏光方向に対して45°をなす方向に配置した構成の照明像を示す図である。
図5(c)は、本実施形態のプロジェクター1000において複屈折素子としてλ/2板60を用い、λ/2板の光学軸の方向を直線偏光の偏光方向に対して概ね22.5°をなす方向に配置するとともに、その光学軸の方向をスクリーン上の照度ムラが最も少なくなるように微調整した構成の照明像を示す図である。
図5(a)に示すように、比較例のプロジェクターの照明像は、照度ムラが生じている。これに対し、図5(a)及び図5(c)に示すように、実施例のプロジェクターの照明像は、いずれも照度ムラの発生が抑制されている。
なお、本実施形態のプロジェクター1000では、第1固体光源52から射出された光を拡散させる拡散部材として回転拡散板70を用いたが、拡散部材はこれに限らない。例えば、第1固体光源52から射出された光をその入射方向に対して交差する方向に振動可能な拡散板を用いてもよい。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、蛍光体層32が形成された基板として回転板31を用いたが、これに限らない。例えば、蛍光体層が形成された基板として励起光が入射する方向に対して交差する方向に振動可能な基板を用いてもよい。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、励起光として青色光を射出する固体光源12と、青色光から赤色光及び緑色光を含む蛍光を発する蛍光体層32を用いたが、これに限らない。例えば、励起光として紫色光又は紫外光を射出する各固体光源と、紫色光又は紫外光から赤色光、緑色光及び青色光を含む色光を発する蛍光体層とを用いてもよい。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、光変調装置として液晶光変調装置を用いたが、これに限定らない。光変調装置としては、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を用いてもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、液晶光変調装置として3つの液晶光変調装置を用いたが、これに限らない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、透過型のプロジェクターを用いたが、これに限らない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過するタイプであることを意味している。「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
図6は、図2に対応した、本発明の第2実施形態に係るプロジェクター1001の光学系を示す概略図である。
図6に示すように、本実施形態に係るプロジェクター1001は、複屈折素子としてのλ/2板61が回転拡散板70と偏光変換素子93との間の光路上に配置されている点で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1000と異なっている。λ/2板61の光学軸の方向は、第1固体光源52から射出され回転拡散板70により偏光解消されずにλ/2板61に入射した直線偏光の偏光方向に対して−45°以上+45°以下の角度(例えば22.5°)をなす方向に設定されている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図6においては、便宜上、第2光源アレイ10、ダイクロイックミラー22などの部材の図示を省略している。
第1実施形態のλ/2板60は、第1光源アレイ50と回転拡散板70との間の光路上に配置されていた。この構成では、第1光源アレイ50から射出された直線偏光がλ/2板60により円偏光または楕円偏光に変換され、その後、回転拡散板70により拡散されるため、偏光変換素子93に入射する光は偏光状態がランダムになる。
これに対し、本実施形態のλ/2板61は、図6に示すように、回転拡散板70と偏光変換素子93との間の光路上に配置されている。この構成では、第1光源アレイ50から射出された直線偏光が回転拡散板70により拡散され、偏光解消されて、当該直線偏光と直交する偏光成分を含む拡散光となる。ただし、第1光源アレイ50から射出された直線偏光は回転拡散板70において完全には偏光解消されず、拡散光の偏光状態は、第1光源アレイ50から射出された直線偏光の偏光状態を強く反映したものとなっている。例えば、回転拡散板70から射出された拡散光にはS偏光として入射する偏光成分が70%、P偏光として入射する偏光成分が30%含まれている。この拡散光は、λ/2板61により円偏光または楕円偏光に変換される。例えば、拡散光のうちS偏光はλ/2板61により右回りの円偏光または楕円偏光に変換される。一方、拡散光のうちP偏光はλ/2板61により左回りの円偏光または楕円偏光に変換される。これにより、偏光変換素子93に入射する光はP偏光とS偏光とを概ね等しい割合で含む光となる。
本実施形態のλ/2板61は、第1ピックアップ光学系80とフライアイインテグレーター90との間の光路上に配置されている。第1ピックアップ光学系80は、回転拡散板70から射出された拡散光を平行化してλ/2板61に入射させる光学手段として機能する。λ/2板61を第1ピックアップ光学系80とフライアイインテグレーター90との間の光路上に配置した場合、回転拡散板70から射出された拡散光はλ/2板61に対して概ね垂直に入射するため、当該拡散光を所望の偏光状態に確実に変換することができる。また、回転拡散板70で拡散された光が集光せずに広がった状態でλ/2板61に入射するので、λ/2板61が回転拡散板70から射出された光の熱によって熱劣化することが抑制される。なお、λ/2板61は、第1ピックアップ光学系80とフライアイインテグレーター90との間の光路上に限らず、第1ピックアップ光学系80と偏光変換素子93との間の光路上であれば、いずれの位置に配置されていてもよいが、第1ピックアップ光学系80とフライアイインテグレーター90との間の光路上に配置されていれば、前述した効果が得られるため好ましい。
本実施形態に係るプロジェクター1001によれば、第1光源アレイ50から射出された直線偏光が回転拡散板70により拡散され、この拡散光がλ/2板61により円偏光または楕円偏光に変換され偏光変換素子93に入射する。そのため、偏光変換素子93に入射する光はP偏光とS偏光とを概ね等しい割合で含む光となる。このため、偏光変換素子93の射出領域S2Aと射出領域S2Bのいずれの領域からも互いに強度が概ね等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を抑制することができ表示品質に優れたプロジェクター1001を提供することができる。
複屈折素子であるλ/2板61は一般に入射角依存性を有するため、λ/2板61に対して斜めに直線偏光(偏光解消されずに回転拡散板70を通過した直線偏光と、偏光解消によって生じた当該直線偏光と直交する直線偏光成分)が入射すると、当該直線偏光が所望の偏光状態に変換されない場合がある。
これに対し、本発明のプロジェクター1001では、回転拡散板70とλ/2板61との間の光路上に、第1ピックアップ光学系80が設けられているため、λ/2板61に対して概ね垂直に直線偏光が入射する。よって、当該直線偏光を所望の偏光状態に変換することができ、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
(第3実施形態)
図7は、図6に対応した、本発明の第3実施形態に係るプロジェクター1002の光学系を示す概略図である。
図7に示すように、本実施形態に係るプロジェクター1002は、複屈折素子としてのλ/2板62がフライアイインテグレーター90と偏光変換素子93との間の光路上に配置されている点で上述の第2実施形態に係るプロジェクター1001と異なっている。λ/2板62の光学軸の方向は、第1固体光源52から射出され回転拡散板70により偏光解消されずにλ/2板62に入射した直線偏光の偏光方向に対して−45°以上+45°以下の角度(例えば−22.5°)をなす方向に設定されている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図6と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
なお、図7においては、便宜上、第2光源アレイ10、ダイクロイックミラー22などの部材の図示を省略している。
本実施形態に係るプロジェクター1002においても、複屈折素子としてのλ/2板62に対して平行化した直線偏光が入射する。よって、当該直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換することができ、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
(第4実施形態)
図8は、図2に対応した、本発明の第4実施形態に係るプロジェクター1003の光学系を示す概略図である。
図8に示すように、本実施形態に係るプロジェクター1003は、複屈折素子としてのλ/2板63が回転拡散板70の光入射面に配置されている点で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1000と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図8においては、便宜上、第2光源アレイ10、ダイクロイックミラー22などの部材の図示を省略している。
第1固体光源52から射出されλ/2板63に入射した直線偏光の偏光方向とλ/2板63の光学軸の方向とのなす角は、回転拡散板70の回転に伴って−90°から90°の間で変化する。そのため、時間積分すれば、偏光変換素子93に入射する光はP偏光とS偏光とを概ね等しい割合で含む光となる。このため、偏光変換素子93のいずれのいずれの射出領域S2A,S2Bからも互いに強度が概ね等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を抑制することができ表示品質に優れたプロジェクター1001を提供することができる。
なお、λ/2板63は、回転拡散板70の光入射面に限らず、回転拡散板70の光射出面に配置されていてもよい。図8では、λ/2板63は基板71の全面に設けられているが、λ/2板63は必ずしも基板71の全面に設けられている必要はなく、少なくとも第1光源アレイ50からの光が入射する位置(第1集光レンズ54により光が集光する位置)に設けられていればよい。
本実施形態に係るプロジェクター1003によれば、λ/2板63に照射される光の熱が回転拡散板70の回転によって回転拡散板70の周方向に放散されるため、λ/2板63に蓄熱することが抑制される。よって、λ/2板63の熱劣化を抑え長寿命化を図ることができる。
(第5実施形態)
図9は、図2に対応した、本発明の第5実施形態に係るプロジェクター2000の光学系を示す概略図である。
図9に示すように、本実施形態に係るプロジェクター2000は、複屈折素子としてのλ/2板が設けられていない点、第1光源アレイ150に2種類の固体光源152,153が配置されている点で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1000と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図8においては、便宜上、第2光源アレイ10、ダイクロイックミラー22などの部材の図示を省略している。
図10は、第1基台151上に設置された2種類の固体光源152,153の設置状態を示す平面図である。第1光源アレイ150は、第1の直線偏光を射出する第1の固体光源152と第2の直線偏光を射出する第2の固体光源153と、を備えている。第1の固体光源152と第2の固体光源153は、互いに長手方向が直交するように第1基台151の面151a内において相対的に回転された状態で設置されている。第1の固体光源152から射出された第1の直線偏光および第2の固体光源153から射出された第2の直線偏光は、回転拡散板70によって偏光解消されずに回転拡散板70を透過する。回転拡散板70から射出された拡散光のうち第1の固体光源152から射出された成分は、偏光分離膜931に対する入射面と0°の角をなす方向に偏光した光(P偏光)を主としてなり、回転拡散板70から射出された拡散光のうち第2の固体光源153から射出された成分は、偏光分離膜931に対する入射面と90°の角をなす方向に偏光した光(S偏光)を主としてなるように、第1の固体光源152の長手方向と第2の固体光源153の長手方向とが設定されている。
図10に示すように、第1基台151の面151a上には、8個の第1の固体光源152が4行2列に並んで配置されている。また、8個の第2の固体光源153が4行2列に並んで配置されている。第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とは等しくなっている。第1の固体光源152及び第2の固体光源153の2種類の固体光源は4行4列のマトリクス状に配置されている。なお、本実施形態の第1光源アレイ150においては、16個の固体光源が配置されているが、配置数は16個に限定されない。第1基台151の中心C2は、図9に示した第1ピックアップ光学系80の光軸と一致する。
8個の第1の固体光源152は、その長手方向が、平面視矩形形状を有する第1基台151の一辺(図10中の左右の辺)と平行になるように整然と配置されている。そのため、複数の第1の固体光源152から射出される複数の光は、互いに偏光方向が揃った光となる。
一方、8個の第2の固体光源153は、その長手方向が、平面視矩形形状を有する第1基台151の一辺(図10中の左右の辺)と直交するように整然と配置されている。そのため、複数の第2の固体光源153から射出される複数の光は、互いに偏光方向が揃った光となる。
仮に、偏光分離膜931に対してP偏光またはS偏光を入射させる1種類の固体光源を備えた構成であると、回転拡散板70から射出された拡散光は、P偏光またはS偏光のいずれか一方の偏光方向に偏る。そのため、偏光変換素子の一部の領域からは相対的に大きい強度の光が射出され残りの一部の領域からは相対的に小さい強度の光が射出される。これに起因して、照度ムラが発生するという問題が生じる。
これに対し、本発明のプロジェクター2000では、偏光分離膜931に対してP偏光を入射させる第1の固体光源152および偏光分離膜931に対してS偏光を入射させる第2の固体光源153の2種類の固体光源を備えているため、回転拡散板70から射出された拡散光は、P偏光またはS偏光のいずれか一方の偏光方向に偏ることが抑制される。
そのため、偏光変換素子93の一部の領域からは相対的に大きい強度の光が射出され残りの一部の領域からは相対的に小さい強度の光が射出されることが抑制される。よって、照度ムラの発生を抑制することができ表示品質に優れたプロジェクター2000を提供することができる。
また、この構成によれば、第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とが等しいため、回転拡散板70から射出された拡散光は、P偏光とS偏光の割合が等しくなる。このため、偏光変換素子93のいずれの射出領域からも互いに強度が等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
なお、本実施形態のプロジェクター2000では、第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とが等しい例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とが概ね等しくてもよい。ここで、「概ね等しい」とは、第1の固体光源の配置数と第2の固体光源の配置数の差が±5%の範囲であることをいう。
また、本実施形態のプロジェクター2000では、第1基台151の面151a上に、8個の第1の固体光源152が4行2列に並んで配置されており、8個の第2の固体光源153が4行2列に並んで配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。第1の固体光源152の配置構成と第2の固体光源153の配置構成とは、それぞれ種々の配置構成を採用することができる。
(第1変形例)
図11は、第1基台151上に設置された2種類の固体光源152,153の設置状態の第1変形例を示す平面図である。
図11に示すように、本変形例の第1光源アレイ150Aにおいて、第1基台151の面151a上には、8個の第1の固体光源152が2行4列に配置されている。また、8個の第2の固体光源153が2行4列に配置されている。本変形例においては、4個の第1の固体光源152と4個の第2の固体光源153とが交互に並んで配置されている。第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とは等しくなっている。第1の固体光源152及び第2の固体光源153の2種類の固体光源は4行4列のマトリクス状に配置されている。なお、本変形例の第1光源アレイ150Aにおいては、16個の固体光源が配置されているが、配置数は16個に限定されない。
本変形例においても、第1の固体光源152の配置数と第2の固体光源153の配置数とが概ね等しいため、回転拡散板70から射出された拡散光は、P偏光とS偏光の割合が概ね等しくなる。このため、偏光変換素子93のいずれの射出領域からも互いに強度が概ね等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
(第2変形例)
図12は、第1基台151上に設置された2種類の固体光源152,153の設置状態の第2変形例を示す平面図である。
本変形例の第1光源アレイ150Bにおいて、図11に示した第1変形例との違いは、第1の固体光源152の長手方向と第2の固体光源153の長手方向にある。本変形例では、第1の固体光源152の長手方向は第2の固体光源153の長手方向と一致している。しかし、回転拡散板70から射出された拡散光のうち第1の固体光源152から射出された成分は、偏光分離膜931に対する入射面と45°の角をなす方向に偏光した光を主としてなり、回転拡散板70から射出された拡散光のうち第2の固体光源153から射出された成分は、偏光分離膜931に対する入射面と45°の角をなす方向に偏光した光を主としてなるように、第1の固体光源152の長手方向および第2の固体光源153の長手方向を設定する。
本変形例においても、回転拡散板70から射出された拡散光は、P偏光とS偏光の割合が概ね等しくなる。このため、偏光変換素子93のいずれの射出領域からも互いに強度が概ね等しい光が射出される。よって、照度ムラの発生を確実に抑制することができる。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
上記各実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の光源装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。