JP5913796B2 - インナーライナー用ポリマー積層体を用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、インナーライナー用ポリマー積層体およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られている。タイヤ部材のなかでも、タイヤ半径方向の内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れの量(空気透過量)を低減して耐空気透過性を向上させるはたらきをもつインナーライナーにおいても、軽量化などが行われるようになってきた。
現在、インナーライナー用ゴム組成物として、ブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含むブチル系ゴムを使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行われている。また、ブチル系ゴムはブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄・加硫促進剤・亜鉛華と相まって、隣接ゴムとの共架橋を可能にしている。上記ブチル系ゴムは、通常の配合では乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚みが必要となる。
そこで、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚みを薄くすることができる熱可塑性エラストマーを、インナーライナーに用いることが提案されている。しかし、ブチル系ゴムを用いたインナーライナーよりも厚みを薄くしても、良好な耐空気透過性を有することのできるインナーライナー層は未だ得られていない。また、インナーライナーを薄くすると強度が低下し、加硫工程時のブラダーの熱と圧力によって、インナーライナーが破れることがあるという問題がある。
特許文献1(特開平9−165469号公報)には、空気透過率の低いナイロンを用いてインナーライナー層を形成することで、インナーライナーとタイヤ内部またはカーカス層を形成するゴム組成物との接着性を向上させることのできる空気入りタイヤが提案されている。しかし、特許文献1の技術においては、ナイロンフィルム層を形成するために、ナイロンフィルムをRFL処理した後、ゴム組成物から成るゴム糊を接着する必要があり、工程が複雑化するという問題がある。さらに、加硫工程では一般に、金型内に収容した未加硫タイヤ(生タイヤ)内にブラダー本体を挿入し、ブラダー本体を膨張させて未加硫タイヤの内側から金型内面に押し付けて加硫成形を行うタイヤ加硫方法が採用されているが、特許文献1のインナーライナー層では、ナイロンフィルム層からなるインナーライナー層とブラダーとが加熱状態で接触することになり、インナーライナー層がブラダーに粘着、接着してしまう。すると加硫後タイヤを金型から取り出す時に、ブラダーに接着したインナーライナー層がブラダー側にとられ、インナーライナー層とインスレーションまたはカーカスの間にエアーイン現象が生じるという問題がある。
特開平9−165469号公報
本発明は、厚みが薄く、隣接ゴム層との接着性、耐屈曲疲労性および耐静的空気圧低下率に優れたインナーライナー用ポリマー積層体、およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体からなるSIBS層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体からなるエポキシ化SBS層とを備え、SIBS層の厚みは0.05mm以上0.6mm以下であり、エポキシ化SBS層の厚みは0.01mm以上0.3mm以下である、インナーライナー用ポリマー積層体である。
本発明に係るインナーライナー用ポリマー積層体において好ましくは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は重量平均分子量が5万以上40万以下であり、かつスチレン単位含有量が10質量%以上30質量%以下である。
本発明に係るインナーライナー用ポリマー積層体において好ましくは、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は重量平均分子量が1万以上40万以下であり、かつスチレン単位含有量が10質量%以上30質量%以下であり、エポキシ当量が50以上1,000以下である。
本発明は、本発明に係るインナーライナー用ポリマー積層体をインナーライナー部に適用した空気入りタイヤである。
本発明によれば、厚みが薄く、隣接ゴム層との接着性、耐屈曲疲労性および耐静的空気圧低下率に優れたインナーライナー用ポリマー積層体、およびそれを用いた空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分を示す模式的断面図である。 本発明の一実施の形態におけるインナーライナー用ポリマー積層体を示す模式的断面図である。
<空気入りタイヤ>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの構造について、図1を用いて説明する。
空気入りタイヤ1は、乗用車用、トラック・バス用、重機用などとして用いることができる。空気入りタイヤ1は、トレッド部2とサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部にわたって設けられ、両端を折り返してビードコア5を係止するカーカス6と、該カーカス6のクラウン部外側に2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。カーカス6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部に亘るインナーライナー9が配置されている。ベルト層7は、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなる2枚のプライを、タイヤ周方向に対してコードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。またカーカスはポリエステル、ナイロン、アラミドなどの有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°の角度に配列されており、カーカスとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。なお、インナーライナー9とカーカス6との間に、インスレーションが配置されていてもよい。
本発明の一実施の形態において、インナーライナー9はインナーライナー用ポリマー積層体からなることを特徴とする。
<インナーライナー用ポリマー積層体>
本発明の一実施の形態におけるインナーライナー用ポリマー積層体の構造について、図2を用いて説明する。
インナーライナー用ポリマー積層体10は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)からなるSIBS層11と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(以下、エポキシ化SBSともいう)からなるエポキシ化SBS層12とを備える。
SIBS層11の厚みは0.05mm以上0.6mm以下であり、エポキシ化SBS層12の厚みは0.01mm以上0.3mm以下である。SIBS層11とエポキシ化SBS層12との厚みの合計は、軽量化と空気保持性の観点から0.06mm以上0.9mm以下が好ましく、0.06mm以上0.6mm以下がさらに好ましい。
(SIBS層)
本明細書において、SIBS層とはスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体からなるポリマーシートを意味する。SIBSのイソブチレンブロックにより、SIBS層は優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。したがって、SIBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合、SIBSを含有させることにより耐空気透過性を確保するため、たとえばハロゲン化ブチルゴムなどの、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用しないか、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC法による重量平均分子量が5万以上40万以下であることが好ましい。重量平均分子量が5万未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、40万を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIBSは一般的にスチレン単位を10質量%以上40質量%以下含む。耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、SIBS中のスチレン単位の含有量は10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
SIBSは、イソブチレン単位とスチレン単位のモル比(イソブチレン単位/スチレン単位)が、該共重合体のゴム弾性の点から40/60〜95/5であることが好ましい。SIBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンブロックでは10,000〜150,000程度、またスチレンブロックでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができる。たとえば、リ
ビングカチオン重合法により得ることができる。
特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。このほかにも、リビングカチオン重合法によるビニル化合物重合体の製造法が、たとえば、米国特許第4,946,899号、米国特許第5,219,948号、特開平3−174403号公報などに記載されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、たとえばポリブタジエンなどの分子内に二重結合を有している重合体に比べて紫外線に対する安定性が高く、耐候性が良好である。
SIBS層11の厚みは0.05mm以上0.6mm以下である。SIBS層の厚みが0.05mm未満であると、SIBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、SIBS層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じるおそれがある。一方、SIBS層の厚みが0.6mmを超えると、タイヤ重量が増加して低燃費性能が低下するおそれがある。SIBS層の厚みは、0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
SIBS層は、押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性エラストマーをシート化する通常の方法によって得ることができる。
(エポキシ化SBS層)
本明細書において、エポキシ化SBS層とはエポキシ化SBSからなるポリマーシートを意味する。エポキシ化SBSは、ハードセグメントがポリスチレンブロック、ソフトセグメントがブタジエンブロックであり、ブタジエンブロックに含まれる不飽和二重結合部分をエポキシ化した熱可塑性エラストマーである。
エポキシ化SBSはスチレンブロックを有するため、同様にスチレンブロックを有するSIBSとの溶融接着性に優れている。したがって、SIBS層とエポキシ化SBS層とを隣接して配置して加硫すると、SIBS層とエポキシ化SBS層とが良好に接着したポリマー積層体を得ることができる。
エポキシ化SBSはブタジエンブロックからなるソフトセグメントを有するため、ゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、エポキシ化SBS層を、たとえばカーカスやインスレーションを形成するゴム層と隣接して配置して加硫すると、エポキシ化SBS層とゴム層とが良好に接着することができる。したがって、エポキシ化SBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに用いた場合、ポリマー積層体と隣接ゴム層との接着性を向上させることができる。
エポキシ化SBSの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC法による重量平均分子量が1万以上40万以下であることが好ましい。重量平均分子量が1万未満であると柔らかすぎて寸法が安定しないおそれがあり、40万を超えると硬すぎて薄く押出しできないおそれがあるため好ましくない。
エポキシ化SBS中のスチレン単位の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
エポキシ化SBSは、ブタジエン単位とスチレン単位のモル比(ブタジエン単位/スチレン単位)が、90/10〜70/30であることが好ましい。エポキシ化SBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からブタジエンブロックでは500〜5,000程度、またスチレンブロックでは50〜1,500程度であることが好ましい。
エポキシ化SBSのエポキシ当量は、接着性の観点から50以上1,000以下が好ましい。
エポキシ化SBS層12の厚みは0.01mm以上0.3mm以下である。エポキシ化SBS層の厚みが0.01mm未満であると、エポキシ化SBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、エポキシ化SBS層がプレス圧力で破れてしまい、SIBS層および隣接ゴム層との加硫接着力が低下するおそれがある。一方、エポキシ化SBS層の厚みが0.3mmを超えると、タイヤ重量が増加して低燃費性能が低下するおそれがある。エポキシ化SBS層の厚みは、0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
エポキシ化SBS層は、押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性エラストマーをシート化する通常の方法によって得ることができる。
<インナーライナー用ポリマー積層体の製造方法>
本発明の一実施の形態におけるインナーライナー用ポリマー積層体は、たとえば以下の方法で製造することができる。押出成形やカレンダー成形などによってSIBSまたはエポキシ化SBSをシート化して、SIBS層およびエポキシ化SBS層を作製する。SIS層とエポキシ化SBS層とを貼り合わせてポリマー積層体を作製する。また、SIBSまたはエポキシ化SBSのそれぞれのペレットをラミネート押出や共押出などの積層押出をして作製することもできる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤは、たとえば以下の方法で製造することができる。
本発明のインナーライナー用ポリマー積層体をインナーライナー部に適用して生タイヤを作製する。インナーライナー用ポリマー積層体は、エポキシ化SBS層をカーカスやインスレーションに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、エポキシ化SBS層とカーカスまたはインスレーションなどの隣接ゴム層とが加硫接着することができる。したがって得られた空気入りタイヤにおいて、インナーライナーが隣接ゴム層と良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
次に、前記生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより150〜180℃で3〜50分間、加圧しつつ加熱して加硫タイヤを得る。次に、得られた加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却することが好ましい。
空気入りタイヤは、本発明に係るインナーライナー用ポリマー積層体をインナーライナーに用いている。該ポリマー積層体を構成するSIBSおよびエポキシ化SBSは熱可塑性エラストマーであるため、加硫タイヤを得る工程において、たとえば150〜180℃に加熱されると、金型内で軟化状態となる。軟化状態の熱可塑性エラストマーは、固体状態よりも反応性が向上するため、隣接部材と融着する。すなわち、膨張したブラダーの外側表面と接するインナーライナーは、加熱により軟化してブラダーに融着してしまう。インナーライナーとブラダーの外側表面が融着した状態で加硫タイヤを金型から取り出そうとすると、インナーライナーが、隣接するインスレーションやカーカスから剥離してしまい、エアーイン現象が生じてしまう。また、タイヤの形状自体が変形してしまう場合もある。
そこで、得られた加硫タイヤを直ちに120℃以下で10秒以上急冷することにより、インナーライナーに用いられている熱可塑性エラストマーを固化させることができる。熱可塑性エラストマーが固化すると、インナーライナーとブラダーとの融着が解消し、加硫タイヤを金型から取り出す際の離型性が向上する。
冷却温度は50〜120℃が好ましい。冷却温度が50℃より低いと、特別な冷却媒体を準備する必要があり、生産性を悪化させるおそれがある。冷却温度が120℃を超えると、熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアーイン現象が発生するおそれがある。冷却温度は、70〜100℃であることがさらに好ましい。
冷却時間は10〜300秒間が好ましい。冷却時間が10秒より短いと熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアーイン現象が発生する恐れがある。冷却時間が300秒を超えると生産性が悪くなる。冷却時間は、30〜180秒であることがさらに好ましい。
加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却して行うことが好ましい。ブラダー内は空洞であるため、加硫工程終了後にブラダー内に前記冷却温度に調整された冷却媒体を導入することができる。
なお、加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却することと併せて、金型に冷却構造を設置して実施することも可能である。
冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルよりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。なかでも、冷却効率に優れている水を用いることが好ましい。<実施例>
<実施例1〜3、5、6、比較例1、参考例1〜3
(ポリマー積層体の作製)
SIBS層の原料として、カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、重量平均分子量100,000、スチレン単位含有量25質量%、ショアA硬度25)を準備した。
エポキシ化SBS層の原料として、ダイセル化学工業(株)社製の「エポフレンド A1020」(エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、重量平均分子量100,000、エポキシ当量500)を準備した。
上記のSIBS層およびエポキシ化SBS層の原料のそれぞれを、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。得られたペレットを、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイグリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)を用いて共押出しを行い、表1に示す厚みのSIBS層およびエポキシ化SBS層を有するポリマー積層体を作製した。なお、比較例1としてSIBS層のみからなるポリマーシートを準備した。
(空気入りタイヤの作製)
得られたポリマー積層体をタイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを準備し
た。なお、ポリマー積層体のSIBS層が生タイヤの半径方向の最も内側に配置され、エポキシ化SBS層が生タイヤのカーカス層に接するように、ポリマー積層体を配置した。該生タイヤを金型内で170℃で20分間プレス成形して、195/65R15サイズの加硫タイヤを作製した。加硫タイヤを100℃で3分間冷却した後、加硫タイヤを金型から取り出し空気入りタイヤを得た。
ポリマー積層体および空気入りタイヤについて以下の評価を行った。
(接着性)
JIS K 6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−接着性の求め方」に準じて剥離試験を行った。はじめに、前記ポリマー積層体およびゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)を貼り合わせて加硫して剥離用試験片を作製した。得られた試験片を用いて剥離試験を行い、ポリマー積層体とゴムシートの接着力を測定した。試験片の大きさは25mm幅で、23℃の室温条件下で行った。得られた数値を比較例1を基準(100)として以下の計算式により接着性指数を算出した。数値が大きいほど接着性に優れている。
(接着性指数)=(各ポリマー積層体の接着力)/(比較例1の接着力)×100
結果を表1に示す。
(屈曲疲労性)
JIS K 6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、当該ポリマー積層体およびゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)を貼り合わせて加硫して、中央に溝のある所定の試験片を作製した。雰囲気温度23℃、歪30%、周期5Hzで、70万回、140万回、210万回の屈曲時に試験片のき裂長さを測定し、亀裂が1mm成長するのに要した繰り返し回数(回×106/mm
)を算出した。得られた数値を比較例1を基準(100)として以下の計算式により屈曲疲労性指数を算出した。数値が大きいほど亀裂が成長しにくく耐屈曲疲労性が良好である。
(屈曲疲労性指数)=(各ポリマー積層体の繰り返し回数)/(比較例1の繰り返し回数)×100
結果を表1に示す。
(静的空気圧低下率)
製造した195/65R15サイズのタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。
結果を表1に示す。
Figure 0005913796
(評価結果)
実施例1〜3、5および6は、SIBS層およびSIS層を有するポリマー積層体および該ポリマー積層体をインナーライナーに適用したタイヤである。実施例1〜3、5および6は、インナーライナーとしてSIBS層のみを用いた比較例1に比べて、良好な静的空気圧低下率を維持したまま、接着性が非常に向上し、耐屈曲疲労性も向上した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、10 インナーライナー用ポリマー積層体、11 SIBS層、12 エポキシ化SBS層。

Claims (3)

  1. インナーライナー用ポリマー積層体をインナーライナー部に適用した空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナー用ポリマー積層体は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体からなるSIBS層と、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体からなり、加硫剤および加硫促進剤を含まない組成物よりなるエポキシ化SBS層とを備え、
    前記SIBS層の厚みは0.4mm以上0.6mm以下であり、
    前記エポキシ化SBS層の厚みは0.01mm以上0.3mm以下であり、
    前記エポキシ化SBS層はタイヤ半径方向外側に向けて配置される、
    空気入りタイヤ。
  2. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン単位含有量が10質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体はスチレン単位含有量が10質量%以上30質量%以下であり、エポキシ当量が50以上1,000以下である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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