JP5911136B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる固体電解コンデンサの製造方法に関する。
導電性高分子は、その高い導電性により、例えば、タンタル固体電解コンデンサ、アルミニウム固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質として用いられている。
この用途における導電性高分子としては、例えば、チオフェンまたはその誘導体などを化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られたものが用いられている。
上記チオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、主として有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸が適しているといわれており、酸化剤としては、遷移金属が用いられ、その中でも第二鉄が適しているといわれていて、通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合にあたって酸化剤兼ドーパントとして用いられている。
そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄塩の中でも、パラトルエンスルホン酸第二鉄やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄などが特に有用であるとされていて、それらを用いた導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼ドーパントをチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーと混合することにより行うことができ、簡単で、工業化に向いていると報告されている(特許文献1、特許文献2)。
そこで、上記のような知見に基づき、パラトルエンスルホン酸第二鉄やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄などを酸化剤兼ドーパントとして、固体電解コンデンサの製造時に、いわゆる「その場重合」と呼ばれる方法で、チオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して、コンデンサ素子の陽極の誘電体層上にチオフェンまたはその誘導体の重合体を骨格とする導電性高分子の層を形成し、その導電性高分子を固体電解質として固体電解コンデンサを製造することが行われている。
しかしながら、コンデンサの特性向上への要請はますます高くなり、上記のような「その場重合」により合成した導電性高分子を固体電解質として用いただけの固体電解コンデンサでは、そのような要請に対して充分に応えることができないという問題があった。
一方、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸をドーパントとし、チオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合して導電性高分子を合成し、その導電性高分子の分散液を固体電解コンデンサの製造に供することも提案されている(特許文献3、特許文献4)。
上記のように、あらかじめポリスチレンスルホン酸などの高分子スルホン酸をドーパントとして合成した導電性高分子の分散液を用いて製造した固体電解コンデンサは、高温条件下での使用に対する信頼性に優れているが、「その場重合」による場合に比べてコストが高く、実用性に問題があった。
特開2003−160647号公報 特開2004−265927号公報 特許第4454041号公報 特許第4454042号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み、高性能の固体電解コンデンサ、すなわち、ESR(等価直列抵抗)が低く(小さく)、かつ耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも漏れ電流が少なく、かつ耐電圧性が優れた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる固体電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子の誘電体層上に、芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成した後、上記導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を含浸させた後、乾燥する工程を経由して、固体電解コンデンサを製造するときは、ESRが低く、かつ、耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも漏れ電流が少なく、かつ耐電圧性が優れた固体電解コンデンサが得られることを見出し、完成されたものである。
本発明によれば、ESRが低く、かつ耐熱性が優れていて高温条件下における信頼性が高く、しかも漏れ電流が少なく、かつ耐電圧性が優れた固体電解コンデンサを提供することができる。すなわち、本発明においては、陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子を合成して導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を含浸させるので、それによって、上記溶液が導電性高分子の表面に接触するのみならず、微視的には多孔質状である導電性高分子の層中に浸透していく。特にセパレータを用いた巻回型固体電解コンデンサでは、多孔質状のセパレータ中に上記溶液が浸透していく。そして、その状態で、乾燥すると、有機溶剤は蒸発していくが、溶液中に溶解していたカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物がコンデンサ中に残り、そのカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が導電性を有していて、導電性高分子の電解質としての作用を補強する。従って、固体電解コンデンサのESRが低くなり、また、上記カルボキシル基を1つ有する環状有機化合物が有する鉄の価数変化抑制作用により、耐熱性を向上させ、また、耐漏れ電流性を向上させ、耐電圧性を向上させる。
本発明においては、上記のように固体電解コンデンサの製造工程中にコンデンサ素子の陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子を合成して導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が溶解した溶液を含浸させ、その後、乾燥する工程を経由して固体電解コンデンサを製造するが、このカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物としては、芳香族系のもの、複素環式のもの、脂環式のものなど、いずれも使用可能であるが、特に芳香族系のものが好ましく、その芳香族系のものとしては、ベンゼン系のもの、ナフタレン系のもの、アントラセン系のもののいずれも用いることができる。そして、そのカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物のうち芳香族系のものの具体例としては、例えば、ヒドロキシベンゼンカルボン酸(つまり、ヒドロキシ安息香酸)、ジヒドロキシベンゼンカルボン酸、トリヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ジヒドロキシベンゼンジカルボン酸、アミノヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシトルエンカルボン酸、ヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(つまり、ヒドロキシニトロ安息香酸)、ジヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(つまり、ジヒドロキシニトロ安息香酸)、ヒドロキシナフタレンカルボン酸(つまり、ヒドロキシナフトエ酸)、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸、トリヒドロキシナフタレンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンジカルボン酸、アセチルアミノヒドロキシナフタレンカルボン酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシアントラセンジカルボン酸、ジヒドロキシアントラセンジカルボン酸、ニトロベンゼンカルボン酸、ジニトロベンゼンカルボン酸、ニトロベンゼンジカルボン酸、ジニトロベンゼンジカルボン酸、ニトロナフタレンカルボン酸、ジニトロナフタレンカルボン酸などが挙げられる。また、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物のうち複素環式のものとしては、例えば、2,5−ジカルボキシ−3,4−ジヒドロキシチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、ヒドロキシピリジン、ジヒドロキシピリジンなどが挙げられ、脂環式のものとしては、例えば、カルボキシシシクロヘキサン、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ジカルボキシシクロヘキサンなどが挙げられる。そして、これらのカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物は、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種類以上を併用することもできる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物のうち、特にヒドロキシル基またはニトロ基を少なくとも1つ有するものが酸化防止作用を有することにより導電性高分子の劣化を抑制するので好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有し且つヒドロキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物としては、例えば、前記のようなヒドロキシベンゼンカルボン酸、ジヒドロキシベンゼンカルボン酸、トリヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ジヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸、ジヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸、ヒドロキシトルエンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸、トリヒドロキシナフタレンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシアントラセンジカルボン酸、ジヒドロキシアントラセンジカルボン酸などが挙げられる。
また、カルボキシル基を少なくとも1つ有し且つニトロ基を少なくとも1つ有する環状有機化合物としては、例えば、上記ニトロベンゼンカルボン酸、ジニトロベンゼンカルボン酸、ジニトロベンゼンジカルボン酸、ヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸、ジヒドロキシニトロベンカルボン酸、ニトロナフタレンカルボン酸、ニトロナフタレンジカルボン酸、ジニトロナフタレンカルボン酸、ジニトロナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物において、特にヒドロキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物とニトロ基を少なくとも1つ有する環状有機化合物とを併用する場合が好ましい。そして、このヒドロキシル基を少なくとも1つ以上有する環状有機化合物とニトロ基を少なくとも1つ以上有する環状有機化合物とを併用する場合において、その両者の割合としては、質量比で、ヒドロキシル基を少なくとも1つ以上有する環状有機化合物:ニトロ基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が1000:1〜1:100、特に10:1〜1:10が好ましい。
そして、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物における「カルボキシル基を少なくとも1つ有する」とは、カルボキシル基を1つだけ有する場合でもよいし、また、カルボキシル基を2つ以上有する場合であってもよいという意味である。また、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物がヒドロキシル基を少なくとも1つ有する場合における「ヒドロキシル基を少なくとも1つ有する」とは、ヒドロキシル基を1つだけ有する場合でもよいし、また、ヒドロキシル基を2つ以上有する場合であってもよいという意味である。そして、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物がニトロ基を少なくとも1つ有する場合における「ニトロ基を少なくとも1つ有する」とは、ニトロ基を1つだけ有する場合でもよいし、また、ニトロ基を2つ以上有する場合であってもよいという意味である。
本発明において、固体電解コンデンサの製造にあたって、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物を用いるのは、前記のように、該カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が導電性高分子の電解質としての作用(つまり、導電性高分子の有する電子伝導作用)を補う能力を有しており、また、該環状有機化合物が有する鉄の価数変化抑制作用により導電性高分子の劣化を抑制できるので、それらによって、固体電解コンデンサのESRを低くし、耐熱性を向上させ、しかも耐漏れ電流性を向上させ、耐電圧性を向上させるからである。また、上記のようなカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物を用いた場合には、導電性高分子の合成に際して酸化剤兼ドーパントとして芳香族スルホン酸第二鉄を用いていても、導電性高分子の合成後に上記芳香族スルホン酸第二鉄に基づく鉄分の除去を行わなくても、上記のような優れた特性を有する固体電解コンデンサを得ることができ、それによって、生産性を大幅に低下させることなく、特性の優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
上記のように固体電解コンデンサの製造中にチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して合成した導電性高分子(いわゆる「その場重合」による導電性高分子)に酸化剤兼ドーパントとして用いた芳香族スルホン酸第二鉄に基づいて付着した鉄分を除去することなく固体電解コンデンサを製造しても、該鉄による特性低下がない固体電解コンデンサが得られるようになる理由は、現在のところ必ずしも明確ではないが、上記のようなカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が、鉄の価数変化を抑制して、鉄の価数変化に基づく導電性高分子の還元脱ドープを防ぎ、コンデンサ特性の低下を防止するとこによるものと考えられる。
上記のようなカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物を使用するにあたっては有機溶剤に溶解して溶液状にするが、その際の有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フラン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサンなどが使用できる。その際、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物を有機溶剤に溶解しやすくするために、例えば、ジメチルアミン、メチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどの低級アミン化合物や、アンモニア、イミダゾール、メチルイミダゾール、メチルエチルイミダゾール、メチルブチルイミダゾールなどの塩基性物質を添加してもよい。
上記溶液中のカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の濃度は、特に限定されることはないが、0.1〜80質量%が好ましく、上記範囲内で、1質量%以上がより好ましく、また、10質量%以下がより好ましい。
上記のように溶液中のカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の濃度を0.1〜80質量%の範囲にすると、導電性高分子の層(以下、簡略化して、「導電性高分子層」ともいう)を形成したコンデンサ素子の上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の有機溶剤溶液への浸漬回数などを多くしなくてもよいし、また、粘度の高すぎによる作業性の低下も生じにくくなる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の有機溶剤溶液を誘電体層上に導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に含浸させた後、乾燥すると、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物は、その大部分が導電性高分子層上に薄膜状で存在するものの、溶液状態にあるときに、一部が微視的には多孔質状である導電性高分子層の内部に浸透し、その状態で乾燥されるので、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の一部が導電性高分子層の内部に入り込んでいるものと考えられる。そして、この導電性高分子層上に残存したカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物や導電性高分子層の内部に入り込んで残存したカルボキシル基を有する環状有機化合物が導電性高分子の電解質としての作用を補強する。また、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサのように、そのコンデンサ素子の構成部材の一部にセパレータを用いている場合には、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の溶液がセパレータ内の空隙に浸透するので、それを乾燥すると、セパレータの空隙内にカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が残存して、これも導電性高分子の電解質としての作用を補強する。そして、それらが固体電解コンデンサのESRを低くし、また、耐熱性を向上させ、耐漏れ電流性を向上させ、かつ耐電圧性を向上させる要因になるものと考えられる。
このカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の量は、導電性高分子に対して1〜5,000質量%(導電性高分子100質量部に対してカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が1〜5,000質量部)が好ましく、上記範囲内で、5質量%以上がより好ましく、また、100質量%以下がより好ましい。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の有機溶剤溶液には、耐熱性向上剤として高沸点溶剤を添加しておくことが好ましい。これはカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液中に高沸点溶剤を含有させておくと、導電性高分子の耐熱性を向上させ、それによって、ESRをより低くし、耐電圧性をより高くするからである。
上記のような高沸点溶剤としては、沸点が150℃以上のものが好ましく、そのような高沸点溶剤の具体例としては、例えば、ブタンジオール(沸点:230℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:203℃)、スルホラン(沸点:285℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)、ジメチルスルホラン(沸点:233℃)、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、特にブタンジオール、ジメチルスルホキシドが好ましい。なお、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール600やポリエチレングリコール1500(ポリエチレングリコールの後の数字は分子量を表す)などのように常圧下では沸点が存在しないものもあるが、どのようなポリエチレングリコールであっても、常圧下150℃未満で沸騰するものはないので、本発明では、このポリエチレングリコ−ルも高沸点溶剤の範疇に含めるものとする。
そして、上記高沸点溶剤の添加量としては、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物に対して、5〜3,000質量%(すなわち、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物100質量部に対して高沸点溶剤が5〜3,000質量部)が好ましく、上記範囲内で、20質量%以上がより好ましく、また、700質量%以下がより好ましい。高沸点溶剤の添加量が上記より少ない場合は、導電性高分子層を形成後のコンデンサ素子に上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の溶液を含浸させたとき、導電性高分子の一部が溶解または膨潤し、それが乾燥するときにコンフォメーション(構造)が変化して導電性高分子の導電性が低下し、その結果、固体電解コンデンサのESRをより低くする作用が低下するとともに、耐電圧を高くさせる作用が低下するおそれがある。また、高沸点溶剤の添加量が上記より多い場合は、溶液の乾燥に時間を要する上に、その熱履歴によりESRを高くしてしまうおそれがある。
また、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の有機溶剤溶液にエポキシ化合物またはその加水分解物、シラン化合物またはその加水分解物およびポリアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合剤を含有させておくと、固体電解コンデンサの耐電圧性を向上させる作用が増加することから好ましい。
上記エポキシ化合物またはその加水分解物としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジル、メタクリル酸グリシジル、エポキシプロパノール(つまり、グリシドール)、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、エポキシブタン(つまり、グリシジルメタン)、エポキシペンタン(つまり、グリシジルエタン)、エポキシヘキサン(つまり、グリシジルプロパン)、エポキシヘプタン(つまり、グリシジルブタン)、エポキシオクタン(つまり、グリシジルペンタン)、エポキシシクロヘキセン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテルなどが挙げられ、シラン化合物またはその加水分解物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シリカゾルなどが挙げられ、ポリアルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。
この結合剤のカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物の有機溶剤溶液への添加量は、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物に対して、0.1〜1000質量%(すなわち、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物100質量部に対して結合剤0.1〜1000質量部)が好ましく、上記範囲内で、10質量%以上がより好ましく、また、300質量%以下がより好ましい。
次に、コンデンサ素子および該コンデンサ素子の誘電体層上への「その場重合」による導電性高分子の合成について説明する。
まず、コンデンサ素子に関して、本発明では、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1つの弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子としているが、このような構成は、アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサに使われているコンデンサ素子に共通する基本的構成を特定するものであって、特殊な構成のコンデンサ素子を意図するものではなく、アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサのいずれの固体電解コンデンサのコンデンサ素子として適用可能なものである。例えば、上記弁金属の多孔体の少なくとも一面に該弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有する陽極と、陰極とをセパレータを介して巻回または積層してコンデンサ素子としてもよいし、また、上記弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものを陽極としてコンデンサ素子を構成し、固体電解コンデンサの陰極として、固体電解質となる導電性高分子の層を形成した後に、カーボン層および銀ペイント層を順次形成したものであってもよい。
本発明において、チオフェンまたはその誘導体の化学酸化重合にあたって、酸化剤兼ドーパントとして用いる芳香族スルホン酸第二鉄としては、例えば、ベンゼンスルホン酸第二鉄、パラトルエンスルホン酸第二鉄などのトルエンスルホン酸第二鉄、エチルベンゼンスルホン酸第二鉄、プロピルベンゼンスルホン酸第二鉄、ブチルベンゼンスルホン酸第二鉄、ドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄、メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄、エトキシベンゼンスルホン酸第二鉄、プロポキシベンゼンスルホン酸第二鉄、ブトキシベンゼンスルホン酸第二鉄、フェノールスルホン酸第二鉄、クレゾールスルホン酸第二鉄、ベンゼンジスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、ナフタレンジスルホン酸第二鉄、ナフタレントリスルホン酸第二鉄、メチルナフタレンスルホン酸第二鉄、エチルナフタレンスルホン酸第二鉄、プロピルナフタレンスルホン酸第二鉄、ブチルナフタレンスルホン酸第二鉄、アントラキノンスルホン酸第二鉄、アントラキノンジスルホン酸第二鉄、アントラキノントリスルホン酸第二鉄などが挙げられ、特にパラトルエンスルホン酸第二鉄や、メトキシベンゼンスルホン第二鉄が好ましい。
そして、上記導電性高分子の合成にあたってのモノマーとしては、チオフェンまたはその誘導体が用いられるが、そのチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、その3,4−エチレンジオキシチオフェンのアルキル誘導体、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が適しているが、特に、3,4−エチレンジオキシチオフェンやそのアルキル誘導体が好ましい。
上記3,4−エチレンジオキシチオフェンやそのアルキル誘導体について以下に詳しく説明するが、以下においては、「3,4−エチレンジオキシチオフェン」の酸素原子が配位する位置を示す「3,4−」を省略して「エチレンジオキシチオフェン」で説明する。
上記エチレンジオキシチオフェンまたはそのアルキル誘導体は、下記の一般式(1)で表される化合物に該当する。
Figure 0005911136
(式中、Rは水素またはアルキル基である)
そして、上記一般式(1)中のRが水素の化合物がエチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3−Dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「エチレンジオキシチオフェン」で表示されることが多いので、本書では、この「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を「エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(1)中のRがアルキル基の場合、該アルキル基としては、炭素数が1〜4のもの、つまり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(1)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−メチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Methyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本書では、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)の中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−エチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Ethyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本書では、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。
一般式(1)の中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−プロピル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Propyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本書では、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(1)の中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−ブチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Butyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本書では、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を、本書では、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、それらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましく、特にエチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。なお、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの合成法は本出願人が出願したPCT/JP2010/70325やPCT/JP2010/70759において具体的に開示している。
これらのエチレンジオキシチオフェンやそのアルキル誘導体(すなわち、アルキル化エチレンジオキシチオフェン)は、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種類以上を併用することができる。特に、本発明においては、エチレンジオキシチオフェンとそのアルキル誘導体であるアルキル化エチレンジオキシチオフェンとを併用するのが好ましい。
上記のチオフェンまたはその誘導体は、通常、常温で液状なので、重合に際して、それ
らをそのまま用いることができるし、また、重合反応をよりスムーズに進行させるために、それらのモノマーを、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリルなどの有機溶剤で希釈して有機溶剤溶液として用いてもよい。
次に上記芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとして、「その場重合」により導電性高分子をコンデンサ素子の誘電体層上に合成していく工程を説明すると、コンデンサ素子をチオフェンまたはその誘導体を含む溶液に浸漬し、取り出し、その後、酸化剤兼ドーパントとしての芳香族スルホン酸第二鉄を含む溶液に浸漬し、取り出して、モノマーのチオフェンまたはその誘導体を重合させて導電性高分子を合成する。また、上記とは逆に、コンデンサ素子を先に酸化剤兼ドーパントとしての芳香族スルホン酸第二鉄の溶液に浸漬し、取り出して、それをモノマーのチオフェンまたはその誘導体を含む溶液に浸漬し、取り出して、モノマーを重合させてもよいし、また、上記のようにコンデンサ素子の浸漬を段階的に行うことなく、コンデンサ素子をモノマーのチオフェンまたはその誘導体と酸化剤兼ドーパントとしての芳香族スルホン酸第二鉄とを含む溶液に浸漬し、取り出して、モノマーを重合させて導電性高分子を合成してもよい。そして、この「その場重合」による導電性高分子の合成は、その導電性高分子で構成される固体電解質が固体電解コンデンサの固体電解質として必要な量(厚さ)になるまで繰り返せばよい。上記「その場重合」による導電性高分子の合成時の温度や重合時間に関しては、種々の状況に応じ、幅広い温度、重合時間の中から適した温度、時間が選ばれるので、それを範囲で示すと、一般に、温度は0〜300℃、時間は1分から72時間となる。
上記のような「その場重合」による導電性高分子の合成は、それによって合成される導電性高分子の量が固体電解コンデンサの固体電解質として必要な量(厚さ)になるまで繰り返し行えばよく、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの場合は、通常、「その場重合」による導電性高分子の合成は、1回行われるだけの場合が多いが、それ以外の固体電解コンデンサの場合は、通常、「その場重合」による導電性高分子の合成が複数回繰り返し行われることが多い。上記のような「その場重合」による導電性高分子の合成では、コンデンサ素子の陽極の誘電体層上以外の部分にも導電性高分子の付着が起こり得るが、そのように誘電体層以外への導電性高分子の付着が生じても陽極の誘電体層上に導電性高分子が合成されていればよい。
本発明では、上記のような「その場重合」による導電性高分子の合成を行って、その陽極の誘電体層上に導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を含浸させた後、乾燥する工程を経由することによって、固体電解コンデンサが製造される。
上記のような陽極の誘電体層に導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を含浸させるには、例えば、上記のような陽極の誘電体層上に導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子をカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液に浸漬したり、あるいは、上記コンデンサ素子にカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を吹き付けたり、塗布したりすることなどによって行われる。つまり、含浸させる手段はどのようなものでもよく、陽極の誘電体層上に導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子にカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液が含浸してさえすればよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度や使用量を示す際の%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
また、実施例に先立ち、実施例で用いるカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液の調製例を調製例1〜9で示す。上記のカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液は、上記カルボキシル基を少なくとも1つ環状有機化合物に基づき導電性を有することから、以下においては、このカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を、簡略化して、「導電性溶液」と表現する。
調製例1
撹拌装置付き1Lビーカー内に入れた500gのエタノールに30gのヒドロキシベンゼンカルボン酸と5gのニトロフェノールと25gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加した後、24時間撹拌することによって、導電性溶液を調製した。
調製例2
撹拌装置付き1Lビーカー内に500gの入れたエタノールに30gのヒドロキシベンゼンカルボン酸を添加し、次いで26gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した後、5gのニトロフェノールと25gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加し、その後、24時間撹拌することによって、導電性溶液を調製した。
調製例3
エタノールに代えて、テトラヒドロフランを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例4
ヒドロキシベンゼンカルボン酸に代えて、ヒドロキシナフタレンカルボン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例5
ヒドロキシベンゼンカルボン酸に代えて、ニトロベンゼンカルボン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例6
ヒドロキシベンゼンカルボン酸に代えて、ジニトロナフタレンカルボン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例7
ヒドロキシベンゼンカルボン酸の添加量を30gから50gに変更した以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例8
10gのポリエチレングリコール400(末尾の「400」はこのポリエチレングリコールの分子量を表している)をさらに添加した以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
調製例9
10gのポリエチレングリコール600(末尾の「600」はこのポリエチレングリコールの分子量を表している)をさらに添加した以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、導電性溶液を調製した。
実施例1
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、巻回型固体電解コンデンサ用のコンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、ESRが10mΩ以下、静電容量が150μF以上、破壊電圧(耐電圧)が80V以上になるように設定したものである。
そして、ブチル化エチレンジオキシチオフェンと3,4−エチレンジオキシチオフェンとを質量比40:60で混合したモノマー溶液と、濃度が60%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液〔テイカトロンAF60E(商品名)、テイカ株式会社製〕とを質量比1:4で混合した溶液を用意し、この溶液に前記のコンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、50℃で1時間化学酸化重合を行って、コンデンサ素子の陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子を合成して導電性高分子の層を形成した。この陽極の誘電体層上に合成された導電性高分子が固体電解質を構成することになる。
上記のようにして、陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を、水洗などによる鉄分の除去をすることなく、そのまま、前記調製例1で調製した導電性溶液に浸漬してコンデンサ素子に導電性溶液を含浸させ、30秒後に上記コンデンサ素子を導電性溶液中から取り出し、100℃で20分、180℃で30分乾燥した。そして、これを外装材で外装して、実施例1の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
実施例2〜9
調製例1で調製した導電性溶液に代えて、調製例2〜9で調製した導電性溶液をそれぞれ別々に用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、実施例2〜9の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
実施例10
濃度が60%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液に代えて、濃度が60%のメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液に用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例1
陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を導電性溶液(すなわち、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液)に浸漬せず、コンデンサ素子に導電性溶液を含浸させなかった以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、比較例1の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例2
調製例1で調製した導電性溶液に代えて、エタノールを用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、比較例2の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例3
調製例1で調製した導電性溶液に代えて、テトラヒドロフランを用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、比較例3の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例4
調製例1で調製した導電性溶液に代えて、500gのエタノールに30gのフェノールを溶解した溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
上記のようにして製造した実施例1〜10および比較例1〜4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流を測定した。その結果を、使用した導電性溶液やその他の液の種類と共に表1に示す。なお、ESR、静電容量および漏れ電流の測定方法は次の通りである。
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定する。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定する。
漏れ電流:
巻回型アルミニウム固体電解コンデンサに、25℃で63Vの電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープにて漏れ電流を測定する。
上記の測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、ESR、静電容量および漏れ電流に関して表1に示す数値は、その20個の測定値の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。そして、表1には、スペース上の関係で、調製例1〜9で調製した導電性溶液(すなわち、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液)の種類は調製例番号で示し、比較例4で用いた500gのエタノールに30gのフェノールを溶解した溶液は「フェノール溶液」で示す。これらは後記の表4においても同様である。
Figure 0005911136
また、上記特性測定後の実施例1〜10および比較例1〜4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ(それぞれ10個ずつ)を260℃の乾燥機中に静置状態で3分間貯蔵し、その貯蔵後のコンデンサについて、前記と同様に、ESR、静電容量および漏れ電流を測定し、破壊電圧を測定した。その結果を表2に示す。なお、破壊電圧の測定は、松定プレシジョン社製PRK650−2.5を用い、25℃の条件下で電圧を1V/秒の速度で昇圧させて破壊時の電圧を測定することによって行った。
上記の測定は、各試料とも、10個ずつについて行い、ESR、静電容量および漏れ電流に関して表2に示す数値は、その10個の測定値の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。そして、破壊電圧に関して示す数値は、10個の測定値の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
Figure 0005911136
さらに、前記表1に示す特性測定後の実施例1〜10および比較例1〜4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの残りの10個ずつについて、150℃の乾燥機中に静置状態で250時間貯蔵し、その貯蔵後のコンデンサについて、前記と同様に、ESR、静電容量および漏れ電流を測定した。その結果を表3に前記表2の場合と同様の態様で示す。
Figure 0005911136
表1に示すように、実施例1〜10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ」を、簡略化して「コンデンサ」と表示する場合がある)は、ESRが7.8〜7mΩであって、10mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が157.2〜159.8μFであって、150μF以上という設定静電容量を満たし、かつ、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く(小さく)、静電容量が大きく、漏れ電流が少なかった。
つまり、陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に調製例1〜9で調製した導電性溶液を含浸させることに基づいて、導電性高分子の電解質としての作用を該導電性溶液中に溶解されていたカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物で補強した実施例1〜10のコンデンサは、導電性溶液を含浸させなかった比較例1のコンデンサや、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてエタノールの含浸を行った比較例2のコンデンサ、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてテトラヒドロフランの含浸を行った比較例3のコンデンサ、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてフェノール溶液(つまり、500gのエタノールに30gのフェノールを溶解した溶液)の含浸を行った比較例4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、漏れ電流が少なく、静電容量の減少を招くことなく、低ESR化を達成し、かつ漏れ電流を減少させることができた。
また、表2に示すように、260℃という高温で3分間貯蔵後においても、実施例1〜10のコンデンサは、破壊電圧が86〜91Vであって、80V以上という設定破壊電圧を満たし、かつ、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、さらに、表3に示すように、150℃で250時間貯蔵後においても、実施例1〜10のコンデンサは、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、漏れ電流が少なかった。つまり、実施例1〜10のコンデンサは、比較例1〜4のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
そして、破壊電圧(耐電圧)に関しても、表2に示すように、実施例1〜10のコンデンサは、比較例1〜4のコンデンサに比べて、破壊電圧が高く、比較例1〜4のコンデンサに比べて、耐電圧性が優れていた。
実施例11
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、ESRが6mΩ以下、静電容量が800μF以上、漏れ電流が100μA以下、破壊電圧(耐電圧)が30V以上になるように設定したものである。
そして、3,4−エチレンジオキシチオフェンとエタノールとを質量比1:5で混合したモノマー溶液に前記のコンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、50℃で15分間乾燥した後、濃度が55%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液〔テイカトロンAF55B(商品名)、テイカ株式会社製〕に前記のコンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、50℃で1時間化学酸化重合を行い、コンデンサ素子の陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子を合成して導電性高分子の層を形成した。
上記のようにして、その陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を、水洗などによる鉄分の除去をすることなく、そのまま、前記調製例1で調製した導電性溶液に浸漬してコンデンサ素子に導電性溶液を含浸させ、30秒後に上記コンデンサ素子を導電性溶液中から取り出し、100℃で20分、180℃で30分乾燥した後、これを外装材で外装して、実施例11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
実施例12〜19
調製例1で調製した導電性溶液に代えて、調製例2〜9で調製した導電性溶液をそれぞれ別々に用いた以外は、すべて実施例11と同様の操作を行って、実施例12〜19の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
実施例20
濃度が55%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液に代えて、濃度が55%のメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液に用いた以外は、実施例11と同様の操作を行って、実施例20の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例5
陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を導電性溶液(すなわち、カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液)に浸漬せず、コンデンサ素子に導電性溶液を含浸させかった以外は、すべて実施例11と同様の操作を行って、比較例5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例6
調製例1の導電性溶液に代えて、エタノールを用いた以外は、すべて実施例11と同様の操作を行って、比較例6の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例7
調製例1の導電性溶液に代えて、テトラヒドロフランを用いた以外は、すべて実施例11と同様の操作を行って、比較例7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
比較例8
調製例1の導電性溶液に代えて、500gのエタノールに30gのフェノールを溶解した溶液を用いた以外は、すべて実施例11と同様の操作を行って、比較例8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを製造した。
上記のようにして製造した実施例11〜20および比較例5〜8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様に、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流を測定した。その結果を表4に前記表1の場合と同様の態様で示す。
Figure 0005911136
また、上記特性測定後の実施例11〜20および比較例5〜8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ(それぞれ10個ずつ)を260℃の乾燥機中に静置状態で3分間貯蔵し、その貯蔵後のコンデンサについて、前記と同様に、ESR、静電容量、漏れ電流および、破壊電圧を測定した。その結果を表5に前記表2の場合と同様の態様で示す。ただし、破壊電圧に関しては小数点第二位を四捨五入して示している。
Figure 0005911136
さらに、前記表4に示す特性測定後の実施例11〜20および比較例5〜8の巻回型ア
ルミニウム固体電解コンデンサの残りの10個ずつについて、150℃の乾燥機中に静置状態で250時間貯蔵し、その貯蔵後のコンデンサについて、前記と同様に、ESR、静電容量および漏れ電流を測定した。その結果を表6に前記表3の場合と同様の態様で示す。
Figure 0005911136
表4に示すように、実施例11〜20の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ」を、簡略化して「コンデンサ」と表示する場合がある)は、ESRが4.9〜5.4mΩであって、6mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が834.6〜844.2μFであって、800μF以上という設定静電容量を満たし、漏れ電流が10.9〜16.0μAであって、100μA以下という設定漏れ電流を満たし、かつ、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く(小さく)、静電容量が大きく、漏れ電流が少なかった。
つまり、陽極の誘電体層上にいわゆる「その場重合」による導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に調製例1〜9の導電性溶液を含浸させることに基づいて、導電性高分子の電解質としての作用を上記導電性溶液中に溶解されていたカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物で補強した実施例11〜20のコンデンサは、導電性溶液の含浸を行わなかった比較例5のコンデンサや、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてエタノールの含浸を行った比較例6のコンデンサ、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてテトラヒドロフランの含浸を行った比較例7のコンデンサ、調製例1の導電性溶液の含浸に代えてフェノール溶液(つまり、500gのエタノールに30gのフェノールを溶解した溶液)の含浸を行った比較例8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、漏れ電流が少なく、静電容量の減少を招くことなく、低ESR化を達成し、かつ漏れ電流を大幅に減少させることができた。さらに、静電容量に関しても、実施例11〜20のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、大きくさせることができた。
また、表5に示すように、260℃という高温で3分間貯蔵後においても、実施例11〜20のコンデンサは、破壊電圧が32.4〜38.1Vであって、30V以上という設定破壊電圧を満たし、かつ、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ漏れ電流が少なく、さらに、表6に示すように、150℃で250時間貯蔵後においても、実施例11〜20のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、漏れ電流が少なかった。つまり、実施例11〜20のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
そして、破壊電圧(耐電圧)に関しても、表5に示すように、実施例11〜20のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、破壊電圧が高く、比較例5〜8のコンデンサに比べて、耐電圧性が優れていた。

Claims (6)

  1. 導電性高分子を固体電解質として用いる固体電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子の誘電体層上に、芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成した後、上記導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子に、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、ニトロベンゼンカルボン酸およびジニトロナフタレンカルボン酸よりなる群から選ばれるカルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液を含浸させた後、乾燥する工程を経由することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 芳香族スルホン酸第二鉄が、パラトルエンスルホン酸第二鉄およびメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. チオフェンの誘導体が、次の一般式(1)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはそのアルキル誘導体である請求項1または2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 0005911136
    (式中、Rは、水素またはアルキル基である)
  4. カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液に、耐熱性向上剤が添加されている請求項1〜のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. カルボキシル基を少なくとも1つ有する環状有機化合物が有機溶剤に溶解した溶液に、結合剤が添加されている請求項1〜のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. コンデンサ素子が、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体の少なくとも一面に該弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有する陽極と、陰極とをセパレータを介して巻回または積層したものである請求項1〜のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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