JP2009135429A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】各種電子機器に使用される固体電解コンデンサに関し、大容量化と低ESR化を同時に実現することを目的とする。
【解決手段】アルミニウム製の基材1aの表面に複数のツリー構造体の蒸着層1bを形成した陽極箔1とアルミニウム製の基材2aの表面にニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bを形成した陰極箔2をその間にセパレータ3を介在させて巻回することにより形成されたコンデンサ素子4と、このコンデンサ素子4の陽極箔1と陰極箔2の間に含浸された導電性高分子の固体電解質5からなる構成により、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現し、かつ、低ESR化が図れる。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム製の基材1aの表面に複数のツリー構造体の蒸着層1bを形成した陽極箔1とアルミニウム製の基材2aの表面にニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bを形成した陰極箔2をその間にセパレータ3を介在させて巻回することにより形成されたコンデンサ素子4と、このコンデンサ素子4の陽極箔1と陰極箔2の間に含浸された導電性高分子の固体電解質5からなる構成により、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現し、かつ、低ESR化が図れる。
【選択図】図1
Description
本発明は各種電子機器に使用されるコンデンサの中で、特に、導電性高分子を固体電解質に用いた巻回形の固体電解コンデンサに関するものである。
電子機器の高周波化に伴い、電子部品の一つである電解コンデンサにおいても、従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきており、このような要求に応えるために電気伝導度の高い導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが種々検討されている。
また、大容量化の要求に対しては、電極箔を積層させる場合と比較して構造的に大容量化が容易な巻回形(陽極箔と陰極箔とをセパレータを介在させて巻回した構造のもの)による導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが製品化されている。
そして、このような固体電解コンデンサは、寿命、温度特性に加え、特に優れた高周波特性を有するため、パーソナルコンピュータの電源回路等に広く採用されており、静電容量Cを増大させる目的で、自然酸化皮膜が形成され難いニッケル箔等の非弁作用金属箔を陰極箔として用いることにより、陰極静電容量を実質的に無限大にする、という技術が提案されている(特許文献1)。
更にまた、上記特許文献1による非弁作用金属のプレーン箔ではエッチング処理による粗面化ができないために陰極箔と固体電解質との実効的な接触面積が減少し、コンデンサ完成品としての等価直列抵抗が大きくなってしまうという課題があるため、これを解決する目的で、エッチング処理により表面を粗面化したアルミニウム箔の表面に、無電解めっき法によって非弁作用金属であるニッケルのめっき膜を被着形成した陰極箔を用いる、という技術が提案されている(特許文献2)。
特公平4−7086号公報
特許第3439064号公報
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサでは、ニッケル箔を陰極箔として用いる特許文献1の技術においては、一般的に陰極箔として用いられるアルミニウム箔と比較してニッケル箔は高価であるという課題があり、また、エッチング処理により表面を粗面化したアルミニウム箔の表面にニッケルのめっき膜を形成する特許文献2の技術においては、無電解めっき法ではめっき膜の厚みを薄くすることが困難なために粗面化した細孔内部まで均一にニッケルのめっき膜を形成し難く、また、1μmという厚みではエッチングピットを埋没させてしまうということに加え、粗面化した金属箔の表面に存在する酸化皮膜によってニッケルのめっき膜との結着強度を確保するのが難しいという課題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決し、簡単な構成で大容量化と低ESR化を同時に実現すると共に、安価で高信頼性の固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、陽極箔と陰極箔をその間にセパレータを介在させて巻回することにより形成された素子と、この素子の陽極箔と陰極箔の間に含浸された導電性高分子からなる固体電解質と、これらを収容したケースと、このケースの開口部を封止した封口部材からなる固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔として、アルミニウム箔からなる基材の表面から延びる弁作用金属の複数の微粒子が連なって形成され、かつそれぞれ複数の枝に枝分かれした複数のツリー構造体の蒸着層を形成したものを用い、上記陰極箔として、アルミニウムからなる基材の少なくとも一方の面に蒸着によりニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層を形成したものを用いた構成にしたものである。
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、最適な空孔径と厚みを選択した複数のツリー構造体の蒸着層を形成した陽極箔を用いることにより、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することができるという効果が得られるものである。
また、ニッケル蒸着層を形成した陰極箔を用いることにより、陰極箔の静電容量が消滅して発現しなくなり、陽極箔のみが容量として発現するために大容量化を図ることができると共に、上記ニッケル蒸着層に含まれるニッケル酸化物は半導体のために導電性を有し、このためにESRの低減に大きく貢献するばかりでなく、セパレータの炭化処理時やリフロー作業時の加熱に対しても酸化によるESRの上昇がほとんどなく、更に、ニッケル蒸着層の表面に存在するニッケル酸化物により、防食性の向上と、固体電解質との結着強度の向上が図れるものである。
更に、上記ニッケル蒸着層は、ニッケル蒸着層形成時に発生する熱によってニッケルとアルミニウムの拡散層が形成されるためにニッケル蒸着層と基材との結着強度が高まるという効果も有し、また、ニッケル蒸着層の厚みを大幅に薄くすることが容易であることから、簡単な構成で安価に大容量化と低ESR化を同時に実現することができるという効果が得られるものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜3、5〜7に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜3、5〜7に記載の発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサの構成を示した一部切り欠き斜視図、図2は同固体電解コンデンサに使用されるコンデンサ素子の要部を拡大した概念図であり、図1と図2において、1はアルミニウム箔からなる基材1aの表面に蒸着により形成された複数のツリー構造体の蒸着層1bが設けられ、この複数のツリー構造体の蒸着層1b上に化成処理によって誘電体酸化皮膜層1cが形成された陽極箔(詳細は後述する)、2はアルミニウム箔からなる基材2aの表面に蒸着により形成されたニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bが設けられた陰極箔(詳細は後述する)、3は電解紙からなるセパレータであり、このセパレータ3を上記陽極箔1と陰極箔2の間に介在させた状態で巻回することによってコンデンサ素子4を形成した後、このコンデンサ素子4を加熱して上記セパレータ3を炭化処理したものである。
5は上記コンデンサ素子4の陽極箔1と陰極箔2間に配設されたセパレータ3に含浸されることにより形成された導電性高分子からなる固体電解質、6と7は上記陽極箔1と陰極箔2に夫々接続されて外部へ引き出された陽極リード線と陰極リード線、8はこの陽極リード線6と陰極リード線7が接続されたコンデンサ素子4を収容した有底円筒状のアルミニウムケース、9は上記陽極リード線6と陰極リード線7が挿通する孔を備えて上記アルミニウムケース8の開口部を封止した樹脂加硫ブチルゴム製の封口部材である。
なお、上記固体電解質5の形成は、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と、重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液にコンデンサ素子4を浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンの固体電解質5を形成したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は上記コンデンサ素子4を構成する陽極箔1の構成を示したSEM(走査電子顕微鏡)撮影写真(1万倍)、図4は図3の要部を拡大したSEM撮影写真(3万倍)であり、図3と図4において、1aはアルミニウム箔からなる基材、1bはこの基材1aの表面に蒸着によって形成された複数のツリー構造体の蒸着層であり、図3から分かるように、複数のツリー構造体の蒸着層1bは基材1aから表層に向かって弁作用金属の複数の微粒子が連なって形成され、かつそれぞれ複数の枝に枝分かれした状態で一体に結合した構造に形成されているものである。
なお、このように構成された本実施の形態による陽極箔1は、厚みが50μmの高純度アルミニウム箔を基材1aとして用い、以下の方法により複数のツリー構造体の蒸着層1bを形成することができる。
1)弁作用金属の基材1aを蒸着層内に配置して0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)基材1a周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜6にした不活性ガスを流入して基材1a周辺の圧力を10〜30Paの状態にする。
3)基材1aの温度を150〜300℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設された状態で真空蒸着をする。
1)弁作用金属の基材1aを蒸着層内に配置して0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)基材1a周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜6にした不活性ガスを流入して基材1a周辺の圧力を10〜30Paの状態にする。
3)基材1aの温度を150〜300℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設された状態で真空蒸着をする。
本実施の形態では、基材1aは厚みが50μmの高純度アルミニウム箔を用いた。また、真空雰囲気は0.004Paに調整した。酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を4とし、基材1a周辺の圧力は20Paになるように不活性ガスの流量を調整した。さらに、高純度アルミニウム箔の温度を200℃に設定した。
このように構成された本実施の形態による陽極箔1は、図5の空孔径分布を示した特性図から明らかなように、空孔径の最頻値が約0.03μmと極めて微細なものであるため、比較用に示したエッチングによる同陽極箔の空孔径の最頻値である約0.15μmと比較して極めて微細化されたものであり、これにより、表面積を大きく拡大することができるばかりでなく、複数のツリー構造体の蒸着層1bが基材1aから表層に向かってアルミニウムの複数の微粒子が連なって形成され、かつそれぞれ複数の枝に枝分かれして形成されているため、コンデンサとしてみた場合に、液(ポリマー)の含浸性に優れるという特徴を有するものである。
更に、上記複数のツリー構造体が、個々の粒子が複数に枝分かれして一体に結合した構造に形成されているために、個々の粒子間の結合強度が高くなってネッキング部の破壊を抑制することができるようになり、これにより、化成時にネッキング部が破壊されることがなくなり、機械的強度向上のみならず、容量低下を抑制することができ、更には、巻回形の素子を作製することも容易になるという特徴も有するものである。
次に、このように構成された上記陽極箔1の特性について以下に説明すると、図6は上記陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と化成容量指数との関係を示した特性図であり、比較用に示したエッチングによる電極箔のエッチング層厚み(両面)が80μmの場合の化成容量を100とし、各空孔径の最頻値における蒸着層厚みによる化成容量を指数化して示したものである。
なお、化成条件としては、化成電圧20V、保持時間20分、7%アジピン酸アンモニウム水溶液、70℃、0.05A/cm2で化成を行い、測定条件としては、インピーダンスアナライザーを用い、8%ホウ酸アンモニウム水溶液、30℃、測定面積10cm2、測定周波数120Hzで行ったものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図6から明らかなように、空孔径の最頻値が小さくなるに従い、蒸着層の厚みに比例した化成容量指数はより一層大きくなり、比較用に示したエッチングによる電極箔よりも各蒸着層厚みにおいて化成容量指数が高く、これにより薄膜化と同時に高容量化が図れることが分かり、このような効果は空孔径が小さくなることによって比表面積の拡大が図られていることに起因するものと判断できる。
図7は上記陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と電解質被覆率との関係を示した特性図であり、ここでいう電解質被覆率(%)とは、固体電解質形成後の容量指数(製品容量指数)/化成容量指数×100で算出した値とした。
図7から明らかなように、空孔径の最頻値が小さくなるに従い、蒸着層の厚みに比例して電解質被覆率がより一層低下する。これにより、蒸着層の厚みを厚くするのであれば、空孔径の最頻値を大きくする必要があり、また逆に、蒸着層の厚みを薄くすれば、電解質被覆率を低下させずに空孔径の最頻値を小さくすることができることが分かる。
なお、このように電解質被覆率が低下する理由としては、空孔径の最頻値が小さくなるとモノマーの含浸性が悪化し、更に蒸着層の厚みが増すことによってより一層悪化してしまうためである。
従って、上記図6に示した空孔径による蒸着層厚み(両面)と化成容量指数との関係と、図7に示した空孔径による蒸着層厚み(両面)と電解質被覆率との関係から、空孔径による蒸着層厚み(両面)と製品容量の関係を求めると、図8に示すような結果が得られる。
図8は上記本発明による陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と製品容量指数との関係を示した特性図であり、図8から明らかなように、上記図6において最も高い化成容量指数を示した空孔径の最頻値が0.01μmのものは、図7に示すように電解質被覆率が低いため、製品容量指数としては比較用に示したエッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることはできないことが分かる。
また、空孔径の最頻値が0.02μmのものでは、蒸着層厚みが20〜80μmの範囲において、エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができるが、空孔径の最頻値が0.02μmを超えるものでは蒸着層厚みが薄い範囲において、上記エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができない場合があることが分かる。
但し、このようにエッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができない場合でも、蒸着層厚み当たりの容量はエッチングによる電極箔を大きく超えているために蒸着層厚みが薄いものを用いても同等の容量を得ることが可能になり、更に、空孔径の最頻値が大きくなるに従って電解質被覆率が高まるために、製品としての信頼性は高くなるものである。
すなわち、エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μm(両面)の場合、機械的強度確保のためにエッチング層以外の芯部として25μmが必要なため、電極箔としての総厚みは105μmとなるが、本発明によれば、蒸着層厚み(両面)が20μmで略同等の容量を得ることが可能なため、電極箔としての総厚みは20μm+25μm=45μmで良いことになり、この厚みの差分だけ電極箔を薄くすることが可能になるものである。なお、芯部の厚みは厚い方がESRが低下することから、容量とESRの最適なバランスを求めながら総厚みを設計することにより、設計の余裕度を拡大させることができるものである。
このように本発明による陽極箔1は、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μm、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmの範囲において、エッチングによる電極箔のエッチング層厚み(両面)が80μmの場合の製品容量指数100を大きく上回って最も顕著な効果を発揮することができるものであり、これにより、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することが可能になるという格別の効果を奏するものである。
また、上記コンデンサ素子4を構成する陰極箔2としては、厚みが50μmの高純度のアルミニウム箔を基材2aとして用い、真空雰囲気中で上記基材2aの表面にニッケルの微粒子を蒸着させることによってニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bを形成するようにして作製したものである。
このニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bは、ニッケルからなる層とニッケル酸化物からなる層とからなり、真空中の酸素濃度の調整によりニッケル酸化物からなる層は少なくともニッケルからなる層の外表面に形成され、ニッケル酸化物からなる層の厚さは、ニッケル蒸着層2bの厚さの約1/10である。また、ニッケル蒸着層2bの形成は、上記蒸着法以外に、スパッタ法、CVD法等のドライプロセス法によって形成すれば同様の効果を得ることが可能なものであり、更に、上記陰極箔2は基材2aを薄くすれば小型化を図ることができ、逆に、厚くすればESRを低減することができるものである。
また、上記図2に示したコンデンサ素子4の概念図では、その構成をより分かり易くするために、陽極箔1の表面に形成された複数のツリー構造体の蒸着層1b、誘電体酸化皮膜層1c、ならびに陰極箔2の表面に形成されたニッケル蒸着層2bは、夫々片面のみに形成された構成で図示したが、陽極箔1の表面の複数のツリー構造体の蒸着層1b、誘電体酸化皮膜層1c、ならびに陰極箔2の表面のニッケル蒸着層2bは夫々両面に形成されているものである。
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサの容量と等価直列抵抗を測定した結果を比較例としての従来品(複数のツリー構造体の蒸着層を形成しない陽極箔とニッケル蒸着層を形成しない陰極箔を用いた)と比較して(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、本実施の形態による固体電解コンデンサは、従来品と比較して容量が約3.9倍、ESRが約1/2という優れた性能を発揮していることが分かり、これは、陰極箔2の表面(両面)にニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bを形成した構成により、陰極箔2の静電容量が消滅して発現しなくなり、陽極箔1のみが容量として発現することによるものである。
また、上記ニッケル蒸着層2bに含まれるニッケル酸化物は半導体のために導電性を有し、このためにESRの低減に大きく貢献するばかりでなく、セパレータ3の炭化処理時やリフロー作業時の加熱に対しても酸化によるESRの上昇がほとんどなく、更に、ニッケル蒸着層2bの表面に存在するニッケル酸化物により、防食性の向上と、固体電解質5との結着強度の向上が図れるものである。
更に、上記蒸着によるニッケル蒸着層2bは、蒸着によるニッケル蒸着層2bの形成時に発生する熱によってニッケルとアルミニウムの合金が形成されるためにニッケル蒸着層2bと陰極箔2との結着強度が高まるという効果も有し、ニッケル蒸着層2bの厚みを大幅に薄くすることが容易であることから、簡単な構成で安価に大容量化と低ESR化を同時に実現することができるという格別の効果を奏するものである。
なお、本実施の形態においては、上記ニッケル蒸着層2bの厚みは0.1μm/片面で形成したものであるが、更に薄くすることは技術的に何ら問題なく可能であり、その効果も十分に得ることができる。また、逆に厚くしても、より大きな効果が得られるものではなく、コスト的に高くなるばかりであることから、ニッケル蒸着層2bの厚みは0.5μm/片面、更に好ましくは0.1μm/片面もあれば十分であると言える。
また、本実施の形態においては、セパレータ3としてセルロース繊維を主体とする電解紙からなるセパレータを炭化処理して用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セルロース繊維を主体とする電解紙でも紙力増強処理(ポリアクリルアミドやその誘導体)やシランカップリング剤を用いた表面疎水処理方法を用いることで、300℃程度の高温環境での炭化処理を行わずに、目的とするコンデンサ特性を達成できる。
更に、化学繊維を主体とするセパレータを用いると、セルロース繊維のように繊維内部で固体電解質5が偏在することなく、コンデンサ素子4内に均一に固体電解質5を形成できるため、高周波領域でのインピーダンスをより低くすることができるものであり、このような化学繊維としては、固体電解質5を形成する際の重合液に対して化学的に安定で、耐熱性にも優れた材料を選定することが必要であり、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ナイロン、ポリビニルアルコールもしくはそれらの誘導体が好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートおよびその誘導体、もしくはポリビニルアルコールとの混抄繊維については、固体電解質5であるポリエチレンジオキシチオフェンとのなじみが良くなって密着性・接着性が向上するため、セルロース繊維を主体とする電解紙からなるセパレータを炭化処理したものよりも高周波領域でのインピーダンスを10%以上低くすることができるものである。
また、上記セパレータ3の炭化処理は、巻回したコンデンサ素子4を加熱処理することによって行う例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セパレータ3を単独で加熱処理して炭化処理を行った後、この炭化処理済みのセパレータ3を用いて巻回することによりコンデンサ素子4を作製することもできるものである。
更にまた、上記陽極箔1と陰極箔2から夫々導出された陽極リード線6と陰極リード線7を図示しない樹脂製の座板に通し、リード部分を折り曲げることによって面実装型の固体電解コンデンサとすることも可能なものである。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項1〜3に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項1〜3に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1、図2を用いて説明した固体電解コンデンサの陰極箔の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。
本実施の形態では、陰極箔2の表面に形成するニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層2bを陰極箔2の片面の表面のみに形成したものであり、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサの容量と等価直列抵抗を測定した結果を比較例としての従来品(複数のツリー構造体の蒸着層を形成しない陽極箔とニッケル蒸着層を形成しない陰極箔を用いた)と比較して上記(表1)に併記して示す。
(表1)から明らかなように、本実施の形態による固体電解コンデンサは、従来品と比較して容量が約3.8倍、ESRが約3/4という優れた性能を発揮していることが分かり、これらは全て上記実施の形態1と同様の作用効果に加え、ニッケル蒸着層2bを陰極箔2の片面の表面のみに形成すれば、ニッケル蒸着層2bを形成しない側の表面に形成されたアルミニウムの誘電体酸化皮膜の静電容量も実質的に消滅して発現しなくなるためである。
但し、ニッケル蒸着層2bの形成を陰極箔2の片面の表面のみとしたことにより、上記実施の形態1と比較するとESRが増大し、従来品と近い値になっていることから、ニッケル蒸着層2bの形成は少なくとも片面の表面上に形成する必要があると言える。
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1、図2を用いて説明した固体電解コンデンサの陰極箔の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
図9は本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサに使用されるコンデンサ素子の要部を拡大した概念図であり、図9において、10はアルミニウム箔からなる基材10aの表面をエッチング処理することにより粗面化層が形成され、この粗面化層上にニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層10b(粗面化層の細孔内部までは形成されない)が設けられた陰極箔である。
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサの容量と等価直列抵抗を測定した結果を比較例としての従来品(複数のツリー構造体の蒸着層を形成しない陽極箔とニッケル蒸着層を形成しない陰極箔を用いた)と比較して上記(表1)に併記して示す。
(表1)から明らかなように、本実施の形態による固体電解コンデンサは、従来品と比較して容量が約4.0倍、ESRが約2/5という優れた性能を発揮していることが分かり、これらは全て上記実施の形態1と同様の作用効果に加え、更に、エッチングにより表面を粗面化して表面積が拡大された陰極箔10を用いたことによってESRが大きく低減されたことによるものである。
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、上記実施の形態3で説明した固体電解コンデンサの陰極箔の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態3と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。
本実施の形態では、陰極箔10の表面に形成するニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層10bを陰極箔10の片面の粗面化層上のみに形成したものであり、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサの容量と等価直列抵抗を測定した結果を比較例としての従来品(複数のツリー構造体の蒸着層を形成しない陽極箔とニッケル蒸着層を形成しない陰極箔を用いた)と比較して上記(表1)に併記して示す。
(表1)から明らかなように、本実施の形態による固体電解コンデンサは、従来品と比較して容量が約3.9倍、ESRが約2/3という優れた性能を発揮していることが分かり、これらは全て上記実施の形態3と同様の作用効果に加え、ニッケル蒸着層10bを陰極箔10の片面の粗面化層上のみに形成すれば、ニッケル蒸着層10bを形成しない側の粗面化層上に形成されたアルミニウムの誘電体酸化皮膜の静電容量も実質的に消滅して発現しなくなるためである。
但し、ニッケル蒸着層10bの形成を陰極箔10の片面の粗面化層上のみとしたことにより、上記実施の形態3と比較するとESRが増大し、従来品と近い値になっていることから、ニッケル蒸着層10bの形成は少なくとも片面の粗面化層上に形成する必要があると言える。
本発明による固体電解コンデンサは、小型大容量化と低ESR化を同時に実現することができるという効果を有し、あらゆる分野のコンデンサとして有用である。
1 陽極箔
1a、2a、10a 基材
1b ツリー構造体の蒸着層
1c 誘電体酸化皮膜層
2、10 陰極箔
2b、10b ニッケル蒸着層
3 セパレータ
4 コンデンサ素子
5 固体電解質
6 陽極リード線
7 陰極リード線
8 アルミニウムケース
9 封口部材
1a、2a、10a 基材
1b ツリー構造体の蒸着層
1c 誘電体酸化皮膜層
2、10 陰極箔
2b、10b ニッケル蒸着層
3 セパレータ
4 コンデンサ素子
5 固体電解質
6 陽極リード線
7 陰極リード線
8 アルミニウムケース
9 封口部材
Claims (7)
- 陽極箔と陰極箔をその間にセパレータを介在させて巻回することにより形成された素子と、この素子の陽極箔と陰極箔の間に含浸された導電性高分子からなる固体電解質と、これらを収容したケースと、このケースの開口部を封止した封口部材からなる固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔として、アルミニウム箔からなる基材の表面から延びる弁作用金属の複数の微粒子が連なって形成され、かつそれぞれ複数の枝に枝分かれした複数のツリー構造体の蒸着層を形成したものを用い、上記陰極箔として、アルミニウムからなる基材の少なくとも一方の面に蒸着によりニッケルとニッケル酸化物からなるニッケル蒸着層を形成したものを用いた固体電解コンデンサ。
- 陽極箔の表面に形成された複数のツリー構造体の蒸着層が、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μmであり、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 陰極箔として、アルミニウムからなる基材の表面を粗面化して粗面化層を形成し、少なくとも一方の面の粗面化層の少なくとも細孔を除く表面部に蒸着によりニッケルからなる層とニッケル酸化物からなる層とからなるニッケル蒸着層を形成したものを用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- ニッケル酸化物からなる層が、少なくともニッケルからなる層の外表面に形成された請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
- セパレータとして、セルロース繊維を主体とした電解紙を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- セパレータとして、セルロース繊維を主体とした電解紙を炭化処理した炭化紙を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- セパレータとして、化学繊維を主体としたものを用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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2008
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