JP2008288296A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】各種電子機器に使用される固体電解コンデンサに関し、小型化と高容量化を同時に実現することを目的とする。
【解決手段】陽極箔1と陰極箔2をその間にセパレータ3を介在させて巻回することにより形成された素子10と、この素子10の陽極箔1と陰極箔2との間に設けられた導電性高分子からなる固体電解質4を有した固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔1として、弁作用金属箔からなる基材と、この基材の表面に蒸着によって形成された弁作用金属の蒸着層からなり、この蒸着層が、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μmであり、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmであるものを用いた構成により、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することができる。
【選択図】図1
【解決手段】陽極箔1と陰極箔2をその間にセパレータ3を介在させて巻回することにより形成された素子10と、この素子10の陽極箔1と陰極箔2との間に設けられた導電性高分子からなる固体電解質4を有した固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔1として、弁作用金属箔からなる基材と、この基材の表面に蒸着によって形成された弁作用金属の蒸着層からなり、この蒸着層が、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μmであり、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmであるものを用いた構成により、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は各種電子機器に使用されるコンデンサの中で、特に、導電性高分子を固体電解質に用いた巻回形の固体電解コンデンサに関するものである。
電子機器の高周波化に伴い、電子部品の一つである電解コンデンサにおいても、従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきており、このような要求に応えるために電気伝導度の高い導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが種々検討されている。
また、大容量化の要求に対しては、電極箔を積層させる場合と比較して構造的に大容量化が容易な巻回形(陽極箔と陰極箔とをセパレータを介在させて巻回した構造のもの)による導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが製品化されてきている。
このような巻回形の構造を採る固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との接触を避けるためにセパレータを介在させることが必須であり、このセパレータとしては、従来の駆動用電解液を電解質とする電解コンデンサに用いられているマニラ麻やクラフト紙からなる、いわゆる電解紙や、ガラス繊維不織布、乾式メルトブロー法による樹脂を主成分とする不織布等が用いられている。
さらには、セパレータが合成繊維を主体とする不織布からなり、この合成繊維がビニロン(ポリビニルアルコールを基材とした樹脂)からなる不織布、およびビニロンを主成分として他の樹脂を混合した混合不織布であるものが提案されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平10−340829号公報
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサでは、単位面積当たりの表面積を拡大して容量拡大を図る目的で、上記陽極箔の表面をエッチング加工により粗面化しているが、エッチング技術ならびに陽極箔の機械的強度面から、エッチング加工による表面積の更なる拡大には自ずと限界があり、これ以上の容量拡大を図ることは極めて困難であるという課題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決し、更なる容量拡大を実現することができる固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、陽極箔と陰極箔をその間にセパレータを介在させて巻回することにより形成された素子と、この素子の陽極箔と陰極箔との間に設けられた導電性高分子からなる固体電解質を有した固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔として、弁作用金属箔からなる基材と、この基材の表面に蒸着によって形成された弁作用金属の蒸着層からなり、この蒸着層が、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μmであり、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmであるものを用いた構成にしたものである。
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、最適な空孔径と厚みを選択した蒸着による粗面化層を有した陽極箔を用いることにより、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することができるという効果が得られるものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4、6、7に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4、6、7に記載の発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサの構成を示した部分断面斜視図、図2は同コンデンサ素子の要部を拡大した概念図であり、図1と図2において、1は表面に粗面化層が形成され、かつ、この粗面化層上に化成処理によって誘電体酸化皮膜層9が形成されたアルミニウム箔からなる陽極箔(詳細は後述する)、2はアルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔、3は電解紙からなるセパレータであり、このセパレータ3を上記陽極箔1と陰極箔2の間に介在させた状態で巻回することによってコンデンサ素子10を形成した後、加熱して上記セパレータ3を炭化処理したものである。
4は上記コンデンサ素子10の陽極箔1と陰極箔2の間に形成された導電性高分子からなる固体電解質、5と6は上記陽極箔1と陰極箔2に夫々接合されて外部へ引き出された陽極リード線と陰極リード線、7はこの陽極リード線5と陰極リード線6を挿通して後述するアルミニウムケース8の開口部を封止した樹脂加硫ブチルゴム製の封口部材、8は上記コンデンサ素子10を収容した有底円筒状のアルミニウムケースである。
なお、上記固体電解質4の形成は、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と、酸化剤であるp−トリエンスルホン酸第二鉄2部と、重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液にコンデンサ素子10を浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンの固体電解質4を形成したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は上記コンデンサ素子10を構成する陽極箔1の構成を示したSEM(走査電子顕微鏡)写真(1万倍)、図4は図3の要部を拡大したSEM写真(3万倍)であり、図3と図4において、11はアルミニウム箔からなる基材、11aはこの基材11の表面に蒸着によって形成されたアルミニウムの蒸着層であり、図3から分かるように、蒸着層11aは基材11から表層に向かって霜柱状の構造に複数が密集して形成されており、また、このような霜柱状構造に形成された蒸着層11aを構成する夫々の柱は、図4から分かるように、個々の粒子が複数に枝分かれした状態で一体に結合した、いわゆる、海ぶどう状の構造に形成されているものである。
なお、このように構成された本実施の形態による陽極箔1は、厚みが50μmの高純度アルミニウム箔を用い、真空雰囲気の中にアルゴンガスと酸素を流入させてアルミニウム箔の表面にアルミニウムの微粒子を蒸着させるようにして作製したものであるが、これらはいずれも公知の製造装置ならびに製造方法を用いて行ったものであるために、ここでの詳細な説明は割愛する。
このように構成された本実施の形態による陽極箔1は、図5の空孔径分布を示した特性図から明らかなように、空孔径の最頻値が約0.03μmと極めて微細なものであるため、比較用に示したエッチングによる同陽極箔の空孔径の最頻値である約0.15μmと比較して極めて微細化されたものであり、これにより、表面積を大きく拡大することができるばかりでなく、蒸着層11aが基材11から表層に向かって霜柱状構造に形成されているために、コンデンサとしてみた場合に、液(ポリマー等)の含浸性に優れるという特徴を有するものである。
さらに、上記霜柱状構造の夫々の柱が、個々の粒子が複数に枝分かれして一体に結合した、いわゆる、海ぶどう状に形成されているために、個々の粒子間の結合強度が高くなってネッキング部の破壊を抑制することができるようになり、これにより、化成時にネッキング部が破壊されることがなくなり、機械的強度向上のみならず、容量低下を抑制することができ、更には、巻回形の素子を作製することも容易になるという特徴も有するものである。
次に、このように構成された上記陽極箔1の特性について、以下に詳細に説明する。
図6は上記陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と化成容量指数との関係を示した特性図であり、比較用に示したエッチングによる電極箔のエッチング層厚み(両面)が80μmの場合の化成容量を100とし、各空孔径の最頻値における蒸着層厚みによる化成容量を指数化して示したものである。
なお、化成条件としては、化成電圧20V、保持時間20分、7%アジピン酸アンモニウム水溶液、70℃、0.05A/cm2で化成を行い、測定条件としては、インピーダンスアナライザーを用い、8%ホウ酸アンモニウム水溶液、30℃、測定面積10cm2、測定周波数120Hzで行ったものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図6から明らかなように、空孔径の最頻値が小さくなるに従い、蒸着層の厚みに比例した化成容量指数はより一層大きくなり、比較用に示したエッチングによる電極箔よりも各蒸着層厚みにおいて化成容量指数が高く、これにより薄膜化と同時に高容量化が図れることが分かり、このような効果は空孔径が小さくなることによって比表面積の拡大が図られていることに起因するものと判断できる。
図7は上記陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と電解質被覆率との関係を示した特性図であり、ここでいう電解質被覆率(%)とは、固体電解質形成後の容量指数(製品容量指数)/化成容量指数×100で算出した値とした。
図7から明らかなように、空孔径の最頻値が小さくなるに従い、蒸着層の厚みに比例して電解質被覆率がより一層低下する。これにより、蒸着層の厚みを厚くするのであれば、空孔径の最頻値を大きくする必要があり、また逆に、蒸着層の厚みを薄くすれば、電解質被覆率を低下させずに空孔径の最頻値を小さくすることができることが分かる。
なお、このように電解質被覆率が低下する理由としては、空孔径の最頻値が小さくなるとモノマーの含浸性が悪化し、更に蒸着層の厚みが増すことによってより一層悪化してしまうためである。
従って、上記図6に示した空孔径による蒸着層厚み(両面)と化成容量指数との関係と、図7に示した空孔径による蒸着層厚み(両面)と電解質被覆率との関係から、空孔径による蒸着層厚み(両面)と製品容量の関係を求めると、図8に示すような結果が得られる。
図8は上記本発明による陽極箔1の空孔径による蒸着層厚み(両面)と製品容量指数との関係を示した特性図であり、図8から明らかなように、上記図6において最も高い化成容量指数を示した、空孔径の最頻値が0.01μmのものは、図7に示すように電解質被覆率が低いため、製品容量指数としては比較用に示したエッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることはできないことが分かる。
また、空孔径の最頻値が0.02μmのものでは、蒸着層厚みが20〜80μmの範囲において、エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができるが、空孔径の最頻値が0.02μmを超えるものでは蒸着層厚みが薄い範囲において、上記エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができない場合があることが分かる。
但し、このようにエッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μmの場合の製品容量指数100を上回ることができない場合でも、蒸着層厚み当たりの容量はエッチングによる電極箔を大きく超えているために蒸着層厚みが薄いものを用いても同等の容量を得ることが可能になり、更に、空孔径の最頻値が大きくなるに従って電解質被覆率が高まるために、製品としての信頼性は高くなるものである。
すなわち、エッチングによる電極箔のエッチング層厚みが80μm(両面)の場合、機械的強度確保のためにエッチング層以外の芯部として25μmが必要なため、電極箔としての総厚みは105μmとなるが、本発明によれば、蒸着層厚み(両面)が20μmで略同等の容量を得ることが可能なため、電極箔としての総厚みは20μm+25μm=45μmで良いことになり、この厚みの差分だけ電極箔を薄くすることが可能になるものである。なお、芯部の厚みは厚い方がESRが低下することから、容量とESRの最適なバランスを求めながら総厚みを設計することにより、設計の余裕度を拡大させることができるものである。
このように本発明による陽極箔1は、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μm、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmの範囲において、エッチングによる電極箔のエッチング層厚み(両面)が80μmの場合の製品容量指数100を大きく上回って最も顕著な効果を発揮することができるものであり、これにより、薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することが可能になるという格別の効果を奏するものである。
なお、本実施の形態においては、セパレータ3として電解紙からなるセパレータを炭化処理して用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いたセパレータとしても良く、これにより、固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンとのなじみが良くなって固体電解質の密着性・接着性が向上するため、高周波領域でのインピーダンスをより低くすることができるものである。
また、上記セパレータ3の炭化処理は、巻回したコンデンサ素子10を加熱処理することによって行う例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セパレータ3を単独で加熱処理して炭化処理を行った後、この炭化処理済のセパレータ3を用いて巻回することによりコンデンサ素子10を作製することもできるものである。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明する。
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項5に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1と図2を用いて説明した固体電解コンデンサの陰極箔の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した陽極箔1を陰極箔として用いた(陽極箔と陰極箔が同一のものを使用した。但し、陰極箔として用いるものは化成処理なし、または化成電圧2Vで化成を行った)ものであり、このような構成にすることにより、上記実施の形態1と同様の作用効果により、より一層の薄膜化による小型化と、高容量化を同時に実現することが可能になるという格別の効果を奏するものである。
本発明による固体電解コンデンサは、小型化と高容量化を同時に実現し、しかも巻回形の素子を容易に作製することができるという効果を有し、あらゆる分野のコンデンサとして有用である。
1 陽極箔
2 陰極箔
3 セパレータ
4 固体電解質
5 陽極リード線
6 陰極リード線
7 封口部材
8 アルミニウムケース
9 誘電体酸化皮膜層
10 コンデンサ素子
2 陰極箔
3 セパレータ
4 固体電解質
5 陽極リード線
6 陰極リード線
7 封口部材
8 アルミニウムケース
9 誘電体酸化皮膜層
10 コンデンサ素子
Claims (7)
- 誘電体酸化皮膜層を形成した陽極箔と粗面化されたアルミニウム箔製の陰極箔とを、その間にセパレータを介在させて巻回することにより形成された素子と、この素子の陽極箔と陰極箔との間に設けられた導電性高分子からなる固体電解質を有した固体電解コンデンサにおいて、上記陽極箔として、弁作用金属箔からなる基材と、この基材の表面に蒸着によって形成された弁作用金属の蒸着層からなり、この蒸着層が、空孔径の最頻値が0.02〜0.10μmであり、かつ、蒸着層の厚み(両面)が20〜80μmであるものを用いた固体電解コンデンサ。
- 陽極箔を構成する弁作用金属の蒸着層が、基材から表層に向かって霜柱状構造に、かつ、夫々の柱は個々の粒子が複数に枝分かれして一体に結合した、いわゆる、海ぶどう状に形成された請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 陽極箔を構成する弁作用金属箔からなる基材として、アルミニウム箔を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 陽極箔を構成する弁作用金属の蒸着層として、アルミニウムを用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 陰極箔として、陽極箔と同様に構成されたものを用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- セパレータとして、電解紙を炭化処理した炭化紙を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- セパレータとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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2007
- 2007-05-16 JP JP2007130105A patent/JP2008288296A/ja active Pending
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