JP5906112B2 - ウェットマスターバッチの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェットマスターバッチの製造方法、ウェットマスターバッチ、及び、ゴム組成物に関する。
従来から、充填剤を含有するゴム組成物を形成する際の加工性や充填剤の分散性を向上させるため、ウェットマスターバッチを用いる方法が知られている。このウェットマスターバッチは通常、カーボンブラックやシリカ等の充填剤を含有するスラリー溶液とラテックスを混合して(混合工程)、得られた混合液を凝固させ(凝固工程)、得られた凝固液から凝固物だけを分離し(固液分離工程)、分離された凝固物を脱水し、乾燥させて(乾燥工程)作製される。
このウェットマスターバッチの原料として、天然ゴムラテックスが広く使用されている。しかし、天然ゴムラテックス中の各成分の比率は、産地、季節等の影響を大きく受け、原料として使用される天然ゴムラテックスによっては、上記固液分離工程において水分十分に除去出来ず、凝固物の水分含有率が高くなってしまう場合がある。このような場合、乾燥工程後のウェットマスターバッチの水分率も高くなる。そして該ウェットマスターバッチを用いてバンバリーミキサーにより加硫ゴム製品を作製する際に、発生する水蒸気によりミキサー内の圧力が増加してしまうという問題があった。
一方、天然ゴムラテックスは蛋白質を含んでおり、蛋白質の含有量を減らすことにより、ゴムの性能を向上させるマスターバッチに関する技術が存在する。例えば特許文献1には、天然ゴムラテックス中のアミド結合を分解するアミド結合分解工程と、当該アミド結合分解工程後のラテックスと、充填剤を分散させたスラリー溶液とを混合する工程を含む天然ゴムマスターバッチの製造方法が記載されている。該方法により製造されたマスターバッチを含有するゴムは、加工性、補強性、耐摩耗性に優れていると報告されている。しかしながら、上記技術を含む従来の方法では、スラリー溶液と天然ゴムラテックスを混合して凝固させる過程で、天然ゴムラテックス中のゴム成分とスラリー溶液中の充填剤が十分に混合される前に凝固が開始してしまい、得られるウェットマスターバッチ中の充填剤の分布がばらついてしまうこともあった。そして、このウェットマスターバッチ中の充填剤の分布のばらつきにより、該ウェットマスターバッチを用いたゴムの硬さ、引張強さ、耐摩耗性等にムラが生じるという問題があった。
特開2004−99625号公報
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、充填剤の分布のばらつきを抑制することができ、かつ乾燥後の水分率を低く抑えることのできるウェットマスターバッチの製造方法、充填剤の分布のばらつきが抑制され、かつ乾燥後の水分率が低いウェットマスターバッチ、及び、物性のムラが抑制されたゴム組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、以下の通りである。
即ち、本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、充填剤を含むスラリー溶液と脱蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスとを混合する混合工程、前記混合工程で得た混合液を凝固させる凝固工程、前記凝固工程で得た凝固液から凝固物を得る固液分離工程、及び、前記凝固物を乾燥させる乾燥工程を含むウェットマスターバッチの製造方法であって、前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中に含有される蛋白質量E(mg/ml)と、前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックス1gに対して混合するスラリー溶液に含まれる充填剤の量C(g)が下記式(I):
17<E(ml)/C(g)<45・・・(I)
の関係を満たすことを特徴とする。
この構成により、充填剤の分布のばらつきを抑制することができ、かつ乾燥後の水分率を低く抑えることができるウェットマスターバッチの製造方法を得ることができる。
なお、本発明におけるセラムとは、天然ゴムラテックスを遠心分離した際の無色あるいは黄色透明な中間層をいう。
前記脱蛋白処理工程は、蛋白分解酵素を用いる工程であることが好ましい。脱蛋白処理工程を、蛋白分解酵素を用いる工程とすることで、機械的な蛋白分離工程を用いる必要が無く、エネルギー面で省力化を計る事ができる。
前記充填剤の配合量は、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して30〜80質量部が好ましい。充填剤の配合量を前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して30質量部以上とすることで、該ウェットマスターバッチを用いて製造されるゴムの耐摩耗性が確保でき、80質量部以下とすることで、耐久時の発熱による性能低下を抑える事ができる。
前記充填剤は、カーボンブラックであることが好ましい。充填剤としてカーボンブラックを用いることによって、該ウェットマスターバッチを用いて製造されるゴムの耐摩耗性等の物性を特に向上させることができる。
本発明によれは、充填剤の分布のばらつきを抑制することができ、かつ乾燥後の水分率を低く抑えることのできるウェットマスターバッチの製造方法、充填剤の分布のばらつきが抑制され、かつ乾燥後の水分率が低いウェットマスターバッチ、及び、物性のムラが抑制されたゴム組成物を提供することができる。
以下、本発明についてその実施形態を例示して具体的に説明する。本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、充填剤を含むスラリー溶液と脱蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスとを混合する混合工程、前記混合工程で得た混合液を凝固させる凝固工程、前記凝固工程で得た凝固液から凝固物を得る固液分離工程、及び、前記凝固物を乾燥させる乾燥工程を含むウェットマスターバッチの製造方法であって、前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中に含有される蛋白質量E(mg/ml)と、前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックス1gに対して混合するスラリー溶液に含まれる充填剤の量C(g)が下記式(I):
17<E(mg/ml)/C(g)<45・・・(I)
の関係を満たすことを特徴とする。
<充填剤>
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、及び一般式(II):
nM・xSiOy・zH2O・・・(II)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填剤を挙げることができる。ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものに加え、カラー用に用いられるものが使用できる。例えば、ゴム工業用ではSAF、HAF、ISAF、FEF、GPF等が挙げられ、カラー用ではHCF、MCF、RCF、LCF等が挙げられる。シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
前記一般式(II)で表わされる無機充填剤は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO33]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。また、一般式(I)で表される無機充填剤としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
これらの充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。これらの充填剤の中でも、該ウェットマスターバッチを用いて製造されるゴムの耐摩耗性等の物性向上の観点から特にカーボンブラックが好ましい。充填剤の配合量は天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して30〜80質量部が好ましい。充填剤の配合量が天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して30質量部以上であることで、該ウェットマスターバッチを用いて製造されるゴムの耐摩耗性が確保でき、80質量部以下とすることで、耐久時の発熱による性能低下を抑える事ができる。また、本発明においてC(g)は、後述する脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックス1gに対して混合するスラリー溶液に含まれる充填剤の量を意味する。
上記充填剤を含むスラリー溶液の製造には、公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、ホモミキサーに所定量の充填剤と水を入れ、一定時間撹拌することで、スラリー溶液を調製することができる。また、上記スラリー溶液の製造には、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を用いてもよく、例えば、コロイドミルに所定量の充填剤と水を入れ、高速で一定時間撹拌することで、上記スラリー溶液を調製することができる。スラリー溶液中の充填剤の濃度は特に限定されないが、工程の効率化の観点から5質量%以上が好ましく、スラリーの流動性確保による取扱い性の確保の観点から50質量%以下が好ましい。
<天然ゴムラテックス>
脱蛋白処理工程前の天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、又はこれらの混合物を挙げることができる。これら天然ゴムラテックスを遠心分離すると、上澄みからは、タンパク質、脂質などを含有するゴム層(約35%)、中間層には、タンパク質、アミノ酸、有機酸を含有するセラム(天然ゴム漿液、約55%)、底部層には、タンパク質、窒素化合物、リン脂質等を含有するボトム層(沈積物層、約10%)に分離される。本発明において、E(mg/ml)は、後述する脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中における蛋白質量(mg)を意味する。
<脱蛋白処理工程>
本発明の脱蛋白処理工程は、公知の方法を用いることができ、蛋白分解酵素を用いる方法、界面活性剤を用い繰り返し洗浄する方法、酵素と界面活性剤とを併用する方法、ナトリウムメトキシドを用いたエステル交換処理方法、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いたケン化法等が挙げられる。これらの中でも、工程の簡素化の観点から、脱蛋白処理工程は、蛋白分解酵素を用いる工程が好ましい。脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中に含有される蛋白質量E(mg/ml)は、特に限定されないが、凝固工程での取り扱いの観点から、1.8〜4.8mg/mlが好ましい。
<蛋白分解酵素>
前記蛋白分解酵素を用いる工程において、蛋白分解酵素により、天然ゴムラテックス粒子の表面層成分中に存在するアミド結合を加水分解することができる。蛋白質分解酵素としては、特に限定されないが、例えば、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼが挙げられる。本発明においては使用するラテックスのpHの観点からアルカリ性プロテアーゼが好ましい。蛋白分解酵素を用いる工程は、使用する蛋白分解酵素に適した条件で行えばよく、特に限定されないが、25〜55℃の範囲で4〜168時間処理することが好ましい。
本発明において、脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中に含有される蛋白質量E(mg/ml)と、脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックス1gに対して添加される充填剤の量C(g)が、下記式(I):
17<E(mg/ml)/C(g)<45・・・(I)
の関係を満たす。これにより、充填剤の分布のばらつきが抑制され、かつ乾燥後の水分率が低いウェットマスターバッチを得ることができる。これは、E/Cの値が17を超えることで、蛋白質が優先してスラリー溶液中の充填剤に吸着し、その後ゴム成分が吸着するため、その吸着速度の差により生じる時間に、攪拌による分散が十分に可能となるからであると推定される。E/Cの値が45未満であることで、水分を保持し、乾燥効率の悪化の原因となる蛋白質の量が過剰とならず、乾燥後のウェットマスターバッチの乾燥後水分率を低く抑えることができる。
スラリー溶液と、該蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスとを混合する工程を経て、得られた混合物を凝固させる。ここで、凝固法としては、混合物に凝固剤を加えて固形化する方法が挙げられる。但し、スラリー溶液とラテックスの混合により固形化がなされる場合もあり、この場合には凝固剤の添加は、必ずしも必要ではない。ここで、凝固剤としては、特に限定されるものではないが、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
上記ウェットマスターバッチには、所望に応じて、界面活性剤、加硫剤、老化防止剤、着色剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。これら添加剤は、脱蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスとスラリー溶液との混合前に、脱蛋白処理を経た天然ゴムラテックス及びスラリー溶液の双方または何れかにに添加するのが好ましい。
得られた凝固液から、ろ取等の公知の固液分離手段を用いて凝固物が取り出され(固液分離工程)、その後、通常、水で洗浄される。洗浄後の凝固物は、遠心脱水、圧搾脱水、単軸又は複軸スクリューを用いたスクイザ等の手段で脱水される。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法は、上述の脱水後に乾燥される。乾燥には、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、充填剤の分布のばらつきを抑制するためには、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行うのが好ましい。機械的なせん断力をかけながら乾燥することにより、加工性、補強性、低燃費性に優れたゴムの原料となるウェットマスターバッチを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、スクリュー型連続混練機を用いるのが好ましく、同方向回転、あるいは異方向回転の2軸混練押出機を用いることがより好ましい。乾燥条件は特に限定されないが、乾燥条件を厳しくすることで、熱分解によりゴムの物性が低下し、製品として使用できなくなることがある。従って、同条件で乾燥するならば、当然乾燥後の水分が低いウェットマスターバッチが好ましい。乾燥後のウェットマスターバッチの水分は特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下である。乾燥後のウェットマスターバッチの水分を上記の範囲とすることで、バンバリーミキサーを使用して加硫ゴム製品を作製する際に、発生する水蒸気によりミキサー内の圧力が増加してしまうという上述の問題が生じる可能性を低下させることができる。
<ウェットマスターバッチ>
上記の方法で製造されたウェットマスターバッチは、充填剤の分布のばらつきが十分抑制され、かつ乾燥後の水分率が低い。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上記の方法で得られたウェットマスターバッチを配合してなる。上記ウェットマスターバッチ中において、充填剤の分布のばらつきが抑制されているため、それを用いた本発明のゴム組成物は、硬さ、引張強さ、耐摩耗性、耐疲労性等の物性にムラが少ない。該ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華,ステアリン酸等の通常ゴム工業界で用いられる各種薬品を添加することができる。本発明のゴム組成物は、タイヤやベルト等のゴム物品、特にタイヤのトレッド用部材として好適に使用することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下のようにして、充填剤を含むスラリー溶液と、脱蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスを調整し、それらを混合・凝固・固液分離・乾燥して実施例1〜7、比較例1〜3のウェットマスターバッチを製造した。脱蛋白処理工程には、蛋白分解酵素を用いる方法を用いた。これらのウェットマスターバッチに含有される充填剤の充填部数の標準偏差(σ)と水分率を測定した。
(1)スラリー溶液の調製
イオン交換水中にカーボンブラックN220(旭カーボン社製)を5質量%の割合で投入し、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにてスラリー状に分散させてスラリー溶液を調製した。
(2)天然ゴムラテックス中の脱蛋白処理工程
天然ゴムラテックス(アンモニア水でpH=10.2に調製、ゴム成分26.8質量%、セラム中の初期蛋白質量6.03mg/ml)に、該天然ゴムラテックス1ml当たり27μgの蛋白分解酵素を添加し、30℃で24時間反応させた。Eの値は、3.12mg/mlであった。
(3)混合・凝固・固液分離・乾燥工程
上記(1)で調整したスラリー溶液2.14kgと、上記(2)で調製した脱蛋白処理後の天然ゴムラテックス1kgを、インペラー型攪拌機を備えたタンクに投入し、15分間混合攪拌した。この時のCの値は、0.107gであり、E/Cの値は29.16(mg/ml・g)であった。その後、さらに攪拌しながら蟻酸を添加し、pHを約5に調整して凝固を完了させた後、20メッシュの篩を用いて固液分離し、凝固物を回収した。得られた凝固物を水洗後、130℃2時間、オーブンで加熱乾燥し、実施例1のウェットマスターバッチを得た。
実施例2〜7、比較例1〜3についても同様の流れで、使用する天然ゴムラテックス、蛋白分解酵素の添加量、スラリー溶液の充填剤濃度、スラリー溶液の使用量を変更して、それぞれウェットマスターバッチを得た。各実施例、比較例の配合、工程条件は表1に示す。
また、セラム中の蛋白質量測定、ウェットマスターバッチの乾燥後水分率測定、充填剤の充填部数の算出は以下の手法を用いた。
《蛋白質量測定》
脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスを、遠心分離機(装置名:CS150NX 製造社名:日立工機)を用いて、40000rpmの回転速度で20分間遠心分離を行い、中間層の透明液体をセラムとして採取した。セラム中の蛋白質量は、Brad−Ford法によって測定した。具体的には、ラテックスのセラム0.05mlを水0.45mlで希釈し、Coomassie lus Assy Reagent(Thermo scientific製)1.5mlを加えて10分間放置した後、UV吸光光度計で、波長595mmの吸光度で定量した。検量線の作成には、牛血清アルブミン(BSA)を用いた。
《水分率測定》
MX−50(A&D社製)内で、得られたウェットマスターバッチ約1gを、110℃で30分間加熱し、加熱前から加熱後にかけて減量した質量を測定し、その質量からウェットマスターバッチの水分率を算出した。
《充填剤の充填部数の算出》
得られたウェットマスターバッチ中、無作為に10箇所から約1gずつサンプリングし、それぞれ1mm角大に切断し精秤した後、るつぼに入れ750℃の電熱炉中で5分間加熱しゴム成分を燃焼させた。放冷後、残渣分を精秤し、下記式(III) :
充填部数=残渣質量/(燃焼前質量−残渣質量)×100・・・(III)
より充填剤の充填部数を算出した。10個のサンプルの標準偏差σを求めた。結果を表1、表2に示す。σが小さい程、充填剤の分布のばらつきが小さいことを示す。
Figure 0005906112
表1の結果から明らかなように、E(mg/ml)/C(g)の値が17より大きく、45より小さい実施例1〜7は、E(mg/ml)/C(g)の値が17以下、45以上の比較例1〜3に比して、小さな標準偏差(σ)の値と、低い乾燥後水分率をバランス良く両立させており、本発明の効果を確認できた。
一方、比較例1は、E(mg/ml)/C(g)の値が小さく、乾燥後の水分率は良好であったが、標準偏差の値が大きかった。比較例2は、E(mg/ml)/C(g)の値が大きく、標準偏差の値は良好であったが、乾燥後の水分率が高かった。

Claims (4)

  1. 充填剤を含むスラリー溶液と脱蛋白処理工程を経た天然ゴムラテックスとを混合する混合工程、前記混合工程で得た混合液を凝固させる凝固工程、前記凝固工程で得た凝固液から凝固物を得る固液分離工程、及び、前記凝固物を乾燥させる乾燥工程を含むウェットマスターバッチの製造方法であって、
    前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックスのセラム1ml中に含有される蛋白質量E(mg/ml)と、前記脱蛋白処理工程後の天然ゴムラテックス1gに対して混合するスラリー溶液に含まれる充填剤の量C(g)が下記式(I):
    17<E(mg/ml)/C(g)<45・・・(I)
    の関係を満たすことを特徴とする、ウェットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記脱蛋白処理工程が、蛋白分解酵素を用いる工程であることを特徴とする請求項1に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  3. 前記充填剤の配合量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して30〜80質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  4. 前記充填剤が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
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