JP5904115B2 - 排気ガス浄化用触媒およびその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒およびその製造方法 Download PDF

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本発明は排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に関し、さらに特に、排気ガス浄化用白金族金属および卑金属担持リン酸アルミニウム触媒、例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガスに含まれる有害成分を浄化する白金族金属および卑金属担持リン酸アルミニウム触媒、およびその製造方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、排ガス規制が世界的に年々強化されている。
この対応策として、内燃機関においては、排ガス浄化用触媒が用いられる。この排ガス浄化用触媒において、排ガス中のハイドロカーボン(以下、HCと略記することもある。)、COおよび窒素酸化物を効率的に浄化するために、触媒成分としてPt、Pd、Rh等の白金族元素などを含め種々の触媒が使用されている。
特許文献1は、トリディマイト型結晶構造を有し、BET比表面積が50〜150m/gである耐熱性AlPO化合物と、該AlPO化合物に担持されているPt、Pd及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の貴金属成分とからなることを特徴とする排気ガス浄化用触媒(特許文献1の請求項1)を記載する。
国際公開第2009−142180A1号パンフレット
排ガス浄化触媒中に含まれる貴金属の量を減らすこと、ならびにエンジンから排出される熱、および燃料に含まれる硫黄成分などによって劣化しにくい排ガス浄化触媒が求められている。
しかし、従来技術に示される排ガス浄化用触媒は、硫黄被毒、すなわち燃料中の硫黄酸化物等による触媒の被毒により触媒活性が大きく低下していた。また、シンタリング、すなわち触媒の活性点である貴金属の粒成長によっても、活性が大きく低下しており、活性を高めるために改善の余地があった。
本発明者らは、鋭意努力した結果、トリディマイト型結晶構造を有するAlPOを担体とした白金族金属を担持する触媒において、触媒製造直後の担体のO1s結合エネルギーを一定範囲に制御することによって、上記2つの課題を一度に解決することができ、非常に優れた結果を得ることができることを見いだした。
本発明の態様は、以下のようである。
(1)トリディマイト型リン酸アルミニウム焼成体の担体上に、Pt、Rh、Pdからなる群から選択される少なくとも1種の白金族金属を担持してなる、排ガス浄化用触媒であって、前記担体のO1s結合エネルギーが532.2eV以上、532.7eV以下である、排ガス浄化用触媒。
(2)前記白金族金属がPdであり、そして前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m/g〜70m/gである、(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m/g〜45m/gである、(1)または(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)pHが3.5〜4.5になるように調整した水溶液から得たリン酸アルミニウムを1000℃〜1200℃の温度で2時間以上焼成してリン酸アルミニウム焼成体を得る工程と、
前記リン酸アルミニウム焼成体の担体上に、Pt、Rh、Pdからなる群から選択される少なくとも1種の白金族金属を担持させる工程と、
を含んでなる、排ガス用浄化触媒の製造方法であって、前記リン酸アルミニウム担体のO1s結合エネルギーが532.2eV以上、532.7eV以下である、排ガス浄化用触媒の製造方法。
(5)前記白金族金属がPdであり、そして前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m/g〜70m/gである、(4)に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
(6)前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m/g〜45m/gである、(4)または(5)に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
本発明に係る排ガス浄化触媒は、排ガス浄化用触媒の、熱耐久による活性点の粒成長の問題と、白金族触媒の硫黄被毒の問題とを同時に解決することによって、触媒の活性低下を抑制し、熱耐久処理・硫黄被毒処理後であっても、非常にすぐれた触媒活性を発現できるだけでなく、従来の触媒よりもさらなる高活性を示すことができるものである。
図1は、リン酸アルミニウム上に担持されているPd粒子などの模式図である。 図2は、Pd担持AlPO触媒の各サンプルについて、触媒製造直後のO1s結合エネルギー((a)実施例1:532.4eV:、(b)実施例2:532.6eV)、(c)実施例3:532.3eV、(d)比較例1:532.1eV、(e)比較例2:533.0eV)に対して、熱耐久・硫黄被毒処理後のNOxガスの浄化率を測定して、プロットしたグラフである。 図3は、触媒の熱耐久・硫黄被毒処理の際の昇温パターンを示すグラフである。 図4は、触媒の活性評価の際の昇温パターンを示すグラフである。 図5は、触媒の活性評価のイメージ図である。
なお、本明細書中において、無機物の化合物の名称、または(下記に例示するような)含有される金属の比を用いた表記により、これらの組成を有するように生成させても、不純物などを含めて現実的に生成してしまう組成をも含むものとする。したがって、無機物の化合物の名称または含有される金属の比を用いた表記により、例えば、無機化合物の構造中において、例えば、酸素、水素、窒素などの元素が、化学式中±1原子数以下で過剰または過少に存在している組成の無機化合物、すなわち、例えば、リン酸アルミニウムの場合、AlPO中で、例えば酸素の数が±1の場合のAlPO〜AlPOをも含み、またAl/Pの比率が1±約0.3のものも含み、さらに化合物中に表記されていない水素を不純物として有するものなどをも含むものである。
本発明に係るリン酸アルミニウム焼成体は、トリディマイト型結晶構造を有するものである。ただし、トリディマイト型結晶構造の他に、バーリナイト型結晶構造、クリストバライト型結晶構造、またはアモルファスを含むこともできる。
本発明に係るリン酸アルミニウム焼成体のBET比表面積は、約20m/g以上、約25m/g以上、約30m/g以上、約35m/g以上、約90m/g以下、約85m/g以下、約80m/g以下、約75m/g以下、約70m/g以下、約65m/g以下、約60m/g以下、約55m/g以下、約50m/g以下、約45m/g以下、約40m/g以下であることができる。好ましくは、約30m/g以上、約70m/g以下、さらに好ましくは約30m/g以上、約45m/g以下であると、焼成体がトリディマイト型結晶構造であって、かつアモルファスを含まず、好ましい。
本発明に係るリン酸アルミニウム焼成体としては、公知の方法により得られたリン酸アルミニウム焼成体を、特に制限なく用いることができる。
リン酸アルミニウム焼成体の製造方法は特に限定されず、中和法などの公知の方法を採用することができる。例えば、Al含有化合物の水溶液中に、Alに対するPのモル比がほぼ当量になるようにリン酸水溶液を加え、さらにアンモニア水を加えてpHを調整して得られた沈殿物を分離して乾燥後、上記の焼成温度で焼成する方法が挙げられる。Al含有化合物としては、例えば、水酸化物、硝酸化物等金属塩が挙げられ、具体的には、Al(OH)、Al(NO等が挙げられる。
上記のアルミニウム塩とリン酸を含む混合溶液において用いられる溶媒としては、アルミニウム含有化合物とリン酸を溶解させることができる任意の溶媒、例えば、水などの水性溶媒や有機溶媒等を使用することができる。
そして本発明に係るリン酸アルミニウム焼成体は、トリディマイト型結晶構造を有し、例えば、
(a)所定のpHのリン酸アルミニウム水溶液から得たリン酸アルミニウムを所定の温度で所定の時間焼成する方法、
(b)リン酸アルミニウム焼成体を製造するに際して、アルミニウムイオンに対して、リン酸イオンを過剰量加えて、未反応のリン酸イオンを生成物中に残留させる方法、
(c)リン酸アルミニウム焼成体の製造原料中に、所望の細孔径を生成できる直径を有するオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール系樹脂等の熱可塑性樹脂などの発泡剤を混合させて、焼成工程で発泡剤を焼失させる方法など、広範な方法により得られたものを用いることができる。
ここで、上記(a)における、リン酸アルミニウム生成時の水溶液pH、焼成温度、焼成時間は、トリディマイト型結晶構造に悪影響を与えなければ、特に制限無く、それぞれ約3.0〜約10.0、約1000℃〜1200℃、約1時間〜約10時間の範囲内などの通常使用される条件を使用できる。
本発明に係る浄化触媒の触媒製造直後の、上記リン酸アルミニウム焼成体のO1s結合エネルギーは、約532.16eV以上、約532.18eV以上、約532.20eV以上、約532.22eV以上、約532.24eV以上、約532.26eV以上、約532.28eV以上、約532.30eV以上、約532.76以下、約532.74以下、約532.72以下、約532.70以下、約532.68以下、約532.66以下、約532.64以下、約532.62以下、約532.60以下であることができる。約532.20eV以上、約532.70eV以下であると、触媒のシンタリングと硫黄被毒とを有効に防げ好ましい。なお、本明細書中において、触媒製造直後とは、触媒製造後の任意の時点であって、かつ触媒が硫黄被毒処理を行なわれていない状態にあることを意味する。
本発明に係る浄化触媒は、上記リン酸アルミニウム焼成体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)からなる群から選択される少なくとも1種の白金族金属を担持させて成るものである(図1)。担持の形態については、特に制限なく、焼成体上に白金族金属がおおよそ一様に担持されていればよい。
担持される白金族金属ナノ粒子の粒径は、約0.40nm以上、約0.50nm以上、約0.60nm以上、約0.70nm以上、約0.80nm以上、約0.90nm以上、約1.0nm以上であることができ、約2.2nm以下、約2.1nm以下、約2.0nm以下、約1.9nm以下、約1.8nm以下、約1.7nm以下、約1.6nm以下、約1.5nm以下、約1.4nm以下、約1.3nm以下、約1.2nm以下、約1.1nm以下であることができる。
白金族金属のリン酸アルミニウム焼成体に対する量は、約0.0001wt%以上、約0.001wt%以上、約0.01wt%以上、約0.1wt%以上、約0.20wt%以上、約0.30wt%以上であることができ、約2.0wt%以下、約1.9wt%以下、約1.8wt%以下、約1.7wt%以下、約1.6wt%以下、約1.5wt%以下、約1.4wt%以下、約1.3wt%以下、約1.2wt%以下、約1.1wt%以下、約1.0wt%以下、約0.90wt%以下、約0.80wt%以下、約0.70wt%以下、約0.60wt%以下、約0.50wt%以下、約0.40wt%以下であることができる。
担持の形態については、特に制限なく、焼成体の担体上に白金族金属がおおよそ一様に担持されていればよい。
白金族金属ナノ粒子をリン酸アルミニウム焼成体に担持させる方法としては、リン酸アルミニウム焼成体に悪影響を与えなければ、特に制限なく、含浸担持法、表面析出法等、一般的な方法を用いることができる。
白金族金属ナノ粒子の粒径を揃えるために、所望の粒径の白金族金属の粒子を提供できる白金族金属のコロイドを用いることもできる。他の白金族金属源、例えば酢酸白金族金属化合物、硝酸白金族金属化合物、塩化白金族金属化合物、これらから合成した白金族金属ナノ粒子を用いてもよい。ただし、リン酸アルミニウムは、強酸に易溶であるため、硝酸イオン、塩化物イオン等を含まないことが好ましい。
本発明に係る触媒では、下記実施例1〜3、および図2のグラフに示すように、リン酸アルミニウム中の酸素のO1s結合エネルギーが、532.2eV以上、かつ532.7以下の範囲にあることにより、白金族金属、特にPd粒子を含浸法により担持したAlPO触媒では、熱耐久処理・SO等による硫黄被毒処理後でも、600℃でNOxなどの排ガスに対して約68%以上もの浄化能(図2中(a)〜(c))であって、約58%以下の浄化率しか示さない従来触媒(図2中(d)、(e))よりも遙かにすぐれた浄化能を有することが判明した。
何らかの理論に拘束されることを望まないが、担体であるリン酸アルミニウム中の酸素原子のO1s結合エネルギーが大きいと、担体が白金族金属例えばPdに電子を供与して、白金族金属の状態が金属寄りとなって不安定化し、その結果、白金族金属のシンタリングが生じ易く、逆に、O1s結合エネルギーが小さいと、担体が白金族金属から電子を吸引して、白金族金属の状態が酸化物寄りとなって準安定化し、白金族金属同士のシンタリング、および白金族金属の硫化物形成による硫黄被毒を防げるものと考えられる。
何らかの理論に拘束されることを望まないが、しかし、O1s結合エネルギーが小さいリン酸アルミニウムはアモルファスを含んでおり、このアモルファスが不安定であることから、白金族金属を担持させる際の薬液処理により、アモルファスが溶解して、リン酸アルミニウム結晶構造の崩れ、および表面積の低下が生じてしまうものと考えられる。
本発明に係るリン酸アルミニウムは、トリディマイト型の結晶構造を有することにより、白金族金属を担持させる際に薬液処理を行っても、アモルファスのリン酸アルミニウムなどに比較して溶けにくく、その結果リン酸アルミニウムの結晶構造の崩れや、表面積の低下を防ぐことができるだけでなく、さらにトリディマイト構造保持できる範囲内において、担持した白金族金属を安定化させるのに充分小さいO1s結合エネルギーを有することによって、担持された白金族金属同士のシンタリングおよび硫黄被毒を防ぐことができるという優れたバランスを有するものである。そして、この優れた特性を有する範囲が、532.2eV以上、かつ532.7以下といったO1s結合エネルギーの範囲として測定できるものと考えられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<合成例1:AlPO4の合成>
工程1−1:室温下で、ビーカーにイオン交換水50mlを加え、撹拌子を入れ、撹拌した。
工程1−2:0.1molの硝酸アルミニウム9水和物(ナカライテスク製)を秤量し、上記イオン交換水に加え、撹拌しながら溶解させた。
工程1−3:別のビーカーに85wt%のリン酸(ナカライテスク製)をリン酸量換算で0.1mol秤量し、工程1−2の水に加え、撹拌を続けた(ビーカーに残ったリン酸は、イオン交換水を用いて、混合液のビーカーに加えた)。
工程1−4:混合液のビーカーに、28wt%アンモニア水(ナカライテスク製)を、ピペットを用いて少量ずつ滴下し、pHが4.0となるように調整した。
工程1−5:混合液のビーカーに蓋をして12時間室温で撹拌した。
工程1−6:混合液を遠心分離機(3000回転/分、10分間)にかけ、沈殿物と上澄みに分けた。
工程1−7:沈殿物にイオン交換水を適量加え、もう一度遠心分離機にかけた(洗浄工程)。
工程1−8:沈殿物を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。
工程1−9:乾燥物を乳鉢に入れ、乳棒を使って解砕し、粉末状にした。
工程1−10:粉末を電気炉中1100℃で5時間焼成し、約12gの粉末を得た。
<製造例1:Pd担持体の製造>
工程2−1:室温下で、AlPO4粉末を6g秤量し、イオン交換水30mlと撹拌子を入れたビーカーに入れ、撹拌した。
工程2−2:Pd粒子の粒径0.70nmの硝酸パラジウム水溶液を、Pd担持量が0.50wt%となるよう秤量し、工程2−1のビーカーに加え、撹拌した。
工程2−3:工程2−2のビーカーを加熱撹拌し、水分がなくなるまで蒸発乾固させた。
工程2−4:工程2−3の乾固物を120℃の乾燥機中で12時間乾燥させた。
工程2−5:乾燥物を乳鉢に入れ、乳棒を使って解砕し、粉末状にした。
工程2−6:この担持粉末を電気炉中500℃で3時間焼成した。
工程2−7:焼成後の粉末をペレット状に成型した。
(実施例1)
上記<合成例1>および<製造例1>の手順により、粒径2.0nmのPd担持AlPO4触媒を得た。
(実施例2、3)
工程1−4において、pHが、それぞれ、6.0、5.0になるように調整したことを除き、(実施例1)と同様の手順で、触媒粉末(実施例2、実施例3)を得た。
(比較例1)
特許文献1中の表1中の製造例2(特許文献1の段落[0025]〜[0026])に従って触媒を調製した。すなわち、0.5モルの硝酸アルミニウム9水塩及び0.7モルのリン酸を1000mlの水に溶解した。この溶液に、よく攪拌しながら、10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpHを特許文献1の第1表に示す4.5とした。生じた白色沈殿を遠心分離機を用いて水で洗浄し、100℃で24時間乾燥させた。得られた試料をアルミナるつぼに入れ、ふたをし、マッフル炉を用いて空気中で1000℃で6時間焼成して粉末を得た。さらに上記<製造例1>と同様の手順で、触媒粉末(比較例1)を得た。
(比較例2)
担体として<合成例1>で得たAlPOの代わりに、市販のAlPO(品番:020−02565、メーカー名:キシダ化学)を使用した以外は、実施例1と同様の手順で触媒粉末(比較例2)を得た。
<XPSによる光電子エネルギーおよび結晶構造の測定>
試料水平型強力X線回析装置 RINT−TTRIII(メーカー名:(株)リガク)を用いてX線を照射し、生じる光電子のエネルギーを測定し、さらに結晶構造を観察した。
<比表面積測定>
JISZ−8830により、B.E.T.法を用いて測定した。
<白金族金属ナノ粒子の粒径の測定>
白金族金属ナノ粒子の粒径は、試料水平型強力X線回析装置 RINT−TTRIII(メーカー名:(株)リガク)を用いて測定した。
結晶子径の算出には2θ=40.0〜40.2°付近をPdのピークとして使用した。
(触媒評価法)
触媒粉末を2tの圧力を加えて圧縮成形した後、これを粉砕し直径2.5mm程度のペレットに圧縮成形したものを評価サンプルとした。
<熱耐久処理・硫黄被毒処理>
工程3−1:Pdを担持したペレット3.0gを、アルミナ製反応管に入れた。次に、図3に示すように、以下の工程3−2〜工程3−6により触媒に熱耐久・硫黄被毒処理を行った。なお、工程3−2〜工程3−5において、ガス流量はいずれも5リットル/分である。
工程3−2:反応管内の温度を、電気炉で室温から1000℃まで、5℃/分の昇温速度で加熱しながら、180分間の間、反応管内に100体積%のNを流した。
工程3−3:反応管内の温度を1000℃に保ったまま、300分間の間、3体積%のCO(残余N)のガスと、5体積%のO(残余N)のガスとを2分間隔で交互に流通させた。
工程3−4:反応管内の温度を、3℃/分の速度で400℃まで降温しながら、200分間の間、反応管内に100体積%のNを流した。
工程3−5:反応管内の温度を400℃に保ったまま、90分間の間、体積でNO:0.1%、CO:0.65%、C:0.1%、CO:10%、O:0.725%、HO:3%、SO:0.05%、N:残余のガスを流した。
工程3−6:自然放冷により室温まで冷却した。
<触媒の活性評価>
熱耐久処理・硫黄被毒処理後の触媒の活性評価を、図4に示す以下の工程4−1〜工程4−5に従って、ガス流通式の触媒評価装置を用いて浄化率を測定することにより行った。
サンプル量は、各3.0gとした。
工程4−1:室温から150℃まで20℃/分の昇温速度で、サンプルの温度を昇温させた。
工程4−2:サンプルを150℃で5分間保持した。
工程4−3:150℃から600℃まで20℃/分の昇温速度で、サンプルの温度を昇温させた。
工程4−4:サンプルの温度を600℃保持しながら、評価ガスとして、体積で、CO:0.65%、C:3000ppmC、NO:1500ppm、O:0.7%、HO:3%、CO:10%、N:残余のモデルガスを、ガス流量15L/分、SV約300,000時間−1で、3分間流して、浄化率を測定した。
浄化率測定は、図5に示すように、評価ガスをサンプルに通過させた後のガス組成を、赤外分光計(メーカー名:(株)堀場製作所、型番:MEXA−6000FT)を用いて測定し、この測定値から下記の式により浄化率を算出した。
浄化率(%)=(触媒の入りガス濃度(体積%)−触媒の出ガス濃度(体積%))/触媒の入りガス濃度(体積%)×100
工程4−5:自然放冷により室温まで冷却した。
(結果)
結果を表1に示す。
実施例1〜3および比較例1〜2で得られたリン酸アルミニウム焼成体の触媒製造直後の、O1s結合エネルギー(eV)、粉末の結晶構造、BET比表面積(m/g)、および熱耐久・硫黄被毒後600℃でのNO浄化率を表1に示す。
Figure 0005904115
さらに、図2に、触媒担体のO1s結合エネルギー(eV)に対してNO浄化率(%)をプロットしたグラフを示す。
本発明に係る触媒では、O1s結合エネルギーが、532.4(eV:実施例1、図2中(a))、532.6(eV:実施例2:図2中(b))、532.3(eV:実施例3:図2中(c))である触媒は、600℃でのNOについて、熱耐久・硫黄被毒処理後でも、驚いたことに、浄化率が、それぞれ73%、68%、70%と、従来触媒の浄化率58%(比較例1、図2中(d))、28%(比較例2、図2中(e))に比べて、格段の性能を示した。
比較例1のAlPOは、特許文献1中の特許請求の範囲中のAlPOであり、BET比表面積102m/gのものである。
このAlPOは結晶(トリディマイト型)とアモルファスの中間であり、AlPO中のPとOが長距離秩序を持たない部分が存在して、O1s結合エネルギーが小さいため、Pdのシンタリングおよび、硫黄被毒要因であるPd硫化物形成が抑制されると考えられる。しかし、比較例1のAlPOは、アモルファスを含むため、Pd薬液担持の際にAlPOが溶けてしまい、構造が壊れると同時に比表面積が大きく低下して、Pdのシンタリングが促進され、浄化活性が低下したと推測される。
そして比較例2のAlPOは、市販のAlPOであり、BET比表面積15m/gのものである。
このAlPOはベルリナイト型の結晶であり、比表面積が非常に小さい。また、担体のO1sエネルギーが大きいことから、担体がPdに電子を供与して、Pdの状態が金属寄りとなって、Pdのシンタリングが促進され、かつPdの硫化物を形成し易くなるため、活性低下したと推測される。
そして、図2のグラフから、O1s結合エネルギーが、532.2eV以上、532.7eV以下の場合に、約68%以上のNO浄化率を示すことが判明した。
上記のように、本発明の態様に係る触媒と、比較例および従来の触媒との性能差には、532.2eV以上、532.7eV以下のO1s結合エネルギーによるAlPO上でのシンタリングの抑制および硫黄被毒の抑制が、大きく影響することが明らかになった。
以上のように、本発明に係る排ガス浄化触媒は、熱耐久処理・硫黄被毒処理後であっても、排ガス浄化触媒として良好な性能を有するものである。こうしたことから、本発明に係る酸化触媒の用途は、排ガス浄化触媒に限られず、広い分野において様々な用途に利用することができる。

Claims (4)

  1. トリディマイト型リン酸アルミニウム焼成体の担体上に、Pt、Rh、Pdからなる群から選択される少なくとも1種の白金族金属を担持してなる、排ガス浄化用触媒であって、前記担体のO1s結合エネルギーが532.2eV以上、532.7eV以下であり、前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m /g〜45m /gである、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記白金族金属がPdである、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. pHが3.5〜6.0になるように調整した水溶液から得たリン酸アルミニウムを1000℃〜1200℃の温度で2時間以上焼成してリン酸アルミニウム焼成体を得る工程と、
    前記リン酸アルミニウム焼成体の担体上に、Pt、Rh、Pdからなる群から選択される少なくとも1種の白金族金属を担持させる工程と、
    を含んでなる、排ガス用浄化触媒の製造方法であって、前記リン酸アルミニウム担体のO1s結合エネルギーが532.2eV以上、532.7eV以下であり、前記リン酸アルミニウム担体のBET比表面積が、30m /g〜45m /gである、排ガス浄化用触媒の製造方法。
  4. 前記白金族金属がPdである、請求項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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