JP2013198888A - 排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性を有しており、且つ高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOx浄化活性が維持される窒素酸化物浄化用触媒を提供すること。
【解決手段】 スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とする窒素酸化物浄化用触媒。
【選択図】 なし
【解決手段】 スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とする窒素酸化物浄化用触媒。
【選択図】 なし
Description
本発明は、排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法に関する。
希薄燃焼エンジンは、排ガスも酸素が過剰なリーン雰囲気となるため、酸化触媒や三元触媒等では、窒素酸化物(NOx)を還元浄化することが困難である。そこで、アンモニア又はアンモニアへ加水分解可能な化合物を還元剤として用いて、リーン雰囲気下でNOxを選択的に還元する窒素酸化物浄化用触媒(いわゆるSCR触媒)が開発されている。このような窒素酸化物浄化用触媒としては、例えば、非特許文献1に開示されるV2O5−WO3/TiO2触媒、非特許文献2及び非特許文献3に開示されるゼオライト系触媒、特許文献1に開示される酸化タングステンと酸化セリウムと酸化チタンと酸化ジルコニウムとからなる複合金属酸化物を含有する触媒、特許文献2に開示されるチタニア−ジルコニア型複合酸化物と金属とを含有する触媒や酸化タングステン−ジルコニア型複合酸化物と金属とを含有する触媒、非特許文献4に開示されるWO3/CeO2−ZrO2触媒、非特許文献5に開示されるTiO2にV、Cr、Ni、Cu等の酸化物を担持した触媒が提案されている。しかしながら、ゼオライト系触媒は、水存在下の高温(例えば750℃以上)では劣化が激しいという問題があり、非ゼオライト系の酸化物系触媒は、ゼオライト系触媒に比べて耐水熱性は高いものの、浄化率は十分でないといった問題点があった。
これに対し、耐熱性及び活性を向上するために、硫−耐性耐火性酸化物である担体(例えばSnO2)及び触媒金属(例えばPt)を含み固体酸(例えばWO3)及び/又は硫酸が担持されている排ガス浄化用触媒が特許文献3に開示され、また、担体(例えばSnO2)と塩基性金属(例えばMg)又はその酸化物と酸性金属又はその酸化物(例えばW)とからなる触媒であって、炭化水素を還元剤として酸化窒素を還元する触媒が特許文献4に開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の触媒は、NOxを200〜240℃といった低温域で除去するための触媒であるものの、NOx除去率が未だ十分なものではなかった。また、特許文献4に記載の触媒のNOx浄化最適温度は550〜700℃であり、低温域(例えば250℃程度)におけるNOx除去率が低いといった問題点があった。
また、特許文献5には、セリアを主成分とするセリア含有担体と、前記担体に担持されているタングステン及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の第一金属元素と、前記担体に担持されている鉄、銅及びマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の第二金属元素とを備える窒素酸化物浄化用触媒が開示されている。しかしながら、近年の排ガス浄化装置における要求水準の向上等に伴って、低温域におけるNOx浄化性能と耐熱性の更なる向上が要求されている。
C.Ciardelli et al.,Applied Catalysis B,Environmental 70(2007)80−90
Gongshin Qi et al.,Catalysis Letters,Vol.100,Nos.3−4,April 2005
辰巳敬/西村陽一監修、ゼオライト触媒開発の新展開、260頁、2004年発行、シーエムシー出版
Chem.Commun.,2008,1470−1472
Smirniotis PG et al.,ANGEWANDTE CHEMIE−INTERNATIONAL EDITION、40巻、13号、2479頁、2001年発行
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性を有しており、且つ高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOX浄化活性が維持される窒素酸化物浄化用触媒を得ることができる排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来は用いられていなかった2価スズ塩をセリウム塩と組み合わせて用いて原料溶液を調製し、さらにその原料溶液から得られたスズとセリウムとを含有する共沈殿物を熟成させた後に焼成して排ガス浄化用触媒担体を得ることにより、得られた担体において所定の水熱耐久試験後にBET比表面積と細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積とが従来は達成できなかった高水準に維持されるようになり、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒が低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性を有し、且つ高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOX浄化活性が維持されるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、
スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなり、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とするものである。
スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなり、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とするものである。
本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、前記複合酸化物多孔体におけるスズとセリウムとの比率(モル比)がスズ:セリウム=7:3〜4:6であることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、前記水熱耐久試験後において、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して50〜95%となっていることが好ましい。
本発明の窒素酸化物浄化用触媒は、
前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とするものである。
前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とするものである。
本発明の窒素酸化物浄化用触媒においては、前記元素の含有量(金属換算)が、前記担体100質量部に対して3〜25質量部であることが好ましい。
また、本発明の窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験後において、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して50〜95%となっていることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、及び
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、
を含むことを特徴とする方法である。
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、及び
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、
を含むことを特徴とする方法である。
また、本発明の窒素酸化物浄化用触媒の製造方法は、
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、及び
前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる工程、
を含むことを特徴とする方法である。
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、及び
前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる工程、
を含むことを特徴とする方法である。
なお、本発明によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、従来は用いられていなかった2価スズ塩をセリウム塩と組み合わせて用いて原料溶液を調製し、さらにその原料溶液から得られたスズとセリウムとを含有する共沈殿物を熟成させた後に焼成することにより、得られる排ガス浄化用触媒担体及びそれを用いた窒素酸化物浄化用触媒においてBET比表面積が高くなるとともに、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が従来より飛躍的に大きくなる。そして、このような細孔直径10〜100nmの細孔は、高温の水熱雰囲気に長時間曝された際にそれより小さい細孔のように消失することがないため、水熱耐久試験後においてもBET比表面積と細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積とが高水準に維持される。そのため、本発明の排ガス浄化用触媒担体を用いた窒素酸化物浄化用触媒においては、低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性が発揮されるとともに、高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOX浄化活性が維持されるようになると本発明者らは推察する。
本発明によれば、低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性を有しており、且つ高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOX浄化活性が維持される窒素酸化物浄化用触媒を得ることができる排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。先ず、本発明の排ガス浄化用触媒担体及びそれを用いた本発明の窒素酸化物浄化用触媒について説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなり、水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであることを特徴とするものである。
また、本発明の窒素酸化物浄化用触媒は、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであることを特徴とするものである。
本発明に係る複合酸化物多孔体は、スズ酸化物(SnO2等)とセリウム酸化物(CeO2等)とを含有するものである。このようにスズ酸化物とセリウム酸化物とを組み合わせて複合酸化物として用いることにより、得られる窒素酸化物浄化用触媒における低温域でのNOx浄化活性が十分に高くなると共に、高温水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下を抑制できる。
なお、窒素酸化物をアンモニア又はアンモニアへ加水分解可能な化合物により還元するいわゆるアンモニアSCR反応においては、NOx中のNOとNO2の比率がNO:NO2=1:1の時に高い浄化率(いわゆるFast反応)が得られるが、NOがNO2より多いと、一部のNOをNO2に酸化させる必要があり、その反応が律速となり浄化率が低下する(いわゆるStandard反応)。実際の希薄燃焼エンジンの排ガスではNO2はNOよりも少なく、窒素酸化物浄化用触媒の前に高価な貴金属等を使用した酸化触媒を配置し、できるだけFast反応を進行させようとする場合がある。しかし本来は、NO2が少ない場合、あるいは全くない場合でも、窒素酸化物浄化用触媒自体に高い活性がある方が好ましい。本発明においては、スズ酸化物にセリウム酸化物を組み合わせて用いることにより、NOからNO2への酸化が促進され、Standard反応の活性が高められる。
本発明に係る複合酸化物多孔体におけるスズとセリウムとの比率(モル比)は、スズ:セリウム=7:3〜4:6であることが好ましい。セリウムの比率が前記下限未満では得られる窒素酸化物浄化用触媒における低温域でのNOx浄化活性が十分に向上せず、他方、前記上限を超えると高温水熱雰囲気に長時間曝されるとNOx浄化活性が低下する。
本発明に係る複合酸化物多孔体は、スズ酸化物及びセリウム酸化物以外の成分を含有していてもよく、そのような成分をしては、Ti,Zr,Fe,Si,Zn,In,Ga及びAlからなる群から選択される少なくとも一つの元素の酸化物が挙げられる。そのような成分を含有する場合、複合酸化物多孔体におけるスズ酸化物とセリウム酸化物との合計含有量が70質量%以上であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後に、BET比表面積が30〜400m2/gであることが必要であり、32〜200m2/gであることがより好ましい。このBET比表面積が前記下限未満では得られる窒素酸化物浄化用触媒における低温域でのNOx浄化活性が十分に向上せず、他方、前記上限を超えると高温水熱雰囲気に長時間曝されると触媒がシンタリングし易くなる。なお、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験の前に、BET比表面積が60〜200m2/gとなっていることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験後に、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであることが必要であり、0.15〜0.7cm3/gであることがより好ましい。この細孔容積が前記下限未満では得られる窒素酸化物浄化用触媒における耐熱性が十分に向上せず、他方、前記上限を超えると細孔を構成する材料が脆くなる。なお、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験の前に、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.2〜0.7cm3/gとなっていることが好ましい。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験後において、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して50〜95%となっていることが好ましい。この細孔容積の割合が前記下限未満では得られる窒素酸化物浄化用触媒における耐熱性が十分に向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると十分な比表面積が得られない傾向にある。なお、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒においては、前記水熱耐久試験の前に、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して60〜80%となっていることが好ましい。
なお、本発明において、BET比表面積は窒素吸着法で得られた窒素吸着等温線からBET等温吸着式により求めることができ、例えば、自動ガス/蒸気吸着量測定装置(BELSORP−18PLUS、日本ベル社製)を用いて測定することにより求めることができる。また、本発明において、細孔容積は前記窒素吸着等温線から相対圧が最高値となるときの窒素吸着量により求めることができる。さらに、前記窒素吸着等温線からBJH法により細孔径分布曲線を求めることができ、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積や細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積を求めることができる。
本発明の窒素酸化物浄化用触媒においては、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体に、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)及びモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種の元素が担持されている。このような元素は、メタル状態で担持されていても、それらの酸化物等の化合物として担持されていてもよい。また、このような元素は、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの元素の中でも、NOx浄化活性がより向上するという観点から、タングステン、ニオブが特に好ましい。
本発明の窒素酸化物浄化用触媒においては、前記元素の含有量(金属換算)が、前記担体100質量部に対して3〜25質量部であることが好ましく、4〜20質量部であることがより好ましい。前記元素の含有量が前記下限未満では低温域でのNOx浄化活性が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記元素からなる酸化物が凝集し、十分な比表面積が得られなくなる傾向にある。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒の形態としては、特に制限されず、例えば、目的とする触媒の用途等に応じたハニカム形態、ペレット形態等が挙げられ、前記複合酸化物多孔体をそのような形態に成形しても、或いは基材に前記複合酸化物多孔体を固定せしめてもよい。このような基材としては、特に制限されず、目的とする触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、DPF基材、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等をより好適に用いることができる。さらに、このような基材の材料も特に制限されないが、コージェライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材をより好適に用いることができる。また、このような基材を用いる場合において、前記複合酸化物多孔体を前記基材に固定する方法としては、例えば、基材に前記複合酸化物多孔体の粉末をウォッシュコート法等の方法でコートして前記複合酸化物多孔体からなるコート層を基材の表面に形成せしめる方法を採用することができる。
また、前記複合酸化物多孔体を基材に固定せしめた形態とする場合、基材容量1Lあたりの前記複合酸化物多孔体の量としては、得られる窒素酸化物浄化用触媒において十分な触媒活性が得られ、且つ圧損上昇やコート層剥離が抑制できるという観点から、金属酸化物換算で50〜400g/L程度であることが好ましい。
次いで、本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒の製造方法について説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、
(i)2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
(ii)前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
(iii)前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、及び
(iv)前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、
を含むことを特徴とする方法である。
(i)2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
(ii)前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
(iii)前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、及び
(iv)前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、
を含むことを特徴とする方法である。
また、本発明の窒素酸化物浄化用触媒の製造方法は、前記工程(i)〜(iv)に加えて、
(v)前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる工程、
を含むことを特徴とする方法である。
(v)前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる工程、
を含むことを特徴とする方法である。
本発明においては、従来は用いられていなかった2価スズ塩を、セリウム塩と組み合わせて用いて原料溶液を調製する必要がある。このように2価スズ塩を用い、さらに後述するように原料溶液から得られたスズとセリウムとを含有する共沈殿物を熟成させた後に焼成することによって、BET比表面積が高くなるとともに、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が従来より飛躍的に大きくなり、前述の本発明の排ガス浄化用触媒担体及び窒素酸化物浄化用触媒が得られるようになる。
本発明で用いる2価スズ塩としては、塩化スズ(II)、酢酸スズ(II)、スズ(II)エトキシド、フッ化スズ(II)、臭化スズ(II)、しゅう酸スズ(II)が挙げられ、中でも水への溶解性の高さという観点から塩化スズ(II)が特に好ましい。
また、本発明で用いるセリウム塩としては、硝酸セリウム(III)・6水和物、酢酸セリウム(III)、硫酸セリウム(III)・8水和物、しゅう酸セリウム(III)が挙げられ、中でも水への溶解性の高さという観点から硝酸セリウム(III)・6水和物が特に好ましい。
前記工程(i)においては、前記2価スズ塩と前記セリウム塩とを溶媒(好ましくはイオン交換水、蒸留水等の水)に溶解せしめて原料溶液を得る。原料溶液の濃度は特に制限されないが、含有される金属塩の合計濃度が0.05〜1.0mol/L程度であることが好ましい。
前記工程(ii)においては、前記原料溶液のpHを7〜10(より好ましくは8〜9)に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる。その際、不純物の低減という観点からアンモニアの存在下で前記共沈殿物を生成せしめることが好ましい。
前記工程(iii)においては、前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる。係る熟成工程を経ることが、前記2価スズ塩を用いることとともに本発明の特徴であり、係る熟成工程によって細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が従来より飛躍的に大きくなる。
前記共沈殿物を熟成させる際の条件としては、温度は90〜160℃であることが好ましく、100〜150℃であることがより好ましい。熟成温度が前記下限未満では共沈殿物の熟成が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると共沈殿物の結晶化が進むために比表面積が小さくなる傾向にある。また、前記共沈殿物を熟成させる時間は、2〜72時間であることが好ましく、3〜50時間であることがより好ましい。熟成時間が前記下限未満では共沈殿物の熟成が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えても平衡状態となり反応がそれ以上進行しなくなる傾向にある。なお、前記工程(iii)において前記共沈殿物を熟成させた後に、アスペクト比が5以上の針状結晶の生成が確認されることが好ましい。
前記工程(iv)においては、前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る。その際に、前記共沈殿物を必要に応じて濾過、洗浄した後に乾燥し、さらに焼成することが好ましい。係る洗浄方法は特に制限されず、例えば、イオン交換水を用いて数回洗浄する方法等が適宜採用される。また、係る乾燥する際の条件も特に制限されず、一般的に80〜150℃で1〜48時間程度の乾燥条件が適宜採用される。さらに、係る焼成する際の条件も特に制限されず、一般的に大気中にて300〜600℃で1〜12時間程度の焼成条件が適宜採用される。
前記工程(v)においては、前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる。このように前記担体に前記元素を担持せしめる方法としては、例えば、前記元素の塩や錯体を含有する溶液(好ましくは水溶液)に前記担体を含浸させて前記元素を前記担体に担持せしめた後に焼成する方法を好適に採用することができる。
ここで用いる前記元素の塩や錯体としては、前記元素の水酸化物、塩化物塩、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、クエン酸塩、ジニトロジアンミン錯体等の錯体等が挙げられ、具体的には、メタタングステン酸アンモニウム、塩化ニオブ、しゅう酸ニオブ、塩化タンタル等が好適に用いられる。また、前記溶液中の前記元素の塩の濃度は特に制限されないが、一般的には0.01〜0.5mol/L程度が適宜採用される。さらに、係る焼成する際の条件も特に制限されず、一般的に大気中にて300〜600℃で1〜12時間程度の焼成条件が適宜採用される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
300mlのイオン交換水に塩化スズ(II)(キシダ化学社製)を10.62g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を10.42g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、原料溶液を110℃にて3時間維持して原料溶液中の共沈殿物を熟成させた後、得られた共沈殿物をイオン交換水で4回洗浄し、120℃にて12時間乾燥した。その後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、大気中にて400℃にて3時間焼成して複合酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子(針状結晶)が存在することを確認した。
300mlのイオン交換水に塩化スズ(II)(キシダ化学社製)を10.62g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を10.42g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、原料溶液を110℃にて3時間維持して原料溶液中の共沈殿物を熟成させた後、得られた共沈殿物をイオン交換水で4回洗浄し、120℃にて12時間乾燥した。その後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、大気中にて400℃にて3時間焼成して複合酸化物多孔体からなる排ガス浄化用触媒担体を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子(針状結晶)が存在することを確認した。
次に、得られた担体を100mlのイオン交換水に分散させ、そこにメタタングステン酸アンモニウムを1.02g加え、蒸発乾固した後、大気中にて550℃にて5時間焼成することによって窒素酸化物浄化用触媒を得た。得られた触媒の組成を表1に示す。
(実施例2)
原料溶液中の共沈殿物を110℃にて熟成させる時間を6時間とした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子(針状結晶)が存在することを確認した。得られた触媒の組成を表1に示す。
原料溶液中の共沈殿物を110℃にて熟成させる時間を6時間とした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子(針状結晶)が存在することを確認した。得られた触媒の組成を表1に示す。
(比較例1)
原料溶液中の共沈殿物を熟成させず、原料溶液に25%アンモニア水を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して得られた共沈殿物を直ちに洗浄し、乾燥及び焼成するようにした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
原料溶液中の共沈殿物を熟成させず、原料溶液に25%アンモニア水を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して得られた共沈殿物を直ちに洗浄し、乾燥及び焼成するようにした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
(比較例2)
1.4リットルのイオン交換水に塩化すず(IV)・5水和物(和光純薬工業社製)を48.8g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を22.72g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、得られた共沈殿物を直ちに塩化物イオンを除去するために2%酢酸アンモニウム水溶液500mlを用いて洗浄し、洗浄ろ液の一部に硝酸銀溶液(0.01M)を滴下して沈殿物(塩化銀)の生成がなくなることで、塩化物イオンの除去が完成したことを確認した。塩化物イオンの除去が完成するには、この洗浄作業を10回以上要した。その後、塩化物イオンを除去した共沈殿物を120℃にて24時間乾燥した後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、100mlのイオン交換水に分散させ、そこにメタタングステン酸アンモニウムを1.02g加え、蒸発乾固した後、大気中にて550℃にて5時間焼成することによって窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
1.4リットルのイオン交換水に塩化すず(IV)・5水和物(和光純薬工業社製)を48.8g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を22.72g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、得られた共沈殿物を直ちに塩化物イオンを除去するために2%酢酸アンモニウム水溶液500mlを用いて洗浄し、洗浄ろ液の一部に硝酸銀溶液(0.01M)を滴下して沈殿物(塩化銀)の生成がなくなることで、塩化物イオンの除去が完成したことを確認した。塩化物イオンの除去が完成するには、この洗浄作業を10回以上要した。その後、塩化物イオンを除去した共沈殿物を120℃にて24時間乾燥した後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、100mlのイオン交換水に分散させ、そこにメタタングステン酸アンモニウムを1.02g加え、蒸発乾固した後、大気中にて550℃にて5時間焼成することによって窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
(比較例3)
1.4リットルのイオン交換水に塩化すず(IV)・5水和物(和光純薬工業社製)を48.8g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を22.72g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、原料溶液を110℃にて3時間維持して原料溶液中の共沈殿物を熟成させた後、得られた共沈殿物をイオン交換水で4回洗浄し、120℃にて12時間乾燥した後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、100mlのイオン交換水に分散させ、そこにメタタングステン酸アンモニウムを1.02g加え、蒸発乾固した後、大気中にて550℃にて5時間焼成することによって窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
1.4リットルのイオン交換水に塩化すず(IV)・5水和物(和光純薬工業社製)を48.8g、硝酸セリウム(III)・6水和物(和光純薬工業社製)を22.72g溶解させ、得られた原料溶液に25%アンモニア水溶液を溶液のpHが8.5となるまで撹絆しながら滴下して共沈殿物を得た。次いで、原料溶液を110℃にて3時間維持して原料溶液中の共沈殿物を熟成させた後、得られた共沈殿物をイオン交換水で4回洗浄し、120℃にて12時間乾燥した後、乾燥した共沈殿物を10gを秤量し、100mlのイオン交換水に分散させ、そこにメタタングステン酸アンモニウムを1.02g加え、蒸発乾固した後、大気中にて550℃にて5時間焼成することによって窒素酸化物浄化用触媒を得た。なお、得られた共沈殿物のうち、アスペクト比が5以上の粒子の存在は確認できなかった。得られた触媒の組成を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で得られた担体10gを100mlのイオン交換水に分散させ、そこにペンタキスシュウ酸水素ニオブn水和物(三津和化学薬品株式会社製)を5.14g加えるようにした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。得られた触媒の組成を表1に示す。
実施例1で得られた担体10gを100mlのイオン交換水に分散させ、そこにペンタキスシュウ酸水素ニオブn水和物(三津和化学薬品株式会社製)を5.14g加えるようにした以外は実施例1と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。得られた触媒の組成を表1に示す。
(比較例4)
比較例2で得られた共沈殿物10gを100mlのイオン交換水に分散させ、そこにペンタキスシュウ酸水素ニオブn水和物(三津和化学薬品株式会社製)を5.14g加えるようにした以外は比較例2と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。得られた触媒の組成を表1に示す。
比較例2で得られた共沈殿物10gを100mlのイオン交換水に分散させ、そこにペンタキスシュウ酸水素ニオブn水和物(三津和化学薬品株式会社製)を5.14g加えるようにした以外は比較例2と同様にして窒素酸化物浄化用触媒を得た。得られた触媒の組成を表1に示す。
<水熱耐久試験>
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験を施した。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験を施した。
<BET比表面積及び細孔径分布の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水熱耐久試験前と水熱耐久試験後におけるBET比表面積及び細孔径分布をそれぞれ以下の方法により測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水熱耐久試験前と水熱耐久試験後におけるBET比表面積及び細孔径分布をそれぞれ以下の方法により測定した。
すなわち、自動ガス/蒸気吸着量測定装置(BELSORP−18PLUS、日本ベル社製)を用い、液体窒素温度(−196℃)条件で定容量式ガス吸着法により触媒の窒素吸着等温線を求めた。なお、触媒には測定前に120℃で2時間の真空脱気処理を施した。得られた窒素吸着等温線からBJH法により触媒の細孔径分布曲線を求め、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積(cm3/g)と、細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対する細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合(%)を求めた。
また、前記窒素吸着等温線から触媒の細孔容量を算出し、BET法により触媒のBET比表面積(m2/g)を算出した。得られた結果を表1に示す。
なお、タングステンやニオブを担持させていない触媒担体について同様にBET比表面積及び細孔径分布を測定したところ、タングステンやニオブの担持の有無によってBET比表面積及び細孔径分布は変化しないことが確認された。
<NOX浄化活性の評価>
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水熱耐久試験前と水熱耐久試験後におけるNOX浄化率をそれぞれ以下の方法により測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた触媒に対して、水熱耐久試験前と水熱耐久試験後におけるNOX浄化率をそれぞれ以下の方法により測定した。
すなわち、先ず、前記触媒を1000kgf/cm2で圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化した。次いで、得られた触媒1.0gを触媒試料として常圧固定床流通型反応装置(大倉理研社製、TP−5000)に設置した。次に、O2(10%)、NO(440ppm)、NH3(500ppm)、CO2(10%)、H2O(10%)、N2(残部)からなるリーンガスを5リットル/分のガス流量で供給し、触媒入りガス温度が250℃となるように調整した。その後、触媒入りガス温度を250℃に15分間保持しつつ、定常状態における触媒入りガス及び触媒出ガス中のNOX濃度を測定し、それらの測定値からNOX浄化率(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。また、水熱耐久試験後における細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積とNOX浄化率との関係を図1に示す。
表1に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜3で得られた本発明の触媒においては、水熱耐久試験前と水熱耐久試験後のいずれにおいても、BET比表面積が30〜400m2/gの範囲内、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gの範囲内となっていたが、比較例1〜4で得られた触媒においては前記条件を満たすものではなかった。
また、表2及び図1に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜3で得られた本発明の触媒においては、水熱耐久試験前の低温域におけるNOx浄化活性が高く、水熱耐久試験後においてもそのNOx浄化活性が高いまま維持されていたのに対し、比較例1〜4で得られた触媒においては係るNOx浄化活性が劣るものであった。
以上説明したように、本発明によれば、低温域(例えば、200〜250℃)において十分なNOx浄化活性を有しており、且つ高温の水熱雰囲気に長時間曝されてもNOx浄化活性の低下が抑制されて優れたNOX浄化活性が維持される窒素酸化物浄化用触媒を得ることができる排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明は、希薄燃焼方式の内燃機関等から排出される排ガス中の窒素酸化物をアンモニア又はアンモニアへ加水分解可能な化合物により還元して浄化する技術として非常に有用である。
Claims (8)
- スズ酸化物とセリウム酸化物とを含有する複合酸化物多孔体からなり、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とする排ガス浄化用触媒担体。 - 前記複合酸化物多孔体におけるスズとセリウムとの比率(モル比)がスズ:セリウム=7:3〜4:6であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒担体。
- 前記水熱耐久試験後において、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して50〜95%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒担体。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体に担持されている、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを備えており、
水分を2%含有する空気中において750℃で24時間の水熱耐久試験後にBET比表面積が30〜400m2/gであり且つ細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積が0.10〜1.0cm3/gであること、
を特徴とする窒素酸化物浄化用触媒。 - 前記元素の含有量(金属換算)が、前記担体100質量部に対して3〜25質量部であることを特徴とする請求項4に記載の窒素酸化物浄化用触媒。
- 前記水熱耐久試験後において、細孔直径10〜100nmの細孔の細孔容積の割合が細孔直径1〜100nmの細孔の細孔容積に対して50〜95%であることを特徴とする請求項4又は5に記載の窒素酸化物浄化用触媒。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法であって、
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、及び
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、
を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒担体の製造方法。 - 請求項4〜6のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物浄化用触媒の製造方法であって、
2価スズ塩とセリウム塩とを含有する原料溶液を調製する工程、
前記原料溶液のpHを7〜10に調整してスズとセリウムとを含有する共沈殿物を生成させる工程、
前記原料溶液中の前記共沈殿物を熟成させる工程、
前記熟成後に前記共沈殿物を焼成して前記担体を得る工程、及び
前記担体に、タングステン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を担持させる工程、
を含むことを特徴とする窒素酸化物浄化用触媒の製造方法。
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JP2012284802A JP2013198888A (ja) | 2012-02-23 | 2012-12-27 | 排ガス浄化用触媒担体、それを用いた窒素酸化物浄化用触媒、及びそれらの製造方法 |
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CN114917896A (zh) * | 2022-05-06 | 2022-08-19 | 中国科学院生态环境研究中心 | 一种氮氧化物被动吸附催化剂及其制备方法和应用 |
US11439952B2 (en) | 2018-11-16 | 2022-09-13 | Umicore Ag & Co. Kg | Low temperature nitrogen oxide adsorber |
-
2012
- 2012-12-27 JP JP2012284802A patent/JP2013198888A/ja active Pending
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