JP6042783B2 - 排ガス浄化用助触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用助触媒の製造方法 Download PDF

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本発明は、排ガス浄化用助触媒及びその製造方法、より詳しくは酸素吸放出材を含む排ガス浄化用助触媒及びその製造方法に関する。
従来、自動車の排ガス浄化用触媒としては、排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行う三元触媒が用いられている。このような三元触媒の作用によってCO、HC及びNOxの3成分を同時かつ効率的に浄化するためには、自動車のエンジンに供給される空気と燃料の比率(空燃比A/F)を理論空燃比(ストイキ)近傍に制御することが重要である。しかしながら、実際の空燃比は、自動車の走行条件等によってストイキを中心にリッチ(燃料過剰雰囲気)側又はリーン(燃料希薄雰囲気)側に変動するため、排ガスの雰囲気も同様にリッチ側又はリーン側に変動する。したがって、三元触媒のみでは必ずしも高い浄化性能を確保することができない。そこで、排ガス中の酸素濃度の変動を吸収して三元触媒の排ガス浄化能力を高めるために、排ガス中の酸素濃度が高いときには酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低いときには酸素を放出する、いわゆる酸素吸放出能(OSC)を有するセリア(CeO2)等の酸素吸放出材を含む助触媒が排ガス浄化用触媒において用いられている。
特許文献1では、セリアを該セリアとは異なる金属酸化物に担持してなる排ガス浄化用助触媒の製造方法であって、セリウム及び該セリウムに配位した配位子を含むセリウム錯体と、該セリウム錯体を溶解するための有機溶媒と、前記金属酸化物とを含有する混合溶液を調製する工程、並びに前記混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成する工程を含むことを特徴とする排ガス浄化用助触媒の製造方法が記載されている。
特許文献2では、主組成がアルミナ(Al23)で構成され、且つ酸化セリウム(CeO2)が分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法であって、アルミナ源からベーマイトゾルを作製する工程(1)と、セリウムイオンに、水と、エチレングリコール、カテコール、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸のうちのいずれか1つであるキレート剤を加えて、セリウムイオンがキレート保護されたセリウム水溶液を作製する工程(2)と、前記セリウム水溶液を解こうした前記ベーマイトゾルに加え、ゲル化反応によりゲル化物を作製する工程(3)と、前記工程(3)で得られたゲル化物を凍結乾燥する工程(4)とから構成される多孔質酸化セリウム−アルミナ系クリオゲル触媒の製造方法が記載されている。
特許文献3では、酸化物が酸素吸蔵放出能をもつ第1金属元素の水溶性化合物と該第1金属元素とは異なる第2金属元素の水溶性化合物とが溶解された水溶液を有機溶媒及び分散剤と混合してW/O型エマルジョンを形成し、該W/O型エマルジョンを噴霧燃焼することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法が記載され、さらに、前記第1金属元素がCe、Pr、Eu及びTbから選ばれる少なくとも一種であり、前記第2金属元素がAl、Si及びTiから選ばれる少なくとも一種であることが記載されている。
特許文献4では、ゾル・ゲル法によって得られたセリウム及びアルミニウムの複合酸化物を、結晶化しない温度、例えば800〜1100℃において熱処理することにより得られた非晶質組成物からなる高温耐熱性触媒担体が記載されている。
特開2013−154261号公報 特開2009−090199号公報 特開2002−248347号公報 特開平8−019738号公報
特許文献1では、上記の方法によれば、従来公知の方法によって得られた材料に比べて、より小さな平均粒径を有するセリア粒子が金属酸化物に担持された排ガス浄化用助触媒を得ることができ、その結果として、従来公知の方法によって得られた材料に比べて、顕著に改善された酸素吸放出能を有する排ガス浄化用助触媒を得ることができると記載されている。しかしながら、特許文献1では、当該排ガス浄化用助触媒が300℃以上の温度域において酸素吸放出能を示すことが記載されているものの、それよりも低い温度域については十分な検討がされておらず、それゆえ当該特許文献1に記載の排ガス浄化用助触媒では、より低い温度域における酸素吸放出能の向上に関して依然として改善の余地があった。
特許文献2では、上記の方法によれば、酸化セリウム(CeO2)が均一に高分散された多孔質酸化セリウム−アルミナ系(CeO2−Al23)クリオゲル触媒を得ることができるとともに、例えば、自動車排ガス浄化用触媒の助触媒として必要不可欠な、ガスとの相互作用を高く保ちつつ、より高い耐久性と酸素貯蔵能力を付与することができると記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、CeO2を高分散化するために、セリウムイオンとキレート剤のモル比率を厳密に制御し、さらにはベーマイトゾルの解こうプロセスにおいてpHを厳密に調整する必要があり、それゆえ工程が複雑である。
特許文献3では、上記の方法によれば、高温耐久時におけるCeO2等の第1金属酸化物粒子の粒成長が抑制されるので、単独酸化物としての酸素吸蔵放出能が失われず、高温耐久後も高い酸素吸蔵放出能を有する複合酸化物粉末が得られる旨が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、CeO2のサイズを原子レベルに制御することは困難であり、それゆえ特許文献3に記載の方法によって得られる複合酸化物粉末では、酸素吸放出能の向上に関して依然として改善の余地があった。
そこで、本発明は、酸素吸放出材を含む排ガス浄化用助触媒であって、その酸素吸放出能がより改善された排ガス浄化用助触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記にある。
(1)銅とセリウムの複合酸化物を該複合酸化物とは異なる金属酸化物に担持してなり、前記複合酸化物の平均粒径が0nm超20nm以下であることを特徴とする、排ガス浄化用助触媒。
(2)前記複合酸化物の平均粒径が0nm超10nm以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用助触媒。
(3)前記複合酸化物の平均粒径が0nm超5nm以下であることを特徴とする、上記(2)に記載の排ガス浄化用助触媒。
(4)前記金属酸化物が、ジルコニア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用助触媒。
(5)前記金属酸化物がジルコニアであることを特徴とする、上記(4)に記載の排ガス浄化用助触媒。
(6)前記排ガス浄化用助触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)を用いて電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したときに、無作為に選択した10個以上の粒子に関する測定点のうち70%以上の測定点において銅とセリウムの両方の元素が検出されることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用助触媒。
(7)銅−セリウム多核錯体と、該銅−セリウム多核錯体を溶解するための有機溶媒と、金属酸化物とを含有する混合溶液を調製する工程、並びに
前記混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成する工程
を含むことを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用助触媒の製造方法。
(8)前記銅−セリウム多核錯体が、アルコキシ配位子、カルボン酸配位子、アミド配位子、アミン配位子、イミン配位子、カルボニル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位子、スルフィド配位子、及びチオラト配位子からなる群より選択される少なくとも1種の配位子を含むことを特徴とする、上記(7)に記載の方法。
(9)前記銅−セリウム多核錯体がアルコキシ配位子を含むことを特徴とする、上記(8)に記載の方法。
(10)前記銅−セリウム多核錯体がCuCe2(OC(CH339Clであることを特徴とする、上記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。
本発明の方法によれば、銅とセリウムの複合酸化物であって、ナノレベルの非常に微細な粒子サイズ、例えば、0nm超20nm以下、特には0nm超10nm以下の平均粒径を有する複合酸化物が金属酸化物に担持された排ガス浄化用助触媒を得ることができる。また、本発明の排ガス浄化用助触媒は、従来公知の材料に比べて、顕著に改善された酸素吸放出能を有し、特にはより低い温度域から酸素吸放出能(OSC)を発現するため、このような排ガス浄化用助触媒を、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般的に用いられている触媒金属、例えば、白金族元素等の触媒金属と組み合わせて使用した場合には、排ガス浄化性能が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
本発明の排ガス浄化用助触媒の製造方法を模式的に示す図である。 実施例1における銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)の1H NMRスペクトルを示す。 実施例1における銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)のX線結晶構造解析による結果を示す。 比較例1におけるセリウム3核錯体(Ce3(OtBu)10O)の1H NMRスペクトルを示す。 実施例2の排ガス浄化用助触媒のエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)による分析結果を示す。 実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用助触媒に関するH2−TPR(昇温還元)曲線である。
本発明の排ガス浄化用助触媒は、銅とセリウムの複合酸化物を該複合酸化物とは異なる金属酸化物に担持してなり、前記複合酸化物の平均粒径が0nm超20nm以下であることを特徴としている。
セリア(CeO2)を含む酸素吸放出材では、一般に以下の式で表される反応によって酸素が吸放出される。
2CeO2 ⇔ Ce23 + O
上記の反応式からも明らかなように、CeO2から酸素が放出されると、CeO2中のCe4+イオンがCe3+イオンへと還元され、そのイオン半径は0.97Åから1.14Åに増大する。しかしながら、このようなCe4+イオンからCe3+イオンへの還元によるイオン半径の増大は結晶学的には極めて大きな変化であり、それゆえCeO2の結晶格子の歪みを引き起こして格子を不安定化させる。したがって、このような反応はエネルギー的には非常に不利な反応である。このため、セリアは、理論的には(0.5mol−O/mol−Ce)の酸素吸放出能を有するにもかかわらず、実際には、セリア粒子の表面部分等の一部の場所でしか酸素吸放出反応が進行せず、それゆえ上記の理論値に対して非常に低い酸素吸放出能しか示すことができない。
したがって、セリアの酸素吸放出能を改善するためには、セリア粒子をより小さな粒径を有する微粒子の状態で多孔質酸化物等からなる触媒担体上に高分散に存在させることが極めて重要となる。このようにすることで、より大きな粒径を有するセリア粒子の場合と比較して、Ceイオンのイオン半径の増大に伴う結晶格子の歪みを緩和することが可能となる。また、セリア粒子を微粒子の状態で存在させることで、セリア粒子の表面部分とバルク部分との間の距離が短くなるために、より大きな粒径を有するセリア粒子の場合と比較して、セリア粒子の結晶格子内にある酸素についても上記の酸素吸放出反応に寄与しやすくなると考えられる。したがって、このような微細なセリア粒子を備えた排ガス浄化用助触媒によれば、従来の材料に比べて、その酸素吸放出能を顕著に改善することが可能である。
これに関連して、本願の出願人は、特開2013−154261号公報において、セリウム錯体を用いてそれを有機溶媒中で金属酸化物に担持、特には吸着担持させることで、より小さな平均粒径を有するセリア粒子が金属酸化物に担持された排ガス浄化用助触媒を得ることができ、結果として、従来公知の方法によって得られた材料に比べて、改善された酸素吸放出能を達成することができることを示した。
今回、本発明者らは、銅とセリウムを含む銅−セリウム多核錯体を合成し、それを有機溶媒中で金属酸化物に担持、特には吸着担持させることで、銅とセリウムの複合酸化物であって、ナノレベルの非常に微細な粒子サイズ、例えば、0nm超20nm以下、特には0nm超10nm以下の平均粒径を有する複合酸化物が金属酸化物に担持された排ガス浄化用助触媒を得ることができることを見出した。そして、本発明者らは、このように銅とセリウムがナノレベルで共存した複合酸化物粒子を金属酸化物に担持することで、特開2013−154261号公報に記載されるようなセリウム錯体を用いて製造された排ガス浄化用助触媒と比較して、より低い温度域から酸素吸放出能(OSC)を発現できる排ガス浄化用助触媒が得られることをさらに見出した。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、このようなナノレベルの非常に微細な粒子サイズを有する複合酸化物を使用することで、より大きな粒子サイズを有する複合酸化物の場合と比較して、酸素吸放出反応において当該複合酸化物の結晶格子内にある酸素を利用しやすくなると考えられる。また、銅とセリウムをナノレベルで共存させることで、それらの間の相互作用により複合酸化物中のセリウムと酸素の間の結合及び/又は銅と酸素の間の結合がある程度弱められ、すなわちセリウム及び/又は銅がより還元されやすい状態になると考えられる。その結果として、本発明の排ガス浄化用助触媒では、当該複合酸化物から酸素がより脱離されやすい状態になるため、従来の材料に比べて、顕著に改善された酸素吸放出能、特には低温下において顕著に改善された酸素吸放出能を達成することができると考えられる。
本発明の排ガス浄化用助触媒によれば、金属酸化物上に担持された銅とセリウムの複合酸化物の平均粒径は0nm超20nm以下である。
本発明における複合酸化物の平均粒径が20nmよりも大きくなると、酸素吸放出反応において当該複合酸化物の結晶格子内にある酸素を十分に利用できなくなる場合があり、その結果として、排ガス浄化用助触媒について十分な酸素吸放出能を達成できない場合がある。また、この場合には、銅とセリウムがナノレベルで共存した複合酸化物を形成できなくなるため、銅とセリウムの複合化によるセリウム及び/又は銅の還元促進効果についても十分に得ることができない場合がある。したがって、本発明の排ガス浄化用助触媒においては、複合酸化物は、0nm超20nm以下の平均粒径を有し、好ましくは0nm超15nm以下、0nm超10nm以下、0nm超8nm以下、0nm超5nm以下、又は0nm超3nm以下の平均粒径を有する。このような平均粒径を有する複合酸化物を金属酸化物上に担持することで、当該複合酸化物の結晶格子内にある酸素を十分に利用できるようにするとともに銅とセリウムを組み合わせたことによる効果を十分に発揮させ、その結果として酸素吸放出能、特には低温下における酸素吸放出能が顕著に改善された排ガス浄化用助触媒を得ることができる。
なお、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子の定方向径(Feret径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。
本発明の排ガス浄化用助触媒では、銅とセリウムの複合酸化物は、上記のとおり銅とセリウムがナノレベルで共存したものであり、例えば、それは排ガス浄化用助触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)を用いて電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したときに、無作為に選択した10個以上の粒子に関する測定点のうち過半数の測定点において銅とセリウムの両方の元素が検出され、好ましくは無作為に選択した10個以上の粒子に関する測定点のうち70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上又は95%以上の測定点において銅とセリウムの両方の元素が検出されるようなものである。このような複合酸化物を使用することで、銅とセリウムの複合化によるセリウム及び/又は銅の還元促進効果を十分に発揮させ、結果として顕著に改善された酸素吸放出能、特には低温下において顕著に改善された酸素吸放出能を達成することが可能である。
本発明の排ガス浄化用助触媒によれば、複合酸化物中の銅含有量は、当該複合酸化物中に含まれる全金属元素に対して0mol%超50mol%未満であることが好ましい。
複合酸化物中の銅含有量が0mol%すなわち当該複合酸化物中に銅を全く含まない場合には、当然ながら銅とセリウムの複合化による上記のセリウム及び/又は銅の還元促進効果を得ることはできない。一方で、銅含有量が50mol%以上である場合には、複合酸化物中のセリウム含有量が減少することにより、最終的に得られる酸素吸放出材について十分な酸素吸放出能を達成できない場合がある。より好ましくは、本発明の排ガス浄化用助触媒においては、複合酸化物中の銅含有量は、当該複合酸化物中に含まれる全金属元素に対して0mol%超45mol%以下、又は0mol%超40mol%以下であり、最も好ましくは0mol%超35mol%以下である。
なお、本発明において「複合酸化物中の銅含有量」とは、本発明の排ガス浄化用助触媒を製造する際に導入されるセリウム、銅、場合により銅以外の追加の添加元素の各塩中に含まれる金属元素の合計モル数に対する銅元素のモル数の割合を言うものである。
本発明の排ガス浄化用助触媒によれば、銅とセリウムの複合酸化物が担持される金属酸化物としては、当該複合酸化物とは異なる金属酸化物であって、一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、シリカ−アルミナ(SiO2−Al23)、ゼオライト、チタニア(TiO2)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。しかしながら、例えば、本発明における金属酸化物としてアルミナ等を使用した場合には、当該アルミナが銅と反応して固溶体を形成してしまう場合がある。このような場合には、銅とセリウムの複合酸化物を確実に形成することができなくなる虞がある。したがって、本発明における金属酸化物としては、好ましくはアルミナ以外の金属酸化物、より好ましくはジルコニア又はシリカ、最も好ましくはジルコニアを使用することができる。
本発明では、銅とセリウムの複合酸化物を該複合酸化物とは異なる金属酸化物に担持してなる排ガス浄化用助触媒の製造方法がさらに提供される。
具体的には、銅とセリウムの複合酸化物を該複合酸化物とは異なる金属酸化物に担持してなる排ガス浄化用助触媒は、銅−セリウム多核錯体と、該銅−セリウム多核錯体を溶解するための有機溶媒と、金属酸化物とを含有する混合溶液を調製する工程、並びに前記混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成する工程を含むことを特徴とする方法によって製造することができる。
本発明の方法によれば、銅−セリウム多核錯体としては、セリウム、銅及びこれらの元素に配位した配位子を含む任意の銅−セリウム多核錯体を使用することができる。また、このような銅−セリウム多核錯体は、錯体中に1個の銅原子と1個のセリウム原子を含む二核錯体であってもよいし、あるいはまた、錯体中にこれらの金属原子を合計で3個以上含む多核錯体であってもよい。
なお、上記の配位子としては、配位部位を1箇所にのみ有する単座配位子又は2箇所以上で配位する多座配位子のいずれであってもよく特に限定されないが、例えば、アルコキシ配位子(R−CR12−O-)、カルボン酸配位子(R−COO-)、アミド配位子(R−NR1-)、アミン配位子(R−NR12)、イミン配位子(R−CR1=N−R2)、カルボニル配位子(R−CO−R1)、ホスフィン配位子(R−PR12)、ホスフィンオキシド配位子(R−P(=O)R12)、ホスファイト配位子(R−P(OR1)(OR2))、スルホン配位子(R−S(=O)21)、スルホキシド配位子(R−S+(−O-)R1)、スルフィド配位子(R−SR1)、及びチオラト配位子(R−CR12−S-)からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができ、好ましくはアルコキシ配位子(R−CR12−O-)を挙げることができる。なお、上記式中のRは、水素であるか又はヘテロ原子、エーテル結合若しくはエステル結合を有していてもよい置換若しくは非置換の炭化水素基、例えば、C1〜C30(すなわち炭素原子数が1〜30個、以下同様)、特にはC1〜C10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、一価の脂環式基であってよく、より特にはC1〜C5又はC1〜C3のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であってもよい。
また、上記式中のR1及びR2は、それぞれ独立して、水素であるか又はヘテロ原子、エーテル結合若しくはエステル結合を有していてもよい置換若しくは非置換の炭化水素基、例えば、C1〜C30、特にはC1〜C10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、一価の脂環式基であってよく、より特にはC1〜C5又はC1〜C3のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であってもよい。
具体的なアルコキシ配位子としては、メトキシ配位子、エトキシ配位子、プロポキシ配位子、ブトキシ配位子、ペントキシ配位子、ドデシルオキシ配位子、及びフェノキシ配位子を挙げることができる。特に、アルコキシ配位子が配位した銅−セリウム多核錯体の具体例としては、例えば、CuCe2(OC(CH339Clを挙げることができる。
具体的なカルボン酸配位子としては、ギ酸(ホルマト)配位子、酢酸(アセタト)配位子、プロピオン酸(プロピオナト)配位子、及びエチレンジアミン四酢酸配位子を挙げることができる。
具体的なアミド配位子としては、ジメチルアミド配位子、ジエチルアミド配位子、ジn−プロピルアミド配位子、ジイソプロピルアミド配位子、ジn−ブチルアミド配位子、ジt−ブチルアミド配位子、及びニコチンアミドを挙げることができる。
具体的なアミン配位子としては、メチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチレンジアミン、ピペリジン、トリエチレンテトラミン、及びトリエチレンジアミンを挙げることができる。
具体的なイミン配位子としては、ジイミン、エチレンイミン、エチレンイミン、プロピレンイミン、ヘキサメチレンイミン、ベンゾフェノンイミン、メチルエチルケトンイミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、及びベンゾイミダゾールを挙げることができる。
具体的なカルボニル配位子としては、一酸化炭素、アセトン、べンゾフェノン、アセチルアセトン、アセナフトキノン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、及びジベンゾイルメタンを挙げることができる。
具体的なホスフィン配位子としては、水素化リン、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、及びジホスフィンを挙げることができる。
具体的なホスフィンオキシド配位子としては、トリブチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリ−n−オクチルホスフィンオキシドを挙げることができる。
具体的なホスファイト配位子としては、トリフェニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリブチルホスファイト、及びトリエチルホスファイトを挙げることができる。
具体的なスルホン配位子としては、硫化水素、ジメチルスルホン、及びジブチルスルホンを挙げることができる。
具体的なスルホキシド配位子としては、ジメチルスルホキシド配位子、及びジブチルスルホキシド配位子を挙げることができる。
具体的なスルフィド配位子としては、エチルスルフィド、及びブチルスルフィド等を挙げることができる。
具体的なチオラト配位子としては、メタンチオラト配位子、及びベンゼンチオラト配位子を挙げることができる。
なお、本発明の方法における銅−セリウム多核錯体は、上記の配位子のほかに対イオン等を含んでいてもよい。このような対イオンとしては、特に限定されないが、例えば、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。
本発明の方法によれば、金属酸化物としては、本発明の排ガス浄化用助触媒について説明したのと同様に、銅とセリウムの複合酸化物とは異なる金属酸化物であって、一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができ、例えば、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、シリカ−アルミナ(SiO2−Al23)、ゼオライト、チタニア(TiO2)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属酸化物を使用することができ、好ましくはジルコニア又はシリカ、より好ましくはジルコニアを使用することができる。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の方法では、銅−セリウム多核錯体を含む溶液を金属酸化物と混合した際に、銅−セリウム多核錯体が、セリウム及び/又は銅に配位した上記の配位子又は当該配位子に結合した置換基を介して、金属酸化物の酸点及び/又は塩基点等に吸着すると考えられ、したがって、その後、この混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成することで、銅とセリウムの複合酸化物が金属酸化物全体に均一かつ高分散に担持された排ガス浄化用助触媒を得ることができると考えられる。それゆえ、本発明の方法においては、用いられる金属酸化物との親和性等を考慮して、セリウム及び/又は銅に配位する配位子又は当該配位子の置換基を適切に選択することが好ましい。このようにセリウム及び/又は銅に配位する配位子又は当該配位子の置換基を金属酸化物との関係で適切に選択することで、より確実に銅−セリウム多核錯体を金属酸化物全体に均一かつ高分散に吸着担持することができ、その後、焼成等したときに銅とセリウムの複合酸化物を微粒子の状態、一般的には0nm超20nm以下、特には0nm超10nm以下の平均粒径を有する微粒子の状態で金属酸化物に担持することができると考えられる。
図1は、本発明の排ガス浄化用助触媒の製造方法を模式的に示す図である。図1を参照すると、銅−セリウム多核錯体1として、例えば、1つの銅原子と2つのセリウム原子に9個のアルコキシ配位子(図中、ORとして表される)が結合し、対イオンとして塩化物イオンを含む銅−セリウム多核錯体が用いられる。本発明の方法では、まず、この銅−セリウム多核錯体1が有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)中に溶解され、次いでこの溶液が金属酸化物2であるジルコニア(ZrO2)に導入される。次に、この溶液を攪拌等により混合して銅−セリウム多核錯体1を金属酸化物2全体に均一に吸着させる。最後に、この混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成することで、銅とセリウムの複合酸化物3が微粒子の状態で金属酸化物2の全体に均一かつ高分散に担持された排ガス浄化用助触媒10を得ることができる。
本発明の方法によれば、銅−セリウム多核錯体を溶解するための有機溶媒としては、銅−セリウム多核錯体を溶解することができる任意の有機溶媒を使用することができる。しかしながら、本発明の方法では、先に説明したように、銅−セリウム多核錯体の配位子又は当該配位子に結合した置換基と金属酸化物との間の弱い相互作用によって銅−セリウム多核錯体が金属酸化物に吸着すると考えられる。それゆえ、本発明の方法における有機溶媒として極性の強い有機溶媒を使用すると、このような吸着が阻害される虞がある。したがって、本発明の方法における有機溶媒としては、より極性の低い有機溶媒、特には非極性の有機溶媒を使用することが好ましい。
なお、本発明の方法では、銅−セリウム多核錯体、当該銅−セリウム多核錯体を溶解するための有機溶媒、及び金属酸化物の混合順序は、特には限定されず、これらは任意の順序で混合することができる。例えば、銅−セリウム多核錯体と有機溶媒を含有する溶液に金属酸化物を加えてもよいし、あるいはまた、金属酸化物と有機溶媒を含有する溶液に銅−セリウム多核錯体と有機溶媒を含有する溶液を加えてもよい。また、本発明の方法によれば、銅−セリウム多核錯体と、有機溶媒と、金属酸化物とを含有する混合溶液を単に攪拌等することで、加熱操作を何ら必要とすることなく、混合溶液中に含まれる銅−セリウム多核錯体を室温下で金属酸化物全体に均一に吸着させることができる。したがって、本発明の方法によれば、従来の方法に比べて、非常に簡単かつ確実にその後の乾燥及び焼成によって銅とセリウムの複合酸化物を微粒子の状態で金属酸化物全体に均一に担持させることが可能である。なお、本発明の方法においては、当該複合酸化物は、一般的にセリウム換算で0.01〜10wt%の担持量において金属酸化物に担持させることができる。
また、上記の乾燥及び焼成は、有機溶媒や銅−セリウム多核錯体の錯塩部分を分解除去しかつ銅とセリウムの複合酸化物を金属酸化物上に担持するのに十分な温度及び時間において実施することができる。例えば、乾燥は、減圧下又は常圧下において約80℃〜約250℃の温度で約1時間〜約24時間にわたり実施することができ、一方で、焼成は、空気中又は酸化性雰囲気中において約300℃〜約800℃の温度で約1時間〜約10時間にわたり実施することができる。
本発明の方法によって得られた排ガス浄化用助触媒は、上記のとおり、従来公知の方法によって得られた材料に比べて、顕著に改善された酸素吸放出能を有するので、これを一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の酸化及び/又は窒素酸化物(NOx)の還元に対して触媒活性を示す触媒金属と組み合わせて使用した場合には、排ガス浄化性能が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができる。なお、このような触媒金属としては、COやHCの酸化及び/又はNOxの還元に対して触媒活性を示す任意の触媒金属を使用することができ、好ましくは排ガス浄化用触媒の技術分野において一般的に用いられている触媒金属、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)等の白金族元素を使用することができる。
また、上記の排ガス浄化用触媒は、例えば、本発明の排ガス浄化用助触媒に上に挙げた触媒金属を、従来公知のいわゆる含浸、蒸発・乾固等において担持することによって調製することができる。あるいはまた、上記の排ガス浄化用触媒は、本発明の排ガス浄化用助触媒と、上に挙げた触媒金属を他の金属酸化物に担持してなる触媒とを粉末状態においてそれらが十分に均一になるまで単に物理的に混合することにより調製してもよい。なお、上記のようにして得られた排ガス浄化用触媒の粉末は、必要に応じて、例えば、高圧下でプレスしてペレット状に成形するか、又は所定のバインダ等を加えてスラリー化し、これをコージェライト製ハニカム基材等の触媒基材上に塗布することにより使用することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、本発明の方法に従って銅とセリウムの複合酸化物を金属酸化物(ジルコニア又はシリカ)に担持してなる排ガス浄化用助触媒を調製し、その酸素吸放出能(OSC)及び複合酸化物の特性等について調べた。
[実施例1]
[銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)の合成]
まず、Ce2Na(OtBu)9(OtBu:tert−ブトキシ配位子)1.50g(1.56mmol)と塩化銅(CuCl2)230mg(1.68mmol、約1.1当量)をシュレンク管に入れ、そこにテトラヒドロフラン(THF)30mLを加えたところ、茶色の懸濁液となった。次いで、これを室温下で一晩攪拌後、溶媒を留去して黄緑色の粉末を得た。次に、この粉末をトルエン30mLで抽出し、溶媒を留去して黄褐色固体としての銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)(1.343g、1.24mmol、収率79%)を得た。1H NMR(400MHz,C66,30℃):δ1.37(br,OtBu),5.95(br,OtBu),9.13(br,OtBu)。なお、図2に当該銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)の1H NMRスペクトルを示し、図3に当該銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)のX線結晶構造解析による結果を示す。
[排ガス浄化用助触媒(Cu−Ce複合酸化物/ZrO2)の調製]
まず、ジルコニア(ZrO2)1.69gを常温で1時間真空乾燥した後、これをテトラヒドロフラン(THF)20mLに懸濁させた。次いで、上で合成した銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)(267mg、0.257mmol)を20mLのTHFに溶解し、それを上記のZrO2懸濁液に加えた。次いで、この混合溶液を室温下で20時間攪拌した後静置した。次に、得られた沈殿物を減圧乾燥して黄色粉末1.80gを得た。最後に、得られた黄色粉末を空気中550℃で2時間焼成することにより、銅とセリウムの複合酸化物をジルコニアに担持したCu−Ce複合酸化物/ZrO2からなる排ガス浄化用助触媒(Cu担持量:Cu換算で0.82wt%、Ce担持量:Ce換算で3.6wt%)を得た。
[実施例2]
[排ガス浄化用助触媒(Cu−Ce複合酸化物/SiO2)の調製]
まず、シリカ(SiO2)1.47gを常温で1時間真空乾燥した後、これをテトラヒドロフラン(THF)20mLに懸濁させた。次いで、実施例1において合成した銅−セリウム多核錯体(CuCe2(OtBu)9Cl)(51.9mg、0.0500mmol)を20mLのTHFに溶解し、それを上記のSiO2懸濁液に加えた。次いで、この混合溶液を室温下で20時間攪拌した後静置したところ、無色の上澄み液と緑色の沈殿物とに分かれた。次に、得られた沈殿物を減圧乾燥して白色粉末1.43gを得た。最後に、得られた白色粉末を空気中550℃で2時間焼成することにより、銅とセリウムの複合酸化物をシリカに担持したCu−Ce複合酸化物/SiO2からなる排ガス浄化用助触媒(Cu担持量:Cu換算で0.19wt%)を得た。
[比較例1]
[セリウム錯体(Ce3(OtBu)10O)の合成]
まず、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム((NH42[Ce(NO36])253mg(0.461mmol)をシュレンク管に入れ、それをテトラヒドロフラン(THF)10mLによって溶解した。次いで、これに室温でTHF20mLに溶かしたナトリウムtert−ブトキシド(NaOtBu)(267mg、2.78mmol、6.0当量)を加えたところ、直ちに白色沈殿が生じた。次いで、室温下で12時間攪拌した後、静置し、黄色の上澄み液を採取した。次に、減圧下で溶媒を留去した後、ヘキサン10mLで2度抽出した。次いで、黄色溶液の溶媒を減圧下で留去することによりCe(OtBu)4(THF)2(174mg、収率65%)を黄色粉末として得た。得られたCe(OtBu)4(THF)2(242mg、0.420mmol)をシュレンク管に入れ、少量の水を含むトルエン10mLに溶かした。最後に、室温で12時間攪拌した後、ろ過し、黄色のろ液を減圧下で溶媒を留去することによりセリウム3核錯体であるμ3−オキソ−μ3−tert−ブタノラト−トリ−μ−tert−ブタノラト−triangulo−トリス[ビス(tert−ブタノラト)セリウム(IV)](Ce3(OtBu)10O)(161mg、99%)を黄色粉末として得た。1H NMR(400MHz,C66,30℃):δ1.44(s,27H,OtBu),1.45(s,27H,OtBu),1.93(s,27H,OtBu),1.95(s,9H,OtBu)。なお、図4に当該セリウム3核錯体(Ce3(OtBu)10O)の1H NMRスペクトルを示す。
[排ガス浄化用助触媒(CeO2/ZrO2)の調製]
ジルコニア(ZrO2)2.1gをTHF100mLに懸濁させ、このZrO2懸濁液に25mLのTHFに溶解した上記のセリウム3核錯体(Ce3(OtBu)10O)(205mg、0.176mmol)の溶液を加えた。次いで、この混合溶液を室温下で2時間攪拌した後静置し、無色の上澄み液を除いた後減圧乾燥した。最後に、得られた粉末を空気中550℃で2時間焼成することにより、セリアをジルコニアに担持したCeO2/ZrO2からなる排ガス浄化用助触媒(Ce担持量:Ce換算で3.6wt%)を得た。
[Cu−Ce複合酸化物粒子の分析]
走査透過型電子顕微鏡(STEM)で測定した場合に銅及びセリウムとコントラストの差が大きいシリカにこれらの複合酸化物を担持した実施例2の排ガス浄化用助触媒(Cu−Ce複合酸化物/SiO2)について、エネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)(日立製HD−2000、加速電圧:200kV)を用いて測定を行った。図5は、実施例2の排ガス浄化用助触媒のSTEM−EDXによる分析結果を示している。具体的には、図5は、(a)が実施例2の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる写真を示し、(b)が(a)中の粒子に関する測定点1〜10(電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したもの)並びに領域11及び12におけるセリウムと銅の組成比(原子%)を示している。なお、図5(b)中の点線は、実施例2の排ガス浄化用助触媒をICP(誘導結合プラズマ)発光分析によって分析した場合の測定値を示している。図5(a)の分析結果から、銅−セリウム多核錯体を用いて銅とセリウムの複合酸化物をシリカに担持した実施例2の排ガス浄化用助触媒では、当該複合酸化物が微粒子の状態でシリカ上に担持されており、当該複合酸化物が10nm以下、特には5nm以下の平均粒径を有することを確認した。
次に、図5(b)を参照すると、実施例2の排ガス浄化用助触媒では、図5(a)中の粒子に関する測定点1〜10のうち全ての測定点においてセリウムと銅の両方の元素が検出されていることがわかる。また、測定点1〜10並びに領域11及び12におけるセリウムと銅の組成比は多少のばらつきは見られたものの、その平均値はICP発光分析によって得られた排ガス浄化用助触媒全体のセリウムと銅の組成比(図5(b)中の点線)とよく一致していた。また、その平均値は、セリウムと銅の仕込み比(Ce:Cu=2:1)ともよく一致していた。これらの結果は、実施例2の排ガス浄化用助触媒において、銅とセリウムがナノレベルで共存した複合酸化物粒子がシリカ担体上に担持されていることを裏付けるものである。
[酸素吸放出能の評価]
次に、実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用助触媒についてH2−TPR(昇温還元)測定を実施し、それらの酸素吸放出能(OSC)を評価した。まず、実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用助触媒の粉末100mgに10vol%O2/Heバランスガスを300mL/分で流通させながら、500℃で10分間酸化前処理して酸素を吸蔵させた。次いで、室温まで冷却した後、5vol%H2/Arバランスガスを300mL/分で流通させながら、室温から700℃まで試料を加熱し、その際に各排ガス浄化用助触媒から放出された酸素と雰囲気中の水素との反応によって消費されるH2量を測定し、そのH2消費量を各排ガス浄化用助触媒の酸素吸放出能(OSC)として評価した。その結果を図6に示す。
図6は、実施例1及び比較例1の各排ガス浄化用助触媒に関するH2−TPR曲線である。なお、図6には、参考として、酸化銅(CuO)(関東化学)30mg及びセリア(CeO2)(シーアイ化成、ナノテックセリア)100mgを用いて同様の測定を行った結果も示している。図6を参照すると、比較例1の排ガス浄化用助触媒(CeO2/ZrO2)では、約300℃付近にわずかではあるが水素の消費ピークが観察される。これに対し、銅とセリウムの複合酸化物を担持した実施例1の排ガス浄化用助触媒(Cu−Ce複合酸化物/ZrO2)では、比較例1の排ガス浄化用助触媒や酸化銅(CuO)及びセリア(CeO2)よりも低い温度から水素の消費が観察され、すなわち約200℃付近に顕著な水素の消費ピークが観察された。図6の結果から、銅−セリウム多核錯体を用いて銅とセリウムの複合酸化物を金属酸化物に担持した実施例1の排ガス浄化用助触媒では、従来の材料と比較して、より低い温度域から酸素吸放出能が発現することが確認された。また、実施例1の排ガス浄化用助触媒では、Ce担持量が同じである比較例1の排ガス浄化用助触媒と比較して、その水素消費量が多いことから単位セリウムあたりの格子酸素の利用効率が高いことも確認された。
1 銅−セリウム多核錯体
2 金属酸化物
3 銅とセリウムの複合酸化物
10 排ガス浄化用助触媒

Claims (4)

  1. 銅とセリウムの複合酸化物を該複合酸化物とは異なる金属酸化物に担持してなり、前記複合酸化物の平均粒径が0nm超20nm以下である排ガス浄化用助触媒の製造方法であって、
    銅−セリウム多核錯体と、該銅−セリウム多核錯体を溶解するための有機溶媒と、金属酸化物とを含有する混合溶液を調製する工程、並びに
    前記混合溶液を乾燥させ、得られた生成物を焼成する工程
    を含むことを特徴とする、排ガス浄化用助触媒の製造方法。
  2. 前記銅−セリウム多核錯体が、アルコキシ配位子、カルボン酸配位子、アミド配位子、アミン配位子、イミン配位子、カルボニル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位子、スルフィド配位子、及びチオラト配位子からなる群より選択される少なくとも1種の配位子を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  3. 前記銅−セリウム多核錯体がアルコキシ配位子を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  4. 前記銅−セリウム多核錯体がCuCe2(OC(CH339Clであることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の方法。
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