JP5901096B2 - 歯間清掃具 - Google Patents

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Description

本発明は、歯間を清掃する歯間清掃具に関する。
従来の歯間清掃具として、例えば、特許文献1に開示された構成が知られている。図5に示すように、この歯間ブラシ50は、把持部51及びブラシ部52を備えており、自然な手の動きによる歯間清掃を図るため、把持部51における前方把持部51aの軸線が、後方把持部51bの軸線に対して150〜170度の範囲の角度θをなすように構成されている。
実用新案登録第3049028号公報
ところが、上記従来の歯間ブラシ50は、前歯付近の歯間清掃は良好に行うことができる一方、清掃が特に必要となる奥歯の歯間に対してはブラシ部52を挿入し難く、作業性に劣るという問題があった。
そこで、本発明は、奥歯の歯間清掃を容易に行うことができる歯間清掃具の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、柄本体と、前記柄本体の先端部に設けられた清掃部とを備える歯間清掃具であって、前記柄本体は、中心線が略直線状となるように形成された把持部を備え、前記把持部の中心線方向と、前記先端部の中心線の接線方向とのなす角度が、120〜145度である歯間清掃具により達成される。
この歯間清掃具において、前記柄本体は、前記把持部から先端部に向けて2箇所以上で段階的に屈曲する誘導部を備えることができる。
あるいは、前記柄本体は、前記把持部から先端部に向けて滑らかに湾曲する誘導部を備えることができる。
本発明の歯間清掃具によれば、清掃部を奥歯の歯間へスムーズに挿入することができ、歯間清掃を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る歯間清掃具の平面図である。また、図2は、図1に示す歯間ブラシを矢示A方向からみた側面図である。
図1及び図2に示すように、歯間清掃具1は、柄本体10と、柄本体10の先端部12に設けられた清掃部20とを備えている。
柄本体10は、適度な剛性及び弾性を有する棒状の部材であり、例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又はこれらの組合せなどからなる合成樹脂製とすることができる。
清掃部20は、一端側が柄本体10の先端部12に埋設されたワイヤ部22と、ワイヤ部22の周囲に設けられたフィラメント部24とを備えている。清掃部20の形成方法は、周知の方法を利用可能であり特に限定されないが、清掃部20がブラシ状である場合には、例えば、1本のワイヤを2つ折りにして、このワイヤと直交方向に配置した合成繊維または天然繊維のフィラメント束を挟持し、ワイヤを所定のピッチで捻り加工することにより形成することができる。
ワイヤ部22は、延性があり、耐食性に富み、強度が高いことが好ましく、例えば、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、窒素等を含むステンレス鋼などから形成することができる。ワイヤ部22のワイヤ太さ(径)は、例えば0.2〜0.4mm程度が好ましい。
フィラメント部24は、例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなり、集合体としての全体形状が円錐状や円柱状など所望の形状となるように、切り揃えられていることが好ましい。フィラメント部24のカット幅(カットされた先端部分の幅)は、例えば2.5mm程度であり、各フィラメントの径は、例えば0.05〜0.1mm程度である。
柄本体10は、清掃部20とは反対側の後端側に、把持部14を備えている。この把持部14は、中心線が略直線状となるように形成された部分であり、棒状に延びる柄本体10の一部を構成する。把持部14の断面は、円形状、楕円形状、矩形状など種々の形状であってよく、異形断面であってもよい。断面の大きさは、例えば、3〜80mm程度を例示することができる。把持部14の断面の形状や大きさは、把持部14の長さ方向にわたって一定である必要はなく、例えば、先端側から後端側に向けて断面積が小さく又は大きくなるように、把持部14がテーパ状に形成されていてもよい。あるいは、把持部14を中央部が最も拡径された樽状とすることもできる。
把持部14は、特に奥歯の歯間清掃時に指で把持して清掃作業を行うため、把持部14から清掃部20までの距離を十分取ることができるように、柄本体10のなるべく後端側に形成されていることが好ましい。本実施形態においては、把持部14が柄本体10の最後端に形成されており、柄本体10の側面視(図2)における長さが30mm程度に設定されている。但し、把持部14の位置は、必ずしも柄本体10の最後端である必要はなく、把持部14の後端側に屈曲部や湾曲部などを備えていてもよい。
柄本体10において、把持部14から先端部12までの間には、誘導部16が形成されている。誘導部16は、2箇所の屈曲点C1,C2において、把持部14を含む平面に沿って同一方向に段階的に屈曲した形状を有しており、先端部12に向けて先細となるように形成されている。各屈曲点C1,C2における屈曲角度は、把持部14の中心線方向と、先端部12の中心線の接線方向とのなす角度である挿入角度αが120〜145度の範囲となるように、それぞれ設定されている。先端部12の中心線の接線方向は、通常は先端部12に埋設されたワイヤ部22が延びる方向と一致しており、本実施形態のように柄本体10の先端部12近傍が直線状であれば、先端部12の中心線方向に一致する。
次に、上記構成を備える歯間清掃具1を用いて、歯間を清掃する方法を説明する。まず、前歯の歯間を清掃する場合、把持部14を指で把持し、清掃部20を歯茎とほぼ同じ高さ位置から歯列に対して垂直方向に挿入する。そして、挿入した清掃部20を前後方向又は上下方向に移動することにより、歯間に残留する食べ滓等を除去することができる。前歯の歯間は、口内において清掃部20を挿入し易い位置にあるため、本実施形態の歯間清掃具1と従来の歯間清掃具との間で清掃の容易さに大差はない。
一方、奥歯の歯間(例えば、隣接する大臼歯間や、大臼歯及び小臼歯間)を清掃する場合には、本実施形態の歯間清掃具1は、清掃部20の挿入し易さにおいて、従来の歯間清掃具よりも顕著に優れた効果を奏する。この理由を、図3に示す一般的な下顎歯列の平面図を参照して説明する。
まず、奥歯の歯間の清掃時には、唇が柄本体10に接触して邪魔になり易いため、歯間への清掃部20の挿入は、把持部14を前から後の方向(図3の矢示B方向)に移動させることで実現可能であることが好ましい。そこで、最前列の2本の前歯への挿入方向(矢示B方向と同方向)に対して、奥歯(例えば、第2大臼歯T1及び第1大臼歯間T2)の歯間への挿入方向がなす角度を、当該歯間の受け入れ角度と定義し、この受け入れ角度を測定したところ、第2大臼歯T1及び第1大臼歯T2間の受け入れ角度θ1は、約109度であった。同様に、第1大臼歯及び第2小臼歯間の受け入れ角度θ2、及び、第2小臼歯及び第1小臼歯間の受け入れ角度θ3を測定したところ、それぞれ約107度、約113度であった。この受け入れ角度は、上顎歯列について測定した場合も、ほぼ同じ値であった。
実際には、歯間清掃具1の挿入角度αを上記の受け入れ角度θ1〜θ3に一致させると、歯間を構成する一対の歯(例えば、T1及びT2)に対して把持部14を矢示B方向に移動させたときに、手前側の歯T2に清掃部20の先端が当接してしまい、スムーズな挿入ができない。そこで、挿入角度αを受け入れ角度θ1〜θ3よりも少し大きい値に設定することで、奥側の歯T1に清掃部20の先端を当接させ、奥側の歯T1の表面に沿って、清掃部20を歯間にスムーズに案内することができる。このような観点から挿入角度αの範囲を設定し、後述する試験により挿入し易さを実際に確認したところ、挿入角度αが120〜145度の範囲で、奥歯の歯間の全てに対して挿入性が良好であり、130〜140度の範囲で特に良好な結果が得られた(後述する実施例1〜6)。
一方、従来の歯間清掃具のように挿入角度αが150度以上になると、奥側の歯T1に当接した清掃部20の先端が、歯間とは反対側に逃げ易くなり、歯間への挿入が困難であった(後述する比較例4及び5)。また、挿入角度αが110度以下の歯間清掃具は、把持部14の前後方向(矢示B方向)の動きでは清掃部20を歯間に挿入することができず、口を横方向に更に拡げて把持部14を斜め方向に移動させる必要があり、やはり歯間への挿入が困難であった(後述する比較例1〜3)。
奥歯の歯間に対する清掃部20の挿入を容易にするためには、上記の挿入角度αが適正な範囲内であればよく、把持部14から先端部12までの形状は特に限定されない。例えば、把持部14と先端部12との間が1箇所のみで屈曲する構成であってもよい。
一方、誘導部16が2箇所の屈曲点C1,C2を有する本実施形態の歯間清掃具1によれば、柄本体10が可撓性を有することにより、誘導部16にしなりが生じる。このしなりは微妙な手ブレ振動を吸収するため、清掃部20を、奥歯の歯面に沿わせて歯間の入り口まで、少ない力でブレなく容易に誘導することができる。さらに、誘導部16のしなりは、把持部14の前後方向の移動に対して、奥歯の歯間に沿った清掃部20の移動を追従させ易くすることができる。このように、誘導部16を設けることによって、歯間への挿入がより容易になるだけでなく、清掃時の操作性も良好にすることができ、奥歯の歯間清掃の作業性をより向上させることができる。誘導部16における屈曲点の数は、3つ以上であってもよく、屈曲が多段階になるほど作業性が向上する。
また、誘導部を複数箇所で屈曲する形状とする代わりに、図4に示すように、誘導部116を、柄本体10の把持部14から先端部12に向けて把持部14を含む平面に沿って湾曲する形状にすることもできる。図4に示す歯間清掃具101によれば、誘導部116の構成が、屈曲点の数が無数に存在する屈曲部と同等になるため、清掃時の作業性を更に向上させることができる。なお、図4において、図1と同様の構成部分には、同一の符号を付している。
誘導部116の湾曲形状は、把持部14から先端部12に向けて一方向に滑らかに湾曲する形状が好ましく、曲率が一定であることがより好ましい。本実施形態では、誘導部116の形状を円弧状としている。また、屈曲部及び湾曲部の双方を備えるように、歯間清掃具を構成することもできる。
また、上記実施形態において、清掃部20は、金属製のワイヤ部22と樹脂製のフィラメント部24とから構成されているが、例えば、ワイヤ部22および/またはフィラメント部24をゴム製のものに変更したり、清掃部を樹脂製や木製のピック形状のものなどに変更したり、また先端部の中心線の接線方向から平行にフィラメントを数十本〜数百本程度植毛したポイントブラシ形状のものなどに変更してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[試験1:歯間への挿入性評価]
誘導部16が屈曲点を1つのみ有する歯間清掃具(歯間ブラシ)を使用し、挿入角度αをパラメータとして、奥歯の歯間への清掃部20の挿入し易さを評価した。屈曲点の位置は、先端部12から20mmとした。また、把持部14の長さは30mmとした。
清掃部20のフィラメント部24はナイロン製として、フィラメント本数は200本、そのブラシカット幅は約2.5mmとした(全日本ブラシ工業協同組合「歯間ブラシ通過径サイズ自主規格」におけるサイズ2)。
挿入のし易さは、歯間ブラシを1週間に1回以上で、かつ継続して1年以上使用しているユーザ15人を被験者として、0点(挿入が極めて困難)から10点(挿入が極めて容易)まで0.5点刻みで評価してもらい、得られた点数を平均し、小数点第二位を四捨五入した値を評点とした。この結果を表1に示す。
Figure 0005901096

表1の結果から、挿入角度αが120〜145度の範囲(実施例1〜6)で、評点は7.5(やや良好)以上となり、好ましい範囲であると判断できる。また、挿入角度αが130〜140度の範囲で評点は8.5以上であり、より好ましい範囲であると判断できる。
先端部12からの屈曲点の位置を、もとの20mmから5mm、10mm及び30mmにそれぞれ変更し、上記と同様の試験を行ったところ、各挿入角度αに対する評点はほぼ同じ値であり、屈曲点の位置は、清掃部の挿入し易さに影響を与えないことを確認した。
また、把持部14の長さを、もとの30mmから10mm、20mm、40mm及び50mmにそれぞれ変更し、上記と同様の試験を行ったところ、各挿入角度αに対する評点はほぼ同じ値であり、把持部14の長さは、清掃部の挿入し易さに影響を与えないことを確認した。
次に、誘導部16が2つの屈曲点(図1における屈曲点C2は先端部12から15mm、屈曲点C1は屈曲点C2から5mmの位置である)を有する以外は上記と同じ構成の歯間清掃具を使用し、上記と同様に、奥歯の歯間への清掃部20の挿入し易さを評価した。この結果を表2に示す。
Figure 0005901096

表2の結果を表1の結果と対比すると、全ての挿入角度αに対して評点は向上しており、誘導部16における屈曲点の数を増やすことにより、挿入し易さがより向上していると判断できる。
2つの屈曲点を有する実施例7〜12について、各屈曲点の位置を変えて上記と同様の試験を行ったところ、屈曲点の数と挿入角度αが同一であれば、評点はほぼ同じ値であった。
[試験2:清掃時の操作性評価]
試験1の実施例1〜6(誘導部における屈曲点が1つ)及び実施例7〜12(誘導部における屈曲点が2つ)の各歯間清掃具を使用し、奥歯の歯間に清掃部20を挿入した後、把持部14を前後方向(図3の矢示B方向)に動かして、清掃時の操作性を評価した。試験1と同様に、15名の被験者に対して、0点(操作が極めて困難)から10点(操作が極めて容易)まで0.5点刻みで評価してもらい、得られた点数を平均し、小数点第二位を四捨五入した値を評点とした。この結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005901096
Figure 0005901096

表4における改善率は、表3と表4との間で挿入角度αが同一のもの同士を比較した結果である。表4の結果を表3の結果と対比すると、全ての挿入角度αに対して評点は向上しており(すなわち、改善率が100%より高い)、誘導部16における屈曲点の数を増やすことにより、清掃時の操作性がより向上していると判断できる。
更に、図4に示す湾曲状の誘導部116を有する歯間清掃具を使用し、挿入角度αをパラメータとして、上記と同様に、清掃時の操作性を評価した。この結果を表5に示す。
Figure 0005901096

表5の結果を表3の結果と対比すると、全ての挿入角度αに対して評点は向上しており(すなわち、改善率が100%より高い)、このときの改善率は、表4の結果よりも高い値であった。したがって、誘導部が湾曲部を備えた構成にすることで、清掃時の操作性が更に向上していると判断できる。
本発明の一実施形態に係る歯間清掃具の平面図である。 前記歯間清掃具の側面図である。 下顎歯列の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る歯間清掃具の平面図である。 従来の歯間清掃具の平面図である。
符号の説明
1,101 歯間清掃具
10 柄本体
12 先端部
14 把持部
16,116 誘導部
20 清掃部
22 ワイヤ部
24 フィラメント部
α 挿入角度

Claims (2)

  1. 可撓性を有し、棒状に延びる柄本体と、
    前記柄本体の先端部に設けられた清掃部と、を備える歯間ブラシであって、
    前記柄本体は、中心線が略直線状となるように形成された把持部と、前記把持部から先端部に向けて湾曲する誘導部と、を備え、
    前記把持部の中心線方向と、前記先端部に設けられた前記清掃部の延びる方向とのなす角度が、125〜145度の範囲で一定の角度に設定され、
    前記把持部は、前記柄本体において前記誘導部よりも後端側でありかつ前記柄本体の最後端に形成されており、
    前記誘導部の形状が円弧状である歯間ブラシ。
  2. 前記把持部の中心線方向と、前記先端部に設けられた前記清掃部の延びる方向とのなす角度が、130〜140度の範囲で一定の角度に設定される請求項1に記載の歯間ブラシ。
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