JP5899372B2 - ポリカーボネート成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネートから形成され、耐熱性、耐侯性、低温特性、低吸水性、表面硬度に優れた、樹脂窓、車両用ランプレンズなどの成形品に関する。
ポリカーボネートは優れた機械特性および光学特性を有するため、樹脂窓、車両用ランプレンズ、プラスチックレンズなどの成形品への適用が検討されている。ポリカーボネートの代表例としてビスフェノールAから得られるポリカーボネートが挙げられる。
しかし、近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリカーボネートの原料として、バイオマス資源であるイソソルビドを用いることが検討されている(特許文献1)。
ポリカーボネートを樹脂窓に用いる提案として、特許文献2には、ビスフェノールAから得られるポリカーボネートを樹脂窓として使用することが記載されている。しかしこの樹脂窓は、耐侯性に劣るという問題がある。また特許文献3には、イソソルビドから得られたポリカーボネートを樹脂窓として使用することが提案されている。しかしこのポリカーボネートは、吸水率が高く、低温衝撃特性に劣り改良すべき点がある。
ポリカーボネートを車両用ランプレンズに用いる提案として、特許文献4および特許文献5には、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合したポリカーボネートを車両用ランプレンズに用いることが記載されている。しかし、このポリカーボネートは、脂肪族ジオールとして、1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いているため、低温時の物性が低く、例えば衝撃強度が低いため、寒冷地での使用に制限があった。また、吸水率が高く、その成形品において吸水による寸法変化や反りが生じる。
このようにイソソルビドを用いたポリカーボネートについての検討はなされているが、樹脂窓、車両用ランプレンズ向けに必要とされる、耐熱性、表面硬度、低吸水性、低温特性、耐候性などの特性をバランスよく有するものではない。
国際公開第2004/111106号パンフレット 特開2003−311908号公報 特開2009−61762号公報 特開2009−144014号公報 特開2012−41471号公報
本発明の目的は、ポリカーボネートから形成され、耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性に優れた、樹脂窓もしくは車両用ランプレンズ等の成形品を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、イソソルビド由来の単位を含有するポリカーボネートは、吸水率が低く、低温衝撃特性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、−20℃の環境下においてASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験の最大衝撃エネルギーが20J以上であり、脆性破壊率が50%以下であるポリカーボネートから形成され、該ポリカーボネートは、下記コポリカーボネート(1)、(2)または(3)である成形品である。
(1)コポリカーボネート(1)は、下記式(A)で表わされる単位(A)および下記式(B−1)で表わされる単位(B−1)を含み、
Figure 0005899372
(式中、Wは、炭素数8〜12のアルキレン基を示す。)
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−1)との合計が80モル%以上であり、
(iii)単位(A)と単位(B−1)とのモル比(A/(B−1))が60/40〜95/5であり、
(2)コポリカーボネート(2)は、下記式(A)で表わされる単位(A)、並びに脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B−2)を含み、
Figure 0005899372
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)ブロック性を有し、
(iii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−2)との合計が80モル%以上であり、
(iv)単位(A)と単位(B−2)とのモル比(A/(B−2))が60/40〜95/5であり、
(3)コポリカーボネート(3)は、下記式(A)で表わされる単位(A)および下記式(B−3)で表わされる単位(B−3)を含み、
Figure 0005899372
(式中Xは、炭素数3〜20のアルキレン基または炭素数3〜20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、mは1〜10の整数を示す。)
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−3)との合計が80モル%以上であり、
(iii)単位(A)と単位(B−3)とのモル比(A/(B−3))が50/50〜95/5である。
成形品は、樹脂窓もしくは車両用ランプレンズであることが好ましい。
本発明の成形品は、耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性に優れる。本発明の樹脂窓は、耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性に優れる。本発明の車両用ランプレンズは、耐熱性、耐候性、表面硬度、低吸水性および低温面衝撃性に優れる。
実施例において成形した自動車の素通し型ヘッドランプレンズの成形品を示す。図示されるとおり該レンズはドーム状の形状である。[1−A]は正面図(成形時のプラテン面に投影した図。したがってかかる面積が最大投影面積となる)を示し、[1−B]はA−A線断面図を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
<成形品>
本発明で使用されるポリカーボネートは、全繰り返し単位を基準として、単位(A)の含有量が、50モル%以上であり、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
(単位(A))
本発明における単位(A)は、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導される。エーテル結合を有するジオールは、バイオマス資源の中で耐熱性および鉛筆硬度が高い材料である。
単位(A)として、立体異性体の関係にある下記の単位(A1)、(A2)および(A3)が例示される。
Figure 0005899372
これらは、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。単位(A1)、(A2)および(A3)は、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドから誘導される単位である。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドロ−D−ソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明で使用されるポリカーボネートの好ましい態様として、長鎖脂肪族ジオールから誘導される単位を含有するコポリカーボネート(1)、ブロック構造を有するコポリカーボネート(2)、側鎖を有するコポリカーボネート(3)が挙げられる。
(コポリカーボネート(1))
本発明で使用されるポリカーボネートの好ましい一態様として、
単位(A)と下記式で表される単位(B−1)を含み、
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−1)との合計が80モル%以上であり、
(iii)単位(A)と単位(B−1)とのモル比(A/(B−1))が、60/40〜95/5である、コポリカーボネート(1)が挙げられる。
コポリカーボネート(1)は、長鎖脂肪族ジオールから誘導される単位を含有する。
全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−1)との合計は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%、さらに好ましくは100モル%である。
単位(A)と単位(B−1)とのモル比(A/(B−1))は、70/30〜93/7の範囲がより好ましく、80/20〜90/10の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であると耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性のバランスに優れることから好ましい。モル比(A/(B−1))は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
Figure 0005899372
式中、Wは、炭素数8〜12のアルキレン基を示す。炭素数8〜12のアルキレン基として、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
単位(B−1)は、炭素数8〜12の脂肪族ジオールから誘導される。炭素数8〜12の脂肪族ジオールとして、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールが挙げられる。なかでも1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールがより好ましい。これらは2種類以上併用して用いても良い。
単位(A)および単位(B−1)以外のその他の単位を誘導するジオール化合物としては、後述する単位(B−2)、単位(B−3)を誘導するモノマー化合物や、それ以外の脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良い。具体的には国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
脂肪族ジヒドロキシ化合物として、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物として、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物として、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン等が挙げられる。
単位(A)と単位(B−1)とを含むコポリカーボネートは、通常のポリカーボネートを製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(コポリカーボネート(2))
本発明で使用されるポリカーボネートの好ましい一態様として、単位(A)と脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B−2)を含み、
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)ブロック性を有し、
(iii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−2)との合計が80モル%以上であり、
(iv)単位(A)と単位(B−2)とのモル比(A/(B−2))は、60/40〜95/5である、
コポリカーボネート(2)が挙げられる。
コポリカーボネート(2)は、単位(B−2)中にブロック構造を有する。
全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−2)との合計は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%、さらに好ましくは100モル%である。
単位(A)と単位(B−2)とのモル比(A/(B−2))は、65/35〜93/7の範囲が好ましく、70/30〜90/10の範囲がより好ましい。上記範囲内であると耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性のバランスに優れることから好ましい。モル比(A/(B−2))は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
単位(B−2)を構成するとして脂肪族ジオール化合物が挙げられる。脂肪族ジオール化合物は、直鎖脂肪族ジオール化合物または分岐脂肪族ジオール化合物のいずれでもよい。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数3〜10の直鎖脂肪族ジオール化合物が使用される。直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
分岐脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数4〜12の分岐脂肪族ジオール化合物が使用される。分岐脂肪族ジオール化合物として、具体的には、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なかでも3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
単位(B−2)を構成するとして脂環式ジオール化合物が挙げられる。脂環式ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20の脂環式ジオール化合物が使用される。脂環式ジオール化合物として、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、デカリンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。これらの脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。
(ブロック性)
コポリカーボネート(2)は、ブロック状の単位(B−2)を有する。ブロック部分における単位(B−2)の平均繰り返し単位数(n)が好ましくは2〜100、より好ましくは2.2〜50、さらに好ましくは2.3〜30、特に好ましくは2.5〜10である。また、ブロック部分における単位(B−2)の数平均分子量は、好ましくは250〜5000、より好ましくは300〜3000、さらに好ましくは300〜2000、特に好ましくは350〜1500である。ブロック部分における単位(B−2)の平均繰り返し単位数(n)および数平均分子量が上記範囲内であると、目的とする吸水性や耐熱性、鉛筆硬度が良好となり、また相分離が起こり難く好ましい。
コポリカーボネート(2)における単位(B−2)のブロック性は、コポリカーボネート(2)をCDClに溶解して、13C−NMRで測定したカーボネートの炭素から算出することができる。[単位(A)−単位(A)]のシグナルは153〜154ppmに3本あり(立体異性体が3種類あるため)、[単位(A)−単位(B−2)]のシグナルは通常154〜155ppmに2本あり(共重合ジオールの立体異性がない場合は、イソソルビドとの立体異性体が2種類あるため)、[単位(B−2)−単位(B−2)]のシグナルは通常155〜156ppmに測定される。このシグナルの積分値から単位(B−2)の平均繰り返し単位数を算出することができる。単位(B−2)の平均繰り返し単位数は下記式で求められる。また、平均繰り返し単位数とその繰り返し単位の分子量を乗算することによりブロック部分における単位(B−2)の数平均分子量が算出される。
単位(B−2)の平均繰り返し単位数=([単位(B−2)−単位(B−2)]のシグナルの積分値/
[単位(A)−単位(B−2)]のシグナルの積分値)×2+1
(単位(B−2a))
単位(B−2)は、好ましくは下記式で表される単位(B−2a)である。
Figure 0005899372
単位(B−2a)中Yは、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数3〜10のアルキレン基である。
炭素数2〜12のアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
単位(B−2a)中Yは、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20のシクロアルキレン基である。炭素原子数6〜30シクロアルキレン基として、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基等が挙げられる。
単位−(Y)−のブロックの大きさを表す“n”は、好ましくは2〜100、より好ましくは2.2〜50、さらに好ましくは2.3〜30、特に好ましくは2.5〜10である。単位(B−2a)の数平均分子量は、好ましくは250〜5000、より好ましくは300〜3000、さらに好ましくは300〜2000、特に好ましくは350〜1500である。
単位(A)および単位(B−2)以外のその他の単位を誘導する化合物、例えばオキシアルキレングリコール類や芳香族ジヒドロキシ化合物を使用することもできる。
(コポリカーボネート(2)の製造)
コポリカーボネート(2)は、予め脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から繰り返し単位(B−2)で表されるポリカーボネートオリゴマーを得、その後、得られたポリカーボネートオリゴマー、単位(A)を誘導するモノマー(例えばイソソルビド)およびカーボネート前駆物質を反応させて、コポリカーボネートを製造することが好ましい。
(i)ポリカーボネートオリゴマーの製造方法
ポリカーボネートオリゴマーは、通常のポリカーボネートを製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール化合物に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法やポリカーボネートジオールを製造する公知の方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール化合物を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応させる。また、必要に応じて酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、上述した炭酸ジエステルと同様のものが使用できる。
使用できる触媒としては、上述した触媒(エステル交換触媒)と同様のものが使用できる。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法は、触媒の存在下または不存在下で行うことができるが、反応効率の観点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法における反応温度は好ましくは90〜230℃であり、より好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは120〜210℃である。反応温度が230℃を超えると、得られるポリカーボネートオリゴマーが着色する場合や、エーテル構造が生成する場合がある。
ポリカーボネートオリゴマーの製造方法の反応初期は、副生成するアルコールやフェノールの量が相対的に少ないので、炭酸ジエステルの留出を抑えるため、10kPa〜常圧でエステル交換反応を行い、エステル交換反応の終盤、例えば、エステル交換反応が好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上進行した後では、好ましくは0.1〜10kPa、より好ましくは0.1〜1kPaの減圧下でエステル交換反応を行うのが好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量は好ましくは250〜5000、より好ましくは300〜3000、さらに好ましくは400〜2000、特に好ましくは400〜1500である。数平均分子量が250未満の場合、目的とする吸水性や耐熱性、鉛筆硬度が悪化することがある。また数平均分子量が5000を超える場合、ブロック性が高くなりすぎ、相分離が起こり易くなる。ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量は、プロトンNMRを測定することにより算出することができる。プロトンNMRにて繰り返し単位に対して末端水酸基と末端フェニル基を算出し、下記式により数平均分子量を算出した。

ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量=(繰り返し単位のシグナルの積分値)/(末端水酸基のシグナルの積分値+末端フェニル基のシグナルの積分値)×2×繰り返し単位の分子量
ポリカーボネートオリゴマーの末端水酸基、末端フェニル基の比率は特に規定はなく、どのような比率であっても良い。
ポリカーボネートオリゴマーの製造はコポリカーボネートの製造と同じ反応釜で行っても良いし、別々の反応釜を使用しても良い。また、反応容器から一度取り出して、保管した後に使用しても良い。また、ポリカーボネートオリゴマーはフィルターでの精製や再沈などの精製を行っても良い。
(ii)コポリカーボネート(2)の製造
コポリカーボネート(2)は、上述の方法により得られたポリカーボネートオリゴマー、単位(A)を誘導するモノマー(例えばイソソルビド)およびカーボネート前駆物質を、通常のポリカーボネートを製造するそれ自体公知の反応手段により反応させて製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、上述した炭酸ジエステルと同様のものが使用できる。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、上述した触媒(エステル交換触媒)と同様のものが使用できる。
重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、上述した触媒失活剤が使用できる。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(コポリカーボネート(3))
本発明で使用されるポリカーボネートの好ましい一態様として、
単位(A)と下記式で表される単位(B−3)を含み、
(i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
(ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−3)との合計が80モル%以上であり、
(iii)単位(A)と単位(B−3)とのモル比(A/(B−3))が、50/50〜95/5である、
コポリカーボネート(3)が挙げられる。
コポリカーボネート(3)は、側鎖を有する構造である。
全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−3)との合計は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
単位(A)と単位(B−3)とのモル比(A/(B−3))は、60/40〜95/5の範囲が好ましく、60/40〜93/7の範囲がより好ましく、70/30〜90/10の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であると耐熱性、耐侯性、低吸水性、表面硬度および低温衝撃特性のバランスに優れることから好ましい。モル比(A/B−3)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
Figure 0005899372
式中Xは、炭素数3〜20のアルキレン基または炭素数3〜20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、mは1〜10の整数を示す。
単位(B−3)は、側鎖アルキル基または側鎖シクロアルキル基を有する脂肪族ジオールから誘導される単位である。
単位(B−3)は、炭素数の合計が4〜12の範囲であることが好ましく、5〜10の範囲であることがより好ましい。かかる範囲であると、ポリカーボネートのHDT(荷重たわみ温度)が高く保持される。
また、単位(B−3)は、Xの炭素数(主鎖炭素数)と、Rの炭素数の合計(側鎖炭素数)が、下記式(i)を満足することが好ましく、下記式(i−a)を満足することがより好ましく、下記式(i−b)を満足することがさらに好ましい。下記式(i)を満足すると、耐沸水性に優れ、且つ大幅に吸水率が低減できるため好ましい。
0.3 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 8 (i)
0.4 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 5 (i−a)
0.5 ≦ (主鎖炭素数)/(側鎖炭素数) ≦ 2 (i−b)
(単位(B−3)中のX)
式(B−3)において、Xは炭素数3〜20のアルキレン基または炭素数3〜20のシクロアルキレン基を表す。
Xは、好ましくは炭素数3〜12のアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜8のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。アルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基などが挙げられる。
Xは、好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキレン基、さらに好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキレン基である。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基などが挙げられる。
(単位(B−3)中のR)
式(B−3)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表す。
Rは、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
Rは、好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル基、より好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基である。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
(単位(B−3)中のm)
式(B−3)において、mは1〜10の整数、好ましくは2〜8の整数、より好ましくは2〜5の整数を示す。
(単位(B−3)中のXが炭素数3〜20のアルキレン基のとき)
単位(B−3)中の、Xが炭素数3〜20のアルキレン基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基で、mが2〜8の整数であることが好ましい。単位(B)中のXが炭素数3〜5のアルキレン基で、Rが炭素数1〜4のアルキル基で、mが1〜2の整数であることが好ましい。
単位(B−3)中の−X{−(R)}−が、下記式で表される単位(Ba)であることが好ましい。
Figure 0005899372
nは2〜6の整数、好ましくは3〜5の整数である。n個あるRは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる。n個あるRは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる。n個あるRおよびn個あるRの内、1個若しくは2個は炭素数1〜4のアルキル基であり、他は水素原子であることが好ましい。
単位(B−3)中の、−X{−(R)}−は、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジイル基、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジイル基、3−メチル−1,5−ペンタンジイル基であることが好ましい。
(単位(B−3)中のXが炭素数3〜20のシクロアルキレン基のとき)
前記式(B−3)において、Xは炭素数4〜5のシクロアルキレン基で、Rは炭素数1〜10のアルキル基で、mは3〜12の整数であることが好ましい。
単位(B−3)が、下記式で表される単位(Bb)であることが好ましい。
Figure 0005899372
、R、R、Rはそれぞれ同一または異なっていても良いアルキル基であり、R〜Rの炭素数の合計が4〜10であり、また、RとR、RとRが結合して炭素環を形成しても良い。単位(Bb)中のR、R、R、Rはそれぞれ独立に、メチル基、エチル基またはプロピル基であることが好ましい。
単位(B−3)が、下記式で表される単位(Bb−i)であることが好ましい。
Figure 0005899372
単位(B−3)は、側鎖アルキル基または側鎖シクロアルキル基を有する脂肪族ジオールから誘導される。側鎖アルキル基または側鎖シクロアルキル基を有する脂肪族ジオールとしては、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−オクタデカンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−シクロヘキシル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールなどが挙げられる。
なかでも3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましく、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが特に好ましい。これらは2種類以上併用して用いても良い。
単位(A)および単位(B−3)以外のその他の単位を誘導するジオール化合物としては、前述した単位(B−1)、単位(B−2)を誘導するモノマー化合物や、それ以外の脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良い。具体的には国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
単位(A)と単位(B−3)とを含むコポリカーボネートは、通常のポリカーボネートを製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。これらの製造方法について基本的な手段は、上述した単位(A)と単位(B−1)とを含むコポリカーボネートの手段と同様である。
(低温面衝撃)
ポリカーボネートは、−20℃の環境下においてASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験の(i)最大衝撃エネルギーおよび(ii)脆性破壊率が所定の値を有する。
ASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験は、厚さ2mm厚角板を用いて、高速衝撃試験機にて試験温度−20℃、試験速度7m/sec、ストライカー径1/2インチ、受け径1インチにて実施する。
(i)ポリカーボネートは、最大衝撃エネルギーが20J以上、好ましくは25J以上、さらに好ましくは30J以上、特に好ましくは35J以上である。上限値は特に限定されないが、100J以下で充分である。
また(ii)ポリカーボネートは脆性破壊率が50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下、もっとも好ましくは10%以下である。
ポリカーボネートは、低温面衝撃の破壊形態が延性破壊となり、低温衝撃性に優れる。低温面衝撃の破壊形態が脆性破壊となる確率が50%を超える場合や最大衝撃エネルギーが20J未満の場合には、寒冷地での使用が困難となる。
(比粘度:ηSP
ポリカーボネートの比粘度(ηSP)は、好ましくは0.23〜0.60の範囲であり、より好ましくは0.25〜0.55の範囲であり、さらに好ましくは0.30〜0.50の範囲であり、特に好ましくは0.35〜0.45の範囲である。比粘度が0.23以上であれば射出成形した成形片の強度が良好で、他方0.60以下であれば射出成形の際の成形加工性に優れ好ましい。
比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネートをその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(不純物)
ポリカーボネート中に含まれるモノヒドロキシ化合物の量は、最終重合反応器の出口における反応液中において、700ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは500ppm以下、特に好ましくは200ppm以下である。本発明のポリカーボネート中の炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。これら不純物は重合反応の真空度を制御することで、低減できる。
(ガラス転移温度:Tg)
ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80〜160℃であり、より好ましくは90℃〜150℃であり、さらに好ましくは100℃〜140℃である。ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であると成形品での耐熱性が十分となり好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が160℃以下であると射出成形の際の成形加工性が良好であり好ましい。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(動的粘弾性)
ポリカーボネートは動的粘弾性測定のtanδが最高値となる温度が−73℃以下であることが好ましい。−78℃以下がより好ましく、−80℃以下がさらに好ましい。
(飽和吸水率)
ポリカーボネートの飽和吸水率は、好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは2.2%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下である。飽和吸水率が2.5%以下であれば、成形品において吸水による寸法変化や反りなど、種々の物性低下がほとんど起こらず好ましい。
またポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg℃)と吸水率(Wa%)との関係が下記式(I)を満足することが好ましく、下記式(I−a)を満足することがより好ましい。下記式(I)を満足すると、耐熱性に優れ、且つ低吸水率のポリカーボネートであるため好ましい。TW値の上限は特に限定されないけれども、10以下で充分である。
2.5 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I)
2.6 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I−a)
(鉛筆硬度)
ポリカーボネートは、鉛筆硬度が好ましくはHB以上である。耐傷性に優れるという点で、F以上が好ましく、H以上がより好ましい。鉛筆硬度は全繰り返し単位を基準として繰り返し単位(B−1)〜(B−3)の組成を増加させることで硬くすることができる。本発明において、鉛筆硬度とは、本発明の樹脂を特定の鉛筆硬度を有する鉛筆で樹脂を擦過した場合に擦過しても擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K−5600に従って測定できる塗膜の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とする。鉛筆硬度は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bの順で柔らかくなり、最も硬いものが9H、最も軟らかいものが6Bである。
(添加剤)
またポリカーボネートは、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
なおポリカーボネートは、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
(熱安定剤)
ポリカーボネートは、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。単位(A)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系安定剤を含有することが好ましい。さらにリン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を配合することがより好ましい。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10)−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノールなどを挙げることができる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、環状構造を有するホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
ポリカーボネートは、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス{(オクチルチオ)メチル}−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系安定剤は、ポリカーボネート100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
(離型剤)
ポリカーボネートは、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
ポリカーボネートは、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の割合は、ポリカーボネート100重量部に対して好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部である。
(光安定剤)
ポリカーボネートは、光安定剤を含むことができる。光安定剤を含むと、耐候性の面で良好であり、成形品にクラックが入り難くなるという利点がある。
光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−2−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネ−ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカ−バメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ−バメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの光安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。含有量は、ポリカーボネート100重量部に対して好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(ブルーイング剤)
ポリカーボネートは、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、通常、ポリカーボネート100重量部に対して0.1×10−4〜2×10−4重量部の割合で配合される。
(樹脂組成物の製造方法)
ポリカーボネートと上述のような各種の添加剤との配合は、例えば各成分および任意成分を予備混合し、その後、溶融混練しペレット化して製造することができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては、押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分および任意成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は、好ましくは180〜270℃、より好ましくは190〜260℃、さらに好ましくは200〜250℃である。シリンダー温度が270℃以下であると、ポリカーボネートの熱分解の進行が小さくなり好ましい。
<樹脂窓>
本発明の樹脂窓は、上記ポリカーボネートを、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法など任意の方法により成形される。樹脂窓としては、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、サンルーフ、建設機械の窓ガラス、ビル、家、温室などの窓ガラス等が挙げられる。
本発明の樹脂窓には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、ハードコート、撥水・撥油コート、親水性コート、帯電防止コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、液剤のコーティングの他、蒸着法、溶射法、およびメッキ法が挙げられる。蒸着法としては物理蒸着法および化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリング、およびイオンプレーティングが例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法などが例示される。
本発明の樹脂窓は、良好な表面硬度を有しているが、ハードコートを施すことにより更に樹脂窓に適したものとなる。すなわち基体成形品が良好な表面硬度を有することから、ハードコート層の特性をより有効に発現できる。
ハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくは更に4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びに更にこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤は更に2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
これらハードコート剤のうち長期間の耐久性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤、または処理が比較的簡便でかつ良好なハードコート層が形成される紫外線硬化型のアクリル樹脂または多官能アクリル樹脂が好ましい。シリコーン樹脂系ハードコート剤はプライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに1層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。
かかるプライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
更に、ハードコート層を形成する樹脂には、上述した光安定剤や紫外線吸収剤、並びに触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形品の形状に応じて適宜選択することができる。中でも複雑な成形品形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、およびスプレーコート法が好ましい。
<車両用ランプレンズ>
ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプのもの)やアクリル樹脂などの非晶性樹脂は、透明性や成形性に優れることから自動車、二輪車、電車などの車両用ランプレンズの用途に使用されている。例えば、自動車用ランプレンズでは、ヘッドランプレンズ、リアランプレンズ、方向指示ランプレンズ、ルームランプレンズなど種々の用途で使用されており、透明性や成形性に加えて、機械特性、耐候性、耐熱性、寸法安定性、耐傷付き性、低温特性が要求されている。
耐熱性に関しては、ランプによる発熱のため、80〜120℃使用環境下での機械特性、寸法安定性が必要とされ、非晶性樹脂においては、樹脂のガラス転移温度が高いこと、例えば100℃以上、更に好ましく120℃以上であることが要求される。この点からは、アクリル樹脂のガラス転移温度は80〜90℃であり、適用される用途に制約がある。ポリカーボネートのガラス転移温度は130〜150℃であるので、耐熱性の観点からは自動車用ランプレンズのほとんどの分野に適用可能である。
自動車用ランプレンズでは、耐傷付き性も重要な要素である。ヘッドランプレンズには耐傷付き性の改善のためにハードコート膜が施されているが、樹脂が耐傷付き性に優れるとハードコート膜を薄くすることが出来るため、ヘッドランプレンズも含めて自動車用ランプレンズには、表面硬度が高く、耐傷付き性に優れることが要求される。表面硬度が低いと、運転中に飛砂などにより、ランプレンズ表面が削られるため、傷が付き易く透明性も低下し易い。
屋外で使用する車両用ランプレンズでは、耐候性が要求されている。特にヘッドランプレンズでは長期間使用しても黄変しないことが要求されている。アクリル樹脂は、紫外線による変色性が少ないが、ポリカーボネートは紫外線により黄変するため、紫外線吸収剤を大量に配合しなければならず、成形時のガスの発生が大きくなり、精密な金型表面の転写が困難になったり、成形品表面に曇りが発生しやすくなる。
また、車両用ランプレンズは寒冷地において使用される可能性があるため、低温時にも高い衝撃強度を有することが望まれている。
ところで、ポリカーボネートやアクリル樹脂は一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造されるが、近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。
バイオマスプラスチックの代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、工業材料としての可能性も検討されるようになってきた。
しかしながら、ポリ乳酸は、工業材料として使用するに当っては、その耐熱性が不足し、また生産性の高い射出成形によって成形品を得ようとすると、結晶性ポリマーとしてはその結晶性が低いため成形性が劣るという問題がある。
バイオマス資源を原料として使用し、かつ耐熱性が高い非晶性のポリカーボネートとして、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネートが検討されている。特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。
(車両用ランプレンズの製造)
本発明の車両用ランプレンズは、上記ポリカーボネートを、例えば射出成形法など任意の方法により成形される。射出成形法の場合、金型温度30〜120℃、樹脂温度220〜290℃の範囲で成形することが好ましい。更に本発明の車両用ランプレンズには、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネートに用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。ハードコートは特に好ましくかつ必要とされる表面処理である。車両用ランプレンズとしては、自動車、二輪車、電車などのヘッドランプレンズ、リアランプレンズ、方向指示ランプレンズ、ルームランプレンズ等が挙げられる。なかでもヘッドランプレンズが好ましい。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用ポリマーおよび評価方法は以下のとおりである。
1.共重合比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、共重合比(モル比)を算出した。
2.比粘度
塩化メチレン100mlにポリカーボネートペレット0.7gを溶解した溶液として、20℃でオストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
3.ガラス転移温度(Tg)
ポリカーボネートペレット8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
4.吸水率(Wa)
吸水率は、ポリカーボネートペレットを塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた厚み200μmのキャストフィルムを用い、100℃で12時間乾燥後、25℃72時間水中に浸漬した後の重量増加を測定し、次式によって吸水率を求めた。
吸水率(%)={(吸水後のポリマー重量−吸水前のポリマー重量)/吸水前のポリマー重量}×100
5.TW値
TW値は、次式によって求めた。
TW値=ガラス転移温度(Tg)×0.04―吸水率(Wa)
6.鉛筆硬度
ポリカーボネートペレットを日本製綱所(株)(JSW)製射出成形機J85−ELIIIを用いてシリンダー温度250℃、金型温度80℃、1分サイクルにて2mm厚角板を成形し、その成型試験片を用いて、JIS K5600の基図板試験方法によって測定した。
7.動的粘弾性
得られたポリカーボネートペレットを100℃で24時間真空乾燥した後、日本製綱所(株)(JSW)製75ton成形機(JSW J−75EIII)を用いて、厚さ2mmの成形板を成形した。上記の成形片を下記条件で動的粘弾性測定し、損失正接(tanδ)が最高値となる温度(Tmax:℃)を求めた。
装置名: RDAIII ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製
試料片: 厚さ2.0mm×幅12.0mm
測定温度: −200〜100℃
昇温速度: 2℃/分
周波数: 10Hz
8.低温面衝撃
厚さ2mm厚角板を高速衝撃試験機 島津HYDROSHOTHITS−P10(島津製作所)を使用して、試験温度−20℃、試験速度7m/sec、ストライカー径1/2インチ、受け径1インチにて10回試験を実施し、そのときの脆性破壊となった確率と最大衝撃エネルギー(平均値)を評価した。
9.耐候変色
JIS B7753に準拠してスガ試験機社製サンシャインウェザオメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、所定時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。その試験前後の試験片に対して、日本電色工業社製分光式色差計SE−2000を用いて色差ΔEを測定した。ΔEが小さいほど、変色が小さいことを示している。
実施例I−1〜I−11、比較例I−1〜I−6においては照射時間を500時間とした。実施例II−1〜II−10、比較例II−1〜II−7においては照射時間を1000時間とした。
10.ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量
実施例II−5およびII−6におけるポリカーボネート共重合体をCDClに溶解し、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて末端水酸基と末端フェニル基と平均繰り返し単位数を算出し、数平均分子量を求めた。
ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量=(繰り返し単位のシグナルの積分値)/(末端水酸基のシグナルの積分値+末端フェニル基のシグナルの積分値)×2×繰り返し単位の分子量
11.実施例I−6〜I―9、実施例II−5〜II−6におけるポリカーボネート共重合体中の単位(B−2)の平均繰り返し単位数、数平均分子量
ポリカーボネート共重合体をCDClに溶解し、日本電子社製JNM−AL400の13C−NMRにて測定した。ISS(イソソルビド)−ISSカーボネートのシグナルは153〜154ppm、ISS−共重合ジオールのシグナルは通常154〜155ppm、共重合ジオール−共重合ジオールのシグナルは通常155〜156ppmに測定される。このシグナルの積分値から平均繰り返し単位数を算出した。また、平均繰り返し単位数とその繰り返し単位の分子量を乗算し、平均繰り返し単位(B−2)の数平均分子量を求めた。

単位(B−2)の平均繰り返し単位数=([単位(B−2)−単位(B−2)]のシグナルの積分値/
[単位(A)−単位(B−2)]のシグナルの積分値)×2+1

実施例I−1
(重合)
イソソルビド(以下ISSと略す)436部、1,8−オクタンジオール(以下ODと略す)65部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
(樹脂組成物)
得られたペレット100重量部に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールを0.4重量部、光安定剤として2級アミン化合物であるアデカスタブLA−77Y((株)ADEKA製)を0.1重量部、酸化防止剤としてリン系安定剤であるイルガフォス168(BASF製;トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.1重量部を配合して均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入して樹脂組成物を製造した。押出機としては径30mmφのベント式二軸押出機(日本製鋼所製TEX30α−35BW−3V)を使用した。押出条件は吐出量30〜40kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで230℃とし、ペレットを得た。各種評価結果を表Iに記載した。
(樹脂窓)
また、乾燥後のペレットを用い、150mm角×1mm厚の平滑角板成形品を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で成形した。得られた成形品を切り出し窓枠を取り付け自動車の後部席固定三角窓ガラスとして使用したところ、外観、表面硬度、耐候性に優れた窓ガラスであった。
実施例I−2
ISS450部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)66部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
実施例I−3
ISS419部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)101部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
実施例I−4
NDの代わりに1,10−デカンジオール(以下DDと略す)68部を用いた他は、実施例I−2と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
実施例I−5
NDの代わりに1,12−ドデカンジオール(以下DDDと略す)68部を原料として用いた他は、実施例I−2と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
実施例I−6
(ポリカーボネートオリゴマー)
1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)161部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)257部、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.4×10−2部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、2時間かけて減圧度を13.4kPaに調整し、2時間かけて200℃に昇温し、500Pa以下とし、留出してきたフェノールと未反応のジオールを除いて、分子量530(平均繰り返し単位数3.7)の190部のHDホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCHDと略す)を得た。
(コポリカーボネート)
得られたPCHD74部、イソソルビド(以下ISSと略す)488部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は3.5、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は500であった。
(樹脂組成物)
得られたペレット100重量部に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールを0.4重量部、光安定剤として2級アミン化合物であるアデカスタブLA−77Y((株)ADEKA製)を0.1重量部、酸化防止剤としてリン系安定剤であるイルガフォス168(BASF製;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.1重量部を配合して均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入して樹脂組成物を製造した。押出機としては径30mmφのベント式二軸押出機(日本製鋼所製TEX30α−35BW−3V)を使用した。押出条件は吐出量30〜40kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで230℃とし、ペレットを得た。
(樹脂窓)
また、乾燥後のペレットを用い、150mm角×1mm厚の平滑角板成形品を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で成形した。得られた成形品を切り出し窓枠を取り付け自動車の後部席固定三角窓ガラスとして使用したところ、外観、表面硬度、耐候性に優れた窓ガラスであった。評価結果を表Iに記載した。
実施例I−7
2−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下MPDと略す)94部を用いた以外は実施例I−6と全く同様の操作を行い、分子量520(平均繰り返し単位数3.6)の189部のMPDホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCMPDと略す)を得た。PCHDの代わりにPCMPD74部を用いた他は、実施例I−6と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は3.4、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は490であった。その結果を表Iに記載した。
実施例I−8
1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)188部を用いた他は、実施例I−6と全く同様の操作を行い、分子量1030(平均繰り返し単位数6.0)の226部のCHDMホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCCHDMと略す)を得た。PCHDの代わりにPCCHDM179部、ISS483部を用いた他は、実施例I−6と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は5.6、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は960であった。その結果を表Iに記載した。
実施例I−9
1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)208部を用いた他は、実施例I−6と全く同様の操作を行い、分子量530(平均繰り返し単位数2.8)の240部のNDホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCNDと略す)を得た。PCHDの代わりにPCMPD74部を用いた他は、実施例I−6と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は2.6、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は490であった。その結果を表Iに記載した。
実施例I−10
ISS322部、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(以下TMCBと略す)131部、ND62部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
実施例I−11
ISS256部、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(以下TMCBと略す)197部、ND62部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
比較例I−1
ISS501部、DPC749.7部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。得られた成形品を切り出し窓枠を取り付け自動車の後部席固定三角窓ガラスとして使用したところ、衝撃性に劣り、寒冷地での使用に耐えうるものではなかった。その結果を表Iに記載した。
比較例I−2
ISS376部、1,3−プロパンジオール(以下PDと略す)65部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
比較例I−3
ISS425部、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)61部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
比較例I−4
ISS347部、CHDM161部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例I−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表Iに記載した。
比較例I−5
ビスフェノールA型ポリカーボネート(帝人化成社製 パンライトL1225Z100M)を使用して、各種評価結果を表Iに記載した。得られた成形品を切り出し窓枠を取り付け自動車の後部席固定三角窓ガラスとして使用したところ、耐候性および表面硬度が低く、実施例と比較して劣る結果となった。
比較例I−6
ポリアクリル樹脂(三菱レイヨン製 アクリペットMF)を使用して、各種評価結果を表Iに記載した。得られた成形品を切り出し窓枠を取り付け自動車の後部席固定三角窓ガラスとして使用したところ、衝撃性に劣り、寒冷地での使用に耐えうるものではなかった。
Figure 0005899372
Figure 0005899372
実施例II−1
(重合)
イソソルビド(以下ISSと略す)436部、1,8−オクタンジオール(以下ODと略す)65部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
(樹脂組成物)
得られたペレット100重量部に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールを0.4重量部、光安定剤として2級アミン化合物であるアデカスタブLA−77Y((株)ADEKA製)を0.1重量部、酸化防止剤としてリン系安定剤であるイルガフォス168(BASF製;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.1重量部を配合して均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入して樹脂組成物の作製を行った。押出機としては径30mmφのベント式二軸押出機(日本製鋼所製TEX30α−35BW−3V)を使用した。押出条件は吐出量30〜40kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで230℃とし、ペレットを得た。評価結果を表IIに記載した。
(車両用ランプレンズ)
また、上記で得られたペレットを100℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、住友重機械工業(株)製SG260M−HPを用いて、シリンダー温度240℃、金型温度80℃ 、射速50mm/sec、および成形サイクル70秒の条件で、図1に示す素通し型のヘッドランプレンズ成形品を成形した。かかるヘッドランプレンズは色相および透明性などの外観、耐候性、表面高度が良好であった。
実施例II−2
ISS441部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)66部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
実施例II−3
NDの代わりに1,10−デカンジオール(以下DDと略す)71部を用いた他は、実施例II−2と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
実施例II−4
ISS451部、1,12−ドデカンジオール(以下DDDと略す)69部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
実施例II−5
(1)ポリカーボネートオリゴマー)
1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)161部、DPC257部、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.4×10−2部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、2時間かけて減圧度を13.4kPaに調整し、2時間かけて200℃に昇温し、500Pa以下とし、留出してきたフェノールと未反応のジオールを除いて、分子量530(平均繰り返し単位数3.7)の190部のHDホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCHDと略す)を得た。
(2)コポリカーボネート
得られたPCHD74部、ISS488部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で245℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は3.5、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は500であった。得られたペレットを用いて、実施例II−1と同様の方法で樹脂組成物を製造し、同様の評価を行った。評価結果を表IIに記載した。
実施例II−6
2−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下MPDと略す)94部を用いた以外は実施例II−5(1)と全く同様の操作を行い、分子量520(平均繰り返し単位数3.6)の189部のMPDホモポリカーボネートオリゴマー(以下PCMPDと略す)を得た。
次いで、PCHDの代わりにPCMPD74部を用いた他は、実施例II−5(2)と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。コポリカーボネート中の単位(B−2)の繰り返し数は3.4、コポリカーボネート中の単位(B−2)の分子量は490であった。その結果を表IIに記載した。
実施例II−7
HD500部およびアジピン酸487部、テトライソプロピルチタネート0.02部(生成物に対して30ppm)を常圧下に窒素を通じつつ200℃に加熱して、反応により生成する水を留去しながら縮合反応させた。生成物の酸価が20以下になった時点で、真空ポンプにより徐々に真空度を上げて4時間反応を行って、重量平均分子量500のポリヘキシレンアジペートジオール(以下HAAと略す)780部を得た。
(2)得られたHAA74部、ISS488部、DPC750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.4×10−2部と水酸化ナトリウム1.8×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で245℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。評価結果を表IIに記載した。
実施例II−8
ISS322部、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(以下TMCBと略す)131部、ND62部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
実施例II−9
ISS256部、TMCB197部、ND62部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
実施例II−10
ISS431部、ND77部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−1
ISS501部、DPC749.7部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−2
ISS376部、1,3−プロパンジオール(以下PDと略す)65部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−3
ISS400部、1,5−ペンタンジオール(以下PeDと略す)72部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−4
ISS425部、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)61部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−5
ISS341部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)158部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−6
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製パンライトL−1225Z100M)を用い、ペレットを120℃で5時間乾燥し、シリンダー温度320℃の条件で、素通し型のヘッドランプレンズ成形品を成形した他は、実施例II−1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
比較例II−7
ポリアクリル樹脂(三菱レイヨン製 アクリペットMF)を用いて同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表IIに記載した。
Figure 0005899372
Figure 0005899372
本発明の成形品は、樹脂窓、車両用ランプレンズ、プラスチックレンズとして有用である。
本発明の樹脂窓は、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、サンルーフ、建設機械の窓ガラス、ビル、家、温室などの窓ガラスとして有用である。本発明の車両用ランプレンズは、自動車、二輪車、電車などのヘッドランプレンズ、リアランプレンズ、方向指示ランプレンズ、ルームランプレンズ等車両用ランプレンズの用途に幅広く有用である。
1 ヘッドランプレンズ本体
2 レンズのドーム状部分(凸面が可動側金型に対応する)
3 レンズの外周部分
4 成形品のゲート(幅30mm、ゲート部の厚み4mm)
5 スプルー(ゲート部の直径7mmφ)
6 レンズの外周部分の直径(220mm)
7 レンズのドーム部分の直径(200mm)
8 レンズのドーム部分の高さ(20mm)
9 レンズ成形品の厚み(4mm)

Claims (8)

  1. −20℃の環境下においてASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験の最大衝撃エネルギーが20J以上であり、脆性破壊率が50%以下であるポリカーボネートから形成され、該ポリカーボネートは、下記コポリカーボネート(1)、(2)または(3)である成形品。
    (1)コポリカーボネート(1)は、下記式(A)で表わされる単位(A)および下記式(B−1)で表わされる単位(B−1)を含み、
    Figure 0005899372
    (式中、Wは、炭素数8〜12のアルキレン基を示す。)
    (i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
    (ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−1)との合計が80モル%以上であり、
    (iii)単位(A)と単位(B−1)とのモル比(A/(B−1))が60/40〜95/5であり、
    (2)コポリカーボネート(2)は、下記式(A)で表わされる単位(A)、並びに脂肪族ジオール化合物および脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B−2)を含み、
    Figure 0005899372
    (i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
    (ii)ブロック性を有し、
    (iii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−2)との合計が80モル%以上であり、
    (iv)単位(A)と単位(B−2)とのモル比(A/(B−2))が60/40〜95/5であり、
    (3)コポリカーボネート(3)は、下記式(A)で表わされる単位(A)および下記式(B−3)で表わされる単位(B−3)を含み、
    Figure 0005899372
    (式中Xは、炭素数3〜20のアルキレン基または炭素数3〜20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、mは1〜10の整数を示す。)
    (i)全繰返し単位中、単位(A)の含有量は50モル%以上であり、
    (ii)全繰り返し単位中、単位(A)と単位(B−3)との合計が80モル%以上であり、
    (iii)単位(A)と単位(B−3)とのモル比(A/(B−3))が50/50〜95/5である。
  2. ポリカーボネートの20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.23〜0.60である請求項1記載の成形品。
  3. ポリカーボネートのガラス転移温度が80℃〜160℃である請求項1記載の成形品。
  4. ポリカーボネートの動的粘弾性測定の損失正接(tanδ)が最高値となる温度(Tmax)が−73℃以下である請求項1記載の成形品。
  5. ポリカーボネートの飽和吸水率が2.5%以下である請求項1記載の成形品。
  6. ポリカーボネートのJIS K5600−5−4に準拠して測定した鉛筆硬度がHB以上である請求項1記載の成形品。
  7. ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg℃)が100℃〜160℃であり、飽和吸水率(Wa%)との関係が下記式(I)を満足する請求項1記載の成形品。
    2.5 ≦ TW値 = Tg × 0.04 − Wa (I)
  8. 樹脂窓もしくは車両用ランプレンズである請求項1記載の成形品。
JP2015503037A 2013-02-26 2014-02-21 ポリカーボネート成形品 Active JP5899372B2 (ja)

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