JP2020139097A - 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い生物起源物質含有率を有し、特定の波長(紫外線)の透過率が高く、良好な耐熱性、色相及び耐候性を有し、かつ衝撃強度に優れた光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の提供。【解決手段】エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるカーボネート単位(A)と、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B)とを含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が90/10〜99/1であり、末端基を含むポリカーボネート樹脂に、平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である光拡散剤を含有してなる光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。(末端基は、置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキルオキシ基、または置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレンオキシ基と炭素原子数1〜12のアルキルオキシを含有するポリエーテル基からなる。)【選択図】なし

Description

本発明は、高い生物起源物質含有率を有し、特定の波長(紫外線)の透過率が高く、良好な耐熱性、色相および耐候性を有し、かつ衝撃強度に優れた光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れており、電気/電子、光学
、建材、医療、食品、車両等の分野において幅広く使用されている。特に光源に発光ダイオード(以下、LEDとも言う)を用いた照明等においては、光束が狭く指向性が高いためギラつきや照度ムラが生じやすく、用いるカバーに高い光拡散性が求められる。さらに、これらの光拡散性成形品では、成形品の大型化および複雑精密化に伴い、高温下においても変形のない優れた耐熱性や、UV領域を含む光を長時間照射した場合の耐久性(耐候性)がより強く求められるようになってきている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂では紫外線吸収剤を添加しないと紫外線劣化が大きく、紫外線吸収剤を添加すると近紫外線を透過しなくなる欠点がある。
また、PMMAは紫外線吸収剤を添加しないと紫外線劣化が大きく、一方、紫外線吸収剤を添加すると近紫外線を透過しなくなり、さらに、耐衝撃性が低く、落下や衝突時の飛散防止性の面で充分な特性を発揮出来ない欠点がある。
また、ポリカーボネート樹脂、PMMAは石油資源から得られる樹脂であるため、近年の近年石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。
その中でも、バイオマス資源を原料として使用し、かつ耐熱性が高い非晶性のポリカーボネート樹脂として、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。特にイソソルビドのホモポリカーボネートについて記載されている(特許文献1)。特許文献2では、溶融エステル交換法を用いて203℃の融点を持つホモポリカーボネートを報告している。また、イソソルビドと脂肪族ジヒドロキシ化合物とを共重合することにより、耐熱性と成型性に優れたポリカーボネート樹脂が提案されている(特許文献2)。しかしながら、脂肪族からなるポリカーボネートであるため、芳香族ポリカーボネートと比較して、熱安定性が悪く、熱による劣化が起こりやすい課題があった。そのため、高温下での重合が困難であり、また芳香族ジヒドロキシ化合物と比較して、脂肪族ジヒドロキシ化合物の反応性が高いため、副生成物であるフェノールが十分に留去されず、ポリマー中に多く残存する問題があり、紫外領域の透過率が低いという問題があった。そのため、押出工程による低減や横型の反応機を用いる方法が提案されているが(特許文献3、特許文献4)、フェノール低減効果が不十分であり、押出時に色相が悪化する問題や、末端に芳香族基が存在するため紫外領域の透過率が低いという問題があった。また、吸水率低減や成形加工性を改善するために、末端変性を行なったポリカーボネートが提案されているが、透過率やフェノール低減に関しては全く記載がなく、検討されていない(特許文献5)。また、イソソルビドと脂肪族のポリカーボネート樹脂に微粒子を含有することにより、発光ダイオード(以下、LEDとも言う)を用いた照明等において、高いヘイズを有することで光源のギラつきを抑制することができ、しかも耐衝撃性や耐熱性、耐候性に優れた、光拡散性樹脂成形体が提案されている(特許文献6)。しかしながら、これらの光拡散性樹脂の耐熱性では、LED素子から一定の距離を離す必要があり不十分であり、また、高演色性LED照明や、UV光を発するLEDを用いる照明では、UV光による光拡散性樹脂の劣化が発生するため、耐紫外線に課題がある。
英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2004/111106号パンフレット 特開2014−80604号公報 特開2014−9332号公報 国際公開第2008/108492号パンフレット 特開2011−178949号公報
本発明の目的は、高い生物起源物質含有率を有し、特定の波長(紫外線)の透過率が高く、良好な耐熱性、色相および耐候性を有し、かつ衝撃強度に優れた光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
前述した先行技術では、フェノールの低減が限定的であることや、フェノールを低減できても末端構造に芳香族基を有するため、短波長領域の透過率が低いという課題があった。
そこで本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むポリカーボネート樹脂に特定アルコールを添加し重合することにより、特定の波長の透過率の高く、耐候性などの品質が大きく改良できることを見出した。
また、かかる特定のポリカーボネート樹脂に光拡散剤を配合することにより、良好な耐熱性、色相および耐候性を有し、衝撃強度に優れた光拡散性を持つ樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.下記式で表されるカーボネート単位(A)と、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B)とを含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が90/10〜99/1であり、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含むポリカーボネート樹脂に、平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である光拡散剤を含有してなる光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2020139097
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(式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基または置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基を表す。)
Figure 2020139097
(式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基を表し、Rは水素原子または置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、nは1〜20の整数を示す。)
2.ポリカーボネート樹脂は、式(1)または式(2)で表される末端基が全末端基の10〜90モル%である前項1に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
3.ポリカーボネート樹脂は、芳香族モノヒドロキシ化合物を0.1〜1000ppm含有する前項1または2に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
4.ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、光拡散剤を0.01重量部以上30重量部以下の割合で含有する前項1〜3のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
5.ポリカーボネート樹脂は、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.18〜0.5である前項1〜4のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
6.前項1〜5のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物からなる照明用カバー。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物は、高い生物起源物質含有率を有し、特定の波長(紫外線)の透過率が高く、良好な耐熱性、色相および耐候性を有し、衝撃強度に優れるため、LED照明カバーやベースライトカバーなどに好適に用いられる。
分散度の測定方法の概略を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、下記式(A)で表されるカーボネート単位(A)を有するポリカーボネート樹脂である。
Figure 2020139097
(単位(A))
単位(A)は前記式(A)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(A)は、バイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールから誘導され、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
前記式(A)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)が例示される。
Figure 2020139097
Figure 2020139097
Figure 2020139097
これらは、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)を誘導するエーテル基を有する脂肪族ジオールは、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
(単位(B))
本発明のポリカーボネート樹脂における単位(B)は、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位である。
脂肪族ジオール化合物は、直鎖脂肪族ジオール化合物または分岐脂肪族ジオール化合物のいずれでもよい。直鎖脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数3〜10の直鎖脂肪族ジオール化合物が使用される。また、分岐脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数4〜12の分岐脂肪族ジオール化合物が使用される。
脂環式ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20の脂環式ジオール化合物が使用される。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
分岐脂肪族ジオール化合物として、具体的には、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールなどが挙げられる。なかでも3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが好ましい。
脂環式ジオール化合物として、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、デカリンジメタノール、及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
これらの脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。
(組成)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、単位(A)と単位(B)とを含み、それら単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は90/10〜99/1である。モル比(A/B)が90/10〜99/1の範囲では、耐熱性が高くさらに成形性や衝撃強度も良好となる。単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は、好ましくは92/8〜98/2、より好ましくは93/7〜97/3である。なお、モル比(A/B)が90/10より小さい場合は、耐熱性が低くなり、他方モル比(A/B)が99/1より大きい場合は、溶融粘度が高くなり、成形性が悪化し、それに伴い、衝撃強度が悪化する。各繰り返し単位のモル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、カーボネート単位(A)とカーボネート単位(B)との合計が、全カーボネート単位中70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましく、100モル%がもっとも好ましい。
(末端基)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂においては、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含む。末端基量としては、全末端基に対して10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜75モル%がさらに好ましく、40〜70モル%が特に好ましい。末端基が下限以上であれば、ポリカーボネート樹脂から形成された光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の紫外線透過率に優れ、且つポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、上限以下であればポリカーボネート樹脂の反応性が良好で重合度が高くなり易く好ましい。
Figure 2020139097
Figure 2020139097
式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基または置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基を表す。
としては置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基が好ましく、Rのアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7〜14、より好ましくは8〜12である。アルキル基として、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基を表す。アルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜9、より好ましくは2〜6である。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。nは1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜5の整数を示す。Rは水素原子または置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。アルキル基として、メチル基、エチル基、トリメチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
上記式(1)または下記式(2)で表される末端基を誘導するアルコール化合物の具体例としては、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、シクロヘキサンプロパノール、シクロヘキサンブタノール、シクロヘキサンペンタノール、シクロヘキサンブタノール、シクロヘキサンペンタノール、シクロヘキサンヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノペンチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノペンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノペンチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテルなどが挙げられる。その中でもデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノールが好ましく、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノールがより好ましい。
(芳香族モノヒドロキシ量)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂に残存する芳香族モノヒドロキシ量は0.1〜1000ppmが好ましく、1〜800ppmがより好ましく、10〜700ppmがさらに好ましく、50〜600ppmが特に好ましい。上限より少なければポリカーボネート樹脂から形成された光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の紫外線透過率に優れ、ポリカーボネート樹脂の成形安定性や色相も良好となり好ましい。また、芳香族モノヒドロキシ量は少なければ少ないほうが好ましいが、下限以上はポリマー中に残存する。
(比粘度:ηSP
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.18〜0.5が好ましく、0.21〜0.47がより好ましく、0.24〜0.45がさらに好ましく、0.26〜0.43がよりさらに好ましく、0.28〜0.41が特に好ましく、0.30〜0.40がもっとも好ましい。ポリカーボネート樹脂の比粘度が、下限以上であれば強度が充分高く、上限以下であれば成形性が良好であり好ましい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120〜150℃、より好ましくは125〜145℃、さらに好ましくは125〜140℃、特に好ましくは130〜140℃である。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が下限以上であると、光学成形体として使用した際に耐熱性が十分となり好ましい。また、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が上限以下であると、射出成形の際の成形加工性が良好となり好ましい。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。好適には反応は3つの工程に分類できる。
A工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.01以上0.03未満になるようにエステル交換させる工程であり、その際の樹脂温度が120℃以上190℃未満、真空度が10kPa以下1kPa以上の範囲の条件でエステル交換反応を行う。
B工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.03以上0.1未満になるようにエステル交換させる工程であり、その際の樹脂温度が170℃以上190℃未満、真空度が2kPa以下0.1kPa以上の範囲の条件でエステル交換反応を行う。
C工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.1以上0.6以下になるようにエステル交換させる工程であり、その際の樹脂温度が190℃以上250℃未満、真空度が0.5kPa以下の範囲の条件でエステル交換反応を行う。
また、反応工程以外に別途、溶解槽を設けることもできる。
A工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.01以上0.03未満にエステル交換させる際の樹脂温度が140℃以上180℃未満で、真空度が5kPa以下2kPa以上の範囲が好ましい。
B工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.03以上0.1未満にエステル交換させる際の樹脂温度が175℃以上190℃未満で、真空度が1.5kPa以下0.5kPa以上の範囲が好ましい。
C工程は、ポリカーボネート樹脂の比粘度が0.1以上0.6以下にエステル交換させる際の樹脂温度が196℃以上240℃未満で、真空度が0.3kPa以下の範囲が好ましい。
これらの工程は少なくとも2器直列に連結されたものであり、第1反応器の出口から出た反応物は第2反応器に入るものが用いられる。連結する反応器の数は特に限定されないが、2〜7器が好ましく、3〜5器がより好ましく、3〜4器が更に好ましい。反応器の種類も特に限定されないが、前段反応の反応器は竪型攪拌反応器が1器以上であることが好ましく、後段反応の反応器は横型攪拌反応器が1器以上であることが好ましい。前記の反応器と次の反応器との連結は、直接配管のみで連結してもよいし、必要に応じて、予熱器等を介して行ってもよい。配管は二重管式等で反応液を冷却固化させることなく移送ができ、ポリマー側に気相がなく、かつデッドスペースを生じないものが好ましい。
本発明で使用する反応器は公知のいかなるものでもよい。例えば、熱油またはスチームを加熱媒体とした、ジャケット形式の反応器または内部にコイル状の伝熱管を有する反応器等が挙げられる。反応副生物であるモノヒドロキシ化合物を凝集させるためにコンデンサーを用いることができる。公知の種類のコンデンサーを用いることができ、A工程におけるコンデンサー内部の熱媒の温度は35〜50℃が好ましい。さらに好ましくは35〜45℃である。
本発明にかかるポリカーボネート樹脂の製造方法の反応方式は、バッチ式または連続式であることが好ましい。反応器は、複数器の竪型攪拌反応器、及びこれに続く少なくとも1器の横型攪拌反応器が用いられる。これらの反応器は直列に設置され、バッチ毎もしくは連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、ポリカーボネート中の未反応原料若しくは反応副生物であるモノヒドロキシ化合物を脱揮除去する工程、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤若しくは色剤等を添加する工程、または得られたポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程等を適宜追加してもよい。前記の反応器で発生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物は、タンクに収集しておき、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行って回収した後、ジフェニルカーボネートまたはビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。本発明の製造方法において、副生モノヒドロキシ化合物の精製方法に特に制限はないが、蒸留法を用いることが好ましい。
本発明においては、下記式(a)または下記式(b)で表されるアルコール化合物を使用することが好ましい。
Figure 2020139097
(式中Rは前記式(1)のRと同様のものを表す。)
Figure 2020139097
(式中R、R、Rおよびnは前記式(2)のR、R、Rおよびnと同様のものを表す。)
本発明で使用されるアルコール化合物の量は、全ジヒドロキシ化合物に対して、0.1〜5モル%が好ましい。より好ましくは0.3モル%〜4.5モル%であり、さらに好ましくは0.5〜4モル%であり、特に好ましくは1〜3モル%である。下限以上であれば芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、上限以下であれば末端が過度のアルコール化合物で封鎖され難く、重合度が高く維持され好ましい。
本発明で使用されるアルコール化合物の沸点(常圧)は180℃〜300℃が好ましい。より好ましくは185℃〜280℃、特に好ましくは190℃〜260℃である。沸点が180℃以上であると反応初期段階でアルコール化合物が留去され難くなり、芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高くなり、また300℃以下であれば芳香族モノヒドロキシ化合物の留去効果が高く、物性や熱安定性にも悪影響を及ぼさないため好ましい。
本発明で使用されるアルコール化合物はその他原料と同時に仕込んでも良いし、反応中期段階、反応後期段階で仕込んでも良い。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素原子数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジオール成分の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性リン化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
好ましくは、重合触媒は下記式(C)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンで構成される金属化合物である。
Figure 2020139097
(式中のRは炭素原子数1〜22の直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いアルキレン基、シクロアルキレン基またはアラルキル基である。)
式中Rは炭素原子数1〜22の直鎖状のアルキレン基が好ましい。また、炭素原子数4〜22が好ましく、炭素原子数10〜22が特に好ましい。炭素原子数が23以上になると入手が困難になるため好ましくない。
上記の金属化合物として、具体的にはプロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸セシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ストロンチウム、プロピオン酸バリウム、プロピオン酸マンガン、プロピオン酸亜鉛、プロピオン酸アルミニウム、酪酸リチウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、酪酸セシウム、酪酸マグネシウム、酪酸カルシウム、酪酸ストロンチウム、酪酸バリウム、酪酸マンガン、酪酸亜鉛、酪酸アルミニウム、吉草酸リチウム、吉草酸ナトリウム、吉草酸カリウム、吉草酸セシウム、吉草酸マグネシウム、吉草酸カルシウム、吉草酸ストロンチウム、吉草酸バリウム、吉草酸マンガン、吉草酸亜鉛、吉草酸アルミニウム、カプロン酸リチウム、カプロン酸ナトリウム、カプロン酸カリウム、カプロン酸セシウム、カプロン酸マグネシウム、カプロン酸カルシウム、カプロン酸ストロンチウム、カプロン酸バリウム、カプロン酸マンガン、カプロン酸亜鉛、カプロン酸アルミニウム、エナント酸リチウム、エナント酸ナトリウム、エナント酸カリウム、エナント酸セシウム、エナント酸マグネシウム、エナント酸カルシウム、エナント酸ストロンチウム、エナント酸バリウム、エナント酸マンガン、エナント酸亜鉛、エナント酸アルミニウム、カプリル酸リチウム、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、カプリル酸セシウム、カプリル酸マグネシウム、カプリル酸カルシウム、カプリル酸ストロンチウム、カプリル酸バリウム、カプリル酸マンガン、カプリル酸亜鉛、カプリル酸アルミニウム、ペラルゴン酸リチウム、ペラルゴン酸ナトリウム、ペラルゴン酸カリウム、ペラルゴン酸セシウム、ペラルゴン酸マグネシウム、ペラルゴン酸カルシウム、ペラルゴン酸ストロンチウム、ペラルゴン酸バリウム、ペラルゴン酸マンガン、ペラルゴン酸亜鉛、ペラルゴン酸アルミニウム、カプリン酸リチウム、カプリン酸ナトリウム、カプリン酸カリウム、カプリン酸セシウム、カプリン酸マグネシウム、カプリン酸カルシウム、カプリン酸ストロンチウム、カプリン酸バリウム、カプリン酸マンガン、カプリン酸亜鉛、カプリン酸アルミニウム、ウンデシル酸リチウム、ウンデシル酸ナトリウム、ウンデシル酸カリウム、ウンデシル酸セシウム、ウンデシル酸マグネシウム、ウンデシル酸カルシウム、ウンデシル酸ストロンチウム、ウンデシル酸バリウム、ウンデシル酸マンガン、ウンデシル酸亜鉛、ウンデシル酸アルミニウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸セシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸ストロンチウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸マンガン、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸アルミニウムトリデシル酸リチウム、トリデシル酸ナトリウム、トリデシル酸カリウム、トリデシル酸セシウム、トリデシル酸マグネシウム、トリデシル酸カルシウム、トリデシル酸ストロンチウム、トリデシル酸バリウム、トリデシル酸マンガン、トリデシル酸亜鉛、トリデシル酸アルミニウム、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸セシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸ストロンチウム、ミリスチン酸バリウム、ミリスチン酸マンガン、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸アルミニウム、ペンタデシル酸リチウム、ペンタデシル酸ナトリウム、ペンタデシル酸カリウム、ペンタデシル酸セシウム、ペンタデシル酸マグネシウム、ペンタデシル酸カルシウム、ペンタデシル酸ストロンチウム、ペンタデシル酸バリウム、ペンタデシル酸マンガン、ペンタデシル酸亜鉛、ペンタデシル酸アルミニウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸セシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ストロンチウム、パルミチン酸バリウム、パルミチン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸アルミニウム、マルガリン酸リチウム、マルガリン酸ナトリウム、マルガリン酸カリウム、マルガリン酸セシウム、マルガリン酸マグネシウム、マルガリン酸カルシウム、マルガリン酸ストロンチウム、マルガリン酸バリウム、マルガリン酸マンガン、マルガリン酸亜鉛、マルガリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マンガン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ノナデシル酸リチウム、ノナデシル酸ナトリウム、ノナデシル酸カリウム、ノナデシル酸セシウム、ノナデシル酸マグネシウム、ノナデシル酸カルシウム、ノナデシル酸ストロンチウム、ノナデシル酸バリウム、ノナデシル酸マンガン、ノナデシル酸亜鉛、ノナデシル酸アルミニウム、アラキジン酸リチウム、アラキジン酸ナトリウム、アラキジン酸カリウム、アラキジン酸セシウム、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸ストロンチウム、アラキジン酸バリウム、アラキジン酸マンガン、アラキジン酸亜鉛、アラキジン酸アルミニウム、ヘンイコシル酸リチウム、ヘンイコシル酸ナトリウム、ヘンイコシル酸カリウム、ヘンイコシル酸セシウム、ヘンイコシル酸マグネシウム、ヘンイコシル酸カルシウム、ヘンイコシル酸ストロンチウム、ヘンイコシル酸バリウム、ヘンイコシル酸マンガン、ヘンイコシル酸亜鉛、ヘンイコシル酸アルミニウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム、ベヘン酸セシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸ストロンチウム、ベヘン酸バリウム、ベヘン酸マンガン、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウム、トリコシル酸リチウム、トリコシル酸ナトリウム、トリコシル酸カリウム、トリコシル酸セシウム、トリコシル酸マグネシウム、トリコシル酸カルシウム、トリコシル酸ストロンチウム、トリコシル酸バリウム、トリコシル酸マンガン、トリコシル酸亜鉛、トリコシル酸アルミニウム、リグノセリン酸リチウム、リグノセリン酸ナトリウム、リグノセリン酸カリウム、リグノセリン酸セシウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸ストロンチウム、リグノセリン酸バリウム、リグノセリン酸マンガン、リグノセリン酸亜鉛、リグノセリン酸アルミニウム等が挙げられ、これらは単独もしくは組み合わせで用いることができる。
また、塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2モル当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5モル当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3モル当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(光拡散剤)
本発明に用いる光拡散剤は平均粒子径0.01〜50μmの光拡散剤である。また、かかる光拡散剤の平均粒子径は、好ましくは0.1〜15μmであり、より好ましくは0.2〜10μmであり、さらに好ましくは0.3〜6μmであり、特に好ましくは0.5〜5μmであり、もっとも好ましくは1〜3μmである。平均粒子径が下限未満あるいは上限を超えると光拡散性が不足する。かかる平均粒子径は、レーザー回折・散乱法で求められる粒度の積算分布の50%値(D50)で表されるものである。粒子径の分布は単一であっても複数であってもよい。即ち平均粒子径の異なる2種以上の光拡散剤を組み合わせることが可能である。しかしながらより好ましい光拡散剤は、その粒子径分布の狭いものである。平均粒子径の前後2μmの範囲に、粒子の70重量%以上が含有される分布を有するものがより好ましい。光拡散剤の形状は、光拡散性の観点から球状に近いものが好ましく、真球状に近い形態であるほどより好ましい。かかる球状には楕円球を含む。
本発明の光拡散剤としては、ポリカーボネート樹脂に光拡散性を付与するものとして従来公知のものが含まれるが、その屈折率は、通常1.3〜1.8の範囲であり、好ましくは1.33〜1.7、より好ましくは1.35〜1.65の範囲である。これらは樹脂組成物に配合した状態において十分な光拡散機能を発揮する。光拡散剤は、上記平均粒径および屈折率を満足する高分子微粒子に代表される有機系微粒子、並びに無機系微粒子の何れであってもよい。
光拡散剤の高分子微粒子として、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる有機架橋粒子が代表的に例示される。非架橋性モノマーとしては、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等の非架橋性ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマー等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。他の有機架橋粒子としては、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子を挙げることができる。
一方、ポリエーテルサルホン粒子等の非晶性耐熱ポリマーの粒子もB成分として使用し得る高分子微粒子の具体例として挙げることができる。かかるポリマーの粒子の場合には、樹脂と加熱溶融混練した場合であっても微粒子の形態が損なわれることがないため、必ずしも架橋性モノマーを必要としない。さらに、高分子微粒子としては、各種のエポキシ樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、およびフェノール樹脂粒子等も使用可能である。
無機系微粒子としては、特に限定されるものではなく、一般に透明合成樹脂の光拡散剤として使用されるものである。例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、およびフッ化セリウム等があげられ、なかでも炭酸カルシウムが好ましい。かかる炭酸カルシウムは、一般に工業的に用いられている方法によって得られるもので、炭酸ガス化合法、石灰乳ソーダー化合法、塩化カルシウムソーダー法等の化学合成により製造されるもの或いは天然の石灰石を微粉砕したもの等があり、いずれの製法により製造されたものでもよい。
前記光拡散剤のなかでも、高分子微粒子が好ましく、特に有機架橋粒子が好適に使用できる。かかる有機架橋粒子において、前記非架橋性ビニル系モノマーとして使用されるアクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびフェニルメタクリレート等を単独でまたは混合して使用することが可能である。このなかでも特にメチルメタクリレートが好ましい。また、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、およびエチルスチレン等のアルキルスチレン、並びにブロモ化スチレンの如きハロゲン化スチレンを使用することができ、特にスチレンが好ましい。アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルを使用することができる。また、オレフィン系モノマーとしては、エチレンおよび各種ノルボルネン型化合物等を使用することができる。さらに、他の共重合可能な他のモノマーとして、グリシジルメタクリレート、N−メチルマレイミド、および無水マレイン酸等を例示することができる。本発明の有機架橋粒子は結果としてN−メチルグルタルイミドの如き単位を有することもできる。
一方、かかる非架橋性ビニル系モノマーに対する架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、およびN−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
有機架橋粒子の製造方法としては、一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウムの如き開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、並びに二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また、懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィス又は多孔質フィルターを通すことにより供給し粒子径を制御する方法等も採用可能である。
したがって、本発明の好適な光拡散剤は、平均粒子径0.3〜6μm、より好ましくは1〜3μmの高分子微粒子であり、殊に好適にはかかる平均粒子径を有する、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子である。シリコーン架橋粒子は、シロキサン結合を主骨格としてケイ素原子に有機置換基を有するものである。かかる架橋粒子には、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いもの、並びにオルガノシリコーンゴム粒子に代表される架橋度の低いもののいずれも含む。該シリコーン架橋粒子は、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いものが好ましい。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、R−SiO3/2(Rは一価の有機基)で示される3官能性シロキサン単位(以下単に“T単位”と称する)が、1〜4官能性シロキサン単位の合計100モル%中50モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であるものをいう。
ポリオルガノシルセスキオキサンに結合する有機基としては、炭素原子数1〜18のアルキル基、フェニル基、トリル基、およびキシリル基の如きアリール基、β−フェニルエチル基およびβ−フェニルプロピル基の如きアラルキル基、並びにシクロヘキシル基などが例示される。更にビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、およびγ−メタクリロキシプロピル基などに代表される反応性基を含有することもできる。
炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、デシル基、ドデシル基、およびオクタデシル基などが例示される。より好ましくアルキル基は炭素原子数1〜12、更に好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基である。特にメチル基が好適である。
ポリオルガノシルセスキオキサンの製造法としては、3官能性のアルコキシシランを酸または塩基触媒の存在下に加水分解して縮合反応させる。かかる反応によりシロキサン結合を成長させながら3次元架橋した粒子を形成させる方法が一般的である。また加水分解縮合反応の原料としてクロロシランを用いてもよい。かかる粒子径は、触媒量や攪拌工程等により制御可能である。
より好適な本発明の光拡散剤は、JIS K7120に準拠した熱重量測定(TGA)において1%重量減少温度が300〜500℃であるポリオルガノシルセスキオキサン粒子である。かかる重量減少温度の下限は、好ましくは400℃、より好ましくは450℃、特に好ましくは460℃である。好ましい重量減少温度の上限は490℃である。
また、有機架橋粒子以外の高分子微粒子の製造方法としては、スプレードライ法、液中硬化法(凝固法)、相分離法(コアセルベーション法)、溶媒蒸発法、再沈殿法等の他、これらを行う際にノズル振動法等を組み合わせたものを挙げることができる。高分子微粒子の形態としては、単相重合体のほか、コア−シェル重合体の形態や、2種以上の成分が相互に絡み合った構造を有するIPN構造をとることも可能である。また、無機微粒子のコアとし有機架橋粒子の成分をシェルとする複合型粒子や有機架橋粒子をコアとしエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等をシェルとする複合型粒子等も使用することもできる。更に無機系微粒子および有機系微粒子共に、有機系の表面処理剤で表面処理されたものを使用することができる。
本発明における光拡散剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部であり、より好ましくは0.02〜25重量部であり、さらに好ましくは0.03〜20重量部であり、特に好ましくは0.05〜15重量部であり、もっとも好ましくは0.1〜10重量部である。B成分が下限未満では光拡散性が不足であり、上限を超えるとも光線透過率が低下する。
本発明の樹脂組成物から形成される成形品としては、各種電子・電気機器部品、カメラ部品、OA機器部品、精密機械部品、機械部品、車両部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具、パチンコ・パチスロ部品および雑貨などの各種用途が挙げられる。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物は、優れた色相の拡散光を得ると共に射出成形時の流動性に優れる。したがって面積の大きな光拡散板に適している。より好適な用途として表面積500〜50,000cmである光拡散板が挙げられる。光拡散版の好ましい表面積は1,000〜25,000cmであり、好ましい厚みは0.3〜3mmである。
したがって、本発明によれば、前記の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物からなり、かかる面積を有し、優れた色相の拡散光を有する光拡散板が提供される。
本発明によれば、さらに好適な態様として、前記光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物からなり、面積500〜50,000cm(より好適には1,000〜25,000cm)の表示装置用光拡散板が提供される。表示装置用光拡散板としては、液晶表示装置のバックライトモジュールに使用される光拡散板およびプロジェクターテレビの如き投影型表示装置のスクリーンに使用される光拡散板が例示される。バックライトモジュールは各種の光源が使用でき冷陰極管や白色LED、並びに赤色、緑色および青色の3色が配列されたLEDアレイが使用される。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物からなる光拡散板は、その表面がフレネルレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状、輝点ドット形状、およびプリズム形状等の表面凹凸形状を有するものであってもよく、またかかる形状を別途他の材料によって積層した積層板とすることも可能である。本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に直接フレネルレンズ形状やシリンドリカルレンズ形状を付与する場合、かかる樹脂組成物を用いて射出成形、圧縮成形、および押出成形等の成形方法により所望の形状に成形することができる。さらに、射出成形、圧縮成形、および押出成形により表面に凹凸を形成する方法としては、(1)金型キャビティ表面や転写ロール表面にかかる形状に対応する凹凸が設けられ、かかる凹凸が樹脂成形品表面に転写される方法、および(2)かかる形状に対応する凹凸が設けられた別材料が金型キャビティ内にインサートされるか、または押出時に積層され、樹脂成形品と一体化された後、かかる別材料が除去されて樹脂成形品表面に凹凸が設けられる方法などが例示される。
また、場合によっては、かかるスクリーンは光輝性顔料を含む層を積層することにより、その表面凹凸によるレンズを省略することも可能である。さらに、本発明に係る表示装置用光拡散板は、その光源側(観察者とは反対の面)に光源からの光の反射を防止するため各種の光反射防止膜を形成することができる。
(添加剤等)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、衝撃改質剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
また、本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
(熱安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。単位(A)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系安定剤を含有することが好ましい。さらにリン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を配合することがより好ましい。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10)−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノールなどを挙げることができる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、または、環状構造を有するホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を添加することもできる。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス{(オクチルチオ)メチル}−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
(離型剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.03〜2.5重量部、より好ましくは0.05〜2.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。
(光安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、光安定剤が好ましく含有される。光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.0001重量部〜1重量部、より好ましくは0.001重量部〜0.8重量部、更に好ましくは0.005重量部〜0.5重量部、特に好ましくは0.01重量部〜0.3重量部、最も好ましくは0.03重量部〜0.15重量部である。
耐光安定剤の含有量が多過ぎると、ポリカーボネート樹脂組成物が着色する傾向があり、一方、少な過ぎると耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。耐光安定剤とは、主に紫外線等の光による樹脂の劣化を防止し、光に対する安定性を向上させる作用を有するものである。耐光安定剤としては、紫外線などの光を吸収し、そのエネルギーを熱エネルギーなどのポリマーの分解に寄与しないエネルギーとして変換して放出するものがあげられる。より具体的には、紫外線そのものを吸収する紫外線吸収剤や、ラジカル捕捉作用のある光安定剤等を挙げることができる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤は、窒素原子の結合態様に着目して、NH型(H=水素原子)、NMe型(Me=メチル基)、およびNR型(R=メチル基以外の有機基)に分類することができる。本発明では、これらの何れのタイプのものも使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン縮重合物などが挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物はポリカーボネート樹脂と添加剤等および任意に他の成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
(成形品について)
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出し成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
(1)全光線透過率
一辺50mm、厚み2mmの試験片を使用し、ASTM D1003に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度300℃、金型温度100℃で成形した。
(2)分散度
一辺50mm、厚み2mmの試験片を使用し、日本電色工業(株)製の分散度測定計を使用して測定した。測定方法の概略を図1に示した。尚、分散度とは図1において光線を上方から垂直に試験片面に当てたときγ=0度のときの透過光量を100とした場合、その透過光量が50になるときのγの角度(度)を分散度という。
(3)シャルピー衝撃値
ノッチ付きシャルピー衝撃試験をISO178に従って行った。なお、試験片(形状:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)は、日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIIIを用いてシリンダー温度250℃、金型温度90℃にて成形した。シャルピー衝撃値は7kJ/m以上が好ましく、8kJ/m以上がより好ましく、9kJ/m以上がさらに好ましく、10kJ/m以上が特に好ましい。
(4)荷重たわみ温度(1.80MPa)
上記(3)にて成形した試験片を用いてISO75−1および75−2で規定される高荷重下(1.80MPa)の荷重たわみ温度を測定した。荷重たわみ温度(HDT)は110℃以上が好ましく、115℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。
(5)耐候性
一辺50mm、厚み2mmの試験片をキセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN:HC−B)を使用しブラックパネル温度63℃、湿度50%で1000時間した後の色相(YI)と処理前の色相(YI)の差をΔYIとして示した。色相(YI)は、日本電色(株)色差計SE2000で測定した。ΔYI値は1.0以下が好ましい。
(6)比粘度 ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお比粘度ηspは下記式から求められる。
ηsp=t/t−1
t :試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
(7)アルコール末端比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、アルコール末端比(モル%)を算出した。
(8)フェノール量
ポリカーボネート樹脂1.5gを塩化メチレン15mlに溶解させた後、アセトニトリル135mlを加え攪拌し、エバポレーターで濃縮した後、0.2μmフィルターでろ過し、この測定溶液10μlを野村化学製Develosil ODS−7のカラムにて溶離液アセトニトリル/0.2%酢酸水とアセトニトリルとの混合液を用いて、カラム温度30℃、検出器277nmでグラジエントプログラムにてHPLC分析した。
(9)紫外領域(280nm)の透過率
ポリカーボネート樹脂1.5gを塩化メチレン20mlに溶解させ、厚み100μmのフィルムを作成し、日立(株)製分光光度計U−3310を用いて、280nmの透過率を測定した。
[製造例1]ポリカーボネート樹脂の製造
イソソルビド(以下ISSと略す)478部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)33.5部、デカノール27.6部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてステアリン酸バリウム0.0025部を窒素雰囲気下120℃に加熱し溶融させた。その後、反応槽に送液し、コンデンサーの熱媒温度を40℃、樹脂内温を170℃に調整し、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、20分かけて減圧度を3.4kPaに調整し、10分間その温度で保持した。さらに30分かけて減圧度を0.9kPaとし、樹脂内温を180℃に調整し、10分間その温度で保持した後、真空度0.2kPaとし、樹脂温度を180℃から225℃へ30分かけて上昇し、規定の粘度に達した後に反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度、末端アルコール量、残留フェノール量および280nmの透過率を測定した結果を、表1に示した。
[製造例2]
ISS488部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)20.1部、デカノール27.6部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その評価結果を、表1に示した。
[製造例3]
デカノールを用いなかった他は、製造例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その評価結果を、表1に示した。
[製造例4]
ISS432部、ND83.7部、デカノール27.6部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その評価結果を、表1に示した。
[製造例5]
ISS508部、デカノール27.6部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その評価結果を、表1に示した。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
表2記載の樹脂組成物を以下の要領で作成した。表2の割合の各成分を計量して、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ポリカーボネート樹脂に添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)テクノベル社製KZW15−25MG)を使用した。押出条件は吐出量14kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで250℃とした。得られたペレットを100℃で12時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表2に示した。
また、表1および表2に記載の使用した原材料等は以下の通りである。
(A成分)
A−1:製造例1にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−2:製造例2にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−3:製造例3にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−4:製造例4にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−5:製造例5にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
(PC−A)
PC:帝人社製パンライトL−1225WP(粘度平均分子量:22400)
(光拡散剤)
D−1:シリコーン樹脂粒子(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社(株)製「TSR9002」、平均粒子径2μm)
D−2:ルチル型酸化チタン(KRONOS社製「KRONOS2230」、平均粒子径0.3μm)
D−3:ビーズ状架橋アクリル樹脂(積水化成品工業(株)製:テクポリマーMBX−5(商品名)、平均粒子径5μm、最大粒子径25μm)
D−4:炭酸カルシウム(シプロ化成(株)製シプロンA(商品名)、レーザー光散乱法で測定した平均粒子径9.1μm、粒子径30μm以上で最大粒子径が88μmの粒子を6.9%含有した粒子)
(熱安定剤)
E−1:ペンタエリスリトールジホスファイト系酸化防止剤(旭電化工業(株)製:アデカスタブ PEP−36(商品名))
(光安定剤)
F−1:ヒンダードアミン系光安定剤((株)ADEKA製「LA52」)
Figure 2020139097
Figure 2020139097
本発明の光拡散性樹脂組成物は、耐熱性が高く、紫外線に対する耐候変色性が小さく、色相および耐衝撃強度が良好なので、照明カバー、照明看板、透過型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート等の光拡散性が要求される用途の使用に好適である。
A 試験片(平板状)
B 光源
γ 拡散光角度

Claims (6)

  1. 下記式で表されるカーボネート単位(A)と、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B)とを含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が90/10〜99/1であり、下記式(1)または下記式(2)で表される末端基を含むポリカーボネート樹脂に、平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である光拡散剤を含有してなる光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2020139097
    Figure 2020139097
    (式(1)において、Rは置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルキル基または置換されてもよい炭素原子数6〜15のアルコキシ基を表す。)
    Figure 2020139097
    (式(2)において、RおよびRは置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基を表し、Rは水素原子または置換されてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、nは1〜20の整数を示す。)
  2. ポリカーボネート樹脂は、式(1)または式(2)で表される末端基が全末端基の10〜90モル%である請求項1に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂は、芳香族モノヒドロキシ化合物を0.1〜1000ppm含有する請求項1または2に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、光拡散剤を0.01重量部以上30重量部以下の割合で含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. ポリカーボネート樹脂は、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.18〜0.5である請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物からなる照明用カバー。
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