JP2023153332A - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Kenta IMAZATO
克浩 山中
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Abstract

【課題】耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式1で表される構造単位を繰り返し単位として含有するポリカーボネート樹脂(A)、及び耐衝撃改質剤(B)を含み、前記耐衝撃改質剤(B)が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の割合で含まれており、かつ、エポキシ基含有ポリエチレンである:

Description

本開示は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、典型的には、芳香族又は脂肪族のジオール化合物を炭酸エステルにより連結させたポリマーである。中でも2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAと称する場合がある。)より得られるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性に優れ、かつ、耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから多くの分野で使用されている。
一般的にポリカーボネート樹脂は、石油資源から得られる原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が懸念されており、生物起源物質の糖質から製造されるエーテルジオールを用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、特許文献1には、溶融エステル交換法を用いて製造された203℃の融点を持つホモポリカーボネート樹脂が提案されている。特許文献2には、スズ触媒を用いて製造されたガラス転移温度が170℃以上のポリカーボネート樹脂が提案されている。特許文献3には、イソソルビドと直鎖脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネートが提案されている。特許文献4には、植物由来のエーテルジオール残基を含むポリカーボネート樹脂層を備える加飾シートが提案されている。
特許文献5~7には耐衝撃性を改善する目的で、イソソルビドポリカーボネート樹脂に各種衝撃改質成分を添加した組成物について開示されている。また、特許文献8に記載のポリカーボネート樹脂組成物については、耐乾熱性を改良した組成物が開示されている。
英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2007/013463号 国際公開第2004/111106号 国際公開第2011/021720号 国際公開第2012/008344号 国際公開第2014/021475号 特開2012-214692号公報 特開2018-30908号公報
例えば、植物由来のイソソルビドを用いて調製されるポリカーボネート樹脂の工業用途への展開を考えた場合、耐衝撃性を改良する必要がある。例えば、比粘度が0.33のイソソルビドホモポリカーボネート樹脂のISO179によるノッチ付シャルピー衝撃強度は、約6kJ/mである。工業用途においてこの値は不充分なものであり、さらなる改良が必要である。
一般に、耐衝撃性は、樹脂の比粘度等に寄与する分子量に大きく依存するため、耐衝撃性を改良しようとした場合、樹脂の分子量を増大させる必要がある。特許文献1及び2に記載されるイソソルビドポリカーボネート樹脂は、分子量を増大させると樹脂の溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難になるという問題がある。特許文献3に記載のポリカーボネート樹脂も、例えば実施例6相当の還元粘度が0.9程度のポリカーボネート樹脂のISO179によるノッチ付シャルピー衝撃強度は、約7kJ/m程度であり、工業用途においてはさらなる改良が必要である。
特許文献5~7には、耐衝撃性を改善したイソソルビドポリカーボネート樹脂組成物が開示されてはいるが、実環境下において重要な試験項目である耐乾熱性に関する記載は開示されていない。本発明者らの検討によれば、特許文献5~7に記載のポリカーボネート樹脂組成物に用いられている耐衝撃改質材では、耐乾熱性能に劣ることが見出された。
また、特許文献8に記載のポリカーボネート樹脂組成物については、耐乾熱性を改良した組成物が示されている。一方で、透明性が高いことから遮光性が悪く、実際の遮光用途へ使用するときに問題となる場合がある。例えば、自動車等のプライバシーガラス、窓等に使用されるスモークガラスなどのガラス代替部材の用途に適さないという問題が見出された。そのため、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が望まれていた。
したがって、本開示の目的は、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
〈態様1〉
下記式1で表される構造単位を繰り返し単位として含有するポリカーボネート樹脂(A)、及び
耐衝撃改質剤(B)を含み、
前記耐衝撃改質剤(B)が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の割合で含まれており、かつ、エポキシ基含有ポリエチレンである、ポリカーボネート樹脂組成物:
Figure 2023153332000001
〈態様2〉
前記ポリカーボネート樹脂(A)が、ジオールに由来する全構造単位100モル%に対して前記式1で表される構造単位を30モル%以上含む、態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記耐衝撃改質剤(B)が、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式1以外のジオール化合物に由来する構造単位をさらに含む、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
〈態様5〉
1.8MPa条件下の荷重たわみ温度が、90℃以上である、態様1~4のいずれかに記載の組成物。
〈態様6〉
厚み2mmの成形板にて測定した全光線透過率が、30%以下である、態様1~5のいずれかに記載の組成物。
〈態様7〉
厚み2mmの成形板にて測定したヘイズが、50%以上である、態様1~6のいずれかに記載の組成物。
〈態様8〉
態様1~7のいずれかに記載の組成物を用いて成形された、ポリカーボネート樹脂成形品。
本開示によれば、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することができる。
また、上記性能を有する本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、フィルム又はシート用部材、電気若しくは電子機器の内装又は外装用部材、自動車等の各種乗物の内装又は外装用部材、ボトル等の各種容器又は包装用部材、建築物の内装又は外装用部材をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。
以下、本開示の実施の形態について詳述する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本開示の一実施態様のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式1で表される構造単位を繰り返し単位として含有するポリカーボネート樹脂(A)、及び耐衝撃改質剤(B)を含み、前記耐衝撃改質剤(B)が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の割合で含まれており、かつ、エポキシ基含有ポリエチレンである、ポリカーボネート樹脂組成物:
Figure 2023153332000002
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れている。原理によって限定されるものではないが、本開示のポリカーボネート樹脂組成物の作用原理は、以下のとおりであると考える。
本開示のポリカーボネート樹脂組成物には、特定のポリカーボネート樹脂と特定の耐衝撃改質剤が特定の割合で含まれている。係る耐衝撃改質剤が有している構造は、特定のポリカーボネート樹脂自体が有する耐熱性及び耐乾熱性に対して悪影響を及ぼすことなく、耐衝撃性の向上に寄与するものと考えている。また、ポリカーボネート樹脂及び耐衝撃改質剤は、いずれも構造中に不飽和結合を含まない。したがって、加熱条件下で着色の原因となる物質の生成が抑制されるため、色相の変化が低減又は防止されるものと推定される。
さらに、この特定の耐衝撃改質剤の配合は、遮光性にも寄与することが判明した。一般に、耐衝撃改質剤の配合に伴う全光線透過率の低下及びヘイズ値の上昇は、ポリカーボネート樹脂と耐衝撃改質剤との分散性の低下などが原因となる場合が多い。この場合、耐衝撃改質剤の分散性が低下することに伴い、耐熱性、耐乾熱性、耐衝撃性等の他の性能も低下することが一般的である。しかしながら、本開示の特定の耐衝撃改質剤は、意外にも、特定のポリカーボネート樹脂自体が有する耐熱性及び耐乾熱性に対して悪影響を及ぼすことなく、耐衝撃性に加えて遮光性も向上させ得ることが見出された。これは、特定のポリカーボネート樹脂と特定の耐衝撃改質剤とを選択したことに伴う、これまでに知られていない優位な作用効果であると考えている。
《ポリカーボネート樹脂組成物》
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性及び遮光性の観点から、後述するポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、後述する耐衝撃改質剤(B)を、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、又は5質量部以上配合することが好ましい。耐衝撃改質剤(B)の配合量の上限値については特に制限はないが、例えば、成形品の面内ムラ等の外観性能の観点から、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、耐衝撃改質剤(B)を、20質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、又は10質量部以下配合することが好ましい。
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、以下に示されるような各種性能に優れている。
〈耐衝撃性〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性に優れている。例えば、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形物は、後述するシャルピー衝撃強度試験において、10kJ/m以上、15kJ/m以上、20kJ/m以上、又は25kJ/m以上を達成することができる。この上限値については特に制限はないが、例えば、100kJ/m以下、90kJ/m以下、又は80kJ/m以下と規定することができる。
〈遮蔽性能〉
(全光線透過率)
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、遮蔽性に優れている。例えば、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる厚さ2mmのシートを使用した場合、係るシートにおける全光線透過率は、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、又は1%以下とすることができる。この下限値については特に制限はないが、例えば、0%以上、0%超、又は0.1%以上と規定することができる。ここで、本開示において「全光線透過率」とは、透明性のレベルを表示するものであり、ASTM-D1003-61の方法E308による、入射光に対する透過光の比を意味する。
(ヘイズ)
遮光性については、全光線透過率以外に、ヘイズによっても規定することができる。例えば、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる厚さ2mmのシートを使用した場合、係るシートにおけるヘイズは、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上とすることができる。この上限値については特に制限はないが、例えば、100%以下、100%未満、又は99%以下と規定することができる。ここで、本開示において「ヘイズ」とは、透明性のレベルを表示するものであり、ASTM-D1003-61による、試験片を通過するときに前方散乱により入射光束から逸れる透過光の割合(%)を意味する。
〈耐熱性〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に優れている。耐熱性とは、高温下で成形品の変形が少ないことを意図し、例えば、後述する荷重たわみ温度試験で評価することができる。ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形物は、係る荷重たわみ温度試験において、90℃以上、95℃以上、又は100℃以上を達成することができる。この上限値については特に制限はないが、例えば、130℃以下、120℃以下、又は110℃以下と規定することができる。
〈耐乾熱性〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐乾熱性に優れている。耐乾熱性とは、成形物を長期間高温下に放置した場合、成形物の色相変化や劣化が少ないことを意図している。例えば、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形物は、後述する耐乾熱性試験において、10以下、8以下、又は5以下の黄変度(ΔYI)を達成することができる。この下限値については特に制限はないが、例えば、0.1以上、0.5以上、又は1以上と規定することができる。
〈ポリカーボネート樹脂(A)〉
本開示のポリカーボネート樹脂(A)は、下記式1で表される構造単位を繰り返し単位として含有している:
Figure 2023153332000003
(式1で表される構造単位)
式1で表される構造単位の割合としては特に制限はないが、石油資源からの代替の観点、並びに耐熱性及び耐衝撃性等の観点から、例えば、ジオールに由来する全構造単位100モル%に対し、30モル%以上とすることができ、40モル%以上であることが好ましく、45モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが特に好ましい。係る構造単位の上限値については特に制限はないが、例えば、100モル%以下、90モル%以下、又は80モル%以下と規定することができる。ここで、ポリカーボネート樹脂における構造単位のモル比は、例えば、日本電子株式会社製のJNM-AL400のプロトンNMRを用いて測定して算出することができる。
式1の構造単位は、立体異性体の関係にある下記式1-1~式1-3で表される構造単位を包含することができる:
Figure 2023153332000004
Figure 2023153332000005
Figure 2023153332000006
これらの構造単位は、糖質由来のエーテルジオールから誘導されるものである。このようなエーテルジオールは、例えば、自然界のバイオマスなどから得られる物質であり、再生可能資源と呼ばれる物質の1つである。
式1-1~式1-3で表される構造単位は、例えば、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる物質から各々誘導されるものである。例えば、イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水させることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得ることができる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドの中でも、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)が好ましい。イソソルビドから誘導される構造単位を繰り返し単位として含有するポリカーボネート樹脂は、製造が比較的容易であり、かつ、耐熱性にも優れている。
(式1以外の構造単位)
ポリカーボネート樹脂(A)は、式1で表される構造単位以外の各種ジオール化合物から誘導される他の構造単位を繰り返し単位として含有していてもよい。係るジオール化合物(ジオールモノマー)としては、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれであってもよく、例えば、特許文献3及び4に記載されるようなジオール化合物や、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、又は二種以上組み合わせて用いてもよい。以下に代表的なジオール化合物を例示するが、それらによって限定されるものではない。
脂肪族ジオール化合物としては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1.9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,3-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
脂環式ジオール化合物としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタンジオール、1,1'-スピロビインダン-6,6'-ジオール、デカリン-2,6-ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、シクロペンタン-1,3-ジメタノールなどが挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-7,7’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-7,7’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、1,1’-ビ-2-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
式1以外の他のジオール化合物に由来する構造単位の割合は、ジオールに由来する全構造単位100モル%に対し、70モル%以下、60モル%以下、55モル%以下、又は50モル%以下とすることができる。係る構造単位の下限値については特に制限はないが、例えば、0%超、10モル%以上、又は20モル%以上と規定することができる。
(ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法)
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法については特に制限はなく、通常のポリカーボネート樹脂における公知の製造方法を採用することができる。例えば、ジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法によって製造することができる。以下に、ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法のいくつかの実施態様について説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下、所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌し、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法によって行われる。反応温度は、生成するアルコール又はフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応は、その初期から減圧にして、生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら完結させる。また、必要に応じ、末端停止剤、酸化防止剤等を使用してもよい。
エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては特に制限はないが、例えば、置換されてもよい炭素原子数6~12のアリール基又はアラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、及びm-クレジルカーボネート等が例示される。中でも、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。
炭酸ジエステル、特にジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、0.97~1.10モルの範囲であることが好ましく、1.00~1.06モルの範囲であることがより好ましい。
また、溶融重合法においては、重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができる。係る重合触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、四級アンモニウムヒドロキシド等の化合物が好ましく用いられる。
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、フェニルリン酸二ナトリウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二セシウム塩、二リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム等が挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する四級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の三級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基又は塩基性塩等が挙げられる。
金属化合物としては、例えば、亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。
重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し、好ましくは1×10-9~1×10-2当量であり、より好ましくは1×10-8~1×10-5当量であり、特に好ましくは1×10-7~1×10-3当量である。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては特に制限はないが、公知の触媒失活剤が有効に使用される。中でも、スルホン酸のアンモニウム塩、スルホン酸のホスホニウム塩、スルホン酸のエステルが好ましい。これらは、単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
また、スルホン酸のエステルとしては、例えば、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり、0.5~50モルの割合であることが好ましく、0.5~10モルの割合であることがより好ましく、0.8~5モルの割合であることが特に好ましい。
このようにして得られた本開示のポリカーボネート樹脂(A)は、以下のような特性を有することができる。
(比粘度:ηSP
本開示のポリカーボネート樹脂(A)の比粘度(ηSP)としては、成形加工性、得られる成形品の強度等の観点から、0.2~1.5の範囲であることが好ましく、0.25~1.2の範囲であることがより好ましく、0.3~1.0の範囲であることがさらに好ましく、0.3~0.5の範囲であることが特に好ましい。
比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用い、以下の式2より求めることができる:
比粘度(ηSP)=(t-t)/t …式2
ここで、tは、塩化メチレンの落下秒数であり、tは、試料溶液の落下秒数である。
より具体的には、ポリカーボネート樹脂をその20~30倍重量の塩化メチレンに溶解させ、セライト濾過を通じて塩化メチレン可溶分を採取した後、十分に乾燥して塩化メチレンを除去し、塩化メチレン可溶分からポリカーボネート樹脂の固形物を得る。得られた固形物0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本開示のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)としては、耐熱安定性及び成形性等の観点から、100~160℃の範囲であることが好ましく、110~150℃の範囲であることがより好ましく、120~140℃の範囲であることが特に好ましい。
ガラス転移温度(Tg)は、例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製の2910型DSC測定装置を使用し、昇温速度20℃/分にて測定することができる。
(5%重量減少温度:Td)
本開示のポリカーボネート樹脂(A)の5%重量減少温度(Td)としては、成形加工時の樹脂の耐分解性等の観点から、280℃以上、又は300℃以上であることが好ましく、また、400℃以下、390℃以下、又は380℃以下であることが好ましい。5%重量減少温度は、例えば、TA Instruments社製のTGA測定装置(型式TGA2950)により測定することができる。
(溶融粘度)
本開示のポリカーボネート樹脂(A)は、240℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート6080sec-1の条件下で、0.01×10~1.10×10Pa・sの範囲にあることが好ましく、0.05×10~1.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.1×10~0.8×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこのような範囲であると、流動性が良好であるため、射出成形等の二次加工が低温で可能となり、また、色相悪化や重合度の低下など樹脂の熱による劣化を低減又は防止することができるため、成形時の不良率を低減することができ、かつ、十分な機械的強度を有する成形品を得ることができる。
〈耐衝撃改質剤(B)〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃改質剤(B)を含有する。係る耐衝撃改質剤(B)は、エポキシ基含有ポリエチレン、即ち、エポキシ基を有するポリエチレンであれば特に制限されず、例えば、エチレンとエポキシ基を有する化合物との共重合体であってもよいし、ポリエチレンにエポキシ基を有する化合物をグラフト変性させたものであってもよい。
エポキシ基含有ポリエチレンの製造に用いるエポキシ基を有する化合物としては、反応性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。したがって、耐衝撃改質剤(B)としては、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体が特に好ましく使用される。ここで、本開示において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
エポキシ基含有ポリエチレン中のエポキシ基の含有量は、耐衝撃性、遮光性等の観点から、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であることが好ましく、また、エポキシ基含有ポリエチレンの製造のしやすさ等の観点から、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%であることが好ましい。
エポキシ基含有ポリエチレンは、エチレンの他に、エチレン性二重結合を有する共重合成分を含んでいてもよい。このような共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、α-オレフィン、共役ジエン等が挙げられる。これらの中では、エポキシ基含有ポリエチレンの原料モノマーとして重合反応性が良好な観点から、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、及びプロピレンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、メチルアクリレート及び/又は酢酸ビニルがより好ましい。
本開示の耐衝撃改質剤(B)は、市販品として入手することができる。市販品の例としては、エチレン-グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体である住友化学株式会社製の「BONDFAST」、アルケマ社製の「LOTADER」等が挙げられる。
エポキシ基含有ポリエチレンは、1種のみを用いてもよく、或いは、例えば、エチレン単位の含有量や共重合成分、物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
耐衝撃改質剤(B)の平均粒子径は特に制限はないが、例えば、耐衝撃性、遮光性等の観点から、10nm以上、15nm以上、又は20nm以上であることが好ましく、また、1000nm以下、900nm以下、又は800nm以下であることが好ましい。ここで、耐衝撃改質剤(B)の平均粒子径は、例えば、動的光散乱法により測定することができる。
〈任意成分〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、任意に、例えば、熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブルーイング剤、染料、蛍光染料、充填剤、顔料、ポリカーボネート可塑剤、難燃剤、滑剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤や、ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の樹脂成分などを適宜含むことができる。これらの任意成分は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。以下に、これらのうちのいくつかの添加剤についてさらに詳細に記載する。
ポリカーボネート樹脂(A)と各種任意成分との混合方法は特に制限はなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればいかなる方法を用いてもよい。例えば、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、或いは、各任意成分を、例えば、塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などが挙げられる。
なお、本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と耐衝撃改質剤(B)とを併用することによって、遮光性を発現することができる。したがって、従来、遮光性を付与するために配合していた無機顔料を、組成物中に配合しなくてもよいため、本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、無機顔料を含む従来の遮光性ポリカーボネート樹脂材料に比べて、軽量化することもできる。本開示のポリカーボネート樹脂組成物中に無機顔料を配合する場合には、無機顔料の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部当たり、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、又は5質量部以下とすることができる。
また、特許文献5~7に記載のポリカーボネート樹脂組成物に用いられている耐衝撃改質剤は、アクリル成分、ブタジエン成分、スチレン成分などを含有するゴム又はエラストマーから構成されており、本発明者らの検討によれば、このような耐衝撃改質剤は、耐乾熱性能を低下させることが見出された。したがって、耐乾熱性の観点から、本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ゴム又はエラストマーから構成される耐衝撃改質剤、特に、アクリル成分、ブタジエン成分、スチレン成分などを含有するゴム又はエラストマーから構成される耐衝撃改質剤を含まないことが好ましく、係る耐衝撃改質剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部当たり、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、又は5質量部以下とすることが好ましい。
(熱安定剤)
ポリカーボネート樹脂(A)においては、押出等の各種成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、熱安定剤を含有することが好ましい。特に、上述した式1で表される構造単位のエーテルジオール残基は、熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としては、リン系熱安定剤を含有することが好ましい。さらにリン系熱安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、又は、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を配合することがより好ましい。
ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6-tert-ブチル-4-[3-[(2,4,8,10)-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル]-2-メチルフェノールなどを挙げることができる。
他のリン系熱安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、及びホスホネート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、及びトリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、例えば、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。係るホスホナイト化合物は、上記のアルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用が可能であるため好ましい。
ホスホネート化合物としては、例えば、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、及びベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いることができるが、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、又は二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。
リン系熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部当たり、好ましくは0.001~1質量部であり、より好ましくは0.01~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.3質量部である。
ポリカーボネート樹脂(A)における押出等の成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
中でも、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系熱安定剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部当たり、好ましくは0.001~1質量部であり、より好ましくは0.01~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.3質量部である。
(離型剤)
ポリカーボネート樹脂(A)には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
係る離型剤としては、例えば、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素原子数1~20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。係る一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
中でも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10~30の飽和脂肪酸が好ましい。係る脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。係る離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)を100質量部とした場合、0.01~5質量部であることが好ましい。
(紫外線吸収剤、光安定剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤や光安定剤を配合することができる。紫外線吸収剤及び光安定剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。また、紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-tert-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート-ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。さらに、紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
また、光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3-オキシ-[4-(2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤を挙げることができる。係る光安定剤は、上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮することができる。
係る紫外線吸収剤及び光安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)を100質量部とした場合、0.01~2質量部であることが好ましい。
(ブルーイング剤)
本開示の組成物には、ポリカーボネート樹脂や紫外線吸収剤に起因する成形品の黄色味を打ち消すために、ブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば特に制限はない。一般的には、アンスラキノン系染料が、入手が容易であるため好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13(CA.No.(カラーインデックスNo.)60725)、一般名Solvent Violet31(CA.No.68210)、一般名Solvent Violet33(CA.No.60725)、一般名Solvent Blue94(CA.No.61500)、一般名Solvent Violet36(CA.No.68210)、一般名Solvent Blue97(バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」)及び一般名Solvent Blue45(CA.No.61110)が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。これらブルーイング剤は、通常、ポリカーボネート樹脂(A)を100質量部とした場合、好ましくは0.1×10-4~2×10-4質量部の割合で配合される。
(蛍光染料、染料)
本開示の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、蛍光染料や他の染料を配合することができる。
係る蛍光染料としては、熱可塑性樹脂に使用できるものであれば特に制限はなく、例えば、キサンテン系、チアゾール系、チアジン系、ペリレン系、クマリン系、ジアミノスチルベン系等の蛍光染料が挙げられる。特に、ペリレン系、クマリン系の蛍光染料が好ましい。このような蛍光染料は市販されており、例えば、BASF製のルモゲンカラー、有本化学工業製のFluoresent、Baycr製のマクロレックスとして容易に入手することができる。
係る蛍光染料は、ポリカーボネート樹脂(A)を100質量部とした場合、蛍光性及び耐変色性を考慮し、0.001~5質量部の割合で配合することが好ましく、0.01~2質量部の割合で配合することがより好ましい。
(充填剤)
本開示の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤を配合することができる。係る充填剤としては、例えば、無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。充填剤の形状としては、粒子状、繊維状、板状などいかなる形態であってもよい。また、充填剤は、単独で或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム粒子、タルク、マイカ及びワラストナイトなどの珪酸カルシウム;炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素粒子、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素粒子、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維及びチタン酸カリウム繊維、並びにこれらのウィスカーなどが挙げられる。これらの中でも、ガラスの繊維状充填剤、ガラスの粉末状充填剤、ガラスのフレーク状充填剤;各種ウィスカー、マイカ又はタルクが好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、マイカ又はタルクであり、特に好ましくはガラス繊維及び/又はタルクである。
ガラス繊維又はガラスミルドファイバーとしては、熱可塑性樹脂に使用されているものであればいかなるものも使用できるが、特に、無アルカリガラス(Eガラス)から構成されているものが好ましい。
ガラス繊維の直径は、補強効果及び成形品の外観のバランス等を考慮し、好ましくは6μm~20μmであることが好ましく、9μm~14μmであることがより好ましい。
また、ガラス繊維としては、長さ1mm~6mmにカットされたチョップドストランド、長さ0.01mm~0.5mmに粉砕されているガラスミルドファイバーなども好適に使用することができる。
ガラス繊維は、ポリカーボネート樹脂(A)との密着性を向上させるために、アミノシラン若しくはエポキシシランなどのシランカップリング剤等による表面処理、又は取扱い性を向上させるために、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等による集束処理が施されていてもよい。
ガラスビーズとしては、熱可塑性樹脂に使用されているものであればいかなるものでもよい。中でも、無アルカリガラス(Eガラス)から構成されているものが好ましい。ガラスビーズとしては、平均粒径が10μm~50μmの球状のものが好ましい。
ガラスフレークとしては、例えば、鱗片状のガラスフレークが挙げられる。ポリカーボネート樹脂組成物に配合後のガラスフレークの最大径は、1000μm以下であることが好ましく、1μm~500μmの範囲であることがより好ましい。また、ガラスフレークのアスペクト比(最大径と厚みとの比)は、5以上、10以上、又は30以上であることが好ましい。アスペクト比の上限値については特に制限はなく、例えば、10,000以下とすることができ、200以下であることが好ましい。かかるガラスフレークのアスペクト比は樹脂組成物中での値である。
炭素繊維としては、特に限定されず、例えば、アクリル繊維、石油若しくは炭素系特殊ピッチ、セルロース繊維又はリグニン等を原料として焼成によって製造されたものであって、耐炎質、炭素質又は黒鉛質などの種々のものが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂組成物の導電性、強度、剛性等を考慮した場合、炭素繊維の直径は、3μm~15μmであることが好ましく、また、炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)の平均値は、10以上、30以上、又は50以上であることが好ましい。アスペクト比の上限値については特に制限はなく、例えば、10,000以下とすることができ、200以下であることが好ましい。かかる炭素繊維のアスペクト比は樹脂組成物中での値である。
炭素繊維は、本開示のポリカーボネート樹脂組成物の特性を損なわない限り、ポリカーボネート樹脂との親和性を向上させるために、例えば、炭素繊維に対し、エポキシ処理、ウレタン処理又は酸化処理などの表面処理が施されてもよい。
有機充填剤としては、例えば、木粉、竹粉、ヤシ澱粉、クルク粉及びパルプ粉などの粉末状有機充填剤;架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体及び尿素樹脂などのバルン状並びに球状有機充填剤;合成繊維及び天然繊維などの繊維状有機充填剤が挙げられる。
充填剤の配合量は、補強効果及び成形品の外観のバランス等を考慮し、ポリカーボネート樹脂100質量部当たり、1質量部以上、2質量部以上、又は5質量部以上配合することが好ましく、また、100質量部以下、70質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、又は35質量部以下配合することが好ましい。
〈ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はない。例えば、ポリカーボネート樹脂(A)、耐衝撃改質剤(B)及び任意成分(以下、これらを総称して「各成分」と称する場合がある。)を予備混合し、その後、溶融混練してペレット化して製造することができる。
予備混合の手段としては、例えば、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては、押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。
予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては、他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。この他、各成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も採用することができる。溶融混練する際のシリンダー温度は、ポリカーボネート樹脂の熱分解等を考慮し、好ましくは180~270℃であり、より好ましくは190~260℃であり、さらに好ましくは200~250℃である。
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、押出機を用いて各成分を溶融混練して製造することが好ましい。押出機としては特に二軸押出機が好適であり、原料中の水分や溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントには、発生した水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが設置されていることが好ましい。
また、押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを、押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物をポリカーボネート樹脂組成物から取り除くことも可能である。係るスクリーンとしては、金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(例えばディスクフィルター)などを挙げることができる。
耐衝撃改質剤(B)及び任意成分(以下、これらを総称して「添加剤」と称する場合がある。)の押出機への供給方法は、特に限定されないが、以下の(i)~(iv)の方法が代表的に例示される:
(i)ポリカーボネート樹脂(A)とは独立して添加剤を押出機中に供給する方法。
(ii)ポリカーボネート樹脂(A)の樹脂粉末と添加剤とを、スーパーミキサーなどの混合機を用いて予備混合した後、押出機に供給する方法。
(iii)添加剤とポリカーボネート樹脂(A)とを、予め溶融混練してマスターペレット化する方法。
(iv)他の予備混合の方法として、ポリカーボネート樹脂(A)と添加剤とを溶媒中に均一分散させた溶液とした後、該溶媒を除去する方法。
押出機より押出されたポリカーボネート樹脂組成物は、直接切断してペレット化するか、又はストランドを形成した後、ストランドをペレタイザーで切断してペレット化することができる。外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。
また、ペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂や光学用環状ポリオレフィン樹脂において既に提案されている方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送又は輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことが好ましい。これらの処方により、成形のハイサイクル化、及びシルバーのような不良の発生割合の低減を行うことができる。
ペレットの形状は、円柱、角柱、及び球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。円柱の直径は、好ましくは1~5mm、より好ましくは1.5~4mm、さらに好ましくは2~3.3mmである。一方、円柱の長さは、好ましくは1~30mm、より好ましくは2~5mm、さらに好ましくは2.5~3.5mmである。
〈成形品〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れている。したがって、このような性能を有するポリカーボネート樹脂組成物を用いて形成される成形品は、例えば、電気若しくは電子機器の内装又は外装用部材、自動車等の各種乗物の内装又は外装用部材、ボトル等の各種容器又は包装用部材、建築物の内装又は外装用部材をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。具体的には、係る成形品は、例えば、スモークガラス、プライバシーガラスなどの平面又は曲面ガラスの代替物、或いは、ガラス等に貼り合わせて使用するスモークフィルム又はプライバシーフィルムなどとして使用することができる。
成形品の形状としては特に制限はなく、例えば、フィルム、シート、若しくは板などの平面形状、曲面形状、立体形状など種々の形状を採用することができる。
〈成形品の製造方法〉
本開示のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品は、例えば、射出成形、押出成形などの公知の方法によって製造することができる。
射出成形で形成する場合には、シリンダー温度は、ポリマーの分解による着色や分子量低下を抑制するために、180~270℃の範囲であることが好ましく、190~260℃の範囲であることがより好ましい。金型温度は、40~140℃の範囲とすることができるが、成形サイクル及び樹脂の溶融滞留時間の短縮化の観点から、40~120℃の範囲であることが好ましく、40~100℃の範囲であることがより好ましい。
射出成形は、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。射出成形においては、通常の射出成形法に限らず、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形などの射出成形法も用いることができる。ここで、発泡成形には、超臨界流体の注入による発泡成形なども含まれる。
また、本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形により、例えば、チューブ形状若しくは各種異形状の押出成形品、或いは、シート、及びフィルムなどの押出成形品にすることもできる。シート及びフィルムの成形においては、例えば、インフレーション法、カレンダー法、キャスティング法なども使用することができる。また、特定の延伸操作により、熱収縮チューブとして成形することもできる。さらに、回転成形法、ブロー成形法などを用いて成形品を得ることもできる。
以下、実施例により、本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
《実施例1~2及び比較例1~8》
下記の合成例1及び2に示す方法によって得たポリカーボネート樹脂及びその樹脂を含む組成物について、以下の評価を行い、その結果を表1及び2に示す。ここで、表2におけるポリカーボネート樹脂及び耐衝撃改質剤の数値は、全て質量部である。
〈ポリカーボネート樹脂の評価〉
(比粘度(ηsp))
各合成例で得たペレットを塩化メチレンに溶解し、ポリカーボネート樹脂の濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR-0525・PC)を使用し、下記式3から比粘度(ηsp)を求めた:
ηsp=t/t-1 …式3
ここで、tは、試料溶液のフロータイムであり、tは、溶媒のみのフロータイムである。
(溶融粘度)
株式会社東洋精機製のキャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度240℃の条件下、測定速度を任意に変更して測定した結果得られたシェア速度/粘度(Shear Rate/Viscosity)カーブに基づき、6080secー1での溶融粘度を読み取った。
(ガラス転移温度(Tg))
TA Instruments社製のDSC測定装置(型式 DSC2910)を用い、各合成例で得たペレット約10mgを、20℃/分の昇温速度で加熱して、ガラス転移温度を測定した。
(5%重量減少温度)
TA Instruments社製のTGA測定装置(型式 TGA2950)を用い、各合成例で得たペレット約10mgを、20℃/分の昇温速度で加熱し、5%重量減少温度を測定した。
〈ポリカーボネート樹脂の評価〉
(シャルピー衝撃強度(耐衝撃性))
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、日本製鋼所株式会社製のJSWJ-75EIIIを用いてシリンダー温度240℃、金型温度90℃にて試験片を成形した。得られた試験片を用い、ISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃強度を測定した。
(荷重たわみ温度(耐熱性))
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、日本製鋼所株式会社製のJSWJ-75EIIIを用いてシリンダー温度240℃、金型温度90℃にて試験片を成形した。得られた試験片に対し、ISO75に準拠して高荷重(1.8MPa)下の荷重たわみ温度を測定した。
(全光線透過率)
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所株式会社製、JSW J-75EIII)を用いて、成形温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて、幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。係る3段型プレートの厚み2.0mm部における全光線透過率を、日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH-2000を用い、ISO13468に準じて測定した。
(ヘイズ)
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所株式会社製、JSW J-75EIII)を用いて、成形温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。係る3段型プレートの厚み2.0mm部におけるヘイズを、日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH-2000を用い、ISO17482に準じて測定した。
(耐乾熱性試験)
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所株式会社製、JSW J-75EIII)を用いて、成形温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。係る3段型プレートの2mmの部分を50mm×45mmの大きさに切り出して成形板を調製し、この成形板を、110℃、減圧操作を実施しない条件下、東京理化器械株式会社製のバキュームオーブンVOS-301SD中に300時間静置処理した。
成形板の静置処理前後の黄変度(ΔYI)を、JIS K7136(2000年)に準拠し、マクベス社製の測色色差計CE-7000を用い、C光源にて測定した。本評価において、ΔYIの値が小さいほど、高温乾燥環境下で長期使用した際の色調変化が小さく、耐乾熱性に優れることを示す。
(成形品外観評価)
各実施例で得たポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80~110℃で12時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所株式会社製、JSW J-75EIII)を用いて、成形温度240℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。係る3段型プレートの外観を目視で観察した。成形ムラなどがなく均一な外観であったものを「○」、外観ムラなどが生じたものを「×」と判定した。
〈ポリカーボネート樹脂の合成〉
(合成例1:共重合ポリカーボネート樹脂(PC-1)の製造)
イソソルビド(以下ISSと略す。)441.29質量部、1,9-ノナンジオール(以下NDと略す。)65.99質量部,ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す。)749.77質量部、及び触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.0×10-2質量部と水酸化ナトリウム2.0×10-3質量部を混合し、窒素雰囲気下170℃に加熱して溶融させた。
溶融させた後、エステル交換反応工程を開始した。減圧開始後、70分かけて、最終減圧度が13.4kPaになるように調整しながら減圧し、13.4kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、10℃/時間の速度で、最終樹脂温度が190℃になるまで昇温した。190℃到達後は、減圧度13.4kPa、樹脂温度190℃の状態で、フェノールが理論量に対して80%留去するまで10分間保持した。
80%留去させた後、最終樹脂温度が220℃になるように、0.5℃/分の速度で昇温した。また、昇温と併行して、最終減圧度が3kPaとなるように60分かけて減圧した。
引き続いて、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/分の速度で昇温した。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧した。所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、触媒量の2倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活させた後、反応槽の底部より、窒素加圧下、ポリカーボネート樹脂を吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。係るペレットの評価結果を表1に示す。
(合成例2:共重合ポリカーボネート樹脂(PC-2)の製造)
ISS375.74部、1,6-ヘキサンジオール(以下HDと略す)101.23部、DPC749.70部を用いた他は、合成例1と同様の操作を行ってペレットを得た。係るペレットの評価結果を表1に示す。
Figure 2023153332000007
(実施例1)
以下の表2に記載される割合で、ポリカーボネート樹脂(A-1)及び耐衝撃改質剤(B-1)を計量して均一に混合し、得られた混合物を押出機に投入して、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。90℃で12時間乾燥したペレットを用いて各物性の評価を行い、その結果を表2に示す。
ここで押出機としては、直径15mmφのベント式二軸押出機(株式会社テクノベル社製のKZW15-25MG)を使用した。押出条件としては、吐出量が8.4kg/時間、スクリュー回転数が250rpm、ベントの真空度が3kPaであり、また、押出温度は、第1供給口からダイス部分まで240℃とした。
(実施例2、及び比較例1~8)
ポリカーボネート樹脂及び耐衝撃改質剤を表2記載の割合で使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。その評価結果を表2に示す。なお、表2記載の各記号に相当するポリカーボネート樹脂及び耐衝撃改質剤を下記に示す。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
A-1は、合成例1にて製造した共重合ポリカーボネート樹脂(PC-1)のペレットである。
A-2は、合成例2にて製造した共重合ポリカーボネート樹脂(PC-2)のペレットである。
(B成分:耐衝撃改質剤)
B-1は、エチレン-グリシジルメタクリレート-メチルアクリレート共重合体(住友化学株式会社製「BONDFAST(商標)7M」)から構成される耐衝撃改質剤である。係る共重合体のグリシジルメタクリレート単位の含有量は、3質量%であり、メチルアクリレート単位の含有量は、27質量%である。
B-2は、コアがブタジエン及びアクリル酸ブチルからなるゴム重合体であり、シェルがメチルメタクリレートであるコアシェルゴム重合体から構成される耐衝撃改質剤である。
B-3は、コアがアクリル酸ブチルからなるゴム重合体であり、シェルがメチルメタクリレートであるコアシェルゴム重合体から構成される耐衝撃改質剤である。
Figure 2023153332000008
〈結果〉
表2の結果から分かるように、特定のポリカーボネート樹脂及び特定の耐衝撃改質剤を所定量含む実施例1~2のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、遮光性、成形品外観、耐熱性、耐乾熱性の全ての評価項目において優れた結果を呈していた。
今回の結果から、本開示のポリカーボネート樹脂組成物によれば、耐熱性を維持したまま、耐衝撃性及び耐乾熱性を向上させたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品が得られることが分かる。
さらに、本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、ガラスよりも軽量であり、かつ、高度な耐衝撃性を有していることに加え、遮光性にも優れるため、ガラスの代替用途、例えば、自動車等のプライバシーガラス又は窓用建材のスモークガラスのような、耐衝撃性を必要としながらも全光線透過率の低い材料が要求される用途への使用に特に適していることが分かる。或いは、例えば、窓ガラスなどに適用して使用するスモークフィルム等の用途にも適していることが分かる。
本開示のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、遮光性、耐熱性、耐乾熱性に優れているため、このような性能を有するポリカーボネート樹脂組成物を用いて形成される成形品は、例えば、フィルム若しくはシート部材、電気若しくは電子機器の内装又は外装用部材、自動車等の各種乗物の内装又は外装用部材、ボトル等の各種容器又は包装用部材、建築物の内装又は外装用部材をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。

Claims (8)

  1. 下記式1で表される構造単位を繰り返し単位として含有するポリカーボネート樹脂(A)、及び
    耐衝撃改質剤(B)を含み、
    前記耐衝撃改質剤(B)が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の割合で含まれており、かつ、エポキシ基含有ポリエチレンである、ポリカーボネート樹脂組成物:
    Figure 2023153332000009
  2. 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、ジオールに由来する全構造単位100モル%に対して前記式1で表される構造単位を30モル%以上含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記耐衝撃改質剤(B)が、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式1以外のジオール化合物に由来する構造単位をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 1.8MPa条件下の荷重たわみ温度が、90℃以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 厚み2mmの成形板にて測定した全光線透過率が、30%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 厚み2mmの成形板にて測定したヘイズが、50%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を用いて成形された、ポリカーボネート樹脂成形品。
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