JP6309792B2 - 黒色樹脂組成物および黒色成形品 - Google Patents
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そこで、耐擦傷性に優れる共重合ポリカーボネート樹脂(例えば、特許文献2)に着色剤を添加した樹脂組成物、および樹脂成形体を用いることが知られている。しかしながら、該共重合ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性が大きく劣ることが課題であり、実用化に至っていない。
また、イソソルビドとシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位からなるポリカーボネートに、着色剤と特定量のヒンダードアミン系安定剤を添加した樹脂組成物は、耐候性、耐衝撃性、漆黒性に優れるが、低温での面衝撃性を向上させる目的でイソソルビドの量を減らすと、同時に耐熱性が低下することになるため実用性の面で課題がある。(例えば、特許文献4)
したがって、塗装を必要とせず、耐低温衝撃性、耐候性、耐擦傷性、耐熱性に優れ、高級漆器のような質感と透明感を備えた漆黒の外観を有する黒色樹脂組成物、および黒色成形品は未だ存在しないのが現状である。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
で表される単位(B)を含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が80/20〜95/5であり、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.23〜0.60、荷重たわみ温度が80℃以上である共重合ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、着色剤(C成分)0.01〜5重量部と、N−CH 3 型ヒンダードアミン系光安定剤(D成分)0.01〜5重量部を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物は下記(1)〜(4)の特性を満たすことを特徴とする黒色樹脂組成物。
(1)JIS K5600−5−4に則して測定された鉛筆硬度がF〜2Hである
(2)−20℃の環境下においてASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験の最大衝撃エネルギーが20J以上であり、脆性破壊率が50%以下である
(3)JIS Z8741に則して測定した入射受光角20度における光沢度が75以上95以下であり、入射受光角60度における光沢度が80以上100以下である
(4)上記樹脂組成物から成形された成形体(厚さ3mm)のJIS Z8729に則して測定した明度(L*)が30以下である
2.着色剤(C成分)が有機染料であり、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部を含有する前項1記載の黒色樹脂組成物。
3.光安定剤(D成分)が、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部を含有する前項1記載の黒色樹脂組成物。
4.前項1〜3のいずれか1項に記載の黒色樹脂組成物を成形してなる黒色成形品。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂は、主たる繰り返し単位が、単位(A)と単位(B)とから構成される。本発明における主たる繰り返し単位とは、単位(A)及び(B)の合計が全繰り返し単位を基準として好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
本発明における単位(A)は前記式(A)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(A)は、バイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールは、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
前記式(A)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)が例示される。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂における単位(B)は前記式(B)に示したように、炭素数8〜12の脂肪族ジオールから誘導されるものである。
炭素数8〜12の脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールが挙げられ、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールがより好ましい。これらは2種類以上併用して用いても良い。
なお、その他の共重合構成単位を誘導するジオール化合物としては、他の脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
他の脂肪族ジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、主たる繰り返し単位が単位(A)と単位(B)とを含み、それらのモル比(A/B)は80/20〜95/5である。モル比(A/B)が80/20〜95/5では、鉛筆硬度が高くなり、耐熱性も高くなり、低吸水性に優れる。単位(A)と単位(B)とのモル比は、82/18〜93/7が好ましく、84/16〜92/8がより好ましい。なお、モル比(A/B)が80/20より小さい場合は、耐熱性が低くなり、他方モル比(A/B)が95/5より大きい場合は、吸水率が高く、また流動性が悪化する。モル比(A/B)は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.23〜0.60の範囲であり、好ましくは0.25〜0.55の範囲であり、より好ましくは0.30〜0.50の範囲であり、さらに好ましくは0.35〜0.45の範囲である。比粘度が0.23より小さいと射出成形した成形片の強度が低下し、他方0.60より大きいと射出成形の際の成形加工性が低下し好ましくない。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
本発明のポリカーボネート樹脂の荷重たわみ温度は、ポリカーボネート樹脂ペレットを80℃で5時間乾燥後、日本製鋼所製射出成形機J−75E3により、シリンダ温度240℃で射出成形した試験片を用い、ISO178に則して測定した。荷重は1.80MPaで測定した。電子・電気・OA機器外装部品、自動車内外装部品が要求される用途としては、荷重たわみ温度が少なくとも80℃以上必要で、より好ましくは90℃以上必要である。
本発明の黒色に着色された樹脂組成物においては、上記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、着色剤(C成分)0.01〜5重量部を含有する。着色剤(C成分)の含有量は0.1〜4重量部が好ましく、1〜4重量部が好ましい。0.01重量部未満であると漆黒感が得られず、5重量部を超えると機械特性が低下するため好ましくない。着色剤は、取り扱いを容易にさせる、または、分散性を向上させる目的でマスターバッチを作成し、顆粒化や分散剤の添加を施してもよい。
黒色有機染料は、2種以上の染料の組み合わせで構成されることが好ましい。黒色有機染料を構成する染料としては、アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、アゾ系、メチン系、キノリン系等の染料が挙げられる。これらの染料を組み合わせて使用することで、特に漆黒性に優れる黒色樹脂組成物を得ることが出来る。染料としては、具体的には次のような染料が例示される。
本発明の黒色に着色された樹脂組成物においては、上記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤(D成分)0.01〜5重量部を含有する。ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤(D成分)の含有量は0.015〜1重量部が好ましく、
0.02〜0.5重量部がより好ましく、0.03〜0.1重量部がさらに好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤(D成分)の含有量が0.01重量部未満では耐候性に劣り、5重量部を超えると成形時に揮発成分が金型に付着するといったトラブルが発生するため好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、より好適には以下の熱安定剤、離型剤などを配合することができる。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。単位(A)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系熱安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としてはホスファイト化合物を配合することが好ましい。ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他の構造を有するホスファイト化合物が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
上記のリン系熱安定剤の中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
上記のリン系熱安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス{(オクチルチオ)メチル}−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等が挙げられる。
これらのヒンダードフェノール系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
イオウ系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
ホスファイト系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤を併用する場合、これらの合計でポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、他にも、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、熱線吸収剤、難燃剤、加水分解改良剤、無機充填材、抗菌剤、光触媒系防汚剤、光拡散剤、および光高反射用白色顔料などを含有することができる。これらは、本発明の効果に支障のない剤および配合量を適宜選択して含有することができる。
本発明の黒色樹脂組成物の製造に当たっては、その製造方法は特に限定されるものではなく公知の製造方法を利用することができる。通常、ポリカーボネート樹脂および添加剤、着色剤を予備混合した後、押出機に投入して溶融混練した後、押出されたスレッドを冷却し、ペレタイザーにより切断して、ペレット状の成形材料が製造される。押出機は単軸押出機、および二軸押出機のいずれもが利用できるが、生産性や混練性の観点からは二軸押出機が好ましい。かかる二軸押出機の代表的な例としては、ZSK(Werner & Pfleiderer社製、商品名)を挙げることができる。同様のタイプの具体例としてはTEX((株)日本製鋼所製、商品名)、TEM(東芝機械(株)製、商品名)、KTX((株)神戸製鋼所製、商品名)などを挙げることができる。押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
本発明の黒色樹脂組成物は、低温面衝撃の破壊形態が延性破壊となり、低温衝撃性に優れる。低温面衝撃性は厚さ2mm厚角板を用いて、高速衝撃試験機にて試験温度−20℃、試験速度7m/sec、ストライカー径1/2インチ、受け径1インチにて実施し、そのときの脆性破壊となる確率が50%以下である。好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、もっとも好ましくは15%以下である。また、最大衝撃エネルギーは20J以上である。より好ましくは25J以上、さらに好ましくは30J以上、特に好ましくは35J以上である。低温面衝撃の破壊形態が脆性破壊となる確率が50%を超える場合や最大衝撃エネルギーが20J未満の場合には、寒冷地での使用が困難となることがある。
JIS規格では、屈折率1.567であるガラス表面において60度の入射角の場合反射率10%を光沢度100、20度の入射角の場合反射率5%を光沢度100としている。
本発明の黒色樹脂組成物から形成された成形品は、JIS Z8741に則して測定した入射受光角20度における光沢度は75以上95以下であり、80以上95以下が好ましく、85以上95以下がより好ましい。入射受光角60度における光沢度は80以上100以下であり、85以上100以下が好ましく、90以上100以下がより好ましい。上記下限未満では、外観の光沢性が劣るため好ましくなく、上記上限を超えると、反射する光によって表面が光って見えるために、高級ガラス漆器のような深みのある光沢が得られないので好ましくない。
入射受光角20度の光沢度が75以上95以下、入射受光角60度の光沢度が80以上100以下であり、かつ色差L*が30以下であると漆黒性に優れ、高級ガラス漆器のような深みのある光沢をもった外観となる。
1.比粘度
塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂ペレット0.7gを溶解した溶液として、20℃でオストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ポリカーボネート樹脂ペレットを80℃で5時間乾燥後、日本製鋼所製射出成形機J−75E3により、シリンダ温度240℃金型温度80℃で射出成形した試験片を用い、ISO178に則して荷重1.80MPaで荷重たわみ温度を測定した。(試験片形状;長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)
ポリカーボネート樹脂ペレットを80℃で5時間乾燥後、日本製鋼所製射出成形機J−75E3により、シリンダ温度240℃、金型温度80℃で成形し、黒色成形品(3段型プレート、厚み2mm部)得た。その成型試験片を用いて、JIS K5600の基図板試験方法によって測定した。
鉛筆硬度の測定の際に得られた黒色成形品を使用し、厚さ2mmの角板を高速衝撃試験機 島津HYDROSHOTHITS−P10(島津製作所)を使用して、試験温度−20℃、試験速度7m/sec、ストライカー径1/2インチ、受け径1インチにて10回試験を実施し、そのときの脆性破壊となった確率(脆性破壊率)と最大衝撃エネルギーを評価した。
鉛筆硬度の測定の際に得られた黒色成形品(3段型プレート、厚み2mm部)を使用し、JIS B7753に準拠してスガ試験機社製サンシャインウェザオメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、1000時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。その試験前後の成形片に対して、該成形片0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηSP)を測定し、耐候性試験後の比粘度保持率(分子量保持率)を求めた。評価は、比粘度保持率(分子量保持率)が95%以上を◎、90%以上95%未満を○、80%以上90%未満を△、80%未満を×とした。
ΔηSP=(ηSP1/ηSP0)×100
ΔηSP:比粘度保持率
ηSP1:試験後の比粘度
ηSP0:試験前の比粘度
鉛筆硬度の測定の際に得られた黒色成形品(3段型プレート、厚み2mm部)を使用し、85℃85%RHの条件下で1000時間放置した後、該成形片0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηSP)を測定し、湿熱試験後の比粘度保持率(分子量保持率)を求めた。評価は、比粘度保持率(分子量保持率)が95%以上を◎、90%以上95%未満を○、80%以上90%未満を△、80%未満を×とした。
漆黒性評価は光沢度評価および色差評価により行なった。
(1)光沢度評価
鉛筆硬度の測定の際に得られた黒色成形品(3段型プレート、厚み3mm部)を使用し、JIS Z8741に則して、光沢計(HORIBA IG−331、HORIBA社製)を用いて、入射受光角20度と60度の光沢度を測定した。
(2)明度(L*)
鉛筆硬度の測定の際に得られた黒色成形品(3段型プレート、厚み3mm部)を使用し、JIS Z8729に則して、積分球分光光度計CE−7000A(X−Rite社)を用いて、D65光源、反射法、視野角10度、SCI(正反射光を含む)方式にて、色差式CIE1976における明度(L*)を測定した。
[実施例1]
イソソルビド(以下ISSと略す)411部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)66部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットして比粘度が0.401であるポリカーボネート樹脂ペレットを得た。
着色剤として、黒色有機染料であるC−2:NUBIAN BLACK PC−5857(住友化学工業製;2種類以上の染料の混合物)0.25重量部とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
光安定剤としてN−H型ヒンダードアミン化合物であるD−2:アデカスタブLA77Y((株)ADEKA製)を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
着色剤として、黒色顔料であるC−1:カーボンブラック(三菱化成工業製#3600)1.0重量部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
NDの代わりに1,10−デカンジオール(以下DDと略す)71部を用い、比粘度0.394のポリカーボネート樹脂ペレットを得た他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS451部、1,12−ドデカンジオール(以下DDDと略す)69部、DPC750部を原料として用い、比粘度0.398のポリカーボネート樹脂ペレットを得た他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS411部、ND99部、DPC750部を原料として用い、比粘度0.402のポリカーボネート樹脂ペレットを得た他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
光安定剤としてN−CH3型ヒンダードアミン化合物であるD−1:アデカスタブLA52((株)ADEKA製)0.1重量部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
光安定剤としてN−H型ヒンダードアミン化合物であるD−2:アデカスタブLA77Y((株)ADEKA製)0.1重量部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
光安定剤としてN−CH3型ヒンダードアミン化合物であるD−3:アデカスタブLA63P((株)ADEKA製)0.05重量部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS391部、ND121部、DPC750部を原料として用いて比粘度が0.380のポリカーボネート樹脂ペレットを得た他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS425部、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)61部、DPC750部を原料として用いて比粘度が0.383のポリカーボネート樹脂ペレットを得た他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS341部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)158部、DPC750部を原料として用いて比粘度が0.382のポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたペレット100重量部に対して光安定剤としてD−2:アデカスタブLA77Y((株)ADEKA製)を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(帝人製パンライトL−1225Y)を用いて着色剤としてC−1:カーボンブラック(三菱化成工業製#3600)1.0重量部を用いた他は同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(帝人製パンライトL−1225Y)を用いて着色剤としてC−2:NUBIAN BLACK PC−5857(住友化学工業製)0.3重量部を用いた他は同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
市販の高級ガラス漆器(100mm角、厚み3mm、漆黒調、艶有り)を用いて漆黒性評価を実施した。評価結果を表1に示した。
Claims (4)
- 主たる繰り返し単位が下記式
で表される単位(B)を含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が80/20〜95/5であり、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.23〜0.60、荷重たわみ温度が80℃以上である共重合ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、着色剤(C成分)0.01〜5重量部と、N−CH 3 型ヒンダードアミン系光安定剤(D成分)0.01〜5重量部を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物は下記(1)〜(4)の特性を満たすことを特徴とする黒色樹脂組成物。
(1)JIS K5600−5−4に則して測定された鉛筆硬度がF〜2Hである
(2)−20℃の環境下においてASTM D3763に準拠した高速面衝撃試験の最大衝撃エネルギーが20J以上であり、脆性破壊率が50%以下である
(3)JIS Z8741に則して測定した入射受光角20度における光沢度が75以上95以下であり、入射受光角60度における光沢度が80以上100以下である
(4)上記樹脂組成物から成形された成形体(厚さ3mm)のJIS Z8729に則して測定した明度(L*)が30以下である - 着色剤(C成分)が有機染料であり、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部を含有する請求項1記載の黒色樹脂組成物。
- 光安定剤(D成分)が、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部を含有する請求項1記載の黒色樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒色樹脂組成物を成形してなる黒色成形品。
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