以下に、本発明にかかる設計支援装置、設計支援プログラム、および設計支援方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
実施例1に係る設計支援装置について説明する。図1は、設計支援装置の全体構成を示す図である。設計支援装置10は、CAD装置などのユーザによる回路設計を支援するコンピュータである。図1に示すように、設計支援装置10は、入力部11と、表示部12と、記憶部13と、メモリ部14と、制御部15とを有する。
入力部11は、各種情報を制御部15に入力する。例えば、入力部11は、回路設計において、ユーザから設計対象の基板上に配置する部品や、部品の基板上での配置位置の指定を受け付けて、受け付けた操作内容を示す操作情報を制御部15に入力する。入力部11の一例としては、マウスやキーボードなどの操作受付デバイスが挙げられる。
表示部12は、各種情報を表示する。例えば、表示部12は、基板上に各種の部品を配置して回路設計を行う設計画面を表示する。この設計画面には、例えば、設計対象の基板や基板に配置する各種部品が表示される。また、設計画面には、配置した部品の間で干渉などのエラーが発生した場合、発生したエラーに関する情報が表示される。表示部12のデバイスの一例としては、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの表示デバイスが挙げられる。
記憶部13は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部13は、ネット接続テーブル13a、部品配置テーブル13b、部品属性ライブラリ13c、部品形状ライブラリ13d、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gを記憶する。記憶部13のデバイスの一例としては、フラッシュメモリやNVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリや、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。
ネット接続テーブル13aは、回路設計を行う各種の部品の端子間の接続関係を示す情報を記憶するテーブルである。部品配置テーブル13bは、基板上に配置された各部品の基板上での配置位置を示す情報を記憶するテーブルである。部品属性ライブラリ13cは、回路設計を行う部品の部品名、部品の型格、部品の実装区分など部品に関する各種の属性情報を記憶するテーブルである。部品名は、部品を識別するために付与されるコードや名称などの識別情報である。同じ部品には、同一の識別情報が付与される。型格は、部品の種類を示す情報である。例えば、機能やサイズが同様と分類される部品には、同一の識別情報が付与される。実装区分は、部品を基板に実装するか実装方法に応じて部品を区分けしたものである。実装区分の一例としては、IMD(Insertion mount Device:挿入実装部品)や、SMD(Surface Mount Device:表面実装部品)、後付け部品、機構部品などがある。部品形状ライブラリ13dは、各部品に関する各種の領域を示す情報を記憶するテーブルである。
ここで、部品の各種の領域について説明する。図2は、部品の各種の領域の一例を示した図である。図2には、部品の一例として集積回路20が示されている。図2に示す集積回路20は、矩形状であり、対向する2つの側面に4個ずつ合計8個の端子20aが設けられている。本実施例では、部品の外形領域を部品ボディ領域とする。例えば、図2に示す集積回路20では、端子20aを含む外形領域を部品ボディ領域22とする。
また、基板21に部品を配置した場合、基板の部品に覆われた部分は、他の部品を配置できない。また、基板の集積回路20の周辺には、部品に覆われはいないものの、他の部品の配置が困難な領域が存在する場合がある。このような他の部品の配置が困難な領域を、部品を基板に実装した際に部品が占有する占有領域とする。例えば、図2に示す集積回路20では、集積回路20の端子20aの間や端子20aの近傍が他の部品の配置が困難な領域となるため、端子20aを外接するように囲む矩形領域を占有領域23とする。
また、基板には、部品を配置する際に、部品を実装するために確保すべき領域がある。例えば、人が基板に部品をハンダで手付けする場合、基板に部品を実装するには、基板上の部品の周辺に、はんだごてを当てて手付けするための手付け領域を必要とする。また、治具を用いて基板に部品を実装する場合、基板に治具を配置するための治具領域を必要とする。例えば、図2に示す集積回路20では、集積回路20とその周辺のはんだごてを当てるスペースを設けた領域を手付け領域24とし、集積回路20と治具を配置するスペースを設けた領域を治具領域25とする。なお、図2の例では、占有領域23に部品ボディ領域22が含まれ、手付け領域24に部品ボディ領域22が含まれ、治具領域25に手付け領域24が含まれるが、各領域を識別しやすくするため、重複する領域については大きい領域のハッチを省略している。
部品形状ライブラリ13dには、部品毎に、当該部品の部品ボディ領域および占有領域を示す領域情報を記憶する。また、部品形状ライブラリ13dには、部品を基板に実装する際に確保すべき領域を示す領域情報を記憶する。例えば、部品形状ライブラリ13dには、手付け領域や治具領域を示す領域情報を記憶する。また、部品形状ライブラリ13dには、部品の型格、部品の実装区分毎に、手付け領域および治具領域を示す領域情報を記憶する。この手付け領域および治具領域を示す領域情報は、部品の中心からの座標として定義してもよく、部品の占有領域からさらに拡張する範囲を示す座標として定義してもよい。部品形状ライブラリ13dに記憶される各領域情報は、標準の部品については、予め登録されていてもよく、利用者が入力部11あるいは、設計支援装置10と通信可能とされたクライアントコンピュータなどの端末装置から登録してもよい。
図3は、部品形状ライブラリのデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、部品形状ライブラリ13dは、識別キー、領域分類、形状の各項目を有する。識別キーの項目は、部品名や、型格、実装区分毎に付された識別情報を記憶する領域である。領域分類の項目は、領域の種類を記憶する領域である。形状の項目は、領域を示す領域情報を記憶する領域である。なお、図3の例では、形状の項目に、領域情報により示された領域を図形として示している。
図3の例では、識別キーが「IMD」、領域の種類が「占有領域」として、部品30の上下2つの側面からそれぞれ所定の距離までの領域が占有領域を示す領域情報として記憶されていることを示す。また、識別キーが「IMD」、領域の種類が「手付け領域」として、部品30の各側面からそれぞれはんだごてを当てることができるスペースを設けた領域が手付け領域示す領域情報として記憶されていることを示す。
製造工程テーブル13eは、基板への部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を記憶するテーブルである。図4は、製造工程テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、製造工程テーブル13eは、順序、製造工程の各項目を有する。順序の項目は、実施される製造工程の順序を記憶する領域である。順序の項目は、実施される製造工程の場合、実施される順番を示す数字が設定され、実施されない製造工程の場合、「−」が設定される。製造工程の項目は、基板に部品を実装する製造工程を記憶する領域である。製造工程テーブル13eには、基板への部品を実装で実施される可能がある製造工程が登録されている。図4の例では、製造工程として「リフロー」、「フロー」、「後付け」、「圧入」、「機構組立」、「検査」、「設定調整」、「試験」、「リワーク」が登録されている。「リフロー」は、リフロー工程により部品のはんだ付けを行って部品を実装する製造工程を示す。「フロー」は、フロー工程により部品のはんだ付けを行って部品を実装する製造工程を示す。「後付け」は、人がはんだごてにより部品のはんだ付けを行って部品を実装する製造工程を示す。「圧入」は、圧入治具を用いて、部品を実装する製造工程を示す。「機構組立」は、ねじなどにより機構部品の取り付けを行って機構部品を実装する製造工程を示す。「検査」は、部品が実装された基板の外観の検査を行う検査工程を示す。「設定調整」は、調整可能な調整部品の調整作業を行う調整工程を示す。「試験」は、基板の総合試験を行う試験工程を示す。「リワーク」は、部品を取り外して、再実装を行う再実装工程を示す。
図4の例では、「リフロー」に順序「1」、「後付け」に順序「2」、「機構組立」に順序「3」が設定されており、「リフロー」、「後付け」、「機構組立」の順に製造工程が実施されることを示す。
適用領域テーブル13fは、製造工程別に、確保すべき領域を指定する指定情報を記憶するテーブルである。図5は、適用領域テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、適用領域テーブル13fは、識別フラグ、識別キー、製造工程の各項目を有する。製造工程の項目は、基板への部品の実装で実施される可能がある製造工程に項目が分かれている。図5の例では、製造工程の項目が「リフロー」、「フロー」、「後付け」、「圧入」、「機構組立」の項目に分かれている。識別フラグの項目は、確保すべき領域の指定が部品名、型格、実装区分の何れの単位でなされたものかを示す。識別キーの項目は、部品名や、型格、実装区分毎に付された識別情報を記憶する領域である。製造工程の項目は、それぞれの製造工程で実装可能な各部品についてそれぞれ確保すべき領域として適用する領域を指定する指定情報を記憶する領域である。製造工程の項目は、識別キーで識別される部品が実装可能な製造工程の場合、確保すべき領域として適用する領域が設定され、実装できない製造工程の場合、「未定義」と設定される。
図5の例では、識別キー「IMD」は、識別フラグに「実装区分」と設定され、実装区分単位での確保すべき領域の指定であることを示す。また、識別キー「IMD」は、製造工程が「フロー」と「後付け」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「フロー」の製造工程では確保すべき領域が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程では確保すべき領域が「手付け領域」であることを示す。
また、図5の例では、識別キー「ABC」は、識別フラグに「手配型格」と設定され、型格単位での確保すべき領域の指定であることを示す。また、識別キー「ABC」は、製造工程が「フロー」と「後付け」と「圧入」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」と「圧入」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「ABC」は、「フロー」の製造工程では確保すべき領域が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程では確保すべき領域が「手付け領域」であり、「圧入」の製造工程では確保すべき領域が「治具領域」であることを示す。
また、図5の例では、識別キー「IC11」は、識別フラグに「部品名」と設定され、部品名単位での確保すべき領域の指定であることを示す。また、識別キー「IC11」は、製造工程が「フロー」と「後付け」と「圧入」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」と「圧入」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IC11」は、「フロー」の製造工程では確保すべき領域が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程では確保すべき領域が「手付け領域」であり、「圧入」の製造工程では確保すべき領域が「治具領域」であることを示す。
優先順位テーブル13gは、部品名、型格、実装区分の何れの確保すべき領域を優先するかを記憶するテーブルである。図6は、優先順位テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、優先順位テーブル13gは、順位、識別フラグの各項目を有する。順位の項目は、優先順位を示す番号を記憶する領域である。識別フラグの項目は、優先順位の指定が部品名、型格、実装区分の何れの対するものかを記憶する領域である。
図6の例では、部品名単位の確保すべき領域の優先順位が1位であり、型格単位の確保すべき領域の優先順位が2位であり、実装区分単位の確保すべき領域の優先順位が3位であることを示す。
図1の説明に戻り、メモリ部14は、データを書き換え可能な揮発性のメモリであり、各種情報を一時的に記憶する。例えば、メモリ部14は、後述する制御部15が各種処理を実行する際のワークエリアとして用いられる。メモリ部14のデバイスの一例としては、RAM(Random Access Memory)などの半導体メモリが挙げられる。
制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路であり、設計処理部15aと、判別部15bと、取得部15cと、判定部15dとを有する。
設計処理部15aは、回路設計に関する各種制御を行う。例えば、設計処理部15aは、設計対象の基板、基板に配置する各部品、各部品の端子間の接続関係などの各種情報を表示部12に表示させる制御を行う。また、設計処理部15aは、入力部11で選択を指示する操作を受け付けた部品を選択状態とし、選択された部品を設計対象の基板上の指定された配置位置に配置する制御を行う。また、設計処理部15aは、後述する判定部15dによる部品間の干渉の有無の判定結果に基づき、干渉ありと判定された部品をエラー表示させる表示させる制御を行う。ユーザは、入力部11から基板に配置する部品の何れかを配置対象部品として選択し、配置対象部品を基板上に配置する指示操作を繰り返して回路設計を行う。
図7〜図9は、回路設計において表示部に表示される回路設計画面の一例を示す図である。図7〜図9の例では、設計対象の基板40と、部品41a〜41jが表示され、ネット接続テーブル13aに基づく部品41a〜41jの端子間の接続関係がネット42により表示されている。図7の例は、部品41bを選択して基板40上に配置を行う状態を示す。図8の例は、選択した部品41bを基板40上に配置した状態を示す。図8の例は、部品41a〜41jを基板40上に配置した状態を示す。
判別部15bは、設計対象の基板上に配置された各部品間の製造工程の前後関係を判別する。例えば、判別部15bは、基板上に部品が配置された場合、基板に配置された配置部品の周囲の近傍に配置された近傍部品を特定する。判別部15bは、例えば、基板上で配置された配置部品から所定距離以内にある部品を近傍部品と特定する。この所定距離は、固定値としてもよく、設計支援装置10を利用する者が任意の値に設定してよく、配置部品の大きさや配置部品の干渉チェックを行う領域の大きさに応じて変化してもよい。
判別部15bは、配置部品と特定した近傍部品の製造工程を特定する。部品の製造工程の特定は、以下のように行う。図10は、部品の製造工程および確保すべき領域を特定する流れを説明する図である。図10の例は、部品名が「IC11」、部品型格が「ABC」、実装区分が「IMD」である部品50の製造工程および領域の特定する流れを示す。判別部15bは、適用領域テーブル13fから、製造工程を特定する部品毎に、部品名、型格、実装区分が該当するレコードを求める。図10の例では、適用領域テーブル13fの識別フラグが「実装区分」かつ識別キーが「IMD」のレコード51を求める。判別部15bは、求めたレコードのうち、優先順位テーブル13gで最も優先順位の高いレコードを特定する。図10の例では、求めたレコードがレコード51のみであるため、レコード51が最も優先順位の高いレコードと特定される。
判別部15bは、適用領域テーブル13fの特定したレコード51の確保すべき領域が指定された製造工程のうち、製造工程テーブル13eで実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程と特定する。図10の例では、レコード51の各製造工程のうち、製造工程「フロー」で「占有領域」、製造工程「後付け」で「手付け領域」と確保すべき領域が指定されているため、製造工程「フロー」と「手付け領域」が部品50の製造工程の候補となる。そして、図10の例では、製造工程テーブル13eにおいて「フロー」の製造工程が「後付け」の製造工程よりも前であるため、「フロー」が部品50の製造工程と特定される。判別部15bは、製造工程の特定と共に、適用領域テーブル13fの特定したレコード51の特定した製造工程での確保すべき領域として指定された領域も特定する。図10の例では、製造工程が「フロー」の「占有領域」が部品50の確保すべき領域と特定される。
判別部15bは、このように基板に配置された配置部品と各近傍部品についての製造工程を特定する。そして、判別部15bは、配置部品と各近傍部品との間で製造工程の前後関係を判別する。
取得部15cは、配置部品と各近傍部品毎に、判別部15bによる製造工程の前後関係の判別結果に基づき、それぞれ干渉チェックに用いる領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する。例えば、取得部15cは、配置部品および近傍部品のうち、製造工程が前と判別された部品については、当該部品の占有する領域を示す領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する。また、取得部15cは、配置部品および近傍部品のうち、製造工程が後と判別された部品については、確保すべき領域として特定された領域を示す領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する。なお、配置部品および近傍部品の製造工程が同じと判別された場合、取得部15cは、配置部品については確保すべき領域として特定された領域を示す領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する。また、取得部15cは、近傍部品については当該部品の占有する領域を示す領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する。
判定部15dは、配置部品と各近傍部品毎に、取得部15cにより取得された配置部品の領域情報と近傍部品の領域情報を比較して干渉の有無を判定する。例えば、判定部15dは、設計対象の基板上での、配置部品および近傍部品のうち、製造工程が前と判別された部品の占有領域と、製造工程が後と判別された部品の確保すべき領域として特定された領域を比較して干渉の有無を判定する。また、判定部15dは、配置部品および近傍部品の製造工程が同じ場合、配置部品の確保すべき領域として特定された領域と、近傍部品の占有領域とを比較して干渉の有無を判定する。例えば、図10に示す、部品50の近傍に配置された部品52は、実装する製造工程が部品50と同じであるものとする。この場合、部品50の確保すべき領域として特定された占有領域と、部品52の占有領域とを比較して干渉の有無を判定する。
ここで、基板に実装する部品は、当該部品を実装する製造工程まで、部品を基板に実装する際に確保すべき領域を他の部品から保つ必要があるが、実装した後の製造工程で基板に実装する際に確保すべき領域を他の部品と保つ必要がない。
そこで、判定部15dは、それぞれの部品について、当該部品が実装される製造工程までは、基板に実装する際に確保すべき領域を用いて干渉チェックを行う。また、判定部15dは、それぞれの部品について、当該部品が実装される製造工程より後の製造工程では、占有領域を用いて干渉チェックを行う。
すなわち、干渉チェック対象の近傍部品の製造工程が配置部品の製造工程以前の工程である場合、配置部品は、近傍部品から手付け領域や治具領域などの占有領域よりも大きい領域を前もって確保する必要がある。一方、干渉チェック相手の近傍部品は、占有領域を確保できればよい。そこで、判定部15dは、配置部品の製造工程が干渉チェック対象の近傍部品の製造工程より後、あるいは同じである場合、設計対象の基板上での配置部品の確保すべき領域と、干渉チェック対象の近傍部品の占有領域とを比較して干渉の有無を判定する。
また、干渉チェック対象の近傍部品の製造工程が配置部品の製造工程よりも後の工程である場合、近傍部品は、配置部品から手付け領域や治具領域などの占有領域よりも大きい領域を前もって確保する必要がある。一方、配置部品は、占有領域を確保できればよい。そこで、判定部15dは、配置部品の製造工程が干渉チェック対象の近傍部品の製造工程より前である場合、設計対象の基板上での配置部品の占有領域と、干渉チェック対象の近傍部品の確保すべき領域とを比較して干渉の有無を判定する。
判定部15dは、判別結果を干渉の有りと判定された場合、干渉の有り判定された部品を設計処理部15aへ通知してエラー表示を行わせる。
なお、本実施例では、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gに分けて各種の情報を記憶させた場合について説明したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、各種の情報を1つのテーブルに記憶させてもよい。図11は、1つのテーブルに各種の情報を記憶させた場合のテーブルのデータ構成の一例を示す図である。図11に示すように、テーブルは、順序、製造工程、優先度、識別フラグ、識別キー、適用領域の各項目を有する。順序の項目は、実施される製造工程の順序を記憶する領域である。製造工程の項目は、基板に部品を実装する製造工程を記憶する領域である。優先度の項目は、適用領域の優先順位を示す番号を記憶する領域である。識別フラグの項目は、確保すべき領域の指定が部品名、型格、実装区分の何れの単位でなされたものかを示す。識別キーの項目は、部品名や、型格、実装区分毎に付された識別情報を記憶する領域である。適用領域の項目は、確保すべき領域として適用する領域を指定する指定情報を記憶する領域である。
図11の例では、順位「1」の製造工程「リフロー」は、優先度「1」として、識別フラグが「実装区分」、識別キーが「SMD」に対して「占有領域」が確保すべき領域が指定されていることを示す。また、順位「1」の製造工程「リフロー」は、優先度「2」として、識別フラグが「部品名」、識別キーが「CN100」に対して「治具領域」が確保すべき領域が指定されていることを示す。
次に、部品間の干渉チェックを行う具体例を説明する。図12は、基板に各部品を実装する製造工程と配置される部品の一例を示す図である。図12の例では、最初にリフロー工程でSMDの部品61aを実装し、その後のフロー工程でIMDの部品61bを実装し、その後の後付け工程で後付け部品61cを実装し、その後の機構組み立て工程で機構部品61dを実装する。図13は、図12に示す各部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を記憶した製造工程テーブルを示す図である。図13の例では、「リフロー」に順序「1」、「フロー」に順序「2」、「後付け」に順序「3」、「機構組立」に順序「4」が設定されており、「リフロー」、「フロー」、「後付け」、「機構組立」の順に製造工程が実施されることを示す。
また、適用領域テーブル13fは、部品61a〜61dの確保すべき領域に関して、図14に示す設定がなされているものとする。図14は、適用領域テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図14の例では、識別キー「IMD」は、製造工程が「フロー」と「後付け」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
また、図14の例では、識別キー「SMD」は、製造工程が「リフロー」と「フロー」に確保すべき領域が指定され、「リフロー」と「フロー」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「リフロー」および「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であることを示す。
また、図14の例では、識別キー「後付け部品」は、製造工程が「後付け」に確保すべき領域が指定され、「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「後付け部品」は、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
また、図14の例では、識別キーが「機構部品」の部品は、製造工程が「機構組立」に確保すべき領域が指定され、「機構組立」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キーが「機構部品」の部品は、「機構組立」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「取り付け領域」であることを示す。
判別部15bは、部品61a〜61dについて、それぞれ適用領域テーブル13fに確保すべき領域が指定された製造工程のうち、製造工程テーブル13eで実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程と特定する。また、判別部15bは、特定した製造工程での確保すべき領域として指定された領域を特定する。なお、この例では、適用領域テーブル13fに該当するレコードがそれぞれ1つであるため、優先順位に従いレコードを特定する説明を省略する。例えば、判別部15bは、製造工程テーブル13eで実施される製造工程の順に、適用領域テーブル13fの各製造工程を、図14の(1)〜(4)の順に参照する。判別部15bは、リフロー工程で識別キー「SMD」の占有領域が設定されているため、リフロー工程をSMDの部品61aの製造工程と特定する。また、判別部15bは、占有領域をSMDの部品61aの確保すべき領域と特定する。一方、判別部15bは、リフロー工程で部品61b〜61dの確保すべき領域が未定義であるため、次のフロー工程を参照する。判別部15bは、フロー工程で識別キー「IMD」の占有領域が設定されているため、フロー工程をIMDの部品61bの製造工程と特定する。また、判別部15bは、占有領域をIMDの部品61bの確保すべき領域と特定する。一方、判別部15bは、フロー工程で部品61c、61dの確保すべき領域が未定義であるため、次の後付け工程を参照する。判別部15bは、後付け工程で識別キー「後付け部品」に手付け領域が設定されているため、後付け工程を後付け部品61cの製造工程と特定する。また、判別部15bは、手付け領域を後付け部品61cの確保すべき領域と特定する。一方、判別部15bは、フロー工程で部品61dの確保すべき領域が未定義であるため、次の機構組立工程を参照する。判別部15bは、機構組立工程で識別キー「機構部品」に取り付け領域が設定されているため、機構組立工程を機構部品61dの製造工程と特定する。また、判別部15bは、取り付け領域を機構部品61dの確保すべき領域と特定する。図15は、各部品の確保すべき領域の一例を示す図である。図15に示すように、「SMD」および「IMD」は、確保すべき領域が「占有領域」と特定される。また、「後付け部品」および「機構部品」は、確保すべき領域が「手付け領域」と特定される。
判別部15bは、部品61a〜61dについて各部品間の製造工程の前後関係を判別する。そして、判定部15dは、基板60上での、製造工程が前と判別された部品の占有領域と、製造工程が後と判別された部品の確保すべき領域とを比較して干渉の有無を判定する。例えば、図12に示す、後付け部品61cに着目して、近傍部品と干渉チェックを行うものとする。後付け部品61cの製造工程は、順番(3)の後付け工程である。近傍部品であるSMDの部品61aとIMDの部品61bの製造工程は、順番(1)(2)のリフロー工程、フロー工程である。判定部15dは、後付け部品61cの手付け領域と、SMDの部品61aの占有領域、IMDの部品61bの占有領域とで干渉チェックを行う。一方、近傍部品である機構部品61dの製造工程は、順番(4)の機構組立工程である。判定部15dは、後付け部品61cの占有領域と、機構部品61dの取り付け領域とで干渉チェックを行う。
なお、上述したように、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gに記憶された各種の情報を1つのテーブルに記憶させてもよい。図16は、1つのテーブルに各種の情報を記憶させた場合のテーブルのデータ構成の一例を示す図である。図16は、図11のテーブルから順位を除いたデータ構成としている。図16の各項目は、図11と同様であるため、説明を省略する。
図17は、基板に各部品を実装する製造工程と配置される部品の他の例を示す図である。図17の例では、最初に表面リフロー工程で基板70の表面にSMDの部品71aを実装し、裏面リフロー工程で基板の裏面にSMDの部品71bを実装し、その後の後付け工程でIMDの部品71cと後付け部品71dを実装する。図17の例では、基板の裏面に実装するSMDの部品71bを「SMD裏面」と示している。図18は、図17に示す各部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を記憶した製造工程テーブルを示す図である。図18の例では、「リフロー」に順序「1」、「後付け」に順序「2」が設定されており、「リフロー」、「後付け」の順に製造工程が実施されることを示す。
また、適用領域テーブル13fは、部品71a〜71dの確保すべき領域に関して、図19に示す設定がなされているものとする。図19は、適用領域テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図19の例では、識別キー「IMD」は、製造工程が「フロー」と「後付け」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
また、図19の例では、識別キー「SMD」は、製造工程が「リフロー」と「フロー」に確保すべき領域が指定され、「リフロー」と「フロー」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「リフロー」および「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であることを示す。
また、図19の例では、識別キー「後付け部品」は、製造工程が「後付け」に確保すべき領域が指定され、「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「後付け部品」は、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
判別部15bは、部品71a〜71dについて、それぞれ適用領域テーブル13fに確保すべき領域が指定された製造工程のうち、製造工程テーブル13eで実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程と特定する。また、判別部15bは、特定した製造工程での確保すべき領域として指定された領域を特定する。なお、この例では、適用領域テーブル13fに該当するレコードがそれぞれ1つであるため、優先順位に従いレコードを特定する説明を省略する。例えば、判別部15bは、製造工程テーブル13eで実施される製造工程の順に、適用領域テーブル13fの各製造工程を、図19の(1)、(2)の順に参照する。判別部15bは、リフロー工程で識別キー「SMD」に占有領域が設定されているため、リフロー工程をSMDの部品71a、71bの製造工程と特定する。また、判別部15bは、占有領域をSMDの部品71a、71bの確保すべき領域と特定する。一方、判別部15bは、リフロー工程で部品71c、71dの確保すべき領域が未定義であるため、次の後付け工程を参照する。判別部15bは、後付け工程で識別キー「IMD」および「後付け部品」に手付け領域が設定されているため、後付け工程を部品71c、71dの製造工程と特定する。また、判別部15bは、手付け領域を部品71c、71dの確保すべき領域と特定する。ここで、判別部15bは、フロー工程でもIMDの部品71cの実装が可能であるが、製造工程テーブル13eにフロー工程が存在しないため、後付け工程ではんだ付けを行うものと特定する。図20は、各部品の確保すべき領域の一例を示す図である。図20に示すように、「SMD」は、確保すべき領域が「占有領域」と特定される。また、「IMD」および「後付け部品」は、確保すべき領域が「手付け領域」と特定される。
判別部15bは、部品71a〜71dについて各部品間の製造工程の前後関係を判別する。そして、判定部15dは、基板70上での、製造工程が前と判別された部品の占有領域と、製造工程が後と判別された部品の確保すべき領域とを比較して干渉の有無を判定する。例えば、図17に示す、IMDの部品71cに着目して、近傍部品と干渉チェックを行うものとする。IMDの部品71cの製造工程は、順番(2)の後付け工程である。近傍部品であるSMDの部品71a、71bの製造工程は、順番(1)のリフロー工程である。判定部15dは、IMDの部品71cの手付け領域と、SMDの部品71a、71bの占有領域とで干渉チェックを行う。一方、近傍部品である後付け部品71dの製造工程は、順番(2)の後付け工程であり、IMDの部品71cと同じである。判定部15dは、IMDの部品71cの手付け領域と、後付け部品71dの占有領域とで干渉チェックを行う。
なお、上述したように、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gに記憶された各種の情報を1つのテーブルに記憶させてもよい。図21は、1つのテーブルに各種の情報を記憶させた場合のテーブルのデータ構成の一例を示す図である。図21は、図11のテーブルから順位を除いたデータ構成としている。図21の各項目は、図11と同様であるため、説明を省略する。
図22は、基板に各部品を実装する製造工程と配置される部品の他の例を示す図である。図22の例では、最初にフロー工程で基板80にSMDの部品81a〜81c、SMDコネクタ81d、81eを実装し、その後のフロー工程でIMDの部品81f、81gを実装する。SMDコネクタ81d、81eは、SMDの一種であるため、他のSMDの部品81a〜81cと同じく、リフロー工程段階で実装するが、実装に治具を用いる。図22の例では、SMDコネクタ81d、81e部分に部品名を示している。図23は、図22に示す各部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を記憶した製造工程テーブルを示す図である。図18の例では、「リフロー」に順序「1」、「フロー」に順序「2」が設定されており、「リフロー」、「フロー」の順に製造工程が実施されることを示す。
また、適用領域テーブル13fは、部品81a〜81gの確保すべき領域に関して、図24に示す設定がなされているものとする。図24は、適用領域テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図24の例では、識別キー「SMD−CN1」および「SMD−CN2」は、製造工程が「リフロー」と「後付け」に確保すべき領域が指定され、「リフロー」と「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「SMD−CN1」および「SMD−CN2」は、「リフロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「治具領域」であり、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
また、図24の例では、識別キー「IMD」は、製造工程が「フロー」と「後付け」に確保すべき領域が指定され、「フロー」と「後付け」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であり、「後付け」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「手付け領域」であることを示す。
また、図24の例では、識別キー「SMD」は、製造工程が「リフロー」と「フロー」に確保すべき領域が指定され、「リフロー」と「フロー」の製造工程で実装が可能であることを示す。また、識別キー「IMD」は、「リフロー」および「フロー」の製造工程で実装する場合、確保すべき領域の指定が「占有領域」であることを示す。
また、優先順位テーブル13gは、図25に示す設定がなされているものとする。図25は、優先順位テーブルのデータ構成の一例を示す図である。図25に示すように、部品名が「1」、実装区分が「2」と設定がなされているものとする。
判別部15bは、部品81a〜81gについて、適用領域テーブル13fから、製造工程を特定する部品毎に、部品名、部品の種類、製造工程が該当するレコードを求める。判別部15bは、求めたレコードのうち、優先順位テーブル13gで最も優先順位の高いレコードを特定する。図25の例では、SMDコネクタ81dは、実装区分が「SMD」であり、且つ、部品名が「SMD−CN1」であるため2つのレコードが該当する。また、SMDコネクタ81eも、実装区分が「SMD」であり、且つ、部品名が「SMD−CN2」であるため2つのレコードが該当する。判別部15bは、SMDコネクタ81d、81eについて、それぞれ該当した2つのレコードのうち、優先順位テーブル13gで最も優先順位の高いレコードを特定する。一方、判別部15bは、部品81a〜81cについて、実装区分が「SMD」のレコードを、該当するレコードと特定する。
判別部15bは、適用領域テーブル13fの特定したレコードの確保すべき領域が指定された製造工程のうち、製造工程テーブル13eで実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程と特定する。例えば、判別部15bは、製造工程テーブル13eで実施される製造工程の順に、適用領域テーブル13fの各製造工程を、図24の(1)、(2)の順に参照する。判別部15bは、リフロー工程で識別キー「SMD−CN1」および「SMD−CN2」の治具領域が設定されているため、リフロー工程をSMDコネクタ81d、81eの製造工程と特定する。また、判別部15bは、治具領域をSMDコネクタ81d、81eの確保すべき領域と特定する。さらに、判別部15bは、リフロー工程で識別キー「SMD」に占有領域が設定されているため、リフロー工程をSMDの部品81a〜81cの製造工程と特定する。また、判別部15bは、占有領域をSMDの部品81a〜81cの確保すべき領域と特定する。一方、判別部15bは、リフロー工程でIMDの部品81f、81gの確保すべき領域が未定義であるため、次のフロー工程を参照する。判別部15bは、フロー工程で識別キー「IMD」に占有領域が設定されているため、フロー工程をIMDの部品81f、81gの製造工程と特定する。また、判別部15bは、占有領域をIMDの部品81f、81gの確保すべき領域と特定する。図26は、各部品の確保すべき領域の一例を示す図である。図26に示すように、「SMD−CN1」および「SMD−CN2」は、確保すべき領域が「治具領域」と特定される。また、「IMD」および「後付け部品」は、確保すべき領域が「占有領域」と特定される。
判別部15bは、部品81a〜81gについて各部品間の製造工程の前後関係を判別する。そして、判定部15dは、基板80上での、製造工程が前と判別された部品の占有領域と、製造工程が後と判別された部品の確保すべき領域とを比較して干渉の有無を判定する。例えば、図22に示す、SMDコネクタ81dに着目して、近傍部品と干渉チェックを行うものとする。SMDコネクタ81dの製造工程は、順番(1)のリフロー工程である。近傍部品であるSMDの部品81a〜81c、SMDコネクタ81eの製造工程も順番(1)のリフロー工程である。判定部15dは、SMDコネクタ81dの治具領域と、SMDの部品81a〜81c、SMDコネクタ81eの占有領域とで干渉チェックを行う。一方、近傍部品であるIMDの部品81f、81gの製造工程は、順番(2)のフロー工程である。判定部15dは、SMDコネクタ81eの占有領域と、IMDの部品81f、81gの占有領域とで干渉チェックを行う。
なお、上述したように、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gに記憶された各種の情報を1つのテーブルに記憶させてもよい。図27は、1つのテーブルに各種の情報を記憶させた場合のテーブルのデータ構成の一例を示す図である。図27は、図11のテーブルから順位を除いたデータ構成としている。図27の各項目は、図11と同様であるため、説明を省略する。
次に、本実施例に係る設計支援装置10による回路設計を行う際の部品間の各部品の干渉をチェックする処理の流れを説明する。図28は、回路設計を支援する設計支援処理の手順を示すフローチャートである。この設計支援処理は、例えば、入力部11に対して回路設計開始を指示する所定操作が行われたタイミングで実行される。
図28に示すように、設計処理部15aは、設計対象の基板や基板に配置する各部品、ネット接続テーブル13aに基づき各部品の端子間の接続関係を示すネットを表示させた回路設計画面を表示部12に表示させる(ステップS10)。設計処理部15aは、入力部11から入力する操作情報に基づき、部品を選択する操作が行われたか否かを判定する(ステップS11)。部品を選択する操作が行われていない場合(ステップS11否定)、設計処理部15aは、再度ステップS11へ移行して部品の選択待ちを行う。一方、部品を選択する操作が行われた場合(ステップS11肯定)、設計処理部15aは、入力部11から入力される操作情報に基づき、基板上で選択された部品やネットの位置を更新する(ステップS12)。設計処理部15aは、入力部11から入力される操作情報に基づき、選択された部品の配置位置が確定したか否かを判定する(ステップS13)。選択された部品の配置位置が確定していない場合(ステップS13否定)、ステップS12へ移行する。一方、選択された部品の配置位置が確定した場合(ステップS13肯定)、設計処理部15aは、配置位置が確定した配置部品と、配置部品の周囲の近傍に配置された近傍部品を特定する(ステップS14)。
判別部15bは、特定した近傍部品の何れか1つを選択する(ステップS15)。判別部15bは、配置部品と選択した近傍部品の製造工程および確保すべき領域の指定を特定し、配置部品と選択した近傍部品間の製造工程の前後関係を判別する(ステップS16)。判別部15bは、選択した近傍部品の製造工程が配置部品の製造工程以前の工程であるか否か判定する(ステップS17)。選択した近傍部品の製造工程が配置部品の製造工程以前の工程である場合(ステップS17肯定)、取得部15cは、配置部品の確保すべき領域の領域情報と、選択した近傍部品の占有領域の領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する(ステップS18)。判定部15dは、設計対象の基板上での、配置部品の領域情報により示される確保すべき領域と、選択した近傍部品の領域情報により示される占有領域とを比較して干渉の有無を判定する(ステップS19)。一方、選択した近傍部品の製造工程が配置部品の製造工程よりも後である場合(ステップS17否定)、取得部15cは、配置部品の占有領域の領域情報と選択した近傍部品の確保すべき領域の領域情報を部品形状ライブラリ13dから取得する(ステップS20)。判定部15dは、設計対象の基板上での、配置部品の領域情報により示される占有領域と、選択した近傍部品の領域情報により示される確保すべき領域とを比較して干渉の有無を判定する(ステップS21)。
判定部15dは、干渉の有無を判定の結果、干渉があるか否かを判定する(ステップS22)。干渉がある場合(ステップS22肯定)、判定部15dは、干渉の有り判定された配置部品および近傍部品を設計処理部15aへ通知してエラー表示を行わせる(ステップS23)。干渉がない場合(ステップS22否定)、判別部15bは、特定した近傍部品のすべてを選択したかいなかを判定する(ステップS24)。すべてを選択していない場合(ステップS24否定)、ステップS15に以降して未選択の近傍部品の何れかを選択する。一方、すべてを選択した場合(ステップS24肯定)、設計処理部15aは、回路設計の終了を指示する所定操作が行われたか否かを判定する(ステップS25)。終了を指示する所定操作が行われた場合(ステップS25肯定)、設計処理部15aは、各部品の配置位置を示す情報を部品配置テーブル13bに記憶させ、処理を終了する。一方、終了を指示する所定操作が行われていない場合(ステップS25否定)、ステップS11へ移行して回路設計を継続する。
このように、設計支援装置10は、設計対象の基板上に配置された各部品間の部品を実装する製造工程の前後関係を判別する。そして、設計支援装置10は、各部品間毎に、製造工程が後と判別された部品については確保すべき領域の領域情報、製造工程が前と判別された部品については占有領域の領域情報を記憶部13から取得する。設計支援装置10は、製造工程が後と判別された部品の確保すべき領域と製造工程が前と判別された部品の占有領域を比較して干渉の有無を判定する。よって、設計支援装置10によれば、それぞれの部品について、当該部品を実装する製造工程までは確保すべき領域を確保し、当該部品を実装する製造工程よりも後の工程では占有領域を確保するように干渉チェックが行われる。これにより、設計支援装置10によれば、部品どうしが不必要に間隔を開けた配置となることを抑制できるため、高密度な部品の実装設計を行うことができる。
また、設計支援装置10は、適用領域テーブル13fにおいて、製造工程が後と特定された部品の部品名、部品の種類、実装区分のいずれかが該当する確保すべき領域の領域情報うち、優先順位テーブル13gでの優先順位の高い第1の領域情報を取得する。よって、設計支援装置10によれば、優先順位を定めることにより、部品の部品名、部品の種類、実装区分の確保すべき領域のうち、干渉チェックに用いる確保すべき領域を変えることができる。また、設計支援装置10によれば、全ての部品について干渉チェックに用いる確保すべき領域を指定しなくても、部品の種類、実装区分の単位で干渉チェックに用いる確保すべき領域を指定することができる。
また、設計支援装置10は、適用領域テーブル13fに適用する確保すべき領域が指定された製造工程のうち製造工程テーブル13eで実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程として各部品間毎の実装する製造工程の前後関係を判別する。よって、設計支援装置10によれば、設計の際に各部品の実装する製造を部品毎に指定しなくても、各部品を実装する製造工程を特定して各部品間毎の実装する製造工程の前後関係を判別できる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、開示の技術は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
例えば、上記の実施例では、配置部品および近傍部品の製造工程が同じと判別された場合、配置部品については確保すべき領域とし、近傍部品については占有領域として干渉チェックを行う場合について説明したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、治具を用いて同時に部品を実装する場合、配置部品および近傍部品が共に治具領域を確保する必要がある。このため、配置部品および近傍部品の製造工程が同じと判別された場合、配置部品および近傍部品を共に確保すべき領域として干渉チェックを行うものとしてもよい。また、配置部品および近傍部品の製造工程が同じ場合、同じとなった製造工程によって近傍部品の干渉チェックに用いる領域を変えてもよい。例えば、圧入や機構組立の製造工程の場合、配置部品および近傍部品を共に確保すべき領域として干渉チェックを行うものとしてもよい。また、配置部品および近傍部品の製造工程が同じ場合、配置部品について確保すべき領域、近傍部品について占有領域として干渉チェックを行うか、配置部品および近傍部品を共に確保すべき領域として干渉チェックを行うかを制御情報により制御してもよい。例えば、記憶部13に制御情報を記憶させ、取得部15cは、配置部品および近傍部品の製造工程が同じ場合、制御情報に従い、近傍部品について占有領域または確保すべき領域の領域情報を取得するようにしてもよい。
また、上記の実施例では、配置された配置部品と配置部品の近傍の近傍部品との間の干渉チェックを行う場合について説明したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、基板に部品が配置済みの設計データに対して配置された部品を順次選択して、選択された選択部品と選択部品の近傍の近傍部品との間の干渉チェックを行うものとしてもよい。
また、設計支援装置10をサーバコンピュータとし、ネットワークを介してクライアントコンピュータから回路設計に関する操作情報が入力し、クライアントコンピュータに対して各種情報を出力してクライアントコンピュータの画面で回路設計を行ってもよい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図1に示す設計処理部15aと、判別部15bと、取得部15cと、判定部15dの各処理部が適宜統合されてもよい。さらに、各処理部にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
[設計支援プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。図29は、設計支援プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図29に示すように、コンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)310、HDD(Hard Disk Drive)320、RAM(Random Access Memory)340を有する。これら300〜340の各部は、バス400を介して接続される。HDD320には、図1に示した各テーブルの各々と同様の機能を有するテーブルが記憶される。
HDD320には上記の実施例1に示す設計処理部15a、判別部15b、取得部15c、判定部15dと同様の機能を発揮する設計支援プログラム320aが予め記憶される。なお、設計支援プログラム320aについては、適宜分離しても良い。
また、HDD320は、各種情報を記憶する。例えば、HDD320は、図1に示したネット接続テーブル13a、部品配置テーブル13b、部品属性ライブラリ13c、部品形状ライブラリ13d、製造工程テーブル13e、適用領域テーブル13f、優先順位テーブル13gに対応する各種情報を記憶する。
そして、CPU310が、設計支援プログラム320aをHDD320から読み出してRAM340に展開し、HDD320に記憶された各種情報を用いて各処理を実行することで、実施例1に示した制御部15と同様の動作を実行する。すなわち、設計支援プログラム320aは、実施例1に示した設計処理部15a、判別部15b、取得部15c、判定部15dと同様の動作を実行する。
なお、上記した設計支援プログラム320aについては、必ずしも最初からHDD320に記憶させることを要しない。
例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)基板に各部品を実装する製造工程の順序および各製造工程で実装される部品に関する実装情報と、各部品を基板に実装する際に確保すべき領域を示す第1の領域情報と、各部品を基板に実装した際に占有する領域を示す第2の領域情報とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された実装情報に基づき、設計対象の基板上に配置された第1の部品と第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別する判別部と、
前記第1の部品および前記第2の部品のうち前記判別部により製造工程が後と判別された部品については前記第1の領域情報、製造工程が前と判別された部品については前記第2の領域情報を前記記憶部から取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1の領域情報と前記第2の領域情報を比較して干渉の有無を判定する判定部と
を有することを特徴とする設計支援装置。
(付記2)前記記憶部は、複数の前記第1の領域情報と、部品名、部品の種類、実装区分の何れか毎に適用する前記第1の領域情報を指定する指定情報と、部品名、部品の種類、実装区分の何れの前記第1の領域情報を優先するかの優先順位を示す優先順位情報とを記憶し、
前記取得部は、前記製造工程が後と特定された部品の部品名、部品の種類、実装区分のいずれかが該当する前記指定情報で指定された第1の領域情報うち、前記優先順位情報により示される優先順位の高い前記第1の領域情報を取得する
ことを特徴とする付記1に記載の設計支援装置。
(付記3)前記記憶部は、製造工程別に、当該製造工程で実装可能な各部品についてそれぞれ適用する前記第1の領域情報が指定された指定情報と、基板への部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を示す製造工程情報とを記憶し、
前記判別部は、前記第1の部品および前記第2の部品について、それぞれ前記指定情報に当該部品に適用する前記第1の領域情報が指定された製造工程のうち前記製造工程情報で実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程として、前記第1の部品と前記第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別する
ことを特徴とする付記1または2に記載の設計支援装置。
(付記4)コンピュータに、
記憶部に記憶された、基板に各部品を実装する製造工程の順序および各製造工程で実装される部品に関する実装情報に基づき、設計対象の基板上に配置された第1の部品と第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別し、
前記第1の部品および前記第2の部品のうち製造工程が後と判別された部品については当該部品を基板に実装する際に確保すべき領域を示す第1の領域情報、製造工程が前と判別された部品については当該部品を基板に実装した際に占有する領域を示す第2の領域情報を前記記憶部から取得し、
取得された前記第1の領域情報と前記第2の領域情報を比較して干渉の有無を判定する
各処理を実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
(付記5)前記第1の領域情報を取得する処理は、部品名、部品の種類、実装区分の何れか毎に複数の前記第1の領域情報から適用する前記第1の領域情報を指定する指定情報において、前記製造工程が後と特定された部品の部品名、部品の種類、実装区分のいずれかが該当する第1の領域情報うち、優先順位情報により示される優先順位の高い前記第1の領域情報を取得する
ことを特徴とする付記4に設計支援プログラム。
(付記6)前記製造工程の前後関係を判別する処理は、前記第1の部品および前記第2の部品について、それぞれ製造工程別に、当該製造工程で実装可能な各部品に適用する前記第1の領域情報が指定された指定情報に当該部品に適用する前記第1の領域情報が指定された製造工程のうち、基板への部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を示す製造工程情報で実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程として、前記第1の部品と前記第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別する
ことを特徴とする付記4または5に記載の設計支援プログラム。
(付記7)コンピュータが、
記憶部に記憶された、基板に各部品を実装する製造工程の順序および各製造工程で実装される部品に関する実装情報に基づき、設計対象の基板上に配置された第1の部品と第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別し、
前記第1の部品および前記第2の部品のうち製造工程が後と判別された部品については当該部品を基板に実装する際に確保すべき領域を示す第1の領域情報、製造工程が前と判別された部品については当該部品を基板に実装した際に占有する領域を示す第2の領域情報を前記記憶部から取得し、
取得された前記第1の領域情報と前記第2の領域情報を比較して干渉の有無を判定する
各処理を実行することを特徴とする設計支援方法。
(付記8)前記第1の領域情報を取得する処理は、部品名、部品の種類、実装区分の何れか毎に複数の前記第1の領域情報から適用する前記第1の領域情報を指定する指定情報(13f)において、前記製造工程が後と特定された部品の部品名、部品の種類、実装区分のいずれかが該当する第1の領域情報うち、優先順位情報により示される優先順位の高い前記第1の領域情報を取得する
ことを特徴とする付記7に設計支援方法。
(付記9)前記製造工程の前後関係を判別する処理は、前記第1の部品および前記第2の部品について、それぞれ製造工程別に、当該製造工程で実装可能な各部品に適用する前記第1の領域情報が指定された指定情報に当該部品に適用する前記第1の領域情報が指定された製造工程のうち、基板への部品の実装で実施される製造工程および製造工程の順序を示す製造工程情報で実施され順序が最も早い製造工程を当該部品の製造工程として、前記第1の部品と前記第2の部品を実装する製造工程の前後関係を判別する
ことを特徴とする付記7または8に記載の設計支援方法。