JP5892694B2 - 金属化フィルム製造方法 - Google Patents

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本発明は、フィルムコンデンサ用の金属化フィルム製造方法に関する。
上記種のフィルムコンデンサとして、例えば、誘電体フィルムの一方の面に金属電極膜を形成することで金属化フィルムを得て、得られた金属化フィルムの複数枚(例えば2枚)を積層した状態で巻回することで作製されるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、巻回したものの端面には外部電極が形成される。
ここで、外部電極と金属電極膜とを確実に電気的に接続させるために、複数枚の金属化フィルムを0.1〜0.6mmだけ相互にずらして積層することが考えられるが、これではフィルムコンデンサの製品寸法が大きくなるという不具合が生じる。そこで、上記特許文献1には、誘電体フィルムの一方の面に形成された金属電極膜にマージン(間隙)を形成し、この金属電極膜のマージンが交互に位置するように金属化フィルムを積層することで、フィルムコンデンサの製品寸法を小さくすることが提案されている。このものでは、金属電極膜の一部にレーザ光を照射して消失させ、この消失部分をマージンとしている。
然し、上記従来例のものでは、マージンを形成するためにレーザ光を照射する機構を設ける必要があり、しかも、誘電体膜と金属電極膜とを交互に積層する場合には、金属電極膜を形成するたびにレーザ光を照射してマージンを形成する必要がある。このため、製造装置の構造が複雑化すると共に製造工程数が増加するため、コストアップを招くという不具合が生じる。また、金属化フィルムを積層して巻回する作業は大気中で行われるので、大気中の水分やダストが取り込まれてしまい、品質低下を招く虞がある。
特開2004−6495号公報
本発明は、以上の点に鑑み、金属電極膜のマージンを簡単に形成することができ、しかも、大気中の水分やダストが取り込まれることがない低コストの金属化フィルム製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、長尺のシート状基材の表面に誘電体膜と金属電極膜とを交互に積層してフィルムコンデンサ用の金属化フィルムを作製する金属化フィルム製造方法において、基材の一方の面に直接または間接にオイル層を形成する第1工程と、前記オイル層をマスクとして第1の金属電極膜を形成すると共に、前記オイル層を気化させる第2工程と、前記第1の金属電極膜の表面に、基材の幅方向に一定間隔で長手方向にのびる第2の金属電極膜を形成する第3工程と、隣接する第2の金属電極膜までの間に液体樹脂を介在させ、この介在させた液体樹脂を硬化させて誘電体膜を形成する第4工程と、を含み、前記第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程をこの順番で繰り返し実行し、2回目以降の第1工程において、第2の金属電極膜の上面を含む誘電体膜の上面に、第2の金属電極膜よりも広い幅のオイル層を形成することを特徴とする。

本発明によれば、第1工程において、基材の一方の面にオイル層が形成される。次に、第2工程では、このオイル層をマスクとして第1の金属電極膜が形成される。このとき、オイル層が気化して消失することで、その消失部分が第1の金属電極膜のマージンとなる。次いで、第3工程では、第1の金属電極膜の表面に、基材の幅方向に一定間隔で長手方向にのびる第2の金属電極膜が形成される。第4工程では、隣接する第2の金属電極膜までの間に液体樹脂を介在させ、この介在させた液体樹脂を例えば電子ビーム、UV光または熱により硬化させることで誘電体膜が形成される。そして、これらの第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程をこの順番で繰り返し実行することで、マージンが互いに異なる第1の金属電極膜が誘電体膜を介して積層された金属化フィルムが得られる。尚、第1の金属電極膜を形成する間にオイル層が気化しない場合には、上記得られた金属化フィルムを加熱することでオイルを気化すればよい。このように得られた金属化フィルムを、マージンの位置で切断することで、フィルムコンデンサが得られる。
このように、オイル層をマスクとして第1の金属電極膜を形成した後、当該オイル層を気化させて第1の金属電極膜のマージンとすることで、従来例の如く金属電極膜の一部にレーザを照射する複雑な工程が不要となる。しかも、従来例の如く金属電極膜を形成するたびにレーザを照射する場合に比べて製造工程数が少なくなるので、製造コストを低減できる。さらに、上記第1〜第4工程は真空雰囲気中で一貫して行うことができるので、金属化フィルム内に大気中の水分やダストが取り込まれず、品質に優れたフィルムコンデンサを製造し得る。
本発明において、パーフルオロエーテルからなるオイルを用いることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、真空チャンバと、この真空チャンバ内に配置された一対の繰出ローラ及び巻取ローラと、繰出ローラと巻取ローラとの間に配置され、繰出ローラから巻取ローラにシート状基材を搬送したときに基材が巻回されるドラムとを備える本発明の金属化フィルム製造装置において、前記ドラムに夫々対向するように並設される、シート状基材の一方の面にオイル層を形成するオイル層形成部と、このオイル層をマスクとして第1の金属電極膜を形成する第1の電極膜形成部と、この第1の金属電極膜の表面に、基材の幅方向に一定間隔で長手方向にのびる第2の金属電極膜を形成する第2の電極膜形成部と、隣接する第2の金属電極膜の間に液体樹脂を形成する樹脂形成部と、この液体樹脂を硬化させて誘電体膜を形成する樹脂硬化部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の実施形態の金属化フィルム製造装置を示す模式図。 本発明の実施形態の金属化フィルム製造方法を説明するための断面図。 本発明の実施形態の金属化フィルム製造方法により得られた金属化フィルムを示す断面図。
図1を参照して、Mは、本発明の実施形態の金属化フィルム製造装置を示す。金属化フィルム製造装置Mは、真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1の内部には仕切り板11が設けられ、この仕切り板11により処理室10aとその両側に位置する準備室10bとに仕切られている。仕切り板11には、シート状基材Sを搬送するための開口12が開設されている。また、処理室10aの底部には、真空ポンプPが接続され、処理室10a及び準備室10bを真空引きできるようになっている。
準備室10bには、繰出ローラ2と、この繰出ローラ2と同一構造を有する図示省略の巻取ローラとが夫々収納されている。処理室10aには、繰出ローラ2と巻取ローラとの間に位置する複数(本実施形態では4つ)のドラム3,3,3,3(図1には2つのドラム3,3のみを示す)と、これらのドラム3,3に基材Sを案内する中間ローラ4とが収容されている。そして、シート状基材Sをドラム3,3の周面に所定の抱き角で巻回させた状態で、繰出ローラ2から巻取ローラに搬送するようにしている。尚、ドラム3は、その内部に流す冷却媒体により周面が冷却されるようになっている。
処理室10aには、シート状基材Sが巻回されるドラム3,3の周面部分に夫々対向するように並設される、オイル層形成部5,5と、第1の電極膜形成部6,6と、第2の電極膜形成部7,7と、樹脂転写部8,8と、樹脂硬化部9,9とが配置されている。
オイル層形成部5,5は、基材表面に所定の厚さのオイル層を形成するものであり、貯留容器に貯留されたオイルを基材表面に塗布する場合に用いる塗布手段や気化させたオイルを基材表面に噴射してこの基材表面でオイルを液化させる場合に用いる気化手段及び噴射手段を備える。これらの手段としては公知のものを用いることができるため、ここではその詳細な説明を省略する。オイルとしては、例えば、パーフルオロエーテル等を用いることができる。
第1の電極膜形成部6,6としては、スパッタリング(以下「スパッタ」という。)法で第1の金属電極膜を成膜する場合に用いるターゲットを有するスパッタカソード、蒸着法で第1の金属電極膜を成膜する場合に用いる金属材料を収納した坩堝、又は、蒸着法で第1の金属電極膜を成膜する場合に用いるボート(もしくは坩堝)や金属材料供給用のノズルを備える。このボートはヒータを内蔵し、ノズルからフィードされた金属材料を加熱できるようになっている。これらのターゲットや金属材料としては、フィルムコンデンサの充放電特性等を考慮して、例えば、Al,Cu,Ag,Au,Zn,Sn,Bi,Cr,Mo及びWのうちから選択される少なくとも1種の金属またはそれを含む合金からなるものを用いることができる。
第2の電極膜形成部7,7としては、蒸着法で第2の金属電極膜を成膜する場合に用いる金属材料を収納した坩堝、又は、スパッタ法で第2の金属電極膜を成膜する場合に用いるターゲットを有するスパッタカソードを備える。この坩堝はヒータを内蔵し、収納した金属材料を加熱して蒸発させることができるようになっている。坩堝から蒸発した又はスパッタされた金属の通過を許容する開口が開設された図示省略の平板状のマスクが、坩堝とドラム3,3との間に設けられている。この金属材料としては、上記第1の電極膜形成部6,6と同様に、例えば、Al,Cu,Ag,Au,Zn,Sn,Bi,Cr,Mo及びWのうち少なくとも1種の金属またはそれを含む合金からなるものを用いることができる。なお、第2の電極膜形成部7,7により形成される第2の金属電極膜は、フィルムコンデンサのヘビーエッジを構成する。
樹脂形成部8,8は、液体樹脂を貯留する貯留容器8aと、液体樹脂を転写する版ローラ8bと、貯留容器8aに貯留された液体樹脂を版ローラ8bに供給する供給ローラ8cとで構成される。これら版ローラ8b及び供給ローラ8cを図示省略のモータ等の駆動手段により回転駆動することで、基材表面に液体樹脂が形成される。液体樹脂としては、フィルムコンデンサの容量等を考慮して、例えば、アクリレート系モノマー液体樹脂を用いることができ、具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートを用いることができる。液体樹脂硬化部9,9は、電子ビームにより液体樹脂を硬化させる場合に用いる電子ビーム照射手段、UV光により液体樹脂を硬化させる場合に用いるUV光照射手段、又は熱(輻射熱)により液体樹脂を硬化させる加熱手段を備える。これらの電子ビーム照射手段、UV光照射手段及び加熱手段としては公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
金属化フィルム製造装置Mは、図示省略のコンピュータ、シーケンサーやドライバー等を備えた制御手段たる制御ユニットを備え、金属化フィルム製造装置Mを構成する各種の作動部品や手段の動作が統括制御されるようになっている。以下、図2を参照して、上記金属化フィルム製造装置を用いた金属化フィルムの製造方法について、シート状基材Sの表面に金属電極膜たるAl電極膜と誘電体膜たる硬化樹脂膜とを交互に積層する場合を例に説明する。
繰出ローラ2から図示省略の巻取ローラにドラム3,3を介してシート状基材Sを搬送しつつ、第1のドラム3に巻回されたシート状基材Sの一方の面(図2では上面)に、オイル層形成部5により液体のオイルを塗布することでオイル層51が形成される(第1工程)。次いで、オイル層51をマスクとして基材S表面に、第1の電極膜形成部6により第1の金属電極膜たるAl電極膜61が蒸着法により形成される(第2工程)。この第2工程では、第1の電極膜形成部6の加熱されたボートにノズルからワイヤ状のAl材料がフィードされる。これにより、Al材料が加熱され蒸発し、その蒸発したAl粒子が基材Sに付着堆積することで、Al電極膜61が成膜される。このとき、上記第1工程で形成されたオイル層51が揮発して消失し、この消失部分がマージンとなる(図2ではオイル層51を示す)。
次いで、Al電極膜61の表面に、第2の電極膜形成部7により第2の金属電極膜たるZn電極膜71が蒸着法により形成される(第3工程)。この第3工程では、坩堝に収納されたZnをヒータにより加熱蒸発させ、この蒸発させたZnがマスクの開口を通ってAl電極膜61表面に付着堆積することで、基材Sの幅方向に一定間隔で長手方向にのびるZn電極膜71が成膜される。尚、坩堝に収容されたZnを誘導加熱方式や電子ビーム加熱方式で蒸発させてもよい。また、Zn電極膜71をスパッタ法で成膜してもよい。
そして、隣接するZn電極膜71の間に、樹脂形成部8により液体樹脂が介在され、この液体樹脂が樹脂硬化部9により硬化されて誘電体膜81が形成される(第4工程)。この第4工程では、樹脂形成部8の版ローラ8bにより液体樹脂が転写され、この転写された液体樹脂に対して樹脂硬化部9からUV光が照射されることで、液体樹脂が硬化して誘電体膜(硬化樹脂膜)81となる。このように、第1のドラム3に巻回されたシート状基材Sに対して上記第1〜第4工程の処理が施される。
更に、シート状基材Sを搬送しつつ、第2のドラム3に巻回されたシート状基材Sに対して、上記第1〜第4工程の処理が再度繰り返される。第1工程では、基材Sの誘電体膜81が形成された面に、オイル層形成部5により液体のオイルを塗布することでオイル層52が形成される。このとき、Zn電極膜71の上面を含む誘電体膜81の上面に、Zn電極膜71よりも広い幅のオイル層52が形成される。第2工程では、オイル層52をマスクとして誘電体膜81表面に、第1の電極膜形成部6により第1の金属電極膜たるAl電極膜62が蒸着法により形成される。このとき、オイル層52が気化して消失し、この消失部分がAl電極膜62のマージンとなる(図2ではオイル層52を示す)。次いで、第3工程では、上記オイル層51の上方に位置するAl電極膜62の表面に、第2の電極膜形成部7により第2の金属電極膜たるZn電極膜72が蒸着法により形成される。第4工程では、隣接するZn電極膜72の間に、樹脂形成部8により液体樹脂が介在され、この液体樹脂が樹脂硬化部9のUV光照射により硬化して誘電体膜82となる。以上の工程を得ることで、図2に示すように、Al電極膜61,62と誘電体膜81,82とが交互に積層された積層構造体が得られる。
更に、図示省略の第3及び第4のドラムに巻回されたシート状基材S対して、上記第1〜第4工程と同様の処理を繰り返し実行する。これにより、図3に示すように、Al電極膜61,62,63,64と誘電体膜81,82,83,84とが交互に積層された積層構造体が得られる。そして、この積層構造体を図3中の一点鎖線で示す位置(マージン部分)で切断し、各切断面に金属溶射(メタリコン)により外部電極を形成することで、フィルムコンデンサが得られる。この得られたフィルムコンデンサでは、外部電極と接する第2の金属電極膜たるZn電極膜71、72,73,74が夫々ヘビーエッジとなり、電極膜と外部電極との間で優れたコンタクトが得られ、充放電時の損失を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、オイル層51,52をマスクとしてAl電極膜61,62を形成し、オイル層51,52を除去してAl電極膜61,62のマージンとした。このため、従来例の如く金属電極膜の一部にレーザを照射する複雑な工程が不要となる。しかも、Al電極膜61,62を形成する第2工程においてオイル層51,52を揮発させて除去できるため、従来例の如く金属電極膜を形成するたびにレーザを照射する場合に比べて製造工程数が少なくなり、製造コストを低減できる。さらに、金属化フィルムを製造するための各工程を真空雰囲気中で一貫して行うことができるため、金属化フィルムに大気中の水分やダストが取り込まれず、品質に優れたフィルムコンデンサを製造することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、積層型のフィルムコンデンサを作製する場合について説明したが、巻回型のフィルムコンデンサを作製する場合にも本発明を当然に適用することができる。
また、上記実施形態では、処理室10a内に4つのドラムを設けた場合について説明したが、Al電極膜及び誘電体膜の積層する回数に応じてドラムの数を適宜設定することができる。
S…シート状基材、1…真空チャンバ、2…繰出ローラ、3,3…ドラム、5,5…オイル層形成部、6,6…オイル層形成部、7,7…第1の電極膜形成部、8,8…樹脂形成部、9,9…樹脂硬化部、51,52,53,54…オイル層、61,62,63,64…Al電極膜(第1の金属電極膜)、71,72,73,74…Zn電極膜(第2の金属電極膜)、81,82,83,84…誘電体膜。

Claims (2)

  1. 長尺のシート状基材の表面に誘電体膜と金属電極膜とを交互に積層してフィルムコンデンサ用の金属化フィルムを作製する金属化フィルム製造方法において、
    基材の一方の面に直接または間接にオイル層を形成する第1工程と、
    前記オイル層をマスクとして第1の金属電極膜を形成すると共に、前記オイル層を気化させる第2工程と、
    前記第1の金属電極膜の表面に、基材の幅方向に一定間隔で長手方向にのびる第2の金属電極膜を形成する第3工程と、
    隣接する第2の金属電極膜までの間に液体樹脂を介在させ、この介在させた液体樹脂を硬化させて誘電体膜を形成する第4工程と、を含み、
    前記第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程をこの順番で繰り返し実行し、
    2回目以降の第1工程において、第2の金属電極膜の上面を含む誘電体膜の上面に、第2の金属電極膜よりも広い幅のオイル層を形成することを特徴とする金属化フィルムの製造方法。
  2. 前記オイル層がパーフルオロポリエーテルからなることを特徴とする請求項1記載の金属化フィルムの製造方法
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