JPH09102435A - 金属蒸着フィルムの製造方法および製造装置 - Google Patents

金属蒸着フィルムの製造方法および製造装置

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JPH09102435A
JPH09102435A JP7260575A JP26057595A JPH09102435A JP H09102435 A JPH09102435 A JP H09102435A JP 7260575 A JP7260575 A JP 7260575A JP 26057595 A JP26057595 A JP 26057595A JP H09102435 A JPH09102435 A JP H09102435A
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JP
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film
metal
vapor deposition
vapor
zinc
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JP7260575A
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Inventor
Hisanori Ishikawa
尚紀 石川
Takashi Uemura
剛史 植村
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Mitsubishi Shindoh Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Shindoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄い金属蒸着膜をフィルム上に蒸着する場合
において、金属蒸着膜の耐蝕性、密着性を向上する。 【解決手段】 真空下でフィルムFを走行させつつ、C
u,Ag,Al,Snから選択される金属を蒸着核蒸発
源26により蒸着して蒸着核を形成する工程と、蒸着核
を形成した面に亜鉛蒸発源28により亜鉛蒸着膜を形成
する工程と、亜鉛を蒸着したフィルムを一対のロール1
2,32で挟んで亜鉛蒸着膜を1〜30kgf/cmで
加圧する工程と、加圧された亜鉛蒸着膜上に、Si酸化
物,Ti酸化物,Zr酸化物,Sn酸化物,Y酸化物,
インジウム錫酸化物,またはMg酸化物から選択される
1種または2種以上の物質を無機酸化物蒸発源30によ
り蒸着する工程とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば金属化フィ
ルムコンデンサの製造に使用される金属蒸着フィルムの
製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の金属蒸着フィルムは、例えば、
金属化フィルムコンデンサの製造に使用されるものであ
る。金属化フィルムコンデンサは、表面にアルミニウム
または亜鉛等の金属蒸着膜が形成された長尺の樹脂フィ
ルムを2枚重ねて巻回または積層した後、この巻回体ま
たは積層体の両端に金属を溶射し、電極取り出し部を設
けてリード線を取り付け、さらに絶縁体で全体を被覆す
ることにより製造されている。
【0003】ところで、金属化フィルムコンデンサの信
頼性を高めるために、最近では金属蒸着フィルムの金属
蒸着膜をより薄くすることが望まれている。金属蒸着膜
を薄くすれば、重ね合わされた2枚のフィルムの金属蒸
着膜間に短絡が生じた場合にも、その短絡箇所の金属蒸
着膜が小さいジュール熱で局部的に蒸発し、金属蒸着フ
ィルムにダメージを与えずに短絡が解消され易くなり、
いわゆる自己回復性が向上するからである。また、金属
蒸着膜を薄肉化すれば、蒸着すべき金属量が少なくて済
むため、製造コストが削減でき、製造効率も高めること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属蒸着膜を
薄くすると、フィルムへの金属蒸着膜の密着性が悪化す
ることが避けられず、僅かな摩擦で金属蒸着膜が剥離す
るおそれが増すだけでなく、金属蒸着膜が極めて酸化し
やすくなり、大気中で保管している間に金属蒸着膜が部
分的に消失して(例えば亜鉛では酸化物へ転換され透明
になる)、所期の静電容量が得られないという問題があ
った。このような問題は、金属化フィルムコンデンサに
限らず、薄い金属膜をフィルム上に蒸着する要望のある
技術分野に共通の問題である。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、薄い金属蒸着膜をフィルム上に蒸着する場合におい
て、金属蒸着膜の耐蝕性、密着性を向上することを課題
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る金属蒸着フィルムの製造方法は、真空
下でフィルムを走行させつつ、このフィルムに金属を蒸
着して金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜が
形成されたフィルムをその厚さ方向へ加圧する工程とを
具備することを特徴とする。
【0007】前記加圧工程では、金属を蒸着したフィル
ムを一対のロールで挟んで金属蒸着膜を1kgf/cm
以上の力で加圧することが好ましい。また、加圧された
金属蒸着膜上に無機酸化物を蒸着する工程を具備しても
よい。
【0008】一方、本発明に係る金属蒸着フィルムの製
造装置は、内部が減圧される真空容器と、この真空容器
の内部でフィルムを走行させるフィルム走行機構と、走
行するフィルムに金属を蒸着するための金属蒸発源と、
金属が蒸着されたフィルムの両面を挟むための一対のロ
ールと、これらロールの少なくとも一方を他方へ向けて
加圧するための加圧手段と、加圧されたフィルムの金属
蒸着面上に無機酸化物を蒸着するための無機酸化物蒸発
源とを具備することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る金属蒸着フ
ィルムの製造装置の第1実施形態を示す概略図である。
図中符号1は真空容器であり、内部は図示しない真空ポ
ンプによって真空され、さらに必要に応じて各種のガス
を導入できるようになっている。真空容器1内には、フ
ィルムFを繰り出すアンコイラ2と、フィルムFに蒸着
処理を施してなる金属蒸着フィルムF’を巻き取るリコ
イラ4とが配置されている。アンコイラ2とリコイラ4
との間には、フィルムFをそれぞれ案内するように、ロ
ール6、ロール8、第1冷却ロール10、受圧ロール1
2、第2冷却ロール14およびロール16が順に配置さ
れ、いずれも図示しない駆動手段によりフィルム走行と
同期して回転駆動される。
【0010】ロール8と第1冷却ロール10の間には、
フィルムFに対向してオイル蒸発源24が配置されてい
る。オイル蒸発源24は、フィルムFの幅と同等の長さ
を有し、その長手方向をフィルムFの幅方向へ合わせて
配置されている。オイル蒸発源24には、その長手方向
所定間隔毎に複数のノズル(図示略)が形成され、これ
らノズルはフィルムFに垂直に向けられている。
【0011】オイル蒸発源24内には、パーフルオロポ
リエーテル等のオイルが入れられており、このオイルを
図示しないヒーターで蒸発させることにより、各ノズル
から蒸気を噴出させ、フィルムFの金属蒸着すべき面に
線状に付着させる。こうしてフィルムFの表面に、フィ
ルム長手方向に連続する複数のオイル付着部を形成する
ことにより、これらオイル付着部への金属蒸着が阻止さ
れ、コンデンサ用フィルムのマージン部(非蒸着部)が
形成される。ただし、マージン部が不必要な場合には、
オイル蒸発源24は不必要である。
【0012】第1冷却ロール10および第2冷却ロール
14は、いずれも内部に冷媒流体が循環される冷媒路を
有し、図示しない冷媒供給手段からフレオン等の冷媒が
連続供給されることにより、表面温度が常に、例えば−
10〜−30℃となるように冷却されている。但し、こ
の温度範囲に限定されることはない。
【0013】真空容器1の下部は水平な隔壁18により
仕切られている。この隔壁18には開口部20、22が
形成され、これら開口部20、22を通じて、第1冷却
ロール10および第2冷却ロール14の下端部が、隔壁
18の下方へ突き出されている。これらの突き出された
第1冷却ロール10および第2冷却ロール14の下端部
にはフィルムFが密着され、同期して搬送されるように
なっている。
【0014】第1冷却ロール10の下端部のフィルム走
行方向上流側部分と対向する位置には、蒸着核蒸発源2
6が第1冷却ロール10へ向けて配置されている。蒸着
核蒸発源26は、Cu、Ag、Al、Sn等の金属をフ
ィルムFに微量蒸着するためのものであり、真空蒸着法
またはスパッタリング法等により金属蒸気を発生させ、
フィルムFの全幅に亙って均一に金属蒸着膜を形成す
る。蒸着核蒸発源26による金属蒸着量は、後述する亜
鉛蒸発源28による亜鉛蒸着を容易化するためのもので
あるから微量でよく、例えば0.1〜5mg/m2 、よ
り好ましくは0.5〜3mg/m2 とされる。但し、こ
の蒸着量に限定されることはない。
【0015】また、第1冷却ロール10の下端部の下流
側部分と対向する位置には、亜鉛蒸発源28が第1冷却
ロール10へ向けて配置されている。亜鉛蒸発源28
は、亜鉛または亜鉛合金をフィルムFに一定の厚さに蒸
着するためのものであり、真空蒸着法またはスパッタリ
ング法により亜鉛蒸気を発生させ、フィルムFの全幅に
亙って均一に亜鉛蒸着膜を形成する。亜鉛蒸発源28に
よる亜鉛蒸着量は、例えば金属化フィルムコンデンサ製
造用の金属蒸着フィルムの場合、1.0〜100Ω/□
が好適であり、より好ましくは1.0〜50Ω/□とさ
れる。但し、この亜鉛蒸着量のみに限定されることはな
い。
【0016】本発明では、フィルムに蒸着すべき金属は
亜鉛に限定されず、如何なる金属であってもよいが、金
属化フィルムコンデンサ製造用フィルムに限って言え
ば、亜鉛(亜鉛を主組成物とする亜鉛合金を含む)を使
用した場合は以下のような利点が得られる。すなわち、
金属蒸着膜を一般に使用されているアルミニウムまたは
その合金で形成した場合、蒸着膜間で微弱なコロナ放電
が生じ易く、このコロナ放電によりコロージョンが発生
し、蒸着膜の有効面積が減少する。したがって、アルミ
ニウム蒸着膜ではコンデンサ容量の経時減少率が大きい
のであるが、亜鉛蒸着膜はこのような問題が生じない。
亜鉛蒸着膜は耐蝕性がアルミニウム蒸着膜に比して劣る
ため、薄膜化すると酸化による容量減少が従来は無視で
きなかったが、本発明の適用によりこの欠点を大幅に改
善することが可能である。
【0017】真空容器1の上部内には、フィルムFを挟
んで受圧ロール12と対向する位置に加圧ロール32が
配置され、受圧ロール12と加圧ロール32によりフィ
ルムFが挟まれている。加圧ロール32は、図示しない
軸受手段により受圧ロール12に対して接近離間する方
向へスライド可能に支持されている。また、加圧ロール
32を挟んで受圧ロール12と180゜隔てた側には、
バックアップロール34が配置され、バックアップロー
ル34、加圧ロール32、および受圧ロール12の軸線
は互いに平行に、かつ同一平面内に配置されている。
【0018】また、加圧ロール32およびバックアップ
ロール34は、フィルムFの走行に同期して、図示しな
い駆動手段により回転駆動されるようになっている。さ
らにバックアップロール34は、アーム36を介して、
油圧シリンダ等の加圧機構38により、受圧ロール12
へ接近離間する方向へ移動可能に支持されており、加圧
機構38は図示しない制御手段に接続され、無段階に付
勢力を変更できるようになっている。
【0019】受圧ロール12の外周面は、フィルムFの
金属蒸着面に当接した時に金属蒸着膜を損傷しないよう
に鏡面加工された金属で形成されている。一方、フィル
ムFの非蒸着面に当接する加圧ロール32の表面は、弾
性のある平滑面とされている。加圧ロール32の少なく
とも外周部を形成する材質としては、各種ゴムやエラス
トマーが例示できる。加圧ロール32の外周面の硬さは
好ましくは、JISK6301の5に規定されているゴ
ム硬さ試験方法において85以上とされ、さらに好まし
くは90〜95とされる。85未満であると加圧ロール
32が柔らかすぎて加圧時にフィルムFに皺を生じるお
それがある。
【0020】加圧ロール32のフィルムFへの加圧力は
限定されることはないが、好ましくは1〜30kgf/
cm、より好ましくは2〜10kgf/cmとされる。
上記値は、フィルムFの幅方向1cm当たりの加圧力で
あって、面積あたりの値ではない。面積あたりの加圧力
は、フィルムFの材質や加圧ロール32および受圧ロー
ル12の各外径、加圧ロール32の表面硬度によって変
化するため正確な規定は困難だからである。
【0021】加圧ロール32による加圧部位におけるフ
ィルムFの温度は特に限定されないが、フィルムFが変
形しない温度範囲が好ましい。
【0022】フィルムFの材質となるプラスチックは限
定されないが、一般的には、ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリカーボネイ
ト,ポリ4フッ化エチレン,ポリエチレン,ポリフェニ
レンサルファイド,ポリフッ化ビニリデンから選択され
る1種、または2種以上を積層して形成されたものなど
が例示できる。フィルムFの厚さは用途に応じて適宜設
定される。
【0023】第2冷却ロール14のフィルム巻回面と対
向する位置には、無機酸化物蒸発源30がフィルムFに
向けて配置されている。無機酸化物蒸発源30は、加圧
ロール32により安定化された亜鉛蒸着膜の耐蝕性をさ
らに向上するために、Si酸化物,Ti酸化物,Zr酸
化物,Sn酸化物,Y酸化物,インジウム錫酸化物,M
g酸化物から選択される1種または2種以上の物質を亜
鉛蒸着膜上に蒸着するためのものである。
【0024】無機酸化物蒸発源30による無機酸化物蒸
着量は限定されるものではないが、好ましくは0.1〜
10mg/m2 、さらに好ましくは0.2〜3mg/m
2 とされる。無機酸化物蒸着膜の厚さが0.1mg/m
2 未満では耐蝕性向上の効果が得られず、10mg/m
2 より厚くてもコストがかかるのみでそれ以上の改善は
見られない。無機酸化物蒸発源30における蒸気発生方
法は、真空蒸着法であっても高周波マグネトロンスパッ
タ法等のスパッタ法であってもよい。
【0025】なお、無機酸化物蒸発源30により形成さ
れる無機酸化物蒸着膜の厚さが0.3mg/m2 (質量
膜厚1.5オングストローム程度)にまで薄いと、無機
酸化物蒸着膜は緻密な膜ではなく多孔膜になると考えら
れる。このような多孔膜であっても耐蝕性向上効果が得
られる理由は、亜鉛蒸着膜の表面の結合エネルギーの大
きな箇所(キンク,ステップ等)に無機酸化物が選択的
に結合し、酸化物の生成・生長を防止するためであると
考えられる。本発明においては、加圧によりキンクやス
テップの密度が減少すると推察されるため、比較的少量
の無機酸化物蒸着量で顕著な耐蝕性向上効果が得られ
る。
【0026】次に、上記構成からなる装置を用いた金属
蒸着フィルムの製造方法の実施形態を説明する。アンコ
イラ2、ロール8、第1冷却ロール10、受圧ロール1
2、加圧ロール32、バックアップロール34、第2冷
却ロール14、およびリコイラ4を全て同期させて回転
駆動する。アンコイラ2から繰り出されたフィルムFに
は、まずオイル蒸発源24のノズルから噴出するオイル
が吹き付けられ、複数の線状をなすオイル付着部が形成
される。
【0027】オイルが付着したフィルムFは第1冷却ロ
ール10に巻回され、この巻回部分の上流位置におい
て、蒸着核蒸発源26により微量のCu等の金属核が均
一な密度で蒸着される。その直後に、亜鉛蒸発源28に
より一定厚さの亜鉛蒸着膜が形成される。
【0028】亜鉛蒸着膜が形成されたフィルムFは、亜
鉛蒸着膜側を受圧ロール12に向けた状態で、加圧ロー
ル32と受圧ロール12とに挟み込まれる。加圧ロール
32はバックアップロール34を介して加圧機構38に
より受圧ロール12側へ付勢されており、蒸着直後の不
安定状態にある亜鉛蒸着膜は、鏡面加工された受圧ロー
ル12とフィルムFとの間に挟まれて均一に加圧され
る。これにより、蒸着膜中の亜鉛原子の配列が緻密化さ
れ、亜鉛蒸着膜のフィルムFへの付着強度及び亜鉛蒸着
膜の耐蝕性が向上する。
【0029】亜鉛蒸着膜が安定化されたフィルムFは次
に、強制冷却されている第2冷却ロール14に巻かれ、
これに密着した状態で無機酸化物蒸発源30から蒸気を
吹き付けられ、亜鉛蒸着膜上に無機酸化物蒸着膜が形成
される。無機酸化物蒸着膜が形成され完成した金属蒸着
フィルムF’はリコイラ4に順次巻き取られていく。
【0030】上記構成からなる金属蒸着フィルムの製造
装置および製造方法によれば、加圧ロール32によって
蒸着直後の亜鉛蒸着膜を厚さ方向へ加圧することによ
り、亜鉛蒸着膜中の原子配列を安定化し、亜鉛蒸着膜の
耐蝕性およびフィルムFへの蒸着膜密着性を向上するこ
とが可能である。よって、金属蒸着フィルムF’を保管
している間に亜鉛蒸着膜が消失したり、金属蒸着フィル
ムF’の亜鉛蒸着膜が剥離したりする不都合が防止でき
る。さらに、この実施形態では亜鉛蒸着膜上に無機酸化
物蒸着膜を形成しているため、加圧による蒸着膜安定化
と相まって、いっそうの耐蝕性向上が図れる。
【0031】なお、受圧ロール12および加圧ロール3
2を第2冷却ロール14よりも下流側に設けることによ
り、無機酸化物蒸着膜を形成した後のフィルムFを加圧
する構成も可能であるが、この場合には加圧による亜鉛
蒸着膜の安定化効果が若干減少する。但し、効果がない
わけではない。
【0032】[第2実施形態]図2は、本発明に係る金
属蒸着フィルムの製造装置の第2実施形態を示してい
る。先の第1実施形態では、第1冷却ロール10に対向
して、蒸着核蒸発源26および亜鉛蒸発源28が配置さ
れていたが、第2実施形態では、第1冷却ロール10の
上流側に独立した冷却ロール40が配置され、この冷却
ロール40に対向する箇所に蒸着核蒸発源26が配置さ
れている。他の構成に関しては実質的な変更ではないの
で、先の実施形態と同一の符号を付して説明を省略す
る。
【0033】この装置を用いた金属蒸着フィルムの製造
方法も、先の実施形態の方法と実質的な差異はない。但
し、独立の冷却ロール40を設けたことにより、蒸着核
を蒸着する時のフィルム温度と、亜鉛蒸着膜を形成する
ときのフィルム温度とを独立してコントロールできる利
点を有する。
【0034】
【実施例】図1に示す構成の装置を用いて、厚さ6μ
m、幅500mmのPETフィルムに、銅および亜鉛を
順に真空蒸着法により蒸着し(この実験では無機酸化物
は蒸着しない)、その際の亜鉛蒸着膜の厚さ、および、
加圧ロール32による加圧力を種々変更して、亜鉛蒸着
膜の耐蝕性の変化を調べた。
【0035】銅蒸着量はいずれの場合も1.0mg/m
2 とし、亜鉛蒸着膜の厚さは、その抵抗値が3.5、8.
5、20Ω/□となるように設定した。また、加圧ロー
ル32によるフィルム加圧力は、0(加圧ロール32を
フィルムFに当接させない)、0.5、1.0、2.0、
5.0、10、20、30、40(kgf/cm)にそ
れぞれ変化させた。加圧ロール32の外径は80mm、
加圧ロール32の表面はJISK6301の5に規定さ
れているゴム硬さ試験方法による硬さが90のNBRゴ
ムで形成した。蒸着法はいずれも真空蒸着法を使用し
た。
【0036】次に、リコイラ4に巻き取られたフィルム
を広げて、85℃、相対湿度80%RHの条件下で3時
間恒温恒湿槽中に配置し、蒸着膜の腐蝕度を比較した。
評価基準は以下の通りである。 ×:金属蒸着膜の消失が著しい。 △:部分的な腐蝕孔があり、金属蒸着膜が薄く見える。 ○:極く僅かに腐蝕孔が見える。 ◎:金属蒸着膜に変化無し。 その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示すように、亜鉛蒸着膜が薄い場合
にも、加圧力を増大することにより良好な耐蝕性が得ら
れることが判明した。
【0039】[実験2]実験1と同じ装置を用いて、実
験1と同じPETフィルムに、銅蒸着核、亜鉛蒸着膜、
およびSiO蒸着膜を順に真空蒸着法により蒸着し、そ
の際の加圧ロール32による加圧力、およびSiO付着
量を種々変更して、亜鉛蒸着膜の耐蝕性の変化およびフ
ィルムFの皺発生の有無を調べた。
【0040】銅蒸着量はいずれの場合も1.0mg/m
2 とし、亜鉛蒸着膜の厚さは抵抗値が8.5 /□となる
ように設定した。また、加圧ロール32によるフィルム
加圧力は、0(加圧ロール32をフィルムFに当接させ
ない)、0.5、1.0、2.0、5.0、10、20、3
0、40(kgf/cm)にそれぞれ変化させた。その
結果を表2に示す。耐蝕性の実験方法および評価方法は
実験1と同じである。
【0041】
【表2】
【0042】表2に示すように、加圧力が大きければS
iO付着量が少なくても良好な耐蝕性が得られることが
判明した。また、40kg/cm以上の加圧力ではフィ
ルムFに皺が発生するおそれがあることが確かめられ
た。表中、太線で囲った領域はより好ましいと判断され
た領域である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る金属
蒸着フィルムの製造方法および装置によれば、蒸着直後
の金属蒸着膜を厚さ方向へ加圧することにより、金属蒸
着膜の耐蝕性およびフィルムへの密着性を向上すること
ができる。したがって、金属蒸着膜が薄い場合にも、金
属蒸着膜の保管中の酸化や剥離を抑制することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属蒸着フィルム製造装置の第1
実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る金属蒸着フィルム製造装置の第2
実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 アンコイラ 4 リコイラ 10,14,40 冷却ロール 12 受圧ロール 18 隔壁 24 オイル蒸発源 26 蒸着核蒸発源 28 亜鉛蒸発源 30 無機酸化物蒸発源 32 加圧ロール 34 バックアップロール 38 加圧機構 F フィルム F’ 金属蒸着フィルム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空下でフィルムを走行させつつ、この
    フィルムに金属を蒸着して金属蒸着膜を形成する工程
    と、 前記金属蒸着膜が形成されたフィルムをその厚さ方向へ
    加圧する工程とを具備することを特徴とする金属蒸着フ
    ィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 真空下でフィルムを走行させつつ、この
    フィルムに金属を蒸着する工程と、 前記工程に連続して真空下で、金属を蒸着した前記フィ
    ルムを一対のロールで挟んで金属蒸着膜を1kgf/c
    m以上の力で加圧する工程とを具備することを特徴とす
    る金属蒸着フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 真空下でフィルムを走行させつつ、この
    フィルムに金属を蒸着する工程と、 前記工程に連続して真空下で、金属を蒸着した前記フィ
    ルムを一対のロールで挟んで金属蒸着膜を加圧する工程
    と、 前記加圧された金属蒸着膜上に無機酸化物を蒸着する工
    程とを具備することを特徴とする金属蒸着フィルムの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 真空下でフィルムを走行させつつ、この
    フィルムに亜鉛を蒸着する工程と、 前記工程に連続して真空下で、亜鉛を蒸着した前記フィ
    ルムを一対のロールで挟んで亜鉛蒸着膜を1〜30kg
    f/cmの力で加圧する工程と、 前記加圧された亜鉛蒸着膜上に無機酸化物を0.1〜1
    0mg/m2 の密度で蒸着する工程とを具備することを
    特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 真空下でフィルムを走行させつつ、この
    フィルムにCu,Ag,Al,Snから選択される1種
    または2種以上の金属を蒸着して蒸着核を形成する工程
    と、 前記工程に連続して真空下で、前記フィルムの前記蒸着
    核を形成した面に、亜鉛を蒸着して亜鉛蒸着膜を形成す
    る工程と、 前記亜鉛蒸着工程に連続して真空下で、亜鉛を蒸着した
    前記フィルムを一対のロールで挟んで亜鉛蒸着膜を1〜
    30kgf/cm以上の力で加圧する工程と、 前記加圧された亜鉛蒸着膜上に、Si酸化物,Ti酸化
    物,Zr酸化物,Sn酸化物,Y酸化物,またはインジ
    ウム錫酸化物から選択される1種または2種以上の物質
    を蒸着する工程とを具備することを特徴とする金属蒸着
    フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一対のロールのうち、フィルムの金
    属蒸着面に当接するロールの表面は鏡面加工された金属
    で形成され、フィルムの非蒸着面に当接するロールの表
    面は弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項
    2〜5のいずれかに記載の金属蒸着フィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 内部が減圧される真空容器と、この真空
    容器の内部でフィルムを走行させるフィルム走行機構
    と、走行するフィルムに金属を蒸着するための金属蒸発
    源と、金属が蒸着されたフィルムの両面を挟むための一
    対のロールと、これらロールの少なくとも一方を他方へ
    向けて加圧するための加圧手段と、加圧されたフィルム
    の金属蒸着面上に無機酸化物を蒸着するための無機酸化
    物蒸発源とを具備することを特徴とする金属蒸着フィル
    ムの製造装置。
JP7260575A 1995-10-06 1995-10-06 金属蒸着フィルムの製造方法および製造装置 Withdrawn JPH09102435A (ja)

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