JP2004031940A - 積層体の製造方法及び積層体の製造装置 - Google Patents

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Kazuyoshi Honda
本田 和義
Noriyasu Echigo
越後 紀康
Masaru Odagiri
小田桐 優
Nobuki Sunanagare
砂流 伸樹
Toru Miyake
三宅 徹
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Abstract

【課題】周回する支持体上に、樹脂層と、真空プロセスによる金属薄膜層とを含む積層体を製造する方法において、金属薄膜層の積層の開始又は終了のための遮蔽板の移動に起因して形成される不安定な金属薄膜領域の発生を抑え、原料の無駄を少なくし、生産性を向上させる。
【解決手段】遮蔽板130の移動を支持体111の移動方向と垂直方向に行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂層と金属薄膜層とからなる積層体の製造方法及び製造装置に関するものである。詳しくは、周回する支持体上で樹脂層と金属薄膜層とを交互に積層して、積層体を製造する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂層を積層する工程と金属薄膜層を積層する工程とを一単位として、これを周回する支持体上で繰り返すことにより、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層された積層体を製造する方法は、例えば、特許文献1等で公知ある。
【0003】
樹脂層と金属薄膜層との積層体の製造方法の一例を図面を用いて説明する。
【0004】
図7は、従来の積層体の製造方法を実施するための製造装置の一例の概略を模式的に示した断面図である。
【0005】
図7において、915は真空槽、916は真空槽915内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、911は真空槽915内に設置された、図中の矢印方向に回転する円筒形状のキャンローラ、912は樹脂層形成装置、913はパターニング材料付与装置、914は金属薄膜形成装置、917はパターニング材料除去装置、918は樹脂硬化装置、919は表面処理装置、920a,920bは金属薄膜形成領域を他の領域と区別するための隔壁、922は隔壁920a,920bに設けられた開口、923は必要時以外に金属薄膜が形成されるのを防止するために開口922を閉じるための遮蔽板である。
【0006】
樹脂層形成装置912は、樹脂層を形成するための樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ911表面に向けて放出する。キャンローラ911は所定の温度に冷却されているから、樹脂材料は冷却されてキャンローラ911の外周面に膜状に堆積する。
【0007】
堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬化装置918により、電子線又は紫外線等が照射されて所望の硬度に硬化処理される。
【0008】
次いで、形成された樹脂層は、必要に応じて樹脂表面処理装置919により、酸素プラズマ処理等が施され、樹脂層表面が活性化される。
【0009】
パターニング材料付与装置913は、オイルマージンと呼ばれる手法により金属薄膜層を所定の形状にパターニングするための装置である。樹脂層上に予めパターニング材料を薄く形成した後に、金属薄膜層を蒸着などによって形成すると、パターニング材料上には金属薄膜層が形成されない。このようにして形成された金属薄膜層はパターニング部分が抜けた状態で形成されており、所望のパターンを持つ金属薄膜層を形成することが出来る。パターニング材料は、パターニング材料付与装置913内で気化されてキャンローラ911の外周面に向けて所定位置に形成された細孔から放出される。これによりパターニング材料が金属薄膜層を形成する面に予め薄くパターン塗布される。
【0010】
その後、金属薄膜形成装置914により金属薄膜層が蒸着などによって形成される。
【0011】
その後、パターニング材料除去装置917により余剰のパターニング材料が除去される。
【0012】
以上の製造装置900によれば、遮蔽板923を待避させた状態では、周回するキャンローラ911の外周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層と、金属薄膜形成装置914による金属薄膜層とが交互に積層された積層体が製造され、また、遮蔽板923が開口922を遮蔽した状態では、周回するキャンローラ911の外周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層が連続して積層された積層体が製造される。また、キャンローラ911の回転と同期させてパターニング材料付与装置913をキャンローラ911の回転軸と平行方向に移動させることにより、パターン位置の異なる金属薄膜層を形成することができる。
【0013】
このようにして、キャンローラ911の外周面上に金属薄膜層と樹脂層とからなる多層積層体を形成し、その後、積層体をキャンローラ911から取り外し、平板プレスすることにより、例えば図8のような積層体母素子930を得ることができる。図8において、931は金属薄膜層、932は樹脂層、933はパターン位置であり、矢印938はキャンローラ911の外周面の走行方向と一致する。図8の積層体母素子930は、キャンローラ911上に、層936a、層935a、層934、層935b、層936bの順に積層することにより製造される。ここで、層936a,936bは遮蔽板923を閉じて樹脂層のみを連続して積層した層であり、層934及び層935a,935bは、遮蔽板923を待避させて、金属薄膜層と樹脂層とを交互に積層した層である。また、層934は、キャンローラ911の回転と同期させて1回転ごとにパターン位置を変更して積層してある。
【0014】
この積層体母素子930を、例えば切断面939a,939bで切断し、切断面939aに外部電極を形成することにより、図9に示すようなチップコンデンサ940を多数得ることができる。図9において、941a,941bは金属薄膜層931と電気的に接続して形成された外部電極である。
【0015】
【特許文献1】
特開平10−237623号公報(特願平9−45591号)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記において、図8に示した積層体母素子930を製造する場合、最初に層936aを積層するときは遮蔽板923を閉じておき、層935aの積層を開始する際に遮蔽板923を待避させる。遮蔽板923を待避させた状態で、層935a、層934、層935bを順に積層していき、層936bの積層を開始する際に遮蔽板923を再び閉じる必要がある。このような遮蔽板923の開閉操作は、一般にキャンローラ911を回転させながら行なわれる。
【0017】
このときの遮蔽板923の開閉は、図7に示したように、キャンローラ911の外周面の移動方向と略平行方向に遮蔽板923を移動することにより行なっていた。従って、遮蔽板923の移動方向及び移動速度と、キャンローラ911の外周面の移動方向及び移動速度の関係によっては、遮蔽板923の開閉動作過程時に形成される金属薄膜層(金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部)が所定の厚みに形成されなかったり、厚みが不均一になる問題があった。
【0018】
例えば、図7の装置において遮蔽板923を待機状態から閉じる操作を行なう場合、遮蔽板923の移動速度がキャンローラ911の外周面の移動速度と略同一であると、遮蔽板923の移動途中に形成される金属薄膜層は、開口922のキャンローラ911の外周面の移動方向の開口幅が狭くなるために厚みが薄くなり、開口幅が狭くなる結果、蒸着量が不安定となるために、厚みむらが大きくなる。しかも、このような金属薄膜領域がキャンローラ911の外周方向に一定の広がりをもって形成されてしまう。
【0019】
所定の厚みより薄く、かつ厚みむらが大きな金属薄膜領域が積層体母素子930の積層中に存在すると、その部分での密着性が悪く、層間剥離を生じる。層間剥離は例えば金属薄膜層の酸化を招き、最終的に得られる電子部品等の品質が低下し、歩留まりを低下させる。
【0020】
電子部品の品質管理の観点からは、積層体母素子において、遮蔽板923の開閉時に形成される不安定な金属薄膜領域を含む部分を廃棄してしまう必要があるが、廃棄部分が多くなり、原料の無駄と歩留まりの悪化を招いていた。
【0021】
本発明は、上記の従来の問題点を解決し、遮蔽板の移動に起因して積層体母素子中に形成される不安定な金属薄膜領域の発生を抑え、またはその大きさを小さくすることにより、原料の無駄を少なくし、生産性を向上させることができる積層体の製造方法、及び製造装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために以下の構成とするものである。
【0023】
即ち、本発明にかかる積層体の製造方法は、樹脂層を積層する工程と、金属材料を真空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を積層する工程とを有し、これらを周回する円筒ドラム又はエンドレスベルトからなる支持体上で行うことにより前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造するに際し、前記金属薄膜層の積層の開始又は終了を金属材料供給源と支持体との間に設置された遮蔽板を移動することにより行う積層体の製造方法であって、前記遮蔽板の移動を支持体の前記遮蔽板と対向する面の移動方向と略垂直方向に行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる積層体の製造装置は、真空槽と、前記真空槽内に設置された周回する円筒ドラム又はエンドレスベルトからなる支持体と、前記支持体上に樹脂層を積層する樹脂層形成装置と、前記支持体上に真空プロセスにより金属薄膜層を積層する金属薄膜形成装置とを有し、前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とからなる積層体を製造するための装置であって、前記金属薄膜形成装置と前記支持体との間に、金属薄膜層の積層を防止するための遮蔽板が、前記支持体の前記遮蔽板と対向する面の移動方向と略垂直方向に移動可能に設置されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の上記の各構成によれば、遮蔽板を支持体の移動方向と略垂直方向に移動させるので、金属薄膜層の積層の開始時及び終了時に、金属薄膜層の厚みが薄かったり、厚みむらが大きかったりする不安定領域の発生を抑えることができる。この結果、生産性が向上し、また、高品質の積層体が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の積層体の製造方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【0028】
図1において、115は真空槽、116は真空槽115内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、111は真空槽115内に設置された、図中の矢印111aの方向に回転する円筒形状のキャンローラ、112は樹脂層形成装置、113はパターニング材料付与装置、114は金属薄膜形成装置(金属材料供給源)、117はパターニング材料除去装置、118は樹脂硬化装置、119は表面処理装置、120は金属薄膜形成領域を他の領域と区別するための隔壁、121は隔壁120に設けられた開口、130は必要時以外に金属薄膜が形成されるのを防止するために開口121を閉じるための遮蔽板、131は遮蔽板130に設けられた開口である。なお、説明の便宜のために、図示したように、紙面左右方向(水平方向)をX軸、紙面上下方向(鉛直方向)をY軸、紙面に垂直方向(キャンローラ111の回転軸方向)をZ軸とする。
【0029】
図2は、図1の遮蔽板130、金属薄膜形成装置114、及び開口121の概略構成を示した斜視図である。図2では、遮蔽板130の構造が明確になるように、隔壁120及びその開口121は2点鎖線で描いてある。また、図3は、図2に示した遮蔽板の概略構成図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【0030】
図2に示したように、隔壁120は、金属薄膜形成装置114からの金属蒸気又は金属粒子114aを通過させ、図示しないキャンローラに所定幅で付着させるための開口121を有する。
【0031】
一方、遮蔽板130は、図3に示したように、略長方形の板状部材からなり、中央部に開口131が形成され、その両側に遮蔽領域132a,132bを有する。各遮蔽領域132a,132bは隔壁120の開口121を完全に覆うことができる程度の大きさを有する。
【0032】
遮蔽板130は、図2に示したように、Z軸と平行な矢印139の方向に移動可能に設置される。遮蔽板130の開口131を隔壁120の開口121に一致するように配置すると、金属薄膜形成装置114からの金属蒸気又は金属粒子114aをキャンローラの表面に付着させ、金属薄膜を形成することができる。また、遮蔽板130の遮蔽領域132a,132bのいずれかを隔壁120の開口121に一致するように配置すると、金属薄膜形成装置114からの金属蒸気又は金属粒子114aは遮蔽領域132a又は132bに遮られて、金属薄膜層の形成を防止することができる。
【0033】
即ち、本実施の形態においては、金属薄膜層を積層しない場合には、開口121を遮蔽領域132a又は132bで遮蔽しておき、金属薄膜層の積層を開始する場合には、遮蔽板130を移動方向139の向きに移動させて、開口121に遮蔽板の開口131を一致させる。また、金属薄膜層の積層を終了させる場合には、遮蔽板130を移動方向139の向きに移動させて、開口121を遮蔽領域132a又は132bで遮蔽する。
【0034】
図4は、図1〜図3の装置を用いて、開口121を遮蔽領域132aで遮蔽して樹脂層を連続積層した後、遮蔽板130をZ軸の正の方向に移動させて開口121に開口131を一致させ、金属薄膜層の積層を開始した場合の、キャンローラ上の金属薄膜層の積層開始部の状態を模式的に示した図である。図4(A)はキャンローラ上に形成される薄膜積層体を示した斜視図であり、図4(B)は、(A)の薄膜積層体の展開図である。図中、111aはキャンローラ111の回転方向を示し、111bはこのときのキャンローラ111の外周面の移動方向を示す。140は樹脂層のみの連続積層部、141は最外層の樹脂層、142は樹脂層141上に積層された金属薄膜層、143は金属薄膜層142の積層開始部である。
【0035】
図示したように、遮蔽板をZ軸の正の方向に移動させるので、樹脂連続積層部140の端部144a側から金属薄膜層の積層が開始され、遮蔽板130の開口131が開口121に完全に一致するとき(即ち、開口121が全開するとき)、端部144b近傍の金属薄膜層の積層が開始される。この間、キャンローラ111の回転速度及び遮蔽板130の移動速度をそれぞれ一定に維持すると、金属薄膜層142の積層開始部143は、展開図(図4(B))上で略直線状となる。
【0036】
また、開口121及び開口131がいずれも矩形状を有し、対応する各辺が略平行になるように配置し、かつ、遮蔽板130をキャンローラの外周面の移動方向に対して直角方向(Z軸方向)に移動させるので、新たに積層が開始される領域のキャンローラの外周面の移動方向(111b方向)幅は常に開口121及び131のキャンローラの外周面の移動方向幅と一致する。従って、積層開始部143からほぼ所定の厚みを有する金属薄膜層142が形成される。即ち、本実施の形態によれば、積層開始部143に、従来のように厚みが薄かったり、厚みむらが大きかったりする不安定な金属薄膜層領域はほとんど形成されないか、形成されたとしてもその幅はごくわずかとなる。
【0037】
更に、金属薄膜層と樹脂層とからなる交互積層体を積層後、金属薄膜層の積層を終了し、再び樹脂層のみからなる連続層を積層する場合、遮蔽板130を、金属薄膜層の積層開始時と同方向に更に移動させて開口121を遮蔽するのが好ましい。即ち、上記の例であれば、遮蔽板130をZ軸の正の方向に移動させ、開口121を遮蔽領域132bで遮蔽する。このときの金属薄膜層の積層終了部の状態を図5に示す。図5(A)はキャンローラ上に形成される薄膜積層体を示した斜視図であり、図5(B)は、(A)の薄膜積層体の展開図である。図中、140’は樹脂層と金属薄膜層との交互積層部、141は最外層の樹脂層、142は金属薄膜層、143’は金属薄膜層142の積層終了部である。
【0038】
図示したように、遮蔽板をZ軸の正の方向に移動させるので、交互積層部140’の端部144a側から金属薄膜層の積層が終了し、開口121が完全に遮蔽されるとき、端部144b近傍の金属薄膜層の積層が終了する。この間、キャンローラ111の回転速度及び遮蔽板130の移動速度をそれぞれ一定に維持すると、金属薄膜層142の積層終了部143’は、展開図(図5(B))上で略直線状となる。
【0039】
このように、遮蔽板の移動方向を、金属薄膜形成時と終了時とで同一とすることにより、積層開始部143と積層終了部143’の傾斜方向を同一方向とすることができる。更に、金属薄膜層の積層の開始時と終了時とで、遮蔽板の移動速度とキャンローラの回転速度を一致させることにより、その傾きまでも一致させることができる。
【0040】
更に、金属薄膜層の積層の開始時と終了時とで、遮蔽板の移動の開始タイミングをキャンローラの回転位置に同期させることにより、積層開始部143と積層終了部143’の積層体の積層方向の位置を略同一位置にすることが可能である。例えば、キャンローラ上に形成された積層体母素子から電子部品を製造するような場合、一般に、製品内に積層開始部143又は積層終了部143’を含むと不良品となる可能性が高い。従って、積層開始部143と積層終了部143’とを厚み方向で略同一位置に形成できれば、不良品となる領域が少なくなるので、生産性を向上させることができる。
【0041】
また、図5の場合も図4の金属薄膜層の積層開始時と同様に、開口121及び開口131がいずれも矩形状を有し、対応する各辺が略平行になるように配置し、かつ、遮蔽板130をキャンローラの外周面の移動方向に対して直角方向(Z軸方向)に移動させるので、積層が終了する領域のキャンローラの外周面の移動方向(111b方向)幅は常に開口121及び131のキャンローラの外周面の移動方向幅と一致する。従って、積層終了部143’近傍の金属薄膜層はほぼ所定の厚みを有する。即ち、本実施の形態によれば、積層終了部143’に、従来のように厚みが薄かったり、厚みむらが大きかったりする不安定な金属薄膜層領域はほとんど形成されないか、形成されたとしてもその幅はごくわずかとなる。
【0042】
以上から明らかなように、遮蔽板130が、図3に示したように、移動方向の略中央部に開口131を有し、その両側に遮蔽領域132a,132bを有する構成とすることにより、開口121の遮蔽・全開・遮蔽という操作を、遮蔽板130を同一方向に移動することにより行なうことができる。この結果、積層開始部143と積層終了部143’とを厚み方向で略同一位置に形成することが可能になる。
【0043】
以下に、上記以外の図1の製造装置100の各構成要素を説明する。
【0044】
真空槽115の内部は真空ポンプ116により所定の真空度に保たれている。真空槽115内の好ましい真空度は2×10−4Torr程度である。また、隔壁120で仕切られた金属薄膜形成装置114を含む空間をこれ以外の空間よりわずかに低圧に維持しておくのが好ましい。こうしておくことで、金属薄膜形成装置114からの金属蒸気流又は金属粒子流が、金属薄膜形成装置114を含む空間外に不用意に漏れ出すのを防止することができる。
【0045】
キャンローラ111の外周面は、平滑に、好ましくは鏡面状に仕上げられており、好ましくは−20〜40℃、特に好ましくは−10〜10℃に冷却されている。回転速度は自由に設定できるが、15〜100rpm程度、周速度は好ましくは20〜300m/minである。
【0046】
樹脂層形成装置112は、樹脂層を形成する樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ111表面に向けて放出する。樹脂材料は、キャンローラ111の外周面に付着して樹脂層を形成する。このような方法によれば、厚みが極めて薄く均一で、ピンホール等の欠点のない良好な樹脂層が得られる。樹脂材料としては、このように蒸発気化又は霧化した後、堆積して薄膜を形成できるものであれば特に限定されず、得られる積層体の用途に応じて適宜選択できるが、反応性モノマー樹脂であるのが好ましい。例えば、電子部品材料用途に使用する場合には、アクリレート樹脂またはビニル樹脂を主成分とするものが好ましく、具体的には、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能ビニルエーテルモノマーが好ましく、中でも、シクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルモノマー等若しくはこれらの炭化水素基を置換したモノマーが電気特性、耐熱性、安定性等の点で好ましい。樹脂材料を飛散させる手段としては、ヒータ等の加熱手段、超音波又はスプレー等による気化又は霧化させる方法が用いられる。特に、ヒータ等の加熱手段により樹脂材料を蒸発気化させる方法が、形成される樹脂層の厚み及びその均一性、欠点の発生防止、装置の簡素化の観点から好ましい。
【0047】
堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬化装置118により所望の硬化度に硬化処理してもい。硬化処理としては、樹脂材料を重合及び/又は架橋する処理が例示できる。樹脂硬化装置としては、例えば電子線照射装置、紫外線照射装置、又は熱硬化装置等を用いることができる。硬化処理の程度は、製造する積層体の要求特性により適宜変更すれば良いが、例えばコンデンサなどの電子部品用の積層体を製造するのであれば、硬化度が50〜95%、更には50〜75%になるまで硬化処理するのが好ましい。硬化度が上記範囲より小さいと、後工程において外力等が加わると容易に変形したり、金属薄膜層の破断又は短絡等を生じてしまう。一方、硬化度が上記範囲より大きいと、後工程において外力等が加わると割れるなどの問題が生じることがある。なお、本発明の硬化度は、赤外分光光度計でC=O基の吸光度とC=C基(1600cm−1)の比をとり、各々のモノマーと硬化物の比の値をとり、減少分吸光度を1から引いたものと定義する。
【0048】
本発明において、樹脂層の厚みは特に制限はないが、1μm以下、更に0.7μm以下、特に0.4μm以下であることが好ましい。本発明の方法によって得られる積層体の小型化・高性能化の要求に答えるためには樹脂層の厚みは薄い方が好ましい。例えば、本発明の製造方法により得られた積層体をコンデンサに使用する場合、誘電体層となる樹脂層は薄い方が、コンデンサの静電容量はその厚みに反比例して大きくなる。
【0049】
形成された樹脂層は、必要に応じて表面処理装置119により表面処理される。例えば、酸素雰囲気下で放電処理又は紫外線照射処理等を行って、樹脂層表面を活性化させて金属薄膜層との接着性を向上させることができる。
【0050】
パターニング材料付与装置113は、パターニング材料を樹脂層表面に所定の形状に付着させるためのものである。パターニング材料が付着した箇所には金属薄膜層は形成されず、絶縁領域(マージン部)となる。この結果、金属薄膜層はパターニング部分が抜けた状態で形成され、所望のパターンを持つ金属薄膜層を形成することが出来る。
【0051】
パターニング材料の付与の手段は、蒸発気化させたパターニング材料を微細孔から噴射して樹脂層表面で液化させる方法、または液状のパターニング材料を微細孔から液滴状に噴射する方法等の非接触付着手段の他、リーバースコート、ダイコート等の塗布による方法があるが、本発明では、樹脂層表面に外力が付与されて、樹脂層やその下の金属薄膜層の変形、破断、表面荒れなどが発生するのを防止するために、非接触付着手段が好ましい。本実施の形態では、パターニング材料付与装置113内でパターニング材料を加熱し気化させて、微細孔から噴射させ、キャンローラ111上の樹脂層表面に帯状に液膜状に付着させる手段を採る。帯状のパターニング材料の液膜は、円周方向の所定の位置に、所定の幅で、所定の数だけ形成される。このとき、キャンローラ111の回転と同期させてパターニング材料付与装置113をキャンローラ111の回転軸と平行方向に移動させることにより、パターン位置の異なる金属薄膜層を形成することができる。
【0052】
パターニング材料としては、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイル及び炭化水素系オイルよりなる群から選ばれた少なくとも一種のオイルであることが好ましい。更に好ましくは、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイルであり、特に、フッ素系オイルが好ましい。上記以外のパターニング材料を使用すると、積層表面の荒れ、樹脂層や金属薄膜層のピンホール、金属薄膜層の形成境界部分の不安定化等の問題を生じることがある。
【0053】
必要に応じてパターニング材料を付着した後、金属薄膜層形成装置114により金属薄膜層が形成される。金属薄膜層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等周知の真空プロセス手段が適用できるが、本発明では蒸着、特に電子ビーム蒸着が耐湿性の優れた膜が生産性良く得られる点で好ましい。金属薄膜層の材料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、シリコン、ゲルマニウム若しくはその化合物、若しくはこれらの酸化物、若しくはこれらの化合物の酸化物などが使用できる。中でも、アルミニウムが接着性と経済性の点で好ましい。なお、金属薄膜層には、上記以外の他成分を含むものであっても構わない。また、金属薄膜層を一種とせず、例えばAl層とCu層の混入とすることによって特性の補完がなされ、使用条件によっては高性能化が図れる場合もありうる。
【0054】
金属薄膜層の厚みは、得られる積層体の用途により適宜決定すればよいが、電子部品用途に使用する場合は、100nm以下、更に10〜50nm、特に20〜40nmであるのが好ましい。また、膜抵抗は、上限は20Ω/□以下、さらに15Ω/□以下、特に10Ω/□以下であるのが好ましく、また下限は1Ω/□以上、さらに2Ω/□以上、最適には3Ω/□以上であるのが好ましい。
【0055】
金属薄膜層を形成した後であって、樹脂層を積層する前に、残存するパターニング材料を除去することが好ましい。残存したパターニング材料は、積層表面の荒れ、樹脂層や金属薄膜層のピンホール(積層抜け)、金属薄膜層の形成境界部分の不安定化等の問題を発生させる。パターニング材料の除去は、パターニング材料除去装置117により行う。パターニング材料の除去手段は特に制限はなく、パターニング材料の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば加熱及び/又は分解により除去することができる。加熱して除去する方法としては、例えば、光照射や電熱ヒータによる方法が例示できるが、光照射による方法が装置が簡単であり、かつ除去性能も高い。なお、ここで光とは、遠赤外線及び赤外線を含む。一方、分解して除去する方法としては、プラズマ照射、イオン照射、電子照射などが使用できる。このとき、プラズマ照射は、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、窒素プラズマ等が使用できるが、この中でも特に酸素プラズマが好ましい。
【0056】
以上の装置によれば、遮蔽板130の開口131を開口121と一致させた状態では、周回するキャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成装置112による樹脂層と、金属薄膜形成装置114による金属薄膜層とが交互に積層された積層体が製造され、また、遮蔽板130が開口121を遮蔽した状態では、周回するキャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成装置112による樹脂層が連続して積層された積層体が製造される。
【0057】
次に、上記の装置を用いて例えば図9に示したようなチップコンデンサを製造する方法について説明する。
【0058】
キャンローラ111を回転させながら、キャンローラ111上に、層936a、層935a、層934、層935b、層936bの順に連続積層する。
【0059】
最初に層936aを積層するときは、開口121を遮蔽板130の遮蔽領域132a(又は132b)で遮蔽した状態で、キャンローラ111を回転させ、樹脂層のみを所定数連続積層する。
【0060】
層935aの積層を開始する際、遮蔽板130をZ軸の正の方向(又は負の方向)に移動して開口131を開口121に一致させる。同時にパターニング材料付与装置113からパターニング材料を樹脂層表面に付与する。この状態で、所定回数キャンローラ11を回転させることにより、パターニングされた金属薄膜層と樹脂層とが交互に積層された層935aが形成される。
【0061】
次に、層934の積層を開始する。この段階では、キャンローラ111が1回転するごとに、パターニング材料付与装置113をローラ111の回転軸方向に所定幅だけ往復移動させる。このようにすることで、パターン位置が隣接する層ごとに異なる金属薄膜層が形成される。
【0062】
次に、層935bの積層を行なう。このときは、パターニング材料付与装置113を層935aの積層時と同じ位置に固定したまま、所定数の積層を行なう。
【0063】
最後に、層936bの積層を行なう。このとき、遮蔽板130を、層935aの積層開始時の移動方向と同方向(Z軸の正の方向(又は負の方向))に移動して、開口121を遮蔽領域132b(又は132a)で遮蔽する。このとき、キャンローラ111の回転角度に対する遮蔽板130の移動開始のタイミング及び移動速度を、層935aの積層開始時の移動タイミング及び移動速度と一致させる。この状態でキャンローラ111を回転させて、樹脂層のみが所定数連続積層された層936bを形成する。
【0064】
以上により、キャンローラ111の外周面上に、層936a、層935a、層934、層935b、層936bが順に積層された積層体が形成される。積層体内の金属薄膜層の積層開始部143(図4参照)と金属薄膜層の積層終了部143’(図5参照)は、積層方向でほぼ同一位置に形成される。
【0065】
次に、積層体を積層方向に切断することにより、周方向に複数に分割して、キャンローラ111から取り外し、平板プレスして積層体母素子を得る。このとき、切断は、積層開始部143及び積層終了部143’と略一致する位置、又は展開したときにこれと略平行な位置で行なう。
【0066】
図6は、このようにして得られる積層体母素子の一例の平面図である。図中、111bはキャンローラ111の外周面の移動方向、151a,151bはキャンローラ111から取り外した際の分割面であり、これらは積層開始部143及び積層終了部143’と略一致するか、これらと平行である。このようにして得た積層体母素子150を、図示していない金属薄膜層のパターン位置との関係を考慮しながら、矢印111bと平行な切断面152で切断し、切断面に溶射等により外部電極を形成する。次いで、切断面153に相当する位置で切断し、必要に応じて外装コーティングを行ない図9に示したようなチップコンデンサ940を多数得る。
【0067】
上記のように、金属薄膜層の積層開始部143及び積層終了部143’を積層方向でほぼ同一位置に形成し、分割面151a,151bをこれらと略一致する位置、又は展開したときにこれと略平行な位置とすることにより、最終的に得られる良品質のコンデンサの採り量が増加して、生産性を向上させることができる。
【0068】
なお、上記の方法によれば、分割面151a,151bは矢印111bに対して傾斜しているから、略直方体形状のコンデンサを得る場合には分割面151a,151bの近傍にコンデンサの形状を構成し得ない無駄部分が発生することは避けられない。しかしながら、従来の金属薄膜層の形成の開始・終了時に発生していた金属薄膜層の不安定領域の大きさから見れば、本実施の形態のコンデンサとなり得ない無駄部分は無視し得るほどに小さく、従来に比べて製品の採り量は大幅に向上する。
【0069】
上記の実施の形態では、支持体として円筒形状のキャンローラを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2本又はそれ以上のロールの間を周回するベルト状の支持体、あるいは回転する円盤状支持体等であってもよい。このような支持体を使用する場合であっても、遮蔽板を支持体の移動方向と垂直方向に移動させることにより本発明の効果が得られる。
【0070】
また、遮蔽板130は平板形状を例示したが、キャンローラ111の外周面の曲率に応じて、例えば断面を略円弧状に変形させても良い。
【0071】
更に、積層の開始に先立って、キャンローラ111の外周面上に離型剤を付与しておくと、積層終了後に積層体を取り外す作業が容易になるので好ましい。離型剤としては、例えばフッ素系離型剤(例えば、商品名:“ダイフリー”、ダイキン工業(株)製)等を使用できる。離型剤の付与方法は、スプレー噴霧法の他、スパッタ法や蒸着法など、離型剤材料とプロセスの条件等に適合するものを適宜選択すると良い。
【0072】
【実施例】
(実施例1)
図1に示した製造装置を用いて、図9に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0073】
真空ポンプ116により真空槽115内を2×10−4Torrとし、また、キャンローラ111の外周面を5℃にまで冷却した。キャンローラ111の直径は500mm、外表面の移動速度は50m/分とした。
【0074】
積層に先立ち、キャンローラ111の外周面にフッ素系離型剤(ダイキン工業(株)製“ダイフリー”)をスプレー塗布し、その後不織布で薄く延ばした。
【0075】
まず最初に、樹脂層のみが連続積層された層(保護層)936aとなる部分を積層した。層936aは、コンデンサとしての容量を発生することはないが、容量発生部分である層(素子層)934が熱負荷や外力により損傷を受けるのを防止するのに有効に機能する層である。
【0076】
層936aの材料として、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレートを用い、これを気化して樹脂層形成装置112よりキャンローラ111の外周面に堆積させた。1層当たりの積層厚さは0.6μmである。次いで樹脂硬化装置118として、紫外線硬化装置を用い、上記により堆積させた樹脂層材料を重合し、硬化度が70%になるまで硬化させた。この操作を、キャンローラ111を回転させることにより繰返し、キャンローラ111の外周面に厚さ15μmの層936a部分を形成した。この間、開口121は遮蔽領域132aで遮蔽しておいた。
【0077】
次いで、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層された層(補強層)935aとなる部分を積層した。層935aは、容量発生部分である層(素子層)934が熱負荷や外力により損傷を受けるのを防止するのに有効に機能する層である。また、金属薄膜層を有していることにより、外部電極の付着強度の向上にも寄与する。
【0078】
層935aの樹脂層材料は、上記の層936aの材料と同じものを用いた。樹脂層1層当たりの積層厚さは0.6μmである。次いで樹脂硬化装置118により樹脂層の硬化度が70%になるまで硬化させた。その後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処理した。次に、パターニング材料付与装置113により、気化させたパターニング材料を微細孔から噴出させて、樹脂層表面上に帯状に付着させた。パターニング材料として、フッ素系オイルを使用した。このパターニング材料の蒸気圧が0.1torrとなる温度は100℃である。オイルの平均分子量は1500である。帯状のパターニング材料の付着幅は150μmとした。次に、遮蔽板130をZ軸の正の方向に移動して開口121を開いた。そして、金属薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着させた。積層厚みは300オングストロームとした。その後、パターニング材料除去装置117により、遠赤外線ヒータによる加熱及びプラズマ放電処理を行ない、残存したパターニング材料を除去した。以上の操作を、キャンローラ111を回転させることにより500回繰り返し、総厚さ315μmの層935a部分を形成した。
【0079】
次に、コンデンサとしての容量発生部分となる層(素子層)934となる部分を積層した。樹脂層材料は、上記と同じものを用い、1層当たりの積層厚さは0.4μmとした。次いで樹脂硬化装置118により、樹脂層を硬化度が70%になるまで硬化させた。その後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処理した。次に、パターニング材料付与装置113により、上記と同じパターニング材料を上記と同一幅に帯状に付着させた。次に、金属薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着させた。積層厚みは300オングストロームとした。その後、パターニング材料除去装置117により、残存したパターニング材料を除去した。以上の操作を、キャンローラ111を回転させることにより約2000回繰り返し、総厚さ860μmの層934部分を形成した。なお、この間、パターニング材料付与装置113を、キャンローラ111の回転に同期させて、1回転するごとに回転軸方向に1000μm往復移動させた。
【0080】
次に、パターニング材料付与装置113の移動を停止して、厚さ315μmの層(補強層)935b部分を形成した。形成方法は上記の層935a部分と全く同一とした。
【0081】
最後に、厚さ15μmの層(保護層)936b部分を形成した。このとき、遮蔽板130を、Z軸の正の方向に移動して、開口121を遮蔽領域132bで遮蔽した。このとき、キャンローラ111の回転角度に対する遮蔽板130の移動開始のタイミング及び移動速度を、層935a部分の積層開始時の移動タイミング及び移動速度と一致させた。層936b部分の形成方法は上記の層936a部分と全く同一とした。
【0082】
次いで、円筒状積層体を、金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部に沿った切断面およびこれと等間隔の切断面で、周方向に8分割して取り外し、加熱下でプレスして図6に示すような平板状の積層体母素子150を得た。これを、切断面152で切断し、切断面に黄銅を金属溶射して外部電極を形成した。更に、金属溶射表面に熱硬化性フェノール樹脂中に銅、Ni、銀の合金等を分散させた導電性ペーストを塗布し、加熱硬化させ、更にその樹脂表面に溶融ハンダメッキを施した。その後、切断面153に相当する箇所で切断し、シランカップリング剤溶液に浸漬して外表面をコーティングし、図9に示すようなチップコンデンサを得た。
【0083】
得られたチップコンデンサは、積層方向厚み約1.5mm、奥行約1.6mm、幅(両外部電極間方向)約3.2mmであり、小型ながら容量は0.47μFであった。耐電圧は、50Vであった。また、直流印加電圧16Vでの絶縁抵抗値は1011Ωであり、金属薄膜層同士の短絡、金属薄膜層の破断などは認められなかった。
【0084】
層934、層935a,935b、及び層936a,936bの樹脂層の硬化度は、それぞれ95%、95%、90%であった。
【0085】
層934、及び層935a,935bの金属薄膜層の厚みは300オングストローム、膜抵抗は6Ω/□であった。
【0086】
また、積層体母素子150において、層934部分の金属薄膜層のマージン部幅は150μm、層935a,935bの金属薄膜層のマージン部幅は150μmであった。
【0087】
(実施例2)
遮蔽板130の移動方向を変える以外は実施例1と全く同様にして、図9に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0088】
即ち、補強層935b部分の積層工程までは実施例1と全く同様に行ない、保護層936b部分の積層に移行する際、遮蔽板130をZ軸の負の方向に移動して開口121を遮蔽領域132aで遮蔽した。このときの遮蔽板の移動速度はZ軸の正の方向の移動の際の移動速度と同一とした。その後、実施例1と同様にして積層工程を終了した。得られた円筒状積層体を、金属薄膜層の積層終了部に沿った切断面およびこれと等間隔の切断面で、周方向に8分割して取り外し、実施例1と同様にしてチップコンデンサを得た。
【0089】
(比較例1、2)
金属薄膜層の形成の開始・終了時の遮蔽板の移動を、図7に示した従来の製造装置のように、キャンローラの外周面の移動方向に平行に行なう以外は実施例1と同様にして、図9に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0090】
このとき、開口922が全閉状態から全開されるまで(開放動作という)、及び全開状態から全閉されるまで(閉塞動作という)の遮蔽板923の移動速度を2通りに変化させた。即ち、比較例1では開放動作び閉塞動作をいずれもキャンローラ911の回転周期の15%の時間で行ない、比較例2では開放動作及び閉塞動作をキャンローラ911の回転周期の30%の時間で行なった。
【0091】
(評価)
実施例1,2及び比較例1,2で得たチップコンデンサからそれぞれ無作為に200個抽出して60℃、95%RH雰囲気中に1000時間放置した。放置後のチップコンデンサの形状評価を行ない、層間剥離を生じたものを不良として、不良率を計算した。結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 2004031940
【0093】
実施例1,2と比較例1,2とを比較すると明らかなとおり、本発明の方法によれば、金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部の近傍で発生する、金属薄膜層の厚みが設計値より薄かったり、厚みむらが大きかったりする不安定領域の大きさを極めて小さくすることができるので、製品不良率が著しく改善されることが分かる。
【0094】
実施例2の不良率が実施例1より劣っているのは、以下の理由によると考えられる。実施例2では、開口121を開放するときと閉塞するときの遮蔽板130の移動方向を逆方向にしたので、金属薄膜層の積層開始部と積層終了部とを積層方向で略一致させることができなかった。そして金属薄膜層の積層終了部及びこれと平行な方向で切断したので、金属薄膜層の積層開始部を内部に含むチップコンデンサをわずかに含んでいた。実施例2の不良率が実施例1より大きかったのは、この積層開始部を内部に含むチップコンデンサの混入によるものと考えられる。
【0095】
また、比較例2の不良率が比較例1の不良率より劣っていたのは、キャンローラ911の回転周期に対して開口922の開閉動作に要する時間が長かったために、遮蔽板923の移動時に発生する金属薄膜層の不安定領域が比較例1より大きくなったためであると推測される。
【0096】
なお、実施例1,2においてわずかに含まれる不良品について詳細に検討した結果、これらの不良品はいずれも金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部の近傍に集中して発生しており、これ以外の領域からの不良品の発生はほぼ皆無であることが分かった。本発明の方法によれば、金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部のキャンローラ111上の位置を検知することは可能であるから、これらの部分を避けて製品採りを行なうことにより、製品不良率をほぼ0%にすることが可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、遮蔽板を支持体の移動方向と略垂直方向に移動させるので、金属薄膜層の積層の開始時及び終了時に、金属薄膜層の厚みが薄かったり、厚みむらが大きかったりする不安定領域の発生を抑えることができる。この結果、生産性が向上し、また、高品質の積層体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示した概略断面図である。
【図2】図1の製造装置において、遮蔽板、金属薄膜形成装置、及び開口の概略構成を示した斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した遮蔽板の概略構成図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図4】図1の製造装置によって得られるキャンローラ上の金属薄膜層の積層開始部の状態を模式的に示した図であり、図4(A)はキャンローラ上の薄膜積層体を示した斜視図、図4(B)は(A)の薄膜積層体の展開図である。
【図5】図1の製造装置によって得られるキャンローラ上の金属薄膜層の積層終了部の状態を模式的に示した図であり、図5(A)はキャンローラ上の薄膜積層体を示した斜視図、図5(B)は(A)の薄膜積層体の展開図である。
【図6】本発明によって得られる積層体母素子の一例を示した平面図である。
【図7】従来の積層体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示した概略断面図である。
【図8】従来の方法によって得られる層体母素子の一例を示した斜視図である。
【図9】チップコンデンサの一般的な構成の一例を示した概略斜視図である。
【符号の説明】
100 積層体の製造装置
115 真空槽
116 真空ポンプ
111 キャンローラ
111a キャンローラの回転方向
111b キャンローラの外周面の移動方向
112 樹脂層形成装置
113 パターニング材料付与装置
114 金属薄膜形成装置
114a 金属薄膜形成装置からの金属蒸気又は金属粒子
117 パターニング材料除去装置
118 樹脂硬化装置
119 表面処理装置
120 隔壁
121 隔壁の開口
130 遮蔽板
131 遮蔽板に設けられた開口
132a,132b 遮蔽領域
139 遮蔽板の移動方向
140 樹脂層のみの連続積層部
140’ 樹脂層と金属薄膜層との交互積層部
141 最外層の樹脂層
142 金属薄膜層
143 金属薄膜層の積層開始部
143’ 金属薄膜層の積層終了部
150 積層体母素子
151a,151b 分割面
152,153 切断面
900 積層体の製造装置
911 キャンローラ
912 樹脂層形成装置
913 パターニング材料付与装置
914 金属薄膜形成装置
915 真空槽
916 真空ポンプ
917 パターニング材料除去装置
918 樹脂硬化装置
919 表面処理装置
920a,920b 隔壁
922 開口
923遮蔽板
930 積層体母素子
931 金属薄膜層
932 樹脂層
933 パターン位置
938 キャンローラの外周面の走行方向
939a,939b 切断面
940 チップコンデンサ
941a,941b外部電極

Claims (13)

  1. 樹脂層を積層する工程と、金属材料を真空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を積層する工程とを有し、これらを周回する円筒状ドラム又はエンドレスベルトからなる支持体上で行うことにより前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造するに際し、前記金属薄膜層の積層の開始又は終了を金属材料供給源と支持体との間に設置された遮蔽板を移動することにより行う積層体の製造方法であって、前記遮蔽板の移動を支持体の前記遮蔽板と対向する面の移動方向と略垂直方向に行うことを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 金属薄膜層の積層を開始する際の遮蔽板の移動の向きと、終了する際の遮蔽板の移動の向きを同一とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 遮蔽板が、移動方向の略中央部に、金属薄膜層を形成するための開口部を有する請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 金属薄膜層の積層の開始時と終了時とで、遮蔽板の移動速度及び支持体の回転速度をそれぞれ一致させる請求項1に記載の積層体の製造方法。
  5. 金属薄膜層の積層の開始時と終了時とで、遮蔽板の移動の開始タイミングと支持体の回転位置とを同期させる請求項1に記載の積層体の製造方法。
  6. 金属薄膜層の積層を開始するための遮蔽板の移動により形成される金属薄膜層の境界部と、金属薄膜層の積層を終了するための遮蔽板の移動により形成される金属薄膜層の境界部とが、積層方向において略同一位置となるように遮蔽板を移動する請求項1に記載の積層体の製造方法。
  7. 支持体上に形成された積層体を積層方向に切断して分割するに際して、前記切断を、遮蔽板の移動により形成された金属薄膜層の境界部で、又はこれと平行に行う請求項1に記載の積層体の製造方法。
  8. 金属薄膜層の積層開始部及び積層終了部の支持体上における位置を検知し、積層開始部及び積層終了部を避けて製品採りを行う請求項1に記載の積層体の製造方法。
  9. 積層体が電子部品用積層体である請求項1に記載の積層体の製造方法。
  10. 積層体がコンデンサ用積層体である請求項1に記載の積層体の製造方法。
  11. 真空槽と、前記真空槽内に設置された周回する円筒状ドラム又はエンドレスベルトからなる支持体と、前記支持体上に樹脂層を積層する樹脂層形成装置と、前記支持体上に真空プロセスにより金属薄膜層を積層する金属薄膜形成装置とを有し、前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とからなる積層体を製造するための装置であって、
    前記金属薄膜形成装置と前記支持体との間に、金属薄膜層の積層を防止するための遮蔽板が、前記支持体の前記遮蔽板と対向する面の移動方向と略垂直方向に移動可能に設置されていることを特徴とする積層体の製造装置。
  12. 金属薄膜層の形成の開始時又は終了時に、前記遮蔽板を前記支持体の移動方向と略垂直方向に移動する請求項11に記載の積層体の製造装置。
  13. 前記遮蔽板が、移動方向の略中央部に開口を有し、その両側に遮蔽領域を有する請求項11に記載の積層体の製造装置。
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