JP2002093656A - 積層体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

積層体の製造方法及び製造装置

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JP2002093656A
JP2002093656A JP2000275443A JP2000275443A JP2002093656A JP 2002093656 A JP2002093656 A JP 2002093656A JP 2000275443 A JP2000275443 A JP 2000275443A JP 2000275443 A JP2000275443 A JP 2000275443A JP 2002093656 A JP2002093656 A JP 2002093656A
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metal thin
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resin layer
layer
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JP2000275443A
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English (en)
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Noriyasu Echigo
紀康 越後
Kazuyoshi Honda
和義 本田
Masaru Odagiri
優 小田桐
Nobuki Sunanagare
伸樹 砂流
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空槽中で周回する支持体上に樹脂材料と金
属材料とを交互に積層して樹脂層と金属薄膜層とが交互
に積層された積層体を製造する方法において、樹脂層を
薄くしても、金属薄膜層にマージン部を安定して形成で
きる方法を提供する。 【解決手段】 酸素又はオゾン雰囲気中で、あるいは、
被照射部分を加熱しながら、金属薄膜層にレーザ光を照
射して金属薄膜層にマージン部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子部品等に用いら
れる積層体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂層を積層する工程と金属薄膜層を積
層する工程とを一単位として、これを周回する支持体上
で繰り返すことにより、樹脂層と金属薄膜層とが交互に
積層された積層体を製造する方法、及び得られた積層体
からコンデンサなどの電子部品を得る方法は、例えば、
特開平10−237623号公報等で公知ある。
【0003】樹脂層と金属薄膜層との積層体の製造方法
の一例を図面を用いて説明する。
【0004】図5は、従来の積層体の製造方法を実施す
るための製造装置の一例の概略を模式的に示した断面図
である。
【0005】図5において、915は真空槽、916は
真空槽915内部を所定の真空度に維持する真空ポン
プ、911は真空槽915内に設置された、図中の矢印
方向に回転する円筒形状のキャンローラ、912は樹脂
層形成装置、913はパターニング材料付与装置、91
4は金属薄膜形成装置、917はパターニング材料除去
装置、918は樹脂硬化装置、919は表面処理装置、
920a,920bは金属薄膜形成領域を他の領域と区
別するための隔壁、922は隔壁920a,920bに
設けられた開口、923は必要時以外に金属薄膜が形成
されるのを防止するために開口922を閉じるための遮
蔽板である。
【0006】樹脂層形成装置912は、樹脂層を形成す
るための樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンロ
ーラ911表面に向けて放出する。キャンローラ911
は所定の温度に冷却されているから、樹脂材料は冷却さ
れてキャンローラ911の外周面に膜状に堆積する。
【0007】堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬
化装置918により、電子線又は紫外線等が照射されて
所望の硬度に硬化処理される。
【0008】次いで、形成された樹脂層は、必要に応じ
て樹脂表面処理装置919により、酸素プラズマ処理等
が施され、樹脂層表面が活性化される。
【0009】パターニング材料付与装置913は、オイ
ルマージンと呼ばれる手法により金属薄膜層にマージン
部を形成することにより金属薄膜層を所定の形状にパタ
ーニングするための装置である。樹脂層上に予めパター
ニング材料を薄く形成した後に、金属薄膜層を蒸着など
によって形成すると、パターニング材料上には金属薄膜
層が形成されず、マージン部が形成される。パターニン
グ材料を特定領域に付与することで所望のパターンを持
つ金属薄膜層を形成することが出来る。パターニング材
料は、パターニング材料付与装置913内で気化されて
キャンローラ911の外周面に向けて所定位置に形成さ
れた細孔から放出される。これによりパターニング材料
が金属薄膜層を形成する面に予め薄くパターン塗布され
る。パターニング材料としては例えばフッ素系オイルが
使用される。
【0010】その後、金属薄膜形成装置914により金
属薄膜層が蒸着などによって形成される。
【0011】その後、パターニング材料除去装置917
により余剰のパターニング材料が除去される。
【0012】以上の製造装置900によれば、開口92
2を開いた状態では、周回するキャンローラ911の外
周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層と、金属
薄膜形成装置914による金属薄膜層とが交互に積層さ
れた積層体が製造され、また、開口922を閉じた状態
では、周回するキャンローラ911の外周面上に、樹脂
層形成装置912による樹脂層が連続して積層された積
層体が製造される。また、キャンローラ911の回転と
同期させてパターニング材料付与装置913をキャンロ
ーラ911の回転軸と平行方向に移動させることによ
り、パターン位置の異なる金属薄膜層を形成することが
できる。
【0013】このようにして、キャンローラ911の外
周面上に金属薄膜層と樹脂層とからなる円筒状の多層積
層体を形成し、その後、積層体を半径方向に切断してキ
ャンローラ911から取り外し、平板プレスすることに
より、例えば図6のような積層体母素子930を得るこ
とができる。図6において、931は金属薄膜層、93
2は樹脂層、933はマージン部(非金属帯)であり、
矢印938はキャンローラ911の外周面の走行方向と
一致する。図6の積層体母素子930は、キャンローラ
911上に、層936a、層935a、層934、層9
35b、層936bの順に積層することにより製造され
る。ここで、層936a,936bは開口922を閉じ
て樹脂層のみを連続して積層した層であり、層934及
び層935a,935bは、開口922を開いて、金属
薄膜層931と樹脂層932とを交互に積層した層であ
る。また、層934は、キャンローラ911の回転と同
期させて1回転ごとにパターニング材料の付着位置を変
更して積層してある。
【0014】この積層体母素子930を、例えば切断面
939a,939bで切断し、切断面939aに外部電
極を形成することにより、図7に示すようなチップコン
デンサ940を多数得ることができる。図7において、
941a,941bは金属薄膜層931と電気的に接続
して形成された外部電極である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】電子部品はますます小
型化・高性能化される傾向がある。上記の方法で得られ
る電子部品も例外ではなく、積層される樹脂層の積層厚
みを薄くして、例えばコンデンサであれば小型化と高容
量化とを両立させることが検討されている。
【0016】しかしながら、実際に樹脂層の積層厚みを
薄くしたコンデンサを製造すると、電極間の絶縁抵抗値
の低下と初期容量値のバラツキが顕在化するという問題
が生じた。この問題について検討した結果、この問題
は、金属薄膜層のマージン部の絶縁不良、及びマージン
部の上に樹脂層を介して積層された金属薄膜層の破断に
起因することが判明した。更に詳細に検討すると、この
ようなマージン部の絶縁不良や金属薄膜層の破断は、パ
ターニング材料の付着量のバラツキに起因することが分
かった。
【0017】即ち、パターニング材料の付着量が少なす
ぎると金属薄膜層の形成を完全に防止することが出来
ず、その結果、マージン部の絶縁不良が発生する。一
方、パターニング材料の付着量が多すぎると、パターニ
ング材料除去装置917を用いても余剰のパターニング
材料を十分に除去できないまま、その上に樹脂層が積層
されてしまう。このような状態で積層された樹脂層は表
面が荒れて凹凸等が形成され、そのような凹凸面上に金
属薄膜層が積層される。金属薄膜層の厚みは極めて薄い
から、下地表面に凹凸があると金属薄膜層が連続形成さ
れず、コンデンサの電極として機能しなくなる。その結
果、初期容量値のバラツキを生じる。
【0018】上記の問題は、パターニング材料の付着量
を適正に制御することができれば解決可能である。しか
しながら、樹脂層の厚みが薄くなるとパターニング材料
の付着量の適正範囲が極めて狭くなり、もはや安定した
製造は困難となり、上記の問題を生じ、電子部品の歩留
まりの低下を招いていた。
【0019】本発明は、上記の問題を解決し、樹脂層を
薄くしてもマージン部の絶縁不良や金属薄膜層の破断が
発生することなく、品質が安定した積層体を製造するこ
とができる積層体の製造方法及び製造装置を提供するこ
とを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために以下の構成とする。
【0021】即ち、本発明の積層体の第1の製造方法
は、樹脂層を形成する工程と、金属材料を真空プロセス
により堆積させて金属薄膜層を形成する工程とを有し、
これらを周回する支持体上で繰り返し行うことにより前
記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造
する方法であって、更に、酸素又はオゾン雰囲気中でレ
ーザ光を照射して前記金属薄膜層にマージン部を形成す
る工程を有することを特徴とする。
【0022】また、本発明の積層体の第2の製造方法
は、樹脂層を形成する工程と、金属材料を真空プロセス
により堆積させて金属薄膜層を形成する工程とを有し、
これらを周回する支持体上で繰り返し行うことにより前
記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造
する方法であって、更に、被照射部分を加熱しながらレ
ーザ光を照射して前記金属薄膜層にマージン部を形成す
る工程を有することを特徴とする。
【0023】次に、本発明の積層体の第1の製造装置
は、真空槽と、前記真空槽内に収納された周回する支持
体と、前記支持体上に樹脂材料を堆積させて樹脂層を形
成する樹脂層形成装置と、前記樹脂層上に金属材料を堆
積させて金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成装置と、
前記金属薄膜層に酸素又はオゾン雰囲気中でレーザ光を
照射してマージン部を形成するためのレーザ光照射装置
とを有することを特徴とする。
【0024】また、本発明の積層体の第2の製造装置
は、真空槽と、前記真空槽内に収納された周回する支持
体と、前記支持体上に樹脂材料を堆積させて樹脂層を形
成する樹脂層形成装置と、前記樹脂層上に金属材料を堆
積させて金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成装置と、
被照射部分を加熱しながら前記金属薄膜層にレーザ光を
照射してマージン部を形成するためのレーザ光照射装置
とを有することを特徴とする。
【0025】上記の構成によれば、酸素又はオゾン雰囲
気中で、あるいは、被照射部分を加熱しながら、レーザ
光を照射してマージン部を形成するので、樹脂層が薄い
場合でもマージン部の絶縁不良や金属薄膜層の破断が発
生せず、品質が安定した積層体を製造することができ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の積層体の製造方法を図面
を用いて説明する。
【0027】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1にかかる積層体の製造方法を実施するための積層
体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【0028】図1において、100は本実施の形態の積
層体の製造装置、115は真空槽、116は真空槽11
5内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、111は
真空槽115内に設置された、図中の矢印111aの方
向に回転する円筒形状のキャンローラ、112は樹脂層
形成装置、114は金属薄膜形成装置(金属材料供給
源)、118は樹脂硬化装置、119は表面処理装置、
120は金属薄膜形成領域を他の領域と区別するための
隔壁、121は隔壁120に設けられた開口、123は
必要時以外に金属薄膜が形成されるのを防止するため
に、移動方向123aの方向に移動して開口121を開
閉する遮蔽板、130はキャンローラ111の外周面に
向けてレーザ光を照射するレーザ光照射装置、131は
レーザ光照射装置から発せられたレーザ光、140は活
性ガス噴射ノズルである。
【0029】真空槽115の内部は真空ポンプ116に
より所定の真空度に保たれている。真空槽115内の好
ましい真空度は0.02Pa程度である。また、隔壁1
20で仕切られた金属薄膜形成装置114を含む空間を
これ以外の空間よりわずかに低圧に維持しておくのが好
ましい。こうしておくことで、金属薄膜形成装置114
からの金属蒸気流又は金属粒子流が、金属薄膜形成装置
114を含む空間外に不用意に漏れ出すのを防止するこ
とができる。
【0030】キャンローラ111の外周面は、平滑に、
好ましくは鏡面状に仕上げられており、好ましくは−2
0〜40℃、特に好ましくは−10〜10℃に冷却され
ている。回転速度は自由に設定できるが、15〜100
rpm程度、周速度は好ましくは20〜30000m/
minである。
【0031】樹脂層形成装置112は、樹脂層を形成す
る樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ1
11表面に向けて放出する。樹脂材料は、キャンローラ
111の外周面に付着して樹脂層を形成する。このよう
な方法によれば、厚みが極めて薄く均一で、ピンホール
等の欠点のない良好な樹脂層が得られる。樹脂材料とし
ては、このように蒸発気化又は霧化した後、堆積して薄
膜を形成できるものであれば特に限定されず、得られる
積層体の用途に応じて適宜選択できるが、反応性モノマ
ー樹脂であるのが好ましい。例えば、電子部品材料用途
に使用する場合には、アクリレート樹脂またはビニル樹
脂を主成分とするものが好ましく、具体的には、多官能
(メタ)アクリレートモノマー、多官能ビニルエーテル
モノマーが好ましく、中でも、シクロペンタジエンジメ
タノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール
ジビニルエーテルモノマー等若しくはこれらの炭化水素
基を置換したモノマーが電気特性、耐熱性、安定性等の
点で好ましい。樹脂材料を飛散させる手段としては、ヒ
ータ等の加熱手段、超音波又はスプレー等による気化又
は霧化させる方法が用いられる。特に、ヒータ等の加熱
手段により樹脂材料を蒸発気化させる方法が、形成され
る樹脂層の厚み及びその均一性、欠点の発生防止、装置
の簡素化の観点から好ましい。
【0032】堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬
化装置118により所望の硬化度に硬化処理してもい。
硬化処理としては、樹脂材料を重合及び/又は架橋する
処理が例示できる。樹脂硬化装置としては、例えば電子
線照射装置、紫外線照射装置、又は熱硬化装置等を用い
ることができる。硬化処理の程度は、製造する積層体の
要求特性により適宜変更すれば良いが、例えばコンデン
サなどの電子部品用の積層体を製造するのであれば、硬
化度が50〜95%、更には50〜75%になるまで硬
化処理するのが好ましい。硬化度が上記範囲より小さい
と、後工程において外力等が加わると容易に変形した
り、金属薄膜層の破断又は短絡等を生じてしまう。一
方、硬化度が上記範囲より大きいと、後工程において外
力等が加わると割れるなどの問題が生じることがある。
なお、本発明の硬化度は、赤外分光光度計でC=O基の
吸光度とC=C基(1600cm-1)の比をとり、各々
のモノマーと硬化物の比の値をとり、減少分吸光度を1
から引いたものと定義する。
【0033】本発明において、樹脂層の厚みは特に制限
はないが、1μm以下、更に0.7μm以下、特に0.
4μm以下であることが好ましい。本発明の方法によっ
て得られる積層体の小型化・高性能化の要求に答えるた
めには樹脂層の厚みは薄い方が好ましい。例えば、本発
明の製造方法により得られた積層体をコンデンサに使用
する場合、誘電体層となる樹脂層は薄い方が、コンデン
サの静電容量はその厚みに反比例して大きくなる。
【0034】形成された樹脂層は、必要に応じて表面処
理装置119により表面処理される。例えば、酸素雰囲
気下で放電処理又は紫外線照射処理等を行って、樹脂層
表面を活性化させて金属薄膜層との接着性を向上させる
ことができる。
【0035】このようにして形成された樹脂層上に、金
属薄膜形成装置114を用いて金属薄膜層を形成する。
金属薄膜層の形成方法としては、蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング等周知の真空プロセス手段が
適用できるが、本発明では蒸着、特に電子ビーム蒸着が
耐湿性の優れた膜が生産性良く得られる点で好ましい。
金属薄膜層の材料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、
ニッケル、鉄、コバルト、シリコン、ゲルマニウム若し
くはその化合物、若しくはこれらの酸化物、若しくはこ
れらの化合物の酸化物などが使用できる。中でも、アル
ミニウムが接着性と経済性の点で好ましい。なお、金属
薄膜層には、上記以外の他成分を含むものであっても構
わない。また、金属薄膜層を一種とせず、例えばAl層
とCu層の混入とすることによって特性の補完がなさ
れ、使用条件によっては高性能化が図れる場合もありう
る。
【0036】金属薄膜層の厚みは、得られる積層体の用
途により適宜決定すればよいが、電子部品用途に使用す
る場合は、100nm以下、更に10〜50nm、特に
20〜40nmであるのが好ましい。また、膜抵抗は、
上限は20Ω/□以下、さらに15Ω/□以下、特に1
0Ω/□以下であるのが好ましく、また下限は1Ω/□
以上、さらに2Ω/□以上、特に3Ω/□以上であるの
が好ましい。
【0037】金属薄膜形成後、レーザ光照射装置130
を用いて金属薄膜層表面にレーザ光を照射して、照射箇
所の金属薄膜層を加熱・溶融(一部は更に蒸発)させて
除去し、マージン部を形成する。
【0038】使用するレーザ光は、除去しようとする金
属薄膜層の材料に応じて選択できるが、YAG(Yttriu
m Aluminium Garnet)レーザ、グリーンレーザ、エキシ
マレーザなどの比較的波長の短いレーザ光が望ましい。
長波長レーザ光は、金属薄膜層表面で反射してしまう。
また、レーザ光源の出力は、除去しようとする金属薄膜
層の種類や厚さに応じて選択することができる。
【0039】このようにして形成されたマージン部は、
従来のパターニング材料の付与によって形成されたマー
ジン部より、絶縁特性が向上かつ安定し、また、境界部
が明瞭となる。また、積層体に非接触で形成できるの
で、積層体に外力が付与されず、樹脂層や金属薄膜層の
変形、破断、表面荒れなどを防止できる。
【0040】レーザ光は、所望するマージン部の形状パ
ターンに応じて照射する。例えば、キャンローラ111
の外周面の走行方向に連続する帯状のマージン部を複数
本形成する場合は、1つのレーザ光源からの光をプリズ
ムを用いてマージン部の数に分割して照射することがで
きる。また、キャンローラ111の外周面の走行方向と
直角方向(又は斜め方向)に所定間隔の帯状のマージン
部を複数本形成する場合は、レーザ光を周知の方法で走
査させて照射することができる。また、矩形状(又は平
行四辺形状)等にパターニングする場合には、上記の方
法を適宜組み合わせることができる。なお、レーザ光源
は形成するマージン部の形状によっては複数個使用して
もよいことはもちろんである。なお、マージン部の幅は
レーザ光源の出力や走査方法を調整することで変更でき
る。
【0041】レーザ光によるマージン部形成は活性ガス
雰囲気中で行なう。即ち、図1に示したように、レーザ
光の照射部分に向けて設置された活性ガス噴射ノズル1
40より活性ガスを照射する。使用する活性ガスとして
は、例えば、酸素、オゾンなどが使用できる。このよう
なガス雰囲気中でレーザ光照射を行なうと、溶融した金
属薄膜材料の流動性が良好となり、金属薄膜層のマージ
ン部側の端部に厚みが増加して形成される盛り上がり部
の発生を抑えることができる。また、形成されたマージ
ン部領域内の金属材料を完全に除去できるので、マージ
ン部の電気絶縁性が向上する。活性ガスはレーザ光の照
射部分のみに選択的に照射するのが望ましい。広範囲の
活性ガスの供給は多量のガスを必要とすることに加え
て、真空槽115内の真空度を低下させる。オゾンガス
を用いると、酸素ガスより少量で同等の効果を得られる
ために好ましい。ガスの供給量は、例えば酸素ガスの場
合、レーザ光の照射箇所1カ所あたり0.2〜5SCCM
(the standard cc per minute)程度である。これより
少ないと効果なく、また多いと真空度への影響が無視で
きなくなる。
【0042】このとき供給する活性ガスを加熱しても良
い。加熱した活性ガスを供給することでレーザ光の被照
射部分が加熱され金属薄膜層の溶融と除去が一層容易と
なる。レーザ光の被照射部分の加熱温度は100℃以
上、好ましくは150℃以上である。これより低いと加
熱の効果が得られない。なお、加熱温度の上限は250
℃以下、好ましくは200℃以下である。これより高温
に加熱すると樹脂層材料が軟化・溶融・変質等するので
好ましくない。加熱はレーザ光の照射部分のみをポイン
ト加熱するのが好ましい。広範囲にわたる加熱はキャン
ローラ111の冷却効果を弱めてしまう。
【0043】以上により、所望する形状のマージン部で
パターニングされた金属薄膜層を得ることができる。従
って、キャンローラ115を必要回数周回させることに
より、開口121を開いた状態では、キャンローラ11
1の外周面上に、樹脂層形成装置112による樹脂層
と、金属薄膜形成装置114とレーザ光照射装置130
によるパターニングされた金属薄膜層とが交互に積層さ
れた積層体が製造される。また、開口121を閉じた状
態では、キャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成
装置112による樹脂層が連続して積層された積層体を
製造することもできる。
【0044】その後、従来と同様にキャンローラ111
上に形成された積層体を切断し、電極形成等を行なうこ
とにより、チップコンデンサ等の電子部品を得ることが
できる。
【0045】(実施の形態2)図2は、本発明の実施の
形態2にかかる積層体の製造方法を実施するための積層
体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【0046】本実施の形態が実施の形態1(図1)と異
なるのは、活性ガス噴射ノズル140に代えて加熱装置
150を設置している点である。このほかの構成は実施
の形態1と同様であり、図2において図1と同一の機能
を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明
を省略する。
【0047】加熱装置150はレーザ光照射装置130
によるレーザ光の照射部分を加熱する。レーザ光の照射
部分を加熱しながらレーザ光を照射することにより、金
属薄膜層の溶融と除去が容易となる。加熱する方法とし
ては、例えば、レーザ光照射部分に向けてヒータなどを
設置する方法などが例示できる。
【0048】レーザ光の被照射部分の加熱温度は100
℃以上、好ましくは150℃以上である。これより低い
と加熱の効果が得られない。なお、加熱温度の上限は2
50℃以下、好ましくは200℃以下である。これより
高温に加熱すると樹脂層材料が軟化・溶融・変質等する
ので好ましくない。加熱はレーザ光の照射部分のみをポ
イント加熱するのが好ましい。広範囲にわたる加熱はキ
ャンローラ111の冷却効果を弱めてしまう。
【0049】(実施の形態3)図3は、本発明の実施の
形態3にかかる積層体の製造方法を実施するための積層
体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【0050】本実施の形態が実施の形態1(図1)と異
なるのは、レーザ光照射装置130を樹脂層形成装置1
12の下流側であって、金属薄膜形成装置114の上流
側に設置している点である。このほかの構成は実施の形
態1と同様であり、図3において図1と同一の機能を有
する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省
略する。
【0051】本実施の形態では、樹脂層形成後にレーザ
光を照射して樹脂層の下側に存在する金属薄膜層にマー
ジン部を形成する。YAGレーザ、グリーンレーザ、エ
キシマレーザなどの比較的短波長のレーザ光は樹脂層を
容易に透過する。従って、樹脂層の上からでもその下の
金属薄膜層を効率よく加熱することができる。
【0052】なお、本実施の形態では実施の形態1で説
明した、レーザ光照射部分への活性ガスの供給はほとん
ど意味をなさない。
【0053】一方、実施の形態2で説明したレーザ光の
照射部分の加熱は本実施の形態においても有効である。
加熱方法としては、ヒータなどを用いたポイント加熱を
使用することができる。
【0054】なお、図3では、レーザ光照射装置130
は樹脂硬化装置118と表面処理硬化装置119との間
に設置されているが、樹脂層形成装置112の下流側で
あって金属薄膜形成装置114の上流側であればその配
列は図3のものに限定されない。
【0055】上記の実施の形態1〜3では、積層体をコ
ンデンサに利用する例を説明したが、本発明によって得
られる積層体の用途はこれに限定されない。本発明のマ
ージン部の形成方法によれば、レーザ光の周知の走査手
法を用いることで任意形状のマージン部を形成できる。
従って、パターニングされた金属薄膜層を必要とする用
途、例えばコイル、抵抗、容量性電池、電気回路基板、
またはこれらの複合品などに広く応用することができ
る。
【0056】また、支持体として円筒形状のキャンロー
ラを例示したが、本発明はこれに限定されない。例え
ば、2本又はそれ以上のロールの間を周回するベルト状
の支持体、あるいは回転する円盤状支持体等であっても
よい。
【0057】また、積層の開始に先立って、キャンロー
ラ111の外周面上に離型剤を付与しておくと、積層終
了後に積層体を取り外す作業が容易になるので好まし
い。離型剤としては、例えばフッ素系離型剤(例えば、
商品名:“ダイフリー”、ダイキン工業(株)製)等を
使用できる。離型剤の付与方法は、スプレー噴霧法の
他、スパッタ法や蒸着法など、離型剤材料とプロセスの
条件等に適合するものを適宜選択すると良い。
【0058】
【実施例】(実施例1)図1に示した製造装置を用い
て、図7に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0059】真空ポンプ116により真空槽115内を
0.02Paとし、また、キャンローラ111の外周面
を10℃にまで冷却した。キャンローラ111の直径は
500mm、外表面の移動速度は100m/分とした。
【0060】積層に先立ち、キャンローラ111の外周
面にフッ素系離型剤(ダイキン工業(株)製“ダイフリ
ー”)をスプレー塗布し、その後不織布で薄く延ばし
た。
【0061】まず最初に、樹脂層のみが連続積層された
層(保護層)936a部分を積層した。保護層936a
の材料として、ジシクロペンタジエンジメタノールジア
クリレートを用い、これを気化して樹脂層形成装置11
2よりキャンローラ111の外周面に堆積させた。1層
当たりの積層厚さは0.6μmである。次いで樹脂硬化
装置118として、紫外線硬化装置を用い、上記により
堆積させた樹脂層材料を重合し、硬化度が70%になる
まで硬化させた。この操作を、キャンローラ111を回
転させることにより繰返し、キャンローラ111の外周
面に厚さ15μmの保護層936a部分を形成した。こ
の間、開口121は遮蔽板123で遮蔽しておいた。
【0062】次いで、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積
層された層(補強層)935a部分を積層した。補強層
935aの樹脂層材料は、上記の保護層936aの材料
と同じものを用いた。樹脂層1層当たりの積層厚さは
0.6μmである。次いで樹脂硬化装置118により樹
脂層の硬化度が70%になるまで硬化させた。その後、
表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処理し
た。次に、遮蔽板123を移動して開口121を開い
た。そして、金属薄膜形成装置114からアルミニウム
を金属蒸着させた。積層厚みは30nmとした。その
後、レーザ光照射装置130としてYAGレーザ(出力
20W)を用い、プリズムを用いて複数のレーザ光に分
割し、石英ガラスのレーザ導入窓を介して金属薄膜層表
面に照射した。レーザ光源から被照射地点までの距離は
約170mmである。これにより、走行方向と同方向の
幅200μmのマージンを複数本形成した。このときレ
ーザ光を照射する各位置に活性ガス噴射ノズル140を
用いて150℃に加熱した酸素ガスを3SCCM供給した。
活性ガスの加熱は、活性ガス噴射ノズル140及びこれ
に活性ガスを導入する供給配管(図示せず)の表面にシ
リコンラバーヒータを貼り付け、該ヒータを加熱するこ
とにより行なった。これによりレーザ光の被照射部分は
約160℃に加熱されていた。以上の操作を、キャンロ
ーラ111を回転させることにより500回繰り返し、
総厚さ315μmの層935a部分を形成した。
【0063】次に、コンデンサとしての容量発生部分と
なる層(素子層)934部分を積層した。樹脂層材料
は、上記と同じものを用い、1層当たりの積層厚さは
0.1μmとした。次いで樹脂硬化装置118により、
樹脂層を硬化度が70%になるまで硬化させた。その
後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処
理した。次に、金属薄膜形成装置114からアルミニウ
ムを金属蒸着させた。積層厚みは30nmとした。その
後、上記のYAGレーザを用い、照射位置を上記補強層
935a部分の場合と変えて、上記と同様に走行方向と
同方向の幅200μmのマージンを複数本形成した。レ
ーザ光の照射位置は、キャンローラ111の回転に同期
させて、1回転するごとに回転軸方向に1000μm往
復移動させた。このとき、同様にレーザ光を照射する各
位置に活性ガス噴射ノズル140を用いて150℃に加
熱した酸素ガスを3SCCM供給した。以上の操作を、キャ
ンローラ111を回転させることにより約5000回繰
り返し、総厚さ940μmの層934部分を形成した。
【0064】次に、厚さ315μmの層(補強層)93
5b部分を形成した。形成方法は上記の層935a部分
と全く同一とした。
【0065】最後に、厚さ15μmの層(保護層)93
6b部分を形成した。このとき、遮蔽板123を移動し
て開口121を遮蔽した。層936b部分の形成方法は
上記の層936a部分と全く同一とした。
【0066】次いで、キャンローラ111の外周面上に
形成された円筒状積層体を、周方向に8分割して取り外
し、加熱下でプレスして図6に示すような平板状の積層
体母素子930を得た。これを、切断面939aで切断
し、切断面に黄銅を金属溶射して外部電極を形成した。
更に、金属溶射表面に熱硬化性フェノール樹脂中に銅、
Ni、銀の合金等を分散させた導電性ペーストを塗布
し、加熱硬化させ、更にその樹脂表面に溶融ハンダメッ
キを施した。その後、切断面939bに相当する箇所で
切断した。その後、シランカップリング剤溶液に浸漬し
て外表面をコーティングし、図7に示すようなチップコ
ンデンサを得た。得られたチップコンデンサは、積層方
向厚み約1.5mm、奥行約1.6mm、幅(両外部電
極間方向)約3.2mmである。
【0067】(実施例2)図2に示した製造装置を用い
て、図7に示す構成のチップコンデンサを製造した。即
ち、上記の実施例1ではレーザ光照射装置130を用い
てマージン部を形成する際に活性ガス噴射ノズル140
で加熱した酸素ガスを供給したが、本実施例2ではこれ
に代えて加熱装置150でレーザ光の被照射部分加熱し
た。これ以外は実施例1と同様である。
【0068】加熱装置150として、レーザ光照射部分
のみが加熱されるような反射板を取り付けた遠赤外線ヒ
ータを用い、遠赤外線ヒータの表面温度を800℃に加
熱して行なった。これによりレーザ光の被照射部分は約
170℃に加熱されていた。
【0069】(実施例3)図3に示した製造装置を用い
て、図7に示す構成のチップコンデンサを製造した。即
ち、実施例2で用いたレーザ光照射装置130の設置位
置を図3に示した位置に変更し、実施例2で用いた加熱
装置150をレーザ光照射装置130の近傍に設置し
て、実施例2と全く同様の加熱条件でレーザ光の被照射
部分を加熱した。上記以外は実施例2と全く同様にして
チップコンデンサを製造した。
【0070】(比較例1)レーザ光の照射時に加熱した
酸素ガスを供給しない以外は実施例1と全く同様にして
チップコンデンサを製造した。
【0071】(比較例2)図5に示した製造装置を用い
て、図7に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0072】即ち、補強層935a,935b及び素子
層934のマージン部をパターニング材料付与装置91
3を用いたオイルマージン法により形成した。パターニ
ング材料として、フッ素系オイルを使用し、これを気化
させて微細孔から噴出させて、樹脂層表面上に帯状に付
着させた。帯状のパターニング材料の付着幅は200μ
mになるように調整した。そして、金属薄膜形成装置9
14によりアルミニウムの金属薄膜層を形成後、パター
ニング材料除去装置917により、遠赤外線ヒータによ
る加熱及びプラズマ放電処理を行ない、残存したパター
ニング材料を除去した。このように、マージン部の形成
手段を変える以外は実施例1と全く同様にしてチップコ
ンデンサを得た。
【0073】[評価]上記の実施例1〜3、比較例1,
2を以下の項目について評価した。
【0074】(1)白濁の有無 図6の積層体母素子の状態で、マージン部の白濁の有無
を調べた。
【0075】(2)金属薄膜層のマージン部側端部の形
状 図6の積層体母素子の一部を分解して、金属薄膜層のマ
ージン部近傍の形状、特に厚みの不均一性を顕微鏡を用
いて調べた。
【0076】(3)積層体の上面の段差 図6の積層体母素子の状態で、積層面の上面のマージン
部に相当する部分の表面形状を調べた。また、マージン
部に相当する部分に凸部が形成されている場合は平坦部
に対する該凸部の高さを測定した。
【0077】(4)特性歩留まり 得られたチップコンデンサについて、両外部電極間の絶
縁抵抗値が1.0×1011Ω以上で、初期容量精度が目
標値の±5%以内である割合を調べた。
【0078】上記の評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】表1に示したように、オイルマージン法を
用いた比較例2ではマージン部に白濁がみられた。これ
は残存したオイルによるものと考えられる。
【0081】また、マージン部両側の金属薄膜層の模式
的形状を図4に示す。図4(A)は実施例1について、
また、図4(B)は比較例1について特徴的部分をやや
誇張して示したものである。図4において、201,2
02は樹脂層、203はマージン部、204は金属箔膜
層である。図4(B)に示すように比較例1では金属薄
膜層204のマージン部203側端部に凸部204bが
形成されていた。一方、図4(A)に示すように実施例
1では、比較例1の凸部204bより明らかに小さな凸
部204aが認められた。なお、実施例2は実施例1よ
りやや大きいが比較例1よりは明らかに小さな凸部が形
成されていた。また、実施例3では、凸部はほとんど認
められず金属薄膜層のマージン部側端部はなだらかに曲
線状に傾斜していた。このように、レーザ光によりマー
ジン部を形成すると、比較例1のように溶融した金属薄
膜層材料がマージン部の両側に押しのけられてマージン
部両側に凸部が形成される。しかしながら、実施例1の
ように、レーザ光照射部分に酸素ガスなどの活性ガスを
供給し、かつ被照射部分を加熱することにより凸部の形
成を抑えることができる。また、実施例2のように、レ
ーザ光照射部分を加熱するだけでも凸部の形成をある程
度抑えることができる。更に、実施例3のように、樹脂
層を積層後に加熱しながらその下の金属薄膜層にレーザ
光を照射してもマージン部を形成することができ、その
とき金属薄膜層のマージン部側端部の凸部の形成を抑
え、該端部をなだらかに形成することができる。一方、
比較例2のようなオイルマージン法ではレーザマージン
法の場合のような凸部は認められず、金属薄膜層はマー
ジン部からなだらかに厚みが増加する傾斜した厚み分布
を有していた。これは、マージン部の両端部ではオイル
付着量が徐々に少なくなるためであると考えられる。
【0082】また、積層体上面の状態をみると、比較例
1ではマージン部に相当する部分の上部に溝状の凹みが
形成され、更にそのくぼみに沿ってその両側に盛り上が
り部が形成されていた。溝状の凹みはマージン部に金属
薄膜層が存在しないことによるものであり、その両側の
盛り上がり部は図4(B)の凸部204bによるものと
考えられる。これに対して実施例1では、図4(A)に
示したように凸部204aの盛り上がりが小さいため
に、溝状の凹みの両側の盛り上がり部の高さは比較例1
より小さかった。実施例2では、実施例1よりやや高い
盛り上がり部が形成されていた。実施例3では、わずか
な凹凸が認められるが、実施例1,2に比べるとその形
状は不明確で、全体的になだらかなものであった。一
方、比較例2ではマージン部の積層部分に溝状の凹みが
認められたが、その両側には盛り上がり部は形成されて
いなかった。
【0083】特性歩留まりに関しては、比較例2は実施
例1〜3に比べて明らかに劣っていた。これは、オイル
マージン法では本例のように樹脂層が極めて薄い場合に
は製品品質を安定させることが困難であることを示して
いる。比較例2は主に容量精度が規格外である割合が多
かった。比較例2のコンデンサを分解してマージン部分
を詳細に調査すると、上記の白濁が顕著に発生している
樹脂層部分の上に積層された金属薄膜層に多数の破断箇
所が認められた。なお、上記の比較例2において、パタ
ーニングオイルの蒸発量を少なくしてマージン部の白濁
のない積層体を得て同様にチップコンデンサを製造して
みたが、絶縁抵抗値が基準に達せず、特性歩留まりは表
1の「比較例2」と同程度で、大きく改善させることは
できなかった。比較例1の特性歩留まりが劣っているの
は、金属薄膜層のマージン部側端部に形成された凸部2
04bにより、その上に形成された樹脂層の厚みが薄く
なってピンホールを生じたり、更にその上に形成された
金属薄膜層に不連続部分が形成されたりすることによ
り、絶縁不良や容量のばらつきを生じたためである。ま
た、実施例3が実施例1,2よりわずかに優っているの
は、樹脂層形成後にその下の金属薄膜層にレーザ光を照
射してマージン部を形成するために、レーザ光によって
除去された金属がマージン部内に島状に残留してしまう
ためである。これに対して、実施例1,2では樹脂層形
成前にマージン部を形成するためにレーザ光の照射によ
って金属はマージン部から完全に除去できる。従って、
実施例3は、白濁がなく、金属薄膜層のマージン部側端
部の盛り上がりや、積層体上面の段差がほとんどないに
もかかわらず、特性歩留まり(特に絶縁抵抗値)におい
て実施例1,2よりわずかに劣る結果になっている。
【0084】以上のように、本発明のマージン形成方法
によれば、樹脂層を薄くしても安定した品質の積層体を
製造することができる。
【0085】なお、上記の実施例1,2で認められた金
属薄膜層のマージン部側端部に形成される凸部204a
に起因する積層体上面の凹凸は、マージン部の形成位置
をキャンローラの周回の度に幅方向に例えばマージン幅
の5倍程度の範囲内で移動さることである程度解消する
ことができ、その場合、特性歩留まりが更に向上するこ
とを確認している。
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、酸素又
はオゾン雰囲気中で、あるいは、被照射部分を加熱しな
がら、レーザ光を照射してマージン部を形成するので、
樹脂層が薄い場合でもマージン部の絶縁不良や金属薄膜
層の破断が発生せず、品質が安定した積層体を製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる積層体の製造
方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した
概略断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態2にかかる積層体の製造
方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した
概略断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態3にかかる積層体の製造
方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した
概略断面図である。
【図4】 図4(A)、図4(B)はそれぞれ実施例
1、比較例1によって得られた積層体のマージン部近傍
の金属薄膜層の状態を示した部分拡大断面図である。
【図5】 従来の積層体の製造方法を実施するための製
造装置の一例の概略を模式的に示した断面図である。
【図6】 従来の製造方法によって得られる積層体母素
子の一例を示した斜視図である。
【図7】 チップコンデンサの一般的な構成の一例を示
した概略斜視図である。
【符号の説明】
100 積層体の製造装置 111 キャンローラ 111a キャンローラの回転方向 112 樹脂層形成装置 114 金属薄膜形成装置(金属材料供給源) 115 真空槽 116 真空ポンプ 118 樹脂硬化装置 119 表面処理装置 120 隔壁 121 開口 123 遮蔽板 123a 遮蔽板の移動方向 130 レーザ光照射装置 131 レーザ光 140 活性ガス噴射ノズル 150 加熱装置 201,202 樹脂層 203 マージン部 204 金属箔膜層 204a,204b 凸部 900 積層体の製造装置 911 キャンローラ 912 樹脂層形成装置 913 パターニング材料付与装置 914 金属薄膜形成装置 915 真空槽 916 真空ポンプ 917 パターニング材料除去装置 918 樹脂硬化装置 919 表面処理装置 920a,920b 隔壁 922 開口 923 遮蔽板 930 積層体母素子 931 金属薄膜層 932 樹脂層 933 マージン部(非金属帯) 938 キャンローラの外周面の走行方向 939a,939b 切断面 940 チップコンデンサ 941a,941b 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/18 324 H01G 4/18 324A // B29K 101:00 B29K 101:00 105:22 105:22 (72)発明者 小田桐 優 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 砂流 伸樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4E068 CJ02 CJ04 DA09 DB01 DB14 4F205 AD03 AD05 AG03 AK03 AM28 AM30 AR06 GB01 GB11 GF01 GF05 GF23 GF25 GF30 GN01 GN13 GW06 GW34 5E082 AA01 AB03 BC35 BC36 BC39 EE05 EE11 EE22 EE37 EE47 FF05 FG03 FG34 FG37 FG42 FG51 JJ01 JJ15 KK01 LL02 LL03 MM05 MM23 PP06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂層を形成する工程と、金属材料を真
    空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を形成する工程
    とを有し、これらを周回する支持体上で繰り返し行うこ
    とにより前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積
    層体を製造する方法であって、 更に、酸素又はオゾン雰囲気中でレーザ光を照射して前
    記金属薄膜層にマージン部を形成する工程を有すること
    を特徴とする積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂層を形成する工程と、金属材料を真
    空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を形成する工程
    とを有し、これらを周回する支持体上で繰り返し行うこ
    とにより前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積
    層体を製造する方法であって、 更に、被照射部分を加熱しながらレーザ光を照射して前
    記金属薄膜層にマージン部を形成する工程を有すること
    を特徴とする積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光の照射を、前記金属薄膜層
    を形成する工程の後であって、前記樹脂層を形成する工
    程の前に行なう請求項1又は2に記載の積層体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光の照射を、前記樹脂層を形
    成する工程の後に行なう請求項1又は2に記載の積層体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱温度が100℃以上である請求
    項2に記載の積層体の製造方法。
  6. 【請求項6】 真空槽と、前記真空槽内に収納された周
    回する支持体と、前記支持体上に樹脂材料を堆積させて
    樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、前記樹脂層上に金
    属材料を堆積させて金属薄膜層を形成する金属薄膜層形
    成装置と、前記金属薄膜層に酸素又はオゾン雰囲気中で
    レーザ光を照射してマージン部を形成するためのレーザ
    光照射装置とを有することを特徴とする積層体の製造装
    置。
  7. 【請求項7】 真空槽と、前記真空槽内に収納された周
    回する支持体と、前記支持体上に樹脂材料を堆積させて
    樹脂層を形成する樹脂層形成装置と、前記樹脂層上に金
    属材料を堆積させて金属薄膜層を形成する金属薄膜層形
    成装置と、被照射部分を加熱しながら前記金属薄膜層に
    レーザ光を照射してマージン部を形成するためのレーザ
    光照射装置とを有することを特徴とする積層体の製造装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007096777A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Kyocera Kinseki Corp 圧電振動子の製造方法

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