JP4533504B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂層と金属薄膜層とからなる電子部品の製造方法に関するものである。詳しくは、周回する支持体上で樹脂層と金属薄膜層とを交互に積層して電子部品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂層を積層する工程と金属薄膜層を積層する工程とを一単位として、これを周回する支持体上で繰り返すことにより、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層された積層体を製造する方法、及び得られた積層体からコンデンサなどの電子部品を得る方法は、例えば、特開平10−237623号公報(特願平9−45591号)等で公知ある。
【0003】
樹脂層と金属薄膜層との積層体の製造方法の一例を図面を用いて説明する。
【0004】
図8は、従来の積層体の製造方法を実施するための製造装置の一例の概略を模式的に示した断面図である。
【0005】
図8において、915は真空槽、916は真空槽915内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、911は真空槽915内に設置された、図中の矢印方向に回転する円筒形状のキャンローラ、912は樹脂層形成装置、913はパターニング材料付与装置、914は金属薄膜形成装置、917はパターニング材料除去装置、918は樹脂硬化装置、919は表面処理装置、920a,920bは金属薄膜形成領域を他の領域と区別するための隔壁、922は隔壁920a,920bに設けられた開口、923は必要時以外に金属薄膜が形成されるのを防止するために開口922を閉じるための遮蔽板である。
【0006】
樹脂層形成装置912は、樹脂層を形成するための樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ911表面に向けて放出する。キャンローラ911は所定の温度に冷却されているから、樹脂材料は冷却されてキャンローラ911の外周面に膜状に堆積する。
【0007】
堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬化装置918により、電子線又は紫外線等が照射されて所望の硬度に硬化処理される。
【0008】
次いで、形成された樹脂層は、必要に応じて樹脂表面処理装置919により、酸素プラズマ処理等が施され、樹脂層表面が活性化される。
【0009】
パターニング材料付与装置913は、オイルマージンと呼ばれる手法により金属薄膜層を所定の形状にパターニングするための装置である。樹脂層上に予めパターニング材料を薄く形成した後に、金属薄膜層を蒸着などによって形成すると、パターニング材料上には金属薄膜層が形成されない。このようにして形成された金属薄膜層はパターニング部分が抜けた状態で形成されており、所望のパターンを持つ金属薄膜層を形成することが出来る。パターニング材料は、パターニング材料付与装置913内で気化されてキャンローラ911の外周面に向けて所定位置に形成された細孔から放出される。これによりパターニング材料が金属薄膜層を形成する面に予め薄くパターン塗布される。
【0010】
その後、金属薄膜形成装置914により金属薄膜層が蒸着などによって形成される。
【0011】
その後、パターニング材料除去装置917により余剰のパターニング材料が除去される。
【0012】
以上の製造装置900によれば、遮蔽板923を待避させた状態では、周回するキャンローラ911の外周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層と、金属薄膜形成装置914による金属薄膜層とが交互に積層された積層体が製造され、また、遮蔽板923が開口922を遮蔽した状態では、周回するキャンローラ911の外周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層が連続して積層された積層体が製造される。また、キャンローラ911の回転と同期させてパターニング材料付与装置913をキャンローラ911の回転軸と平行方向に移動させることにより、パターン位置の異なる金属薄膜層を形成することができる。
【0013】
このようにして、キャンローラ911の外周面上に金属薄膜層と樹脂層とからなる円筒状の多層積層体を形成し、その後、積層体を半径方向に切断してキャンローラ911から取り外し、平板プレスすることにより、例えば図9のような積層体母素子930を得ることができる。図9において、931は金属薄膜層、932は樹脂層、933は非金属帯であり、矢印938はキャンローラ911の外周面の走行方向と一致する。図9の積層体母素子930は、キャンローラ911上に、層936a、層935a、層934、層935b、層936bの順に積層することにより製造される。ここで、層936a,936bは遮蔽板923を閉じて樹脂層のみを連続して積層した層であり、層934及び層935a,935bは、遮蔽板923を待避させて、金属薄膜層931と樹脂層932とを交互に積層した層である。また、層934は、キャンローラ911の回転と同期させて1回転ごとにパターニング材料の付着位置を変更して積層してある。
【0014】
この積層体母素子930を、例えば切断面939a,939bで切断し、切断面939aに外部電極を形成することにより、図10に示すようなチップコンデンサ940を多数得ることができる。図10において、941a,941bは金属薄膜層931と電気的に接続して形成された外部電極である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法で得られた積層体母素子930を切断面939a,939bで切断する場合、以下の問題が発生する。
【0016】
即ち、切断面939a,939bでの切断では必ず金属薄膜層931が切断される。切断は例えば刃物を用いてせん断により行なう。このとき金属薄膜層931の切断面にはバリが発生したり、金属薄膜層の切りくずが発生したりする。上記の方法で得られる樹脂層や金属薄膜層は極めて薄いので、金属薄膜層のバリや切りくずが、樹脂層を挟んで隣り合う金属薄膜層同士を短絡させる場合がある。これは、例えば得られるコンデンサの耐電圧や絶縁抵抗を低下させる原因となる。
【0017】
また、金属薄膜層を切断するためには、樹脂層を切断する場合より遙かに大きな切断力が必要になる。従って、切断条件が適切でないと金属薄膜層を切断することに起因して切断面付近で積層体が変形したり金属薄膜層が引っ張られて積層体内部で破断したりすることがあった。積層体の外形の変形は、電子部品として使用する場合には、回路基板に実装する際の実装性を低下させる。また、金属薄膜層の積層体内部での破断は、電子部品の特性の悪化、歩留まりの低下を招く。
【0018】
さらに、金属薄膜層を切断することは、切断面に金属薄膜層が露出すること意味する。金属薄膜層が切断面に露出していると、切断面から金属薄膜層の酸化や錆等の腐蝕が進行する。金属薄膜層の腐蝕は、電子部品においてはその信頼性を低下させる。従来はこれを防ぐために切断面に樹脂コーティング等の外装処理を施していたが、切断後外装処理を行なうまでの酸素や湿気の付着を防ぐことは困難である。
【0019】
また、切断面に金属薄膜層が露出した状態では、例えば電子部品として回路基板に実装する際には露出した金属薄膜層にはんだが付着して短絡しないように、特別の配慮を行なう必要があり、実装上の制約となっていた。
【0020】
金属薄膜層と電気的に接続された外部電極を形成するためには金属薄膜層を切断してこれを露出させる必要がある。しかしながら、外部電極の形成の予定のない切断面では金属薄膜層を切断することがなく、また、金属薄膜層が切断面に露出していないことが望まれる。
【0021】
従って、本発明は、以上のような従来の問題が解決された電子部品の製造方法を提供することを目的とする。即ち、本発明は、外部電極を形成する切断面以外の切断面で金属薄膜層を切断することがないように配慮した電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために以下の構成とする。
【0024】
即ち、本発明にかかる電子部品の製造方法は、樹脂層を形成する工程と金属材料を真空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を形成する工程とを周回する支持体上で行うことにより、前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造した後、前記積層体を積層方向に切断し、外部電極を形成して電子部品を製造する方法である。支持体上に形成される前記金属薄膜層は、前記支持体の移動方向に形成された第1の非金属帯と前記支持体の移動方向と略直角方向に形成された第2の非金属帯とにより略矩形状に分割されている。前記第2の非金属帯が、金属薄膜層の形成後に金属薄膜層を除去することにより形成されている。前記金属薄膜層の前記除去が、前記金属薄膜層の移動方向に対してレーザ光を斜めに走査しながら照射することにより行われる。前記切断は、第1の非金属帯及び第2の非金属帯の少なくとも一部に沿って前記積層体を2通りに切断するものである。前記2通りの切断のうちの一方の切断は、切断面に金属薄膜層が露出しないように積層方向に行なう切断であり、他方の切断は、前記一方切断と異なる方向であって、切断面に金属薄膜層が露出するように積層方向に行なう切断である。上記の構成によれば、非金属帯に沿って積層方向に切断することにより、金属薄膜層を切断する可能性を低減することができる。従って、金属薄膜層を切断することによって生じるバリや切りくずで、金属薄膜層同士が短絡するのを防止することができる。また、金属薄膜層の切断抵抗によって生じる積層体の変形や金属薄膜層の破断を防止することができる。さらに、切断面に金属薄膜層が露出するのを防止できるので、金属薄膜層の腐蝕を防止でき、また、電子部品としたときの実装上の制約を少なくすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の積層体の製造方法は、支持体上に、樹脂層と略矩形状に分割された金属薄膜層とを含む積層体を形成することを特徴とする。
【0029】
以下にその具体的方法を図面を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる積層体の製造方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【0031】
図1において、100は本実施の形態の積層体の製造装置、115は真空槽、116は真空槽115内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、111は真空槽115内に設置された、図中の矢印111aの方向に回転する円筒形状のキャンローラ、112は樹脂層形成装置、113はパターニング材料付与装置、114は金属薄膜形成装置(金属材料供給源)、117はパターニング材料除去装置、118は樹脂硬化装置、119は表面処理装置、120は金属薄膜形成領域を他の領域と区別するための隔壁、121は隔壁120に設けられた開口、123は必要時以外に金属薄膜が形成されるのを防止するために、移動方向123aの方向に移動して開口121を開閉する遮蔽板、130はキャンローラ111の外周面に向けてレーザ光を照射するレーザ光照射装置、131はレーザ光照射装置から発せられたレーザ光である。
【0032】
矩形状に分割された金属薄膜層の形成は、パターニング材料付与装置113と、金属薄膜形成装置114と、レーザ光照射装置130とを用いることで実現できる。
【0033】
パターニング材料付与装置113は、加熱し気化したパターニング材料をキャンローラ111に向けて開口させた微細孔から噴射して、キャンローラ111上の樹脂層表面に帯状に液膜状に付着させる。パターニング材料が付着した箇所には金属薄膜層は形成されず、第1の非金属帯(マージン部)となる。微細孔のキャンローラ111の回転軸方向の配置(間隔、数)は形成しようとする非金属帯の配置に応じて決定する。また、非金属帯の幅は、微細孔の大きさや吐出量を変化させることで調整できる。このとき、キャンローラ111の回転と同期させてパターニング材料付与装置113をキャンローラ111の回転軸と平行方向に移動させることにより、非金属帯の形成位置が異なる金属薄膜層を形成することができる。
【0034】
なお、パターニング材料の付与の手段としては、上記の他に、リーバースコート、ダイコート等の塗布により直接付与する方法があるが、樹脂層表面に外力が付与されて、樹脂層やその下の金属薄膜層の変形、破断、表面荒れなどが発生するのを防止するために、非接触の付与手段が好ましい。
【0035】
使用するパターニング材料としては、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイル及び炭化水素系オイルよりなる群から選ばれた少なくとも一種のオイルであることが好ましい。更に好ましくは、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイルであり、特に、フッ素系オイルが好ましい。上記以外のパターニング材料を使用すると、積層表面の荒れ、樹脂層や金属薄膜層のピンホール、金属薄膜層の形成境界部分の不安定化等の問題を生じることがある。
【0036】
パターニング材料を付与した後、金属薄膜層形成装置114により金属薄膜層が形成される。金属薄膜層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等周知の真空プロセス手段が適用できるが、本発明では蒸着、特に電子ビーム蒸着が耐湿性の優れた膜が生産性良く得られる点で好ましい。金属薄膜層の材料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、シリコン、ゲルマニウム若しくはその化合物、若しくはこれらの酸化物、若しくはこれらの化合物の酸化物などが使用できる。中でも、アルミニウムが接着性と経済性の点で好ましい。なお、金属薄膜層には、上記以外の他成分を含むものであっても構わない。また、金属薄膜層を一種とせず、例えばAl層とCu層の混入とすることによって特性の補完がなされ、使用条件によっては高性能化が図れる場合もありうる。
【0037】
金属薄膜層の厚みは、得られる積層体の用途により適宜決定すればよいが、電子部品用途に使用する場合は、100nm以下、更に10〜50nm、特に20〜40nmであるのが好ましい。また、膜抵抗は、上限は20Ω/□以下、さらに15Ω/□以下、特に10Ω/□以下であるのが好ましく、また下限は1Ω/□以上、さらに2Ω/□以上、特に3Ω/□以上であるのが好ましい。
【0038】
パターニング材料付与装置113によりキャンローラ111の外周面の移動方向に帯状にパターニング材料が付与されているので、パターニング材料が付与された位置には金属薄膜層が形成されず、その部分が抜けた帯状の金属薄膜層が形成される。
【0039】
レーザ光照射装置130は、レーザ光を照射することにより形成された金属薄膜層を加熱蒸発して除去する。
【0040】
使用するレーザ光は、除去しようとする金属薄膜層の材料に応じて選択できるが、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザなどの比較的波長の短いレーザ光が望ましい。長波長レーザ光では、金属薄膜層表面で反射してしまう。また、樹脂層に照射すると、樹脂層が焼失してしまう。
【0041】
レーザ光は、その軌跡がパターニング材料付与装置113によってキャンローラ111の外周面の移動方向と平行に形成された第1の非金属帯と略直角になるように走査させて照射する。即ち、金属薄膜層はキャンローラ111の回転により移動しているから、その移動方向に対して斜めに走査しながら照射する。金属薄膜層の移動方向と走査方向のなす角度は、キャンローラ111上に形成された最表層の金属薄膜層の移動速度に応じて決定する。
【0042】
レーザ光の照射によって形成された非金属帯は、パターニング材料の付与によって形成された非金属帯より、絶縁特性がより確実で、また、境界部が明瞭な非金属帯が得られる。また、積層体に非接触で形成できるので、積層体に外力が付与されず、樹脂層や金属薄膜層の変形、破断、表面荒れなどを防止できる。
【0043】
非金属帯の幅はレーザ光源の出力や走査方法を調整することで変更できる。
【0044】
以上により、パターニング材料付与装置113によって形成された、キャンローラ111の外周面の移動方向と平行方向の第1の非金属帯と、レーザ光照射装置130によって形成された、キャンローラ111の外周面の移動方向と略直角方向の第2の非金属帯とによって、金属薄膜層は略矩形状(正方形又は長方形)に分割される。
【0045】
次に、図1の製造装置の上記以外の構成について説明する。
【0046】
真空槽115の内部は真空ポンプ116により所定の真空度に保たれている。
真空槽115内の好ましい真空度は0.027Pa(2×10-4Torr)程度である。また、隔壁120で仕切られた金属薄膜形成装置114を含む空間をこれ以外の空間よりわずかに低圧に維持しておくのが好ましい。こうしておくことで、金属薄膜形成装置114からの金属蒸気流又は金属粒子流が、金属薄膜形成装置114を含む空間外に不用意に漏れ出すのを防止することができる。
【0047】
キャンローラ111の外周面は、平滑に、好ましくは鏡面状に仕上げられており、好ましくは−20〜40℃、特に好ましくは−10〜10℃に冷却されている。回転速度は自由に設定できるが、15〜100rpm程度、周速度は好ましくは20〜30000m/minである。
【0048】
樹脂層形成装置112は、樹脂層を形成する樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ111表面に向けて放出する。樹脂材料は、キャンローラ111の外周面に付着して樹脂層を形成する。このような方法によれば、厚みが極めて薄く均一で、ピンホール等の欠点のない良好な樹脂層が得られる。樹脂材料としては、このように蒸発気化又は霧化した後、堆積して薄膜を形成できるものであれば特に限定されず、得られる積層体の用途に応じて適宜選択できるが、反応性モノマー樹脂であるのが好ましい。例えば、電子部品材料用途に使用する場合には、アクリレート樹脂またはビニル樹脂を主成分とするものが好ましく、具体的には、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能ビニルエーテルモノマーが好ましく、中でも、シクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルモノマー等若しくはこれらの炭化水素基を置換したモノマーが電気特性、耐熱性、安定性等の点で好ましい。樹脂材料を飛散させる手段としては、ヒータ等の加熱手段、超音波又はスプレー等による気化又は霧化させる方法が用いられる。特に、ヒータ等の加熱手段により樹脂材料を蒸発気化させる方法が、形成される樹脂層の厚み及びその均一性、欠点の発生防止、装置の簡素化の観点から好ましい。
【0049】
堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬化装置118により所望の硬化度に硬化処理してもい。硬化処理としては、樹脂材料を重合及び/又は架橋する処理が例示できる。樹脂硬化装置としては、例えば電子線照射装置、紫外線照射装置、又は熱硬化装置等を用いることができる。硬化処理の程度は、製造する積層体の要求特性により適宜変更すれば良いが、例えばコンデンサなどの電子部品用の積層体を製造するのであれば、硬化度が50〜95%、更には50〜75%になるまで硬化処理するのが好ましい。硬化度が上記範囲より小さいと、後工程において外力等が加わると容易に変形したり、金属薄膜層の破断又は短絡等を生じてしまう。一方、硬化度が上記範囲より大きいと、後工程において外力等が加わると割れるなどの問題が生じることがある。なお、本発明の硬化度は、赤外分光光度計でC=O基の吸光度とC=C基(1600cm-1)の比をとり、各々のモノマーと硬化物の比の値をとり、減少分吸光度を1から引いたものと定義する。
【0050】
本発明において、樹脂層の厚みは特に制限はないが、1μm以下、更に0.7μm以下、特に0.4μm以下であることが好ましい。本発明の方法によって得られる積層体の小型化・高性能化の要求に答えるためには樹脂層の厚みは薄い方が好ましい。例えば、本発明の製造方法により得られた積層体をコンデンサに使用する場合、誘電体層となる樹脂層は薄い方が、コンデンサの静電容量はその厚みに反比例して大きくなる。
【0051】
形成された樹脂層は、必要に応じて表面処理装置119により表面処理される。例えば、酸素雰囲気下で放電処理又は紫外線照射処理等を行って、樹脂層表面を活性化させて金属薄膜層との接着性を向上させることができる。
【0052】
このようにして形成された樹脂層上に、上記の方法により金属薄膜層を形成する。その後、樹脂層を積層する前に、残存するパターニング材料を除去することが好ましい。残存したパターニング材料は、積層表面の荒れ、樹脂層や金属薄膜層のピンホール(積層抜け)、金属薄膜層の形成境界部分の不安定化等の問題を発生させる。パターニング材料の除去は、パターニング材料除去装置117により行う。パターニング材料の除去手段は特に制限はなく、パターニング材料の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば加熱及び/又は分解により除去することができる。加熱して除去する方法としては、例えば、光照射や電熱ヒータによる方法が例示できるが、光照射による方法が装置が簡単であり、かつ除去性能も高い。なお、ここで光とは、遠赤外線及び赤外線を含む。一方、分解して除去する方法としては、プラズマ照射、イオン照射、電子照射などが使用できる。このとき、プラズマ照射は、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、窒素プラズマ等が使用できるが、この中でも特に酸素プラズマが好ましい。
【0053】
パターニング材料除去装置117とレーザ光照射装置130との配置は、図1のようにパターニング材料除去装置117を上流側にしても良く、レーザ光照射装置130を上流側にしても良い。
【0054】
以上の装置によれば、開口121を開いた状態では、周回するキャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成装置112による樹脂層と、金属薄膜形成装置114による金属薄膜層とが交互に積層された積層体が製造され、また、開口121を閉じた状態では、周回するキャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成装置112による樹脂層が連続して積層された積層体が製造される。
【0055】
次に、上記の装置を用いて図2に示すような積層体母素子200を得た後、図3に示すようなチップコンデンサ210を製造する方法について説明する(図2,図3の詳細は後述する)。
【0056】
キャンローラ111を回転させながら、キャンローラ111上に、層204a、層203a、層202、層203b、層204bの順に連続積層する。
【0057】
最初に層204aを積層する。層204aは樹脂層のみが連続積層された層(保護層)である。保護層204aは、コンデンサとしての容量を発生することはないが、容量発生部分である層(素子層)202が熱負荷や外力により損傷を受けるのを防止するのに有効に機能する。
【0058】
保護層204aを積層するときは、開口121を遮蔽板123で遮蔽した状態で、キャンローラ111を回転させ、樹脂層のみを所定数連続積層する。
【0059】
次に、層203aを積層する。層203aは、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層された層(補強層)である。補強層203aは、容量発生部分である層(素子層)202が熱負荷や外力により損傷を受けるのを防止するのに有効に機能する。また、外部電極と接続する金属薄膜層を有していることにより、外部電極の付着強度の向上にも寄与する。
【0060】
補強層203aの積層では、パターニング材料付与装置113からパターニング材料を樹脂層表面に帯状に付与する。また、遮蔽板123を移動して開口121を開き、金属薄膜層を積層する。このとき金属薄膜層は、帯状に付与されたパターニング材料によって第1の非金属帯によって帯状に分割されて形成される。次いで、レーザ光照射装置130からレーザ光を走査しながら照射して第2の非金属帯を形成する。このとき、レーザ光の走査軌跡が第1の非金属帯に対して略直角方向になるように走査する。この状態で、所定回数キャンローラ11を回転させることにより、略矩形状に分割された金属薄膜層と樹脂層とが交互に積層された層203aが形成される。
【0061】
次に、層202を積層する。層202は樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層され、コンデンサとしての容量発生部分となる層(素子層)である。
【0062】
素子層202の積層では、キャンローラ111が1回転するごとに、パターニング材料付与装置113をローラ111の回転軸方向に所定幅だけ往復移動させる。このようにすることで、第1の非金属帯の位置が隣接する層ごとに異なる金属薄膜層が形成される。レーザ光照射装置130によって第2の非金属帯を形成する点は上記の補強層203aの積層と同様である。
【0063】
次に、補強層203bの積層を行なう。パターニング材料付与装置113を補強層203aの積層時と同じ位置に固定したまま、補強層203aの積層時と同様の積層条件で所定数の積層を行なう。
【0064】
最後に、保護層204bの積層を行なう。このとき、遮蔽板123を移動して開口121を遮蔽する。また、パターニング材料の付与及びレーザ光の照射を停止する。この状態でキャンローラ111を回転させて、樹脂層のみを所定数連続積層する。
【0065】
上記において、レーザ光を照射して第2の非金属帯を形成する場合は、レーザ光の走査をキャンローラ111の回転と同期させることにより、第2の非金属帯の積層方向の位置を積層体全体にわたって略一致させるのが特に好ましい。このような構成にしておくと、第2の非金属帯に沿って積層体を積層方向に切断することにより、金属薄膜層を切断することがなく、また切断面に金属薄膜層が露出することもない。
【0066】
このようにして、キャンローラ111の外周面上に樹脂層と略矩形状に分割された金属薄膜層とからなる円筒状の多層積層体を得る。次いで、積層体を半径方向に切断して分割し、キャンローラ111から取り外す。このときの切断を、第2の非金属帯で行なう。この部分には金属薄膜層が存在しないので、切断が容易で金属薄膜層のバリや切りくずも発生しない。また、切断面に金属薄膜層が露出することもない。
【0067】
分割して取り外した積層体を平板プレスすることにより、例えば図2のような積層体母素子200が得られる。図2(A)は積層体母素子を切断面方向から見た正面図、図2(B)は平面図、図2(C)は図2(A)のI−I線での矢印方向から見た断面図、図2(D)は図2(A)のII-II線での矢印方向から見た断面図である。図2において、矢印201はキャンローラ111の外周面の走行方向と一致する。また、205は上記の円筒状の積層体を分割した際の切断面、206は金属薄膜層、207は樹脂層、208aは第1の非金属帯、208bは第2の非金属帯である。図2は、積層状態を理解しやすいように模式的に示しており、実際の積層数はこれより遙かに多い。また、金属薄膜層206と樹脂層207の厚みや、第1、第2の非金属帯208a,208bの幅等も実際のものとは異なり誇張して描いてある。
【0068】
図2(A)において、積層体母素子200の下面がキャンローラ111側であり、下から順に保護層204a、補強層203a、素子層202、補強層203b、保護層204bが上記の手順により積層されたことを示している。上記の通り、層204a,204bは開口121を閉じて樹脂層のみを連続して積層した層であり、層202及び層203a,203bは、開口121を開いて金属薄膜層と樹脂層とを交互に積層した層である。また、層202は、キャンローラ911の回転と同期させて1回転ごとに第1の非金属帯208aの位置を変更して積層してある。
【0069】
図2からも明らかなように、本実施の形態の積層体母素子では切断面205には金属薄膜層206が露出しない。この結果、次の工程に移行するまでに、切断面205から金属薄膜層206が酸化や錆等の腐蝕を生じることがない。
【0070】
このようにして得た積層体母素子200を切断面209aで切断する。切断面209aは第1の非金属帯208aの略中央部を通る。次いで、切断面209aに溶射等により外部電極を形成する。
【0071】
次いで、切断面209bに相当する位置で切断する。切断面209bは第2の非金属帯208bの略中央部を通る。切断面209bには金属薄膜層が存在しないので、切断が容易で金属薄膜層のバリや切りくずも発生しない。また、切断面に金属薄膜層が露出することもない。従って、次の工程に移行するまでに、切断面209bから金属薄膜層206が酸化や錆等の腐蝕を生じることがない。
【0072】
その後、必要に応じて外装コーティングを行ない図3に示すようなチップコンデンサ210を多数得る。図3において、211a、211bは金属薄膜層206と電気的に接続して形成された外部電極である。
【0073】
図3に示したように、本実施の形態で得られるチップコンデンサ210は、外部電極211a,211bが形成されていない対向する側面(上記の切断面209b)には金属薄膜層206が露出しない。従って、切断面209bに特別の絶縁層等を形成しなくても、外部電極211a,211bにはんだ付を行なって直接回路基板に面実装することができる。従って、実装工程が簡略化し、回路基板全体の小型化にも貢献する。
【0074】
(参考実施形態)
図4は、参考実施形態にかかる積層体の製造方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した概略断面図である。図4において、図1と同一の機能を有する要素には同一の符号を付して、それらについての詳細な説明を省略する。
【0075】
図4の積層体の製造装置100’が実施の形態1で説明した図1の製造装置100と異なるのは、図1の製造装置100のパターニング材料付与装置113に代えてパターニング材料付与装置140を用い、かつ、図1の製造装置100のレーザ光照射装置130を不要とした点である。
【0076】
本参考実施形態のパターニング材料付与装置140は、液体状態のパターニング材料を液滴として微細孔から噴射する点で、パターニング材料を気化させて微細孔から噴射する実施の形態1のパターニング材料付与装置113と相違する。
【0077】
図5は、パターニング材料付与装置140のキャンローラ111側から見た正面図である。パターニング材料付与装置140は矢印201の方向がキャンローラ111の外周面の走行方向に一致するように設置される。パターニング材料付与装置140の正面には、ノズルヘッド141が矢印201と直角をなすように配置されている。
【0078】
図6に図5のノズルヘッド141を正面から見た部分拡大図を示す。図中、矢印201は図5の矢印201の方向と一致する。ノズルヘッド141の表面には微細孔142が配されている。図6の例では、3つの微細孔142を矢印201と略45°の角度をなすように所定間隔で配したものを1組として、これをノズルヘッド内で所定間隔で所定の数だけ配している。そして、これらの微細孔142は、これを矢印201と垂直な面に投影させて見れば等間隔になるように配置されている。
【0079】
図7は、図6のIII−III線での矢印方向から見た微細孔142の部分断面図である。
【0080】
ベースプレート143には、微細孔142の位置に相当する部分にシリンダ148が加工されており、該シリンダ148にピエゾ圧電素子144及びピストンヘッド145が順に挿入されている。ベースプレート143の前面にはオリフィスプレート146が配され、両者の間に液体状態のパターニング材料147が充填されている。微細孔142の径は適宜設計することができるが例えば70μm程度である。
【0081】
微細孔142からの液体状態のパターニング材料の噴射は以下のようにして行う。圧電素子144の圧電効果により、圧電素子144を収縮させ、ピストンヘッド145を図中左方向に後退させる。これによりピストンヘッド145の前面が負圧になってパターニング材料147がベースプレートのシリンダ148内に吸い込まれる。その後、圧電素子を元の状態に戻すことにより、シリンダ148に蓄えられたパターニング材料が微細孔142を通って放出される。本方式ではパターニング材料は液滴となって不連続に放出される。従って、1回の放出により、パターニング材料は被付着面(樹脂層表面)にひとつのドットとして付着する。1回当たりのパターニング材料の放出量(液滴の大きさ)及び間隔を調整することにより、パターニング材料を連続した液膜として付着させることができる。
【0082】
このようなパターニング材料付与装置140によれば、多数の微細孔をそれぞれ独立して制御することが容易である。従って、実施の形態1のパターニング材料付与装置113のように、帯状にパターニング材料を付与することができるのはいうまでもなく、碁盤目状(格子状)に付与することもできる。
【0083】
従って、本参考実施形態では、パターニング材料付与装置140によって、キャンローラ111の外周面の走行方向に帯状にパターニング材料を付与するとともに、それと直角方向にも所定間隔で帯状にパターニング材料を付与する。この後、金属薄膜形成装置114により金属薄膜層を形成すれば、碁盤目状に付与されたパターニング材料部分が非金属帯となり、金属薄膜層は略矩形状に分割される。この結果、本参考実施形態では実施の形態1のレーザ光照射装置130が不要となる。
【0084】
このとき、キャンローラ111の外周面の走行方向と略直角方向に帯状に付与するパターニング材料の付着位置を、キャンローラ111の回転と同期させることにより、第2の非金属帯の積層方向の位置を積層体全体にわたって略一致させることが好ましいことは、実施の形態1と同様である。
【0085】
また、パターニング材料付与装置140によれば、実施の形態1における素子層202の積層時のように、パターニング材料付与装置140をキャンローラ111の回転軸方向に往復移動させなくても、パターニング材料を吐出させる微細孔を変更することにより、第1の非金属帯の位置を変更することができる。
【0086】
さらに、気化したパターニング材料を放出して被付着面上で液化させる実施の形態1に比べて、放出されたパターニング材料の指向性が鋭く、意図する通りに正確にパターニング材料を付着させることが容易である。しかも、微細孔と被付着面との距離を大きくとることができるため(例えば、500μm程度)、装置の設計の自由度が高まる。
【0087】
本参考実施形態において好ましいパターニング材料は、使用環境下での粘度等を考慮して適宜選択すればよいが、基本的には実施の形態1で説明したパターニング材料がそのまま使用できる。
【0088】
本参考実施形態においても、実施の形態1と同様にして、図3に示すチップコンデンサを製造することが可能である。
【0089】
上記の実施の形態1及び参考実施形態では、支持体として円筒形状のキャンローラを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2本又はそれ以上のロールの間を周回するベルト状の支持体、あるいは回転する円盤状支持体等であってもよい。
【0090】
また、積層の開始に先立って、キャンローラ111の外周面上に離型剤を付与しておくと、積層終了後に積層体を取り外す作業が容易になるので好ましい。離型剤としては、例えばフッ素系離型剤(例えば、商品名:“ダイフリー”、ダイキン工業(株)製)等を使用できる。離型剤の付与方法は、スプレー噴霧法の他、スパッタ法や蒸着法など、離型剤材料とプロセスの条件等に適合するものを適宜選択すると良い。
【0091】
また、第1及び第2の非金属帯の形成は上記の実施の形態の方法に限られない。例えば、連続する金属薄膜層を形成後、レーザ光の照射により第1及び第2の非金属帯を形成しても良い。あるいはキャンローラの外周面の移動方向と略直角方向を長手方向とするスリット状の開口と、該スリット状開口を開閉するシャッターとを有するパターニング材料付与装置を設置して、該スリット状開口から気化したパターニング材料を吐出して、第2の非金属帯形成用のパターニング材料を樹脂層表面上に付与しても良い。
【0092】
【実施例】
(実施例1)
図1に示した製造装置を用いて、図3に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0093】
真空ポンプ116により真空槽115内を0.027Pa(2×10-4Torr)とし、また、キャンローラ111の外周面を5℃にまで冷却した。キャンローラ111の直径は500mm、外表面の移動速度は50m/分とした。
【0094】
積層に先立ち、キャンローラ111の外周面にフッ素系離型剤(ダイキン工業(株)製“ダイフリー”)をスプレー塗布し、その後不織布で薄く延ばした。
【0095】
まず最初に、樹脂層のみが連続積層された保護層204a部分を積層した。保護層204aの材料として、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレートを用い、これを気化して樹脂層形成装置112よりキャンローラ111の外周面に堆積させた。1層当たりの積層厚さは0.6μmである。次いで樹脂硬化装置118として、紫外線硬化装置を用い、上記により堆積させた樹脂層材料を重合し、硬化度が70%になるまで硬化させた。この操作を、キャンローラ111を回転させることにより繰返し、キャンローラ111の外周面に厚さ15μmの保護層204a部分を形成した。この間、開口121は遮蔽板123で遮蔽しておいた。
【0096】
次いで、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積層された補強層203a部分を積層した。補強層203aの樹脂層材料は、上記の保護層204aの材料と同じものを用いた。樹脂層1層当たりの積層厚さは0.6μmである。次いで樹脂硬化装置118により樹脂層の硬化度が70%になるまで硬化させた。その後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処理した。次に、パターニング材料付与装置113により、気化させたパターニング材料を微細孔から噴出させて、樹脂層表面上に帯状に付着させた。パターニング材料として、フッ素系オイルを使用した。このパターニング材料の蒸気圧が0.1torrとなる温度は100℃である。オイルの平均分子量は1500である。帯状のパターニング材料の付着幅は150μmとした。次に、遮蔽板123を移動して開口121を開いた。そして、金属薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着させた。積層厚みは300オングストロームとした。その後、パターニング材料除去装置117により、遠赤外線ヒータによる加熱及びプラズマ放電処理を行ない、残存したパターニング材料を除去した。次いで、レーザ光照射装置130からレーザ光を照射して第2の非金属帯を形成した。レーザ光として、出力20WのYAGレーザーを用いた。このとき、レーザ光の走査軌跡がパターニング材料付与装置113によって形成された第1の非金属帯に対して略直角方向になるように走査した。以上の操作を、キャンローラ111を回転させることにより500回繰り返し、総厚さ315μmの層203a部分を形成した。
【0097】
次に、コンデンサとしての容量発生部分となる素子層202部分を積層した。樹脂層材料は、上記と同じものを用い、1層当たりの積層厚さは0.4μmとした。次いで樹脂硬化装置118により、樹脂層を硬化度が70%になるまで硬化させた。その後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ処理した。次に、パターニング材料付与装置113により、上記と同じパターニング材料を上記と同一幅に帯状に付着させた。次に、金属薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着させた。積層厚みは300オングストロームとした。その後、パターニング材料除去装置117により、残存したパターニング材料を除去した。次いで、レーザ光照射装置130からレーザ光を照射して第2の非金属帯を形成した。このとき、補強層203aの積層時と同様に、レーザ光の走査軌跡がパターニング材料付与装置113によって形成された第1の非金属帯に対して略直角方向になるように走査した。以上の操作を、キャンローラ111を回転させることにより約2000回繰り返し、総厚さ860μmの層202部分を形成した。なお、この間、パターニング材料付与装置113を、キャンローラ111の回転に同期させて、1回転するごとに回転軸方向に1000μm往復移動させた。
【0098】
次に、パターニング材料付与装置113の移動を停止して、厚さ315μmの補強層203b部分を形成した。形成方法は上記の層203a部分と全く同一とした。
【0099】
最後に、厚さ15μmの保護層204b部分を形成した。このとき、遮蔽板123を移動して開口121を遮蔽した。層204b部分の形成方法は上記の層204a部分と全く同一とした。
【0100】
以上において、補強層203a、203b、及び素子層202部分の積層では、レーザ光照射装置130によるレーザ光のレーザ光の走査をキャンローラ111の回転と同期させることにより、第2の非金属帯の積層方向の位置を積層体全体にわたって略一致するようにした。
【0101】
次いで、キャンローラ111の外周面上に形成された円筒状積層体を、第2の非金属帯に沿って周方向に8分割して取り外し、加熱下でプレスして図2に示すような平板状の積層体母素子200を得た。このとき、切断面205には金属薄膜層は一切露出していなかった。これを、切断面209aで切断し、切断面に黄銅を金属溶射して外部電極を形成した。更に、金属溶射表面に熱硬化性フェノール樹脂中に銅、Ni、銀の合金等を分散させた導電性ペーストを塗布し、加熱硬化させ、更にその樹脂表面に溶融ハンダメッキを施した。その後、切断面209bに相当する箇所で切断した。このとき、切断面209bには金属薄膜層は一切露出していなかった。その後、シランカップリング剤溶液に浸漬して外表面をコーティングし、図3に示すようなチップコンデンサを得た。
【0102】
得られたチップコンデンサは、積層方向厚み約1.5mm、奥行約1.6mm、幅(両外部電極間方向)約3.2mmであり、小型ながら容量は0.33μFであった。耐電圧は50Vであった。また、直流印加電圧16Vでの絶縁抵抗値は2×1012Ωであり、金属薄膜層同士の短絡、金属薄膜層の破断などは認められなかった。
【0103】
素子層202、補強層203a,203b、及び保護層204a,204bの樹脂層の硬化度は、それぞれ95%、95%、90%であった。
【0104】
素子層202、及び補強層203a,203bの金属薄膜層の厚みは300オングストローム、膜抵抗は6Ω/□であった。
【0105】
また、上記の積層体母素子200の一部を分解したところ、素子層202部分の金属薄膜層の第1及び第2の非金属帯の幅は順に150μm、50μm、補強層203a,203b部分の金属薄膜層の第1及び第2の非金属帯の幅は順に150μm、50μmであった。
【0106】
(比較例1)
レーザ光照射装置130によるレーザ光の照射を行なわなかった以外は実施例1と同様にして図10に示すようなチップコンデンサを得た。
【0107】
得られたチップコンデンサは、積層方向厚み約1.5mm、奥行約1.6mm、幅(両外部電極間方向)約3.2mmであり、容量は0.35μFであった。耐電圧は50Vであった。また、直流印加電圧16Vでの絶縁抵抗値は5×1011Ωであった。
【0108】
素子層202、補強層203a,203b、及び保護層204a,204bの樹脂層の硬化度は、それぞれ95%、95%、90%であった。
【0109】
素子層202、及び補強層203a,203bの金属薄膜層の厚みは300オングストローム、膜抵抗は6Ω/□であった。
【0110】
また、積層体母素子の一部を分解したところ、素子層部分の金属薄膜層の非金属帯の幅は150μm、補強層部分の金属薄膜層の非金属帯の幅は150μmであった。
【0111】
実施例1が比較例1に比べて絶縁抵抗値が優れているのは切断面に絶縁領域が十分に形成されているためであると考えられる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる電子部品の製造方法によれば、非金属帯に沿って積層方向に切断することにより、金属薄膜層を切断する可能性を低減することができる。従って、金属薄膜層を切断することによって生じるバリや切りくずで、金属薄膜層同士が短絡するのを防止することができる。また、金属薄膜層の切断抵抗によって生じる積層体の変形や金属薄膜層の破断を防止することができる。さらに、切断面に金属薄膜層が露出するのを防止できるので、金属薄膜層の腐蝕を防止でき、また、電子部品としたときの実装上の制約を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる積層体の製造方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【図2】 本発明によって得られる積層体母素子の一例を示した図であり、図2(A)は積層体母素子を切断面方向から見た正面図、図2(B)は平面図、図2(C)は図2(A)のI−I線での矢印方向から見た断面図、図2(D)は図2(A)のII-II線での矢印方向から見た断面図である。
【図3】 本発明によって得られるチップコンデンサの一例を示した概略斜視図である。
【図4】 参考実施形態にかかる積層体の製造方法を実施するための積層体の製造装置の一例を示した概略断面図である。
【図5】 参考実施形態にかかる積層体の製造装置のパターニング材料付与装置の一例の正面図である。
【図6】 図5のパターニング材料付与装置のノズルヘッドを正面から見た部分拡大図である。
【図7】 図6のIII−III線矢印方向から見た微細孔の部分断面図である。
【図8】 従来の積層体の製造方法を実施するための製造装置の一例の概略を模式的に示した断面図である。
【図9】 従来の方法によって得られる積層体母素子の一例を示した斜視図である。
【図10】 従来の方法によって得られるチップコンデンサの一般的な構成の一例を示した概略斜視図である。
Claims (21)
- 樹脂層を形成する工程と金属材料を真空プロセスにより堆積させて金属薄膜層を形成する工程とを周回する支持体上で行うことにより、前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造した後、前記積層体を積層方向に切断し、外部電極を形成して電子部品を製造する方法であって、
支持体上に形成される前記金属薄膜層は、前記支持体の移動方向に形成された第1の非金属帯と前記支持体の移動方向と略直角方向に形成された第2の非金属帯とにより略矩形状に分割されており、
前記第2の非金属帯が、金属薄膜層の形成後に金属薄膜層を除去することにより形成されており、
前記金属薄膜層の前記除去が、前記金属薄膜層の移動方向に対してレーザ光を斜めに走査しながら照射することにより行われ、
前記切断は、第1の非金属帯及び第2の非金属帯の少なくとも一部に沿って前記積層体を2通りに切断するものであり、
前記2通りの切断のうちの一方の切断は、切断面に金属薄膜層が露出しないように積層方向に行なう切断であり、他方の切断は、前記一方の切断と異なる方向であって、切断面に金属薄膜層が露出するように積層方向に行なう切断である、
電子部品の製造方法。 - 第1の非金属帯が、金属薄膜層の形成前に樹脂層表面にパターニング材料を付着させることにより形成される請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- パターニング材料を樹脂層表面に非接触で付着させる請求項2に記載の電子部品の製造方法。
- パターニング材料の付着が、樹脂層表面に対向して配置されたパターニング材料付与装置の微細孔から気化したパターニング材料を放出して、樹脂層表面に付着させることにより行う請求項2に記載の電子部品の製造方法。
- パターニング材料の付着が、樹脂層表面に対向して配置されたパターニング材料付与装置の微細孔から液体状態のパターニング材料を放出して、樹脂層表面に付着させることにより行うことを特徴とする請求項2に記載の電子部品の製造方法。
- 金属薄膜層を形成した後であって、樹脂層を形成する前に、残存するパターニング材料を除去する請求項2に記載の電子部品の製造方法。
- パターニング材料がエステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイル及び炭化水素系オイルよりなる群から選ばれた少なくとも一種のオイルである請求項2に記載の電子部品の製造方法。
- 第2の非金属帯の積層方向の位置がほぼ一致する請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 真空プロセスが電子ビーム蒸着である請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 金属材料がアルミニウム、銅、亜鉛、若しくはニッケル、又はこれらの化合物、又はこれらの酸化物、又はこれらの化合物の酸化物からなる請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 積層体の製造を真空中で行う請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 周回する支持体が、円筒状ドラム又はエンドレスベルトである請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 樹脂層の積層を、蒸発した樹脂材料を支持体表面に付着させることにより行う請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 樹脂材料が反応性モノマー樹脂である請求項13に記載の電子部品の製造方法。
- 樹脂材料を付着させた後、これを硬化処理する請求項13に記載の電子部品の製造方法。
- 樹脂層の厚みが1μm以下である請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 金属薄膜層の厚みが100nm以下である請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 金属薄膜層の膜抵抗が2Ω/□以上である請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 金属薄膜層が露出した切断面に外部電極を形成する請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 電子部品がコンデンサである請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 電子部品がチップコンデンサである請求項1に記載の電子部品の製造方法。
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